JPH07190129A - 車両のサスペンション装置 - Google Patents

車両のサスペンション装置

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JPH07190129A
JPH07190129A JP33334893A JP33334893A JPH07190129A JP H07190129 A JPH07190129 A JP H07190129A JP 33334893 A JP33334893 A JP 33334893A JP 33334893 A JP33334893 A JP 33334893A JP H07190129 A JPH07190129 A JP H07190129A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スプリングのセット荷重がサスペンション装
置のフルストローク時に影響を及ぼさないようにするこ
とにより、コーナリングパワーの急激な低下を防止す
る。 【構成】 フルストローク時において所定のセット荷重
sが残置されるスプリング3を備えた車両のサスペンシ
ョン装置において、フルストローク時にサスペンション
荷重を零以下となす荷重変更手段を付設するようにして
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、車両のサスペンショ
ン装置に関し、さらに詳しくはフルストローク時におい
て所定のセット荷重が残置されるスプリングを備えた車
両のサスペンション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両のサスペンション装置にお
いては、車輪のバウンド力を吸収緩和するための荷重減
衰用のスプリングが設けられているが、このスプリング
は、車輪のフルリバウンド時(換言すれば、サスペンシ
ョン装置のフルストローク時)におけるスプリング外れ
を防止する目的からセット時に所定のセット荷重を付与
せしめられた状態で組み付けられることとなっている
(例えば、特開平2ー120105号公報参照)。
【0003】上記のようにサスペンション装置における
荷重減衰用スプリングに対してセット荷重を付与せしめ
るようにした場合、図3に示すように、車輪がフルリバ
ウンドした場合(換言すれば、サスペンション装置がフ
ルストロークした場合)にセット荷重sが残置されること
となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の旋回
中、旋回加速中あるいは旋回減速中においては、前輪あ
るいは後輪の旋回内輪が浮く(即ち、地面から離れる)現
象がしばしば発生する。これは、車両における上下方向
の荷重を4点(即ち、前後輪)で不静定に受けもつため、
外力や内部的な力のつり合いにより、浮く車輪に加わる
力がある荷重以下になると、サスペンション装置がスト
ロークしなくなるためである。
【0005】ここで、横力(即ち、横G)のみを増加させ
て後輪が浮く場合を想定し、各車輪における接地荷重を
考えてみると、図4および図5に示すようになる。図4
は前輪における横Gー接地荷重の関係を示し、図5は後
輪における横Gー接地荷重の関係を示している。
【0006】上記したように、サスペンション装置のス
プリングはセット荷重を持っているため、リヤ内輪の接
地荷重が前記セット荷重より小さくなると、サスペンシ
ョン装置がストロークしなくなって車輪が浮き、急に接
地荷重が0になり、セット荷重(換言すれば、残り荷重)
が外輪に移動することとなる(図5参照)。
【0007】そこで、リヤ内輪の浮く直前の状態を考え
てみると、リヤ両輪における接地荷重Wとコーナリング
パワーKpとの関係が図6に示すような特性を示すとこ
ろから、 リヤ内輪のコーナリングパワー:a リヤ内輪の接地荷重:s リヤ外輪のコーナリングパワー:b リヤ外輪の接地荷重:t となる。
【0008】この状態からリヤ内輪が浮くと、接地荷重
(即ち、残り荷重)がリヤ外輪に移動するため、 リヤ外輪のコーナリングパワー:c リヤ外輪の接地荷重:u=t+s となる。
【0009】ここで、コーナリングパワーKpをリヤ内
輪が浮く前と浮いた後とで比較してみると、a+b>cと
なり、リヤ内輪が浮くと急激にコーナリングパワーKp
が減少していることがわかる。つまり、図7に示すよう
に、同一の横GにおいてコーナリングパワーKpが急激
に低下することとなり、車輪が横滑りを起こし易くなっ
て操安性が悪化することとなる。
【0010】本願発明は、上記の点に鑑みてなされたも
ので、スプリングのセット荷重がサスペンション装置の
フルストローク時に影響を及ぼさないようにすることに
より、コーナリングパワーの急激な低下を防止すること
を目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明では、上記課題
を解決するための手段として、フルストローク時におい
て所定のセット荷重が残置されるスプリングを備えた車
両のサスペンション装置において、フルストローク時に
サスペンション荷重を零以下となす荷重変更手段を付設
するようにしている。
【0012】また、前記荷重変更手段を前記セット荷重
を相殺するものとする場合もある。
【0013】さらに、前記荷重変更手段を、フルストロ
ーク時における作動規制を行うストッパに設けられた前
記スプリングとは別個の弾性部材で構成する場合もあ
る。
【0014】
【作用】本願発明では、上記手段によって継ぎのような
作用が得られる。
【0015】即ち、荷重変更手段(例えば、スプリング
とは別個の弾性部材)の作用により、サスペンション装
置のフルストローク時においてサスペンション荷重が零
以下とされる(あるいはセット荷重が相殺される)ところ
から、リヤ内輪の接地荷重の急変が抑えられることとな
り、コーナリングパワーの変化がスムーズとなる。
【0016】
【発明の効果】本願発明によれば、荷重変更手段(例え
ば、スプリングとは別個の弾性部材)の作用により、サ
スペンション装置のフルストローク時においてサスペン
ション荷重を零以下とし(あるいはセット荷重を相殺し)
得るようにしたので、リヤ内輪の接地荷重の急変が抑え
られることとなってコーナリングパワーの変化がスムー
ズとなり、旋回中、旋回加速中あるいは旋回減速中にお
ける操安性が著しく向上するという優れた効果がある。
【0017】
【実施例】以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾
つかの好適な実施例を説明する。
【0018】実施例1 図1には、本願発明の実施例1にかかる車両のサスペン
ション装置が示されている。
【0019】本実施例のサスペンション装置は、バネ下
のサスペンションアーム(図示省略)とバネ上の車体パネ
ル1との間に配置されるマルチダンパータイプとされて
おり、ショックアブソーバ2と、該ショックアブソーバ
2と並列な位置関係でその上部外周に配設されたコイル
スプリング3とからなっている。
【0020】前記ショックアブソーバ2は、下端部に前
記サスペンションアームに連結された車輪支持部材(図
示省略)に対して結合されるブラケット4を有するチュ
ーブ5と、該チューブ5内に摺動可能に嵌挿されるピス
トン6と、一端部が該ピストン6に連結され、他端部が
前記チューブ5内より上方に延出するピストンロッド7
とを有している。
【0021】前記コイルスプリング3の上端は、前記シ
ョックアブソーバ2のピストンロッド7の上端部に支持
されているアッパースプリングシート8により支持され
る一方、コイルスプリング3の下端部は、ショックアブ
ソーバ2のチューブ5に支持されたロアスプリングシー
ト9により支持されている。
【0022】そして、前記コイルスプリング3は、車輪
のフルリバウンド時(換言すれば、サスペンション装置
のフルストローク時)においても両スプリングシート8,
9間から外れないように、所定のセット荷重sを持たせ
た状態でセットされている。
【0023】上記のような構成とした場合、既に「発明
が解決しようとする課題」の項において説明したような
不具合が生ずるところから、本実施例では、フルストロ
ーク時において前記セット荷重sを相殺する荷重変更手
段10を付設している。
【0024】該荷重変更手段10は、チューブ5の内頂
部に設けられたストッパ11から垂設された第2の弾性
部材(本実施例の場合、リバウンドサポートスプリング)
とされている。該リバウンドサポートスプリング10
は、フルストロークに入る前から効き始めるように設定
されている。前記ストッパ11は、サスペンション装置
のフルストローク時にピストン6の作動を規制するもの
である。
【0025】上記のように構成したことにより、サスペ
ンション装置におけるストロークSiと荷重Wiとの関係
は図8に示す特性図となる。つまり、フルストローク時
においてコイルスプリング3のセット荷重sが相殺さ
れ、サスペンション荷重が零となる。
【0026】従って、図9に示すように、リヤ内輪の接
地荷重もストロークSiに応じて徐々に低減し、従来の
ように急激に0となることはなくなる。その結果、図1
0に示すように、後輪におけるコーナリングパワーKp
も横Gの増大に応じて徐々に低下することとなり、車輪
の横滑りが起こりにくくなる。つまり、旋回中、旋回加
速中あるいは旋回減速中における操安性が大幅に向上す
ることとなるのである。
【0027】なお、本実施例の場合、フルストローク時
においてセット荷重sが相殺されてサスペンション荷重
は零となるようにしているが、リバンドサポートスプリ
ング10のバネ定数を適当に選定するようにすれば、フ
ルストローク時のサスペンション荷重を零より小さくす
ることも可能である。
【0028】実施例2 図2には、本願発明の実施例2にかかる車両のサスペン
ション装置が示されている。
【0029】本実施例のサスペンション装置におけるシ
ョックアブソーバ2は、液封タイプとされており、実施
例1におけるチューブ5内がピストン6によって上下の
オイル室12,13に区画され、該ピストン6には、前
記両オイル室12,13内に封入された油が出入りする
オリフィス14が形成されている。該オリフィス14
は、ピストン6がチューブ5内を上下方向に摺動すると
き、両オイル室12,13間での油の出入りを遅延させ
るように作用し、該遅延効果により車輪の上下振動を減
衰する。なお、本実施例の場合にも、前記ピストンロッ
ド7の上端部に支持されているアッパースプリングシー
ト8と前記チューブ5に支持されたロアスプリングシー
ト9との間には、車輪のフルリバウンド時(換言すれ
ば、サスペンション装置のフルストローク時)において
も両スプリングシート8,9間から外れないように、所
定のセット荷重sを持たせた状態でコイルスプリング3
がセットされている。
【0030】前記両オイル室12,13に対しては、オ
イルポンプ15から吐出される圧油が油圧回路16およ
び前記ピストンロッド7内に形成された油圧通路17を
介して供給されることとなっている。符号18はオイル
ポンプ15の駆動源であるモータである。
【0031】前記油圧回路16の途中には、電磁式の4
ポート3位置切換弁からなる調整弁19が介設されてお
り、該調整弁19は、供給位置19aではオイルポンプ
15からの圧油をショックアブソーバ2側に供給し、排
出位置19bではオイル室12,13の圧油を油タンク2
0に排出し、中立位置19cではオイル室12,13に対
する圧油の給排を中止するようになっている。
【0032】この調整弁19は、車高センサー21から
の検出信号を入力されたコントローラ22により制御さ
れることとなっており、例えば、車輪のフルリバンド時
(換言すれば、サスペンション装置のフルストローク時)
においてはその時の車高を車高センサー21が検出し、
該検出信号を入力されたコントローラ22からの指令に
より調整弁19が供給位置19aに切り換えられ、前記
セット荷重sを相殺してサスペンション荷重を零以下と
なす。つまり、本実施例の場合、コントローラ22およ
び調整弁19が荷重変更手段を構成することとなってい
るのである。
【0033】その他の構成および作用効果は実施例1と
同様なので重複を避けて説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例1にかかる車両のサスペンシ
ョン装置を示す縦断面図である。
【図2】本願発明の実施例2にかかる車両のサスペンシ
ョン装置を示す縦断面図である。
【図3】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る車輪の荷重たわみ特性(即ち、ストロークと荷重の関
係)を示す特性図である。
【図4】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る横Gの変化に対する前輪接地荷重の変化を示す特性図
である。
【図5】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る横Gの変化に対する後輪接地荷重の変化を示す特性図
である。
【図6】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る接地荷重の変化に対するコーナリングパワーの変化を
示す特性図である。
【図7】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る横Gの変化に対するコーナリングパワーの変化を示す
特性図である。
【図8】本願発明の実施例1にかかるサスペンション装
置を備えた車両における車輪の荷重たわみ特性(即ち、
ストロークと荷重の関係)を示す特性図である。
【図9】本願発明の実施例1にかかるサスペンション装
置を備えた車両における横Gの変化に対する後輪接地荷
重の変化を示す特性図である。
【図10】本願発明の実施例1にかかるサスペンション
装置を備えた車両における横Gの変化に対するコーナリ
ングパワーの変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1は車体パネル、2はショックアブソーバ、3はコイル
スプリング、10は荷重変更手段(リバンドサポートス
プリング)、19は調整弁、22はコントローラ、sはセ
ット荷重。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルストローク時において所定のセット
    荷重が残置されるスプリングを備えた車両のサスペンシ
    ョン装置であって、フルストローク時にサスペンション
    荷重を零以下となす荷重変更手段が付設されていること
    を特徴とする車両のサスペンション装置。
  2. 【請求項2】 前記荷重変更手段が前記セット荷重を相
    殺するものとされていることを特徴とする前記請求項1
    記載の車両のサスペンション装置。
  3. 【請求項3】 前記荷重変更手段が、フルストローク時
    における作動規制を行うストッパに設けられた前記スプ
    リングとは別個の弾性部材で構成されていることを特徴
    とする前記請求項1あるいは2記載の車両のサスペンシ
    ョン装置。
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