JPH07185280A - 親水性ポリスルホン膜およびその製法 - Google Patents

親水性ポリスルホン膜およびその製法

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JPH07185280A
JPH07185280A JP33023693A JP33023693A JPH07185280A JP H07185280 A JPH07185280 A JP H07185280A JP 33023693 A JP33023693 A JP 33023693A JP 33023693 A JP33023693 A JP 33023693A JP H07185280 A JPH07185280 A JP H07185280A
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polysulfone membrane
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Tamiyuki Eguchi
民行 江口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乾燥および濾過を繰り返してもほぼ永久にそ
の親水性が維持され、限外濾過膜、精密濾過膜、逆浸透
膜の支持膜などとして好適に使用することができる親水
性ポリスルホン膜およびその簡易で経済的な製法を提供
すること。 【構成】 ポリスルホン膜の表面に水溶性高分子物質が
付着しており、かつ該水溶性高分子物質が親水性ポリフ
ェノールによって不溶化されていることを特徴とする親
水性ポリスルホン膜およびポリスルホン膜を水溶性高分
子物質の溶液および親水性ポリフェノールの溶液に浸漬
させて、該ポリスルホン膜の表面に付着した水溶性高分
子物質を親水性ポリフェノールによって不溶化させるこ
とを特徴とする親水性ポリスルホン膜の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は親水性ポリスルホン膜お
よびその製法に関する。さらに詳しくは、限外濾過膜、
精密濾過膜、逆浸透膜の支持膜などとして好適に使用し
うる親水性ポリスルホン膜およびその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリスルホン膜を親水化させるた
めの方法としては、(イ)ポリスルホン膜にグリセリン
などの難揮発性の水溶性多価アルコールを付着させる方
法、(ロ)ポリスルホン膜にポリエチレングリコール、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどの水
溶性高分子物質を付着させる方法(特開昭63−315
01号公報など)、(ハ)ポリスルホン膜に界面活性剤
を付着させる方法(特開平2−86822号公報な
ど)、(ニ)ポリスルホン膜の表面をスルホン化する方
法(特開昭63−54452号公報)、(ホ)ポリスル
ホン膜の表面にアクリルアミドなどの親水性モノマーを
化学的に結合させる方法(特開平2−59032号公報
など)、(ヘ)ポリスルホンと、ポリエチレングリコー
ル、ポリビニルピロリドンなどの親水性高分子物質との
混合物から膜をつくる方法(特開昭61−93801号
公報など)、(ト)ポリスルホン膜の表面に親水性ポリ
フェノールを付着させる方法(特開平5−301036
号公報)などが知られている。
【0003】これらのうち、前記(イ)〜(ハ)の方法
は、ポリスルホンに限らず、一般に疎水性の膜を親水化
する方法として古くから当業者に知られているが、容易
に予想されるように、各方法において用いられる親水性
付与剤は一度水に接触させるとポリスルホン膜から離脱
してしまい、ポリスルホン膜を再度乾燥したときにはそ
の親水性が失われているという欠点がある。またその用
途によっては、これらの親水性付与剤が濾液に混入する
ことが忌避されるばあいもある。前記(ロ)が改良され
た方法としては、前記(ロ)の方法を行なったのちにさ
らに放射線を照射したり、加熱処理を施してこれらの親
水性付与剤が水に溶けにくくし、ポリスルホン膜から離
脱しにくくする方法が提案されているが、その効果は未
だ充分に満足しうる程度のものではない。
【0004】同様に特開昭62−176508号公報に
はヒドロキシプロピルセルロースを付着させ、さらにジ
メチロール尿素によって該ヒドロキシプロピルセルロー
スを架橋、不溶化させる方法が記載されているが、操作
が煩雑になるという欠点がある。
【0005】また、前記(ニ)および(ホ)の方法に
は、ポリスルホン膜の親水性がほぼ永久に維持されると
ともに、濾液に親水性付与剤が溶出しないという長所が
あるものの、その処理方法は比較的煩雑で非経済的であ
るという欠点がある。
【0006】さらに、前記(ヘ)の方法も古くから知ら
れているが、ポリスルホン膜中の親水性高分子物質の残
留状態を調整することが難しく、経時的に濾過特性が変
化したり、徐々に親水性高分子物質が溶出するなどの問
題がある。
【0007】同様に特開平4−118034号公報には
ポリビニルピロリドンと多価酸からなる不溶複合体を含
む親水性ポリスルホン系中空糸膜が記載されているが、
紡糸原液に混在するポリビニルピロリドンを親水性付与
剤として利用するという点でやはり前述のような残留状
態の調整が困難である。
【0008】これらの問題点を解決する方法として、本
発明者は前記(ト)の方法を発明し先に出願した。該方
法では、ポリスルホン膜の表面に親水性ポリフェノール
がファンデルワールス力によって強固に付着し、ポリス
ルホン膜にすぐれた親水性をほぼ永久に与えることがで
きる。しかし、該親水性ポリスルホン膜は水に自然に濡
れるほどの親水性を有するものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の従来
技術に鑑みてなされたものであり、乾燥膜が水にほぼ自
然に濡れるほどのすぐれた親水性がほぼ永久に維持さ
れ、かつ濾液中に親水性付与剤がほとんど溶出しないポ
リスルホン膜およびその製法を提供することを目的とす
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、前記
課題を解決すべくポリスルホン膜の親水性付与剤を食
品、食品添加物、医薬品、植物成分などの広い範囲につ
いて検討した結果、ポリスルホン膜に親水性を付与でき
るある種の水溶性高分子物質が親水性ポリフェノールに
よって不溶化されることを利用し、ポリスルホン膜にほ
ぼ永久的に親水性を与えることを見いだし、本発明を完
成するにいたった。
【0011】すなわち、本発明はポリスルホン膜の表面
に水溶性高分子物質が付着しており、かつ該水溶性高分
子物質が親水性ポリフェノールによって不溶化されてい
ることを特徴とする親水性ポリスルホン膜およびポリス
ルホン膜に水溶性高分子物質の溶液および親水性ポリフ
ェノールの溶液を適用し、該ポリスルホン膜の表面に付
着した水溶性高分子物質を親水性ポリフェノールによっ
て不溶化させることを特徴とする親水性ポリスルホン膜
の製法に関する。
【0012】
【作用および実施例】本発明の親水性ポリスルホン膜
は、水にほぼ自然に濡れるほどの親水性を有している。
具体的には、その最小浸透圧は未処理の乾燥ポリスルホ
ン膜の約1/10以下であり、未処理のポリスルホン膜
を20容量%のエタノール水溶液などのポリスルホン膜
を自然に濡らす液体で一度濡らしたのちに水を濾過する
ばあいの濾過圧力と、ほとんど変わらない。ここでいう
最小浸透圧とは、乾燥した膜に加圧下で水を接触させた
ときに濾過が始まる最小の圧力である。また、かかる親
水性ポリスルホン膜を再び乾燥して濾過を繰り返したば
あいであっても、前記と同様な現象を繰り返すことがで
きる。
【0013】前記のごとく、本発明の親水性ポリスルホ
ン膜は、きわめて実用的なものであり、単に水溶性高分
子物質の溶液と親水性ポリフェノールの溶液にポリスル
ホン膜を浸漬するだけのきわめて簡単な処理方法によっ
て製造されるだけでなく、ポリスルホン膜の表面に付着
した該水溶性高分子物質が該親水性ポリフェノールによ
って不溶化されているので、濾液中にほとんど溶出する
ことがなく、しかもほぼ永久にその親水性が維持される
というすぐれた特徴を有するものである。
【0014】本発明のポリスルホン膜はポリスルホンか
ら構成されるものである。
【0015】前記ポリスルホンの代表例としては、たと
えば式(I):
【0016】
【化1】
【0017】または式(II):
【0018】
【化2】
【0019】で表わされる繰り返し単位で構成されるポ
リスルホンなどがあげられるが、本発明はかかる例示の
みに限定されるものではない。
【0020】前記ポリスルホンからなるポリスルホン膜
の形状としては、たとえばフィルム状、中空糸状などが
あげられる。なお、これらの製法についてはすでに公知
である。
【0021】本発明に用いられる水溶性高分子物質とし
ては、たとえば水溶性セルロース誘導体、ポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリ
コール/プロピレングリコール共重合体、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
エステル、ポリオキシエチレングルコースエーテルなど
があげられ、とくに水溶性セルロース誘導体、ポリエチ
レングリコールが好ましい。
【0022】本発明に用いられる水溶性セルロース誘導
体としてはとくに限定がなく、たとえばカルボキシメチ
ルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど
があげられ、これらセルロースエーテル類は医薬品や食
品添加物として用いられているので、安全性の点から好
ましく用いられる。また特開昭62−176508号公
報においてヒドロキシプロピル残基がポリスルホンに対
する有効な結合性基であることが示されているように、
前記セルロース誘導体のなかでもとりわけヒドロキシプ
ロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
スを用いることが本発明においては好ましい。これらの
セルロース誘導体の分子量にはとくに限定はないが、親
水性付与処理の容易さという点で、本発明においては分
子量約10000以下のものが好ましい。
【0023】これらのセルロース誘導体はそれ自身がポ
リスルホンにかなり強固に付着するが、たとえばオート
クレーブ処理やアルコール水溶液あるいは界面活性剤の
水溶液と接触したばあい比較的容易に離脱するという欠
点を有する。本発明においては、付着したセルロース誘
導体を親水性ポリフェノールによって不溶化させるた
め、アルコール水溶液などと接触してもほとんど離脱し
ない。
【0024】また、本発明に用いられるポリエチレング
リコールは式(III) :
【0025】
【化3】
【0026】で表わされる繰り返し単位よりなるポリマ
ーである。ポリエチレングリコールの分子量にはとくに
限定はないが、親水性付与処理の容易さの点から、分子
量1000〜20000のものを用いるのが好ましい。
【0027】さらに、本発明に用いられる親水性ポリフ
ェノールはとくに限定はないが、たとえばタンニン、日
本茶の抽出物などの植物成分であるものなどがあげられ
るが、とくに安全性の点からこれら植物由来のものが好
ましく用いられる。これらの成分のなかでは、品質が安
定しており、かつ安価であることから、タンニン、とく
に五倍子由来のタンニン(以下、五倍子タンニンとい
う)または没食子由来のタンニン(以下、没食子タンニ
ンという)が本発明においてとくに好ましく用いられ
る。かかる植物成分である親水性ポリフェノールについ
ては、詳細な化学構造が決定されていないものや単一物
質でないものが多く(たとえば、西岡五夫著、「化学と
生物」第24巻、7号、1986年、428〜439頁
参照)、その組成の正確な特定は困難である。
【0028】以下、親水性ポリフェノールとしてタンニ
ンを一例にあげて本発明を説明する。
【0029】ポリスルホン膜の表面に永久的に親水性を
付与するためには、単にポリスルホン膜を、水溶性高分
子物質の溶液と、タンニンの溶液とに浸漬するだけでよ
い。この際、浸漬する順序は水溶性高分子物質の溶液を
先にすることも、タンニンの溶液を先にすることもでき
る。水溶性高分子物質およびタンニンの溶剤には通常水
を用いるが、エタノールなどの低級アルコールを15〜
20容量%含む水溶液であってもよい。
【0030】これらの溶液中の水溶性高分子物質の濃度
は、100〜2000ppmが好ましく、500〜10
00ppmがより好ましい。ポリスルホン膜を浸漬する
時間は1〜24時間が好ましく、5〜10時間がより好
ましい。かかる水溶性高分子物質の濃度が100ppm
未満のばあいには、ポリスルホン膜の表面全体を親水化
することが困難となり、また2000ppmを超えるば
あいには、濃度を高くしたことによる効果の向上がそれ
以上望めなくなり、かえって不経済となるばかりでな
く、溶液の粘度が高くなるために処理が困難となる。ま
た、浸漬処理時間が1時間未満のばあいには、ポリスル
ホン膜の表面全体を親水化することが困難となり、24
時間を超えるばあいには時間を長くしたことによる効果
の向上がそれ以上望めない。なお、このときの溶液の温
度は10〜30℃の室温でよい。
【0031】タンニンの溶液中のタンニンの濃度は、5
0〜2000ppmが好ましく、200〜1000pp
mがより好ましい。ポリスルホン膜を浸漬する時間は2
〜60分間、より好ましくは5〜20分間である。かか
るタンニンの濃度が50ppm未満のばあいには、ポリ
スルホン膜の表面全体にタンニンを付着、または表面全
体の水溶性高分子物質と接触させるまでに60分間を超
える時間を要する傾向がある。また、タンニンの濃度が
2000ppmを超えるばあいには、濃度を高くしたこ
とによる効果の向上がそれ以上望めなくなりかえって不
経済となる傾向がある。なお、このときの溶液の温度は
10〜30℃程度の室温でよい。
【0032】なお、かかる処理は浸漬による方法のみな
らず、その他の適当な処理方法により行なってもよい。
【0033】前記処理によって、ポリスルホン膜の表面
には水溶性高分子物質が付着され、かつ該水溶性高分子
物質がタンニンによって不溶化される。したがって、か
かるポリスルホン膜を水洗しても水溶性高分子物質がポ
リスルホン膜の表面から離脱しないので、ポリスルホン
膜の親水性がほぼ永久に維持されることになる。
【0034】かくしてえられる本発明の親水性ポリスル
ホン膜の表面に余剰に残存している水溶性高分子物質の
溶液、またはタンニンの溶液を、たとえば水洗などによ
って除去したのち、必要によりポリスルホンのガラス転
移温度である約170℃以下の温度で乾燥してもよい。
【0035】本発明において、ポリスルホン膜に親水性
を付与したときの効果は、水溶性高分子物質および/ま
たはタンニン中の親水性ポリフェノール自身によっても
たらされるものと考えられる(特開平5−301036
号公報参照)。また、水溶性高分子物質が不溶化するの
は、水溶性高分子物質および親水性ポリフェノールに多
数含まれる、ヒドロキシル残基およびエーテル結合のあ
いだに、強固な水素結合が形成されることによるものと
考えられる。
【0036】つぎに、本発明の親水性ポリスルホン膜お
よびその製法を実施例に基づいてさらに詳細に説明する
が、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではな
い。
【0037】実施例1 ポリスルホン(アモコ社製、P−3500)20部、ポ
リエチレングリコール(平均分子量:300000)5
部、プロピレングリコール9部およびN−メチル−2−
ピロリドン66部からなる溶液を、N−メチル−2−ピ
ロリドンとプロピレングリコールの溶液(重量比:60
/40)からなる芯液とともに65℃で二重管状ノズル
から押し出し、空気中を26cm走行させたのち70℃
の温水に浸漬しながら40m/分の速度で巻き取って中
空糸状の膜をえた。この中空糸状の膜をN−メチル−2
−ピロリドン30重量%水溶液に60℃で60分間浸漬
してポリエチレングリコールを除去したのち、熱水で充
分に洗浄した。このポリスルホン膜の内径および外径
は、それぞれ500μmおよび800μmで、バブルポ
イント法から推定された平均孔径は約0.45μmであ
った。以下、このポリスルホン膜を未処理膜という。
【0038】(未処理膜の特性)未処理膜を120℃で
恒量になるまで乾燥したのち、有効長さが約600m
m、中空糸の本数が6本である、中空糸の一端が開口さ
れたフィルターを作製した。このフィルターに中空糸の
外側から20℃の水を加圧下で接触させたときの最小浸
透圧(最小浸透圧の測定条件については以下同じ)は1
400mmHgであった。
【0039】また、同様にして作製したフィルター内に
親水性を付与するためにエタノール20容量%水溶液を
流したのち、22ml/分で水を濾過したときの濾過圧
力は78mmHgであった。
【0040】(親水性ポリスルホン膜の製造・特性)前
記未処理膜から作製したフィルターを、ヒドロキシプロ
ピルメチルセルロース(日本曹達(株)製)の1000
ppm水溶液に10時間浸漬したのち、中空糸の外側か
ら22ml/分で水を3分間濾過してフィルター内に残
存しているヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液を
除去した。ついで、該フィルターを五倍子タンニン(和
光純薬工業(株)製)の1000ppm水溶液に10分
間浸漬したのち、中空糸の外側から22ml/分で水を
3分間濾過してフィルター内に残存しているタンニン溶
液を除去してから、120℃で乾燥した。
【0041】このフィルターは、瞬時に水に濡れ、22
ml/分で水を濾過したときの濾過圧力は84mmHg
で、最小浸透圧が濾過圧力を超えることはなかった。
【0042】このフィルターを再び120℃で恒量にな
るまで乾燥してから水の濾過を繰り返したところ、前記
と同様の濾過特性が観察された。
【0043】また、このフィルターをさらに121℃の
熱水中で30分間処理し、120℃で乾燥したのち、水
を濾過したところ前記と同様の濾過特性が観察された。
【0044】さらに、このフィルターにエタノール30
容量%水溶液を流し、120℃で乾燥したのち、水を濾
過したところ前記と同様の濾過特性が観察された。
【0045】実施例2 実施例1と同様にして未処理膜から作製したフィルター
を、実施例1で用いたものと同じタンニンの1000p
pmエタノール水溶液(エタノール20容量%)に10
分間浸漬したのち、中空糸の外側から水を濾過してフィ
ルター内に残存しているタンニンのエタノール水溶液を
除去した。ついで、実施例1で用いたものと同じヒドロ
キシプロピルメチルセルロースの1000ppm水溶液
に10時間浸漬したのち、中空糸の外側から水を濾過し
てフィルター内に残存しているヒドロキシプロピルメチ
ルセルロース溶液を除去してから、120℃で乾燥し
た。このフィルターは瞬時に水に濡れ、22ml/分で
水を濾過したときの濾過圧力は80mmHgで、最小浸
透圧が濾過圧力を超えることはなかった。
【0046】このフィルターを120℃で恒量になるま
で乾燥してから水の濾過を繰り返したところ、前記と同
様の濾過特性が観察された。また、実施例1と同様にし
て121℃の熱水処理およびエタノール水溶液処理をし
たのちの乾燥フィルターの濾過特性も前記と同様であっ
た。
【0047】実施例3 水溶性高分子物質としてポリエチレングリコール(和光
純薬工業(株)製、平均分子量:6000)を用いた以
外は実施例1と同様の処理を行なったフィルターで実施
例1と同様にして水を濾過したところ、濾過圧力は12
0mmHgで、最小浸透圧が濾過圧力を超えることはな
かった。
【0048】比較例1 タンニンによる処理を行なわない以外は実施例1と同様
のヒドロキシプロピルメチルセルロース処理を行なっ
た。このフィルターの最小浸透圧を測定したところ、8
0mmHgであった。さらに、このフィルターにエタノ
ール30容量%水溶液を流し、120℃で乾燥したのち
最小浸透圧を測定したところ、1000mmHg以上で
あった。
【0049】
【発明の効果】本発明の製法によれば、ポリスルホン膜
を単に水溶性高分子物質の溶液および親水性ポリフェノ
ールの溶液に浸漬するというきわめて簡単な操作で親水
性ポリスルホン膜を製造することができ、かつ親水性ポ
リスルホン膜を効率よく生産することができる。
【0050】本発明の親水性ポリスルホン膜は、水溶性
高分子物質がポリスルホン膜表面に強固に付着し、さら
に、該水溶性高分子物質が親水性ポリフェノールによっ
て不溶化されているので、乾燥と濾過を繰り返したばあ
いであっても、親水性が半永久的に持続するというすぐ
れた効果を奏する。
【0051】したがって、本発明の親水性ポリスルホン
膜は、たとえば限外濾過膜、精密濾過膜をはじめ、逆浸
透膜の支持膜などとして使用するうえで好適である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリスルホン膜の表面に水溶性高分子物
    質が付着しており、かつ該水溶性高分子物質が親水性ポ
    リフェノールによって不溶化されていることを特徴とす
    る親水性ポリスルホン膜。
  2. 【請求項2】 水溶性高分子物質が水溶性セルロース誘
    導体である請求項1記載の親水性ポリスルホン膜。
  3. 【請求項3】 水溶性高分子物質がポリエチレングリコ
    ールである請求項1記載の親水性ポリスルホン膜。
  4. 【請求項4】 親水性ポリフェノールがタンニンである
    請求項1記載の親水性ポリスルホン膜。
  5. 【請求項5】 タンニンが五倍子または没食子由来のも
    のである請求項4記載の親水性ポリスルホン膜。
  6. 【請求項6】 ポリスルホン膜に水溶性高分子物質の溶
    液および親水性ポリフェノールの溶液を適用し、該ポリ
    スルホン膜の表面に付着した水溶性高分子物質を親水性
    ポリフェノールによって不溶化させることを特徴とする
    親水性ポリスルホン膜の製法。
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