JPH0719456B2 - 磁気ヘツド位置決め機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は磁気ディスク装置の磁気ヘッド位置決め機構に
関し、特に磁気ヘッドの位置決めのための専用のサーボ
面を有し、固定軸を中心とする回動運動によって磁気ヘ
ッドの位置決めを行ういわゆるスイングアーム形の磁気
ヘッド位置決め装置に関する。

〔従来の技術〕

磁気ヘッドの位置決めのため、複数の磁気ディスクの記
憶面のうち１個の記憶面の専用のサーボ面とする磁気デ
ィスク装置は、サーボ情報を書込む手段として、特別に
サーボ情報記録用の磁気ヘッドを備えた専用のサーボ情
報記録装置（通常これをサーボ・トラック・ライタ、略
称STWと称する）を用いて書込む方式と、磁気ディスク
装置に搭載した磁気ヘッドそのものを用い、サーボ情報
のみを専用の装置から送出して記録するセルフサーボ方
式とがある。後者のセルフサーボ方式であって、磁気ヘ
ッドの位置決め運動が固定軸を回転中心とした回転運動
によるいわゆるスイングアーム形の磁気ヘッド位置決め
機構は、第２図に例示するような構成を有している。

すなわち、第２図に示すように、ヘッドアーム３は、そ
の先端に磁気ヘッド４を搭載し、回転軸５を中心とした
回動運動を行うアーム取付ブロック16に装着されて位置
決め動作を行う（アーム取付ブロックがなくヘッドアー
ムを直接回転軸に装着している機種もある）。この位置
決め動作を駆動するため、アーム取付ブロック16の後端
にコイルボビン10が設けられており、このコイルボビン
10の上下面（一方側のみの場合もある）にはコイル８が
巻回されている。またコイル８の上下には磁石７が配設
されており、更にこれらを取り囲んでヨーク６が設られ
ており、ヨーク６および磁石７で磁気回路が構成されて
いる。コイル８に所要の電流を供給することによってヘ
ッドアーム３に回動運動を与える。これらの部品を搭載
して磁気ディスク装置に装着するために、ハウジング２
が設けられているが、このハウジング２の側面にはクラ
ッシュストッパ９が取付けられている。

このクラッシュストッパ９は、磁気ヘッド４が磁気ディ
スクの所定の記録領域を逸脱して動作しないようにその
動作範囲を規制するために、磁気ディスクの内周側と外
周側とのそれぞれに対応して２個設けられており、第１
図に示すように（第１図は本発明の実施例の図面である
が、クラッシュストッパ９（9a,9b）とこれに対応する
コイルボビンの関係は従来のものと同じであるので、第
１図を援用して説明する）、斜面部に設けられているス
トップピース9cまたは9dがコイルボビン10の扇形部の斜
面と当接することによって磁気ヘッド４の動作範囲を規
制する。なおクラッシュストッパとストップピースはハ
ウジングの代りに磁気回路に取付ける場合もある。

このように構成された磁気ヘッド位置決め機構によって
サーボ情報を書き込むときは、コイルボビン10を２個の
クラッシュストッパ9a・9bのいずれか一方に当接させて
最外周または最内周のトラックにサーボ情報を書込み、
以下１トラックピッチずつ内周側または外周側に移動さ
せながらコイルボビン10が反対側のクラッシュストッパ
9bまたは9aに当接する迄各トラックにサーボ情報を書込
むという手段が用いられる。

上述のような手段で書込れたサーボ情報を読出すとき、
クラッシュストッパ９の位置を変えずに、サーボ情報を
書込んだときの状態のまゝで読出し動作を行うと、温度
差異その他諸種の誤差要因の集積により最外周側または
最内周側の１ないし数トラックのサーボ情報の読出しが
不能になって、位置決め動作ができなくなることがあ
る。このような障害を防止するため、従来の位置決め機
構は、その組立工程において、サーボ情報の書込みのと
きに対して読出しのクロッシュストッパの取付位置を調
整によって変え、読出し動作のときの磁気ヘッド動作範
囲を書込みのときの動作範囲よりも外周側および内周側
共に狭くしてそれらの間にマージンを持たせるという手
段を用いている。

このような手段で磁気ディスク装置の多量生産を行って
その信頼性を保障するためには、コイルボビンやハウジ
ングやクラッシュストッパ等の関連する部品の加工精度
を高くし、かつ組立調整の程度も高くしなければならな
い。従って従来の位置決め装置はその製造コストが高
く、しかも信頼性の確保に難点があるという問題点を有
している。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明が解決しようとする問題点、換言すれば本発明の
目的は、上述のような従来の磁気ヘッド位置決め機構の
欠点を除去して、関連部品の加工精度とそれらの組立精
度に高い精度を必要とせず、従って製造コストが安く、
しかも高い信頼性を確保できる改良された磁気ヘッド位
置決め機構を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本発明の磁気ヘッド位置決め機構は、先端に磁気ヘッド
を搭載して固定軸を回転中心とする回動運動によって前
記磁気ヘッドの位置決め動作を行うヘッドアームと、前
記ヘッドアームまたは前記ヘッドアームを装着するアー
ム取付ブロックの後端に取付けられたコイルボビンと、
前記コイルボビンに巻回されたコイルと、前記コイルと
協働して前記ヘッドアームの回動運動を駆動する磁気回
路と、前記磁気回路および前記固定軸とを搭載するハウ
ジングと、前記ハウジングまたは前記磁気回路にねじ固
定され、前記コイルボビンの側面に当接して前記ヘッド
アームの内周側および外周側のそれぞれの動作限界位置
を設定する２個のクラッシュストッパとを備える磁気ヘ
ッド位置決め装置において、前記アーム取付ブロックま
たは前記ヘッドアームに設けられて調整治具と協働して
前記ヘッドアームの動作限界調整位置を設定する調整位
置設定手段と、前記ハウジングまたは前記磁気回路にね
じ固定され前記調整治具および前記調整位置設定手段に
よって設定された前記動作限界調整位置に固定された前
記２個のクラッシュストッパのそれぞれの側面に当接し
て固定される２個のストッププレートとを備えて構成さ
れる。

前記調整治具は、前記磁気ヘッド位置決め装置を搭載す
る基台と、前記基台上の前記磁気ヘッド位置基め装置の
搭載位置を規定する案内ピンと、前記基台上を直線的に
一定距離だけ滑動し先端部に２個の溝を有して前記ピン
を前記２個の溝のそれぞれに嵌入したとき前記磁気ヘッ
ドの磁気ディスクを最内周サーボトラックまたは最外周
サーボトラックに対応する位置に位置決めするスライダ
とを具備している。

〔実施例〕

次に本発明の実施例について図面を参照して詳細に説明
する。

第１図は本発明の一実施例の主要部を示す平面図であ
る。

第１図において、ヘッドアーム３、磁気ヘッド４、回転
軸５、コイル８、クラッシュストッパ９（9a,9b）、コ
イルボビン10等の構成は第２図に示した従来例と同じで
あるが、アーム取付ブロック17およびハウジング12の構
成が異っている。

すなわち、アーム取付ブロック17には、任意の位置（第
１図の実施例では回転軸５の近傍）に円柱状に突出させ
て調整位置設定手段として使用されるピン15が設けられ
ており、一方ハウジング12には、クラッシュストッパ９
に隣接しその側面に当接する長方形のストップレート14
（14a,14b）がねじ止めされている。なおピン15はアー
ム取付ブロック17の代りにヘッドアーム３に設けてもよ
い。

上述のように構成された磁気ヘッド位置決め機構によっ
てセルフサービス方式によるサーボ情報の書込みを行う
ときには、第３図に例示するような調整治具を用いて磁
気ヘッド４の動作限界位置の設定を行う。

第３図に例示した調整治具は、基台21上に４個の案内ピ
ン22a〜22dを有しており、この案内ピンによって磁気ヘ
ッド位置決め装置１の磁気ヘッドの位置が所定の位置と
なるようその搭載位置を決めて固定する。基台21には、
この基台21の表面に沿って直線状に一定距離だけ滑動運
動（第３図に２点鎖線の矢印で示してある）可能なスラ
イダ23が設けられている。このスライダ23は、ガードレ
ール（図示省略）によって案内されており、手で動かす
ことによって所定の方向に一定の距離だけ移動させるこ
とができる（スライダの直線運動の案内手段は、上記の
ガイドレールに限定されるものではなく、ベアリングそ
の他の周知の案内手段を採用することができる）。スラ
イダ23の先端には２個の溝23aおよび23bが設けられてい
る。これらの溝23aおよび23bは、スライダ23が最先端ま
で移動したとき、共にアーム取付ブロック17に設けられ
ているピン15を嵌入し、ピン15が溝23aに嵌入したとき
は磁気ヘッドが最外周のサーボトラックに対応し、溝23
bに嵌入したときは最内周のサーボトラックに対応する
ようにそれらの溝位置が定められている。

上述のような調整治具を用いてクラッシュストッパ９の
固定位置を調整して磁気ヘッドの動作限界位置を設定す
るには次の手順によって行う。

調整すべき磁気ヘッド位置決め装置１を案内ピン22a〜2
2dによってその磁気ヘッドの位置がスライダ23に対して
所定の位置となるようにその取付位置を設定して固定す
る。次にスライダ23を滑動させて溝23aにピン15を嵌入
させてヘッドアーム３の回動運動を固定する。これによ
って、磁気ヘッドは磁気ディスク装置にサーボ情報を書
込むときの最外周トラックに対応した位置となる。この
状態においてクラッシュストッパ9aをコイルボビン10に
当接させてねじで固定する。続いてストッププレート14
aの側面をクラッシュストッパ9aの対応する側面に当接
してねじで固定する。

次スライダ23を滑動させてピン15aを溝23aからはずし、
ヘッドアーム13を僅かに回動させて溝23bにピン15を嵌
入してヘッドアーム13を固定する。これによって磁気ヘ
ッドは最内周のサーボトラックに対応する位置にセット
されたことになる。以下、上述の場合と同様にクラッシ
ュストッパ9bおよびストッププレート14bをねじで固定
する。

２個のクラッシュストッパ9aおよび9bならびにストップ
プレート14aおよび14bの固定位置の調整とその固定作業
が完了すると、磁気ヘッドの動作限界位置が定まるの
で、磁気ヘッド位置決め装置１を調整治具から取りはず
し、磁気ディスク装置に搭載して従来と同様にセルフサ
ーボ方式によってサーボ情報の書込みを行う。

サーボ情報の書込み作業が終了すると、サーボ情報の読
出しのためのマージンを与えるため、クラッシュストッ
パ9aおよび9bの固定位置の再調整を行うが、この再調整
作業は次の手順によって行う。

先ずストッププレート14aを固定したまゝクラッシュス
トッパ9aのねじをゆるめ、ストッププレート14aとクラ
ッシュストッパ9aとの間に所定の厚さを薄板（調整板）
を挾み、クラッシュストッパ9aを軽くストッププレート
14aに押し当てながら再びねじを締付けて固定する。ク
ラッシュストッパ9aの固定を完了後調整板を抜き取る。
クラッシュストップを強くストッププレートを押付けて
固定し、調整板を抜き取らずにそのまゝとする方法もあ
るが、使用中の温度変化等によって調整板が脱落して障
害の原因となることもあり得るので、上述のように抜き
取っておくのがよい。クラッシュストッパ14aの再調整
が終了したら、もう１個のクラッシュストッパ14bも同
一手順で再調整する。これによって、サーボ情報の読出
し領域の限界位置が設定される。

なおアーム取付ブロック（またはヘッドアーム）に設け
たピンは、これを穴または溝に代え、スライダ23にピン
を設けることによって上述の場合と全く同じ作用を行わ
せることができる。

〔発明の効果〕

上述の説明から明らかなように、磁気ヘッドの内外周の
動作限界位置を設定するためのクラッシュストッパの固
定位置の調整は、磁気ヘッドとアーム取付ブロックまた
はヘッドアームに設けられたピンとの位置関係のみによ
って設定できるので、ハウジングやコイルボビンやクラ
ッシュストッパ等の駆動機構の関連部品の機械的寸法精
度には全く依存しない。従ってこれらの部品の工作精度
や組立精度を高くする必要がないので、製造コストを低
減することが可能となるという効果がある。また、読出
し時の磁気ヘッドの動作限界位置の調整は、所定の厚さ
の調整板を用意することによって簡単かつ正確に行うこ
とができるので、作業能率を向上させて製造コストを低
減することが可能となるという効果もある。更にまた、
使用中に何らかの原因で再度サーボ情報を書込みが必要
となった場合は、磁気ヘッド位置決め機構を磁気ディス
ク装置から取りはずさずに、端にクラッシュストッパを
直接ストッププレートに当接させて書込み時の磁気ヘッ
ドの動作限界位置を設定し、その状態でサーボ情報の再
書込みを行えは充分であるので、従来に比して再書込み
作業の能率が格段に向上するという効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の主要部を示す平面図、第２
図は従来の磁気ヘッド位置決め機構の外観を示す一部破
断斜視図、第３図は本発明の磁気ヘッド位置決め機構の
動作限界位置の調整に使用する調整治具の一例を示す平
面図である。 ９……クラッシュストッパ、10……コイルボビン、12…
…ハウジング、13……ヘッドアーム、14……ストッププ
レート、15……ピン、17……アーム取付ブロック。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】先端に磁気ヘッドを搭載して固定軸を回転
   中心とする回転運動によって前記磁気ヘッドの位置決め
   動作を行うヘッドアームと、前記ヘッドアームまたは前
   記ヘッドアームを装着するアーム取付ブロックの後端に
   取り付けられたコイルボビンと、前記コイルボビンに巻
   回されたコイルと、前記コイルと協働して前記ヘッドア
   ームの回動運動を駆動する磁気回路と、前記磁気回路と
   前記固定軸とを搭載するハウジングと、前記ハウジング
   または前記磁気回路にねじ固定された前記コイルボビン
   の側面に当接して前記ヘッドアームの内周側および外周
   側のそれぞれの動作限界位置を設定する２個のクラッシ
   ュストッパとを備える磁気ヘッド位置決め装置におい
   て、 前記アーム取付ブロックまたは前記ベットアームに円柱
   状に突出させて設けられて調整治具と協働して前記ヘッ
   ドアームの動作限界調整位置を設定するピンと、前記ハ
   ウジングまたは前記磁気回路にねじ固定され前記調整治
   具および前記ピンによって設定された前記動作限界調整
   位置に固定された前記２個のクラッシュストッパのそれ
   ぞれの側面に当接して固定される２個のストッププレー
   トとを備え、 前記調整治具が、前記磁気ヘッド位置決め装置を搭載す
   る基台と、前記基台上の前記磁気ヘッド位置決め装置の
   搭載位置を規定する案内ピンと、前記基台上を直線的に
   一定距離だけ滑動し先端部に２個の溝を有して前記ピン
   を前記２個の溝のそれぞれに嵌入したとき前記磁気ヘッ
   ドの磁気ディスクの最内周サーボトラックまたは最外周
   サーボトラックに対応する位置に位置決めするスライダ
   とを具備する ことを特徴とする磁気ヘッド位置決め機構。