JPH07188536A - ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム - Google Patents

ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム

Info

Publication number
JPH07188536A
JPH07188536A JP27896894A JP27896894A JPH07188536A JP H07188536 A JPH07188536 A JP H07188536A JP 27896894 A JP27896894 A JP 27896894A JP 27896894 A JP27896894 A JP 27896894A JP H07188536 A JPH07188536 A JP H07188536A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
polyethylene
particles
naphthalenedicarboxylate
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP27896894A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3129122B2 (ja
Inventor
Masaaki Kotoura
正晃 琴浦
Iwao Okazaki
巌 岡崎
Koichi Abe
晃一 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP06278968A priority Critical patent/JP3129122B2/ja
Publication of JPH07188536A publication Critical patent/JPH07188536A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3129122B2 publication Critical patent/JP3129122B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレ−トを主体とし、部分融解温度Tpが80〜18
0℃であることを特徴とするポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレ−トフィルム。 【効果】 部分融解温度を特定範囲としたので、室温か
ら135℃近傍までの寸法安定性がよくなり、また優れ
た画質、ドロップアウト特性を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレ−トを主体としたフィルム
に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】磁気記
録媒体用のベ−スフィルムとしては、例えばポリエチレ
ンテレフタレ−トを主体とし、部分融解温度が規定さ
れ、その表層に表面活性化処理をした後、磁性層をコ−
ティングしたり、それと反対の片側表層には、走行性を
向上させるために易滑性のバックコ−ト層をコ−ティン
グしたフィルムが知られている(例えば特公平4−71
245号公報)。
【0003】しかし、従来のフィルムを磁気記録媒体に
用いた場合、走行回数が多くなると走行耐久性を向上さ
せるためのバックコ−ト層は、充分な機能を果たしてい
ないばかりか、走行中にバックコ−ト層が剥がれ落ちた
り、ひどい時にはベ−スフィルムのポリエチレンテレフ
タレ−トそのもの、あるいはそれに添加されている無機
化合物や有機化合物が脱落して、テ−プの走行性が急激
に悪化する。さらに、磁性層塗布、カレンダ−工程、あ
るいは、できたビデオテ−プ等をダビングしてソフトテ
−プ等を製造する工程等の工程速度の増大に伴い、接触
するロ−ルやガイドでフィルム表面に傷がつくという欠
点があった。また、従来のものでは、上記ダビング時の
画質低下のために、ビデオテ−プにした時の画質、すな
わち、S/N(シグナル/ノイズ比)も不十分という欠
点があった。さらに、ポリエチレンテレフタレ−トフィ
ルムでは、例えば、100℃以上での熱収縮率が大きい
ため、磁性層塗布、カレンダ−工程、あるいは、できた
ビデオテ−プ等をダビングしてソフトテ−プ等を製造す
る場合に収縮等の問題が発生しつつある。
【0004】本発明の第1の目的は、かかる課題を解決
し、熱寸法安定性に優れ、特に高速工程でフィルムに傷
がつきにくく(以下耐スクラッチ性に優れるという)、
しかもダビング時の画質低下が少ない(以下耐ダビング
性に優れるという)、ポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムを提供することにある。
【0005】また、写真感光材料は一般的に、プラスチ
ックフィルム支持体上に少なくとも1層の写真感光層を
塗布することによって製造される。このプラスチックフ
ィルムとしては一般的にトリアセチルセルロ−ス(以下
「TAC」という)に代表される繊維系ポリマ−とポリ
エチレンテレフタレ−ト(以下「PET」という)に代
表されるポリエステル系のポリマ−が使用されている
(繊維と工業,41(9),324−329)。
【0006】一般に写真感光材料としては、Xレイ用フ
ィルム、製版用フィルム、カットフィルムのようなシ−
ト状の形態のものと、35mm幅またはそれ以下の幅で
パトロ−ネ内に収められ、一般のカメラに装填され撮影
に用いられるロ−ル状の形態のものとがある。
【0007】しかし、PETフィルムはロ−ル状写真感
光材料支持体としては、巻ぐせカ−ルが強く残留し、現
像後の写真印画紙への画像形成させる焼き付け工程等で
のスリ傷の発生、焦点ボケ、搬送時のジャミング等の問
題が生じてしまうため、優れた機械強度、寸法安定性を
有していながらロ−ル状写真感光材料支持体としては用
いられず、カ−ル回復性に優れているTACフィルムが
用いられてきた。
【0008】また、近年の撮影時の高速化、撮影倍率の
高倍率化、ならびに撮影装置の小型化の進行に伴い、ロ
−ル状写真感光材料の用途も多様化しており、そのため
に、ロ−ル状写真感光支持体としては、カ−ル回復性と
ともに薄膜化に充分な機械強度や寸法安定性の性能が要
求される。
【0009】本発明の第2の目的は、かかる課題を解決
し、カ−ルがつきにくく、薄膜化に充分な機械強度と寸
法安定性を有する写真材料用に好適なポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トフィルムを提供
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエチレン
−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トを主体とし、
部分融解温度Tpが80〜180℃であるフィルムを特
徴とする。
【0011】本発明におけるポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレ−トとは、たとえばエチレング
リコ−ルと2,6−ナフタレンジカルボン酸とから縮重
合により得られるエステル結合を有するものを言い、こ
れを主体とするものである。もちろんホモポリマ−に限
らず、ランダム共重合の場合なら10モル%未満、ブロ
ック共重合の場合なら30モル%未満共重合させてもよ
く、また、極限粘度[η]としては0.40以上のもの
が好ましい。コモノマ−としては、例えば、テレフタル
酸、p−オキシ安息香酸、β−オキシ−6−ナフトエ
酸、パラシクロヘキシルジメタノ−ル、ポリエチレング
リコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ルなどがある。
【0012】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムには、平均粒径dが、
0.005〜3μmの粒子Aを少なくとも1種類以上含
有することが好ましい。粒子Aの種類としては、無機粒
子、有機粒子のいずれでもよい。無機粒子としては、特
に限定されないが、炭酸カルシウム粒子、コロイダルシ
リカ粒子、酸化チタン粒子等が好ましく例示される。炭
酸カルシウム粒子の場合には、特に限定されないが、結
晶形がカルサイト型、バテライト型の場合に、耐スクラ
ッチ性、耐ダビング性が特に良好となる。有機粒子とし
ては、特に限定されないが、架橋有機粒子が好ましい。
架橋有機粒子の場合には、特に限定されないが、ジビニ
ルベンゼン粒子および/またはシリコ−ン粒子が好まし
い。ジビニルベンゼン粒子とは、架橋成分としてジビニ
ルベンゼンを主体とするものをいう。つまり、ジビニル
ベンゼンが粒子成分の51%以上、好ましくは60%以
上、さらに好ましくは75%以上のジビニルベンゼン共
重合体粒子が好ましい。他の成分としては、特に限定さ
れないが、例えばエチルビニルベンゼン、ジエチルベン
ゼン等の架橋しない成分があげられる。また、シリコ−
ン粒子とはオルガノポリシロキサンを主たる成分とする
ものが例示される。
【0013】この粒子Aの粒径は、平均粒径dが、0.
005〜3μm、好ましくは0.02〜1.5μm、さ
らに好ましくは0.03〜1μmである。平均粒径が、
上記範囲を外れると、耐スクラッチ性、耐ダビング性が
ともに良好とはなりにくい。また、粒子Aの含有量は特
に限定されないが、0.01〜10重量%、好ましくは
0.05〜8重量%、さらに好ましくは0.1〜6重量
%の場合に耐スクラッチ、耐ダビング性が特に良好とな
る。
【0014】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムには、耐スクラッチ性、
耐ダビング性の点から、上記粒子Aの他に、さらに他の
粒子Bを含有してもよい。他の粒子Bとしては、特に限
定されないが、結晶形がδ型、θ型、η型、γ型のアル
ミナ、ジルコニア、シリカ等の凝集粒子等が好ましく例
示される。これらの粒子を複数併用して用いてもよい。
凝集粒子の一次径は特に限定されないが、5〜200n
m、好ましくは10〜150nm、さらに好ましくは1
5〜100nm、二次径は特に限定されないが、30〜
1000nm、好ましくは40〜800nm、さらに好
ましくは50〜600nmの場合に耐スクラッチ性、耐
ダビング性がより一層良好となる。
【0015】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムにコ−ティングされる有
極性高分子としては、水酸基、エ−テル基、アミド基、
メトキシ基等の極性基を持ち、分子量が1万〜200
万、好ましくは10万〜100万のものが使用される。
分子量が1万を下まわると、被膜が柔らかくなり、構造
維持が難しくなり、耐久性が悪くなる。分子量が200
万を上まわると被膜がかたくなりすぎ、もろくなり、や
はり耐久性が悪くなる。かかる有極性高分子としては、
ポリビニルアルコ−ル、トラガントゴム、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、メチルセルロ−ス、ヒドロキ
シエチルセルロ−ス、水溶性ポリエステルエ−テル共重
合体等が適用でき、これらのブレンド体も適用できる。
有極性高分子の極性のために、強磁性薄膜の付着強度が
上昇する。
【0016】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムには、さらに、本発明の
目的を阻害しない範囲内で他種ポリマをブレンドしても
よいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線吸収
剤などの各種添加剤が通常添加される程度添加されてい
てもよい。
【0017】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムは、上記組成物からな
り、特に限定されないが、二軸配向せしめたフィルムの
場合に耐スクラッチ性が良好となるので好ましい。この
配向の程度は特に限定されないが、高分子の分子配向の
目安であるヤング率が長手方向、幅方向ともに350k
g/mm2 である場合に耐スクラッチ性がより一層良好
となるので特に好ましい。
【0018】また、本発明フィルムは、ヤング率が上記
範囲内であっても、フィルムの厚さ方向の一部分、例え
ば表層付近のポリマ分子の配向が無配向、あるいは一軸
配向になっていない、すなわち厚さ方向の全部分の分子
配向が二軸配向である場合に耐スクラッチ性、耐ダビン
グ性がより一層良好となる。特にアッベ屈折率計、レ−
ザ−を用いた屈折率計、全反射レ−ザ−ラマン法などに
よって測定される分子配向が、表面、裏面ともに二軸配
向である場合に耐スクラッチ性、耐ダビング性がより一
層良好となる。
【0019】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムは、耐スクラッチ性、耐
ダビング性の点から、前記の少なくとも1種類の粒子A
を含有するフィルムが、少なくとも2層構造からなる積
層フィルムの1つの層であることが好ましい。
【0020】前記粒子Aを含有するフィルム層の厚さ
は、特に限定されないが、耐スクラッチ性、耐ダビング
性の点から、0.005〜3μm、好ましくは0.01
〜2μm、さらに好ましくは0.02〜1μmである。
【0021】さらに、粒子Bを併用する場合、粒子Aと
粒子Bは、同じ層に含有されていてもよいし、また、異
なる層に含有されていてもよいが、耐スクラッチ性、耐
ダビング性の点から特に好ましいのは、粒子Aと粒子
Bが少なくとも片面側の同じ最外層に含有され、そのフ
ィルム層厚さtと粒子Aの粒径dの関係が、0.2d≦
t≦10d、好ましくは0.5d≦t≦5d、さらに好
ましくは0.5d≦t≦3dの場合、または、粒子A
を含有するフィルムの層の厚さtと粒子Aの粒径dの関
係が、0.2d≦t≦10d、好ましくは0.5d≦t
≦5d、さらに好ましくは0.5d≦t≦3dであっ
て、その外側に粒子Bを含有する層が最外層として存在
し、その最外層の厚さが0.005〜1μm、好ましく
は0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.02〜
0.3μmの場合である。
【0022】上記積層構成において、前記粒子Aを含有
するフィルム層以外の層を構成するポリマは、特に限定
されないがポリエステルが好ましい。ポリエステルとし
ては特に限定されないが、エチレンテレフタレ−ト、エ
チレン−α,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン
−4,4’−ジカルボキシレ−ト、エチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレ−ト単位から選ばれた少なく
とも一種の構造単位を主要構成成分とする場合に耐スク
ラッチ性、耐ダビング性がより良好となるので好まし
い。なかでも、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレ−トを主要構成成分とするポリエステルの場合に
耐スクラッチ性、耐ダビング性がより一層良好となるの
で特に好ましい。
【0023】また、該積層構成において、前記粒子Aを
含有するフィルム層以外の層を構成するポリマ中に粒子
を含有してもかまわない。この場合、炭酸カルシウム、
アルミナ、シリカ、チタン、カ−ボンブラック等が例示
される。
【0024】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムは、特に限定されない
が、耐スクラッチ性、耐ダビング性の点から、少なくと
も片面の突起個数が2×103 〜5×106 個/mm2
が好ましい。少なくとも片面の突起個数は、好ましくは
3×103 〜4×106 個/mm2 ,より好ましくは5
×103 〜3×106 個/mm2 である。
【0025】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムは、特に限定されない
が、部分融解温度における融解熱量が0.01〜1.0
cal/g、好ましくは、0.05〜0.8cal/g
の場合に、耐スクラッチ性、耐ダビング性、カ−ル回復
性がより一層良好となる。
【0026】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレ−トフィルムの厚さは用途に応じて適
宜選択できるが、通常は厚さが500μm以下の膜状物
であり、より好ましくは3〜150μm、さらに好まし
くは4〜125μmの範囲のものをいう。
【0027】磁気記録層とは、磁場によって磁化するこ
とのできる層であり、磁性層は、強磁性粒子およびバイ
ンダ−を含む塗膜からなる塗布型および強磁性金属薄膜
よりなる金属薄膜型のいずれも適用でき、強磁性物質と
しては、γ−Fe2 3 ,Fe3 4 ,Co含有γ−F
2 3 、Co含有γ−Fe2 3 −Fe3 4 固容
体、Co系化合物被覆型γ−Fe2 3 ,Co系化合物
被覆型γ−Fe3 4 (γ−Fe2 3 との中間酸化状
態も含む。ここでいうCo系化合物とは、酸化コバル
ト、コバルトフェライト、コバルトイオン吸着物等、コ
バルトの磁気異方性を保持力向上に活用する場合を示
す)、あるいは、鉄、コバルト、ニッケルその他の強磁
性金属あるいはFe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、
Fe−Rh、Fe−Cu、Fe−Au、Co−Cu、C
o−Au、Co−Y、Co−La、Co−Pr、Co−
Gd、Co−Sm、Co−Pt、Ni−Cu、Fe−C
o−Nd、Mn−Bi、Mn−Sb、Mn−Alのよう
な磁性合金、更にBaフェライト、Srフェライトのよ
うなフェライト系磁性体を挙げることができる。
【0028】本発明における部分融解とは、ポリマの一
部が融解することであり、ポリマ全体が軟化したり、流
れたり、あるいは形状が大きく変形したりすることはな
く、外観上はほとんど変化がないように見える部分的な
融解であり、本発明フィルム全体の融解エネルギ−の5
%以下の融解エネルギ−を有するものをいう。
【0029】本発明の場合、部分融解温度Tpは、80
〜180℃、好ましくは90〜160℃、より好ましく
は100〜140℃である。Tpが80℃未満だと長時
間走行させると磁気記録媒体のバック面と金属などのガ
イドとの接触による摩擦係数の増大が大きくなり、その
ためにテ−プ鳴りや、走行スピ−ドの変動あるいは磁性
層の部分剥離などを生ずる。さらに120℃以上だと走
行耐久性、削れ性も良好となる。また、Tpが80℃未
満であると、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレ−ト分子の安定性が不充分であるため、カール
回復性が不良となる。
【0030】一方、部分融解温度Tpが180℃を越え
ると長時間走行させると磁気記録媒体のバック面のコ−
ト層の剥離,脱落や、さらにはベ−スポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト層からのポリマ
あるいはそれに添加されている無機物・有機物などの添
加剤が脱落し、磁性層の部分剥離を生じ磁気記録特性の
大巾な悪化につながる。また、添加剤の脱落は、カール
回復性の大幅な悪化にもつながる。
【0031】本発明のフィルムは、片面あるいは両面に
磁性層を設ける場合や、片面に磁性層、他の片面にバッ
クコ−ト層を設ける磁気テ−プ、磁気ディスクなどに用
いることができる。また、カール回復性が良好なため、
ロール状写真感光材料のベースフィルムとして好適に用
いられる。
【0032】次に本発明フィルムの製造方法について述
べるが必ずしもこれに限定されるものではない。
【0033】ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレ−トとして、極限粘度[η]0.4〜2.0d
l/g、好ましくは0.60〜0.90dl/gで、ジ
エチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ルなどのコ
モノマ−を5モル%以内含有したポリマを用いる。本発
明の場合、添加剤としては特に平均粒径dが0.05〜
3.0μmのコロイダルシリカ粒子、例えば、0.1〜
0.4μmのものを添加すれば、本発明の効果であるポ
リマあるいは添加剤の脱落が、特に少なくなるばかりか
長時間使用後の走行性も向上し、長時間安定して使用で
きるようになる。該ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレ−トを押出機に供給し、融解させた後、
ギヤポンプで正確に定量した後、口金からシ−ト状に押
出す。該溶融シ−トを、20〜70℃に冷却されたクロ
ムメッキロ−ル上に、静電荷を印加させながらキャスト
し、冷却固化させた。該キャストシ−トを、ロ−ル表面
温度90〜160℃に加熱された予熱・延伸ロ−ル上で
加熱し、長手方向に3〜7倍延伸後、90〜190℃に
加熱されたテンタ−内に導入し、幅方向に3〜7倍延伸
し、続いて幅方向に0〜10%のリラックスを許しなが
ら120〜240℃で熱固定し、厚さ4〜150μmの
二軸配向フィルムを得る。場合によっては、該二軸配向
フィルムを、再縦延伸、再横延伸してもよい。再縦延
伸、再横延伸の方法としては、例えば、同時二軸延伸テ
ンタ−に導入し120〜240℃に加熱後、長手方向に
1.1〜2.2倍、幅方向に0.8〜1.5倍延伸後、
150〜240℃で長手方向に0〜10%のリラックス
を許しながら熱処理しト−タルの長手方向延伸倍率とし
て4〜13倍、幅方向延伸倍率として3〜8倍延伸して
もよい。
【0034】該二軸配向フィルムを更にポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トの不活性な熱媒
中で熱処理する。不活性な熱媒としては、水、四塩化炭
素、トリクロロエチレンなどで代表される液体あるいは
気体状のものが例示される。処理熱媒の温度は好ましく
は90〜130℃、より好ましくは100〜120℃の
範囲である。これ以外の温度で処理した場合、部分融解
温度が本発明温度範囲に入らなくなる場合がある。処理
時間は好ましくは0.1〜100秒、より好ましくは1
〜30秒間であり、長手方向、巾方向の各方面のリラッ
クス率は5〜20%程度である。この処理中の長手方向
の張力は6kg/m幅以下でない場合、部分融解温度が
本発明温度範囲に入らなくなる場合がある。
【0035】または、この該二軸配向フィルムをロ−ル
に巻き、張力をかけた状態で、フィルムのガラス転移温
度以下の温度で処理してもよい。処理温度は好ましくは
80〜130℃、より好ましくは100〜120℃の範
囲である。処理時間は好ましくは10分〜48時間、よ
り好ましくは2〜10時間である。フィルムにかける長
手方向の張力は、処理温度におけるフィルムの熱収応力
にほぼ等しいことが好ましい。
【0036】または、該二軸配向フィルムをロ−ルに巻
取る時に、赤外ランプ(ハロゲンランプ、)を用いて、
波数600〜1000cm-1の赤外光を選択的に照射す
るという処理を行ってもよい。処理時間は、1秒〜30
0秒の範囲である。この処理は、フィルムを製品幅にス
リットする時に行ってもよい。
【0037】次に該ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレ−トフィルムの表面に好ましくは活性化
処理をして表面濡れ張力を60dyn/cm以上にした
のち、塗布型あるいは蒸着型の磁気記録層をコ−ティン
グし、それと反対面に必要なら易滑性のバックコ−ト層
をコ−ティングすることができる。
【0038】
【作用】本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレ−トフィルムを磁気記録媒体に用いた場
合、ベ−ス層であるポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレ−トフィルムに、特定の温度で部分融解
すなわち吸熱しうる特別の構造を付与させたので、走行
中、あるいは磁性層や易滑層のコ−ティング中の加熱に
よっても、ベ−スフィルムの表面特性の変化が生じない
という優れた作用を有する。また、磁気記録媒体用途以
外にも、熱収縮率が小さいことなどにより、コンデンサ
−用途等に、それに加えて、巻ぐせカ−ル回復性に優れ
ていることから写真材料用にも使用できる。
【0039】次に本発明で使用した用語、測定法につい
て述べる。
【0040】(1)部分融解温度Tp、部分融解熱量、
フィルムのガラス転移温度 フィルムサンプル10mg入れたDSCパンを走査熱量
計(DSC,例えばパ−キンエルマ−社製DSC−II型
など)にセットし、窒素気流下で20℃から昇温速度2
0℃/分で昇温して行き、少なくとも230℃まで測定
した。部分融解温度Tpは、測定したDSC曲線にベ−
スラインを引き、ベ−スラインより吸熱側にずれ始める
温度T1 と、吸熱側からベ−スラインに戻った温度T2
との算術平均値((T1 +T2 )/2)と定義する。部
分融解熱量は、DSC曲線において、T1 とT2 におけ
るベ−スラインとDSC曲線に囲まれた面積から求め
た。フィルムのガラス転移温度は、常法にしたがって、
温度−比熱曲線から求めた。 (2)極限粘度[η] ポリマ−をo−クロロフェノ−ルに溶かして測定したも
ので、ASTMD−1601にしたがう(単位dl/
g)。
【0041】(3)表面粗さRa JIS B−0601−1976により粗さ曲線から測
定したもので、カットオフ値0.25mm、測定長4m
mで行なった。
【0042】(4)ヤング率 JIS Z−1702に規定された方法にしたがって、
インストロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25
℃、65%RHにて測定した。
【0043】(5)走行耐久性 テ−プ走行試験機TBT−300型[(株)横浜システ
ム研究所製]を使用し、25℃、50%RHの雰囲気で
100回繰り返し走行させ初期の動摩擦係数μkと10
0回繰り返し走行後のμkを下記の式より求め、これら
二つの値の差(100回繰り返し走行後のμk−初期μ
k)で走行耐久性を表わした。
【0044】μk=(1/π)・ln(T1 /T0 ) ここでT0 は入側張力(50g)、T1 は出側張力であ
り、ガイド径は8mmφであり、ガイド材質はSUS2
7(表面硬度0.2S)、巻き付け角は180°、走行
速度は3.3cm/秒である。
【0045】[100回繰り返し後のμkと初期μkと
の差] [判定] 0.02未満 ○ 0.02以上〜0.2未満 △ 0.2以上(100回未達を含む) × (6)削れ性:下記白粉量判定基準に準じる。
【0046】テ−プ走行試験機TBT−300型
[(株)横浜システム研究所製]を使用し、25℃、6
5%RHの雰囲気で300回繰り返し走行させた後、ガ
イド部に付着した白色の削れ粉(白粉)を目視にて判定
する。
【0047】ここで、ガイド径は8mmφであり、ガイ
ド材質はSUS27(表面粗度0.2S)、巻き付け角
は180゜、走行速度は3.3cm/秒である。
【0048】 非常に少ない ◎ 白粉量判定基準 少ない ○ やや多い △ 非常に多い × (7)熱収縮率 JIS C−2318に規定された方法をもとにして測
定した。ただし、オ−ブン中の保持時間は30分とし
た。
【0049】 0.05%未満 ○ 各処理温度において熱収縮率が 0.05%以上〜0.4%未満 △ 0.4%以上 × (8)平均粒径 フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1
0万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約1
00nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。
粒子Aの粒径は単分散粒子について、粒子Bの一次粒径
は、粒子Bの分割できない粒子最小単位について、粒子
Bの二次粒径は凝集体について、それぞれ等価円相当径
の平均値である。なお、粒子Aの粒径は重量平均、粒子
Bの一次粒径、二次粒径は個数平均とする。
【0050】(9)粒子の含有量 ポリエステルは溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をポリエステルから遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
場合によっては赤外分光法の併用も有効である。
【0051】(10)積層フィルムの積層厚み 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子のうち最
も高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素元
素の濃度比(M+ /C- )を粒子濃度とし、表面から深
さ3000nmまで厚さ方向の分析を行なう。表層では
表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざか
るにつれて粒子濃度は高くなる。本発明フィルムの場合
は、一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。
この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/
2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深
い)を求め、これを積層厚みとした。条件は次のとお
り。
【0052】測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) 独、ATOMI
KA社製 A−DIDA3000 測定条件 1次イオン種 O2 + 1次イオン加速電圧 12kV 1次イオン電流 200nA ラスタ−領域 400μm□ 分析領域 ゲ−ト30% 測定真空度 6.0×10-9Torr E−GUN 0.5kV−3.0A なお、表層からの深さ3000nmの範囲に最も多く含
有する粒子が有機高分子粒子の場合は、SIMSでは測
定が難しいので、表層からエッチングしながらXPS
(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記
同様のデプスプロファイルを測定し積層厚みを求めても
良いし、また、電子顕微鏡等による断面観察で粒子濃度
の変化状態やポリマの違いによるコントラストの差から
界面を認識し積層厚みを求めることもできる。さらには
積層ポリマを剥離後、薄膜段差測定機を用いて積層厚み
を求めることもできる。
【0053】(11)フィルム表面の分子配向 ナトリウムD線(589nm)を光源として、アッベ屈
折率計を用いて測定した。マウント液にはヨウ化メチレ
ンを用い、25℃、65%RHにて測定した。ポリマの
二軸配向性は長手方向、幅方向、厚さ方向の屈折率をN
1 、N2 、N3とした時、(N1 −N2 )の絶対値が0.
07以下、かつ、N3 /[(N1 +N2 )/2]が0.
95以下であることをひとつの基準とできる。また、
レーザー型屈折率計を用いて屈折率を測定してもよい。
さらに、この方法では測定が難しい場合は全反射レーザ
ーラマン法を用いることもできる。レーザー全反射ラマ
ンの測定は、Jobin-Yvon社製Ramanor U−1000ラマ
ンシステムにより、全反射ラマンスペクトルを測定し、
例えばPETの場合では、1615cm-1(ベンゼン環
の骨格振動)と1730cm-1(カルボニル基の伸縮振
動)のバンド強度比の偏光測定比(YY/XX比など。
ここでYY:レーザーの偏光方向をYにしてYに対して
平行なラマン光検出、XX:レーザーの偏光方向をXに
してXに対して平行なラマン光検出)が分子配向と対応
することを利用できる。ポリマの二軸配向性はラマン測
定から得られたパラメータを長手方向、幅方向の屈折率
に換算して、その絶対値、差などから判定できる。この
場合の測定条件は次のとおりである。
【0054】光源 アルゴンイオンレ−ザ−(5145オングストローム) 試料のセッティング フィルム表面を全反射プリズムに圧着させ、レ−ザのプ
リズムへの入射角(フィルム厚さ方向との角度)は60
゜とした。
【0055】検出器 PM:RCA31034/Photon Counting System(Hamamatsu C1
230) (supply 1600V) 測定条件 スリット 1000μm レ−ザ− 100mW ゲ−ト時間 1.0sec 測定速度 12cm-1/min サンプリング間隔 0.2cm -1 繰り返し回数 6 (12)耐スクラッチ性 フィルムを幅1/2 インチのテ−プ状にスリットしたもの
をテ−プ走行性試験機を使用して、ガイドピン(表面粗
度:Raで100nm)上を走行させる(走行速度25
0m/分、走行回数1パス、巻き付け角:60゜、走行
張力:90g)。この時、フィルムに入った傷を顕微鏡
で観察し、幅1μm以上の傷がテ−プ幅あたり2本未満
は優、2本以上10本未満は良、10本以上は不良と判
定した。優が望ましいが、良でも実用的には使用可能で
ある。
【0056】(13)耐ダビング性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビヤロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テス
トカレンダ−装置(スチ−ルロール/ナイロンロール、
5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカ
レンダ−処理した後、70℃、48時間キュアリングす
る。
【0057】 (磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄 :100重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体 : 10重量部 ・ポリウレタンエラストマ : 10重量部 ・ポリイソシアネート) : 5重量部 ・レシチン : 1重量部 ・メチルエチルケトン : 75重量部 ・メチルイソブチルケトン : 75重量部 ・トルエン : 75重量部 ・カーボンブラック : 2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 次に、下記組成のバックコ−ト層用塗料を、先に磁性層
を形成した基材の反対側に乾燥厚みが1.0μmになる
ように塗布、乾燥を行ない、カレンダ−にて表面平滑化
処理を行なった後、熱硬化させた。
【0058】 (バックコ−ト層用塗料) ・酸化マグネシウム100μm :120重量部 ・カ−ボンブラック 30μm : 80重量部 ・硬化剤 コロネ−トL : 20重量部 ・潤滑剤 ステアリン酸 : 4重量部 ・ステアリン酸ブチル : 2重量部 ・硝化綿 : 40重量部 ・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ−ル共重合体 : 30重量部 (積水化学製、エレックスA) ・ポリウレタンエラストマ− : 30重量部 (B.Fグッドリッチ社製 エッセン5703) ・混合溶剤(MIBK/トルエン) :250重量部 上記テ−プ原反を1/2インチにスリットし、パンケー
キを作成した。このパンケ−キから長さ250mの長さ
をVTRカセットに組み込みVTRカセットテープとし
た。このテープに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形
発生器により100%クロマ信号を記録し、その再生信
号からカラ−ビデオノイズ測定器でクロマS/Nを測定
しAとした。また上記と同じ信号を記録したマスタ−テ
ープのパンケーキを磁界転写方式のビデオソフト高速プ
リントシステム(スプリンタ)を用いてAを測定したの
と同じ試料テープ(未記録)のパンケーキへダビングし
た後のテープのクロマS/Nを上記と同様にして測定
し、Bとした。このダビングによるクロマS/Nの低下
(A−B)が3dB未満の場合は耐ダビング性:優、3
dB以上5dB未満の場合は良、5dB以上は不良と判
定した。優が望ましいが、良でも実用的には使用可能で
ある。
【0059】(14)表面濡れ張力 JIS K−6788にしたがって測定した。
【0060】(15)巻ぐせカ−ル回復性 フィルムから幅35mm、長さ133mmの試料を作
り、直径10mmの巻芯に巻き、30%RH下に70℃
で72時間の加熱処理を行った。その後、巻芯から解放
し40℃の蒸留水に30分間浸漬後、サンプルを垂直に
吊るし、30gの荷重をかけ、50℃の空気恒温槽で5
分間乾燥した。この処理したフィルムサンプルを平面上
に置いて、サンプル長を測定し、元のサンプル長133
mmに対する比(%)により、巻ぐせカ−ル回復性を評
価した。
【0061】
【実施例】次に実施例に基づき、本発明をさらに詳細に
説明する。
【0062】実施例1(表1) ジエチレングリコ−ルを0.1モル共重合させたポリエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トPEN
(極限粘度[η]=0.65dl/g)に、コロイダル
シリカ粒子として平均粒径0.2μmのものを0.25
%添加した。該PENを押出機に供給し、300℃で溶
融させ、ギヤポンプで定量後、Tダイ口金から溶融シ−
トを押出し、45℃に保たれたクロムメッキドラム上に
静電荷を印加させながらキャストした。該キャストシ−
トを130℃に加熱されたロ−ル上に接触させて長手方
向に4.5倍延伸後、冷却し、つづいて125℃に加熱
されたステンタ−内で5.0倍幅方向に延伸後、200
℃で2%のリラックスを許しながら熱固定した。さら
に、該フィルムを同時二軸延伸テンタ−に導入し、15
0℃で長手方向に1.2倍、幅方向に1.1倍同時延伸
し、つづいて185℃で長手方向、幅方向にそれぞれ2
%、5%リラックスし、ト−タルで長手方向5.4倍、
幅方向に5.5倍延伸した。
【0063】つづいて、各種温度に保たれたトリクロロ
エチレンの熱媒槽中に導き、20秒間、長手方向に2%
のリラックスを許し、長手方向の張力1.5kg/m幅
で処理を行ない乾燥後、厚さ7.0μmのフィルムをワ
インダ−にてロ−ル状に巻取った。このフィルムの表面
粗さRaは0.007μmと平滑であった。このフィル
ムの特性は第1表に示したとおりであり、寸法安定性、
耐スクラッチ性、耐ダビング性が良好であった。
【0064】
【表1】 実施例2(表2) 粒子Aとして、粒子中の組成がジビニルベンゼン81%
である平均粒径dが0.45μmのジビニルベンゼン粒
子の水スラリ−を、直接、ジエチレングリコ−ルを0.
1モル共重合させたポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレ−トPEN(極限粘度[η]=0.65
dl/g)と混合し、ベント式の2軸混練押出機を用い
て練り込み、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレ−トのマスタペレットを得た。また、別途、粒
子を含有しないポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレ−トのマスタペレットを常法により得た。
【0065】これらのポリマを適当量混合し(ポリマ
A:無粒子+ジビニルベンゼン粒子、ポリマB:無粒
子)、180℃で8時間減圧乾燥(3Torr)した後、そ
れぞれ押出機1、押出機2に供給し295℃、300℃
で溶融した。これらのポリマを高精度瀘過した後、矩形
合流部にて3層積層とした(A/B/A)。
【0066】これを静電印加キャスト法を用いて表面温
度25℃のキャスティング・ドラムに巻き付けて冷却固
化し、未延伸フィルムを作った。この時、口金スリット
間隙/未延伸フィルム厚さの比を10とした。また、そ
れぞれの押出機の吐出量を調節し総厚さ、熱可塑性樹脂
A層の厚さを調節した。
【0067】この未延伸フィルムを温度140℃に加熱
されたロ−ル上に接触させて長手方向に4.8倍延伸
後、冷却し、つづいて135℃に加熱されたステンタ−
内で5.2倍幅方向に延伸後、210℃で3%のリラッ
クスを許しながら熱固定した。さらに、該フィルムを同
時2軸延伸テンタ−に導入し、160℃で長手方向に
1.2倍、幅方向に1.1倍同時延伸し、つづいて、1
90℃で長手方向、幅方向ともに3%リラックスした。
【0068】つづいて、各種温度に保たれたトリクロロ
エチレンの熱媒槽中に導き、30秒間、長手方向に1%
のリラックスを許し、長手方向の張力1.6kg/m幅
で処理を行ない乾燥後、8μmのフィルムをワインダ−
にてロ−ル状に巻取った。このフィルムの特性は第2表
に示したとおりであり、寸法安定性、耐スクラッチ性、
耐ダビング性が良好であった。
【0069】
【表2】 比較例1〜3(表3) 粒子Aとして、粒子中の組成がジビニルベンゼン81%
である平均粒径dが0.45μmのジビニルベンゼン粒
子の水スラリ−を、直接ポリエチレンテレフタレ−ト
(極限粘度[η]=0.60dl/g)と混合し、ベン
ト式の2軸混練押出機を用いて練り込み、ポリエチレン
テレフタレ−トのマスタペレットを得た。また、別途、
粒子を含有しないポリエチレンテレフタレ−トのマスタ
ペレットを常法により得た。
【0070】これらのポリマを適当量混合し(ポリマ
A:無粒子+ジビニルベンゼン粒子、ポリマB:無粒
子)、180℃で8時間減圧乾燥(3Torr)した後、押
出機に供給し280℃で溶融した。これらのポリマを高
精度瀘過した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度
25℃のキャスティング・ドラムに巻き付けて冷却固化
し、未延伸フィルムを作った。この時、口金スリット間
隙/未延伸フィルム厚さの比を10とした。また、それ
ぞれの押出機の吐出量を調節し総厚さを調節した。この
未延伸フィルムを温度95℃に加熱されたロ−ル上に接
触させて長手方向に3.7倍延伸した。この延伸は2組
ずつのロ−ルの周速差で、4段階で行った。この一軸延
伸フィルムをテンタ−を用いて温度100℃、延伸速度
2000%/分で幅方向に4.0倍延伸し、200℃に
て2%のリラックスを許しながら5秒間熱処理した。さ
らに、該フィルムを同時2軸延伸テンタ−に導入し、1
50℃で長手方向に1.2倍、幅方向に1.1倍同時延
伸し、つづいて、185℃で長手方向、幅方向にそれぞ
れ2%、3%リラックスした(比較例1)。
【0071】つづいて、60℃に保たれたトリクロロエ
チレンの熱媒槽中に導き、30秒間、長手方向に1%の
リラックスを許し、長手方向の張力1.6kg/m幅で
処理を行ない乾燥後、8μmのフィルムをワインダ−に
てロ−ル状に巻取った(比較例2)。
【0072】実施例1において、熱媒処理前のフィルム
を比較例3とする。
【0073】第3表に示したとおり、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トフィルムでTp
=140℃を示すフィルムは、他のフィルムと比較し
て、高温まで熱収縮率が小さいことがわかる。
【0074】
【表3】 表1,2,3に示したようにポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレ−トフィルムのTpを80〜1
80℃、好ましくは130〜160℃の範囲に設けるこ
とにより、熱収縮率が小さくなり、耐スクラッチ性、耐
ダビング性を両立させることがわかる。この時の熱媒槽
の温度としては、90〜130℃、好ましくは100〜
120℃の温度範囲で処理するのがよいことがわかる。
【0075】実施例3(表4、5) 実施例1において、熱媒処理前のフィルムをフィルム幅
が1500mm以下になるようにスリットしロ−ルに巻
いた。そのロ−ルをフィルムに張力がかかった状態で、
90℃の熱風オ−ブン中で20時間熱処理を行った。こ
のフィルムの特性は第4表に示したとおり、耐スクラッ
チ性、耐ダビング性、熱寸法安定性(熱収縮率)が良好
であった。
【0076】実施例4(表4) 実施例2において、熱媒処理前のフィルムをフィルム幅
が1500mm以下になるようにスリットしロ−ルに巻
いた。そのロ−ルをフィルムに張力がかかった状態で、
110℃の熱風オ−ブン中で10時間熱処理を行った。
このフィルムの特性は第4表に示したとおり、耐スクラ
ッチ性、耐ダビング性、熱寸法安定性(熱収縮率)が良
好であった。
【0077】実施例5(表4) 実施例4において、フィルム幅を1500mm以下の製
品幅にスリットするときに、赤外ランプ(6kW)の6
00〜1000cm-1の波数の赤外光を20秒間フィル
ムに照射した後、ロ−ルに巻いた。このフィルムの特性
は第4表に示したとおり、耐スクラッチ性、耐ダビング
性、熱寸法安定性(熱収縮率)が良好であった。
【0078】実施例6(表6) ジエチレングリコ−ルを0.05モル共重合させたポリ
エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トPE
N(極限粘度[η]=0.63dl/g)に、コロイダ
ルシリカ粒子として平均粒径0.2μmのものを0.3
%添加した。該PENを押出機に供給し、300℃で溶
融させ、ギヤポンプで定量後、Tダイ口金から溶融シ−
トを押出し、45℃に保たれたクロムメッキドラム上に
静電荷を印加させながらキャストした。該キャストシ−
トを135℃に加熱されたロ−ル上に接触させて長手方
向に4.4倍延伸後、冷却し、つづいて135℃に加熱
されたステンタ−内で5.0倍幅方向に延伸後、220
℃で2%のリラックスを許しながら熱固定した。厚さ9
0μmのフィルムをワインダ−にてロ−ル状に巻取っ
た。このフィルムをフィルム幅が1500mm以下にな
るようにスリットしロ−ルに巻いた。そのロ−ルをフィ
ルムに張力がかかった状態で、95℃の熱風オ−ブン中
で15時間熱処理を行った。このフィルムの特性は第6
表に示したとおり、熱寸法安定性(熱収縮率)、カ−ル
回復性が良好であった。
【0079】比較例4〜6(表4、5) 比較例1において、熱媒処理前のフィルムをフィルム幅
が1500mm以下になるようにスリットしロ−ルに巻
いた。そのロ−ルをフィルムに張力がかかった状態で、
60℃の熱風オ−ブン中で20時間熱処理を行った(比
較例4)。
【0080】実施例3において、熱風オ−ブンでの処理
前のフィルムを比較例5とする。
【0081】実施例3において、熱風オ−ブンでの処理
温度を70℃とし、10時間熱処理を行ったフィルムを
比較例6とする。
【0082】第5表に示したとおり、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トフィルムでTp
=130℃を示すフィルムは、他のフィルムと比較し
て、高温まで熱収縮率が小さいことがわかる。
【0083】比較例7〜8(表6) 実施例6において、熱風オ−ブンでの処理前のフィルム
を比較例7とする。
【0084】実施例6において、熱風オ−ブンでの処理
温度を60℃とし、15時間熱処理を行ったフィルムを
比較例8とする。
【0085】表4〜6に示したようにポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トフィルムのTp
を80〜180℃、好ましくは100〜140℃の範囲
に設けることにより、熱収縮率が小さくなり、また、耐
スクラッチ性、耐ダビング性、カ−ル回復性に優れてい
ることがわかる。この時の熱風オ−ブンの処理温度とし
ては、80〜130℃、好ましくは100〜120℃の
温度範囲で処理するのがよいことがわかる。
【0086】
【表4】
【表5】
【表6】
【0087】
【発明の効果】上記部分融解温度Tpを特定温度範囲に
したもので、これを用いた磁気記録媒体は次のような優
れた効果を生じる。
【0088】(1)さらに、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレ−トフィルム層、バック層、磁
性層などからの剥離物や脱落物などがなく、耐スクラッ
チ性、耐ダビング性に優れる。
【0089】(2)磁性層との接着力が向上し、簡単な
表面活性化法で、強力な接着が得られる。
【0090】(3)室温から130℃近傍までの寸法安
定性がよくなり、記録再生時の歪がほとんどない。
【0091】(4)モノマ−、オリゴマ−などの低分子
量物、さらには添加剤などが記録体表面にブリ−ドアウ
トすることなく、均一な記録・高密度な記録が行なえ
る。
【0092】また、上記部分融解温度Tpを特定温度範
囲にすると、写真材料用フィルムとして必要なカ−ル回
復性に優れた効果を生じる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
    ルボキシレ−トを主体とし、部分融解温度Tpが80〜
    180℃であることを特徴とするポリエチレン−2,6
    −ナフタレンジカルボキシレ−トフィルム。
  2. 【請求項2】 平均粒径dが、0.005〜3μmの粒
    子Aを0.01〜10重量%含有することを特徴とする
    請求項1のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
    キシレ−トフィルム。
  3. 【請求項3】 前記粒子Aの平均粒径d(nm)と粒子
    Aを含有する層厚さt(nm)との関係が 0.2d≦t≦10d である請求項1又は2に記載のポリエチレン−2,6−
    ナフタレンジカルボキシレ−トフィルム。
  4. 【請求項4】 少なくとも2層構造からなる積層フィル
    ムの1つの最外層が請求項1〜3いずれかに記載のフィ
    ルムであることを特徴とする積層ポリエチレン−2,6
    −ナフタレンジカルボキシレ−トフィルム。
  5. 【請求項5】 表面に有極性高分子がコ−ティングされ
    ていることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の
    ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ−ト
    フィルム。
  6. 【請求項6】 部分融解温度における部分融解熱量が
    0.01〜1.0cal/gであることを特徴とする請
    求項1〜5いずれかに記載のポリエチレン−2,6−ナ
    フタレンジカルボキシレ−トフィルム。
  7. 【請求項7】 磁気記録媒体に用いられてなることを特
    徴とする請求項1〜6いずれかに記載のポリエチレン−
    2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トフィルム。
  8. 【請求項8】 写真材料用に用いられてなることを特徴
    とする請求項1〜6いずれかに記載のポリエチレン−
    2,6−ナフタレンジカルボキシレ−トフィルム。
JP06278968A 1993-11-18 1994-11-14 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム Expired - Lifetime JP3129122B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06278968A JP3129122B2 (ja) 1993-11-18 1994-11-14 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28944793 1993-11-18
JP5-289447 1993-11-18
JP06278968A JP3129122B2 (ja) 1993-11-18 1994-11-14 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07188536A true JPH07188536A (ja) 1995-07-25
JP3129122B2 JP3129122B2 (ja) 2001-01-29

Family

ID=26553121

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06278968A Expired - Lifetime JP3129122B2 (ja) 1993-11-18 1994-11-14 ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3129122B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP3129122B2 (ja) 2001-01-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0238663A1 (en) POLYESTER FILM HAVING A HIGHLY ADHESIVE PLAIN SURFACE, AND MANUFACTURING METHOD THEREOF.
EP0347646A2 (en) Biaxially oriented laminated film
EP0435668B1 (en) Magnetic recording medium
JPH0277431A (ja) 二軸配向熱可塑性樹脂フィルム
US6461726B1 (en) Laminate film with organic particulate for a magnetic recording medium
JP2653238B2 (ja) 磁気記録媒体
JP2692320B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフイルム
JP3129122B2 (ja) ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム
JP2569853B2 (ja) 二軸配向熱可塑性樹脂フィルムおよびフィルムロール
JP2706338B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフイルムおよびその加工物
JP2687621B2 (ja) 磁気テープベース用二軸配向熱可塑性樹脂フイルム
JP3293229B2 (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
JP3277671B2 (ja) 二軸配向積層ポリエステルフィルム
JP2812136B2 (ja) 二軸配向積層フィルム
KR100313684B1 (ko) 자기기록매체
JP2998457B2 (ja) 二軸配向フィルム
JPH06128393A (ja) 二軸配向フィルム
JP2870080B2 (ja) ビデオカセットテープ
JP2666500B2 (ja) 高密度記録用ビデオテープ
JP2666499B2 (ja) オーディオテープ
JP2887326B2 (ja) 強磁性金属薄膜用支持体
JPH05318582A (ja) 二軸配向積層フイルム
JP2743695B2 (ja) 二軸配向積層フイルム
JP2803774B2 (ja) 二軸配向積層フイルム
JPH06325349A (ja) 磁気記録テープ

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071117

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081117

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081117

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091117

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091117

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111117

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121117

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121117

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131117

Year of fee payment: 13

EXPY Cancellation because of completion of term