JPH07183748A - 弾性表面波フィルタ装置 - Google Patents
弾性表面波フィルタ装置Info
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- JPH07183748A JPH07183748A JP32867193A JP32867193A JPH07183748A JP H07183748 A JPH07183748 A JP H07183748A JP 32867193 A JP32867193 A JP 32867193A JP 32867193 A JP32867193 A JP 32867193A JP H07183748 A JPH07183748 A JP H07183748A
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- electrode
- acoustic wave
- filter device
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Abstract
(57)【要約】
【目的】製造時の歩留が一層向上した弾性表面波フィル
タ装置を提供する。 【構成】圧電性基板(1) の変換器が形成される第1の表
面(1a)及びこの表面と対向する第2の表面(1b)の両
方を鏡面研磨する。両方の表面を鏡面研磨することによ
り基板の反りを一層減少させることができ、基板の反り
の低下に伴ない電極指の幅及び間隔のバラツキを減少さ
せることができる。この結果、製造時の歩留を一層改善
することができる。
タ装置を提供する。 【構成】圧電性基板(1) の変換器が形成される第1の表
面(1a)及びこの表面と対向する第2の表面(1b)の両
方を鏡面研磨する。両方の表面を鏡面研磨することによ
り基板の反りを一層減少させることができ、基板の反り
の低下に伴ない電極指の幅及び間隔のバラツキを減少さ
せることができる。この結果、製造時の歩留を一層改善
することができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製造の歩留を一層向上
させた弾性表面波フィルタ装置に関するものである。
させた弾性表面波フィルタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】圧電性基板上にインタディジタル型の入
力側変換器及び出力側変換器を形成して特定の周波数帯
域の信号を取り出す弾性表面波フィルタ装置が実用化さ
れている。この弾性表面波フィルタ装置において、入力
側及び出力側変換器は、多数の電極指を有する正電極及
び負電極を有し、正電極の各電極指と負電極の各電極指
とが弾性表面波の伝播方向に沿って交互に形成され、正
電極の電極指と負電極の電極指との間に短絡型又は開放
型の浮き電極が配置されている。正電極の電極指と隣接
する負電極の電極指との間のピッチは、λを基本弾性表
面波の波長とした場合にλ/2に設定されている。ここ
で、vを弾性表面波の圧電性基板中における伝播速度と
し、foを変換すべき信号の中心周波数とした場合、λ
は、λ=v/foとなるように設定されている。そして、
これら入力側及び出力側変換器はLiNbO3や水晶のような
圧電性基板上にアルミニウム層を蒸着又はスパッタリン
グにより形成した後フォトリソグラフィ法によって形成
されている。
力側変換器及び出力側変換器を形成して特定の周波数帯
域の信号を取り出す弾性表面波フィルタ装置が実用化さ
れている。この弾性表面波フィルタ装置において、入力
側及び出力側変換器は、多数の電極指を有する正電極及
び負電極を有し、正電極の各電極指と負電極の各電極指
とが弾性表面波の伝播方向に沿って交互に形成され、正
電極の電極指と負電極の電極指との間に短絡型又は開放
型の浮き電極が配置されている。正電極の電極指と隣接
する負電極の電極指との間のピッチは、λを基本弾性表
面波の波長とした場合にλ/2に設定されている。ここ
で、vを弾性表面波の圧電性基板中における伝播速度と
し、foを変換すべき信号の中心周波数とした場合、λ
は、λ=v/foとなるように設定されている。そして、
これら入力側及び出力側変換器はLiNbO3や水晶のような
圧電性基板上にアルミニウム層を蒸着又はスパッタリン
グにより形成した後フォトリソグラフィ法によって形成
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した弾性表面波フ
ィルタ装置においては、電極指の幅や電極指の間隔に僅
かな誤差があるだけでも変換すべき信号の帯域が変化し
たり、或いは挿入損失が増大してしまう。特に、狭帯域
フィルタの場合変換すべき信号の帯域幅が狭いため、変
換された信号帯域の中心周波数がわずかに変動するだけ
でも製品としての規格を満たすことができなくなってし
まう。さらに、電極指の幅及び電極指間の間隔は変換す
べき信号の中心周波数によって規定されるため、変換す
べき周波数が高周波数になる程電極指の幅及び間隔も微
細になり、例えば1/10μm 程度の許容公差が要求され
る場合もある。さらに、一方向性トランスジューサを用
いる場合浮き電極の配置位置について厳格な位置決め公
差が要求されており、浮き電極が正電極及び負電極の電
極指に対してわずかに偏位するだけでも挿入損失が低下
する不都合が生じてしまう。このように、弾性表面波フ
ィルタ装置の製造プロセスにおいては極めて厳格な製造
公差が要求されるため、その製造歩留を一層改善するこ
とが重要な開発事項となっている。
ィルタ装置においては、電極指の幅や電極指の間隔に僅
かな誤差があるだけでも変換すべき信号の帯域が変化し
たり、或いは挿入損失が増大してしまう。特に、狭帯域
フィルタの場合変換すべき信号の帯域幅が狭いため、変
換された信号帯域の中心周波数がわずかに変動するだけ
でも製品としての規格を満たすことができなくなってし
まう。さらに、電極指の幅及び電極指間の間隔は変換す
べき信号の中心周波数によって規定されるため、変換す
べき周波数が高周波数になる程電極指の幅及び間隔も微
細になり、例えば1/10μm 程度の許容公差が要求され
る場合もある。さらに、一方向性トランスジューサを用
いる場合浮き電極の配置位置について厳格な位置決め公
差が要求されており、浮き電極が正電極及び負電極の電
極指に対してわずかに偏位するだけでも挿入損失が低下
する不都合が生じてしまう。このように、弾性表面波フ
ィルタ装置の製造プロセスにおいては極めて厳格な製造
公差が要求されるため、その製造歩留を一層改善するこ
とが重要な開発事項となっている。
【0004】従って、本発明の目的は、製造の歩留を一
層改善できる弾性表面波フィルタ装置を提供することに
ある。
層改善できる弾性表面波フィルタ装置を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明による弾性表面波
フィルタ装置は、第1の表面を有する圧電性基板と、第
1の表面上に形成した入力側変換器及び出力側変換器と
を具え、中心周波数foの信号を変換する弾性表面波フィ
ルタ装置において、前記圧電性基板の第1の表面と対向
する第2の表面を、第1の表面と同程度の鏡面研磨処理
した面としたことを特徴とする。
フィルタ装置は、第1の表面を有する圧電性基板と、第
1の表面上に形成した入力側変換器及び出力側変換器と
を具え、中心周波数foの信号を変換する弾性表面波フィ
ルタ装置において、前記圧電性基板の第1の表面と対向
する第2の表面を、第1の表面と同程度の鏡面研磨処理
した面としたことを特徴とする。
【0006】
【作用】本発明者が、製造された弾性表面波フィルタ装
置について中心周波数のばらつきや挿入損失のばらつき
の原因について種々の実験及び解析を行なった結果、こ
れらばらつきの原因は主として基板の反りにあることを
見い出した。すなわち、基板に反りがある場合、リソグ
ラフィ工程におけるマスクパターンの投影工程におい
て、基板表面と投影レンズ系との間の距離が局部的に偏
移してしまい、この結果電極指の幅や電極指間距離が正
規の寸法からずれた変換器が形成されてしまい、正規の
帯域特性及び損失特性からずれた特性のフィルタ装置が
製造されてしまう。従って、製造の歩留を改善するため
には、基板の反りをできるだけ除去することが極めて重
要である。
置について中心周波数のばらつきや挿入損失のばらつき
の原因について種々の実験及び解析を行なった結果、こ
れらばらつきの原因は主として基板の反りにあることを
見い出した。すなわち、基板に反りがある場合、リソグ
ラフィ工程におけるマスクパターンの投影工程におい
て、基板表面と投影レンズ系との間の距離が局部的に偏
移してしまい、この結果電極指の幅や電極指間距離が正
規の寸法からずれた変換器が形成されてしまい、正規の
帯域特性及び損失特性からずれた特性のフィルタ装置が
製造されてしまう。従って、製造の歩留を改善するため
には、基板の反りをできるだけ除去することが極めて重
要である。
【0007】さらに、本発明者は、基板の反りの原因に
ついて検討した結果、基板の変換器の形成されるべき表
面とこれと対向する表面との間における表面粗さの差異
が強く影響していることを見い出した。すなわち、基板
の変換器が形成される第1の表面が鏡面研磨され、第2
の表面に粗面処理や微細溝加工を施した場合、粗面処理
や溝加工処理が施された第2の表面全体が収縮するよう
な強いストレスが発生し、一層大きな反りが発生してし
まう。このような検討結果に基き、本発明では、変換器
の形成に先立って基板の2個の表面の両方について同程
度の鏡面研磨処理を行ない、その後一方の表面上に変換
器を形成する。このように、基板の両面に鏡面研磨処理
を施して同程度の研磨面とすることにより、基板の両面
が互いに均等な応力状態に維持されるので、不所望なス
トレスの発生が防止され、反りのない基板を作成するこ
とができる。この結果、その後行なわれる変換器の形成
工程において電極指の幅及び間隔を正確に規定すること
ができ、製造上の歩留を一層向上させることができる。
ついて検討した結果、基板の変換器の形成されるべき表
面とこれと対向する表面との間における表面粗さの差異
が強く影響していることを見い出した。すなわち、基板
の変換器が形成される第1の表面が鏡面研磨され、第2
の表面に粗面処理や微細溝加工を施した場合、粗面処理
や溝加工処理が施された第2の表面全体が収縮するよう
な強いストレスが発生し、一層大きな反りが発生してし
まう。このような検討結果に基き、本発明では、変換器
の形成に先立って基板の2個の表面の両方について同程
度の鏡面研磨処理を行ない、その後一方の表面上に変換
器を形成する。このように、基板の両面に鏡面研磨処理
を施して同程度の研磨面とすることにより、基板の両面
が互いに均等な応力状態に維持されるので、不所望なス
トレスの発生が防止され、反りのない基板を作成するこ
とができる。この結果、その後行なわれる変換器の形成
工程において電極指の幅及び間隔を正確に規定すること
ができ、製造上の歩留を一層向上させることができる。
【0008】特に、正電極の電極指と負電極の電極指と
の間に浮き電極を配置した一方向性変換器を用いる弾性
表面波フィルタ装置の場合、電極指の幅のバラツキによ
り影響を受け易く、電極指の幅の偏差により挿入損失が
低下しGDT特性が悪化してしまう。従って、基板の両
面を鏡面研摩した基板を用いることは一方向性変換器を
用いる弾性表面波フィルタ装置において素子の特性を維
持し製品の歩留を向上させる上で極めて有益である。
の間に浮き電極を配置した一方向性変換器を用いる弾性
表面波フィルタ装置の場合、電極指の幅のバラツキによ
り影響を受け易く、電極指の幅の偏差により挿入損失が
低下しGDT特性が悪化してしまう。従って、基板の両
面を鏡面研摩した基板を用いることは一方向性変換器を
用いる弾性表面波フィルタ装置において素子の特性を維
持し製品の歩留を向上させる上で極めて有益である。
【0009】
【実施例】図1は本発明による弾性表面波フィルタ装置
の一例の構成を示す平面図であり、図2は図1のII−II
線断面図である。本例では、圧電性基板として水晶基板
1を用い、この水晶基板1の第1の表面1a上に入力側変
換器2、シールド電極3及び出力側変換器4を形成す
る。本発明では、これら変換器が形成される基板の第1
の表面1a及び第1の表面と対向する第2の表面1bは共に
鏡面研磨処理面とする。
の一例の構成を示す平面図であり、図2は図1のII−II
線断面図である。本例では、圧電性基板として水晶基板
1を用い、この水晶基板1の第1の表面1a上に入力側変
換器2、シールド電極3及び出力側変換器4を形成す
る。本発明では、これら変換器が形成される基板の第1
の表面1a及び第1の表面と対向する第2の表面1bは共に
鏡面研磨処理面とする。
【0010】入力側変換器2はインタディジタル型の第
1電極である正電極10及び負電極11と、これら正電極と
負電極との間に形成した短絡型浮き電極12及び13を有
し、出力側変換器4も同様に正電極14と、負電極15と、
短絡型浮き電極16及び17とを有している。本例では、こ
れらの電極の電極指の幅はλ/12に設定する。これらの
電極は、水晶基板1上にアルミニウム層を蒸着又はスパ
ッタリングし、フォトリソグラフィ法により形成する。
尚、図面を明瞭にするため、図面上各電極の対数は2対
で表示したが、通過帯域幅に応じて種々の対数に設定す
ることができ、例えばディジタル通信用の狭帯域フィル
タの場合例えば200 〜500 対に設定することができる。
尚、本例では、入力側変換器2と出力側変換器4は共に
同一構造をとるため、入力側変換器について詳細に説明
する。正電極10の電極指10a と10b との間のピッチ及び
負電極11の電極指11a と11b との間のピッチは共に基本
弾性表面波の波長λに等しくなるように設定する。基本
弾性表面波の波長λは、vを水晶基板における弾性表面
波の伝播速度とし、foを中心周波数とした場合、λ=v
/foとなるように設定する。また、正電極10の電極指と
負電極11の電極指との間の中心間距離はλ/2に設定す
る。浮き電極12及び13は、それぞれ対をなす電極指12a,
12b及び13a, 13bを有し、これら電極指間のピッチはそ
れぞれλ/2に設定する。そして、浮き電極12の一方の
電極指12a は負電極11の電極指11a とλ/6の中心間距
離を以って隣接し、他方の電極指12b は正電極10の電極
指10a とλ/6の中心間距離を以って隣接し負電極の電
極指11a とλ/3の中心間距離を以て隣接する。同様
に、浮き電極13の一方の電極指13a も負電極11の電極指
11b とλ/6の中心間距離を以って隣接し正電極の電柱
指10a とλ/3の中心間距離で隣接する。また、他方の
電極指13b も正電極10の電極指10b とλ/6の中心間距
離を以って隣接し、負電極の電極指の11b とλ/3の中
心間距離で隣接する。このように構成すれば、浮き電極
の各電極指12a, 12b, 13a, 13bは、これら電極指が隣接
する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間点か
ら弾性表面波の伝播方向と反対の方向にλ/12の距離だ
け離間し、この結果非対称構造に基く浮き電極による機
械的反射特性を一層有効に利用することができ、励振さ
れた弾性表面波の大部分を図1の右側すなわち出力側変
換器に向けて伝播させることができる。この結果、トラ
ンスジューサの一方向性が一層増強され挿入損失を低減
することができる。
1電極である正電極10及び負電極11と、これら正電極と
負電極との間に形成した短絡型浮き電極12及び13を有
し、出力側変換器4も同様に正電極14と、負電極15と、
短絡型浮き電極16及び17とを有している。本例では、こ
れらの電極の電極指の幅はλ/12に設定する。これらの
電極は、水晶基板1上にアルミニウム層を蒸着又はスパ
ッタリングし、フォトリソグラフィ法により形成する。
尚、図面を明瞭にするため、図面上各電極の対数は2対
で表示したが、通過帯域幅に応じて種々の対数に設定す
ることができ、例えばディジタル通信用の狭帯域フィル
タの場合例えば200 〜500 対に設定することができる。
尚、本例では、入力側変換器2と出力側変換器4は共に
同一構造をとるため、入力側変換器について詳細に説明
する。正電極10の電極指10a と10b との間のピッチ及び
負電極11の電極指11a と11b との間のピッチは共に基本
弾性表面波の波長λに等しくなるように設定する。基本
弾性表面波の波長λは、vを水晶基板における弾性表面
波の伝播速度とし、foを中心周波数とした場合、λ=v
/foとなるように設定する。また、正電極10の電極指と
負電極11の電極指との間の中心間距離はλ/2に設定す
る。浮き電極12及び13は、それぞれ対をなす電極指12a,
12b及び13a, 13bを有し、これら電極指間のピッチはそ
れぞれλ/2に設定する。そして、浮き電極12の一方の
電極指12a は負電極11の電極指11a とλ/6の中心間距
離を以って隣接し、他方の電極指12b は正電極10の電極
指10a とλ/6の中心間距離を以って隣接し負電極の電
極指11a とλ/3の中心間距離を以て隣接する。同様
に、浮き電極13の一方の電極指13a も負電極11の電極指
11b とλ/6の中心間距離を以って隣接し正電極の電柱
指10a とλ/3の中心間距離で隣接する。また、他方の
電極指13b も正電極10の電極指10b とλ/6の中心間距
離を以って隣接し、負電極の電極指の11b とλ/3の中
心間距離で隣接する。このように構成すれば、浮き電極
の各電極指12a, 12b, 13a, 13bは、これら電極指が隣接
する正電極の電極指と負電極の電極指との間の中間点か
ら弾性表面波の伝播方向と反対の方向にλ/12の距離だ
け離間し、この結果非対称構造に基く浮き電極による機
械的反射特性を一層有効に利用することができ、励振さ
れた弾性表面波の大部分を図1の右側すなわち出力側変
換器に向けて伝播させることができる。この結果、トラ
ンスジューサの一方向性が一層増強され挿入損失を低減
することができる。
【0011】本例では、水晶基板1の厚さdを380 μm
とし、入力側変換器2の弾性表面波の伝播方向の中心位
置と出力側変換器4の弾性表面波の伝播方向の中心位置
との間の距離Lを7mmとする。また、フィルタ装置とし
ての中心周波数foは240MHzに設定する。
とし、入力側変換器2の弾性表面波の伝播方向の中心位
置と出力側変換器4の弾性表面波の伝播方向の中心位置
との間の距離Lを7mmとする。また、フィルタ装置とし
ての中心周波数foは240MHzに設定する。
【0012】次に、水晶基板の反りについて説明する。
水晶基板1について第1及び第2の表面1a及び1bの両方
を鏡面研磨した基板と、第1の表面1aだけを鏡面研磨し
第2の表面1bに溝加工処理を施した基板とを試作し、こ
れら基板の反りの量及び変換器を形成した場合の電極指
の幅のばらつきを測定した。この測定結果を表1に示
す。
水晶基板1について第1及び第2の表面1a及び1bの両方
を鏡面研磨した基板と、第1の表面1aだけを鏡面研磨し
第2の表面1bに溝加工処理を施した基板とを試作し、こ
れら基板の反りの量及び変換器を形成した場合の電極指
の幅のばらつきを測定した。この測定結果を表1に示
す。
【0013】
【表1】
【0014】表1に示すように、基板の両面を鏡面研磨
することにより反り量は約1/2に減少する。また、反
りの減少に伴ない電極指の幅の偏差も約1/2に減少す
る。この実験結果より明らかなように、基板の両面を鏡
面研磨することにより製造上の歩留が一層改善されるこ
と明らかである。
することにより反り量は約1/2に減少する。また、反
りの減少に伴ない電極指の幅の偏差も約1/2に減少す
る。この実験結果より明らかなように、基板の両面を鏡
面研磨することにより製造上の歩留が一層改善されるこ
と明らかである。
【0015】次に、バルク波の影響について説明する。
入力側変換器によって発生した弾性波の大部分は弾性表
面波として基板1の表面領域を伝播して出力側変換器に
到達する。一方、入力側変換器で発生した弾性波の一部
はバルク波として基板1の内部を伝播し、第2の表面で
反射して出力側変換器に到達する弾性波も存在する。一
方、基板1の底面である第2の表面1bを鏡面研磨処理面
とした場合、第2の表面での反射効果によりバルク波の
影響が現われ、出力側変換器によって変換された信号中
にスプリアスが生ずるおそれがある。このスプリアスの
発生周波数とフィルタ装置を含む回路装置のイメージ周
波数とが一致すると種々の不都合が生じてしまう。
入力側変換器によって発生した弾性波の大部分は弾性表
面波として基板1の表面領域を伝播して出力側変換器に
到達する。一方、入力側変換器で発生した弾性波の一部
はバルク波として基板1の内部を伝播し、第2の表面で
反射して出力側変換器に到達する弾性波も存在する。一
方、基板1の底面である第2の表面1bを鏡面研磨処理面
とした場合、第2の表面での反射効果によりバルク波の
影響が現われ、出力側変換器によって変換された信号中
にスプリアスが生ずるおそれがある。このスプリアスの
発生周波数とフィルタ装置を含む回路装置のイメージ周
波数とが一致すると種々の不都合が生じてしまう。
【0016】図3はディジタルコードレス電話機の中間
周波段の回路を示す。第1段IFフィルタ20に中心周波
数240.05MHz の弾性表面波フィルタ装置を用い、この第
1段IFフィルタ20からの出力信号と局部発振器21から
の250.8MHzの出力信号とをミキサ22に供給して10.75MHz
の信号を発生させ、この信号を第2段IFフィルタ23に
供給する。この回路において、イメージ周波数である26
1.55MHz の信号が第1段IFフィルタ20から出力される
と局部発振器からの出力信号との関係において10.75MHz
の信号が発生してしまい好ましくない事態が生じてしま
う。従って、第1段IFフィルタである弾性表面波フィ
ルタ装置においてイメージ周波数である261.55MHz の信
号を強く減衰させる必要がある。この目的を達成するた
め、本発明では、弾性表面波フィルタ装置の基板の厚さ
を調整することによりスプリアスの発生周波数がイメー
ジ周波数と一致しないように設定する。
周波段の回路を示す。第1段IFフィルタ20に中心周波
数240.05MHz の弾性表面波フィルタ装置を用い、この第
1段IFフィルタ20からの出力信号と局部発振器21から
の250.8MHzの出力信号とをミキサ22に供給して10.75MHz
の信号を発生させ、この信号を第2段IFフィルタ23に
供給する。この回路において、イメージ周波数である26
1.55MHz の信号が第1段IFフィルタ20から出力される
と局部発振器からの出力信号との関係において10.75MHz
の信号が発生してしまい好ましくない事態が生じてしま
う。従って、第1段IFフィルタである弾性表面波フィ
ルタ装置においてイメージ周波数である261.55MHz の信
号を強く減衰させる必要がある。この目的を達成するた
め、本発明では、弾性表面波フィルタ装置の基板の厚さ
を調整することによりスプリアスの発生周波数がイメー
ジ周波数と一致しないように設定する。
【0017】本発明者が、水晶基板上に図1及び図2に
示す変換器を形成し、基板の厚さを変えて多数のフィル
タ装置を試作したところ、ほとんど全てのスプリアスは
ほぼ一定の周波数間隔でほぼ規則的に発生することが判
明した。フィルタ装置の設定条件を以下に示す。 (1)基板 両面を鏡面研磨した水晶基板 (2)基板の厚さ 300μm, 320μm, 340μm, 362m, 380μm, 400μm (3)中心周波数 240.05 MHz (4)入力側変換器の中心位置と出力側変換器の中心位
置との間の距離(L) L=7mm
示す変換器を形成し、基板の厚さを変えて多数のフィル
タ装置を試作したところ、ほとんど全てのスプリアスは
ほぼ一定の周波数間隔でほぼ規則的に発生することが判
明した。フィルタ装置の設定条件を以下に示す。 (1)基板 両面を鏡面研磨した水晶基板 (2)基板の厚さ 300μm, 320μm, 340μm, 362m, 380μm, 400μm (3)中心周波数 240.05 MHz (4)入力側変換器の中心位置と出力側変換器の中心位
置との間の距離(L) L=7mm
【0018】図4〜図9に実験結果を示す。図4〜図9
は、それぞれ基板の厚さが300 μm, 320μm, 340μm, 3
60μm, 380μm 及び400 μm の試作フィルタ装置におけ
る周波数特性を示し、横軸は周波数(MHz) を示し縦軸は
減衰度(dB)を示す。図4〜図9において、バルク波によ
るスプリアスは周波数に対してほぼ一定の間隔で規則的
に発生している。また、高周波側で発生するスプリアス
のピーク周波数間の周波数間隔は約3MHz と比較的広い
ため、製造誤差を考慮しても十分に広い周波数間隔が得
られる。従って回路のイメージ周波数が、連続して発生
するスプリアスのピーク周波数の間に位置するように基
板の厚さを設定することにより、基板の厚さを制御する
だけで等価的にスプリアスを強く抑制することができ
る。
は、それぞれ基板の厚さが300 μm, 320μm, 340μm, 3
60μm, 380μm 及び400 μm の試作フィルタ装置におけ
る周波数特性を示し、横軸は周波数(MHz) を示し縦軸は
減衰度(dB)を示す。図4〜図9において、バルク波によ
るスプリアスは周波数に対してほぼ一定の間隔で規則的
に発生している。また、高周波側で発生するスプリアス
のピーク周波数間の周波数間隔は約3MHz と比較的広い
ため、製造誤差を考慮しても十分に広い周波数間隔が得
られる。従って回路のイメージ周波数が、連続して発生
するスプリアスのピーク周波数の間に位置するように基
板の厚さを設定することにより、基板の厚さを制御する
だけで等価的にスプリアスを強く抑制することができ
る。
【0019】本発明の上述した実施例だけに限定されず
種々の変形や変更が可能である。例えば、上述した実施
例では水晶基板を例にして説明したが、LiNbO3のような
他の種々の圧電性基板を用いる弾性表面波フィルタ装置
にも適用することができる。また、変換器の構造につい
ても上述した構造だけに適用されず、他の変換器構造の
弾性表面波フィルタ装置にも適用することができる。
種々の変形や変更が可能である。例えば、上述した実施
例では水晶基板を例にして説明したが、LiNbO3のような
他の種々の圧電性基板を用いる弾性表面波フィルタ装置
にも適用することができる。また、変換器の構造につい
ても上述した構造だけに適用されず、他の変換器構造の
弾性表面波フィルタ装置にも適用することができる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では圧電性
基板の変換器が形成される表面とこの表面と対向する表
面を共に同程度に鏡面研磨しているので、両方の表面応
力状態が互いに等しくなり、基板の反りを大幅に減少さ
せることができる。この結果製造時における歩留を一層
改善することができる。
基板の変換器が形成される表面とこの表面と対向する表
面を共に同程度に鏡面研磨しているので、両方の表面応
力状態が互いに等しくなり、基板の反りを大幅に減少さ
せることができる。この結果製造時における歩留を一層
改善することができる。
【図1】本発明による弾性表面波フィルタ装置の一例の
構成を示す平面図である。
構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す弾性表面波フィルタ装置のII−II線
断面図である。
断面図である。
【図3】ディジタルコードレス電話機の中間周波段の回
路を示す回路図である。
路を示す回路図である。
【図4】基板の厚さが 300μm の試作フィルタ装置の周
波数特性を示すグラフである。
波数特性を示すグラフである。
【図5】基板の厚さが 320μm の試作フィルタ装置の周
波数特性を示すグラフである。
波数特性を示すグラフである。
【図6】基板の厚さが 340μm の試作フィルタ装置の周
波数特性を示すグラフである。
波数特性を示すグラフである。
【図7】基板の厚さが 362μm の試作フィルタ装置の周
波数特性を示すグラフである。
波数特性を示すグラフである。
【図8】基板の厚さが 380μm の試作フィルタ装置の周
波数特性を示すグラフである。
波数特性を示すグラフである。
【図9】基板の厚さが 400μm の試作フィルタ装置の周
波数特性を示すグラフである。
波数特性を示すグラフである。
1 圧電性基板,1a 第1の表面,1b 第2の表面,2
入力側変換器,3 シールド電極,4 出力側変換器
入力側変換器,3 シールド電極,4 出力側変換器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 健司 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】第1の表面を有する圧電性基板と、この第
1の表面上に形成した入力側変換器及び出力側変換器と
を具え、中心周波数foの信号を変換する弾性表面波フィ
ルタ装置において、 前記圧電性基板の第1の表面と対向する第2の表面を、
第1の表面と同程度の鏡面研磨処理した面としたことを
特徴とする弾性表面波フィルタ装置。 - 【請求項2】請求項1に記載の弾性表面波フィルタ装置
において、前記圧電性基板を水晶基板とし、この水晶基
板の第1の表面と第2の表面との間の厚さを、イメージ
周波数が周期的に発生するスプリアスのピーク周波数の
間に位置するように設定したことを特徴とする弾性表面
波フィルタ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32867193A JPH07183748A (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 弾性表面波フィルタ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32867193A JPH07183748A (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 弾性表面波フィルタ装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07183748A true JPH07183748A (ja) | 1995-07-21 |
Family
ID=18212867
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32867193A Withdrawn JPH07183748A (ja) | 1993-12-24 | 1993-12-24 | 弾性表面波フィルタ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07183748A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7292091B1 (en) * | 2000-10-11 | 2007-11-06 | Silicon Laboratories Inc. | Method and apparatus for reducing interference |
-
1993
- 1993-12-24 JP JP32867193A patent/JPH07183748A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7292091B1 (en) * | 2000-10-11 | 2007-11-06 | Silicon Laboratories Inc. | Method and apparatus for reducing interference |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010306 |