JPH07182704A - 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方式 - Google Patents

光磁気記録媒体および光磁気記録再生方式

Info

Publication number
JPH07182704A
JPH07182704A JP32228493A JP32228493A JPH07182704A JP H07182704 A JPH07182704 A JP H07182704A JP 32228493 A JP32228493 A JP 32228493A JP 32228493 A JP32228493 A JP 32228493A JP H07182704 A JPH07182704 A JP H07182704A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
magneto
optical recording
writing
recording medium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP32228493A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuhiko Shintaku
一彦 新宅
Masahiko Sekiya
昌彦 関谷
Kiyoshi Chiba
潔 千葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP32228493A priority Critical patent/JPH07182704A/ja
Publication of JPH07182704A publication Critical patent/JPH07182704A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】光パルスのパワーレベルおよび/またはパルス
幅の変調のみによるオーバーライトを行い、かつ超解像
方式による再生を行なう光磁気記録媒体におけるC/N
の向上。 【構成】レーザー光照射により昇温された磁壁境界領域
において、磁壁の移動により正味残留磁化の方向を自己
反転できる自己反転可能な書き込み層を有し、かつ再生
のためのレーザー光による高温領域でのみ書き込み層の
情報を転写することが可能な読み出し層を有し、そして
書き込み層と読み出し層とは隣接して設けらる。さら
に、読み出し層の飽和磁化Ms2(emu /cm3 )と保磁
力Hc2(Oe)と膜厚h2 (cm)と、書き込み層と読み
出し層との間に作用する磁壁エネルギーσw (erg /c
2 )との間で、2 ×Ms2×Hc2×h2 =σw の関係を
満たす最小温度をT1 とするとき、書き込み層の補償温
度Tcompとキュリー温度Tc との間に、(Tc +Tcom
p)/2 >T1 の関係が成り立つ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光パルスのパワーレベ
ルおよび/またはパルス幅の変調のみによるダイレクト
オーバーライト可能な光磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】光記録媒体は、高密度、大容量の情報記
録媒体として種々の研究開発が行なわれている。特に情
報の消去可能な光磁気記録媒体は応用分野が広く、種々
の材料、システムが発表されており、すでに実用化が始
まっている。
【0003】ところで、フロッピーディスク、ハードデ
ィスク等と光磁気記録媒体とを特性面で比較したとき、
光磁気記録媒体媒体の欠点は、書き込み済の古い情報を
消去しつつ新しい情報の書き込みを行なうダイレクトオ
ーバーライトが難しい点、ならびに、最近ではハードデ
ィスクの記録密度が向上してきているために、光磁気記
録媒体の記録密度の優位性が感じられなくなってきた点
の2つがあげられる。
【0004】こうした課題を解決するために、ダイレク
トオーバーライトによる高速化、および、材料ならびに
システムからの高密度化の検討が積極的に行なわれてい
る。
【0005】現在、光磁気ディスクに情報を書き込む際
には、消去、書き込み、確認と大きく分けて3つの動作
を行なっている。ハードディスクでは、ダイレクトオー
バーライトが可能であるために消去過程が不要であるの
に対し、光磁気記録媒体では消去の過程が必要であるた
めに書き込みに要する時間が長くなる。この書き込みに
要する時間を短縮するためには、光磁気記録媒体でもオ
ーバーライトを可能とすることが好ましい考えられる。
これにより、消去動作が要らなくなるため、書き込み時
間を短縮できる。
【0006】光磁気記録媒体のオーバーライト方式に
は、幾つかのものが提案されている。そうした中に、特
開平1-251357号公報、J. Appl. Phys. Vol.63 No.8 (19
88) 3844、 IEEE TRANS. Magn. Vol.23 No.1 (1987) 17
1 、 Appl. Phys. Lett. Vol.49 No.8 (1986) 473 、 I
EEE TRANS. Magn. Vol.25 No.5 (1989) 3530、 J. App
l. Phys. Vol.69 No.8 (1991) 4967 等に記載された方
式がある。
【0007】これは、レーザー光照射により昇温された
磁壁境界領域の一部において、磁壁の移動により正味残
留磁化の方向を自己反転できる自己反転可能な書き込み
層を用い、バイアス磁界の方向および大きさを変えるこ
となく、光パルスのパワーレベルおよび/またはパルス
幅の変調のみにより、ダイレクトオーバーライトを行な
う方式である。そしてこの方式は、現在市販が開始され
ている光磁気記録装置に比べ、光学系、磁石等の構造に
大幅な変更が無く、将来技術として注目される方式であ
る。なおこのダイレクトオーバーライト方式を、以下に
おいてはCMU方式と便宜上呼ぶことにする。
【0008】一方、従来、光磁気記録媒体の書き込み密
度は、レーザー光のビーム径によって制約されるものと
されていた。しかし、最近、このビーム径以下の情報を
再生することを可能とし、書き込み密度を向上させる方
法が提案された(特開平3-88156 号公報)。
【0009】これは、少なくとも書き込み層と読み出し
層からなる光磁気記録媒体において、再生のためのレー
ザー光スポットの中心付近の温度が上昇した部分での
み、書き込み層の情報が読み出し層に転写されることを
利用したものである。これにより、レーザー光のビーム
径よりも小さな書き込みビットを再生することができ
る。なおこの方式を、以下においてはMSR方式と便宜
上呼ぶことにする。
【0010】このMSR方式においては、まずはレンズ
で集光されたレーザー光を透明基板側から読み出し層に
照射する。そして光スポットの中心付近の温度が上昇し
た部分でのみ、書き込み層と読み出し層の間に交換結合
力が働き、書き込み層の情報が読み出し層に転写され
る。
【0011】このとき、光スポット内の転写されない部
分の磁化の向きは、磁界の向きに揃える必要がある。そ
のためには、例えば、レーザー光が照射されると同時に
弱い補助磁界を印加することにより可能である。この時
の磁界の向きや大きさは、採用するMSR方式に依存す
る。装置構成が最も簡単になるようなMSR方式を採用
することが望ましいが、このことは採用するMSR方式
を制限するものではない。
【0012】これをレーザー光で再生する際には、光ス
ポット内のうち転写されていない部分はマスクされ、転
写された部分のみの情報が読み出されることになり、レ
ーザー光のビーム径よりも小さな書き込みビットを再生
することができる。
【0013】なお、書き込み層と読み出し層の間に中間
層を入れて、書き込み層と読み出し層の交換結合力をコ
ントロールすることもできる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、実際に
前述のCMU方式によるダイレクトオーバーライトの確
認試験を行った。その際に用いた媒体は、直径130 m
m、厚さ1.2 mmで、1.6μmピッチのスパイラル状の
グルーブを有するポリカーボネート樹脂(PC)基板上
に、前述の正味残留磁化を自己反転できる自己反転可能
な光磁気記録層として、(Gd25Tb7528(Fe80Co2072
(添数字はatom%による組成を示す)の希土類遷移金属
非晶質合金磁性薄膜(膜厚150 nm)を、透明誘電体で
あるAlSiN膜(膜厚80nm)で挟んだ構成のものであ
る。
【0015】続いて、上述の媒体のダイレクトオーバー
ライト動作の試験を行った。評価用ドライブに設置した
媒体の回転数は、半径30mmの位置にて線速度11.3m/
secとなるように設定した。書き込みと消去は、ビット
の書き込み方向に350Oe の大きさの外部バイアス磁界を
印加した状態で、図2に示す4 MHzのパルス信号によっ
て行った。その際、波長830 nmのレーザーを用いての
レーザーパワーは、書き込みには15.0mW、消去には9.
0 mWとした。その後1.0 mWのDC光すなわち連続光
を照射して、再生信号の測定を行った。このとき再生信
号のC/Nは約37dBであった。
【0016】続いてこの測定を行った同じトラック上に
て、ビットの書き込み方向に350Oeの大きさの外部バイ
アス磁界を印加した状態で図3に示す3 MHzの信号によ
り書き込みと消去を行った。すなわち、図2による元の
信号を、図3の信号にてダイレクトオーバーライトし
た。その後、1.0 mWのDC光すなわち連続光を照射し
て、再生信号の測定を行った。すると初めに書き込みさ
れていた4 MHzの信号は完全に消去され、3 MHzの信号
のみが書き込みされていた。この時の再生信号C/Nは
約37dBであった。
【0017】このC/Nが低い原因を明らかにするため
に、本発明者らは、ダイレクトオーバーライト後のドメ
イン形状を偏光顕微鏡で観察した。その結果を図4に示
す。本来は図2と図3に示すレーザーパワーのうち、書
き込みレベルであるPHのみにより分離されたドメインが
書き込みされるはずである。しかしここでは図4の上段
に示したように、消去レベルであるPLによっても記録ピ
ット7間に部分的に書き込み8が起こっていることが確
認された。このために書き込みドメインの磁気光学的な
コントラストが低下してキャリアレベルが低下し、かつ
図4の下段に示したように、消し残り9によってノイズ
レベルが上昇し、C/Nが低下してしまうと考えられ
る。
【0018】以上の通り、前述のCMU方式を用いるこ
とによる基本的なダイレクトオーバーライト動作の確認
はできた。しかし、再生特性に関しては、C/N〜37dB
と低く、また高密度で実用化レベルに到達させるために
は、大幅なC/Nの改善が必要であることがわかった。
本発明の目的は、CMU方式によるオーバーライトを
行い、かつMSR方式による再生により、再生信号のC
/Nと書き込み密度の高い書き込み再生の行える光磁気
記録媒体を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の光磁気記録媒体
は、消去レベルのレーザー光照射により昇温された磁壁
境界領域の一部において、磁壁の移動により正味残留磁
化の方向を自己反転できる自己反転可能な書き込み層を
有し、かつ、再生レベルのレーザー光による高温領域で
のみ前記書き込み層の情報を転写することが可能な読み
出し層を有し、さらに書き込み層と読み出し層とは隣接
して設けられた構成を有することを特徴とする。
【0020】かつ本発明の光磁気記録媒体は、読み出し
層の飽和磁化Ms2(emu /cm3 )と保磁力Hc2(Oe)
と膜厚h2 (cm)と、書き込み層と読み出し層との間
に作用する磁壁エネルギーσw (erg /cm2 )との間
で、「 2 ×Ms2×Hc2×h2 =σw 」の関係を満た
す最小温度をT1 とするとき、書き込み層の補償温度T
compとキュリー温度Tc との間に、「 (Tc +Tcom
p)/2 >T1 」の関係が成り立つ構成からなること
を特徴とする。
【0021】ここで読み出し層としては、再生レーザー
光の照射による昇温状態において、書き込み層からの情
報が転写されるようなものであれば、材料、構成におい
て特に制限はない。例えば希土類遷移金属合金系のGdC
o、GdFe、GdFeCo、GdTbFe、GdTbCo、GdTbFeCo、NdFeC
o、GdNdFeCo、DyFeCo等の希土類と遷移金属との非晶質
合金、あるいはガーネット膜、Co/Pt 、Co/Pd 等の多層
膜、CoPt合金膜、CoPd合金膜等があげられる。磁壁の移
動動作の良好さより希土類リッチのGdTbFeCoが特に好ま
しい。
【0022】書き込み層としては、レーザー照射により
加熱された磁壁境界領域の少なくとも一部において、バ
イアス磁界の方向および大きさを変えることなく、磁壁
の移動を伴い正味残留磁化の方向を自己反転することが
できるような材料であれば特に制限はない。例えば希土
類遷移金属合金系のTbFeCo、GdFeCo、GdTbFe、GdTbFeC
o、GdDyFeCo、NdDyFeCo、NdDyTbFeCo等の希土類と遷移
金属との非晶質合金等があげられる。
【0023】読み出し層と書き込み層の間に中間層を設
けてもよい。中間層は単層であっても複数の層であって
もよく、読み出し層と書き込み層の間の交換結合力をコ
ントロールできるものであれば特に制限はない。例えば
希土類遷移金属合金系のGdCo、GdFe、TbFe、GdFeCo、Gd
TbFe、GdTbCo、GdTbFeCo、GdFeCoAl等の希土類と遷移金
属との非晶質合金、あるいはガーネット膜、Co/Pt、Co
/Pd等の多層膜、CoPt合金膜、CoPd合金膜等があげられ
る。
【0024】また本発明の光磁気記録媒体においては、
読み出し時に書き込み層の磁化の自己反転による書き込
みの消えが起こることを防ぐため、書き込み層の補償温
度Tcomp及びキュリー温度Tc と、前述のT1 との間に
は、「 ( Tc +Tcomp) /2 >T1 」次の関係が成
り立つことが必要である。なおここで、前述の磁壁移動
エネルギーσw は、中間層を介する場合には書き込み層
と読み出し層の間の等価的な値で表される。
【0025】さらに本発明の光磁気記録再生方法は、本
発明の光磁気記録媒体を用いて、光パルスのパワーレベ
ルおよびまたはパルス幅の変調のみによるダイレクトオ
ーバーライトを行う光磁気記録再生方式において、消去
のためのレーザー光照射により昇温された磁壁境界領域
の一部において、磁壁の移動により正味残留磁化の方向
を自己反転させる一方、再生のためのレーザー光による
高温領域でのみ書き込み層の情報を読み出し層に転写し
て情報の読み出しを行ない、さらに情報の読み出し時に
は読み出し層の最高到達温度T2 を、「 (Tc +Tco
mp)/2 >T2≧T1 」にすることを特徴とする。
【0026】すなわち光磁気記録媒体の書き込み層に書
き込みされた情報を、再生レーザー光スポットの中心付
近の温度が上昇した部分でのみ、書き込み層の情報が読
み出し層に転写されることにより、レーザー光のビーム
径よりも小さな書き込みビットを再生することができ
る。
【0027】この時読み出し層の読み出し時の最高到達
温度T2 は、転写が起こるためにT1 以上であることが
必要である。T1 は前記した関係を満たす温度である。
また、読み出し光の照射により書き込み層の自己反転で
書き込みの消えが起こることを抑えるため、上述の温度
関係を満たすことが必要になる。さらに、この効果を増
すためにT2 は、「 Tcomp>T2 ≧T1 」の関係を
満たすことがより好ましい。
【0028】本発明で用いる基板の材料としては、ポリ
カーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、2−
メチルペンテン樹脂など、またそれらの共重合体等の高
分子樹脂、もしくはガラスなどが適用できる。中でも機
械強度、耐候性、耐熱性、透湿性の点でポリカーボネー
ト樹脂が好ましい。
【0029】本発明では、カー効果エンハンスメントを
高め、再生信号品質を向上させるために、読み出し層と
書き込み層とからなる記録層と基板との間に、透明誘電
体層を設ける構成も使用可能である。そのためには、屈
折率の高い材料、すなわち1.8 以上の屈折率を有する材
料、さらに好ましくは2.0 以上である材料を用いること
が望ましい。このような材料としては、AlN、MgF2
ZnS、CeF3 、Si3 4 、AlSiN、SiO、Zr2 3 、In
2 3 、SnO2 、Ta2 5 、AlON、SiON、ZrON、
InON、SnON、TaONまたこれらの混合体などが適用
できる。特に屈折率が2.0 以上という点ではAlSiN、Zn
S、Zr2 3 、Ta2 5 、ZrON、TaONが好ましい。
【0030】あるいは、読み出し層と書き込み層とから
なる記録層の基板とは反対の側に透明誘電体層を設け、
さらにその透明誘電体層の外側に金属層を形成してもよ
い。金属層としては、例えば、Al、AlTi、AlAu、AlAuTi
を用いる。
【0031】本発明の光磁気記録媒体を用いれば、オー
バーライトにより情報の書き換えが行えるため書き込み
時間を大幅に短縮できる。しかも、このオーバーライト
にCMU方式をとるために、印加磁界の方向および大き
さを変える必要がなく、また、光変調方式であるために
両面貼り合わせ媒体に関しても使用可能である。また、
本発明の光磁気記録媒体においては、読み出し層の存在
がオーバーライト時の磁壁移動を助け、オーバーライト
が正確かつ確実に行えるようになる。
【0032】再生においては、再生レーザー光のスポッ
トの中心付近の温度が上昇した部分でのみ、書き込み層
の情報が読み出し層に転写され、その部分を再生レーザ
ー光で読み出す。このとき、CMU方式における雑音の
原因であった部分的な書き込みや消し残りは読み出し層
には転写されず、書き込みパルスによって書き込みされ
た部分のみが転写される作用がある。
【0033】この原因としては、部分的な書き込みや消
し残り部分は、書き込みドメインに比べて磁化の状態が
不安定で、配向が不十分であるために、読み出し層への
転写が十分に行なわれなくなるためと考えられる。した
がって、再生時には読み出したい情報だけを得ることが
でき、CMU方式における問題を改善し、高いC/N比
を実現することが可能となる。
【0034】さらには、書き込み層に書き込みされた情
報を読み出し層に転写するMSR方式をとるため、高密
度の書き込み再生が実現できる。
【0035】
【実施例】以下のようにして基板上に図1に示す構成の
光磁気記録媒体を作成した。図において1は基板、2は
第1透明誘電体層、3は読み出し層、4は書き込み層、
5は第2透明誘電体層、6は有機保護層である。
【0036】基板1としては、ポリカーボネート樹脂
(PC)よりなる、直径130 mm、厚さ1.2 mmの円盤
で、1.6 μmピッチのグルーブを有する物を用いた。こ
の基板1を、3 ターゲットの高周波マグネトロンスパッ
タ装置(アネルバ製SPC-350UHV)の真空槽内に固定し、
13μPa(=1 ×10-7Torr)になるまで排気する。なお、
以下の膜形成において基板1は15rpm で回転させた。
【0037】まず、第1透明誘電体層2としてAlSiN膜
を形成した。すなわち、ターゲットとしては直径100 m
m、厚さ5 mmの円盤状のAlSi(50:50)の焼結体を用
い、真空槽内にAr/N2混合ガス(N2 30vol%)を導
入し、圧力0.4Pa (=3 mTorr)になるようにガス流量
を調整した。放電電力400 W、放電周波数13.56 MHzで
高周波スパッタリングを行い、第1 透明誘電体層として
AlSiN 膜を80nm堆積した。
【0038】次に読み出し層3として、ターゲットをGd
FeCo合金の円盤を用い、スパッタリングガスを純Ar(濃
度99.999%)とし、圧力0.67Pa(=5 mTorr)、放電電
力100 WでGd22Fe66Co12膜(キュリー温度Tc =250
℃、保磁力Hc=0.8 kOe、遷移金属rich)を30nm堆
積した。
【0039】続いて、書き込み層4としてターゲットを
GdTbFeCo合金の円盤を用い、スパッタリングガスを純Ar
(濃度99.999%)とし、圧力0.67Pa、放電電力100 Wで
Gd6Tb20Fe59Co15膜(Tc =320 ℃、Tcomp=120 ℃、
保磁力Hc=12kOe)を60nm堆積した。
【0040】さらに、第2透明誘電体層5としてターゲ
ットを前記のAlSiの焼結体ターゲットに戻し、スパッタ
リングガスもAr/N2 混合ガス(N2 30vol%)に戻
し、第1透明誘電体層と同様の放電条件で、AlSiN膜を
60nm堆積した。
【0041】これらのサンプルをスパッタリング装置か
ら取り出し、スピンコーターに取り付けた。ディスクを
回転させながら、紫外線硬化性のフェノールノボラック
エポキシアクリレート樹脂を塗布した後、紫外線照射装
置を通過させて樹脂を硬化させ、約20μmの有機保護層
6を設けた。
【0042】以上のようにして作成した媒体の性能評価
を行った。測定には光磁気記録再生装置(パルステック
工業製DDU-1000型)を用い、半径30mm位置のトラック
において、ディスク回転数3600rpm 、線速度11.3m/se
c で、ビットの書き込み方向にバイアス磁界を印加し、
図2と3に示すような変調をかけた光パルスを順に照射
することによりダイレクトオーバーライトを行い、その
ときのC/Nを求めた。すなわち、図2に示す4 MHzの
信号によって書き込みした書き込みビットを、図3に示
す3 MHzの信号によってダイレクトオーバーライトし
た。なおこのために用いたレーザーの波長は830 nm、
対物レンズのN.A.は0.55である。
【0043】そして、PH=15mW、PL=5 mW、外部印
加磁界強度Hext=300 (Oe)とし、再生レーザーパワー
PR=2.0 mWとした。その結果、得られたC/Nは49d
B、また消し残り信号は0dB であった。次に最大のC/
Nが得られる条件を求めたところ、C/N=49dB、PH=
15mW、PL=5 mW、Hext=300 (Oe)であった。
【0044】さらに以下のような測定を行った。半径30
mm位置のトラックにおいて、ディスク回転数3600rpm
、線速度11.3m/sec で、ビットの書き込み方向にバ
イアス磁界を印加し、図6と7に示すような変調をかけ
た光パルスを順に照射することによりダイレクトオーバ
ーライトを行い、そのときのC/Nを求めた。すなわ
ち、図6に示す19.8MHzの信号によって書き込みした書
き込みビットを、図7に示す14.9MHzの信号によってダ
イレクトオーバーライトした。
【0045】そして、PH=15mW、PL=5 mW、外部印
加磁界強度Hext=300 (Oe)とし、再生レーザーパワー
PR=2.0 mWとした。このときの理論ビット長は0.4 μ
mである。その結果、得られたC/Nは45dB、また消し
残り信号は0dB であった。
【0046】
【比較例】読み出し層3を設けない以外は実施例と同様
の手順で、図5に示す構成からなる光磁気記録媒体を作
製した。そして得られた媒体を、実施例と同じ条件で評
価した。
【0047】その結果、まず図2に示す4 MHzの信号に
よって書き込みした書き込みビットを、図3に示す3 M
Hzの信号によってダイレクトオーバーライトした場合
に、得られたC/Nは35dB、また消し残り信号は20dBで
あった。
【0048】次に最大のC/Nが得られる条件を求めた
ところ、C/N=37dB、PH=15mW、PL=7 mW、Hext
=300Oe であった。すなわち比較例のほうが高い消去レ
ベルパワーが必要であることがわかった。これは、読み
出し層を設けたことによりオーバーライト時の磁壁移動
動作が改善され、消去動作が良好になったためと考えら
れる。
【0049】さらに図6に示す19.8MHzの信号によって
書き込みした書き込みビットを、図7に示す14.9MHzの
信号によってダイレクトオーバーライトした場合に、得
られたC/Nは20dB、また消し残り信号は17dBであっ
た。
【0050】また、PR=5 mWとして媒体1 の読み出し
を行ったところ、書き込み信号の部分的な消えが観測さ
れた。この時読み出し部の最高温度は局所的に120 ℃を
超えた。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明の光磁気記録媒体
に対して、CMU方式でオーバーライトが可能で、ま
た、レーザー光のビーム径以下のビットを読み出すMS
R方式による書き込み再生を行った。これにより、書き
込み時間が短縮され、書き込み密度が向上した。さらに
MSR方式とCMU方式の組み合わせにより、従来のC
MU方式における問題点を克服し、C/Nが飛躍的に向
上した。また、媒体構成、装置構成が簡単で生産性が大
幅に向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の光磁気記録媒体の構成
【図2】光ビームの変調波形
【図3】光ビームの変調波形
【図4】オーバーライトによる部分的な書き込みや消し
残り
【図5】比較例の光磁気記録媒体の構成
【図6】光ビームの変調波形
【図7】光ビームの変調波形
【符号の説明】
1 透明基板 2 第1透明誘電体層 3 読み出し層 4 書き込み層 5 第2透明誘電体層 6 有機保護層 7 記録ピット 8 部分的書き込み 9 消し残り

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光パルスのパワーレベルおよび/または
    パルス幅の変調のみによるダイレクトオーバーライトが
    可能な光磁気記録媒体において、レーザー光照射により
    昇温された磁壁境界領域において、磁壁の移動により正
    味残留磁化の方向を自己反転できる自己反転可能な書き
    込み層を有し、かつ再生のためのレーザー光による高温
    領域でのみ書き込み層の情報を転写することが可能な読
    み出し層を有し、さらに書き込み層と読み出し層とは隣
    接して設けられた構成であって、読み出し層の飽和磁化
    Ms2(emu /cm3 )と保磁力Hc2(Oe)と膜厚h2
    (cm)と、書き込み層と読み出し層との間に作用する
    磁壁エネルギーσw (erg /cm2 )との間で、「 2
    ×Ms2×Hc2×h2 =σw 」の関係を満たす最小温度
    をT1 とするとき、書き込み層の補償温度Tcompとキュ
    リー温度Tc との間に、「 (Tc +Tcomp)/2 >T
    1 」の関係が成り立つ構成からなることを特徴とする
    光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の光磁気記録媒体を用い
    て、光パルスのパワーレベルおよびまたはパルス幅の変
    調のみによるダイレクトオーバーライトを行う光磁気記
    録再生方式において、消去のためのレーザー光照射によ
    り昇温された磁壁境界領域の一部において、磁壁の移動
    により正味残留磁化の方向を自己反転させる一方、再生
    のためのレーザー光による高温領域でのみ書き込み層の
    情報を読み出し層に転写して情報の読み出しを行ない、
    さらに情報の読み出し時には読み出し層の最高到達温度
    T2 を、「 (Tc +Tcomp)/2 >T2 ≧T1 」に
    することを特徴とする光磁気記録再生方式。
JP32228493A 1993-12-21 1993-12-21 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方式 Pending JPH07182704A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32228493A JPH07182704A (ja) 1993-12-21 1993-12-21 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方式

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32228493A JPH07182704A (ja) 1993-12-21 1993-12-21 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方式

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07182704A true JPH07182704A (ja) 1995-07-21

Family

ID=18141926

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32228493A Pending JPH07182704A (ja) 1993-12-21 1993-12-21 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方式

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07182704A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6020079A (en) Magneto-optical recording medium and reproducing method for information recorded on the medium
JP3049482B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JPH06203417A (ja) 光磁気記録媒体およびその記録方法と記録再生方法
JPH0535499B2 (ja)
JP3452451B2 (ja) 光磁気記録媒体及び光磁気記録方法
JPH07182704A (ja) 光磁気記録媒体および光磁気記録再生方式
US5822282A (en) Magneto-optical recording medium having a plurality of magnetic layers for use in light modulation technique
JPH06251443A (ja) 光磁気記録媒体
US5719831A (en) Magneto-optical recording medium cartridge which employs magnets
JPH10293949A (ja) 光磁気記録媒体
JP2001331985A (ja) 光磁気記録媒体及びその製造方法
JP2929918B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
KR100209584B1 (ko) 광자기 디스크
JPH07161082A (ja) 光磁気記録媒体及び光磁気記録方法
JPH06223427A (ja) 光磁気記録媒体およびその再生方法
JPH06333280A (ja) オーバーライト可能な光磁気記録媒体
JP2985641B2 (ja) 光磁気記録媒体及びその再生方法
JP2782957B2 (ja) 光磁気記録媒体
JPH0535493B2 (ja)
JP2001084658A (ja) 光磁気記録媒体及びその記録方法
JPH0522302B2 (ja)
JPH0773526A (ja) 光磁気記録媒体の製造方法
JPH06338083A (ja) 両面タイプのオーバーライト可能な光磁気記録媒体 及びその製造方法
JPH11306608A (ja) 光磁気記録媒体
JPH08161782A (ja) 光磁気記録媒体