JPH07189420A - ろう付けハニカムパネルの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルミニウムのハニカムコアの上下にアルミ
ニウムブレージングシートからなる面板を配設してハニ
カムパネルの形状に組立て、積層し、ろう付け炉中でろ
う付け一体とするろう付けハニカムパネルの製造方法に
おいて、積層されたハニカムパネルの間に断面管状部材
または中空部材を並設してなる中間治具を介挿して加
熱、ろう付けする。 【効果】 中間治具は、ハニカムパネルの形状に追従し
て変形可能であるから種々の曲面を有するハニカムパネ
ルのろう付け加熱に適用でき、多くの空間部を有しハニ
カムパネルの加熱中の熱膨張による変形にも追従できる
から、ろう付け加熱時ハニカムパネル全体に均一な加熱
が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ろう付けハニカムパネ
ルの製造方法、詳しくは、アルミニウムシートまたはア
ルミニウブレージングシートからなるコア材を折り曲げ
加工し、これを重合してハニカムコアの形状とし、その
上下にアルミニウムブレージングシートからなる面板を
配設してハニカムパネルの形状に組立て、積層し、拘束
して炉中において一体に加熱ろう付するろう付けハニカ
ムパネルの製造方法、とくに曲面形状を有するろう付け
ハニカムパネルの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】図４に示すように、ハニカムパネル１
は、アルミニウムのハニカムコア２の上下両面にアルミ
ニウムの面板３、４を接合してなる積層体である。とく
に、アルミニウムブレージングシートからなるコア材を
重ね合わせて形成したハニカムコアの上下両面にアルミ
ニウムの面板を配設して、一体にろう付け接合してなる
アルミニウムのろう付けハニカムパネルは、溶接が可能
で、曲げ成形などの加工ができることから、建築、車
両、自動車、船舶など種々の分野において使用されるよ
うになっている。

【０００３】ろう付けハニカムパネルの製造は、アルミ
ニウムシートまたはアルミニウムブレージングシートか
らなるコア材を所定の幅に切断して正六角形の半分の形
状となるように折り曲げ加工し、折り曲げ加工されたコ
ア材を重合してハニカムコアの形状とし、必要に応じて
ハニカムコアの端縁部にアルミニウム形材からなる枠材
を配設し、ハニカムコアおよび形材の上下にアルミニウ
ムブレージングシートからなる面板を配設してハニカム
パネルの形状に組立て、上下を治具により拘束してろう
付け炉中に装入し、加熱して一体にろう付接合すること
により行われている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ろう付けハニカムパネ
ルを製造する場合の作業能率を上げるためには、組立て
られたハニカムパネルを複数段積層し、上下から治具で
拘束して炉中に装入し、一度に加熱、ろう付けするのが
望ましく、この方式も採用されているが、積層されたハ
ニカムパネルの中心部分は周縁部に比べて加熱され難い
ため、ろう付け不良が生じるという問題がある。また、
組立て、積層されたハニカムパネルの上部に、例えばパ
ネルの上面を覆う大きさのアルミニウムブロックからな
る上型を配置するなど、大荷重を負荷してハニカムパネ
ルを拘束した場合には、ろう付け後ハニカムコアの六角
形が面板を通して浮き出ることにより生じる模様、いわ
ゆるハンマートーンが発生するという問題もある。

【０００５】本発明は、ろう付ハニカムパネルの加熱ろ
う付における上記の問題点を解消するためになされたも
のであり、その目的は、積層されたハニカムパネル全体
が均一に加熱されてろう付け不良などを生じることがな
く、ろう付け形成されたハニカムパネルにハンマートー
ンを生じることもないアルミニウムのろう付けハニカム
パネル、とくに曲面ハニカムパネルの製造に適したろう
付けハニカムパネルの製造方法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるろう付けハニカムパネルの製造方法
は、多数のアルミニウムシートまたはアルミニウムブレ
ージングシートからなるコア材を重合してハニカムコア
の形状とし、上下にアルミニウムブレージングシートか
らなる面板を配設してハニカムパネルの形状に組立て、
積層し、拘束して一体に加熱ろう付け接合するろう付け
ハニカムパネルの製造方法において、積層されたハニカ
ムパネルの間に断面管状部材または中空部材を並設して
なる中間治具を介挿して加熱、ろう付けすることを構成
上の第１の特徴とし、中間治具とハニカムパネルの間に
スペーサとして板材を挿入すること、および積層された
ハニカムパネルの上部に棒状部材またはブロック状部材
を列設してなる治具を載置することをそれぞれ構成上の
第２、第３の特徴とする。

【０００７】本発明において使用される中間治具は、例
えば図２に示すように、ステンレス鋼管などの金属管材
７または中空部材を金属製のワイヤー８に挿通してすだ
れ状に列設してなり、この中間治具６を、図１に示すよ
うに、アルミニウム形材からなる枠材５を有するハニカ
ムパネル１のろう付け加熱において積層されたハニカム
パネル１の間に介挿した場合には、積層されたハニカム
パネル１は中間治具６により離間され、しかも中間治具
６には多くの空間部が存在するから積層されたハニカム
パネル１の中心部分は周縁部と同様に加熱される。中間
治具６はハニカムパネル１の形状に追従して変形可能で
あるから、湾曲した形状の曲面状ハニカムパネルに適用
できる。加熱中にハニカムパネル１に熱変形が生じて
も、中間治具６はハニカムパネルの表面形状に追従して
変位しハニカムパネルとの間に隙間を生じることがない
から均一な加熱が維持される。

【０００８】中間治具としては、図３に示すように、例
えば金属管材を細断してなる断面管状部材１０を金属製
ワイヤー１１で結ぶことにより並設して鎧状に形成した
中間治具９を使用することもできる。この中間治具１１
は、球面など三次元曲面を有するハニカムパネルのろう
付け加熱においてとくに好適に使用される。中間治具１
１は三次元曲面に追従して変形可能であるから、ハニカ
ムパネルとの間に隙間を生じることがなく、多くの空間
部を有するから積層されたハニカムパネルの中心部も十
分に加熱される。

【０００９】中間治具は断面管状部材または中空部材を
並設して形成されているから軽量であり、積層されたハ
ニカムパネルに大きな負荷を与えることがない。中間治
具は必ずしもハニカムパネルの幅に形成する必要はな
く、短尺の管状部材または中空状部材を列設してなる幅
の狭い中間治具をハニカムパネルの間に複数列介挿する
こともできる。中間治具とハニカムパネルとの間に例え
ば厚さ2mm 程度のアルミニウム板を挿入すれば、中間治
具によるハニカムパネルへの負荷をより均一にすること
ができる。

【００１０】積層されたハニカムパネルを拘束するため
に、積層されたハニカムパネルの上部に載置する治具
は、軽量で且つろう付け接合時積層されたハニカムパネ
ルを十分拘束できるものであることが望ましく、棒状部
材または小型のブロック状部材を列設してなる治具が好
適に使用される。上部治具１２としては、例えば図３に
示すように、軟鋼、ステンレス鋼、セラミックなどの角
棒材１３を金属ワイヤー１４に挿通して互いに列設して
なるもの、あるいは丸棒材を列設してなるものが用いら
れ、図１に示すようにハニカムパネルの上部に載置さ
れ、下部治具１５とともに積層されたハニカムパネルを
拘束する。曲面状のハニカムパネルの場合には、下面が
曲率を有する棒材を列設して治具を構成するのがよい。
金属、セラミックなどからなる小型のブロック状部材を
ワイヤーに挿通することによって治具を形成することも
できる。

【００１１】

【作用】本発明の構成によれば、組立てられたハニカム
パネルを積層し、ハニカムパネルの間に断面管状部材ま
たは中空状部材を並設してなる中間治具を介挿し、炉中
において加熱ろう付する場合、中間治具はハニカムパネ
ルの表面形状に追従して変位可能であるから種々の表面
形状の曲面ハニカムパネルに適用することができる。ま
た中間治具はハニカムパネルを離間し、ハニカムパネル
の加熱中の熱膨張による変形にも追従でき、しかも中間
部材には多くの空間が形成されているから、炉内の熱は
積層されたハニカムパネルの中央部分にも与えられてハ
ニカムパネルは効率良く均一に加熱される結果、ハニカ
ムパネルのすべての個所において接合強度の優れたろう
付部が形成される。

【００１２】中間治具を介挿するとともに、積層された
ハニカムパネルの上部に棒状部材またはブロック状部材
を列設してなる上部治具を載置してハニカムパネルを拘
束した場合には、積層されたハニカムパネルに対する負
荷が小さいからハンマートーンの発生も防止される。ろ
う付加熱中ハニカムパネルに熱変形が生じても、ハニカ
ムパネルの上部に載置される治具およびハニカムパネル
間に配設される中間治具は、いずれも熱変形によるハニ
カムパネルの表面形状の変化に追従して変位し、治具と
ハニカムパネルとの間に隙間を生じることがなく、治具
による拘束力は均等に維持されるから、ハニカムパネル
の全ての個所において均一なろう付け接合部が形成され
る。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 実施例１ アルミニウムブレージングシートBA24PC( 厚さ0.2mm 、
ろう材クラッド率片面5 ％、心材6951合金、ろう材4045
合金、両面クラッド材、シート幅 25mm)を、折り曲げ加
工し、この折り曲げ加工されたブレージングシートを重
合してセルサイズ3/4 インチのハニカムコアの形状に配
列し、ハニカムコアの端縁部にアルミニウム形材を配設
し、ハニカムコアおよび形材の上下両面にアルミニウム
ブレージングシートBA23PC( 厚さ1.0mm 、ろう材クラッ
ド率5 ％、心材6951合金、ろう材4045合金、片面クラッ
ド材) からなる面板を配設して、幅1000mm、長さ2500mm
の曲面状のハニカムパネルの形状に組立て、組立てられ
たハニカムパネルを、アルミニウム板から形成した格子
状の下型上に２段に積層し、積層されたハニカムパネル
の間に厚さ2mm のアルミニウム板および外径20mm、長さ
500mm のステンレス鋼の管材をステンレス鋼のワイヤー
に挿通してすだれ状に形成した1000mm長さの中間治具を
５列配設し、さらに積層されたハニカムパネルの上部に
25mm角、長さ1000mmのステンレス鋼の棒材をステンレス
鋼のワイヤーに挿通してすだれ状に形成した1000mm長さ
の治具を２列載置して、真空ろう付炉中で炉内雰囲気が
600 ℃になるまで昇温し5 分間保持するろう付けを行
い、厚さ約27mmのアルミニウムハニカムパネルを製作し
た。

【００１４】ハニカムパネルの実体温度の上昇速度は炉
内温度の上昇速度とほぼ同一で、ハニカムパネルの加熱
は急速に行われた。ろう付け後、接合形成された各アル
ミニウムろう付けハニカムパネルから試料を切り出し、
面板とコアとのろう付け部を調査したところ、いずれに
も十分広いろうの残留幅を有する健全なろう付部の形成
が認められた。強度試験( フラットワイズ試験:ASTM C
297)を実施したところ、引張強度は35〜37Kgf/cm² と優
れた値を示し、いずれも素材部分において破断した。

【００１５】

【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、ハニカ
ムパネルの炉中ろう付時の加熱が熱効率良く、且つ均一
に行われ、ハニカムパネルのすべての個所において接合
強度の優れたろう付け部が形成される。ろう付け後のハ
ニカムパネルにハンマートーンが生じることもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明におけるハニカムパネルの中間治具の配
置の実施例を示す一部断面側面図である。

【図２】本発明において使用する中間治具の一実施例を
示す一部を省略した斜視図である。

【図３】本発明において使用する中間治具の他の実施例
を示す一部を省略した斜視図である。

【図４】本発明において使用する上部治具の実施例の一
部を省略した斜視図である。

【図５】ハニカムパネルの一部を切り欠いた斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ ハニカムパネル ２ ハニカムコア ３ 面板 ４ 面板 ５ 枠材 ６ 中間治具 ７ 金属管材 ８ 金属ワイヤー ９ 中間治具 10 断面管状部材 11 金属ワイヤー 12 上部治具 13 角棒材 14 金属ワイヤー 15 下部治具

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬場 武明 東京都港区新橋５丁目11番３号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 近藤 宏則 東京都港区新橋５丁目11番３号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 難波 圭三 東京都港区新橋５丁目11番３号 住軽エン ジニアリング株式会社内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数のアルミニウムシートまたはアルミ
   ニウムブレージングシートからなるコア材を重合してハ
   ニカムコアの形状とし、上下にアルミニウムブレージン
   グシートからなる面板を配設してハニカムパネルの形状
   に組立て、積層し、拘束してろう付け炉中で一体に加熱
   ろう付け接合するろう付けハニカムパネルの製造方法に
   おいて、積層されたハニカムパネルの間に断面管状部材
   または中空状部材を並設してなる中間治具を介挿して加
   熱ろう付けすることを特徴とするろう付けハニカムパネ
   ルの製造方法。
2. 【請求項２】 中間治具とハニカムパネルの間にスペー
   サとして板材を挿入することを特徴とする請求項１記載
   のろう付けハニカムパネルの製造方法。
3. 【請求項３】 積層されたハニカムパネルの上部に棒状
   部材またはブロック状部材を列設してなる治具を載置す
   ることを特徴とする請求項１または２記載のろう付けハ
   ニカムパネルの製造方法。