JPH07195029A - プレス加工性、耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板 - Google Patents

プレス加工性、耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板

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JPH07195029A
JPH07195029A JP35416993A JP35416993A JPH07195029A JP H07195029 A JPH07195029 A JP H07195029A JP 35416993 A JP35416993 A JP 35416993A JP 35416993 A JP35416993 A JP 35416993A JP H07195029 A JPH07195029 A JP H07195029A
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resin
steel sheet
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corrosion resistance
coating
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JP35416993A
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Sachiko Suzuki
木 幸 子 鈴
Hiroyuki Ogata
形 浩 行 尾
Keizou Okuno
埜 計 造 奥
Yoshihiro Naruse
瀬 義 弘 成
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JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】プレス加工性、平板、加工部の耐食性に優れた
潤滑樹脂表面処理鋼板の提供。 【構成】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の少なくとも
一方の面上に、クロム付着量が金属クロム換算で片面あ
たり10〜200mg/m2 のクロメート被膜を有し、
その上層にポリエステル、ポリウレタン、アクリル系樹
脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂で、か
つ、ガラス転移温度(Tg)が40〜60℃の樹脂と6
5℃以上の樹脂の2種を重量配合比10:90〜90:
10で100重量部、シリカ10〜80重量部および融
点が70℃以上のポリオレフィンワックスもしくはこれ
と融点が70℃未満のポリオレフィンワックスの混合物
1〜20重量部含む塗料組成物をその付着量が片面あた
り乾燥重量で0.6〜3.0g/m2 塗布した潤滑樹脂
層を有することにより、上記目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車、家電、建材製品
等に使用される表面処理鋼板であって、プレス加工性、
耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車、家電、建材製品等に使用される
鋼板、特に亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板のようなめ
っき鋼板は、無塗装または塗装して使用するが、それま
でに種々の工程を通り、しかもその間にかなり長時間に
わたって無塗装の状態におけれる。そのため、その間に
錆が発生したり、めっき鋼板表面に種々の物質が吸着、
付着したりして、塗料の密着性が悪くなるなどの問題が
ある。従って、めっき鋼板が需要家で使用されるまでの
一次防錆処理として、クロメート処理が施される。しか
し、このクロメート処理の耐食性は、一般に、塩水噴霧
試験でせいぜい24〜48時間程度であり、また、特殊
クロメート処理であるシリカゾルを添加した塗布型クロ
メートでも、100〜200時間の耐食性しか得られな
い。従って、長期にわたって過酷な腐食環境下で使用さ
れる製品では、耐食性が不十分である。
【0003】また、最近、プレス工程における塗油作業
環境の低下や、塗油後の脱脂に使用するフロン系、塩化
炭素系溶剤の地球環境汚染の問題が取り上げられるよう
になり、耐食性に加えて、無塗油でもプレス成形が可能
な潤滑性を有する表面処理鋼板に対する要求が高まって
いる。
【0004】このような背景の下で、従来技術として、 (1)亜鉛系めっき鋼板上にクロメート被膜を有し、そ
の上に複合りん酸アルミニウム、クロム系防錆顔料と、
潤滑剤としてポリオレフィンワックス、二硫化モリブデ
ン、シリコーンとを含有するウレタン変性エポキシ樹脂
層を1〜10g/m2 有することを特徴とする耐食性お
よび潤滑性に優れた2層クロメート処理鋼板。(特開昭
62−24505号公報)
【0005】(2)亜鉛系めっき鋼板上にクロメート被
膜を有し、その上に、シリカ粉末、親水性ポリアミド樹
脂および潤滑剤としてポリエチレンワックスを含有する
ウレタン化エポキシエステル樹脂層を0.3〜5μm有
することを特徴とするカチオン電着性に優れた有機複合
鋼板。(特開昭63−35798号公報)
【0006】(3)γ相単相のみからなるニッケル含有
亜鉛めっき鋼板上にクロメート被膜を有し、その上に、
導電性顔料としてりん化鉄、潤滑剤としてポリオレフィ
ン系化合物、カルボン酸エステル系化合物、ポリアルキ
レングリコール系化合物とを含有する塗膜層を1〜20
μm有することを特徴とする耐食性塗装積層体。(特開
昭62−73938号公報)、
【0007】(4)樹脂中に導電性物質(カーボンブラ
ック、グラファイト、金属粉末、半導体酸化物、りん化
鉄)を含有させることにより、樹脂被膜の電気抵抗を低
下させ、潤滑剤(ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド
系、金属石鹸類、金属硫化物、フッ化黒鉛、窒化ホウ
素、グリース、アルカリ金属硫酸塩など)を含有させる
ことにより、溶接可能な防錆潤滑性被膜形成組成物を得
る。(特開昭63−83172号公報)等が開示されて
いる。(1)〜(4)のいずれもが、鋼板上にクロメー
ト層と潤滑剤を含む潤滑樹脂層を有することを特徴とす
る、耐食性、潤滑性に優れる表面処理鋼板である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術における
(1)は、低速プレス成形(〜5mm/sec)に対し
ては有効であるが、実プレス成形(500mm/se
c)における苛酷な成形条件では、プレス時に摺動面が
高温(70℃以上)になり、樹脂被膜層が剥離し易くな
り、樹脂剥離粉が金型、プレス成形品に付着し、連続成
形性および加工後の外観を損なうという問題がある。
【0009】(2)においては、新水性ポリアミド樹脂
を樹脂中に添加することにより、電着塗装時、電着液が
鋼板の樹脂中に浸透していき、樹脂鋼板の被膜の電気抵
抗を低下させるため、電着塗装性が向上する。しかし、
この方法も(1)と同様にプレス時に摺動面が高温(7
0℃以上)になった場合、樹脂被膜層が剥離し易くな
り、樹脂剥離粉が金型、プレス成形品に付着し、連続成
形性および加工後の外観を損なうという問題がある。
【0010】また、(3)、(4)においては、導電顔
料として、無機物を用いるため、顔料の粒径が大きく、
樹脂膜厚も一般に厚くせざるをえず、その結果として、
プレス加工時の耐パウダリング性は悪くなる。更に、リ
ン化鉄、カーボンブラック、グラファイトの添加によっ
て樹脂層が着色され、従来のめっき鋼板の白色系の外観
を得ることができない。
【0011】本発明は、上述した従来技術の欠点を解消
し、摩擦熱が発生するような、厳しい加工条件となる高
速プレス成形時においても、無塗油でのプレス加工性、
特に深絞り性と耐パウダリング性に優れ、かつ平板、加
工部の耐食性に優れた潤滑樹脂表面処理鋼板を提供する
ことを目的とする。また、本発明はさらに連続高速プレ
ス加工性にも優れた潤滑樹脂表面処理鋼板を提供するこ
とを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述した従来技術に代表
されるように、鋼板表面にクロメート処理後、潤滑性樹
脂被膜を形成させることにより、亜鉛または亜鉛系めっ
き鋼板のプレス加工性、耐食性を向上させることができ
る。そこで本発明者らは、特に樹脂(種類、ガラス転移
温度Tg)、潤滑剤の種類、性質に着目して検討した結
果、プレス加工性に有効に作用する特定のベース樹脂、
特定の潤滑剤を見出すことに成功し、これらの配合、塗
膜形成方法を検討することによって、従来の欠点を解消
する優れたプレス加工性、耐食性を有する潤滑樹脂処理
鋼板を開発するに至った。すなわち、本発明の第1の態
様は、亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の少なくとも一
方の面上に、クロム付着量が金属クロム換算で10〜2
00mg/m2 のクロメート被膜を有し、その上層にポ
リエステル、ウレタン、アクリル系樹脂よりなる群から
選ばれる少なくとも一種の樹脂で、かつ、ガラス転移温
度(Tg)40〜60℃の樹脂と、65℃以上の樹脂の
2種を下記組成で含む塗料組成物をその付着量が片面あ
たり乾燥重量で0.6〜3.0g/m2 である潤滑樹脂
層を有することを特徴とするプレス加工性、耐食性に優
れた潤滑樹脂処理鋼板を提供するものである。 (塗料混合物の組成) ○上記ガラス転移温度(Tg)の異なる樹脂(配合比(重量比) 10:90〜90:10) 100重量部 ○シリカ 10〜80重量部 ○融点が70℃以上のポリオレフィンワックス 1〜20重量部
【0013】すなわち、本発明の第2の態様は、亜鉛ま
たは亜鉛系合金めっき鋼板の少なくとも一方の面上に、
クロム付着量が金属クロム換算で10〜200mg/m
2 のクロメート被膜を有し、その上層にポリエステル、
ウレタン、アクリル系樹脂よりなる群から選ばれる少な
くとも一種の樹脂で、かつ、ガラス転移温度(Tg)4
0〜60℃の樹脂と、65℃以上の樹脂の2種を下記組
成で含む塗料組成物をその付着量が片面あたり乾燥重量
で0.6〜3.0g/m2 塗布した潤滑樹脂層を有する
ことを特徴とするプレス加工性、耐食性に優れた潤滑樹
脂処理鋼板を提供するものである。 (塗料混合物の組成) ○上記ガラス転移温度(Tg)の異なる樹脂(配合比(重量比) 10:90〜90:10) 100 重量部 ○シリカ 10〜80重量部 ○融点が70℃未満のポリオレフィンワックスおよび70℃以上のポリオレフィン ワックス(ただし、前者は全ポリオレフィンワックス量の70wt%以下) 1〜20重量部
【0014】
【作用】本発明で対象とする潤滑樹脂処理鋼板の素材と
しては、電気Znめっき鋼板、電気Zn−Niめっき鋼
板、溶融Znめっき鋼板等の各種Zn系めっき鋼板を用
いることができる。
【0015】上記めっき鋼板の上層に、樹脂層との中間
層としてクロメート被膜を形成させる。クロメート被膜
を形成させることによって、耐食性の向上が期待でき
る。かつ、樹脂層との密着性が向上するのでプレス加工
した場合、樹脂層の剥離を軽減できる。クロメート被膜
は、塗布、電解、反応処理等の方法で形成させる。クロ
ム付着量は、金属クロム換算で片面あたり10〜200
mg/m2 にするのがよい。10mg/m2 未満では、
耐食性の向上効果が得られない。200mg/m2 を超
えると付着量の増加の割合に対し、耐食性の向上効果が
少なくほとんど飽和状態に達するからである。また、ク
ロメートにより鋼板が着色され、従来のめっき鋼板の白
色外観が得られず好ましくない。
【0016】次に、上述したクロメート被膜上に形成さ
れる潤滑樹脂被膜について説明する。実プレスラインで
は高速かつ連続でプレス加工が行なわれるため、鋼板と
金型との摩擦によって金型、鋼板の温度はプレス加工時
間とともに室温域から100℃以上に上昇する。そこ
で、本発明者らは、まずベース樹脂とプレス加工性との
関係を検討するために、温度を変えながら、各ベース樹
脂を塗布した鋼板の動摩擦係数(以下、μとする)を測
定した。その結果、ベース樹脂のガラス転移温度(以
下、Tgと記す)を示す転移域と試験片温度が一致した
場合、μが極小になる知見を得た。μは樹脂被覆面と金
型との摩擦抵抗の指標であるため、μが低いほどプレス
加工性は良好となる。本発明者らは、上記知見をもとに
検討した結果、プレス加工初期からプレス加工が進行し
た場合まで良好なプレス加工性を維持するためには、樹
脂の転移域を規定すること、かつこの転移域を幅広くす
ることが有効であるとの結論に至った。
【0017】すなわち、ポリエステル、ウレタン、アク
リル系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種の樹
脂で、かつTgの異なる2種の樹脂、すなわちTg40
〜60℃の樹脂とTg65℃以上の樹脂とをブレンドし
たものが有効である。転移域を広くするためには、両樹
脂のTgの差は大きい方がよく、好ましくは10℃以上
がよい。また、Tgの上限についてはプレス時の温度上
昇を考慮し、150℃位が適当である。ここで、ベース
樹脂としてポリエステル、ポリウレタン、アクリル系樹
脂の中の少なくとも1種を選択する理由を述べる。本発
明の特徴は低Tg樹脂と高Tg樹脂とをブレンドし、プ
レス加工性に有利な転移域を幅広くさせようとすること
にある。そのため幅広いTgのコントロールが容易な上
記各樹脂を選択したものである。
【0018】また、Tgの異なる2種類の樹脂の配合比
(重量比)は10:90〜90:10がよい。一方の配
合比が10未満であると混合した効果が現れず、耐パウ
ダリング性が低下するからである。
【0019】次に、上記ベース樹脂に添加する潤滑剤に
ついて説明する。潤滑剤は、先に述べたベース樹脂によ
るμの効果に加えて更にμを低下させ、プレス加工性の
レベルを向上させるために添加する。一般に、潤滑剤と
してはワックス、二硫化モリブデン、有機モリブデン、
グラファイト、フッ化カーボン、金属セッケン、窒化ホ
ウ素、フッ素樹脂等が知られており、これらは軸受け用
潤滑剤として使用されたり、プラスチックや油、グリー
ス等に添加して潤滑性を向上させるために用いられてい
る。そこで、本発明者らが先に限定した樹脂とこれらの
潤滑剤とを用いて、プレス加工性について検討した結
果、本発明のように高速プレス加工する場合にはポリオ
レフィンワックスが最も有効に働くことがわかった。
【0020】本発明に用いるポリオレフィンワックスは
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフ
ィン系炭化水素の重合体からなるワックスであればいず
れでもよく、1〜20重量部添加のが好ましい。さらに
好ましくは、2〜20重量部の添加が好ましい。1重量
部未満では、潤滑剤によるμの低下が現れないためにプ
レス加工性の向上効果が現れない。更に、カジリも発生
するためにプレス加工部の耐食性も低下する。20重量
部を超えると樹脂被膜の強度が低下し、プレス加工部の
外観が低下する。ポリオレフィンワックスには種々の融
点のものが知られているが、本発明の第1の態様におい
ては70℃以上の融点のものが良い。融点が70℃未満
のものでは高速プレス加工した場合、効果が少ないから
である。
【0021】また、本発明者らが、さらに連続高速プレ
ス加工において、プレス時の温度上昇に対応し、初期か
ら後期まで安定したプレス加工性を得るために更に検討
した結果、融点が70℃以上のポリオレフィンワックス
(以下、高融点ワックスという)と、融点が70℃未満
のポリオレフィンワックス(以下、低融点ワックスとい
う)の併用が有効であることを見出した。これは、高融
点ワックスのみでは、金型と鋼板の温度が上昇してから
は、安定したプレス成形性が得られるが、温度が低いプ
レス初期には潤滑剤の効果が低いため、プレス割れが発
生する問題が生じたため、これを解決するために、融点
の異なるワックスの併用を検討し、その効果を確認した
ものである。すなわち、本発明の第2の態様では、低融
点ワックスと高融点ワックスとを併用することにより、
成形初期で金型、鋼板の温度が室温近傍においては低融
点ワックスが、中期〜後期で温度が上昇した場合には高
融点ワックスが作用する。
【0022】本発明の第2の態様においては、低融点ワ
ックスおよび高融点ワックスの両者を合わせた添加量も
本発明の第1の態様と同様に1〜20重量部が良い。そ
の理由は、第1の態様と同様に1重量部未満では、潤滑
剤によるμの低下が現れないためにプレス加工性の向上
効果が現れない。更に、カジリも発生するためにプレス
加工部の耐食性も低下する。20重量部を超えると樹脂
被膜の強度が低下し、プレス加工部の外観が低下する。
低融点ワックスの添加量は、全ワックス量の70wt%
以下が良い。70%をこえて添加した場合、前述したよ
うにプレスの中期〜後期にかけて金型、鋼板が高温にな
り、低融点ワックスがベトつき、プレス加工性が低下す
るからである。両ワックスの融点の温度差は10℃以上
であることが好ましい。10℃未満であると併用する効
果が低いからである。
【0023】次に耐食性を向上させるために添加するシ
リカについて説明する。シリカは上記ベース樹脂100
重量部に対し、10〜80重量部を添加する。10重量
部未満では、耐食性の向上効果が小さく、80重量部を
超えると被膜脆化が起こり、加工時に型かじりが発生し
やすくなり、プレス加工性を低下させる。シリカの種類
は、コロイダルシリカ、オルガノシリカゾル、シリカ粉
末等を用いることができる。これらの平均粒径は5〜7
0nmであることが好ましい。
【0024】上記ベース樹脂、ポリオレフィンワック
ス、シリカの混合物よりなる塗料組成物は、クロメート
被膜上に片面あたり乾燥重量で0.6〜3.0g/m2
に塗布する。付着量が0.6g/m2 未満では、鋼板表
面の凹凸を埋めきれず、潤滑樹脂層に被覆されず下地鋼
板が露出している面積が大きいため、プレス加工時にプ
レス機の金型とメタル接触をおこし、μが増加し、プレ
ス加工性が低下する。また、プレス加工時の潤滑樹脂層
の損傷も大きくなるのでプレス加工部の外観が悪くなる
上に、耐食性も低下する。3.0g/m2 を超えると、
深絞り性、耐食性の向上効果はあるが、被膜が厚くなる
ことにより、潤滑樹脂層が剥離するパウダリングが発生
するからである。以上のように、本発明による上述の潤
滑樹脂層を塗布形成することにより、高速プレス加工
性、耐食性、さらには連続高速プレス加工性が良好な潤
滑樹脂処理鋼板を得ることができた。
【0025】
【実施例】この発明を実施例に基づき説明する。下記条
件で、本発明の潤滑樹脂処理鋼板の試験片を作製した。 めっき鋼板の種類 A.電気亜鉛めっき鋼板 板厚 0.8mm めっき付着量 20g/m2 (片面あたり) B.電気亜鉛ニッケル合金めっき鋼板 板厚 0.8mm めっき付着量 20g/m2 (片面あたり) Ni含有率 12% C.溶融亜鉛めっき鋼板 板厚 0.8mm めっき付着量 60g/m2 (片面あたり)
【0026】クロメート処理 CrO3 、Na3 AlF6 からなる処理液をスプレー処
理した後、ゴムロールで絞り、熱風乾燥した。クロム付
着量は、スプレー処理時間で調整して、表1に示すよう
に、片面あたりのクロム付着量を変化させながら、塗布
した。
【0027】樹脂被膜処理 上記クロメート処理鋼板にベース樹脂、シリカおよび潤
滑剤の混合物よりなる塗料組成物をバーコーターを用い
て塗布し、150℃雰囲気下で40秒間乾燥させ、表1
および表2に示す付着量の潤滑樹脂層を形成させた。
【0028】●樹脂 A.ポリウレタン(Tg45
℃):ポリウレタン(Tg67℃) B.アクリル(Tg45℃):アクリル(Tg110
℃) C.ポリエステル(Tg51℃):ポリエステル(Tg
70℃) D.アクリル(Tg45℃):ポリエステル(Tg70
℃) E.アクリル(Tg45℃):ポリウレタン(Tg67
℃) F.ポリウレタン(Tg52℃):ポリエステル(Tg
70℃) ●シリカa、コロイダルシリカ (平均粒径20n
m) シリカb、シリカゾル (平均粒径20nm) ●ポリエチレンワックス 本発明の第1の態様
の本発明例1〜26、比較例1〜11は融点102℃の
ポリエチレンワックスを用い、表1に示す配合量とし、
本発明の第2の態様の本発明例27〜39、参考例12
〜14、比較例15〜21は表2に記載の融点のワック
スを用い、表2に示す配合比、配合量とした。なお、参
考例12および13は、本発明の第2の態様の発明の範
囲からは外れるが、本発明の第1の態様の発明の範囲に
は入るものである。上述した方法で作製した本発明例、
参考例、比較例の鋼板を下記の方法によって評価した。
本発明の第1の態様の潤滑樹脂処理鋼板の評価結果を表
1に示し、本発明の第2の態様の潤滑樹脂処理鋼板の評
価結果を表2に示す。
【0029】プレス成形性評価方法 1)深絞り性 円筒絞り試験機を用いて、無塗油の試験片を絞り比を変
えて加工し、加工することができる最大のブランク径を
求め、これから限界絞り比(以下L.D.R. 最大ブランク
径/ポンチ径)を算出した。限界絞り比が高いほど深絞
り性は良好である。 プレス加工条件 しわ押さえ力 2トン ポンチ径 d33mm ブランク径 d59〜70mm 絞り速度 5mm/sec. 、500mm/sec.
【0030】2)耐パウダリング性 1)と同じ試験機を用いて耐パウダリング性を評価し
た。耐パウダリング性は、プレス加工によって鋼板から
剥離し、ダイスに付着した樹脂剥離粉をセロテープで採
取し、その量で評価した。 プレス加工条件 しわ押さえ力 2トン ポンチ径 d33mm ブランク径 d59mm 絞り速度 500mm/sec. 評価基準 ◎:パウダリングなし (耐パウダリング性) ○:パウダリング若干あり △:パウダリングやや多い ×:パウダリング剥離多い
【0031】3)連続プレス加工性 1)と同じ試験機を用いて連続プレス加工性を評価し
た。連続プレス加工性は、連続プレス加工し、プレス初
期(500個)、プレス後期(1000個)のプレス割
れが発生した回数を数えた。 プレス加工条件 しわ押さえ力 2トン ポンチ径 d33mm ブランク径 d59mm 絞り速度 500mm/sec.
【0032】耐食性 1)平板耐食性試験 塩水噴霧試験をJIS Z−2371に準拠して行な
い、白錆発生面積が5%に達するまでに要する時間で評
価した。 2)加工後耐食性 無塗油の試験片を円筒深絞り試験機で、2)の条件で加
工し、その加工面の塩水噴霧試験をJIS Z−237
1に準拠して行ない、白錆発生面積が5%に達するまで
に要する時間で評価した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
【発明の効果】本発明の第1の態様によれば、摩擦熱が
発生するような、厳しい加工条件となる高速プレス成形
時においても、無塗油でのプレス加工性、特に深絞り性
と耐パウダリング性に優れ、かつ平板、加工部の耐食性
に優れた潤滑樹脂処理鋼板を提供することができるとい
う効果を奏する。また、本発明の第2の態様によれば、
上記第1の態様の効果に加え、さらに連続高速プレス加
工性にも優れた潤滑樹脂処理鋼板を提供することができ
るという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 167/02 PLA 175/00 PHM // C08L 101/00 LSY C23C 22/00 Z 22/24 22/82 (72)発明者 奥 埜 計 造 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 成 瀬 義 弘 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究本部内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の少なく
    とも一方の面上に、クロム付着量が金属クロム換算で片
    面あたり10〜200mg/m2 のクロメート被膜を有
    し、その上層にポリエステル、ポリウレタン、アクリル
    系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂
    で、かつ、ガラス転移温度(Tg)が40〜60℃の樹
    脂と65℃以上の樹脂の2種を下記組成で含む塗料組成
    物をその付着量が片面あたり乾燥重量で0.6〜3.0
    g/m2 塗布した潤滑樹脂層を有することを特徴とする
    プレス加工性、耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板。 (塗料混合物の組成) ○上記ガラス転移温度(Tg)の異なる樹脂(配合比(重量比) 10:90〜90:10) 100重量部 ○シリカ 10〜80重量部 ○融点が70℃以上のポリオレフィンワックス 1〜20重量部
  2. 【請求項2】亜鉛または亜鉛系合金めっき鋼板の少なく
    とも一方の面上に、クロム付着量が金属クロム換算で片
    面あたり10〜200mg/m2 のクロメート被膜を有
    し、その上層にポリエステル、ポリウレタン、アクリル
    系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂
    で、かつ、ガラス転移温度(Tg)が40〜60℃の樹
    脂と65℃以上の樹脂の2種を下記組成で含む塗料組成
    物をその付着量が片面あたり乾燥重量で0.6〜3.0
    g/m2 塗布した潤滑樹脂層を有することを特徴とする
    プレス加工性、耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板。 (塗料混合物の組成) ○上記ガラス転移温度(Tg)の異なる樹脂(配合比(重量比) 10:90〜90:10) 100 重量部 ○シリカ 10〜80重量部 ○融点が70℃未満のポリオレフィンワックスおよび70℃以上のポリオレフィン ワックス(ただし、前者は全ポリオレフィンワックス量の70wt%以下) 1〜20重量部
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