JPH07188876A - 生体用非晶質合金 - Google Patents
生体用非晶質合金Info
- Publication number
- JPH07188876A JPH07188876A JP5338663A JP33866393A JPH07188876A JP H07188876 A JPH07188876 A JP H07188876A JP 5338663 A JP5338663 A JP 5338663A JP 33866393 A JP33866393 A JP 33866393A JP H07188876 A JPH07188876 A JP H07188876A
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- JP
- Japan
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- amorphous
- alloy
- corrosion resistance
- strength
- amorphous alloy
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 組成式:Zr100-x-y-z Mx Aly Nz 〔式
中MはTiおよびHfからなる群から選択される1種の
元素またはその混合物、Nは、PtおよびPdから選択
される1種の元素またはその混合物、x、yおよびz
は、それぞれ原子%を表し、0≦x≦40、2≦y≦4
5、2≦y≦55および、20≦x+y+z≦80であ
る〕で示される組成を有することを特徴とする生体用非
晶質合金。 【効果】 生体適合性の高いZr、Ti、Hf、Pd、
PtならびにAlから構成され、優れた強度や耐食性に
加えて、広い過冷却液体領域を示す優れた加工性を兼ね
備えた非晶質合金であり、新しいタイプの生体用材料と
してインプラント用材料や医療機材用材料に応用可能で
ある。
中MはTiおよびHfからなる群から選択される1種の
元素またはその混合物、Nは、PtおよびPdから選択
される1種の元素またはその混合物、x、yおよびz
は、それぞれ原子%を表し、0≦x≦40、2≦y≦4
5、2≦y≦55および、20≦x+y+z≦80であ
る〕で示される組成を有することを特徴とする生体用非
晶質合金。 【効果】 生体適合性の高いZr、Ti、Hf、Pd、
PtならびにAlから構成され、優れた強度や耐食性に
加えて、広い過冷却液体領域を示す優れた加工性を兼ね
備えた非晶質合金であり、新しいタイプの生体用材料と
してインプラント用材料や医療機材用材料に応用可能で
ある。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、生体用非晶質合金に
関するものである。さらに詳しくは、歯科および整形外
科の分野におけるインプラント材料、医療用機材等に有
用な、優れた耐食性と強度を有し、かつ、非晶質形成能
に優れた、新しい生体用非晶質合金に関するものであ
る。
関するものである。さらに詳しくは、歯科および整形外
科の分野におけるインプラント材料、医療用機材等に有
用な、優れた耐食性と強度を有し、かつ、非晶質形成能
に優れた、新しい生体用非晶質合金に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、溶融状態の合金を急冷するこ
とにより、種々の組成及び形状を有する非晶質合金が得
られることが知られている。この非晶質合金は、容易に
高い冷却速度が実現される単ロール法によって製造され
る場合が多く、これまでにFe系,Ni系,Co系,A
l系,Zr系あるいはTi系合金について数多くの非晶
質合金材料が開発されている。なかでもZr系やTi系
非晶質合金は、Al系非晶質合金に比べて格段に優れた
耐食性を有し、人体への適用性および安全性も高く、か
つ、高い熱的安定性を示し、また過冷却液体領域の幅が
広いため過冷却液体領域を利用した加工を施すことが可
能であり、従来のFe族系やAl系非晶質合金とは異な
った新しいタイプの非晶質合金材料として種々の分野へ
の応用が期待されている。
とにより、種々の組成及び形状を有する非晶質合金が得
られることが知られている。この非晶質合金は、容易に
高い冷却速度が実現される単ロール法によって製造され
る場合が多く、これまでにFe系,Ni系,Co系,A
l系,Zr系あるいはTi系合金について数多くの非晶
質合金材料が開発されている。なかでもZr系やTi系
非晶質合金は、Al系非晶質合金に比べて格段に優れた
耐食性を有し、人体への適用性および安全性も高く、か
つ、高い熱的安定性を示し、また過冷却液体領域の幅が
広いため過冷却液体領域を利用した加工を施すことが可
能であり、従来のFe族系やAl系非晶質合金とは異な
った新しいタイプの非晶質合金材料として種々の分野へ
の応用が期待されている。
【0003】一方、生体用として現在用いられている金
属材料は、貴金属、Co基合金、ステンレス鋼およびT
i合金がその大部分である。従来よりインプラント用金
属材料としてCo−Cr−Mo系鋳造合金(vitallium)
をはじめとするCo基合金や各種ステンレス鋼、さらに
は近年になってTi−6Al−4Vを代表とするTi合
金が用いられている。また歯科用金属材料としては古く
から貴金属が広く用いられており、医療用機材などに用
いられる金属材料としてはステンレス鋼がメス、はさ
み、ピンセット、クリップ等に多用されている。
属材料は、貴金属、Co基合金、ステンレス鋼およびT
i合金がその大部分である。従来よりインプラント用金
属材料としてCo−Cr−Mo系鋳造合金(vitallium)
をはじめとするCo基合金や各種ステンレス鋼、さらに
は近年になってTi−6Al−4Vを代表とするTi合
金が用いられている。また歯科用金属材料としては古く
から貴金属が広く用いられており、医療用機材などに用
いられる金属材料としてはステンレス鋼がメス、はさ
み、ピンセット、クリップ等に多用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような生体用金属
材料として、耐食性の高いCo基合金、ステンレス鋼や
Ti合金が用いられているが、Co基合金やステンレス
鋼は耐食性の観点からFe,Cu,Co,Cr等の生体
に有毒な元素を多量に含み、これらの材料を生体内で長
時間使用するとこれらの元素が生体内に流れ出すという
問題があった。また、現在のTi合金は強度が低く、ス
テンレス鋼等に比べ加工性が悪いため、細部まで精密に
加工された部品を提供することは困難であり、さらにそ
の組成にはV等の細胞毒性の強い元素成分を含むため、
生体用材料とすることは困難であった。
材料として、耐食性の高いCo基合金、ステンレス鋼や
Ti合金が用いられているが、Co基合金やステンレス
鋼は耐食性の観点からFe,Cu,Co,Cr等の生体
に有毒な元素を多量に含み、これらの材料を生体内で長
時間使用するとこれらの元素が生体内に流れ出すという
問題があった。また、現在のTi合金は強度が低く、ス
テンレス鋼等に比べ加工性が悪いため、細部まで精密に
加工された部品を提供することは困難であり、さらにそ
の組成にはV等の細胞毒性の強い元素成分を含むため、
生体用材料とすることは困難であった。
【0005】従って、生体に毒性のある元素を含まず、
耐腐食性に優れ、強度が高く、かつ、加工性に優れた合
金の開発が強く望まれていた。この発明は、以上の通り
の事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の欠点を
解消し、耐食性に優れ、強度が高く、かつ、生産性、加
工性にも優れた生体用非晶質合金を提供することを目的
としている。
耐腐食性に優れ、強度が高く、かつ、加工性に優れた合
金の開発が強く望まれていた。この発明は、以上の通り
の事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の欠点を
解消し、耐食性に優れ、強度が高く、かつ、生産性、加
工性にも優れた生体用非晶質合金を提供することを目的
としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものであって、第1の発明の要旨は、組成
式:Zr100-y-z Aly Nz 〔式中NはPtおよびPd
から選択される1種の元素またはその混合物y,zはそ
れぞれ原子%を表し、2≦y≦45、2≦z≦55およ
び2≦y+z≦80である〕で示される組成を有するこ
とを特徴とする生体用非晶質合金である。
を解決するものであって、第1の発明の要旨は、組成
式:Zr100-y-z Aly Nz 〔式中NはPtおよびPd
から選択される1種の元素またはその混合物y,zはそ
れぞれ原子%を表し、2≦y≦45、2≦z≦55およ
び2≦y+z≦80である〕で示される組成を有するこ
とを特徴とする生体用非晶質合金である。
【0007】また、第2の発明の要旨は、組成式:Zr
100-x-y-z Mx Aly Nz 〔式中MはTiおよびHfか
らなる群から選択される1種の元素またはその混合物、
Nは、PtおよびPdから選択される1種の元素または
その混合物、x、yおよびzは、それぞれ原子%を表
し、0≦x≦40、2≦y≦45、2≦z≦55およ
び、20≦x+y+z≦80である〕で示される組成を
有することを特徴とする生体用非晶質合金である。
100-x-y-z Mx Aly Nz 〔式中MはTiおよびHfか
らなる群から選択される1種の元素またはその混合物、
Nは、PtおよびPdから選択される1種の元素または
その混合物、x、yおよびzは、それぞれ原子%を表
し、0≦x≦40、2≦y≦45、2≦z≦55およ
び、20≦x+y+z≦80である〕で示される組成を
有することを特徴とする生体用非晶質合金である。
【0008】この発明の非晶質合金において、Zrが必
須の元素成分であるが、これとともに、上記の通りの元
素成分との組合わせを必須としている。まず第1の発明
は、Alの含有量は2原子%以上45原子%以下である
ことが必要であり、好ましくは5原子%以上30原子%
以下である。Al含有量が2原子%未満であると耐食性
や強度が低く実用に供せない。また、Alの含有量が4
5原子%を越えると、非晶質形成能が低下し、非晶質単
相の合金が得られなくなる。
須の元素成分であるが、これとともに、上記の通りの元
素成分との組合わせを必須としている。まず第1の発明
は、Alの含有量は2原子%以上45原子%以下である
ことが必要であり、好ましくは5原子%以上30原子%
以下である。Al含有量が2原子%未満であると耐食性
や強度が低く実用に供せない。また、Alの含有量が4
5原子%を越えると、非晶質形成能が低下し、非晶質単
相の合金が得られなくなる。
【0009】PdあるいはPtも非晶質形成能に優れた
非晶質合金を得るための必須の元素であり、Ptおよび
Pdから選択される1種またはその混合物についてはそ
の含有量は、2原子%以上55原子%以下であることが
必要であり、好ましくは5原子%以上40原子%以下で
ある。PdあるいはPtの含有量が2原子%未満あるい
は55原子%を越えると非晶質形成能が低下し、非晶質
単相の合金が得られなくなる。また、Al,Pd,Pt
の合計含有量は、20原子%以上80原子%以下が必要
であり、より好ましい範囲は30原子%以上70原子%
以下である。これらの元素の合計含有量が20原子%未
満または80原子%を越えると非晶質形成能が低下し、
非晶質単相の合金が得られなくなる。また、Tiおよび
Hfは、いずれも強度、耐食性および非晶質形成能を向
上させることのできる元素であり、第2の発明は、前記
の合金組成に加えて、TiあるいはHfを含有させるも
のである。
非晶質合金を得るための必須の元素であり、Ptおよび
Pdから選択される1種またはその混合物についてはそ
の含有量は、2原子%以上55原子%以下であることが
必要であり、好ましくは5原子%以上40原子%以下で
ある。PdあるいはPtの含有量が2原子%未満あるい
は55原子%を越えると非晶質形成能が低下し、非晶質
単相の合金が得られなくなる。また、Al,Pd,Pt
の合計含有量は、20原子%以上80原子%以下が必要
であり、より好ましい範囲は30原子%以上70原子%
以下である。これらの元素の合計含有量が20原子%未
満または80原子%を越えると非晶質形成能が低下し、
非晶質単相の合金が得られなくなる。また、Tiおよび
Hfは、いずれも強度、耐食性および非晶質形成能を向
上させることのできる元素であり、第2の発明は、前記
の合金組成に加えて、TiあるいはHfを含有させるも
のである。
【0010】TiおよびHfからなる群から選択される
1種の元素またはその混合物についてはその含有量が4
0原子%以下であることが必要であり、好ましくは、3
5原子%以下である。これらの元素の含有量が40原子
%を越えると非晶質形成能が低下し、非晶質単相の合金
が得られなくなる。さらに、Ti,Hf,Al,Pd,
Ptの合計の含有量は、20原子%以上80原子%以下
であることが必要であり、より好ましい範囲は30原子
%以上70原子%以下である。これらの元素の合計含有
量が20原子%未満または80原子%を越えると非晶質
形成能が低下し、非晶質単相の合金が得られなくなる。
1種の元素またはその混合物についてはその含有量が4
0原子%以下であることが必要であり、好ましくは、3
5原子%以下である。これらの元素の含有量が40原子
%を越えると非晶質形成能が低下し、非晶質単相の合金
が得られなくなる。さらに、Ti,Hf,Al,Pd,
Ptの合計の含有量は、20原子%以上80原子%以下
であることが必要であり、より好ましい範囲は30原子
%以上70原子%以下である。これらの元素の合計含有
量が20原子%未満または80原子%を越えると非晶質
形成能が低下し、非晶質単相の合金が得られなくなる。
【0011】以上の通りの組成を有するこの発明の生体
用非晶質合金は、従来の生体インプラント用材料として
用いられているステンレス鋼、Co合金やTi合金の場
合には、その強度(引張り強度)が1000MPa以下
であるのに対し、1500MPa以上の優れた強度を有
している。また、この発明の合金は、優れた強度ととも
に非常に優れた耐食性も有しており、生体用材料として
広く利用されているオーステナイト系ステンレス鋼より
も格段に優れた耐食性を示す。さらに本発明の生体用非
晶質合金は、加熱された際に結晶化せずに過冷却液体と
して存在できる温度域すなわち過冷却液体領域が50℃
以上と、非常に広い温度範囲に渡って準安定な過冷却液
体として存在できる非晶質合金であり、このような過冷
却液体状態では、閉そく鍛造などの方法により任意の形
状の非晶質合金形成体を精度良く加工できるため、優れ
た加工性を兼ね備えている。
用非晶質合金は、従来の生体インプラント用材料として
用いられているステンレス鋼、Co合金やTi合金の場
合には、その強度(引張り強度)が1000MPa以下
であるのに対し、1500MPa以上の優れた強度を有
している。また、この発明の合金は、優れた強度ととも
に非常に優れた耐食性も有しており、生体用材料として
広く利用されているオーステナイト系ステンレス鋼より
も格段に優れた耐食性を示す。さらに本発明の生体用非
晶質合金は、加熱された際に結晶化せずに過冷却液体と
して存在できる温度域すなわち過冷却液体領域が50℃
以上と、非常に広い温度範囲に渡って準安定な過冷却液
体として存在できる非晶質合金であり、このような過冷
却液体状態では、閉そく鍛造などの方法により任意の形
状の非晶質合金形成体を精度良く加工できるため、優れ
た加工性を兼ね備えている。
【0012】この発明の生体用非晶質合金は、優れた強
度や耐食性に加えて高い非晶質形成能を持ち合わせてい
るので、構成元素の他に種々の元素を若干量添加しても
非晶質合金を得ることができる。つまり、非晶質形成能
が低下しない程度に、生体に毒性の少ない元素(例え
ば、Si,Au)などを数原子%以下の範囲で添加する
場合にも生体用非晶質合金を得ることができる。また、
本発明の生体用非晶質合金は、耐食性に優れ、強度が高
く、加工性も高いため、生体用のみではなく、電極、各
種触媒などの耐食性が望まれている部位の材料として使
用することができ、その場合、非晶質形成能を下げない
程度にCr,V,Nb,Taなどの元素を20原子%以
下の範囲で添加し、耐食性や強度をより向上させた材料
を提供することができる。
度や耐食性に加えて高い非晶質形成能を持ち合わせてい
るので、構成元素の他に種々の元素を若干量添加しても
非晶質合金を得ることができる。つまり、非晶質形成能
が低下しない程度に、生体に毒性の少ない元素(例え
ば、Si,Au)などを数原子%以下の範囲で添加する
場合にも生体用非晶質合金を得ることができる。また、
本発明の生体用非晶質合金は、耐食性に優れ、強度が高
く、加工性も高いため、生体用のみではなく、電極、各
種触媒などの耐食性が望まれている部位の材料として使
用することができ、その場合、非晶質形成能を下げない
程度にCr,V,Nb,Taなどの元素を20原子%以
下の範囲で添加し、耐食性や強度をより向上させた材料
を提供することができる。
【0013】そして、この発明の生体用非晶質合金は、
溶融状態からの種々の方法で冷却固化させることにより
得ることができるが、単ロール法、双ロール法、回転液
中紡糸法、回転液中噴霧法、ガスアトマイズ法等の生産
性に優れた液体急冷法を用いることが望ましい。例え
ば、この発明の非晶質合金は、非晶質合金の代表的な製
造方法として知られる単ロール法において、合金を石英
管中、アルゴン雰囲気下で溶融した後、孔径0.1mm
〜1.0mmの石英製ノズルを用いて、真空中またはア
ルゴン雰囲気下、1000〜4000rpmで回転して
いる直径20cm程度の銅ロール上に噴出圧0.1〜
2.0kg/cm2 で噴出し、急冷凝固させることによ
って得ることができる。
溶融状態からの種々の方法で冷却固化させることにより
得ることができるが、単ロール法、双ロール法、回転液
中紡糸法、回転液中噴霧法、ガスアトマイズ法等の生産
性に優れた液体急冷法を用いることが望ましい。例え
ば、この発明の非晶質合金は、非晶質合金の代表的な製
造方法として知られる単ロール法において、合金を石英
管中、アルゴン雰囲気下で溶融した後、孔径0.1mm
〜1.0mmの石英製ノズルを用いて、真空中またはア
ルゴン雰囲気下、1000〜4000rpmで回転して
いる直径20cm程度の銅ロール上に噴出圧0.1〜
2.0kg/cm2 で噴出し、急冷凝固させることによ
って得ることができる。
【0014】
【実施例】以下実施例によって、さらにこの発明を具体
的に説明する。実施例1〜15、比較例1〜13 表1に示した実施例1〜15、表2に示した比較例1〜
11の各組成からなる合金を、石英管中、アルゴン雰囲
気下で溶融した後、孔径0.3mmの石英製ノズルを用
い、アルゴン雰囲気下、1500rpmで回転している
直径20cm程度の銅ロール上に噴出圧0.3kg/c
m2 で噴出し、急冷凝固させて、幅3mm、厚さ40μ
mの連続した急冷薄帯を作製した。
的に説明する。実施例1〜15、比較例1〜13 表1に示した実施例1〜15、表2に示した比較例1〜
11の各組成からなる合金を、石英管中、アルゴン雰囲
気下で溶融した後、孔径0.3mmの石英製ノズルを用
い、アルゴン雰囲気下、1500rpmで回転している
直径20cm程度の銅ロール上に噴出圧0.3kg/c
m2 で噴出し、急冷凝固させて、幅3mm、厚さ40μ
mの連続した急冷薄帯を作製した。
【0015】次に、作製したこれらの薄帯の非晶質相の
同定、過冷却液体領域の温度幅、耐食性、強度および靱
性の測定を行なった。その結果をそれぞれ表1および表
2に示す。相の同定について、X線回折法により非晶質
相特有のハローパターンが得られた状態を非晶質と判定
し、非晶質と結晶相が混在する状態を結晶質と判定し
た。過冷却液体領域の温度幅ΔTx は、昇温速度40K
/分で示差走査熱量分析により得られるガラス転移温度
(Tg )と結晶化温度(Tx )との差(Tx −T g )を
測定することにより求めた。また、耐食性は、急冷薄帯
を1N−HClに100時間浸漬し、その腐食量から求
めた。強度σfは、インストロン引張り試験機を用い、
長さ30mmの急冷薄帯を4.2×10-4の歪速度で引
張り試験を行なうことにより求めた。さらに、靱性は、
密着曲げが可能か否かの判定により行なった。
同定、過冷却液体領域の温度幅、耐食性、強度および靱
性の測定を行なった。その結果をそれぞれ表1および表
2に示す。相の同定について、X線回折法により非晶質
相特有のハローパターンが得られた状態を非晶質と判定
し、非晶質と結晶相が混在する状態を結晶質と判定し
た。過冷却液体領域の温度幅ΔTx は、昇温速度40K
/分で示差走査熱量分析により得られるガラス転移温度
(Tg )と結晶化温度(Tx )との差(Tx −T g )を
測定することにより求めた。また、耐食性は、急冷薄帯
を1N−HClに100時間浸漬し、その腐食量から求
めた。強度σfは、インストロン引張り試験機を用い、
長さ30mmの急冷薄帯を4.2×10-4の歪速度で引
張り試験を行なうことにより求めた。さらに、靱性は、
密着曲げが可能か否かの判定により行なった。
【0016】表1および表2には、このようにして作製
され物性測定された薄帯の過冷却液体領域の温度幅ΔT
x 、組織、強度σf、曲げ靱性および耐食性(腐食速
度)を示した。表1および表2よりこの発明の実施例1
〜15は、加熱された際に、結晶化せずに過冷却液体と
して存在できる温度域すなわち、過冷却液体領域が50
K以上と、非常に広い温度範囲にわたって準安定な過冷
却液体として存在できる非晶質合金であることが明らか
である。それに対して比較例1〜6および8〜11は、
それぞれTi,Al,Pd,Zr,HfあるいはPtが
この発明の合金の組成範囲外であるため合金の非晶質形
成能が低く、結晶合金の薄帯が得られており、精密加工
の指標になる過冷却液体領域がなかった。また、比較例
7は、この発明の合金の組成範囲外で、過冷却液体領域
は、存在するものの、温度範囲が35Kと狭く、加工性
に乏しい。
され物性測定された薄帯の過冷却液体領域の温度幅ΔT
x 、組織、強度σf、曲げ靱性および耐食性(腐食速
度)を示した。表1および表2よりこの発明の実施例1
〜15は、加熱された際に、結晶化せずに過冷却液体と
して存在できる温度域すなわち、過冷却液体領域が50
K以上と、非常に広い温度範囲にわたって準安定な過冷
却液体として存在できる非晶質合金であることが明らか
である。それに対して比較例1〜6および8〜11は、
それぞれTi,Al,Pd,Zr,HfあるいはPtが
この発明の合金の組成範囲外であるため合金の非晶質形
成能が低く、結晶合金の薄帯が得られており、精密加工
の指標になる過冷却液体領域がなかった。また、比較例
7は、この発明の合金の組成範囲外で、過冷却液体領域
は、存在するものの、温度範囲が35Kと狭く、加工性
に乏しい。
【0017】また表1および表2の結果より、実施例1
〜15のこの発明の非晶質合金は、比較例7のこの発明
の範囲外の非晶質合金や比較例12および13の市販さ
れている厚さ40μmのステンレス薄やTi板に比べ
て、いずれも引張り強度1500MPa以上と格段に優
れた強度を示す。さらに、表1および表2の耐食性の結
果から実施例1〜15のこの発明の非晶質合金は、比較
例1〜11のこの発明の範囲外の非晶質合金や結晶質合
金、比較例12のステンレス薄に比べて格段に優れた耐
食性を示す。
〜15のこの発明の非晶質合金は、比較例7のこの発明
の範囲外の非晶質合金や比較例12および13の市販さ
れている厚さ40μmのステンレス薄やTi板に比べ
て、いずれも引張り強度1500MPa以上と格段に優
れた強度を示す。さらに、表1および表2の耐食性の結
果から実施例1〜15のこの発明の非晶質合金は、比較
例1〜11のこの発明の範囲外の非晶質合金や結晶質合
金、比較例12のステンレス薄に比べて格段に優れた耐
食性を示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】この発明の非晶質合金は、生体適合性の
高いZr,Ti,Pd,PtならびにAlから構成さ
れ、優れた強度や耐食性に加えて、広い過冷却液体領域
を示す優れた加工性を兼ね備えた非晶質合金であり、新
しいタイプの生体用材料としてインプラント用材料や医
療機材用材料に応用可能である。
高いZr,Ti,Pd,PtならびにAlから構成さ
れ、優れた強度や耐食性に加えて、広い過冷却液体領域
を示す優れた加工性を兼ね備えた非晶質合金であり、新
しいタイプの生体用材料としてインプラント用材料や医
療機材用材料に応用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増本 健 宮城県仙台市青葉区片平2丁目1−1 東 北大学金属材料研究所内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区片平2丁目1−1 東 北大学金属材料研究所内 (72)発明者 網谷 健児 京都府宇治市宇治小桜23番地 ユニチカ株 式会社中央研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 組成式:Zr100y-z Aly Nz 〔式中
NはPtおよびPdから選択される1種の元素またはそ
の混合物、Y、Zはそれぞれ原子%を表し、2≦y≦4
5、2≦z≦55および、20≦y+z≦80である〕
で示される組成を有することを特徴とする生体用非晶質
合金。 - 【請求項2】 式:Zr100-x-y-z Mx Aly Nz 〔式
中MはTiおよびHfからなる群から選択される1種の
元素またはその混合物、Nは、PtおよびPdから選択
される1種の元素またはその混合物、x、yおよびz
は、それぞれ原子%を表し、0<x≦40、2≦y≦4
5、2≦z≦55および20≦x+y+z≦80であ
る〕で示される組成を有することを特徴とする生体用非
晶質合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5338663A JPH07188876A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 生体用非晶質合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5338663A JPH07188876A (ja) | 1993-12-28 | 1993-12-28 | 生体用非晶質合金 |
Publications (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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1993
- 1993-12-28 JP JP5338663A patent/JPH07188876A/ja active Pending
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