JP3489164B2 - 車両のサスペンション装置 - Google Patents
車両のサスペンション装置Info
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、車両のサスペンショ
ン装置に関し、さらに詳しくはフルストローク時におい
て所定のセット荷重が残置されるスプリングを備えた車
両のサスペンション装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、車両のサスペンション装置にお
いては、車輪のバウンド力を吸収緩和するための荷重減
衰用のスプリングが設けられているが、このスプリング
は、車輪のフルリバウンド時(換言すれば、サスペンシ
ョン装置のフルストローク時)におけるスプリング外れ
を防止する目的からセット時に所定のセット荷重を付与
せしめられた状態で組み付けられることとなっている
(例えば、特開平2−120105号公報参照)。 【0003】上記のようにサスペンション装置における
荷重減衰用スプリングに対してセット荷重を付与せしめ
るようにした場合、図3に示すように、車輪がフルリバ
ウンドした場合(換言すれば、サスペンション装置がフ
ルストロークした場合)にセット荷重sが残置されること
となる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の旋回
中、旋回加速中あるいは旋回減速中においては、前輪あ
るいは後輪の旋回内輪が浮く(即ち、地面から離れる)現
象がしばしば発生する。これは、車両における上下方向
の荷重を4点(即ち、前後輪)で不静定に受けもつため、
外力や内部的な力のつり合いにより、浮く車輪に加わる
力がある荷重以下になると、サスペンション装置がスト
ロークしなくなるためである。 【0005】ここで、横力(即ち、横G)のみを増加させ
て後輪が浮く場合を想定し、各車輪における接地荷重を
考えてみると、図4および図5に示すようになる。図4
は前輪における横G−接地荷重の関係を示し、図5は後
輪における横G−接地荷重の関係を示している。 【0006】上記したように、サスペンション装置のス
プリングは車両を押し上げようとする方向のセット荷重
を持っているため、リヤ内輪の接地荷重が前記セット荷
重より小さくなると、サスペンション装置が車輪のフル
リバウンド状態となってそれ以上ストロークせず、車輪
が路面より離れて浮き上がることになる。その際、リヤ
内輪が浮き上がることで、リヤ内輪の接地荷重が急に零
になり、リヤ内輪が浮き上がる直前に上記スプリングの
セット荷重と釣り合った状態で該リヤ内輪に残っていた
接地荷重がリヤ外輪に急に移動することとなる(図5参
照)。 【0007】そこで、リヤ内輪の浮く直前の状態を考え
てみると、リヤ両輪における接地荷重Wとコーナリング
パワーKpとの関係が図6に示すような特性を示すとこ
ろから、 リヤ内輪のコーナリングパワー:a リヤ内輪の接地荷重:s リヤ外輪のコーナリングパワー:b リヤ外輪の接地荷重:t となる。 【0008】この状態からリヤ内輪が浮くと、接地荷重
(即ち、残り荷重)がリヤ外輪に移動するため、 リヤ外輪のコーナリングパワー:c リヤ外輪の接地荷重:u=t+s となる。 【0009】ここで、コーナリングパワーKpをリヤ内
輪が浮く前と浮いた後とで比較してみると、a+b>cと
なり、リヤ内輪が浮くと急激にコーナリングパワーKp
が減少していることがわかる。つまり、図7に示すよう
に、同一の横GにおいてコーナリングパワーKpが急激
に低下することとなり、車輪が横滑りを起こし易くなっ
て操安性が悪化することとなる。 【0010】本願発明は、上記の点に鑑みてなされたも
ので、スプリングのセット荷重がサスペンション装置の
フルストローク時に影響を及ぼさないようにすることに
より、コーナリングパワーの急激な低下を防止すること
を目的とするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本願発明では、上記課題
を解決するための手段として、車輪の動きに応じて作動
するショックアブソーバとスプリングとを備え、このス
プリングは、フルストローク時において所定のセット荷
重が残置されるように設定されている車両のサスペンシ
ョン装置において、フルストロ−ク時を検出する車高セ
ンサーと、ショックアブソーバに油圧を供給する油圧供
給手段と、車高センサーがフルストローク時を検出した
とき、ショックアブソーバに油圧を供給することによ
り、スプリングのセット荷重を相殺してフルストローク
時のサスペンション荷重を零以下となすように油圧供給
手段を制御する荷重変更手段とを備えるようにしてい
る。 【0012】 【作用】本願発明では、上記手段によって次のような作
用が得られる。 【0013】即ち、車高センサーがサスペンション装置
のフルストローク時を検出したとき、荷重変更手段が作
動して油圧供給手段が制御され、ショックアブソーバへ
の油圧の供給により、スプリングのセット荷重が相殺さ
れてフルストローク時のサスペンション荷重が零以下と
なる。このことにより、例えばフルストロークが近付く
につれてスプリングのセット荷重が徐々に相殺されて、
リヤ内輪の接地荷重の急変が抑えられることとなり、コ
ーナリングパワーの変化がスムーズとなる。 【0014】 【発明の効果】本願発明の車両のサスペンション装置に
よれば、車高センサーがフルストローク時を検出したと
き、ショックアブソーバへの油圧の供給により、スプリ
ングのセット荷重を相殺してフルストローク時にサスペ
ンション荷重を零以下となすように油圧供給手段を制御
する荷重変更手段を付設したので、リヤ内輪の接地荷重
の急変が抑えられることとなってコーナリングパワーの
変化がスムーズとなり、旋回中、旋回加速中あるいは旋
回減速中における操安性が著しく向上するという優れた
効果がある。 【0015】 【実施例】以下、添付の図面を参照して、参考例及び本
願発明の好適な実施例を説明する。 【0016】(参考例) 図1には、参考例にかかる車両のサスペンション装置が
示されている。 【0017】本参考例のサスペンション装置は、バネ下
のサスペンションアーム(図示省略)とバネ上の車体パネ
ル1との間に配置されるマルチダンパータイプとされて
おり、ショックアブソーバ2と、該ショックアブソーバ
2と並列な位置関係でその上部外周に配設されたコイル
スプリング3とからなっている。 【0018】前記ショックアブソーバ2は、下端部に前
記サスペンションアームに連結された車輪支持部材(図
示省略)に対して結合されるブラケット4を有するチュ
ーブ5と、該チューブ5内に摺動可能に嵌挿されるピス
トン6と、一端部が該ピストン6に連結され、他端部が
前記チューブ5内より上方に延出するピストンロッド7
とを有している。 【0019】前記コイルスプリング3の上端は、前記シ
ョックアブソーバ2のピストンロッド7の上端部に支持
されているアッパースプリングシート8により支持され
る一方、コイルスプリング3の下端部は、ショックアブ
ソーバ2のチューブ5に支持されたロアスプリングシー
ト9により支持されている。 【0020】そして、前記コイルスプリング3は、車輪
のフルリバウンド時(換言すれば、サスペンション装置
のフルストローク時)においても両スプリングシート8,
9間から外れないように、所定のセット荷重sを持たせ
た状態でセットされている。 【0021】上記のような構成とした場合、既に「発明
が解決しようとする課題」の項において説明したような
不具合が生ずるところから、本参考例では、フルストロ
ーク時において前記セット荷重sを相殺する荷重変更手
段10を付設している。 【0022】該荷重変更手段10は、チューブ5の内頂
部に設けられたストッパ11から垂設された第2の弾性
部材(本参考例の場合、リバウンドサポートスプリング)
とされている。該リバウンドサポートスプリング10
は、フルストロークに入る前から効き始めるように設定
されている。前記ストッパ11は、サスペンション装置
のフルストローク時にピストン6の作動を規制するもの
である。 【0023】上記のように構成したことにより、サスペ
ンション装置におけるストロークSiと荷重Wiとの関係
は図8に示す特性図となる。つまり、フルストローク時
においてコイルスプリング3のセット荷重sが相殺さ
れ、サスペンション荷重は急激ではなく徐々に零とな
る。 【0024】従って、図9に示すように、リヤ内輪の接
地荷重もストロークSiに応じて徐々に低減し、従来の
ように急激に0となることはなくなる。その結果、図1
0に示すように、後輪におけるコーナリングパワーKp
も横Gの増大に応じて徐々に低下することとなり、車輪
の横滑りが起こりにくくなる。つまり、旋回中、旋回加
速中あるいは旋回減速中における操安性が大幅に向上す
ることとなるのである。 【0025】なお、本参考例の場合、フルストローク時
においてセット荷重sが相殺されてサスペンション荷重
は零となるようにしているが、リバンドサポートスプリ
ング10のバネ定数を適当に選定するようにすれば、フ
ルストローク時のサスペンション荷重を零より小さくす
ることも可能である。 【0026】(実施例) 図2には、本願発明の実施例にかかる車両のサスペンシ
ョン装置が示されている。 【0027】本実施例のサスペンション装置におけるシ
ョックアブソーバ2は、液封タイプとされており、参考
例におけるチューブ5内がピストン6によって上下のオ
イル室12,13に区画され、該ピストン6には、前記
両オイル室12,13内に封入された油が出入りするオ
リフィス14が形成されている。該オリフィス14は、
ピストン6がチューブ5内を上下方向に摺動するとき、
両オイル室12,13間での油の出入りを遅延させるよ
うに作用し、該遅延効果により車輪の上下振動を減衰す
る。なお、本実施例の場合にも、前記ピストンロッド7
の上端部に支持されているアッパースプリングシート8
と前記チューブ5に支持されたロアスプリングシート9
との間には、車輪のフルリバウンド時(換言すれば、サ
スペンション装置のフルストローク時)においても両ス
プリングシート8,9間から外れないように、所定のセ
ット荷重sを持たせた状態でコイルスプリング3がセッ
トされている。 【0028】前記両オイル室12,13に対しては、オ
イルポンプ15から吐出される圧油が油圧回路16およ
び前記ピストンロッド7内に形成された油圧通路17を
介して供給されることとなっている。符号18はオイル
ポンプ15の駆動源であるモータである。 【0029】前記油圧回路16の途中には、電磁式の4
ポート3位置切換弁からなる調整弁19が介設されてお
り、該調整弁19は、供給位置19aではオイルポンプ
15からの圧油をショックアブソーバ2側に供給し、排
出位置19bではオイル室12,13の圧油を油タンク2
0に排出し、中立位置19cではオイル室12,13に対
する圧油の給排を中止するようになっている。 【0030】この調整弁19は、車高センサー21から
の検出信号を入力されたコントローラ22により制御さ
れることとなっており、例えば、車輪のフルリバンド時
(換言すれば、サスペンション装置のフルストローク時)
においてはその時の車高を車高センサー21が検出し、
該検出信号を入力されたコントローラ22からの指令に
より調整弁19が供給位置19aに切り換えられ、前記
セット荷重sを相殺してサスペンション荷重を零以下と
なす。つまり、本実施例の場合、コントローラ22が荷
重変更手段を構成することとなっているのである。 【0031】その他の構成および作用効果は参考例と同
様なので重複を避けて説明を省略する。
ン装置に関し、さらに詳しくはフルストローク時におい
て所定のセット荷重が残置されるスプリングを備えた車
両のサスペンション装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、車両のサスペンション装置にお
いては、車輪のバウンド力を吸収緩和するための荷重減
衰用のスプリングが設けられているが、このスプリング
は、車輪のフルリバウンド時(換言すれば、サスペンシ
ョン装置のフルストローク時)におけるスプリング外れ
を防止する目的からセット時に所定のセット荷重を付与
せしめられた状態で組み付けられることとなっている
(例えば、特開平2−120105号公報参照)。 【0003】上記のようにサスペンション装置における
荷重減衰用スプリングに対してセット荷重を付与せしめ
るようにした場合、図3に示すように、車輪がフルリバ
ウンドした場合(換言すれば、サスペンション装置がフ
ルストロークした場合)にセット荷重sが残置されること
となる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の旋回
中、旋回加速中あるいは旋回減速中においては、前輪あ
るいは後輪の旋回内輪が浮く(即ち、地面から離れる)現
象がしばしば発生する。これは、車両における上下方向
の荷重を4点(即ち、前後輪)で不静定に受けもつため、
外力や内部的な力のつり合いにより、浮く車輪に加わる
力がある荷重以下になると、サスペンション装置がスト
ロークしなくなるためである。 【0005】ここで、横力(即ち、横G)のみを増加させ
て後輪が浮く場合を想定し、各車輪における接地荷重を
考えてみると、図4および図5に示すようになる。図4
は前輪における横G−接地荷重の関係を示し、図5は後
輪における横G−接地荷重の関係を示している。 【0006】上記したように、サスペンション装置のス
プリングは車両を押し上げようとする方向のセット荷重
を持っているため、リヤ内輪の接地荷重が前記セット荷
重より小さくなると、サスペンション装置が車輪のフル
リバウンド状態となってそれ以上ストロークせず、車輪
が路面より離れて浮き上がることになる。その際、リヤ
内輪が浮き上がることで、リヤ内輪の接地荷重が急に零
になり、リヤ内輪が浮き上がる直前に上記スプリングの
セット荷重と釣り合った状態で該リヤ内輪に残っていた
接地荷重がリヤ外輪に急に移動することとなる(図5参
照)。 【0007】そこで、リヤ内輪の浮く直前の状態を考え
てみると、リヤ両輪における接地荷重Wとコーナリング
パワーKpとの関係が図6に示すような特性を示すとこ
ろから、 リヤ内輪のコーナリングパワー:a リヤ内輪の接地荷重:s リヤ外輪のコーナリングパワー:b リヤ外輪の接地荷重:t となる。 【0008】この状態からリヤ内輪が浮くと、接地荷重
(即ち、残り荷重)がリヤ外輪に移動するため、 リヤ外輪のコーナリングパワー:c リヤ外輪の接地荷重:u=t+s となる。 【0009】ここで、コーナリングパワーKpをリヤ内
輪が浮く前と浮いた後とで比較してみると、a+b>cと
なり、リヤ内輪が浮くと急激にコーナリングパワーKp
が減少していることがわかる。つまり、図7に示すよう
に、同一の横GにおいてコーナリングパワーKpが急激
に低下することとなり、車輪が横滑りを起こし易くなっ
て操安性が悪化することとなる。 【0010】本願発明は、上記の点に鑑みてなされたも
ので、スプリングのセット荷重がサスペンション装置の
フルストローク時に影響を及ぼさないようにすることに
より、コーナリングパワーの急激な低下を防止すること
を目的とするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本願発明では、上記課題
を解決するための手段として、車輪の動きに応じて作動
するショックアブソーバとスプリングとを備え、このス
プリングは、フルストローク時において所定のセット荷
重が残置されるように設定されている車両のサスペンシ
ョン装置において、フルストロ−ク時を検出する車高セ
ンサーと、ショックアブソーバに油圧を供給する油圧供
給手段と、車高センサーがフルストローク時を検出した
とき、ショックアブソーバに油圧を供給することによ
り、スプリングのセット荷重を相殺してフルストローク
時のサスペンション荷重を零以下となすように油圧供給
手段を制御する荷重変更手段とを備えるようにしてい
る。 【0012】 【作用】本願発明では、上記手段によって次のような作
用が得られる。 【0013】即ち、車高センサーがサスペンション装置
のフルストローク時を検出したとき、荷重変更手段が作
動して油圧供給手段が制御され、ショックアブソーバへ
の油圧の供給により、スプリングのセット荷重が相殺さ
れてフルストローク時のサスペンション荷重が零以下と
なる。このことにより、例えばフルストロークが近付く
につれてスプリングのセット荷重が徐々に相殺されて、
リヤ内輪の接地荷重の急変が抑えられることとなり、コ
ーナリングパワーの変化がスムーズとなる。 【0014】 【発明の効果】本願発明の車両のサスペンション装置に
よれば、車高センサーがフルストローク時を検出したと
き、ショックアブソーバへの油圧の供給により、スプリ
ングのセット荷重を相殺してフルストローク時にサスペ
ンション荷重を零以下となすように油圧供給手段を制御
する荷重変更手段を付設したので、リヤ内輪の接地荷重
の急変が抑えられることとなってコーナリングパワーの
変化がスムーズとなり、旋回中、旋回加速中あるいは旋
回減速中における操安性が著しく向上するという優れた
効果がある。 【0015】 【実施例】以下、添付の図面を参照して、参考例及び本
願発明の好適な実施例を説明する。 【0016】(参考例) 図1には、参考例にかかる車両のサスペンション装置が
示されている。 【0017】本参考例のサスペンション装置は、バネ下
のサスペンションアーム(図示省略)とバネ上の車体パネ
ル1との間に配置されるマルチダンパータイプとされて
おり、ショックアブソーバ2と、該ショックアブソーバ
2と並列な位置関係でその上部外周に配設されたコイル
スプリング3とからなっている。 【0018】前記ショックアブソーバ2は、下端部に前
記サスペンションアームに連結された車輪支持部材(図
示省略)に対して結合されるブラケット4を有するチュ
ーブ5と、該チューブ5内に摺動可能に嵌挿されるピス
トン6と、一端部が該ピストン6に連結され、他端部が
前記チューブ5内より上方に延出するピストンロッド7
とを有している。 【0019】前記コイルスプリング3の上端は、前記シ
ョックアブソーバ2のピストンロッド7の上端部に支持
されているアッパースプリングシート8により支持され
る一方、コイルスプリング3の下端部は、ショックアブ
ソーバ2のチューブ5に支持されたロアスプリングシー
ト9により支持されている。 【0020】そして、前記コイルスプリング3は、車輪
のフルリバウンド時(換言すれば、サスペンション装置
のフルストローク時)においても両スプリングシート8,
9間から外れないように、所定のセット荷重sを持たせ
た状態でセットされている。 【0021】上記のような構成とした場合、既に「発明
が解決しようとする課題」の項において説明したような
不具合が生ずるところから、本参考例では、フルストロ
ーク時において前記セット荷重sを相殺する荷重変更手
段10を付設している。 【0022】該荷重変更手段10は、チューブ5の内頂
部に設けられたストッパ11から垂設された第2の弾性
部材(本参考例の場合、リバウンドサポートスプリング)
とされている。該リバウンドサポートスプリング10
は、フルストロークに入る前から効き始めるように設定
されている。前記ストッパ11は、サスペンション装置
のフルストローク時にピストン6の作動を規制するもの
である。 【0023】上記のように構成したことにより、サスペ
ンション装置におけるストロークSiと荷重Wiとの関係
は図8に示す特性図となる。つまり、フルストローク時
においてコイルスプリング3のセット荷重sが相殺さ
れ、サスペンション荷重は急激ではなく徐々に零とな
る。 【0024】従って、図9に示すように、リヤ内輪の接
地荷重もストロークSiに応じて徐々に低減し、従来の
ように急激に0となることはなくなる。その結果、図1
0に示すように、後輪におけるコーナリングパワーKp
も横Gの増大に応じて徐々に低下することとなり、車輪
の横滑りが起こりにくくなる。つまり、旋回中、旋回加
速中あるいは旋回減速中における操安性が大幅に向上す
ることとなるのである。 【0025】なお、本参考例の場合、フルストローク時
においてセット荷重sが相殺されてサスペンション荷重
は零となるようにしているが、リバンドサポートスプリ
ング10のバネ定数を適当に選定するようにすれば、フ
ルストローク時のサスペンション荷重を零より小さくす
ることも可能である。 【0026】(実施例) 図2には、本願発明の実施例にかかる車両のサスペンシ
ョン装置が示されている。 【0027】本実施例のサスペンション装置におけるシ
ョックアブソーバ2は、液封タイプとされており、参考
例におけるチューブ5内がピストン6によって上下のオ
イル室12,13に区画され、該ピストン6には、前記
両オイル室12,13内に封入された油が出入りするオ
リフィス14が形成されている。該オリフィス14は、
ピストン6がチューブ5内を上下方向に摺動するとき、
両オイル室12,13間での油の出入りを遅延させるよ
うに作用し、該遅延効果により車輪の上下振動を減衰す
る。なお、本実施例の場合にも、前記ピストンロッド7
の上端部に支持されているアッパースプリングシート8
と前記チューブ5に支持されたロアスプリングシート9
との間には、車輪のフルリバウンド時(換言すれば、サ
スペンション装置のフルストローク時)においても両ス
プリングシート8,9間から外れないように、所定のセ
ット荷重sを持たせた状態でコイルスプリング3がセッ
トされている。 【0028】前記両オイル室12,13に対しては、オ
イルポンプ15から吐出される圧油が油圧回路16およ
び前記ピストンロッド7内に形成された油圧通路17を
介して供給されることとなっている。符号18はオイル
ポンプ15の駆動源であるモータである。 【0029】前記油圧回路16の途中には、電磁式の4
ポート3位置切換弁からなる調整弁19が介設されてお
り、該調整弁19は、供給位置19aではオイルポンプ
15からの圧油をショックアブソーバ2側に供給し、排
出位置19bではオイル室12,13の圧油を油タンク2
0に排出し、中立位置19cではオイル室12,13に対
する圧油の給排を中止するようになっている。 【0030】この調整弁19は、車高センサー21から
の検出信号を入力されたコントローラ22により制御さ
れることとなっており、例えば、車輪のフルリバンド時
(換言すれば、サスペンション装置のフルストローク時)
においてはその時の車高を車高センサー21が検出し、
該検出信号を入力されたコントローラ22からの指令に
より調整弁19が供給位置19aに切り換えられ、前記
セット荷重sを相殺してサスペンション荷重を零以下と
なす。つまり、本実施例の場合、コントローラ22が荷
重変更手段を構成することとなっているのである。 【0031】その他の構成および作用効果は参考例と同
様なので重複を避けて説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例にかかる車両のサスペンション装置を示
す縦断面図である。 【図2】本願発明の実施例にかかる車両のサスペンショ
ン装置を示す縦断面図である。 【図3】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る車輪の荷重たわみ特性(即ち、ストロークと荷重の関
係)を示す特性図である。 【図4】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る横Gの変化に対する前輪接地荷重の変化を示す特性図
である。 【図5】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る横Gの変化に対する後輪接地荷重の変化を示す特性図
である。 【図6】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る接地荷重の変化に対するコーナリングパワーの変化を
示す特性図である。 【図7】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る横Gの変化に対するコーナリングパワーの変化を示す
特性図である。 【図8】参考例にかかるサスペンション装置を備えた車
両における車輪の荷重たわみ特性(即ち、ストロークと
荷重の関係)を示す特性図である。 【図9】参考例にかかるサスペンション装置を備えた車
両における横Gの変化に対する後輪接地荷重の変化を示
す特性図である。 【図10】参考例にかかるサスペンション装置を備えた
車両における横Gの変化に対するコーナリングパワーの
変化を示す特性図である。 【符号の説明】 1は車体パネル、2はショックアブソーバ、3はコイル
スプリング、10は荷重変更手段(リバンドサポートス
プリング)、19は調整弁、22はコントローラ、sはセ
ット荷重。
す縦断面図である。 【図2】本願発明の実施例にかかる車両のサスペンショ
ン装置を示す縦断面図である。 【図3】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る車輪の荷重たわみ特性(即ち、ストロークと荷重の関
係)を示す特性図である。 【図4】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る横Gの変化に対する前輪接地荷重の変化を示す特性図
である。 【図5】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る横Gの変化に対する後輪接地荷重の変化を示す特性図
である。 【図6】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る接地荷重の変化に対するコーナリングパワーの変化を
示す特性図である。 【図7】一般のサスペンション装置を備えた車両におけ
る横Gの変化に対するコーナリングパワーの変化を示す
特性図である。 【図8】参考例にかかるサスペンション装置を備えた車
両における車輪の荷重たわみ特性(即ち、ストロークと
荷重の関係)を示す特性図である。 【図9】参考例にかかるサスペンション装置を備えた車
両における横Gの変化に対する後輪接地荷重の変化を示
す特性図である。 【図10】参考例にかかるサスペンション装置を備えた
車両における横Gの変化に対するコーナリングパワーの
変化を示す特性図である。 【符号の説明】 1は車体パネル、2はショックアブソーバ、3はコイル
スプリング、10は荷重変更手段(リバンドサポートス
プリング)、19は調整弁、22はコントローラ、sはセ
ット荷重。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 車輪の動きに応じて作動するショックア
ブソーバとスプリングとを備え、該スプリングは、フル
ストローク時において所定のセット荷重が残置されるよ
うに設定されている車両のサスペンション装置におい
て、上記フルストロ−ク時を検出する車高センサーと、 上記ショックアブソーバに油圧を供給する油圧供給手段
と、 上記車高センサーがフルストローク時を検出したとき、
上記ショックアブソーバに油圧を供給することにより、
上記スプリングのセット荷重を相殺して フルストローク
時のサスペンション荷重を零以下となすように上記油圧
供給手段を制御する荷重変更手段とを備えたことを特徴
とする車両のサスペンション装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33334893A JP3489164B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 車両のサスペンション装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33334893A JP3489164B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 車両のサスペンション装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07190129A JPH07190129A (ja) | 1995-07-28 |
JP3489164B2 true JP3489164B2 (ja) | 2004-01-19 |
Family
ID=18265111
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33334893A Expired - Fee Related JP3489164B2 (ja) | 1993-12-27 | 1993-12-27 | 車両のサスペンション装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3489164B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11999210B2 (en) | 2019-10-25 | 2024-06-04 | Iljin Motion & Control Gmbh | Electromechanical vehicle height adjustment unit and vehicle height adjustment method |
-
1993
- 1993-12-27 JP JP33334893A patent/JP3489164B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11999210B2 (en) | 2019-10-25 | 2024-06-04 | Iljin Motion & Control Gmbh | Electromechanical vehicle height adjustment unit and vehicle height adjustment method |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07190129A (ja) | 1995-07-28 |
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