JPH07186140A - 繊維強化樹脂材の成形方法 - Google Patents

繊維強化樹脂材の成形方法

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JPH07186140A
JPH07186140A JP5347308A JP34730893A JPH07186140A JP H07186140 A JPH07186140 A JP H07186140A JP 5347308 A JP5347308 A JP 5347308A JP 34730893 A JP34730893 A JP 34730893A JP H07186140 A JPH07186140 A JP H07186140A
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弘之 石原
Yoshinobu Kimura
吉延 木村
Kazuyoshi Kaneko
和佳 金子
Hisashi Morita
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維強化樹脂材の成形方法において、重ね合
わされた熱可塑性樹脂シートを型に配置する場合に、粘
着テープ等の固定部材を必要とせず、型への配置作業が
容易で、型自体に悪影響を与えることなく、型への配置
時における位置の修正も可能で、重ね合わされたシート
が型内へ倒れるのを効果的に防止する。 【構成】 少なくとも繊維強化樹脂シートを含む複数枚
の熱可塑性樹脂シート1a,1b,1cが重ね合わされ
た状態の繊維強化樹脂材1を、型2に入れて加熱するこ
とにより一定形状に賦形され一体化された繊維強化樹脂
材に形成するための成形方法において、繊維強化樹脂材
1の型2への配置に際して、重ね合わされた各シート1
a,1b,1c同士を、型2に沿った形状を維持できる
ように、予め互いに(タッカー3で)固定しておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化樹脂シートを
含む複数枚の熱可塑性樹脂シートにより形成される繊維
強化樹脂材の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車のカウリングや小型船舶の船
体等に使用される繊維強化樹脂材については、一般的に
熱硬化性樹脂の方が熱可塑性樹脂よりも成形が容易で、
成形時の粘度が低いので含浸性が良く強度が出しやすい
ため、従来、熱硬化性樹脂をマトリクスとして短繊維で
補強した繊維強化樹脂材が一般的に使用されているが、
近年、資源・環境問題と関連して資源の再利用が考慮さ
れるようになるにつれ、熱可塑性樹脂の方が熱硬化性樹
脂よりも再利用が可能であるため、そのような用途にお
いても、熱可塑性樹脂をマトリクスとしてその強度を高
めるために連続繊維で補強した繊維強化樹脂材が使用さ
れるようになってきている。
【0003】そのような繊維強化樹脂材の成形について
は、強化繊維を樹脂のマトリクスで固めた繊維強化樹脂
シートを複数枚重ね合わせた状態で型に入れ、シート同
士の接合による積層体の形成と型に合わせた積層体の賦
形とが同時に行われるような成形方法が採られている
が、その場合、熱硬化性樹脂をマトリクスとする繊維強
化樹脂材については、繊維強化樹脂材の型への配置に際
して、シート自体にタック性(粘着性)があって型に密
着するため、シートを型に固定するための手段を特に施
す必要はない。
【0004】しかしながら、熱可塑性樹脂をマトリクス
とする繊維強化樹脂材においては、それ自体にタック性
(粘着性)がないため、型内の立面(垂直に近い面〜オ
ーバーハングしている面)およびその周辺では、図5に
示されているように、重ね合わされたシートからなる繊
維強化樹脂材1が型2に密着できず型内に倒れてしまう
ということがしばしば発生する。
【0005】そこで、そのような繊維強化樹脂シートの
型内への倒れを防止するために、従来は、図6(A)に
示されているように、各シートを型2の入口周辺で粘着
テープ等の固定部材6により順次固定したり、図6
(B)に示されているように、型2の入口周辺で粘着テ
ープ等の固定部材6によって既に型2の入口周辺に固定
したシート1aに対して他のシート1b,1cを重ねて
溶着したり、あるいは、図示されていないが、重ね合わ
されたシートを熱ゴテにより型の入口周辺に溶着したり
するような手段が施されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な従来の繊維強化樹脂シートの型内への倒れ防止手段に
よれば、粘着テープ等により各シートを順次固定するも
のでは、粘着テープ等が多量に必要でその作業も煩雑な
ものとなり、固定部材により既に固定したシートに他の
シートを重ねて溶着するものでは、2枚目以降を固定し
ていく際に既に固定したシート自体がズレたりして(型
の表面は滑らかであり、しかも離型剤が塗布されている
ため、一枚目はズレやすい)その作業が困難であると共
に、積層枚数が増えてくると一枚目のシートを固定して
いる固定部材にかかる重さが増えてそれが剥がれるため
多量の固定部材が必要ともなる。
【0007】また、重ね合わされたシートを熱ゴテによ
り型の入口周辺に溶着するものでは、型にコテ先が触れ
たり、また、シートの重ね合せた厚さが薄い時には、型
に傷を付けたり型を焦がしたり溶かしたりして熱ゴテの
使用が型の表面を荒らす原因になると共に、一度シート
を型に溶着してしまうとその位置や(配向)角度の修正
が不可能になる。
【0008】本発明は、上記のような従来の繊維強化樹
脂材の成形方法の持つ不都合を解消することを目的とし
ており、より具体的には、重ね合わされた熱可塑性樹脂
シートを型に配置する場合に、粘着テープ等の固定部材
を必要とせず、型への配置作業が容易で、型自体に悪影
響を与えることなく、型への配置時における位置の修正
も可能で、重ね合わされたシートが型内へ倒れるのを効
果的に防止することができる繊維強化樹脂材の成形方法
を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決しかつ目的を達成するために、少なくとも繊維強化
樹脂シートを含む複数枚の熱可塑性樹脂シートが重ね合
わされた状態の繊維強化樹脂材を、型に入れて加熱する
ことにより一定形状に賦形され一体化された繊維強化樹
脂材に形成するための成形方法において、繊維強化樹脂
材の型への配置に際して、重ね合わされた各シート同士
を、型に沿った形状を維持できるように、予め互いに固
定しておくことを特徴とするものである。
【0010】上記の成形方法においては、繊維強化樹脂
材の外層部分となるシートのみを先ず型に合わせてプリ
賦形した後、それに他のシートを重ね合わせて互いに固
定することが好ましい。
【0011】また、上記の成形方法におけるシート同士
の固定については、超音波,高周波,熱風等によるマト
リクス同士の溶着の他に、マトリクスと同材質のタッカ
ーによる仮止め、強化繊維と同等材質の繊維による仮止
め等の手段により行うことが可能なものである。
【0012】
【作 用】上記のような成形方法によれば、熱可塑性樹
脂シートが複数枚重ね合わされた状態にある繊維強化樹
脂材は、例えば、型の入口からその周辺付近に対応する
部分等において、その形状が確実に維持されているた
め、その部分で型に確実に係止されることとなり、型内
に倒れてしまうようなことはない。
【0013】
【実施例】以下、本発明の繊維強化樹脂材の成形方法に
ついて実施例により図面に基づいて説明する。
【0014】図1および図2は、繊維強化樹脂材の成形
方法の一実施例において、型による加熱成形に先立って
繊維強化樹脂材が型に配置された状態を示すもので、こ
の繊維強化樹脂材1は、各シートが重ね合わされた状態
で型2に配置され、型2内で加熱されることによって、
型2に沿った形状に賦形されると共に各シートのマトリ
クスが融合されて一体化された状態に形成されるもので
ある。
【0015】重ね合わされたシートとして型2に配置さ
れる繊維強化樹脂材1のそれぞれのシート1a,1b,
1cは、何れも、ポリエーテルエーテルケトン,ポリエ
ーテルケトン,ポリフェニレンサルファイド,ポリアミ
ドイミド,熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂をマト
リクスとして、その内部に長く連続した炭素繊維,ガラ
ス繊維等の強化繊維が埋設されている繊維強化樹脂シー
トである。
【0016】このような繊維強化樹脂材1は、型に配置
される際には、図2に示されているように、型2の入口
付近において、各シート1a,1b,1cが型2に沿っ
た形状とされていると共に、重ね合わされた各シート1
a,1b,1c同士が、入口の角部周辺の垂直部2aと
水平部2bにわたる複数箇所においてタッカー3により
予め互いに固定されて、その形状が維持されるようにな
されている。
【0017】上記のような繊維強化樹脂材1を型2に配
置するための前処理成形については、型2に接する側の
シート1aに対して、これを前もって型2に入れて加熱
することにより、少なくとも型2入口付近の形状が保た
れる程度にプリ賦形を施し、このプリ賦形したシート1
aに他のシート1b,1cを重ね合わせて、それらを、
型2の入口の角部周辺の垂直部2aと水平部2bに接す
る部分において、繊維強化樹脂材1のマトリクスと同材
質の熱可塑性樹脂からなるタッカー3によって複数箇所
で仮止め固定することにより、図2に示されているよう
に成形するものである。
【0018】上記の実施例のような繊維強化樹脂材1の
前処理成形によれば、プリ賦形されたシート1aの上に
他のシート1b,1cが重ね合わされることによって、
ベース面1aが安定してズレが少なくなるため、重ね合
わせるシート1b,1cの繊維方向を決められた方向に
向け易く、ズレによる板厚のバラツキも少なくなり、精
度良く製品を作製することができる。
【0019】また、シート同士の固定のためにタッカー
3を打ち込んだ後も、シート同士が完全に接着している
わけではないため修正も可能であり、加熱成形後にはタ
ッカー3が繊維強化樹脂材1のマトリクスと一体化して
異物として残ることがない。
【0020】図3および図4は、上記の実施例と同様の
繊維強化樹脂材1の成形方法において、重ね合わされた
各シート1a,1b,1c同士の具体的な固定手段のみ
が相違する他の実施例をそれぞれ示すもので、図3に
は、超音波,高周波,熱風等により各シート1a,1
b,1cのマトリクス同士を溶着させた実施例が示され
ており、図4には、各シート1a,1b,1c中に埋設
されている強化繊維と同等材質の繊維によりシート同士
を縫うように仮止めした実施例が示されている。
【0021】図3に示されている実施例では、例えば、
溶着が超音波溶着により行われる場合、各シート間の溶
着面4で効率良く発熱して効率良く溶着でき、また、溶
着ホーンは熱ゴテのコテ先ほど温度が上がらないため、
型2をアンビルとして各シート同士を溶着しても、型2
への熱影響も少なく安全である。
【0022】また、図4に示されている実施例では、仮
止めに使用されている繊維5が加熱成形後の繊維強化樹
脂材1中において補強効果を発揮することとなって製品
の強度が向上されることとなり、特に、層間を貫くよう
に補強材5が入るため、層間剥離を有効に防止できるも
のとなる。
【0023】なお、重ね合わされた各シート1a,1
b,1c同士の具体的な固定については、上記のような
実施例に限られるものではなく、上記の各手段を適宜組
み合わせて実施することも可能であり、また、上記の各
手段と従来からの固定技術を組み合わせて実施すること
も可能である。
【0024】さらに、上記の各実施例では、何れも、繊
維強化樹脂材1の各シート1a,1b,1cが全て繊維
強化樹脂シートであるものについて述べられているが、
本発明の成形方法はそのようなものにのみ適用されるも
のではなく、例えば、プリ賦形するシートを繊維強化樹
脂シートとせず、繊維強化樹脂シートのマトリクス樹脂
と同等の樹脂フィルムとしたようなものでも良く、その
ようなものでは、製品の表面層に樹脂層が形成され、表
面の平滑性が向上することとなる。
【0025】さらにまた、本発明の成形方法は、成形温
度(材質)のことなる繊維強化樹脂シート同士のハイブ
リッド化にも適用できるものであって、例えば、最外層
に塗装が容易なポリアミドをマトリクス樹脂とするシー
トを配置し、その内側に安価で成形性の良いポリプロピ
レンをマトリクス樹脂とするシートを積層して成形する
ことにより外板部材を製造したり、ポリアミドをマトリ
クス樹脂とするシートの両側にポリエチレンをマトリク
ス樹脂とするシートを積層して成形することにより安価
で軽量なガスバリヤー性の高い燃料タンクを製造したり
するような場合の加熱成形のための前処理としても適用
できるものである。
【0026】
【発明の効果】以上説明したような本発明の繊維強化樹
脂材の成形方法によれば、重ね合わされた熱可塑性樹脂
シートを型に配置する場合に、粘着テープ等の固定部材
を必要とすることなく、型への配置作業を容易に行うこ
とができ、型自体に熱による悪影響を与えることなく、
型に対するシートの位置の修正も可能で、しかも、重ね
合わされたシートが型内へ倒れるのを効果的に防止する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維強化樹脂材の成形方法において、
型に繊維強化樹脂材を配置した状態を示す断面図。
【図2】本発明の一実施例を示す、要部(図1中Aの部
分)の一部拡大断面図。
【図3】本発明の他の実施例を示す、要部(図1中Aの
部分)の一部拡大断面図。
【図4】本発明の更に他の実施例を示す、要部(図1中
Aの部分)の一部拡大断面図。
【図5】従来の繊維強化樹脂材の成形方法において、型
に配置した繊維強化樹脂材が倒れた状態を示す断面図。
【図6】従来の繊維強化樹脂材の成形方法における図2
〜図4に対応した部分を示す、要部の一部拡大断面図。
【符号の説明】
1 繊維強化樹脂材 1a 熱可塑性樹脂シート(繊維強化樹脂シート) 1b 熱可塑性樹脂シート(繊維強化樹脂シート) 1c 熱可塑性樹脂シート(繊維強化樹脂シート) 3 タッカー 5 強化繊維(仮止め用)
フロントページの続き (72)発明者 森田 尚志 静岡県磐田市新貝2500番地 ヤマハ発動機 株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも繊維強化樹脂シートを含む複
    数枚の熱可塑性樹脂シートが重ね合わされた状態の繊維
    強化樹脂材を、型に入れて加熱することにより一定形状
    に賦形され一体化された繊維強化樹脂材に形成するため
    の成形方法において、繊維強化樹脂材の型への配置に際
    して、重ね合わされた各シート同士を、型に沿った形状
    を維持できるように、予め互いに固定しておくことを特
    徴とする繊維強化樹脂材の成形方法。
  2. 【請求項2】 繊維強化樹脂材の外層部分となるシート
    のみを先ず型に合わせてプリ賦形した後、それに他のシ
    ートを重ね合わせて互いに固定することを特徴とする請
    求項1に記載の繊維強化樹脂材の成形方法。
  3. 【請求項3】 シート同士の固定が、マトリクスと同材
    質のタッカーによる仮止めによることを特徴とする請求
    項1あるいは請求項2に記載の繊維強化樹脂材の成形方
    法。
  4. 【請求項4】 シート同士の固定が、強化繊維と同等材
    質の繊維による仮止めによることを特徴とする請求項1
    あるいは請求項2に記載の繊維強化樹脂材の成形方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009525209A (ja) * 2006-02-02 2009-07-09 ザ・ボーイング・カンパニー 熱可塑性樹脂複合部材のための秀れた製造プロセス
JP2018001718A (ja) * 2016-07-08 2018-01-11 日産自動車株式会社 プリフォーム、該プリフォームの製造方法、及び上記プリフォームを用いた繊維強化プラスチック。
WO2019244994A1 (ja) * 2018-06-20 2019-12-26 三菱ケミカル株式会社 プリプレグシートおよびその製造方法、繊維強化複合材料成形品およびその製造方法、ならびにプリフォームの製造方法

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US11787150B2 (en) 2018-06-20 2023-10-17 Mitsubishi Chemical Corporation Prepreg sheet and manufacturing method therefor, fiber-reinforced composite material molded article and manufacturing method therefor, and method for manufacturing preform

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