JPH07192684A - イオン照射装置 - Google Patents

イオン照射装置

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JPH07192684A
JPH07192684A JP5328701A JP32870193A JPH07192684A JP H07192684 A JPH07192684 A JP H07192684A JP 5328701 A JP5328701 A JP 5328701A JP 32870193 A JP32870193 A JP 32870193A JP H07192684 A JPH07192684 A JP H07192684A
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JP
Japan
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ion
current
ion beam
extraction
ion source
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JP5328701A
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Inventor
Takao Matsumoto
貴雄 松本
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Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ビーム計測部19によって計測された引出電
流(ECRイオン源部1から引き出されるイオンビーム
の電流)およびイオンビーム電流(ターゲットに到達す
るイオンビームの電流)がコントローラ2へフィードバ
ックされ、コントローラ2が上記両方の計測結果に基づ
いて、各種イオン源制御パラメータを変化させてイオン
ビーム電流安定制御を行う。 【効果】 実際のイオンビーム電流をフィードバックし
ているので、ECRイオン源部1の状態に関わらずイオ
ンビーム電流を安定に保つことができる。イオンビーム
電流と引出電流との両方から現在のECRイオン源部1
の状態を判断することができるので、ECRイオン源部
1がどのような状態でも、確実にイオンビーム電流を安
定に制御できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体製造装置に供さ
れ、ターゲットにイオンビームを照射してイオン注入や
表面改質等を行うイオン照射装置に関し、特に、磁界中
のマイクロ波放電によりプラズマを生成してそのプラズ
マからイオンビームを引き出すマイクロ波型イオン源部
を備えたイオン照射装置のビーム電流安定制御に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】イオン注入装置は、真空中でイオンを発
生させた後、イオンビームとして引出し、これを磁界を
用いた質量分析法により所望のイオンビームのみを選択
的に取り出し、さらに上記イオンビームを所定のエネル
ギーまで加速してウエハ等のイオン照射対象物に照射す
ることで、イオン照射対象物内に不純物を注入するもの
であり、半導体プロセスにおいてデバイスの特性を決定
する不純物を任意の量および深さに制御性良く注入でき
ることから、現在の集積回路の製造に重要な装置になっ
ている。
【0003】上記イオン注入装置には、磁界中のマイク
ロ波放電によりプラズマを生成してそのプラズマからイ
オンを引き出すマイクロ波型のイオン源を備えたものが
ある。このマイクロ波型のイオン源は、図6に示すよう
に、マグネトロン51から出力されたマイクロ波がアイ
ソレータ52および導波管53を介してプラズマチャン
バ54内に導入されることにより、ソースマグネット5
5によって形成される磁界中において、プラズマチャン
バ54内に供給されているガスイオン種を、マイクロ波
放電によりプラズマ化させるようになっている。
【0004】上記プラズマチャンバ54の外部には、ビ
ーム通過孔56aを有する引出電極56が設けられてい
る。プラズマチャンバ54には引出電源57より正の高
電圧が印加されており、プラズマチャンバ53と引出電
極56との間に強い外部磁界が形成され、この外部電界
によりプラズマチャンバ54内から正のイオンビームが
引き出されるようになっている。そして、プラズマチャ
ンバ54から引き出されたイオンビームは、その後、質
量分析器で質量分析され、加速器で加速されてターゲッ
トに照射される。
【0005】イオン注入装置では、ターゲットに到達す
るイオンビーム量(以下、イオンビーム電流と称する)
を安定に(数パーセント以内に)制御することが非常に
重要であるが、上記マイクロ波型のイオン源を用いた場
合には、フリーマン型イオン源等を用いた場合に比較し
て、イオンビーム電流の安定制御が非常に困難である。
【0006】マイクロ波型のイオン源を用いた場合のイ
オンビーム電流の安定制御としては、例えば、イオン源
部から引き出されるイオンビームの電流(以下、引出電
流と称する)を計測し、その計測結果をコントローラ5
8にフィードバックすることが考えられる。
【0007】即ち、上記コントローラ58は、引出電流
が一定になるように、マイクロ波電源59を制御し、マ
グネトロン51から出力されるマイクロ波のパワーを変
化させる。このように、引出電流を一定に保つことによ
り、ターゲットに到達するイオンビーム電流を略一定に
制御することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】通常時(即ち、イオン
源部の真空度が安定しており、且つ、イオン源部が熱平
衡状態になっていれば)、上記のように引出電流を一定
に保つことにより、安定したイオンビーム電流を得るこ
とができる。しかしながら、イオン源部の真空度変化、
イオン源ヘッド交換後、あるいはイオン源部の熱不平衡
時等のときには、プラズマチャンバ54内に形成される
プラズマの変化により、引出電流を一定に保っても、イ
オンビーム電流が変化することがある。
【0009】本発明は、上記に鑑みなされたものであ
り、その目的は、イオン源部の真空度が安定し、且つ、
イオン源部が熱平衡状態になるという条件が整っている
ときだけでなく、イオン源部がどのような状態のときで
も確実にイオンビーム電流を安定に保つことができるイ
オン注入装置等のイオン照射装置を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るイオン照射
装置は、磁界中のマイクロ波放電によりプラズマを生成
してそのプラズマからイオンビームを引き出すマイクロ
波型イオン源部を備え、該イオン源部から引き出された
イオンビームをターゲットに照射するものであって、上
記の課題を解決するために、以下の手段が講じられてい
ることを特徴とするものである。
【0011】即ち、上記イオン照射装置は、上記イオン
源部から引き出されるイオンビームの電流を計測する引
出電流計測手段と、上記ターゲットに到達するイオンビ
ームの電流を計測するビーム電流計測手段と、上記引出
電流計測手段および上記ビーム電流計測手段の両方の計
測結果に基づいて、ターゲットに到達するイオンビーム
の電流を略一定に保つように、上記イオン源部を制御し
て各種イオン源制御パラメータ(例えば、マイクロ波パ
ワー、引出電極ギャップ(プラズマチャンバと引出電極
との間の距離)、マグネット電流等)を変化させるイオ
ンビーム電流安定制御手段とを備えている。
【0012】
【作用】上記の構成によれば、ビーム電流計測手段によ
ってターゲットに到達している実際のイオンビーム電流
が計測され、その計測結果がイオンビーム電流安定制御
手段にフィードバックされるようになっている。このよ
うにターゲットに到達している実際のイオンビーム電流
自身をフィードバックし、それに基づいてイオンビーム
電流安定制御手段がマイクロ波型イオン源部を制御して
各種イオン源制御パラメータを変化させながらイオンビ
ーム電流の安定制御を行うようになっているので、マイ
クロ波型イオン源部の状態に関わらず(例えば、マイク
ロ波型イオン源部の真空度が安定し、且つ、マイクロ波
型イオン源部が熱平衡状態になるという条件が整ってい
なくても)、イオンビーム電流を安定(数パーセント以
内)に保つことができる。
【0013】また、引出電流計測手段によってイオン源
部から引き出されるイオンビームの電流(引出電流)が
計測されており、上記イオンビーム電流だけでなく、引
出電流も同時にイオンビーム電流安定制御手段にフィー
ドバックされている。このため、イオンビーム電流安定
制御手段は、イオンビーム電流と引出電流との両方から
現在のマイクロ波型イオン源部の状態を判断することが
でき、そのときのマイクロ波型イオン源部の状態に応じ
て、各種イオン源制御パラメータを的確に変化させるこ
とが可能であり、イオンビーム電流安定制御手段がどの
ような状態でも、確実にイオンビーム電流を安定に制御
できる。
【0014】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図5に
基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0015】本実施例に係るイオン照射装置は、図1に
示すように、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electr
on Cyclotron Resonance)条件の磁界中でマイクロ波放
電を生じさせてプラズマを生成し、このプラズマからイ
オンをビームとして引き出すマイクロ波型イオン源部と
してのECRイオン源部1、およびこのECRイオン源
部1の各部の動作を制御してECRイオン源部1から引
き出されるイオンビームの電流を調整し、ターゲットに
到達するイオンビーム電流をコントロールするコントロ
ーラ2を備えている。
【0016】上記ECRイオン源部1は、プラズマを生
成するためのプラズマチャンバ8と、マイクロ波電源7
から電力の供給を受けて、例えば2.45GHzのマイク
ロ波を出力するマグネトロン3と、マグネトロン3から
出力されたマイクロ波を上記プラズマチャンバ8へ導く
導波管6とを備えている。
【0017】上記マグネトロン3と導波管6の端部との
間には、マグネトロン3からのマイクロ波の出力方向
(進行方向)のみマイクロ波を通過させ、反射波がマグ
ネトロン3へ戻るのを防ぐアイソレータ4が設けられて
いる。また、上記導波管6には、導波管6のインピーダ
ンスとプラズマチャンバ8側のインピーダンス(プラズ
マインピーダンス)との間のインピーダンス整合を図る
ためのスタブ等のチューナ9が設けられている。
【0018】また、上記プラズマチャンバ8には、固体
イオン源物質を蒸発させるベーパライザ等の、ガス状の
イオン源物質をチャンバ内に供給するためのガス供給部
(図示せず)が接続されている。
【0019】また、上記プラズマチャンバ8の周囲に
は、ソレノイドコイルを備えたソースマグネット10が
配設されており、このソースマグネット10は、プラズ
マチャンバ8内にビーム引き出し方向と略平行な磁界を
形成するようになっている。上記ソースマグネット10
の各ソレノイドコイルには、マグネット用電源11が接
続されており、このマグネット用電源11からソースマ
グネット電流が供給されるようになっている。
【0020】また、上記プラズマチャンバ8には図示し
ないビーム引出しスリットが形成されており、プラズマ
チャンバ8の外部におけるビーム引出しスリットと対向
する位置には、ビーム通過孔12aが形成された引出電
極12およびビーム通過孔13aが形成された減速電極
13がこの順に配設されている。
【0021】上記引出電極12はビーム引出し方向に可
動に設けられており、その位置が引出電極コントローラ
20によって制御されるようになっている。
【0022】上記減速電極13はそれより下流側の基準
電位に固定されており、上記引出電極12は減速電極1
3よりも負電位になるように、減速電源14より負電圧
が印加されている。そして、上記プラズマチャンバ8に
は、引出電源15の正極端子が接続されており、この引
出電源15より高電圧の引出電圧が印加されるようにな
っている。これにより、プラズマチャンバ8と引出電極
15との間に所定の電位差が生じ、プラズマチャンバ8
の外部に強い外部電界が形成され、この外部電界によ
り、プラズマチャンバ8内のプラズマから正イオンが引
き出され、イオンビームが形成されるようになってい
る。
【0023】上記プラズマチャンバ8内から引き出され
たイオンビームの一部は引出電極12または減速電極1
3にあたり、それ以外のイオンビームはビーム通過孔1
2aおよびビーム通過孔13aを通過して下流にセット
された半導体ウエハ等のイオン照射対象物に到達する。
尚、イオンビームがECRイオン源部1からイオン照射
対象物がセットされている照射位置まで輸送される過程
の中で、必要により質量分析、後段加速、整形、偏向等
が行われる。
【0024】上記のように、引出電極12を減速電極1
3よりも負電位にすることにより、減速電極13よりも
下流で発生した電子の逆流(電子がビーム通過孔12a
およびビーム通過孔13aを通過してプラズマチャンバ
8内に進入する現象)を防ぐことができるようになって
いる。
【0025】本実施例では、図2に示すように、複数の
イオン照射対象物16…が、アルミニウム等の金属製の
回転ディスク17の表面上にその周方向に並べられて固
定されており、該回転ディスク17を一定速度で回転さ
せながら同時にイオンビームと略直交する方向に並進移
動させること(いわゆるメカニカルスキャン)によっ
て、同時に複数のイオン照射対象物16…に対してイオ
ンビームを照射することができるようになっている。
尚、回転ディスク17の表面とイオンビームとのなす角
度(ビーム照射角度)は可変である。
【0026】上記回転ディスク17の後方には、回転デ
ィスク17がイオンビームの軌道から外れたとき(オー
バースキャンのとき)に、イオンビームをキャッチする
ファラデカップ等のビームキャッチャ18が設置されて
いる。
【0027】上記回転ディスク17およびビームキャッ
チャ18はリード線によってビーム電流計測手段として
のビーム計測部19に電気的に接続されており、このビ
ーム計測部19によって、ビーム照射位置に到達したイ
オンビーム電流が計測されるようになっている。即ち、
イオンビームが回転ディスク17によって遮られている
ときは、回転ディスク17に流れる電流がイオンビーム
電流として計測され、回転ディスク17がイオンビーム
の軌道から外れたときは、ビームキャッチャ18に流れ
る電流がイオンビーム電流として計測され、イオンビー
ムが回転ディスク17およびビームキャッチャ18の両
方に到達しているときは、両者17・18に流れる電流
の和がイオンビーム電流として計測される。
【0028】上記ビーム計測部19は、微小なイオンビ
ーム電流を電圧に変換して増幅する増幅回路、上記増幅
回路の出力を高速でアナログ/ディジタル変換するアナ
ログ/ディジタル変換回路等から構成されている。
【0029】また、図1に示すように、前記の引出電極
12および減速電極13も、引出電流計測手段としての
ビーム計測部19に電気的に接続されており、このビー
ム計測部19において、両電極12・13に流れる電流
(プラズマチャンバ8から引き出されたイオンビームの
一部が電極12・13にあたって流れる電流)の和も計
測される。そして、ビーム計測部19は、両電極12・
13に流れる電流の和と前記のオンビーム電流とを合計
して、ECRイオン源部1から引き出されるイオンビー
ムの電流(引出電流)を求めるようになっている。
【0030】そして、上記ビーム計測部19は、イオン
ビーム電流および引出電流の各計測結果を、コントロー
ラ2へ出力するようになっている。
【0031】上記コントローラ2は、CPU(Central
Processing Unit)、ROM(Read Only Memory) 、RA
M(Random Access Memory) 等を含むマイクロコンピュ
ータによって構成されており、イオン注入条件としてイ
オンビーム電流を入力設定すれば、ビーム計測部19か
らフィードバックされるイオンビーム電流および引出電
流の各計測結果に基づいて、ECRイオン源部1の各種
イオン源制御パラメータを変化させて、イオンビーム電
流安定制御を行うようになっている。
【0032】上記のイオン源制御パラメータには、マイ
クロ波パワー、引出電極ギャップ(プラズマチャンバ8
と引出電極12との間の距離)、マグネット電流等があ
り、上記コントローラ2は、マイクロ波電源7を制御し
てマグネトロン3から出力されるマイクロ波パワーを変
化させ、また、引出電極コントローラ20を制御して引
出電極12のビーム引出し方向の位置を変えることによ
って引出電極ギャップを変化させ、また、マグネット用
電源11を制御してソースマグネット10のコイルに流
れるマグネット電流を変化させるようになっている。
【0033】上記の構成において、イオン照射装置の動
作を以下に説明する。
【0034】イオン照射装置の全自動運転モードにとき
には、図示しない全自動コントローラから上記コントロ
ーラ2にイオンビーム電流一定指令が与えられる。ま
た、マニュアル操作モードのときには、オペレータによ
って設定されたイオンビーム電流の設定値が、イオンビ
ーム電流一定指令として上記コントローラ2に入力され
る。
【0035】上記コントローラ2は、イオンビーム電流
の設定値に基づいて、ECRイオン源部1の各部の動作
を制御し、ECRイオン源部1の運転を開始する。EC
Rイオン源部1では、プラズマチャンバ8内にガス供給
部からガス状のイオン源物質が導入されると共に、ソー
スマグネット10のソレノイドコイルにマグネット用電
源11からマグネット電流が供給され、プラズマチャン
バ8内にビーム引き出し方向と略平行な磁界が形成され
る。また、マイクロ波電源7が投入されてマグネトロン
3が作動し、マイクロ波がアイソレータ4および導波管
6を介してプラズマチャンバ8内に導入されることにな
る。これにより、ECR現象によるマイクロ波放電によ
って、プラズマチャンバ8内に導入されているイオン源
物質がプラズマ化される。
【0036】この後、減速電源14および引出電源15
が投入されることにより、プラズマチャンバ8と引出電
極12との間には、強い外部電界が形成され、この外部
電界により、プラズマチャンバ8内で生成されたプラズ
マ中の正イオンがビーム引出しスリットから引き出され
る。そして、ビーム通過孔12aおよびビーム通過孔1
3aを通過したイオンビームが、回転ディスク17にセ
ットされたイオン照射対象物16を照射する。
【0037】ビーム照射処理中、ビーム計測部19にお
いてイオンビーム電流および引出電流が計測され、各計
測結果がコントローラ2へフィードバックされる。
【0038】上記コントローラ2では、S/N比の高い
イオンビーム電流の認識を行うために、ビーム計測部1
9からのイオンビーム電流を一定時間毎(例えば1秒
毎)にサンプリングし、サンプリングを行ったイオンビ
ーム電流(瞬時値)の複数個(例えば5個)の移動平均
を求めるようになっている。
【0039】尚、前回のサンプリングデータに比べてイ
オンビーム電流が所定値(例えば1mA)以上変化した
とき、今回のサンプリングデータの代わりに前回のサン
プリングデータを用いて移動平均を求める。また、コン
トローラ2は、引出電圧もモニタしており、引出電圧値
が所定値(例えば2kW)以上変化しているときは、E
CRイオン源部1において放電が発生したものとみな
し、今回のサンプリングデータの代わりに前回のサンプ
リングデータを用いて移動平均を求める。
【0040】例えば、図3に示すようなイオンビーム電
流の計測値がコントローラ2に入力されるとした場合、
コントローラ2は、例えば1秒毎にサンプリングを行っ
たa、b、c、dおよびeの5つの移動点の平均値から
イオンビーム電流を認識する。次は、b、c、d、eお
よびfの5つの移動点の平均値を求める。その次のサン
プリングデータgとサンプリングデータfとの差が、例
えば1mA以上であれば、コントローラ2は、サンプリ
ングデータgをノイズのみなし、c、d、e、fおよび
fの5つのデータの平均値を求める。また、ECRイオ
ン源部1における放電等によって引出電圧が所定値以上
低下すると、イオンビームがターゲットまで到達せずに
イオンビーム電流が急激に低下する。このような場合に
サンプリングされたデータiは、その前のサンプリング
データhに置き換えられて移動平均がとられる。
【0041】但し、コントローラ2は、上記サンプリン
グデータiだけでなく、その次のサンプリングデータj
もサンプリングデータhよりイオンビーム電流が所定値
以上低下しているときは(即ち、所定回数連続して所定
値以上外れた状態が続くと)、ノイズの影響ではなくて
実際にイオンビーム電流が低下していると判断し、f、
g、h、iおよびjの移動平均をとる。
【0042】そして、上記コントローラ2は、上記のよ
うにして認識したイオンビーム電流と引出電流とに基づ
いて、ECRイオン源部1の各種イオン源制御パラメー
タを変化させて、イオンビーム電流安定制御を行う。こ
の、コントローラ2のイオンビーム電流安定制御を図4
のフローチャートに基づいて以下に説明する。
【0043】先ず、コントローラ2は、フィードバック
されたイオンビーム電流(実際のイオンビーム電流)
が、設定されたイオンビーム電流に対して規定範囲内
(数パーセント内)に入っているか否かを判断し(S
1)、規定範囲から外れている場合、イオンビーム電流
が設定値に対して大き過ぎるのか小さ過ぎるのかを判断
する(S2)。
【0044】上記S2において、現在のイオンビーム電
流が設定値に対して小さ過ぎる場合、コントローラ2
は、マイクロ波電源7を制御してマグネトロン3から出
力されるマイクロ波パワーを高くする(S3)。
【0045】その後、コントローラ2は、フィードバッ
クされるイオンビーム電流および引出電流の増減をみる
(S4およびS5)。上記S3においてマイクロ波パワ
ーを高くしたことにより、イオンビーム電流および引出
電流がどちらも増加している場合(S4およびS5の両
ステップともYES)、再び上記S1に戻る。
【0046】上記S3においてマイクロ波パワーを高く
したにも関わらず、フィードバックされる引出電流が減
少した場合(S4においてNO)(尚、この場合引出電
流が減少するのでイオンビーム電流も減少する)、コン
トローラ2は、プラズマチャンバ8内のイオン飽和電流
を増すために(プラズマ密度を高めるために)、マグネ
ット用電源11を制御してソースマグネット10のコイ
ルに流れるマグネット電流を増加させる(S6)。その
後は、上記S1に戻り、必要によってマイクロ波パワー
の再調整が行われる。
【0047】また、S3においてマイクロ波パワーを高
くしたにも関わらず、フィードバックされる引出電流は
増加するがイオンビーム電流が増加しない(ほとんど変
わらないかまたは減少する)場合(S4においてYES
且つS5においてNO)、以下に示す規格化パービアン
ス(P/Pc )を計算し、この規格化パービアンスが0.
68になるように、引出電極コントローラ20を制御し
て引出電極12のビーム引出し方向の位置を変えること
によって引出電極ギャップを変化させる(S7)。その
後は、上記S1に戻り、必要によってマイクロ波パワー
の再調整が行われる。
【0048】上記のような、引出電流が増加してもイオ
ンビーム電流が増加しないという現象は、プラズマチャ
ンバ8から引き出されたイオンビームの発散が大き過ぎ
るため、引出電極12のビーム通過孔12aを通過して
ターゲットに到達するイオンビームが減少するためと考
えられる。
【0049】即ち、高電界により引き出されたイオンビ
ームは、レンズ効果の影響を受けて発散する。イオンビ
ームの発散角ωは、図5に示すように、規格化パービア
ンス(P/Pc )により変化し、P/Pc =0.68で最
小発散角が与えられ、P/Pc が0.68からはなれる
程、発散角ωが大きくなる。
【0050】上記P/Pc は、引出電圧(プラズマチャ
ンバ8と引出電極12との間の電位差)Ve 、引出電極
ギャップd、プラズマチャンバ8のビーム引出しスリッ
トの厚さt、引出電流Ie 、イオン種の実効質量数M
eff 等のパラメータにより左右され、以下に示す関係式
により表される。
【0051】P/Pc =k・Meff 1/2 ・Ie (d+
t)2 /Ve 3/2 (kは定数) 上式からわかるように、引出電流Ie が変化すると規格
化パービアンスが変化し、それによってイオンビームの
発散角ωも大きくなるので、引出電流が増加してもイオ
ンビーム電流が増加しないのである。この場合、コント
ローラ2は、P/Pc =0.68となるような引出電極ギ
ャップdを演算し、引出電極コントローラ20を制御し
て引出電極12を移動させるのである(S7)。
【0052】一方、上記S2において、現在のイオンビ
ーム電流が設定値に対して小さ過ぎる場合、コントロー
ラ2は、マグネトロン3の出力パワーが最低値(例えば
200W)になっているか否かを判断する(S7)。こ
れは、マグネトロン3は、ある出力以下になれば非常に
不安定になるといった出力特性を有しているため、微小
ビーム電流調整を行う場合には、マイクロ波電源7の制
御によるマグネトロン3の出力パワー調整だけでは限界
があるからである。
【0053】そこで、コントローラ2は、マグネトロン
3の出力パワーが最低値になっていなければ、マイクロ
波電源7を制御してマグネトロン3から出力されるマイ
クロ波パワーを低くする(S9)一方、その出力パワー
が最低値になっていれば、マグネット用電源11を制御
してソースマグネット10のコイルに流れるマグネット
電流を変化させる(S10)。上記のS9またはS10
の後は、上記S1に戻る。
【0054】以降、フィードバックされたイオンビーム
電流が、設定されたイオンビーム電流に対して規定範囲
内に入るまで、上述のイオンビーム電流安定制御(S1
〜S10)が繰り返される。このイオンビーム電流安定
制御は、ビーム照射処理の期間中継続して行われる。
【0055】尚、上記S1においてイオンビーム電流が
安定であると判断するイオンビーム電流の許容範囲(規
定範囲)は、イオン種および設定イオンビーム電流値に
よって変えてもよい。例えば、イオン種および設定イオ
ンビーム電流値を入力データとし、メンバシップ関数を
決めてファジー制御を行って許容範囲を決定する。
【0056】また、イオンビーム電流を効率良く安定さ
せるために、上記S3またはS9においてマクイロ波パ
ワーを増減させるときの速度(例えば、0.1Wずつ変化
させる時間)も、イオン種および設定イオンビーム電流
値によって変えてもよい。この場合も、例えば、イオン
種および設定イオンビーム電流値を入力データとし、メ
ンバシップ関数を決めてファジー制御を行ってマクイロ
波パワーの変化速度を決定すればよい。
【0057】以上のように、本実施例のイオン照射装置
は、マイクロ波型イオン源部としてのECRイオン源部
1を備え、該ECRイオン源部1から引き出されたイオ
ンビームをターゲットに照射するものであって、ECR
イオン源部1から引き出されるイオンビームの電流(引
出電流)およびターゲットに到達するイオンビームの電
流(イオンビーム電流)を計測するビーム計測部19
と、上記ビーム計測部19による引出電流およびイオン
ビーム電流の両方の計測結果に基づいて、ターゲットに
到達するイオンビーム電流を略一定に保つように、上記
ECRイオン源部1を制御して各種イオン源制御パラメ
ータを変化させるコントローラ2とを備えている構成で
ある。
【0058】このように、ターゲットに到達している実
際のイオンビーム電流を計測してコントローラ2にフィ
ードバックし、ECRイオン源部1のイオン源制御パラ
メータを変化させながらイオンビーム電流の安定制御を
行うようになっているので、ECRイオン源部1の状態
に関わらず(例えば、ECRイオン源部1の真空度が安
定し、且つ、ECRイオン源部1が熱平衡状態になると
いう条件が整っていなくても)、イオンビーム電流を安
定(数パーセント以内)に保つことができる。
【0059】また、上記イオンビーム電流だけでなく、
引出電流も同時にコントローラ2にフィードバックして
いるので、イオンビーム電流と引出電流との両方から現
在のECRイオン源部1の状態を判断することができ、
そのときのECRイオン源部1の状態に応じて、マイク
ロ波パワーだけでなく、それ以外の各種イオン源制御パ
ラメータ(例えば、引出電極ギャップもマグネット電流
等)も的確に変化させることができるので、ECRイオ
ン源部1がどのような状態でも、確実にイオンビーム電
流を安定に制御できる。
【0060】尚、上記実施例では、ビーム計測部19が
引出電流とイオンビーム電流との両方を計測するように
なっており、引出電流計測手段とビーム電流計測手段と
が一体化された構成となっているが、勿論、引出電流計
測手段とビーム電流計測手段とがそれぞれ独立した構成
になっていてもよい。上記実施例は、あくまでも、本発
明の技術内容を明らかにするものであって、そのような
具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではな
く、本発明の精神と特許請求の範囲内で、いろいろと変
更して実施することができるものである。
【0061】
【発明の効果】本発明のイオン照射装置は、以上のよう
に、マイクロ波型イオン源部から引き出されるイオンビ
ームの電流を計測する引出電流計測手段と、ターゲット
に到達するイオンビームの電流を計測するビーム電流計
測手段と、上記引出電流計測手段および上記ビーム電流
計測手段の両方の計測結果に基づいて、ターゲットに到
達するイオンビームの電流を略一定に保つように、上記
イオン源部を制御して各種イオン源制御パラメータを変
化させるイオンビーム電流安定制御手段とを備えている
構成である。
【0062】それゆえ、実際のイオンビーム電流自身を
フィードバックしてイオンビーム電流の安定制御を実行
しているので、マイクロ波型イオン源部の状態に関わら
ず(例えば、マイクロ波型イオン源部の真空度が安定
し、且つ、マイクロ波型イオン源部が熱平衡状態になる
という条件が整っていなくても)、イオンビーム電流を
安定に保つことができる。また、上記イオンビーム電流
だけでなく、引出電流も同時にフィードバックしている
ので、イオンビーム電流と引出電流との両方から現在の
マイクロ波型イオン源部の状態を判断することができ、
そのときのマイクロ波型イオン源部の状態に応じて、各
種イオン源制御パラメータを的確に変化させることが可
能であり、イオンビーム電流安定制御手段がどのような
状態でも、確実にイオンビーム電流を安定に制御するこ
とができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すものであり、イオン照
射装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】上記イオン照射装置におけるイオンビーム電流
の計測系の構成を示すブロック図である。
【図3】イオンビーム電流の経時変化の一例を示すグラ
フである。
【図4】上記イオン照射装置のコントローラによるイオ
ンビーム電流安定制御を示すフローチャートである。
【図5】プラズマチャンバから引き出されたイオンビー
ムの発散角(ω)と規格化パービアンス(P/Pc )と
の関係を示すグラフである。
【図6】従来例を示すものであり、イオン注入装置の要
部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ECRイオン源部(マイクロ波型イオン源部) 2 コントローラ(イオンビーム電流安定制御手段) 3 マグネトロン 7 マイクロ波電源 8 プラズマチャンバ 10 ソースマグネット 11 マグネット用電源 12 引出電極 15 引出電源 16 イオン照射対象物 17 ビームキャッチャ 19 ビーム計測部(引出電流計測手段、ビーム電流
計測手段) 20 引出電極コントローラ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/265 21/3065

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】磁界中のマイクロ波放電によりプラズマを
    生成してそのプラズマからイオンビームを引き出すマイ
    クロ波型イオン源部を備え、該イオン源部から引き出さ
    れたイオンビームをターゲットに照射するイオン照射装
    置であって、 上記イオン源部から引き出されるイオンビームの電流を
    計測する引出電流計測手段と、 上記ターゲットに到達するイオンビームの電流を計測す
    るビーム電流計測手段と、 上記引出電流計測手段および上記ビーム電流計測手段の
    両方の計測結果に基づいて、ターゲットに到達するイオ
    ンビームの電流を略一定に保つように、上記イオン源部
    を制御して各種イオン源制御パラメータを変化させるイ
    オンビーム電流安定制御手段とを備えていることを特徴
    とするイオン照射装置。
JP5328701A 1993-12-24 1993-12-24 イオン照射装置 Pending JPH07192684A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004158358A (ja) * 2002-11-07 2004-06-03 Keyence Corp 電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体
JP2008293724A (ja) * 2007-05-23 2008-12-04 Ihi Corp イオン注入装置及びそのイオンビームの均一性調整方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004158358A (ja) * 2002-11-07 2004-06-03 Keyence Corp 電子顕微鏡、電子顕微鏡の操作方法、電子顕微鏡の操作プログラムおよびコンピュータで読み取り可能な記録媒体
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