JPH07197390A - ゴム補強用スチールコードの製造方法 - Google Patents

ゴム補強用スチールコードの製造方法

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JPH07197390A
JPH07197390A JP5352357A JP35235793A JPH07197390A JP H07197390 A JPH07197390 A JP H07197390A JP 5352357 A JP5352357 A JP 5352357A JP 35235793 A JP35235793 A JP 35235793A JP H07197390 A JPH07197390 A JP H07197390A
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章弘 金田
Takayuki Saito
孝幸 斎藤
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    • D07ROPES; CABLES OTHER THAN ELECTRIC
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    • D07B1/00Constructional features of ropes or cables
    • D07B1/06Ropes or cables built-up from metal wires, e.g. of section wires around a hemp core
    • D07B1/0606Reinforcing cords for rubber or plastic articles
    • D07B1/066Reinforcing cords for rubber or plastic articles the wires being made from special alloy or special steel composition

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  • Metal Extraction Processes (AREA)
  • Ropes Or Cables (AREA)
  • Tires In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低コストで、しかも、複雑な工程を必要とせ
ず、高い引張強さと優れた耐疲労性を有するゴム補強用
スチールコードの製造方法を提供する。 【構成】 スチールコード線材に伸線真歪で3.00以
上の最終湿式伸線加工を加え、それぞれの伸線ダイスの
加工深度が5%〜145%の範囲であり、伸線真歪が
2.0未満では、伸線真歪の増大に伴って加工深度が大
きくなる伸線ダイスを2個以上ダイススケジュールとし
て使用し、伸線真歪が2.0以上では、伸線真歪の増大
に伴って加工深度が小さくなる伸線ダイスを2個以上ダ
イススケジュールとして使用することによって最終伸線
を行って、線材の表層部と中心部の強度差が80kgf
/mm2 である線材とし、得られた線材を複数本撚り合
わせること、を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はゴム補強用スチールコー
ドの製造方法、詳しくは、空気入りタイヤや工業用ベル
ト等のゴム製品の補強に用いられる、高い引張強さを有
し、耐疲労性に優れたゴム補強用スチールコードの製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】空気入りタイヤや工業用ベルト等のゴム
製品においてこれらを軽量化し、耐久性を向上するため
に、補強材として用いられるスチールコードに高い引張
強さと優れた耐疲労性が求められている。
【0003】この特性を達成すべく、特開平5−195
455号公報では、炭素含有量が0.90〜1.10重
量%である鋼にクロム、ニッケル、銅の1種以上を添加
した低合金鋼線材を用いて、最終パテンティング後の強
度を1350〜1600MPaとし、その後、伸線加工
により真歪で3.2以上の加工を行い、次にワイヤを撚
り合わせる際にワイヤに入る捻じり角を特定することに
より、高い引張強さと優れた耐疲労性を有するスチール
コードを得る製造方法が提案されている。
【0004】また、特開平5−71084号公報では、
炭素含有量0.6重量%以上の高炭素鋼線材を、最終伸
線工程における最後のダイスのアプローチ角を約8度以
下として伸線することによって得られる、表面の残留応
力が45kg/mm2 以下のゴム補強用スチールワイヤ
が提案されている。
【0005】これらはいずれも、引張り強さ及び耐疲労
性の改良に有効であるが、前者においては、低合金鋼線
材を用いているため価格が高くなり、炭素含有量が高い
ためパテンティング後のネットワークが発生しやすく、
さらにパテンティング工程が複雑であるという問題点を
有している。また、後者は最終伸線工程における最後の
ダイスのみを変更したにすぎず、これによっては所望の
引張り強さ及び充分な耐疲労性が得られないことが明ら
かとなった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を考慮してなされたものであり、その目的は、低コスト
で、しかも、特別な装置や治具及び特殊な線材を使用す
るような複雑な工程を必要としない、高い引張強さと優
れた耐疲労性を有するゴム補強用スチールコードの製造
方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のゴム補強用スチ
ールコードの製造方法は、スチールコード線材に伸線真
歪で3.00以上の最終湿式伸線加工を加え、それぞれ
の伸線ダイスの加工深度が5%〜145%の範囲であ
り、伸線真歪が2.0未満では、伸線真歪の増大に伴っ
て加工深度が大きくなる伸線ダイスを2個以上ダイスス
ケジュールとして使用し、伸線真歪が2.0以上では、
伸線真歪の増大に伴って加工深度が小さくなる伸線ダイ
スを2個以上ダイススケジュールとして使用することに
よって最終伸線を行って、下記式で示される以上の強度
を示し、且つ、線材の表層部と中心部の強度差が80k
gf/mm2 以下である線材とし、
【0008】
【数2】
【0009】(式中、TSは線材の引張強度を表し、D
は最終伸線後の線材の直径を表す。)得られた線材を複
数本撚り合わせること、を特徴とする。
【0010】以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において伸線真歪(ε)は下記一般式で定義され
る。
【0011】
【数3】
【0012】(式中、1nは自然対数を表し、d0 は伸
線前の線材直径を、d1 は伸線後の線材直径を表す。) スチールコードを構成する素線(線材)の引張り強さ
は、最終パテンティング後の線材の引張り強さとその後
の伸線加工度に大きく依存することが知られているが、
特に伸線加工度の寄与が大きく、素線の引張り強さは、
ほぼ伸線加工度に比例するとみなすことができる。しか
しながら、伸線加工度には上限があり、それ以上の高加
工を行うと伸線途中で断線が起こるため、断線を起こす
ことなく高い引張り強さを与えうる伸線加工の範囲は極
めて狭い範囲に限られる。このため、素線の引張り強さ
はその直径に比例することとなる。
【0013】伸線加工度を高めると得られた素線の耐疲
労性が低下する現象は、素線表層の傷感受性が高くなる
ことに起因することから、この傷感受性の上昇を抑制す
る手段について種々の検討を行った。その結果、本発明
者らは、素線の表層部の引張り強さと内部の引張り強さ
との差を80kgf/mm2 以下とすることが傷感受性
の抑制に極めて有利であることを見出して本発明を完成
した。
【0014】即ち、伸線加工後の素線はその表層部の引
張り強さが内部のそれより高くなるのが通例であるが、
この両者の差が大きくなると、傷感受性の上昇が起こ
り、その強度差が80kgf/mm2 を越えると傷感受
性の上昇による耐疲労性の劣化が顕著に現れるため、そ
の強度差を80kgf/mm2 以下とすることが必要と
なる。
【0015】伸線真歪を3.00以上の最終湿式伸線加
工を行うことによって、素線の強度を向上させることが
できる。例えば、素線の直径が0.23mmの場合、強
度を330kgf/mm2 以上とするためには伸線真歪
は3.3以上とする必要がある。
【0016】素線の伸線加工深度は、各ダイスにおける
減面率と各ダイスのアプローチ角度αによって変化する
ため、図1に示すように、ダイスを出た線材の表面から
線材中心までの距離をYとし、アプローチ角度αのダイ
スのアプローチ部に線材が接している部分を底辺とする
二等辺三角形の頂点からダイス出側の線材表面までの距
離をXとしたとき、伸線加工深度は、(X/Y)×10
0で示される。この伸線加工深度は、線材が伸線加工時
に変形を受ける度材を簡易的に推定する尺度となる。例
えば、アプローチ角度αが4.5度で減免率が27.0
6%の場合、伸線加工深度は100%となる。
【0017】伸線加工度の増加に伴って素線の強度は増
加するが、強度の増加は伸線真歪が2.0付近から急激
に増加するため、伸線時の発熱が大きくなり素線が脆化
する虞がある。このため、伸線真歪2.0以上において
はダイスの加工深度を徐々に下げることが好ましく、伸
線真歪2.0未満では、素線の強度を増加するという観
点からダイスの加工深度は大きくすることが好ましい。
【0018】
【作用】本発明の製造方法によれば、線材の表層部と中
心部の強度さが80kgf/mm2 以下とするため、伸
線加工時の傷感受性の上昇を抑えることができ、劣化が
防止されるため、耐疲労性に優れた線材を得ることがで
きる。さらに、伸線真歪3.00以上で最終湿式伸線加
工を加えるため、強度が充分となり、加工深度が5%〜
145%の範囲であるため、表層部のみの強度が上昇し
たり、伸線加工の引抜き力による破断も防止することが
でき、なめらかな波形が形成される。伸線真歪が2.0
未満では、少なくとも2個のダイスを伸線真歪の増大に
伴って加工深度が大きくなるよう用いることにより、伸
線材の中心部から表層部の加工が均一となり、伸線真歪
が2.0以上では、少なくとも2個のダイスを伸線真歪
の増大に伴って加工深度が小さくなるよう用いることに
より、ダイスと伸線材の摩擦力を低減して、伸線材の表
層部の過剰の加工硬化を防止することができる。隠して
得られた素線を撚り合わせてコードを作製するため、高
い引張強さと優れた耐疲労性を有するゴム複合用スチー
ルコードが得られる。
【0019】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0020】直径5.5mmのスチールコード線材を乾
式伸線により所定の線径にまで伸線した後、線材の炭素
含有量及び最終パテンティング条件を変化させ、最終パ
テンティング処理を施し、次いで、図2〜図4のグラフ
に示されるダイススケジュールで、連続湿式伸線機によ
り素線を製造した。
【0021】線材の炭素含有量及び最終パテンティング
条件と、得られた素線の線径、引張り強さ及び回転曲げ
疲労限界の測定結果とを表1及び表2に示す。 (評価方法) 1.線材の表層部と中心部の強度差 まず素線の引張り強さを測定し、しかる後、素線の表層
部を6%硝酸水溶液を用いて素線全体の20体積%相当
を溶解除去し、表層部を除去した素線の引張り強さを測
定して素線内部の引張強さを求めた。次に、表層部の引
張り強さを次式から求めて、差を求め、線材の表層部と
中心部の強度差とした。 表層部の引張り強さ(kgf/mm2 )=〔(素線全体
の引張り強さ)−0.8(素線内部の引張り強さ)〕/
0.2
【0022】2.パーライトブロックサイズ JIS G 0551−1956 鋼のオースイテナイ
ト結晶粒度試験法に準じて測定した。
【0023】パーライトブロックサイズ測定写真は、光
学顕微鏡にて400倍の倍率で20か所を撮影したもの
を用いて、次式により求めた。 パーライトブロックサイズ=〔Σ(各写真から測定した
粒度番号)/20〕
【0024】3.絞り 引張り強さを測定した資料の破断部分の最もくびれた部
分の直径dを測定し、引張り強さの測定前の直径をDと
して、次式より求めた。 {〔(πD2 )−(πd2 )〕/(πD2 )}×100
(%)
【0025】4.フィラメントの回転曲げ疲労限 回転曲げ疲労試験機を用いて、25℃、相対湿度60%
の雰囲気下、回転速度5000回/分で延べ回転数20
万回において試料が10本とも破断しない最大応力を疲
労限とした。素線に所定の曲げ応力を加えて106 回転
後の素線が破断しない最大曲げ応力を測定して疲労限と
した。
【0026】疲労限は次式より求めた。 疲労限(kgf/mm2 )=(D/2R)×20000 但し、Dは鋼線又はスチールコードを構成する鋼線の直
径(mm)を表し、Rは回転曲げ疲労試験において試料
が10本とも破断しない曲げ曲率半径を表す。この曲率
半径は鋼線の曲げ中立軸から曲げ中心までの距離とし
た。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】表1において、試料7、8は最終熱処理後
のパーライトブロックサイズを微細化するために、最終
パテンティング処理の際、加熱速度を200℃/秒で9
00℃まで加熱して線材を溶体化後、50℃まで急冷し
て完全なマルテンサイト組織とした後、引続き表1に示
す各種パテンティング処理を施した。湿式伸線機におけ
るダイススケジュールは図2乃至4に示す、パスA、
C、D、E及びGに従って行った。
【0030】また、比較例として、同程度の伸線加工真
歪となるパスB、F及びHに従う伸線加工も行った。
【0031】本発明の方法により得られた素線(試料
1、3、4、5、7、8及び9)は、いずれの直径にお
いても、優れた引張り強さと回転曲げ疲労限を有してい
たが、比較例の方法により得られた素線(試料2、6及
び10)は、強度、特に回転曲げ疲労限に劣ることが明
らかとなった。
【0032】さらに、試料1及び2の素線を撚り合わせ
て1×5構造のスチールコードを製造した。これらをJ
IS L 1017の参考1.3に記載の疲労強さA法
に基づいて、ゴムに埋設した短冊状の試験片を作成し、
106 回繰り返し曲げ試験を行った後、スチールコード
を構成する素線の破断状況を観察した。その結果、本発
明の試料1の素線を用いたコードは破断が皆無であった
のに対し、比較例の試料2の素線を使用したコードは素
線の破断が随所に観察された。
【0033】また、参考として、先行技術に挙げた特開
平5−71084号公報を参考に、炭素含有量0.82
重量%のスチールコード線材を1.7mmまで伸線後、
最終伸線肯定のパススケジュールをアプローチ角12度
のダイスで21パス、最後にアプローチ角4度のダイス
で1パスとして得られた直径0.3mmのワイヤの引張
強さと耐疲労性を測定したところ、引張強さ320kg
f/mm2 であり、その耐曲げ疲労性は、ダイスのアプ
ローチ角をすべて12度として伸線したワイヤの耐疲労
性を100としたとき、112であるに過ぎず、充分な
耐疲労性が得られないことが確認された。
【0034】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、高い引張り
強さを有し、耐疲労性に優れたゴム複合用スチールコー
ドを、特別な装置や治具及び特殊な線材を使用すること
なく、経済的に得ることができるという優れた効果を示
した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるダイスと線材との関係を解析す
るためのダイスと線材の概略断面図である。
【図2】線材の伸線加工に用いるダイスのパススケジュ
ールA及びBを示すグラフである。
【図3】線材の伸線加工に用いるダイスのパススケジュ
ールC、D、E及びFを示すグラフである。
【図4】線材の伸線加工に用いるダイスのパススケジュ
ールG及びHを示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチールコード線材に伸線真歪で3.0
    0以上の最終湿式伸線加工を加え、 それぞれの伸線ダイスの加工深度が5%〜145%の範
    囲であり、伸線真歪が2.0未満では、伸線真歪の増大
    に伴って加工深度が大きくなる伸線ダイスを2個以上ダ
    イススケジュールとして使用し、伸線真歪が2.0以上
    では、伸線真歪の増大に伴って加工深度が小さくなる伸
    線ダイスを2個以上ダイススケジュールとして使用する
    ことによって最終伸線を行って、 下記式で示される以上の強度を示し、且つ、線材の表層
    部と中心部の強度差が80kgf/mm2 である線材と
    し、 【数1】 (式中、TSは線材の引張強度を表し、Dは最終伸線後
    の線材の直径を表す。)得られた線材を複数本撚り合わ
    せること、 を特徴とするゴム補強用スチールコードの製造方法
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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