JPH07188257A - トリイソシアナトシランの製造法 - Google Patents

トリイソシアナトシランの製造法

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JPH07188257A JP4963793A JP4963793A JPH07188257A JP H07188257 A JPH07188257 A JP H07188257A JP 4963793 A JP4963793 A JP 4963793A JP 4963793 A JP4963793 A JP 4963793A JP H07188257 A JPH07188257 A JP H07188257A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トリクロロシランとシアン酸アルカリを原料
として用い、アセトニトリル存在下にしかも上記イソシ
アナートによる不均化反応の促進を抑制しうるような反
応条件下に、両者を反応させて高収率でトリイソシアネ
ートシランを製造する方法を提供することを目的とする
ものである。 【構成】 トリクロロシランとシアン酸アルカリを反応
させてトリイソシアナトシランを製造する方法におい
て、前記反応をアセトニトリルを少量含有する有機溶媒
中で行なうことを特徴とするトリイソシアナトシランの
製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トリイソシアナトシラ
ン(以下TISと略す)の新規な製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明により得られるTISは、化学構
造上極めて反応性が高く、無機材料の表面改質、有機材
料の表面改質、架橋、接着、有機合成の反応試剤、カッ
プリング剤等への利用が期待される。
【0003】TISの製造法としては従来トリクロロシ
ランとシアン酸銀を有機溶媒中で反応させる方法のほ
か、18‐クラウン‐6を触媒としてトリクロロシラン
とシアン酸ナトリウムを高沸点の有機溶媒中で反応させ
る方法が米国特許第4,176,131号(1978年
12月4日公開)で報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】TISは他のイソシア
ナトシランと異なり合成の報告例が非常に少ない。クロ
ロシランを原料としてシアン酸銀を反応させる方法(V.
P.Kozyukov, V.D.Sheludyakov, and V.F.Mironov, Rus
s.Chem.Rev., 42(8), 662, (1973))は、他のイソシア
ナトシランを合成する手段として有効であるが、TIS
の場合は、Si‐H結合が還元性であるためシアン酸銀
と酸化還元反応を起こし、銀が析出すると共にテトライ
ソシアナトシラン(62%)を生成する。
【0005】 2HSiCl+8AgOCN → 2Si(NCO)+6AgCl+2Ag+H (1) その結果、TISは15%の収率でしか得られない(F.
Hoefler, G.Jaegerhuber, W.Veigl, Monatsh.Chem., 10
5(3), 539, (1974))。また、原料としてトリクロロシラ
ンよりも反応性の高いトリヨードシランを用いると、T
ISの合成収率は25%になる。しかし、トリヨードシ
ランは高価であり、汎用原料として一般的でないので工
業化に適さない。その他の合成法としては、18‐クラ
ウン‐6を触媒として、高沸点溶媒中でトリクロロシラ
ンとシアン酸ナトリウムを反応させる方法があり、上述
の場合と同様にTISが収率24.5%で得られ、同時
に未反応物のトリクロロシランが20.4%回収される
(U.S.Patent, 4176131, (1979))。
【0006】しかし、これらいずれの方法においてもT
ISの合成収率は低く、原料も高価であるため工業的に
TISを製造するのは困難であった。
【0007】一方、F.Hoflerらにより、トリクロロシラ
ンとシアン酸カリウムをアセトニトリル中で反応させて
TISを合成する試み(F.Hoefler, G.Jaegerhuber, W.
Veigl, Monatsh.Chem., 105(3),539, (1974)) がなされ
ているが、SiCl,HSiCl,HSiC
l,SiHを生ずる不均化反応が起こりやすく、原料
のトリクロロシランが消費されるためTISは得られ
ず、低収率でテトライソシアナトシランのみが得られる
と報告されている。さらに、この報告によれば反応系内
に存在するイソシアナトの陰イオンがこの不均化反応を
促進するとされている。
【0008】一方、アセトニトリルのみを溶媒とした場
合でも52%の収率でTISを得ることができる。しか
し、アセトニトリルは無機塩をよく分散するため固体の
濾別操作が非常に困難であり、さらに反応スケール(ト
リクロロシラン271g(2.0mol)使用)によっ
ては前述の不均化反応を誘発し易く、TISの収率が著
しく低下することがあるので合成条件として適当でな
い。
【0009】しかし、本発明者らは有機溶媒の中でも極
めて高い極性を持つアセトニトリルに着目したのであ
る。すなわち、アセトニトリルは高い極性(誘電率3
7.5(20℃),双極子モーメント3.44D(20
℃,ベンゼン))を持つため、無機塩の解離を促進する
効果が期待できる。また、原料のトルクロロシランと反
応しない非プロトン性有機溶剤であるので、TIS合成
の際の溶媒もしくは添加剤として最適と思われるからで
ある。
【0010】かくて本発明は上記シアン酸銀等に比べて
安価なトリクロロシランとシアン酸アルカリを原料とし
て用い、アセトニトリル存在下にしかも上記イソシアナ
ートによる不均化反応の促進を抑制しうるような反応条
件下に、両者を反応させて高収率でトリイソシアネート
シランを製造する方法を提供することを目的とするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】よって本発明は、トリク
ロロシランとシアン酸アルカリを反応させてトリイソシ
アナトシランを製造する方法において、前記反応をアセ
トニトリルを少量含有する有機溶媒中で行なうことを特
徴とするトリイソシアナトシランの製造法を提供するも
のである。
【0012】即ち、本発明はアセトニトリルを適当な割
合で混合した有機溶媒を反応溶媒とし、これにシアン酸
ナトリウム又はカリウム等のシアン酸アルカリを分散さ
せた後、この混合物に室温程度でトリクロロシランを滴
下し反応させることによりTISの合成を行うものであ
る。
【0013】本発明でアセトニトリルと共に用いる有機
溶媒は、シアン酸ナトリウムの解離に関与しないベンゼ
ン、トルエン、キシレンのような無極性溶媒が特に適し
ているが、原料のトリクロロシランに対し反応不活性な
非プロトン性有機溶媒であればこの限りでなく、他の有
機溶媒をアセトニトリルと共に反応溶媒として使用する
ことは差し支えない。
【0014】本発明は、従来の合成法のようなシアン酸
銀や18‐クラウン‐6等の高価な反応試剤を必要とせ
ず、工業的に製造されている比較的入手の容易なシアン
酸ナトリウムやアセトニトリルを用いるので、経済性に
優れている。
【0015】本発明に用いられるアセトニトリルは反応
溶媒の総量に対し3vol%程度で十分である。反応溶
媒中におけるアセトニトリルの含有率がこれより小さい
と反応が十分に進まず、未反応物として多量のトリクロ
ロシランが回収される。一方、アセトニトリルの含有率
が3%を越えると、アセトニトリルの含有率の増加に伴
い不均化反応が促進される傾向があり、TISの合成収
率が著しく減少し、テトライソシアナトシランの副生量
が増加する。かくてアセトニトリルの含有量は約2〜4
容量%の範囲が好ましく、これにより60〜70%の収
率でトリイソシアナトシランを得ることができる。
【0016】反応時間はトリクロロシランを滴下終了
後、3時間程度で十分である。反応温度は、従来のシア
ン酸銀や18‐クラウン‐6を用いた方法が58〜80
℃程度の比較的高いのに対し、アセトニトリルを用いた
本発明の場合は35℃程度でよく、室温でのTIS合成
も可能である。さらに、本発明で得られるTISは精留
管を用いて減圧蒸留することにより容易に単離でき、留
分として得られるTISはガスクロマトグラフにより純
度97%以上であることが確認されている。
【0017】
【実施例】 〔実施例−1〕 アセトニトリルを溶媒もしくは添加剤
としたトリイソシアナトシランの合成 内容積200mlの4つ口フラスコに、メカニカルスタ
ーラー、コンデンサーおよび滴下ロートを装着し反応系
内を窒素置換した後、4つ口フラスコに減圧乾燥した8
5%シアン酸ナトリウム34.4g(0.45mol)、3
vol%アセトニトリル−ベンゼン溶液100mlを入れ、こ
れを20℃に保持した。次に、滴下ロートにトリクロロ
シラン20.3g(0.15mol)、3vol%アセ
トニトリル‐ベンゼン溶液20mlを入れ、滴下した。
滴下終了後、35℃に保持しながら3時間撹拌した。固
体を濾別後、未反応物および溶剤を減圧除去したのち、
減圧蒸留してTIS 16.6g(70.1%)(b.
p.65.0−66.0/28[℃/mmHg])を得た。
【0018】アセトニトリル‐ベンゼンの混合比を変え
て同様の実験を行い、結果を表1および図1に示した。 〔実施例−2〕 アセトニトリルのみを溶媒としたトリ
イソシアナトシランの合成 内容積200mlの4つ口フラスコに、メカニカルスタ
ーラー、コンデンサーおよび滴下ロートを装着し反応系
内を窒素置換した後、4つ口フラスコに減圧乾燥した8
5%シアン酸ナトリウム34.4g(0.45mo
l)、アセトニトリル100mlを入れこれを20℃に
保持した。次に、滴下ロートにトリクロロシラン20.
3g(0.15mol)、アセトニトリル20mlを入
れ、滴下した。滴下終了後、35℃に保持しながら3時
間撹拌した。無機塩の分散を抑え固体の濾別を容易にす
るためにベンゼン100mlを加えたのち、固体を濾別
した。未反応物および溶剤を減圧除去し、減圧蒸留して
TIS 12.5g(52.6%)(b.p.58.4
−59.5/19[℃/mmHg])を得た。結果を表1お
よび図1に示した。
【0019】 表 1 TISの製造a) 容 量 分 率 留 出 物 , 収 率 g(%) CHCN(vol%) HSi(NCO) Si(NCO) 100 12.5(52.6) 1.4( 0.6) 95 10.1(42.8) 3.0( 9.0) 80 2.6(10.4) 9.4(28.0) 60 3.6(13.8) 10.3(30.0) 50 4.3(16.6) 9.9(29.4) 40 6.2(25.7) 7.7(23.7) 30 7.6(30.5) 6.4(17.9) 20 8.0(32.1) 5.3(14.4) 10 10.2(42.9) 3.7( 9.6) 5 14.3(56.7) 1.4( 1.1) 4 15.2(63.1) ………………… b) 3 16.6(70.1) ………………… b) 2 14.8(61.6) ………………… b) 1 2.6(10.3) ………………… b) 0 …………………… b) ………………… b) a)HSiCl使用:20.3g(0.15mol)。 b)分離せず 表1に示すようにアセトニトリルの含有率を3vol%
としたとき最も高い精製収率(70%)でTISが得ら
れ、これがTISの合成条件として最適であった。
【0020】〔比較例−1〕 18‐クラウン‐6を触
媒としたトリイソシアナトシランの合成 内容積200mlの4つ口フラスコに、メカニカルスタ
ーラー、コンデンサーおよび滴下ロートを装着し反応系
内を窒素置換した後、4つ口フラスコに減圧乾燥した8
5%シアン酸ナトリウム34.4g(0.45mo
l)、18‐クラウン‐6 0.5g(1.9×10-3
mol)、ジエチルエーテル100mlを入れこれを2
0℃に保持した。次に、滴下ロートにトリクロロシラン
20.3g(0.15mol)、ジエチルエーテル20
mlを入れ、滴下した。滴下終了後、35℃に保持しな
がら3時間撹拌した。固体を濾別後、未反応物および溶
剤を減圧除去したのち、減圧蒸留して生成物を得た。結
果を表2に示したが、本発明の方法を用いた場合より低
収率であった。
【0021】 表 2 TISの製造a) 留 出 物 , 収 率 g(%) 溶 媒 添 加 物 HSi(NCO) Si(NCO) EtO 18‐クラウン‐6 6.2(24.5) 6.6(21.5) a)HSiCl使用:20.3g(0.15mol)。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例−1,2で得たアセトニトリルの含有率
とイソシアナトシランの精製収率の関係をプロットした
グラフ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】トリクロロシランとシアン酸アルカリを反
    応させてトリイソシアナトシランを製造する方法におい
    て、前記反応をアセトニトリルを少量含有する有機溶媒
    中で行なうことを特徴とするトリイソシアナトシランの
    製造法。
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JP2015117201A (ja) * 2013-12-18 2015-06-25 大陽日酸株式会社 トリイソシアナトシランの精製方法及び供給方法
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