JPH07188781A - 金属帯の板温制御方法 - Google Patents

金属帯の板温制御方法

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JPH07188781A
JPH07188781A JP33790993A JP33790993A JPH07188781A JP H07188781 A JPH07188781 A JP H07188781A JP 33790993 A JP33790993 A JP 33790993A JP 33790993 A JP33790993 A JP 33790993A JP H07188781 A JPH07188781 A JP H07188781A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 直接加熱炉における板温制御で、金属帯の接
続部又は加熱条件の変更箇所が炉内を通過する際の板温
外れの防止を計る。 【構成】 金属帯の板温、燃料の投入量等の燃焼条件、
金属帯の移動速度の3 つの値を変数として含む伝熱モデ
ル式を用いて、後行材の板温が許容範囲の上下限値とな
るような操業条件を求め、次いでこの2 つの操業条件に
よる先行材の板温を推定計算し、2 つの推定計算値の間
の温度範囲について、先行材の板温の許容範囲と重なる
温度領域がある場合はその温度領域内に、重なる温度領
域がない場合は、この温度範囲と板温の許容範囲との間
の値に、先行材の目標板温の設定値を変更する。更に、
金属帯の前記接続部等が、炉の入側・出側を通過したと
き先行材の目標板温設定値の変更・目標板温設定値の後
行材の目標板温への変更を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】金属帯等の直接加熱炉における板
温制御に関するもので、特に熱サイクル変更の際の板温
外れを防止する方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】金属帯の連続焼鈍ラインや溶融金属メッ
キラインの加熱炉等においては、熱効率の向上、ライン
長さの短縮などの要請から、直接加熱炉が多く用いられ
ている。金属帯の板温制御については、板厚、板幅、目
標板温等の変更等の熱サイクル変更の際の過渡状態にお
ける制御が問題であり、種々の技術が提案されている。
特に、直接加熱炉における板温制御については、特開昭
55-73831号公報、特開昭60-70127号公報等に開示されて
いる。
【0003】特開昭55-73831号公報に記載される技術
は、直接加熱炉を間接加熱炉の前段に配し、加熱炉出口
(この技術では間接加熱炉の出口)の板温が所定の値と
なるよう直接加熱炉と間接加熱炉を制御するものであ
る。熱サイクル変更の際の過渡状態においては、間接加
熱炉出口の板温と所定値の偏差を推定計算し、その偏差
を打ち消すよう直接加熱炉出口の目標板温を設定してい
る。
【0004】特開昭60-70127号公報に記載される技術
は、やはり直接加熱炉を間接加熱炉の前段に配し、加熱
炉出口(間接加熱炉の出口)の板温が所定の値となるよ
う操業条件を制御するものである。熱サイクル変更の際
の過渡状態においては、間接加熱炉の炉温が設定値に変
更されるまでの間、直接加熱炉出口の板温が一定となる
ようライン速度を調整するか、ライン速度を調整して直
接加熱炉出口の板温を固定するかのいずれかの方法を用
いている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これらの技術は、間接
加熱炉の熱応答性が低いことによる板温制御の困難さ
を、熱応答性が高い直接加熱炉で補うものである。しか
しながら実際は、直接加熱炉においても炉内雰囲気中の
酸素分圧制御や燃焼の安定性確保等により、燃焼制御に
制約があり、必ずしも高い熱応答性が得られないのが現
状である。
【0006】また、これらの技術は、直接加熱炉と間接
加熱炉の両者を組み合わせた制御方法を主体に構成され
ており、直接加熱炉のみによる板温制御については提案
されていない。例えば、特開昭55-73831号公報では、
「板温制御装置は、直接加熱炉の出口に設けた板温計で
検出した出口板温をフィードバックして直接加熱炉に対
する燃料流量を操作することにより、直接加熱炉出口板
温を基準値に保つ自動制御を行う」としているが、燃料
流量の操作等の自動制御の内容については記載されてい
ない。
【0007】同様に、特開昭60-70127号公報でも、「間
接加熱炉の各ゾーン温度を逐次測定し、その実測値から
間接加熱炉(出口)での目標温度(板温)が確保できる
直接加熱炉(出口)での板温を算出して、直接加熱炉
(出口)での板温をその算出された板温に設定する」と
しており、やはり直接加熱炉の制御の内容については記
載されていない。
【0008】直接加熱炉の制御が行われていない理由と
して、炉温の設定が困難ということがある。一般に炉内
の雰囲気の温度は測定しにくいが、間接加熱炉において
は雰囲気の温度は炉壁の温度とほぼ等しく、炉温として
は炉壁温度を用いればよい。これに対し、直接加熱炉で
はこれらが大きく異なり、炉壁温度の測定だけでは雰囲
気温度の影響を制御に反映できないという事情がある。
【0009】しかしながら、直接加熱炉における金属帯
への伝熱の内訳については、炉壁からの伝熱量は全体の
約 50 %程度にすぎない。残りは、炉内雰囲気即ち燃焼
ガスからの伝熱量で、ガス輻射によるものが約 20 %、
対流によるものが約 30 %と見積もられる。このよう
に、炉内雰囲気からの伝熱が無視できないにもかかわら
ず、従来技術の伝熱モデルでは扱うことができなかっ
た。
【0010】その結果、炉温として炉壁温度を用いた通
常の伝熱モデルは、直接加熱炉の制御には適用できない
のである。まして、熱サイクル変更の際の過渡状態につ
いては適切に制御することができず、テーブル方式によ
る操業条件設定等の不十分な方法に頼るほかなく、良好
な板温制御を達成できなかった。
【0011】また、従来技術においては、板温の設定値
を変更する時点は、後行材が直接加熱炉の出口に到達し
てからである。そのため、その設定値を変更した時点で
は炉内に後行材が入っており、その部分については先行
材に最適な加熱条件のままで加熱されるので、後行材の
板温の許容範囲に入らないことが多かった。後行材のこ
の部分の長さは、直接加熱炉のライン長さに匹敵し、直
接加熱炉の大型化に伴い数十m にも及んでいる。この大
きさは全体の数%に達しており、歩留りを低下させると
いう問題点がある。
【0012】本発明は、従来技術の以上のような問題を
解決するため、この雰囲気温度の演算値と炉壁温度を組
み込んだ伝熱モデルを提案する。特に、熱サイクル変更
の際の金属帯の板温外れを許容範囲内に収め、収まらな
いときでもその領域を極力縮小させることのできる板温
制御方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、直接
加熱炉により連続加熱される金属帯について、その金属
帯の接続部又は加熱条件の変更箇所が炉内を通過する
際、前記接続部または変更箇所に対し先行する先行材と
後続の後行材の板温を、伝熱モデル式を用いて制御する
板温の制御方法において、(イ)まず、金属帯の板温、
燃料の投入量等の燃焼条件、金属帯の移動速度の3つの
値を変数として含む伝熱モデル式を用いて、燃焼条件以
外の操業条件は先行材の操業条件のままで、板温には後
行材の板温の許容範囲の上限値と下限値を与えてそれぞ
れに対する燃焼条件を推定計算し、(ロ)推定計算され
た燃焼条件が許容範囲を超えた場合は、燃焼条件に許容
範囲内の値を与えて、今度は金属帯の移動速度を前記伝
熱モデル式を用いて推定計算し、その結果に基づき金属
帯の移動速度の設定値を変更し、(ハ)次いで、操業条
件をこれらの後行材の板温の上限値又は下限値に対応す
る操業条件に変更した場合について、先行材の板温を前
記伝熱モデル式を用いてそれぞれ推定計算し、(ニ)後
行材の板温の上限値又は下限値に対応する先行材の板温
の2 つの推定計算値の間の温度範囲について、先行材の
板温の許容範囲と重なる温度領域がある場合は、その温
度領域内に先行材の目標板温の設定値を変更し、(ホ)
先行材の板温の2 つの推定計算値の間の温度範囲につい
て、先行材の板温の許容範囲と重なる温度領域がない場
合は、これら推定計算値の間の温度範囲と板温の許容範
囲との間の値に、先行材の目標板温の設定値を変更する
ことを特徴とする金属帯の板温制御方法である。
【0014】請求項2の発明は、金属帯の接続部又は加
熱条件の変更箇所が、直接加熱炉の入側の所定位置を通
過したとき先行材の目標板温の設定値を変更し、直接加
熱炉の出側の所定位置を通過したとき目標板温の設定値
を後行材の目標板温に変更することを特徴とする請求項
1の金属帯の板温制御方法である。
【0015】
【作用】まず、本発明の伝熱モデルは、金属帯の板温、
燃料の投入量等の燃焼条件、金属帯の移動速度の3 つの
値を変数として含む。伝熱モデルとしてはこの3 つの変
数の他に必要に応じて他の変数も用いることはいうまで
もない。一般的な直接加熱炉における伝熱モデルについ
て説明する。直接加熱炉における金属帯への伝熱量を表
す式は次のようになる。
【0016】
【数1】
【0017】ここで、ρ: 金属帯の密度、cp: 金属帯の
比熱、 h: 金属帯の板厚、 v: 金属帯の移動速度、T:金
属帯の板温、 t: 時間、 k: 定数、 C1,C2,C3:重み係
数、σ:ボルツマン定数、Tw: 炉壁温度、Tg: 雰囲気温
度、である。
【0018】この式の左辺は金属帯の単位時間・単位面
積あたりの熱量の増加を表し、右辺角括弧内の第 1項は
炉壁から金属帯への輻射伝熱、第 2項は雰囲気から金属
帯への輻射伝熱、第 3項は雰囲気から金属帯への対流伝
熱をそれぞれ表す。また、定数k は輻射伝熱における幾
何学配置等の影響を反映する定数で、炉の形状等により
異なる。重み係数 C1,C2は金属帯の輻射率、同C3は対流
熱伝達率とそれぞれの寄与等により決まる。これらの定
数や係数(特にC1,C2,C3)は、操業実績等から学習によ
り適宜修正し精度を高めておく。なお、温度の単位は輻
射伝熱を扱うため絶対温度を用いる。
【0019】次に、雰囲気温度の測定が困難なことか
ら、本発明では雰囲気温度を演算により求めている。雰
囲気温度 Tg を、燃料の投入量 u、金属帯の板幅 b、金
属帯の板厚 h、金属帯の移動速度 vによる近似式で表
す。式の具体的な形は、安定な燃焼が可能な範囲では雰
囲気温度 Tg はほぼ燃料の投入量 uに対して直線的に変
化し、その他の因子(金属帯の寸法、移動速度)の影響
は燃料の投入量u の影響に比べて小さいので、1 次式と
すれば十分である。雰囲気温度 Tg を表す近似式を次に
示す。
【0020】
【数2】
【0021】ここで、A0は定数項、A1,A2,A3,A4 は係数
で、それぞれ操業実績等から決定し学習により適宜修正
しておく。
【0022】この雰囲気温度Tgとを表す近似式(数2)
を数1の式に入れると、次の式を得る。
【0023】
【数3】
【0024】この数3の式を伝熱モデル式として用い
る。この伝熱モデル式は、金属帯の板温 T、燃料の投入
量 u、金属帯の移動速度 vの3 つの値を変数として含ん
でおり、それらの相互の関係を表している。従って、こ
れら3 つの変数の内2 つの変数を与えれば、他の1 つの
変数は伝熱モデル式により推定計算で求まることにな
る。推定計算は、伝熱モデル式、数3が微分方程式であ
るため、次のようになる。まず、金属帯の板温 Tは、数
3の方程式の数値解法(差分方程式の繰り返し計算)に
より容易に得られる。燃料の投入量 u又は金属帯の移動
速度 vは、u 又はvの第 1近似値から出発し、金属帯の
板温 Tについての数3の方程式の数値解が目標板温に収
束するまで逐次近似することにより得られる。
【0025】なおここで、直接加熱炉の燃焼におけるバ
ーナの空気比が1.0 未満の場合は、燃料の投入量 uを空
気比で補正した値(燃料の投入量×空気比、等)を用い
ればより正確になる。また、燃料の投入量 uの代わりに
燃焼用空気量を用いた式としてもよい。そこで、燃料の
投入量やその補正値あるいは燃焼用空気量等を一括して
燃焼条件という用語で呼ぶことにする。
【0026】この伝熱モデル式(数3)を用いて直接加
熱炉の制御を行う方法について、説明する。図 1は、本
発明の制御方法を示す流れ図である。まず、伝熱モデル
式(数3)の変数について、操業条件に関するものは燃
焼条件を除き先行材における値のままとし、金属帯に関
するものは後行材の値に置き換える。次いで、板温に後
行材の板温の上限値又は下限値を入れて、後行材の板温
の上限値と下限値に対するそれぞれの燃焼条件の推定計
算を行う。その結果、燃焼条件がバーナ能力等の許容範
囲内の場合は、この燃焼条件と先行材の移動速度が、後
行材板温の上下限値に対応する操業条件となる。
【0027】上記の推定計算の結果、燃焼条件が許容範
囲の上限又は下限を超えた場合は、その燃焼条件を許容
範囲内に設定し直す。今度は、伝熱モデル式に燃料投入
量等の燃焼条件と後行材の板温の上限値又は下限値を与
えて、金属帯の移動速度を推定計算する。このようにし
て、後行材の板温を許容範囲内に収めることができる燃
焼条件と金属帯の移動速度、即ち操業条件が決定され
る。
【0028】次いで、操業条件をこれらの後行材の板温
の上限値と下限値に対応する操業条件に変更した場合の
先行材の板温を求める。これは、上記で得られた操業条
件を伝熱モデル式に与え、金属帯に関する変数を先行材
の値に置き換えて板温を推定計算することにより得られ
る。
【0029】その結果、得られた先行材の板温の2 つの
推定計算値の間の温度範囲が、先行材の板温の許容範囲
と重なる場合は、その重なっている温度領域の中に先行
材の目標板温の設定値を変更する。以後、先行材が炉内
にある間はこの新しい目標板温で制御することにより、
先行材の板温は徐々に新しい目標板温に近づいて行く。
この部分は、目標板温の設定値を変更した時点で炉内に
あった部分で、以下、遷移領域と呼ぶ。遷移領域が終わ
ると、金属帯の板温は基本的に新しい目標板温で制御さ
れることになる。
【0030】得られた先行材の板温の上下2 つの推定計
算値の間の温度範囲が、先行材の板温の許容範囲と重な
らない場合は、これら推定計算による温度範囲と板温の
許容範囲との間の値に先行材の目標板温の設定値を変更
する。
【0031】更に、金属帯の接続部又は加熱条件の変更
箇所が、直接加熱炉の入側の所定位置を通過する時点か
ら、直接加熱炉の出側の所定位置を通過する時点まで、
推定計算の結果に基づく目標板温を設定している。この
期間は、先行材と後行材の両方の金属帯が直接加熱炉内
に共存するが、板温の設定温度は、板温の測定が直接加
熱炉の出側で行われることから、先行材の板温として設
定される。このように、本発明では両方の板温がそれぞ
れ許容範囲内に入るか、それが不可能でもそれぞれの許
容範囲からの外れが小さいような温度に設定される。
【0032】
【実施例】図 2は、本発明で用いる制御システムの構成
図である。図中、1 は伝熱モデル式推定計算手段、2 は
燃焼制御手段、3 は金属帯移動速度制御手段、4 は燃焼
調節器、5,6 は温度変換器、10は直接加熱炉、20は炉温
検出器、30はバーナ、40は板温検出器、50はモータ、6
0,70 は金属帯搬送ロールをそれぞれ示す。このような
システム構成で以下の制御を行う。
【0033】図 3と図 4は本発明の制御の手順を示す流
れ図である。図中ないしは制御のステップを示す。 まず、後続材の板温の上限値T2H に対応する燃料の
投入量 u2Hを伝熱モデル式で推定する。具体的には、伝
熱モデル式(数3)のT に後続材の板温の上限値T2H を
入れてu の解を求め、それをu2H とする。その他の数値
については、操業条件(例えば炉壁温度Tw)には先行材
のままの値を用い、金属帯諸元(ρ,cp,h,b 等)には後
行材についての値を用いる。
【0034】 上記u の解が、燃焼装置の燃料の投入
量の上限umaxを超えた場合は、u2Hの値としてumaxを用
いる。今度は、umaxに対する金属帯の移動速度 vをモデ
ル式から求め、v2H とする。具体的には、伝熱モデル式
(数3)のu にumaxを入れてv の解を求め、それをv2H
とする。以上より、板温上限T2H に対応する操業条件と
して、燃料の投入量 u2H、金属帯の移動速度 v2Hが決ま
る。
【0035】 板温上限T2H に対応する操業条件( u
2H,v2H等)に変更した場合、先行材の板温がどうなるか
を伝熱モデル式で計算する。得られた先行材の板温T
は、後行材の板温の上限値T2H に対応する先行材の板温
であり、T1H*と表す。 同様に、後行材の板温下限T2L に対応する燃料の投
入量u2L を伝熱モデル式で推定する。
【0036】 板温下限T2L に対応する燃料の投入量
u2Lが、燃焼装置の燃料の投入量の下限umin未満の場合
は、u2L の値としてuminを用いる。同様に、uminに対す
る金属帯の移動速度 vをモデル式から求めv2L とする。
以上より、板温下限T2L に対応する操業条件として、燃
料の投入量 u2L、金属帯の移動速度 v2Lが求まる。
【0037】 同様に、板温下限T2L に対応する操業
条件( u2L,v2L等)により現行材の板温がどうなるかを
伝熱モデル式で推定計算する。得られた値は、後行材の
板温の下限値T2L に対応する先行材の板温であり、T1L*
と表す。 先行材の板温の推定計算値 T1H*,T1L*と、先行材の
板温の許容範囲(T1H〜T1L )を比較する。先行材の板
温の許容範囲にT1H*又はT1L*が入っている場合は、T1H*
又はT1L*を先行材の板温の設定値T1S とする。
【0038】 先行材の板温の推定計算値T1H*又はT1
L*が先行材の板温の許容範囲(T1H〜T1L )に入らない
場合は、推定計算値と許容範囲の間の温度を先行材の板
温の目標値T1S を設定する。後行材の板温の許容範囲の
上限に対応する推定計算値T1H*が先行材の板温の許容範
囲の下限T1L より低い場合は、T1H*とT1L の間に先行材
の板温の目標値T1S を設定し、推定計算値T1L*が板温の
許容範囲の上限T1H より高い場合は、T1H とT1L*の間に
先行材の板温の目標値T1S を設定する。
【0039】図5 は板温設定の実施例を示す図で、(a)
は本発明の方法、(b) は従来技術の方法を示す図であ
る。図中、tiは金属帯の接続部等が直接加熱炉の入口を
通過する時刻、toは同じく直接加熱炉の出口を通過する
時刻を示す。図中、T1H,T1L は先行材の板温許容範囲の
上下限値、T1S は先行材の板温設定値、T2H,T2L は後行
材の板温許容範囲の上下限値、T2S は後行材の板温設定
値、T1H*,T1L*は後行材の板温許容範囲の上下限値に対
応する先行材の板温の推定計算値をそれぞれ示す。
【0040】発明の実施例では、図の(a) に示すよう
に、金属帯の接続部等が直接加熱炉の入口を通過した時
点(時刻ti)で、先行材の板温設定値T1S が、先行材の
板温許容範囲と後行材の板温許容範囲に対応する先行材
の板温の推定計算による許容範囲の両者の重なる領域内
(T1H*とT1L の間)に設定変更されている。その後、金
属帯の接続部が直接加熱炉の出口に到達すると(時刻t
o)、板温設定値が後行材の板温の目標値(T2S )に設
定変更されている。このようにして、金属帯の接続部等
においても、先行材と後行材の板温それぞれが同時に許
容範囲内の板温に制御できる。
【0041】従来技術では、図の(b) に示すように、金
属帯の接続部等が直接加熱炉の出口(温度計の設置して
ある位置)に到達するまで(時刻toまで)、板温設定値
(T1S )は先行材の目標値のままであり、その後、後行
材の板温の目標値(T2S )に設定変更されている。板温
設定値T1S は、後行材の板温許容範囲の上下限値に対応
する先行材の板温の推定計算値T1H*より高いので、後行
材は許容範囲を超えた設定温度で板温制御され、オーバ
ーヒートが避けられない。
【0042】
【発明の効果】金属帯の板温、燃料の投入量等の燃焼条
件、金属帯の移動速度の3 つの値を変数として含む伝熱
モデル式を用いて、操業条件の推定計算を行い、更に同
じ伝熱モデル式を用いて金属帯の板温の推定計算を行う
ことにより、燃焼条件等の操業条件の制約の範囲内で目
標板温を設定することが可能となる。その結果、金属帯
の接続部等において、先行材と後行材の両者の板温が、
操業条件の制約の範囲内でそれぞれの板温の許容範囲内
あるいはそれに近い値になるように目標板温を設定する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の制御方法を示す流れ図。
【図2】発明の制御システムの構成図。
【図3】発明の制御の手順を示す流れ図。
【図4】発明の制御の手順を示す流れ図。
【図5】板温設定の実施例を示す図。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直接加熱炉により連続加熱される金属帯
    について、その金属帯の接続部又は加熱条件の変更箇所
    が炉内を通過する際、前記接続部または変更箇所に対し
    先行する先行材と後続の後行材の板温を、伝熱モデル式
    を用いて制御する板温の制御方法において、(イ)ま
    ず、金属帯の板温、燃料の投入量等の燃焼条件、金属帯
    の移動速度の3つの値を変数として含む伝熱モデル式を
    用いて、燃焼条件以外の操業条件は先行材の操業条件の
    ままで、板温には後行材の板温の許容範囲の上限値と下
    限値を与えてそれぞれに対する燃焼条件を推定計算し、
    (ロ)推定計算された燃焼条件が許容範囲を超えた場合
    は、燃焼条件に許容範囲内の値を与えて、今度は金属帯
    の移動速度を前記伝熱モデル式を用いて推定計算し、そ
    の結果に基づき金属帯の移動速度の設定値を変更し、
    (ハ)次いで、操業条件をこれらの後行材の板温の上限
    値又は下限値に対応する操業条件に変更した場合につい
    て、先行材の板温を前記伝熱モデル式を用いてそれぞれ
    推定計算し、(ニ)後行材の板温の上限値又は下限値に
    対応する先行材の板温の2 つの推定計算値の間の温度範
    囲について、先行材の板温の許容範囲と重なる温度領域
    がある場合は、その温度領域内に先行材の目標板温の設
    定値を変更し、(ホ)先行材の板温の2 つの推定計算値
    の間の温度範囲について、先行材の板温の許容範囲と重
    なる温度領域がない場合は、これら推定計算値の間の温
    度範囲と板温の許容範囲との間の値に、先行材の目標板
    温の設定値を変更することを特徴とする金属帯の板温制
    御方法。
  2. 【請求項2】 金属帯の接続部又は加熱条件の変更箇所
    が、直接加熱炉の入側の所定位置を通過したとき先行材
    の目標板温の設定値を変更し、直接加熱炉の出側の所定
    位置を通過したとき目標板温の設定値を後行材の目標板
    温に変更することを特徴とする請求項1の金属帯の板温
    制御方法。
JP33790993A 1993-12-28 1993-12-28 金属帯の板温制御方法 Expired - Lifetime JP2833461B2 (ja)

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EP3303643B1 (de) 2015-05-28 2019-10-02 SMS group GmbH Wärmebehandlungsanlage zur wärmebehandlung von stahlband und verfahren zur steuerung einer wärmebehandlungsanlage zur wärmebehandlung von stahlband
JP2021046570A (ja) * 2019-09-17 2021-03-25 株式会社神戸製鋼所 鋼材の温度予測方法

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