JPH07198133A - 触媒燃焼装置 - Google Patents

触媒燃焼装置

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JPH07198133A
JPH07198133A JP5353650A JP35365093A JPH07198133A JP H07198133 A JPH07198133 A JP H07198133A JP 5353650 A JP5353650 A JP 5353650A JP 35365093 A JP35365093 A JP 35365093A JP H07198133 A JPH07198133 A JP H07198133A
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由佳 依田
Toru Kubota
亨 久保田
Miya Sasaki
美弥 佐々木
Fusao Hirasawa
房男 平澤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造の複雑化及びコスト高を抑えつつ、触媒
燃焼時での酸素濃度の低下を把握できるようにし、燃焼
継続の可否を判断できるようにする。 【構成】 通常燃焼が行われる第1の燃焼モードでの触
媒体4の温度を熱電対15により検出し、この第1の燃
焼モードから燃焼用空気供給ファン25による空気供給
量を減少した状態の第2の燃焼モードでの触媒体4の温
度を熱電対15により検出する。第2の燃焼モードでの
触媒温度が第1の燃焼モードでの触媒温度より所定温度
低下した場合には、人体に影響を及ぼすほどの酸素濃度
の低下があったとして、燃料供給を停止し、そうでない
場合には燃焼を継続する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、燃料と空気との混合
気を触媒体に供給し、触媒体上で燃焼させる触媒燃焼装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】触媒体は、火炎を用いる一般の燃焼反応
と異なり、燃料や酸素が稀薄な条件でも良好な燃焼状態
を維持する。火炎燃焼では酸素濃度が18%まで低下す
ると燃焼状態が不安定になり、不完全燃焼状態になる。
その結果、人体に有害な一酸化炭素や臭気の原因となる
未燃の燃料を発生するが、逆に不安定になる火炎の状況
から酸素欠乏状態の検知による不完全燃焼検知が可能に
なるため、燃料供給を停止して、燃焼反応を停止させる
ことが可能である。
【0003】一方、触媒燃焼反応は、通常の燃焼条件で
は酸素濃度15%付近でも特に変化がないため、酸欠状
態(酸素濃度18%以下)にあるにも拘らず燃焼を継続
して室内の酸素をさらに消費し、人体に危険な状況を招
くことも考えられる。
【0004】したがって、触媒燃焼装置において、酸欠
状態を検知し、安全な状況で燃焼を停止させる機構を開
発することは、何にも増して重要な技術となる。
【0005】酸欠状態を検知する最も一般的な方法に
は、酸素センサを用いた制御であるが、触媒燃焼装置を
暖房器具として家電製品に組込んだ場合、その寿命を充
分に満足できる経時安定性を有する酸素センサは非常に
高価なものとなり、残念ながら要素部品としての使用は
困難であると思われる。
【0006】これに対し、従来では、例えば特開平2−
306020号公報に記載されているように、燃料と空
気とを混合させる混合室の下流に主触媒層を設けるとと
もに、この主触媒層の下流側に補助触媒層を設け、これ
ら両触媒層に設置した熱電対からなる温度検出手段の検
出温度差に基づき、酸素濃度を把握して燃焼継続の可否
を判断するようにしたものがある。これは、混合室に供
給する空気量を通常の3割程度に減少させた場合に、主
触媒層では、酸素濃度20%以上では完全燃焼できるも
のの、酸素濃度18%になると一酸化炭素や未燃燃料が
発生して、これらが下流側の補助触媒層に達して補助触
媒層で燃焼して触媒反応し、この結果主触媒層の温度が
低下し、補助触媒層の温度が上昇するという特性を利用
したものである。
【0007】また、触媒体が劣化した場合には、臭気の
原因となる未燃の燃料が触媒体をスリップして室内に流
出してしまうので、このような場合にも燃料供給を停止
させて、触媒燃焼を停止させる必要がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の触媒燃焼装置で
は、酸素濃度を把握して燃焼継続の可否を判断するため
に、酸素センサを使用する場合にはコストがかかり、温
度検出手段使用する例では主触媒層に対して酸素濃度を
検知するために必要な補助触媒層を設置してあり、構造
が複雑化しコスト高になるという問題がある。
【0009】そこで、この発明は、構造の複雑化及びコ
スト高を抑えつつ触媒燃焼時での酸素濃度の低下や、触
媒の劣化を把握できるようにし、燃焼継続の可否を判断
できるようにすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、この発明は、燃料を供給する燃料供給手段と、燃焼
用空気を供給する空気供給手段と、前記燃料と空気との
混合気が供給されて触媒燃焼を生起させる触媒体と、こ
の触媒体の温度を検出する温度検出手段と、前記触媒体
の燃焼中に、あらかじめ設定した燃料と空気との混合比
による第1の燃焼モードから、空気供給量を減少させた
状態の混合比による第2の燃焼モードに変化させる燃焼
モード設定手段と、前記二つの燃焼モードでの前記温度
検出手段による触媒体のそれぞれの検出温度相互間の変
化量を算出する温度変化量算出手段と、この温度変化量
算出手段が算出した温度変化量に基づき燃焼継続の可否
を判断する判断手段とを有する構成としてある。
【0011】
【作用】このような構成の触媒燃焼装置によれば、第1
の燃焼モードにおける燃焼状態と、第1の燃焼モードに
対して空気供給量を減少させた第2の燃焼モードにおけ
る燃焼状態との間では、酸素濃度の低下に伴って触媒体
の温度が変化するので、前記二つの燃焼モード相互間で
の触媒体の温度変化を温度変化量算出手段が算出し、こ
の算出値に基づいて酸素濃度が把握でき、燃焼継続の可
否の判断が可能となる。
【0012】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づき説明
する。
【0013】図1は、この発明の一実施例を示す触媒燃
焼装置を用いた暖房器の断面図である。この暖房器の筐
体1の前面には温風を吹き出す吹き出し口1aが形成さ
れている。筐体1内には、三つの触媒体3,4,5が、
所定間隔をおいて相互に直列に積層状態で配置され、こ
れらは内筒7及び外筒9からなる二重構造の燃焼筒11
により保持されている。
【0014】最下段の触媒体3は、着火用の導電性ステ
ンレスハニカム製の触媒担体に、白金族の活性成分をア
ルミナのコート層を介して担持し、電気通電によって発
熱する導電性触媒体であり、この触媒体3には着火に先
立って予熱を行うための通電用の電極13及び、通電に
よって触媒体3が触媒の活性化温度に達したかどうかを
確認するための熱電対14がそれぞれが設けられてい
る。
【0015】一方、触媒体4,5は、シリカ・アルミナ
を主成分とするセラミックハニカムに触媒体3と同様の
成分を担持した触媒体であり、中央の触媒体4には本発
明における酸素濃度を把握するための温度検出手段とし
ての熱電対15が設けられている。熱電対15は、触媒
体4の上流側表面4aもしくは、上流側表面4aから触
媒厚みの1/2までの触媒内部に取り付けるものとす
る。なお、ここでは、触媒体が三つ設けられている構成
として説明してあるが、触媒体が一つの場合には、この
一つの触媒体に熱電対15を設けることになる。
【0016】上記熱電対14,15が検出した触媒体
3,5の温度信号は、制御基板17に設けられる制御回
路に入力され、またこの制御基板17は前記電極13に
通電信号を出力して触媒体3を着火に先立って発熱させ
る。
【0017】燃焼筒11は支持台19上に固定され、こ
の支持台19には、燃料(灯油)と燃焼用空気とを混合
させ内部に気化器を備えた混合室容器21が装着されて
いる。混合室容器21には、混合室容器21の下部の支
持板23上に配置された空気供給手段としての燃焼用空
気供給ファン25により一次燃焼用空気が供給されると
ともに、筐体1の底部に配置された燃料タンク27内の
燃料が燃料供給手段としての燃料ポンプ29を介して供
給される。
【0018】燃料タンク27に隣接した筐体1の底部に
は、冷却用空気供給ファン31が配置されている。この
冷却空気供給用ファン31は、支持板23の通気孔23
aを通して燃焼筒11を冷却する空気を供給するほか、
支持板23の通気孔23b及び支持台19の通気孔19
aを通して内筒7と外筒9との間の二次空気通路33に
二次空気を供給する。二次空気は、内筒7に形成した空
気供給孔7a及び7bを通して触媒体4及び5にそれぞ
れ二次燃焼用空気として供給される。
【0019】上記した燃焼用空気供給ファン25,燃料
ポンプ29及び冷却用空気供給ファン31は、制御基板
17上の制御回路によって駆動制御される。
【0020】このような構成の触媒燃焼装置では、着火
に先立って、混合室容器21中の気化器に通電予約する
ほか、導電性の触媒体3に電極13を通じて500W程
度の電力が供給されることにより、触媒体3が通電加熱
される。通電後、熱電対14により触媒体3が着火に充
分な活性化温度(300〜500℃)に達しているかど
うかを確認した後、燃料ポンプ29から供給された燃料
及び、燃焼用空気供給ファン25から供給された一次燃
焼用空気は、混合気室容器21内で気化され、充分に予
混合される。予混合された混合気は、活性化温度に達し
ている触媒体3に供給され、ここで着火して触媒燃焼反
応を開始する。そして、熱電対14により触媒燃焼反応
の開始(通常600℃以上)を確認した後、燃料及び一
次,二次燃焼用空気を徐々に設定値となるよう変化させ
る。
【0021】ここで、燃料に対する空気比を3.0〜
3.6として通常の触媒燃焼を行った場合の、触媒温度
と酸素濃度との関係を見ると、図2(a)のようになっ
ている。すなわち、酸素濃度が21%,18%,15%
と変化しても触媒温度はほとんど変化しない。また、燃
焼反応は触媒上流側表面から触媒厚みの半分まででほぼ
終了している。
【0022】上記したような通常の触媒燃焼状態から混
合室容器21内に供給する一次燃焼用空気を10〜30
%程度減少させ、空気比で2.1〜2.8程度にする
と、図2(b)のように酸素濃度が21%と15%との
間で比較的大きな温度差が生じてくる。そこで、燃料に
対する空気比の所定の変化量において生じる前記触媒体
の温度差をあらかじめ設定しておき、この温度差以上に
なったときに、酸素濃度が低下したとして燃料供給を停
止するようにすることで、酸欠状態での燃焼継続を回避
することが可能となる。触媒体の温度差は、燃料に対す
る空気比,冷却用空気の供給量などにより変化するた
め、装置によって設定する必要がある。
【0023】上記通常の触媒燃焼状態における燃料と空
気との混合比(空気比が3.0〜3.6)による燃焼モ
ードを第1の燃焼モードとし、この第1の燃焼モードか
ら空気供給量を減少させた混合比(空気比が2.1〜
2.8)による燃焼モードを第2の燃焼モードとして、
これら各燃焼モードを、前記制御回路内の燃焼モード設
定手段により設定可能としててある。第2の燃焼モード
での燃焼は、強制的に不安定な燃焼条件としているた
め、第1の燃焼モードから第2の燃焼モードへの燃焼モ
ードの変更は、一定間隔(1から3時間程度)に1度な
るべく短時間で行うことが望ましい。
【0024】さらに、前記制御回路には、前記二つの燃
焼モードでの熱電対15による触媒体4のそれぞれの検
出温度相互間の変化量を算出する温度変化量算出手段
と、この温度変化量算出手段が算出した温度変化量に基
づき燃焼継続の可否を判断する判断手段とが備えられ、
判断手段の判断結果に基づき制御回路は本触媒燃焼装置
の燃料供給を継続するか停止するかの制御を行う。
【0025】図3は、上記したような触媒燃焼装置にお
ける制御動作の一例を示すフローチャートである。ま
ず、燃焼開始から3時間経過したら(ステップ30
1)、筐体1の表面に設けられた表示パネルに酸素濃度
の検知動作がなされる旨が表示され(ステップ30
3)、使用者に知らせる。ここで、燃料及び一次燃焼用
空気供給量を第1の燃焼モードに設定し(ステップ30
5)、このときの触媒体4の温度T1 を熱電対15によ
り検出する(ステップ307)。次に、燃料供給量はそ
のままで一次燃焼用空気供給量を減少させて第2の燃焼
モードに設定し(ステップ309)、そのときの触媒体
4の温度T2 を検出する(ステップ311)。
【0026】そして、第1の燃焼モード及び第2の燃焼
モードでの触媒体4の温度T1 ,T 2 を比較し(ステッ
プ313)、T1 −T2 の値が所定値Taより大きい場
合、つまり第2の燃焼モードでの触媒体4の温度T2
第1の燃焼モードでの触媒体4の温度T1 より所定温度
下がった場合には、前記図2(b)で示したように、酸
素濃度が人体に影響を及ぼすほど低下したとして、燃料
ポンプ29を停止させて混合室容器21内への燃料供給
を停止させ(ステップ315)、触媒燃焼を停止させ
る。T1 −T2 の値が所定値Ta以下の場合には、酸素
濃度が人体に影響を及ぼすほど低下していないことにな
るので、燃焼を継続する(ステップ317)。
【0027】このように、暖房器の運転過程における酸
素濃度の変化を、通常燃焼での第1の燃焼モードと、第
1の燃焼モードより空気供給量を減少させた第2の燃焼
モードとの間での触媒体4の温度変化により、把握でき
るので、高価な酸素センサが不要であるとともに、酸素
濃度検知のための触媒体も不要であるので、構造の複雑
化及びコスト高が防止される。しかも、この場合燃焼用
として触媒体が三つ設けられているが、触媒体の温度検
知には、両面を触媒体3,5に挟まれた最も高温になる
2段目の触媒体4を使用しているので、触媒温度の変化
量が大きくなるので、各条件下での所定値Taも大きく
設定でき、正確な制御動作が行える。
【0028】前記図3の制御例の変形例として、第1の
燃焼モードから第2の燃焼モードへの燃焼モードの切り
替え過程において、熱電対15が検出する触媒体4の温
度の変化する速度から、第2の燃焼モードでの触媒体4
の温度T2 を推定し、推定した触媒体4の温度T2 と、
第1の燃焼モードでの触媒体4の温度T1 とを比較する
ことにより、酸素濃度を判断することが考えられる。こ
の場合には、不安定な燃焼状態である第2の燃焼モード
での燃焼時間が図3の制御例に比べて短縮化されるた
め、装置自体の安全性が向上することに加え、使用者が
設定した燃焼条件から外れる時間が短縮化されるので、
使用者にとって快適な暖房空間がより継続して得られる
ことになる。
【0029】図4は、前記図1の触媒燃焼装置における
他の制御例を示している。ここでは、燃焼開始し(ステ
ップ401)、その直後に第1の燃焼モードに設定して
(ステップ403)、このときの触媒体4の温度T1
熱電対15により検出する(ステップ405)。その
後、使用者の設定した燃焼条件により燃焼を継続させ、
この燃焼状態のまま3時間経過したら(ステップ40
7)、筐体1の表面に設けられた表示パネルに酸素濃度
の検知動作がなされる旨が表示される(ステップ40
9)。ここで、燃料及び一次燃焼用空気供給量を第2の
燃焼モードに設定し(ステップ411)、このときの触
媒体4の温度T2 を熱電対15により検出する(ステッ
プ413)。その後は、前記図3の制御例と同様に、第
2の燃焼モードでの触媒体4の温度T2 が、第1の燃焼
モードでの触媒体4の温度T1 より所定温度下がった場
合には、燃料供給を停止し、そうでない場合には燃焼を
継続する。温度T2 が温度T1 より所定値Taの動作を
行う。この制御例においても、使用者の設定した燃焼条
件から外れる時間が短時間で済むという利点がある。
【0030】図5は、前記図1の触媒燃焼装置における
さらに他の制御例を示している。これは、図3に示した
ような酸素濃度を把握するための制御に加え、触媒体の
劣化を判断して燃焼継続の可否を判断するようにしたも
のである。
【0031】燃焼開始から、第2の燃焼モードにて触媒
体4の温度T2 を検出する動作(ステップ311)まで
は、前記図3の制御例と同様である。その後、第1の燃
焼モードに対し燃料供給量はそのままで一次燃焼用空気
供給量を増加させて、燃料及び一次燃焼用空気供給量を
第3の燃焼モードに設定し(ステップ501)、このと
きの触媒体4の温度T3 を検出する(ステップ50
3)。
【0032】その後は、図3と同様に第1,第2の各燃
焼モードでの触媒体4の温度T1 ,T2 を比較して燃焼
継続の可否を判断し、燃焼継続の場合(ステップ31
7)には、第1,第3の各燃焼モードでの触媒体4の温
度T1 ,T3 を比較し(ステップ505)、T1 −T3
の値が所定値Tbより大きい場合、つまり第3の燃焼モ
ードでの触媒体4の温度T3 が第1の燃焼モードでの触
媒体4の温度T1 より所定温度下がった場合には、燃焼
が通常通り行われず触媒体4が劣化したとして、燃料ポ
ンプ29を停止させ混合室容器21内への燃料供給を停
止する(ステップ315)。これにより、燃焼可変幅の
狭くなった劣化触媒体による臭気の原因となる未燃の燃
料の通過(スリップ)が防止される。一方、T1 −T3
の値が所定値Tb以下の場合には、通常通り触媒燃焼が
行われ触媒体4が劣化していないとして、燃焼を継続す
る(ステップ317)。
【0033】なお、上記した触媒体の劣化判断制御にお
いても、図3の制御例の変形例と同様に、第1の燃焼モ
ードから第3の燃焼モードへの燃焼モードの切り替え過
程において、熱電対15が検出する触媒体4の温度の変
化する速度から、第3の燃焼モードでの触媒体4の温度
3 を推定し、推定した触媒体4の温度T3 と、第1の
燃焼モードでの触媒体4の温度T1 とを比較することに
より、触媒体の劣化判断を行ってもよい。
【0034】図6は、前記図1の触媒燃焼装置における
触媒劣化に対する他の制御例を示すフローチャートであ
る。触媒が活性化する温度に予熱した触媒体3に、燃焼
開始のための燃料及び燃焼用空気を供給し、燃料供給を
開始してから所定時間経過した時点で(ステップ60
1)、触媒体4の温度を熱電対15により検出し(ステ
ップ603)、触媒体4が燃焼反応温度(燃料と燃焼用
空気の条件により異なるが、通常600℃)に達してい
るかどうかを判断後(ステップ605)、達していない
場合には、触媒体4が劣化しているとして燃料供給を停
止させ(ステップ607)、達している場合には、燃焼
を継続する(ステップ609)。これにより、劣化した
触媒体による燃焼継続を避けることができる。
【0035】実際に、劣化していない触媒体と、劣化し
て活性が低下した触媒とを比較すると、前者が1分以内
に燃焼反応温度に達して安定するのに対し、後者は燃焼
反応温度に達するまでの時間は前者に対して2倍以上と
長くなる傾向が認められる。劣化した触媒体と劣化して
いない触媒体の各サンプルについて、燃焼反応温度に達
するまでの時間を測定した結果、劣化サンプルAが5分
40秒、同Bが7分10秒、同Cが4分29秒であるの
に対し、未劣化サンプルは1分以内に安定化温度の90
%に達することが判明した。
【0036】図7は、劣化した触媒体のサンプルにおい
て、時間t1 にて燃料供給を行い、燃焼反応温度である
600℃に達するまでに、破線で示す上流側表面温度で
約300秒程度(時間t2 )かかり、一点鎖線で示す下
流側表面温度ではさらに170秒程度(時間t3 )余計
にかかっていることを示している。なお、実線は燃焼用
空気供給量である。一方、図8は、未劣化サンプルにお
いて、燃料供給を開始する時間t1 から600℃に達す
る時間t2 までに要する時間が、上流側表面及び下流側
表面共に40秒程度であることを示している。
【0037】このように、上記図6の制御例では、触媒
燃焼開始時に触媒体の劣化を判断するため、劣化触媒に
よる未燃燃料の発生(スリップにより発生)防止効果
を、向上させることが可能となる。また、燃焼開始毎に
劣化判断を行うため、装置自体の安全性が向上する。さ
らに、劣化判断だけのための操作が不要であり、着火時
の操作を妨害することもないため、効率的である。
【0038】図9は、前記図1の触媒燃焼装置における
触媒劣化を判断するためのさらに他の制御例を示すフロ
ーチャートである。これは前記図6の制御例と同様に、
触媒が活性化する温度に予熱した触媒体3に、燃焼開始
のための燃料及び燃焼用空気を供給し、燃料供給開始か
らの触媒体4の温度変化量を測定し(ステップ90
1)、変化量が所定値より小さいかどうかを判断後(ス
テップ903)、変化量が所定値より小さい場合には触
媒体4が劣化しているとして燃料供給を停止し(ステッ
プ905)、変化量が所定値より大きい場合には、燃焼
を継続する(ステップ907)。
【0039】この例では、前記図6の制御例に比べ、燃
焼開始の初期の時点で劣化判断を行うため、劣化触媒体
の使用による臭気発生を、より確実に防ぐことが可能と
なる。
【0040】図10は、この発明の他の実施例を示す触
媒燃焼装置を用いた暖房器の断面図である。この実施例
は、前記図1の触媒燃焼装置に対し、触媒体3の上流側
の燃焼空間にて、混合室容器21の近傍に白金族触媒を
担持したセラミックヒータ35を設置し、このセラミッ
クヒータ35の温度を触媒体の温度として捕え、酸素濃
度を把握して燃焼継続の可否を判断するようにしたもの
である。
【0041】セラミックヒータ35は、電極37を通じ
て所定温度になるように電力が供給されるもので、セラ
ミックヒータ35には熱電対39が設置され、熱電対3
9の検出信号は触媒体の温度信号として制御基板17の
制御回路に入力される。熱電対39の検出信号に基づく
制御回路の制御例としては、前記図1に示した触媒燃焼
装置でのものと同様でよい。
【0042】
【発明の効果】以上説明してきたように、この発明によ
れば、第1の燃焼モードから、空気供給量を変化させた
状態の第2の燃焼モードに移行する間には、酸素濃度の
低下あるいは触媒体の劣化に伴って触媒体の温度が変化
するので、前記二つの燃焼モード相互間での触媒体の温
度変化を温度変化量算出手段が算出し、この算出値に基
づいて酸素濃度あるいは触媒体の劣化が把握でき、これ
によって燃焼継続の可否の判断が可能となる。このよう
な燃焼継続の可否判断には、高価な酸素センサが不要で
あるとともに、酸素濃度検知のための触媒体も不要であ
って、触媒体の温度を検知する構成とすればよいので、
構造の複雑化及びコスト高が防止されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す触媒燃焼装置を用い
た暖房器の断面図である。
【図2】触媒温度と酸素濃度との関係を触媒の厚さ方向
に沿って示した温度特性図である。
【図3】図1の触媒燃焼装置における制御動作の一例を
示すフローチャートである。
【図4】図1の触媒燃焼装置における他の制御例を示す
フローチャートである。
【図5】図1の触媒燃焼装置におけるさらに他の制御例
を示すフローチャートである。
【図6】図1の触媒燃焼装置における触媒劣化判断の他
の制御例を示すフローチャートである。
【図7】劣化した触媒体による燃焼開始からの温度変化
特性図である。
【図8】未劣化の触媒体による燃焼開始からの温度変化
特性図である。
【図9】図1の触媒燃焼装置における触媒劣化判断のさ
らに他の制御例を示すフローチャートである。
【図10】この発明の他の実施例を示す触媒燃焼装置を
用いた暖房器の断面図である。
【符号の説明】
4 触媒体 15 熱電対(温度検出手段) 17 制御基板(燃焼モード設定手段,温度変化量算出
手段,判断手段) 25 燃焼用空気供給ファン(空気供給手段) 29 燃料ポンプ(燃料供給手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平澤 房男 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝住空間システム技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料を供給する燃料供給手段と、燃焼用
    空気を供給する空気供給手段と、前記燃料と空気との混
    合気が供給されて触媒燃焼を生起させる触媒体と、この
    触媒体の温度を検出する温度検出手段と、前記触媒体の
    燃焼中に、あらかじめ設定した燃料と空気との混合比に
    よる第1の燃焼モードから、空気供給量を減少させた状
    態の混合比による第2の燃焼モードに変化させる燃焼モ
    ード設定手段と、前記二つの燃焼モードでの前記温度検
    出手段による触媒体のそれぞれの検出温度相互間の変化
    量を算出する温度変化量算出手段と、この温度変化量算
    出手段が算出した温度変化量に基づき燃焼継続の可否を
    判断する判断手段とを有することを特徴とする触媒燃焼
    装置。
  2. 【請求項2】 燃料を供給する燃料供給手段と、燃焼用
    空気を供給する空気供給手段と、前記燃料と空気との混
    合気が供給されて触媒燃焼を生起させ、相互に直列に配
    置された複数の触媒体と、この複数の触媒体のうち前記
    混合気が供給される側から2番目の触媒体の上流側表面
    温度を検出する温度検出手段と、前記触媒体の燃焼中
    に、あらかじめ設定した燃料と空気との混合比による第
    1の燃焼モードから、空気供給量を減少させた状態の混
    合比による第2の燃焼モードに変化させる燃焼モード設
    定手段と、前記二つの燃焼モードでの前記温度検出手段
    による触媒体のそれぞれの検出温度相互間の変化量を算
    出する温度変化量算出手段と、この温度変化量算出手段
    が算出した温度変化量に基づき燃焼継続の可否を判断す
    る判断手段とを有することを特徴とする触媒燃焼装置。
  3. 【請求項3】 温度変化量算出手段は、第1の燃焼モー
    ドから第2の燃焼モードに変化させたときの触媒体温度
    の変化速度を算出する構成としたことを特徴とする請求
    項1または2記載の触媒燃焼装置。
  4. 【請求項4】 燃焼モード設定手段は、第1の燃焼モー
    ドを触媒体の燃焼開始直後に設定する構成としたことを
    特徴とする請求項1または2記載の触媒燃焼装置。
  5. 【請求項5】 燃料を供給する燃料供給手段と、燃焼用
    空気を供給する空気供給手段と、前記燃料と空気との混
    合気が供給されて触媒燃焼を生起させる触媒体と、この
    触媒体の温度を検出する温度検出手段と、前記触媒体の
    燃焼中に、あらかじめ設定した燃料と空気との混合比に
    よる第1の燃焼モードから、空気供給量を増加させた状
    態の混合比による第3の燃焼モードに変化させる燃焼モ
    ード設定手段と、前記二つの燃焼モードでの前記温度検
    出手段による触媒体のそれぞれの検出温度相互間の変化
    量を算出する温度変化量算出手段と、この温度変化量算
    出手段が算出した温度変化量に基づき燃焼継続の可否を
    判断する判断手段とを有することを特徴とする触媒燃焼
    装置。
  6. 【請求項6】 燃料を供給する燃料供給手段と、燃焼用
    空気を供給する空気供給手段と、前記燃料と空気との混
    合気が供給されて触媒燃焼を生起させ、相互に直列に配
    置された複数の触媒体と、この複数の触媒体のうち前記
    混合気が供給される側から2番目の触媒体の上流側表面
    温度を検出する温度検出手段と、前記触媒体の燃焼中
    に、あらかじめ設定した燃料と空気との混合比による第
    1の燃焼モードから、空気供給量を増加させた状態の混
    合比による第3の燃焼モードに変化させる燃焼モード設
    定手段と、前記二つの燃焼モードでの前記温度検出手段
    による触媒体のそれぞれの検出温度相互間の変化量を算
    出する温度変化量算出手段と、この温度変化量算出手段
    が算出した温度変化量に基づき燃焼継続の可否を判断す
    る判断手段とを有することを特徴とする触媒燃焼装置。
  7. 【請求項7】 燃料を供給する燃料供給手段と、燃焼用
    空気を供給する空気供給手段と、前記燃料と空気との混
    合気が供給されて触媒燃焼を生起させる触媒体と、この
    触媒体近傍に設けられ触媒を担持したヒータと、このヒ
    ータの温度を検出する温度検出手段と、前記触媒体の燃
    焼中に、あらかじめ設定した燃料と空気との混合比によ
    る第1の燃焼モードから、空気供給量を減少させた状態
    の混合比による第2の燃焼モードに変化させる燃焼モー
    ド設定手段と、前記二つの燃焼モードでの前記温度検出
    手段によるヒータのそれぞれの検出温度相互間の変化量
    を算出する温度変化量算出手段と、この温度変化量算出
    手段が算出した温度変化量に基づき燃焼継続の可否を判
    断する判断手段とを有することを特徴とする触媒燃焼装
    置。
  8. 【請求項8】 燃料を供給する燃料供給手段と、燃焼用
    空気を供給する空気供給手段と、前記燃料と空気との混
    合気が供給されて触媒燃焼を生起させる触媒体と、この
    触媒体の温度を検出する温度検出手段と、前記触媒体を
    所定温度まで予熱する予熱手段と、この予熱手段により
    触媒体が所定温度に達して触媒燃焼が開始されてから、
    所定時間経過後での前記温度検出手段が検出した触媒体
    温度に基づき、燃焼継続の可否を判断する判断手段とを
    有することを特徴とする触媒燃焼装置。
  9. 【請求項9】 判断手段は、触媒燃焼開始時からの時間
    経過に伴う触媒体温度の変化速度に基づき、燃焼継続の
    可否を判断する構成としたことを特徴とする請求項8記
    載の触媒燃焼装置。
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