JPH0719706B2 - 負荷時タツプ切換器の蓄勢機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は負荷時タップ切換器、特に負荷開閉接点を駆
動するための蓄勢機構に関するものである。

［従来の技術］ 第９図、第10図および第11図を用いて従来の負荷時タッ
プ切換器の蓄勢機構を説明する。

第９図は、負荷開閉接点を駆動するためのエネルギーを
蓄勢していない状態の蓄勢機構を示す平面図であり、図
示しない負荷開閉接点は第１の所定位置において可動接
点と固定接点とがそれぞれ接触しているものとする。回
転入力片（１）はその外周部（1a）にウオームギアが構
成されており、図示しないモータに接続されたウオーム
（５）の回転により軸（3a）のまわりを回動する。さら
に軸（3a）のまわりには回転出力片（２）、および回転
出力片（２）に締結され図示しない負荷開閉接点の可動
接点に駆動力を伝達する出力軸（３）が設けられてい
る。さらに回転入力片（１）の支点（41）と回転出力片
（２）の支点（42）の間には蓄勢ばね（12）が（第９図
に示す従来例では90度ごとに４ケ所）設けられている。

現在接触している負荷開閉接点を開離して角度θだけ回
転した第２の所定位置にある次の接点に投入するための
エネルギーを蓄勢するため、ウオーム（５）の回転によ
り回転入力片（１）が軸（3a）のまわりに同じ角度θ回
転され第10図に示す状態になったとする。この間回転出
力片（２）は図示しない駆動角度制御部の作用により前
記第１の所定位置で回転を拘束されている。蓄勢ばね
（12）は図に示すように伸延され、蓄勢されるエネルギ
ーＥは軸（3a）から支点（42）までの半径ｒ、支点（4
1）までの半径をＲ（ただしＲ＝arとする）、ばね定数
Ｋとして であらわされる。

ここで駆動角度制御部による拘束が解除されると、蓄勢
されたエネルギーＥは初期駆動トルクＴとして回転出力
片（２）および出力軸（３）を回転させ、出力軸（３）
に連結された負荷開閉接点を開離させる。この初期駆動
トルクＴは、 であらわされる。

回転出力片（２）が出力軸（３）および図示しない負荷
開閉接点と一体となつて回転し、第11図に示すように第
２の所定位置に達すると、負荷開閉接点は次の投入（接
触）状態となり、駆動角度制御部により回転出力片
（２）は再度拘束される。以上のようにして負荷開閉接
点は投入状態を切り換えられる。

［発明が解決しようとする問題点］ 負荷時タップ切換器の蓄勢機構は負荷開閉可動接点部を
駆動するためのものであり、負荷開閉可動接点部が第１
の所定位置から開離する際に発生するアークが消弧しな
いうちに第２の所定位置に投入されないよう、回転動作
中に所定の時間を確保する必要がある。一方開離、投入
動作の確実性を高めるためには初期駆動トルクを大きく
する必要がある。ところが、従来の負荷時タップ切換器
の蓄勢機構は前述のように回転入力片と回転出力片との
間を蓄勢ばねで直接連結しているので、開離投入動作を
確実にするために例えばばねの張力を増加させることに
より初期駆動トルクを増加させると、負荷開閉可動接点
部の回転速度が増加しすぎて、アークが消弧しないうち
に次の接点位置に投入されるという問題点を有してい
た。また従来の蓄勢機構において初期駆動トルクを増加
させつつ十分な回転動作時間を確保するためには、フラ
イホイールなどの減速装置および余剰エネルギーを吸収
するアブゾーバ等を設ける必要があり、装置の大型化、
構造の複雑化、および高価格化といった問題点を有して
いた。

この発明は上記のような問題点を解決するためになされ
たものであり、初期駆動トルクが大きくかつ十分な回転
動作時間を有し、小型で構造が簡単でかつ安価な負荷時
タップ切換装置の蓄勢機構を提供することを目的とす
る。

［問題点を解決するための手段］ この発明に係る負荷時タップ切換器の蓄勢機構は、回転
入力片の第１の所定角度回転により蓄勢される複数の弾
性体からなる第１の蓄勢機構を回転入力片と回転出力片
との間に回転自在に設け、且つ、回転入力片が第１の所
定角度よりも小さい第２の所定角度を回転した時点から
回転入力片により蓄勢される弾性体からなる第２の蓄勢
機構を回転入力片および回転出力片と同心円周方向に設
けたものである。

［作用］ 駆動角度制御部により拘束が解除されると、回転出力片
は第１の蓄勢機構および第２の蓄勢機構にそれぞれ蓄勢
されたエネルギーにより回転をはじめ、回転出力片に連
結された接片は開離される。回転出力片が第２の所定角
度だけ回転すると第２の蓄勢機構にエネルギーは放出さ
れ、以後は第１の蓄勢機構に蓄勢されたエネルギーのみ
によって回転を続け、接点を次の投入位置に投入する。

［実施例］ この発明に係る負荷時タップ切換器の蓄勢機構の一実施
例を第１図、第２図、第３図、第４図、第５図、第６
図、および第７図を用いて説明する。

第１図に示す実施例は第１の蓄勢機構として従来と同様
に回転入力片（101）の各支点（141）と回転出力片（10
2）の各支点（142）の間に回転自在にばね（112）がそ
れぞれ設けられている。

回転入力片（101）には第１図又は第２図に示すように
板状の突起部（107）および（109）が回転中心（103a）
に向かって突き出されるように設けられている。さらに
突起部（107）および（109）には回転中心（103a）を中
心とする円弧状の長穴（107a）および（109a）が設けら
れ、それぞれの長穴の両端（107b），（107c），（109
b），（109c）は半円状になっている。回転出力片（10
2）には第２図に示すように突起部（107），（109）の
上下に板状の突起部（106）および（108）が回転中心
（103a）から外に向かって突出するように設けられ、さ
らにそれぞれの突起部（106），（108）には突起部（10
7），（109）と同様に回転中心（103a）を中心とする円
弧状の長穴（106a）および（108a）が設けられている。
この長穴（106a）および（108a）はそれぞれ第４図に示
すように長穴（107a），（109）よりも両側に角度α分
だけ長くなるように設定されている。長穴（106a），
（108a）の両端（106b），（106c），（108b），（108
c）は同様に半円状になっている。各長穴（107a），（1
09a），（106a），（108a）をそれぞれ貫通して支持棒
（104），（105）が設けられている。各支持棒（10
4），（105）は第４図に示すようにそれぞれ両端に鍔
（104a），（104e），（105a），（105e），その内側に
ガイド溝（104b），（104d），（105b），（105d）が設
けられている。また各支持棒（104），（105）は中央部
の穴（104f），（105f）を貫通し鍔（110a），（110b）
を有するガイド溝（110）と、切欠き（104c），（105
c）に当接する蓄勢ばね（111）（圧縮ばね）により連結
されている。各支持棒の上側のガイド溝（104b），（10
5b）の下半身には長穴（107a）が、上半身には長穴（10
6a）がそれぞれ摺動する。また各支持棒の下側のガイド
溝（104d），（105d）の上半分には長穴（109a）が下半
分には長穴（108a）がそれぞれ摺動する。以上で述べた
各突起（107），（109），（106），（108）各長穴（10
7a），（109a），（106a），（108a），支持棒（10
4），（105），ガイド棒（110）および蓄勢ばね（111）
が第２の蓄勢手段を構成する。

第１図および第４図に示す第１の所定位置すなわち各第
１および第２の蓄勢機構がエネルギーを蓄勢していない
状態から、回転入力片（101）が反時計方向に回転を始
めると、長穴（107a），（109a）の端部（107b）および
（109b）により支持棒（104）は押圧を受け蓄勢ばね（1
11）を介して支持棒（105）と一体となって反時計方向
に回転する。角度αだけ回転すると、支持棒（105）は
長穴（106a），（108a）の端部（106c）および（108c）
により回転を阻止される。回転入力片（101）が蓄勢ば
ね（111）に逆らってさらに回転を続け所定角度θ回転
し、第３図および第５図に示す状態になると、第１の蓄
勢機構であるばね（112）は従来例と同様のエネルギー
を蓄勢される。さらに第２の蓄勢機構の蓄勢ばね（11
1）は角度θ−αに相当する長さ分縮められ、エネルギ
ーを蓄勢される。この間回転出力片（102）は図示しな
い駆動角度制御部により拘束されており回転を阻止され
ている。次に図示しない駆動角度制御部の拘束が解除さ
れると、回転出力片（102）は第１の蓄勢機構および第
２の蓄勢機構に蓄勢されたエネルギーにより回転を始
め、回転出力片（102）に連結された図示しない開閉接
点を開離する。回転出力片（102）が角度θ−αだけ回
転すると、第２の蓄勢機構は蓄勢された全エネルギーを
放出し、以降は第１の蓄勢機構に蓄勢されたエネルギー
のみによって回転を続け、角度θ回転した時点すなわち
第６図および第７図に示す状態において前述の図示しな
い駆動角度制御部により再度拘束され、回転を阻止され
る。一般にこの状態においては前述の図示しない開閉器
接点は次の接点に投入されている。

以上の説明は時計方向及び反時計方向の双方向回転可能
なようになっているが、回転方向が例えば反時計方向一
方向だけしか回転しない場合は支持棒（104）は回転入
力片（101）にこていしてもよく、また強度的に十分な
板厚もしくは材料を用いれば回転入力片（101）、回転
出力片（102）に設ける突起（107），（109），（10
6），（108）は何れか一方でよくさらに構造を簡単にす
ることができる。また第８図に示すように長穴のガイド
部ほ片側だけに省略することができ、この場合組み立て
作業性が著しく改善される。

さらに、第２の蓄勢機構は開閉接点の開離動作を確実に
するために設けられているので、一般に蓄勢ばね（11
1）のばね定数を高くし、蓄勢されるストロークに相当
する角度θ−αを小さくすることは言うまでもない。

［発明の効果］ 以上説明したように、この発明に係る負荷時タップ切換
器の蓄勢機構は、開閉接点の開離動作は、第１および第
２の蓄勢機構に蓄勢されたエネルギーによって行われる
ため、従来のものと比べて開離動作が確実である。さら
に、第２の蓄勢機構に蓄勢されたエネルギーは小さな回
転角度において全て解放され、以降は第１の蓄勢機構に
蓄勢されたエネルギーのみによって回転出力片に連結さ
れた開閉接点は回転をするため、開離時に発生したアー
クが消弧した後余裕をもって次の投入動作を行うことが
できる。また、第２の蓄勢機構は、蓄勢動作の最終行程
付近のわずかなストロークで蓄勢されるため蓄勢を行う
モーター等の負担も小さく、安価で信頼性の高い負荷時
タップ切換器の蓄勢機構を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの説明に係るタップ切換器の蓄勢機構の一実
施例を示す平面図、第２図は第１図に示す実施例のＢ−
Ｂ断面図、第３図は第１図に示す実施例の動作中の状態
を示す平面図、第４図は第１図に示す実施例のＡ−Ａ断
面図、第５図は、第３図に示す動作中におけるＡ−Ａ断
面図、第６図はタップ切換器の動作完了状態を示すＡ−
Ａ断面図、第７図は第６図の状態を示す平面図、第８図
はこの発明に係るタップ切換器の蓄勢機構の別の実施例
を示す平面図、第９図は従来のタップ切換器の蓄勢機構
を示す平面図、第10図は第９図に示す従来例の動作中の
状態を示す平面図、および第11図は従来のタップ切換器
の動作完了を示す平面図である。 図中（101）は回転入力片、（102）は回転出力片、（10
4），（105）は支持棒、（106a），（107a），（108
a），（109a）は長穴、（110）はガイド棒（111）は蓄
勢ばねである。 なお、各図中同一符号は同一または相当部分を示す。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エネルギーを蓄勢する入力手段と前記入力
   手段に同心上に設けられて負荷開閉接点の第１の所定位
   置及び第２の所定位置で駆動角度制御部により拘束され
   る出力手段とを有し、前記入力手段により所定のエネル
   ギーが蓄勢された時点で前記所定のエネルギーを前記出
   力手段に放出する負荷時タップ切換器の蓄勢機構におい
   て、 前記入力手段と前記出力手段とに直接設けられ、前記入
   力手段の全蓄勢行程にわたって連続的に第１のエネルギ
   ーを前記入力手段により蓄勢され、前記第１の所定位置
   からの開離および前記第２の所定位置への投入動作の全
   行程にわたって連続的に前記第１のエネルギーを前記出
   力手段に解放する第１の蓄勢手段と、 前記入力手段と前記出力手段との間に設けられ、前記全
   蓄勢行程の終了付近から前記終了までの間だけ連続的に
   第２のエネルギーを前記入力手段により蓄勢され、前記
   第１の所定位置からの開離動作を補助するために前記第
   ２のエネルギーを蓄勢するのに要した行程に相当する行
   程だけ前記第２のエネルギーを連続的に前記出力手段に
   解放する第２の蓄勢手段、 とを具備した負荷時タップ切換器の蓄勢機構。
2. 【請求項２】前記入力手段は同一の軸を中心として回転
   可能に設けられ、 前記第１の蓄勢手段は前記軸を中心として放射方向に設
   けられ、 前記第２の蓄勢手段は前記軸を中心とする円周方向に設
   けられたことを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
   負荷時タップ切換器の蓄勢機構。
3. 【請求項３】前記第２の蓄勢手段は、 前記入力手段に設けられた第１の円弧状の長穴と、 前記出力手段に設けられ、前記第１の円弧状の長穴と同
   じ半径および幅を有し、所定の角度に相当する長さだけ
   前記第１の円弧状の長穴よりも長い第２の円弧状の長穴
   と、 前記第１および第２の長穴のそれぞれを摺動する第１お
   よび第２の支持棒と、 前記第１および第２の支持棒を連結する前記第１および
   第２の長穴に平行なガイド棒と、 前記ガイド棒に沿って設けられ、前記第１および第２の
   支持棒に圧接し、前記入力手段によりエネルギーを蓄勢
   される蓄勢ばね、 とを具備したことを特徴とする特許請求の範囲第２項記
   載の負荷時タップ切換器の蓄勢機構。