JPH07180593A - 内燃機関の燃焼状態制御装置 - Google Patents

内燃機関の燃焼状態制御装置

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JPH07180593A
JPH07180593A JP5323546A JP32354693A JPH07180593A JP H07180593 A JPH07180593 A JP H07180593A JP 5323546 A JP5323546 A JP 5323546A JP 32354693 A JP32354693 A JP 32354693A JP H07180593 A JPH07180593 A JP H07180593A
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、希薄燃焼式内燃機関に用いて好適
な燃焼状態制御装置に関し、リーンバーン運転時に、燃
焼変動の確率・統計的性質を考慮し、確実な燃焼制御を
行なえるようにするとともに、悪路走行時においても的
確な制御を行なえるようにすることを目的とする。 【構成】 内燃機関1に駆動される回転軸の角加速度の
変動値を検出する変動検出手段101と、変動値を内燃
機関1の運転状態に応じて正規化し正規化変動値を求め
る正規化変動値検出手段102と、正規化変動値に基づ
いて空燃比の希薄化制御を行なう燃焼状態制御手段10
5と、正規化変動値と所定の悪路判定閾値とを比較して
悪路走行を判定する悪路判定手段113と、悪路判定手
段113での判定結果に基づき燃焼状態制御手段105
における空燃比希薄化制御を制限する希薄化制御制限手
段114とをそなえるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所要の運転条件下では
理論空燃比よりも希薄側空燃比での希薄燃焼運転を行な
う希薄燃焼式内燃機関(エンジン)に用いて好適な内燃
機関の燃焼状態制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、所要の運転条件下では理論空燃比
(ストイキオ)よりも希薄側空燃比(リーン)での希薄
燃焼運転を行なう希薄燃焼式内燃機関(所謂リーンバー
ンエンジン)が提供されている。このようなリーンバー
ンエンジンでは、希薄燃焼運転(リーンバーン運転)時
は、空燃比を極力大きく(つまり、混合気が極力希薄に
なるように)設定しており、その空燃比の値は、混合気
が安定した燃焼を行ないうる限界(リーン限界)近くに
設定されている。
【0003】そして、このようなリーンバーン運転を行
なうことにより、燃費を大幅に向上させることができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、リーンバー
ン運転を行なうため、制御装置により燃焼状態を制御す
ることが行なわれており、この制御において、クランク
軸の角加速度からエンジントルクを推定することが論文
等で発表されている。しかしながら、これらの推定は、
変化する瞬時値を用いて瞬間ごとに行なうものであり、
エンジントルクPiの確率・統計的性質を考慮し、所定
の期間ごとに安定した確実な制御を行なうことは考えら
れていない。
【0005】また、図15に示すように、エンジンにお
ける燃焼変動は、各気筒間でばらつきがあり、このばら
つきは、インジェクタや吸気管形状、バルブタイミング
等のずれによる空燃比ばらつきにより発生する。このた
め、リーンバーン運転では、最も燃焼変動の大きい気筒
の空燃比に対応するように燃焼状態を制御している。
【0006】しかしながら、このような手段では、比較
的に燃焼変動の小さい気筒では、限界空燃比での運転が
行なわれないという課題がある。さらに、リーンバーン
制御においては、燃焼変動の大きさに基づいた制御を行
なう場合、変動が所定以上に大きくなると、燃焼状態が
悪化していると判断して、リッチ側へ移行させるような
燃料噴射量等の制御が行なわれる。
【0007】このような制御手段として、燃焼変動をエ
ンジンの回転変動から推定して行なう場合、悪路走行時
においても回転変動が大きく発生することが考えられ、
このような場合に、リッチ側へ過剰な補正制御が行なわ
れる可能性がある。本発明は、このような課題に鑑み創
案されたもので、リーンバーン運転時に、燃焼変動の確
率・統計的性質を考慮し、確実な燃焼制御を行なえるよ
うにするとともに、悪路走行時においても的確な制御を
行なえるようにした、エンジンの燃焼状態制御装置を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このため、本発明のエン
ジンの燃焼状態制御装置は、理論空燃比より希薄側の空
燃比で運転しうる内燃機関において、上記内燃機関に駆
動される回転軸の角加速度の変動値を検出する変動検出
手段と、該変動検出手段で検出された変動値を上記内燃
機関の運転状態に応じて正規化し正規化変動値を求める
正規化変動値検出手段と、上記正規化変動値に基づいて
空燃比の希薄化制御を行なう燃焼状態制御手段と、上記
正規化変動値と所定の悪路判定閾値とを比較して悪路走
行を判定する悪路判定手段と、上記悪路判定手段での判
定結果に基づき、上記燃焼状態制御手段における空燃比
希薄化制御を制限する希薄化制御制限手段とをそなえて
構成されたことを特徴としている。
【0009】
【作用】上述の本発明のエンジンの燃焼状態制御装置で
は、エンジンを理論空燃比よりリーン側の空燃比で運転
すべく、エンジンに駆動される回転軸の角加速度の変動
値が変動検出手段により検出され、変動値が正規化変動
値検出手段によりエンジンの運転状態に応じて正規化さ
れて正規化変動値が求められ、燃焼状態制御手段によ
り、この正規化変動値に基づいて空燃比の希薄化制御が
行なわれる。そして、正規化変動値と所定の悪路判定閾
値とを比較して悪路判定手段により悪路走行が判定され
ると、燃焼状態制御手段における空燃比希薄化制御が希
薄化制御制限手段により制限される。
【0010】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
のエンジンの燃焼状態制御装置について説明すると、図
1は本装置の制御ブロック図、図2は本装置を有するエ
ンジンシステムの全体構成図、図3は本装置を有するエ
ンジンシステムの制御系を示すハードブロック図、図
4,5は本装置の動作を説明するためのフローチャー
ト、図6は本装置の動作を説明するための波形図,図7
は本装置の動作を説明するための補正特性マップ、図8
は本装置の動作を説明するための摸式的グラフ、図9は
本装置の動作を説明するための摸式的グラフ、図10は
本装置の動作を説明するための正規化特性マップ、図1
1は本装置における回転変動検出部を示す摸式的斜視
図、図12,13は本装置の制御対象特性を示す摸式的
グラフ、図14は悪路および燃焼き悪化判定のための閾
値の大小関係を説明するための図である。
【0011】さて、本装置を装備する自動車用のエンジ
ンは、所要の運転条件下では理論空燃比(ストイキオ)
よりも希薄側空燃比(リーン)での希薄燃焼運転(リー
ンバーン運転)を行なうリーンバーンエンジンとして構
成されているが、このエンジンシステムは、図2に示す
ようになる。すなわち、この図2において、エンジン
(内燃機関)1は、その燃焼室2に通じる吸気通路3お
よび排気通路4を有しており、吸気通路3と燃焼室2と
は吸気弁5によって連通制御されるとともに、排気通路
4と燃焼室2とは排気弁6によって連通制御されるよう
になっている。
【0012】また、吸気通路3には、その上流側から順
に、エアクリーナ7,スロットル弁8および電磁式燃料
噴射弁(インジェクタ)9が設けられており、排気通路
4には、その上流側から順に、三元触媒10および図示
しないマフラ(消音器)が設けられている。なお、イン
ジェクタ9は、エンジン1の各気筒毎に設けられてい
る。また、吸気通路3には、サージタンク3aが設けら
れている。
【0013】なお、三元触媒10は、ストイキオ運転状
態で、CO,HC,NOxを浄化するもので、公知のも
のである。さらに、スロットル弁8は、ワイヤケーブル
を介してアクセルペダル(図示せず)に連結されてお
り、このアクセルペダルの踏込み量に応じて開度を調整
されるようになっている。
【0014】また、吸気通路3には、スロットル弁8を
バイパスする第1バイパス通路11Aが設けられ、この
第1バイパス通路11Aには、ISC弁として機能する
ステッパモータ弁(以下、STM弁という)12が介装
されている。なお、この第1バイパス通路11Aには、
エンジン冷却水温に応じて開度が調整されるワックスタ
イプのファーストアイドルエアバルブ13も設けられて
おり、STM弁12に併設されている。
【0015】ここで、STM弁12は、第1バイパス通
路11A中に形成された弁座部に当接しうる弁体12a
と、この弁体位置を調整するためのステッパモータ(I
SC用アクチュエータ)12bと、弁体を弁座部に押圧
する方向(第1バイパス通路11Aを塞ぐ方向)へ付勢
するバネ12cとから構成されている。そして、ステッ
パモータ12bにより、弁座部に対する弁体12aの位
置の段階的な調整(ステップ数による調整)を行なうこ
とで、弁座部と弁体12aとの開度つまりSTM弁12
の開度が調整されるようになっている。
【0016】従って、このSTM弁12の開度を後述す
るコントローラとしての電子制御ユニット(ECU)2
5にて制御することにより、運転者によるアクセルペダ
ルの操作とは関係なく、第1バイパス通路11Aを通し
て吸気をエンジン1に供給することができ、その開度を
変えることでスロットルバイパス吸気量を調整すること
ができるようになっている。
【0017】なお、ISC用アクチュエータとしては、
ステッパモータ12bの代わりに、DCモータを用いて
もよい。さらに、吸気通路3には、スロットル弁8をバ
イパスする第2バイパス通路11Bが設けられ、この第
2バイパス通路11Bには、エアバイパス弁14が介装
されている。
【0018】ここで、このエアバイパス弁14は、第2
バイパス通路11B中に形成された弁座部に当接しうる
弁体14aと、この弁体位置を調整するためのダイアフ
ラム式アクチュエータ14bとから構成されており、ダ
イアフラム式アクチュエータ14bのダイアフラム室に
は、スロットル弁下流側の吸気通路と連通するパイロッ
ト通路141が設けられており、このパイロット通路1
41に、エアバイパス弁制御用電磁弁142が介装され
ている。
【0019】従って、このエアバイパス弁制御用電磁弁
142の開度を後述するECU25にて制御することに
より、この場合も、運転者によるアクセルペダルの操作
とは関係なく、第2バイパス通路11Bを通して吸気を
エンジン1に供給することができ、その開度を変えるこ
とでスロットルバイパス吸気量を調整することができる
ようになっている。なお、このエアバイパス弁制御用電
磁弁142は、リーンバーン運転時には開状態にされ、
それ以外で閉状態にされるのが基本動作である。
【0020】また、排気通路4と吸気通路3との間に
は、排気を吸気系へ戻す排気再循環通路(EGR通路)
80が介装されていて、このEGR通路80には、EG
R弁81が介装されている。ここで、このEGR弁81
は、EGR通路80中に形成された弁座部に当接しうる
弁体81aと、この弁体位置を調整するためのダイアフ
ラム式アクチュエータ81bとから構成されており、ダ
イアフラム式アクチュエータ81bのダイアフラム室に
は、スロットル弁下流側の吸気通路と連通するパイロッ
ト通路82が設けられており、このパイロット通路82
に、ERG弁制御用電磁弁83が介装されている。
【0021】従って、このEGR弁制御用電磁弁83の
開度を後述するECU25にて制御することにより、E
GR通路80を通して、排気を吸気系へ戻すことができ
るようになっている。なお、図2において、15は燃料
圧調節器で、この燃料圧調節器15は、吸気通路3中の
負圧を受けて動作し、図示しないフュエルポンプからフ
ュエルタンクへ戻る燃料量を調節することにより、イン
ジェクタ9から噴射される燃料圧を調節するようになっ
ている。
【0022】また、このエンジンシステムを制御するた
めに、種々のセンサが設けられている。まず、図2に示
すように、エアクリーナ7を通過した吸気が吸気通路3
内に流入する部分には、吸入空気量をカルマン渦情報か
ら検出するエアフローセンサ(吸気量センサ)17や吸
入空気湿度パラメータ検出手段としての吸気温センサ1
8,大気圧センサ19がそなえられている。
【0023】この吸気温センサ18は、エンジン1の吸
入空気の温度を検出するものである。また、吸気通路3
におけるスロットル弁8の配設部分には、スロットル弁
8の開度を検出するポテンショメータ式のスロットルポ
ジションセンサ20のほかに、アイドルスイッチ21が
そなえられている。
【0024】さらに、排気通路4側には、排気ガス中の
酸素濃度(O2 濃度)を空燃比リーン側において線形に
検出するリニア酸素濃度センサ(以下、単に「リニアO
2 センサ」という)22がそなえられるほか、その他の
センサとして、エンジン1用の冷却水の温度を検出する
水温センサ23や、図3に示すクランク角度を検出する
クランク角センサ24(このクランク角センサ24はエ
ンジン回転数Neを検出する回転数センサとしての機能
も兼ねている)や車速センサ30などがそなえられてい
る。
【0025】そして、これらのセンサやスイッチからの
検出信号は、図3に示すようなECU25へ入力される
ようになっている。ここで、このECU25のハードウ
ェア構成は、図3に示すようになるが、このECU25
は、その主要部としてCPU(演算装置)26をそなえ
たコンピュータとして構成されており、CPU26に
は、吸気温センサ18,大気圧センサ19,スロットル
ポジションセンサ20,リニアO2 センサ22,水温セ
ンサ23等からの検出信号が、入力インタフェース28
およびアナログ/ディジタルコンバータ29を介して入
力されるようになっている。
【0026】また、CPU26には、エアフローセンサ
17,アイドルスイッチ21,クランク角センサ24,
車速センサ30等からの検出信号が、入力インタフェー
ス35を介して直接入力されるようになっている。さら
に、CPU26は、バスラインを介して、プログラムデ
ータや固定値データのほか各種データを記憶するROM
(記憶手段)36や更新して順次書き替えられるRAM
37との間でデータの授受を行なうようになっている。
【0027】また、CPU26による演算の結果、EC
U25からは、エンジン1の運転状態を制御するための
信号、例えば、燃料噴射制御信号,点火時期制御信号,
ISC制御信号,バイパスエア制御信号,EGR制御信
号等の各種制御信号が出力されるようになっている。こ
こで、燃料噴射制御(空燃比制御)信号は、CPU26
から噴射ドライバ39を介して、インジェクタ9を駆動
させるためのインジェクタソレノイド9a(正確にはイ
ンジェクタソレノイド9a用のトランジスタ)へ出力さ
れるようになっており、点火時期制御信号は、CPU2
6から点火ドライバ40を介して、パワートランジスタ
41へ出力され、このパワートランジスタ41から点火
コイル42を介しディストリビュータ43により各点火
プラグ16に順次火花を発生させるようになっている。
【0028】また、ISC制御信号は、CPU26から
ISCドライバ44を介して、ステッパモータ12bへ
出力され、バイパスエア制御信号は、CPU26からバ
イパスエア用ドライバ45を介して、エアバイパス弁制
御用電磁弁142のソレノイド142aへ出力されるよ
うになっている。さらに、EGR制御信号は、CPU2
6からEGRドライバ46を介して、ERG弁制御用電
磁弁83のソレノイド83aへ出力されるようになって
いる。
【0029】ところで、今、燃料噴射制御(空燃比制
御)に着目すると、この燃料噴射制御(インジェクタ駆
動時間制御)のために、ECU25は、図1に示すよう
に、変動検出手段101、正規化変動値検出手段10
2、燃焼悪化判定値算出手段104、燃焼状態制御手段
105、燃焼変動調整要素106、角加速度検出手段1
07、平滑化手段108、閾値更新手段110、失火判
定基準値111、悪路判定手段113およびリーン制御
制限手段114の機能をそなえている。
【0030】ここで、燃焼変動調整要素106は、燃焼
状態制御手段105からの制御信号により燃料噴射パル
ス幅Tinjを所望の状態に調整して、実現すべき空燃
比のリーンバーン運転を行なうもので、インジェクタ9
がこの燃焼変動調整要素106として機能する。なお、
燃料噴射パルス幅Tinjは次式で表される。
【0031】Tinj(j)=TB・KAC(j)・K
・KAFL+Td または、 Tinj(j)=TB・KAC(j)・K+Td この式におけるTBは、インジェクタ9の基本駆動時間
であり、エアフローセンサ17からの吸入空気量A情報
とクランク角センサ(エンジン回転数センサ)24から
のエンジン回転数N情報とからエンジン1回転あたりの
吸入空気量A/N情報を求め、この情報に基づき基本駆
動時間TBを決定するようになっている。
【0032】また、KAFLはリーン化補正係数で、マ
ップに記憶された特性からエンジンの運転状態に対応し
て決定され、運転状態に応じて空燃比をリーンまたはス
トイキオにすることができるように構成されている。そ
して、KAC(j)は、後述のように、燃焼変動に対応
した燃焼状態制御を行なうための補正係数である。
【0033】さらに、エンジン冷却水温,吸気温,大気
圧等に応じた補正係数Kが設定され、デッドタイム(無
効時間)Tdがバッテリ電圧に応じて駆動時間が補正さ
れるように構成されている。また、リーンバーン運転
は、所定の条件が成立したものとリーン運転条件判定手
段において判定された場合に行なわれるように構成され
ている。
【0034】これにより、このECU25は、所要の運
転条件下では理論空燃比よりも希薄側空燃比となるよう
に空燃比を制御する空燃比制御手段の機能を有している
ことになる。ところで、本実施例の燃焼状態制御装置
は、エンジンに駆動される回転軸(クランク軸)の角加
速度を検出する角加速度検出手段107をそなえてお
り、角加速度検出手段107は次のように構成されてい
る。
【0035】すなわち、図11に示すように、角加速度
検出手段107は、クランク角センサ24、気筒判別セ
ンサ230およびコントローラとしてのECU25を主
要要素としてそなえており、クランク角センサ24は、
エンジンのクランク軸201と一体に回転する回転部材
221をそなえている。回転部材221の周縁には、半
径方向へ突出する第1,第2および第3のベーン221
A,221B,221Cが形成されており、このベーン
221A,221B,221Cに対し両面から対向する
ように装備された検出部222が、回転部材221の回
動に伴うベーン221A,221B,221Cの通過
を、光学的にもしくは電磁気的に検出し、対応するパル
ス出力を行なうように構成されている。
【0036】そして、ベーン221A,221B,22
1Cは、各々が一定角度のクランク軸回転角度に対応す
る周方向長さをそなえており、所定角度間隔ごとに周方
向に離隔して配設されている。すなわち、隣合うベーン
の対向縁は相互に120度の角度間隔をもって配設され
ている。
【0037】ところで、気筒判別センサ230は、図示
しないカムシャフトに固着されており、クランク軸20
1が2回転してカムシャフトが1回転する間に、カムシ
ャフトが1つの気筒に対応する特定の回転位置をとるご
とに、パルス出力を発生するようになっている。そし
て、点火動作が気筒番号順に行なわれる6気筒エンジン
に搭載される本実施例の装置は、例えば、第3ベーン2
21Cの端縁(前端221C’または後端)が検出部2
22を通過したときに、第1気筒グループをなす第1気
筒および第4気筒のいずれか一方(好ましくは、当該一
方の気筒での主に膨張行程)に対応する第1クランク軸
回転角度領域にクランク軸が突入するとともに、第1ベ
ーン221Aの端縁が検出部222を通過したときに、
クランク軸が第1回転角度領域から離脱するようになっ
ている。
【0038】同様に、第1ベーン221Aの端縁の通過
時に、第2気筒グループを構成する第2および第5気筒
のいずれか一方に対応する第2クランク軸回転角度領域
に突入し、ついで、第2ベーン221Bの端縁の通過時
に同領域からの離脱が行なわれるようになっている。さ
らに、第2ベーン221Bの端縁の通過時に、第3気筒
グループを構成する第3および第6気筒のいずれか一方
に対応する第3クランク軸回転角度領域に突入し、つい
で、第3ベーン221Cの端縁の通過時に同領域からの
離脱が行なわれるようになっている。
【0039】そして、第1気筒と第4気筒との識別、第
2気筒と第5気筒との識別および第3気筒と第6気筒と
の識別は、気筒判別センサ230の出力に基づいて行な
われるように構成されている。このような構成により、
角加速度の検出は次のように行なわれる。すなわち、エ
ンジン運転中、ECU25はクランク角センサ24から
のパルス出力と気筒判別センサ230の検出信号とを逐
次入力され、演算を周期的に繰り返し実行する。
【0040】また、ECU25は、クランク角センサ2
4からのパルス出力が、気筒判別センサ230からのパ
ルス出力の入力時点以降に順次入力したもののうちの何
番目のものであるかを判別する。これにより、入力され
たクランク角センサ24からのパルス出力が、何番目の
気筒に対応するものであるかを識別され、好ましくは、
主に膨張行程(出力行程:BTDC75°)を現時点で実行中
の気筒が識別気筒として識別される。
【0041】そして、ECU25は、クランク角センサ
24からのパルス入力に応じて、識別気筒グループm
(mは1,2または3)に対応するクランク軸回転角度
領域への突入を判別すると、周期計測用タイマ(図示
略)をスタートさせる。ついで、クランク角センサ22
0から次のパルス出力を入力すると、ECU25は、識
別気筒グループmに対応するクランク軸回転角度領域か
らの離脱を判別し、周期計測用タイマの計時動作を停止
させて計時結果を読み取る。
【0042】この計時結果は、識別気筒グループmに対
応するクランク軸回転角度領域への突入時点から当該領
域からの離脱時点までの時間間隔TN(n)、すなわ
ち、識別気筒グループに対応する2つの所定クランク角
によって定まる周期TN(n)を表している。ここで、
周期TN(n)における添字nは、当該周期が識別気筒
におけるn回目(今回)の点火動作に対応することを表
す。
【0043】また、周期TN(n)は、6気筒エンジン
では識別気筒グループの120度クランク角間周期(隣
合う気筒における運転状態BTDC75°相互の時間間隔)に
なり、より一般的には、N気筒エンジンでの(720/
N)度クランク角間周期になる。なお、今回の識別気筒
に対応するクランク軸回転角度領域からの離脱を表す上
記パルス出力は、次の識別気筒に対応するクランク軸回
転角度領域への突入をも表す。
【0044】したがって、このパルス出力に応じて、次
の識別気筒についての気筒識別ステップが実行されると
ともに、当該次の識別気筒に係る周期計測を開始すべ
く、周期計測用タイマがリスタートされる。このような
動作により、ECU25は120度クランク間周期TN
(n)を検出するが、#1気筒から#6気筒に至る一連
の状態を図示すると、図6に示すようになり、120度
クランク間周期は、TN(n−5)からTN(n)で表
される。これらの検出値を用いて当該周期におけるクラ
ンク軸の角加速度ACC(n)を次式により算出する。
【0045】ACC(n)=1/TN(n) ・{KL(m)/TN(n)-
KL(m-1)/TN(n-1) } ここで、KL(m) はセグメント補正値であり、今回の識別
気筒に関連して、ベーン製造上および取り付け上のベー
ン角度間隔のばらつきによる周期測定誤差を除去するた
めの補正を行なうべく、ECU25により次式でセグメ
ント補正値KL(m)が算出される。
【0046】 KL(m)= {KL(m-3)*(1-XMFDKFG)+KR(n)*(XMFDKFD) } ただし、XMFDKFG はセグメント補正値ゲインを示してい
る。また、 KL(m)におけるm は対応する気筒グループご
とに設定されるもので、気筒グループ#1,#4に対し
m=1,気筒グループ#2,#5に対しm=2,気筒グ
ループ#3,#6に対しm=3がそれぞれ対応し、図6
に示すように KL(1)〜 KL(3)が繰り返される。
【0047】そして、KL(m-1) におけるm−1は、対応
するmの直前のものを意味しているため、 KL(m)= KL
(1)のときKL(m-1) =KL(3), KL(m)= KL(2)のときKL(m-
1) =KL(1), KL(m)= KL(3)のときKL(m-1) =KL(2) を
示している。さらに、上式におけるKL(m-3) は、同一気
筒グループにおける前の回の KL(m)を示しており、#4
気筒の演算時におけるKL(m-3) は前の#1気筒における
KL(1)が用いられ、#1 気筒の演算時におけるKL(m-3)
は前の#4気筒における KL(1)が用いられる。#5気筒
の演算時におけるKL(m-3) は前の#2気筒における KL
(2)が用いられ、#2気筒の演算時におけるKL(m-3) は
前の#5気筒における KL(2)が用いられる。#6気筒の
演算時におけるKL(m-3) は前の#3気筒におけるKL(3)
が用いられ、#3気筒の演算時におけるKL(m-3) は前の
#6気筒におけるKL(3)が用いられる。
【0048】一方、上式におけるKR(n) は次式で求めら
れる。 KR(n) =3 ・TN(n) /{TN(n) +TN(n-1) +TN(n-2) } これは、2回前の計測時間TN(n-2) から今回の計測時間
TN(n) までの平均計測時間に対応した計測値であり、セ
グメント補正値KL(m)の算出に際し、KR(n) に対し
て、セグメント補正値ゲインXMFDKFG による一次フィル
タ処理が前述の式を用いて行なわれる。
【0049】ところで、本実施例のエンジンの燃焼状態
制御装置は、角加速度検出手段107の検出信号を用い
て角加速度の変動値を検出する変動検出手段101をそ
なえている。そして、変動検出手段101の演算は、検
出された角速度を平滑化手段108により平滑化した平
滑値と、角加速度検出手段107から出力された角加速
度との差を求めることにより行なわれるように構成され
ている。
【0050】すなわち、変動検出手段101において
は、加速度変動値ΔACC(n)が次式により算出され
る。 ΔACC(n)=ACC(n)−ACCAV(n) ここで、ACCAV(n)は、検出された角速度を平滑
化手段108により平滑化した平滑値であり、次式によ
る一次フィルタ処理を行なうことにより算出される。
【0051】ACCAV(n)=α・ACCAV(n−
1)+(1−α)・ACC(n) ここで、αは一次フィルタ処理における更新ゲインであ
り、0.95程度の値が採られる。また、変動検出手段
101から出力される変動値ΔACC(n)をエンジン
の運転状態に応じて正規化し、正規化変動値IAC
(n)を求める正規化変動値検出手段102が設けられ
ている。
【0052】すなわち、正規化変動値検出手段102に
おける正規化変動値IAC(n)の算出は次式により行
なわれる。 IAC(n)=ΔACC(n)・Kte(Ev,Ne) ここで、Kte(Ev,Ne)は出力補正係数であり、
図10に示す特性により設定されるようになっている。
【0053】図10の特性は、横軸に体積効率Evをと
り、この体積効率Evに対する出力補正係数Kte(E
v,Ne)を縦軸にとって示されており、エンジン回転
数Neが大きくなるほど右上側の線の特性を採用するよ
うに構成されている。したがって、図10の特性がマッ
プとして記憶されており、クランク角センサ24等の検
出信号から算出されるエンジン回転数Neと体積効率E
vとから、出力補正係数Kte(Ev,Ne)がECU
25において設定され、エンジン出力に対応した補正に
よる正規化が行なわれるように構成されている。
【0054】そして、正規化変動値IAC(n)と所定
の閾値IACTHとを比較して燃焼悪化判定値VAC
(j)を求める燃焼悪化判定値算出手段104が設けら
れおり、燃焼悪化判定値VAC(j)は、正規化変動値
IAC(n)が閾値IACTHを下回る悪化量を累積し
て求めるように構成されている。すなわち、燃焼悪化判
定値VAC(j)は、次式により算出される。
【0055】 VAC(j)=Σ{ IAC(J) < IACTH }* { IACTH -
IAC(J) } ここで、上式の{ IAC(J) < IACTH }は、 IAC(J) <
IACTH が成立しているとき「1」をとり、成立していな
いとき「0」をとる関数であり、正規化変動値IAC
(n)が所定の閾値IACTHを下回っているとき、こ
の下回った量を悪化量として累積するように構成されて
いる。
【0056】したがって、燃焼悪化判定値VAC(j)
は、閾値 IACTHと正規化変動値IAC(j)との差を重
みとした悪化量を累積して求められ、閾値付近の数値の
影響を小さくして、悪化の状態を正確に反映しうるよう
に構成されている。そして、燃焼悪化判定値算出手段1
04における所定の閾値 IACTHは、閾値更新手段110
により、エンジンの運転状態に対応して更新されるよう
に構成されている。
【0057】なお、上述の添字jは、気筒番号を示して
いる。また、燃焼悪化判定値VAC(j)としてはより
簡単なプログラムを用いて正規化変動値IAC(n)が
閾値IACTHを下回る回数を累積して求めてもよい
(即ちVAC(j)=Σ{ IAC(j) < IACTH })。上
述のような燃焼悪化判定値算出手段104からの演算結
果は、燃焼状態制御手段105で用いられるように構成
されている。
【0058】すなわち、燃焼状態制御手段105は、燃
焼悪化判定値算出手段104により算出された燃焼悪化
判定値VAC(j)を参照し、基準値設定手段112か
らの所定の基準値についてエンジンの燃焼変動調整要素
106を制御するように構成されている。即ち、燃焼状
態制御手段105は正規化変動値に基づいて空燃比の希
薄化制御を行なうように構成されている。
【0059】燃焼状態制御手段105による燃焼変動調
整要素106の制御についての基準値として、上限基準
値設定手段112Uからの上限基準値(VACTH1)112U
と下限基準値設定手段112Lからの下限基準値(VACTH
2)とが設けられている。そして、燃焼変動調整要素10
6による制御は、燃焼悪化判定値VAC(j)を上限基
準値(VACTH1)と下限基準値(VACTH2)との間に収めるべく
行なわれるように構成されている。
【0060】すなわち、燃焼変動調整要素106による
制御は前述のように、燃料噴射に際しての基本噴射パル
ス幅の補正により行なわれるように構成されており、噴
射パルス幅Tinj(j) は、次式で算出されるように構成さ
れている。 Tinj(j)=TB×KAC(j)×K ×KAFL + Td または、 Tinj(j)=TB×KAC(j)×K + Td そして、上式における補正係数KAC(j)が次のように調整
されるようになっている。
【0061】まず、燃焼悪化判定値VAC(j)が上限
基準値VACTH1を超えている場合には、所定以上に燃焼変
動値が悪化している場合であるとして、燃料噴射量を増
加させるリッチ化の補正が次式による補正係数KAC(j)の
算出により行なわれるようになっている。 KAC(j) = KAC(j) + KAR・{ VAC(j) − VACTH1 } これは、図7に示す補正特性のうちリッチ側右上特性の
補正値を算出するもので、 KARは特性の傾きを示す係数
である。そして、右辺のKAC(j)は、番号j 気筒につい
て、前の演算サイクル(n-1) において算出された補正係
数を示しており、上式により更新が行なわれる。
【0062】なお、図7は横軸に燃焼悪化判定値VAC
をとり、縦軸に補正係数KACをとって補正特性を示し
ている。一方、燃焼悪化判定値VAC(j)が下限基準
値VACTH2を下回っている場合には、さらにリーン化を行
ないうる余裕をそなえた場合であるとして、燃料噴射量
を減少させるリーン化の補正が次式による補正係数KAC
(j)の算出により行なわれるようになっている。
【0063】 KAC(j) = KAC(j) - KAL・{ VAC(j) − VACTH2 } これは、図7に示すリーン側左下特性の補正値を算出す
るもので、 KALは特性の傾きを示す係数である。さら
に、燃焼悪化判定値VAC(j)が、下限基準値VACTH2
以上で、上限基準値VACTH1以下である場合には、適正な
運転状態であるとして、燃料噴射量を前の状態に保つた
め、補正係数KAC(j)の変更を行なわないようになってい
る。
【0064】これは、図7に示すリーン側左下特性とリ
ッチ側右上特性との間の平坦な特性に対応するもので、
補正に関しての不感帯を構成している。ここで、下限基
準値VACTH2と上限基準値VACTH1とは、燃焼変動目標値VA
C0を中心とし、下限基準値VACTH2を(VAC0-ΔVAC)の値
に、上限基準値VACTH1を(VAC0+ΔVAC)の値に設定されて
いる。
【0065】燃焼変動目標値VAC0は、COV(Coefficie
nt of variance) の目標値(10 %程度) に対応した値で
あり、燃焼変動目標値VAC0の両側におけるΔVAC の範囲
における燃料補正をしないようにすることにより、回転
変動を有限期間(128サイクル) で評価したり、閾値以下
のもので演算していることに起因した誤差によるリミッ
トサイクルを防止するようになっている。
【0066】そして、上述の補正係数KAC(j)は、上下限
値でクリップされるように構成されており、例えば、
0.9<KAC(j)<1.1の範囲内に収まるように
設定され、急速な補正を行なわず、徐々に補正を行なう
ことにより、ショック等の発生を防止し、安定した制御
が行なわれるように構成されている。さらに、燃焼悪化
判定値VAC(j)は、設定された燃焼回数、例えば1
28サイクルごとに更新されるようになっており、比較
的長い期間を対象とした燃焼状態の把握による制御を行
なうことにより、統計的な特性を反映する安定した確実
な制御が行なわれるように構成されている。
【0067】そして、正規化変動値IAC(n)が悪路
判定閾値設定手段115からの所定の悪路判定上限閾値
(悪路判定閾値)IACTHUから加速側に超えること
に基づき悪路走行を判定する悪路判定手段113が設け
られるとともに、悪路判定手段113の判定結果に基づ
き燃焼状態制御手段105におけるリーン制御(空燃比
希薄化制御)を制限するリーン制御制限手段(希薄化制
御制限手段)114が設けられている。
【0068】また、悪路判定手段113は、正規化変動
値IAC(n)が所定の悪路判定下限閾値(悪路判定閾
値)IACTHLを減速側に下回る量も累積して、悪路
判定をより正確に行なえるように構成されている。な
お、悪路判定上限閾値IACTHU,悪路判定下限閾値
IACTHL,燃焼判定閾値IACTHの大小関係は図
14のように、IACTHU>IACTH>IACTH
Lとなっている。
【0069】そして、悪路判定手段113は次のような
各閾値および各基準値を比較対象とする所定の演算を行
ない、所要の判定を行なうように構成されている。ま
ず、正規化変動値IAC(n)が悪路判定上限閾値IA
CTHUを加速側に超えるごとに、超えた量を累積し、
累積結果としての悪路判定上方値VACU(j)を算出
するように構成されている。
【0070】また、正規化変動値IAC(n)が悪路判
定下限閾値IACTHLを減速側に超えるごとに、超え
た量を累積し、累積結果としての悪路判定下方値VAC
L(j)を算出するように構成されている。そして、悪
路判定上方値VACU(j)が上方悪路基準値VACU
Lを超えるとともに、悪路判定下方値VACL(j)が
下方悪路基準値VACLLを超えるという条件を満たし
た回数をカウントして求められる悪路判定指数MMが設
けられており、悪路判定指数MMが悪路指数判定値m2
を超えた場合に悪路走行時であると判定するように構成
されている。
【0071】悪路走行時であると判定された場合には、
燃料噴射制御における噴射パルス幅Tinj(j)の算
出に際し、リーン制御制限手段114において、リーン
化補正係数KAFLによる補正を行なわない値が算出さ
れ、リーン制御が制限されるように構成されている。す
なわち、リーン制御制限手段114が作動しない場合に
は、次式により噴射パルス幅Tinj(j) が算出されるよう
に構成されている。
【0072】Tinj(j)=TB×KAC(j)×K ×KAFL + Td これに対し、悪路走行を判定されたリーン制御制限手段
114の作動時には、次式により噴射パルス幅Tinj(j)
が算出されるように構成されている。 Tinj(j)=TB×KAC(j)×K + Td したがって、リーン化補正係数KAFLによる補正分に
ついて、リーン制御が制限されるようになっている。
【0073】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼
状態制御装置は上述のように構成されているので、リー
ンバーン運転時において、図4,5のフローチャートに
示す作動が順次行なわれる。まず、ステップS1 におい
て、角加速度検出手段107により角加速度ACC
(n)が検出される。
【0074】ここで、検出に用いられる演算は次式によ
る。 ACC(n)=1/TN(n) ・{KL(m)/TN(n)-KL(m-1)/TN(n
-1) } なお、KL(m) はセグメント補正値であり、今回の識別気
筒に関連して、ベーン製造上および取り付け上のベーン
角度間隔のばらつきによる周期測定誤差を除去するため
の補正を行なうべく、次式でセグメント補正値KL
(m)が算出される。
【0075】 KL(m)= {KL(m-3)*(1-XMFDKFG)+KR(n)*(XMFDKFD) } ただし、XMFDKFG はセグメント補正値ゲインを示してい
る。一方、上式におけるKR(n) は次式で求められる。 KR(n) =3 ・TN(n) /{TN(n) +TN(n-1) +TN(n-2) } これは、2回前の計測時間TN(n-2) から今回の計測時間
TN(n) までの平均計測時間に対応した計測値であり、セ
グメント補正値KL(m)の算出に際し、セグメント補
正値ゲインXMFDKFG による一次フィルタ処理が前述の式
を用いて行なわれる。
【0076】そして、ステップS2において平均加速度
ACCAV(n)が算出される。ここで、ACCAV
(n)は、検出された角速度ACC(n)を平滑化手段
108により平滑化した平滑値であり、次式による一次
フィルタ処理を行なうことにより算出される。 ACCAV(n)=α・ACCAV(n−1)+(1−
α)・ACC(n) ここで、αは一次フィルタ処理における更新ゲインであ
り、0.95程度の値が採られる。
【0077】次いで、ステップS3において、変動検出
手段101により、加速度変動値ΔACC(n)が検出
される。すなわち、角加速度検出手段107により検出
された角速度ACC(n)と、平滑化手段108により
平滑化した平滑値としての平均加速度ACCAV(n)
との差を求めることにより、加速度変動値ΔACC
(n)が次式で算出される。
【0078】 ΔACC(n)=ACC(n)−ACCAV(n) また、ステップS4において、正規化変動値検出手段1
02により、変動検出手段101から出力される変動値
ΔACC(n)をエンジンの運転状態に応じて正規化し
た正規化変動値IAC(n)が次式により算出される。 IAC(n)=ΔACC(n)・Kte(Ev,Ne) ここで、Kte(Ev,Ne)は出力補正係数であり、
図10に示す特性により設定される。
【0079】図10の特性は、横軸に体積効率Evをと
り、この体積効率Evに対する出力補正係数Kte(E
v,Ne)を縦軸にとって示されており、エンジン回転
数Neが大きくなるほど右上側の線の特性が採用され
る。すなわち、マップとして記憶された図10の特性に
おいて、クランク角センサ220等の検出信号から算出
されるエンジン回転数Neと体積効率Evとから、出力
補正係数Kte(Ev,Ne)がECU25において設
定され、エンジン出力に対応した補正による正規化が行
なわれる。
【0080】ここで、上述のような、エンジン出力に対
応する正規化をした場合における制御特性について説明
する。すなわち、角加速度ω’は次式のように示され
る。 ω’=1/Ie・(Te−Tl) ・・・・ ここで、Te:エンジントルク Tl:負荷トルク Ie:慣性モーメント 一方、ω’=ω0 ’+Δω’ ・・・・・・・・・・ ここで、ω0 ’:平均角加速度 ,式より、 ω0 ’+Δω’= 1/Ie・(Te−Tl) = 1/Ie・(Te0 −Tl)+ΔTe/Ie よって、 Δω’= ΔTe/Ie ・・・・・・・ ところで、前述したステップS1における角加速度AC
C(n)の検出手法では、エンジントルク情報が、負荷
外乱のない場合に比較的良く保存される。そして、式
に示すように、平均角加速度ω0 ’からの変動Δω’
〔加速度変動値ΔACC(n)〕を用いるとともに、慣
性モーメントIeを考慮した正規化出力〔正規化変動値
IAC(n)〕として制御を行なうことにより、燃焼変
動の統計的性質を考慮し、燃焼変動を確実に反映させた
制御が行なわれる。
【0081】ステップS4の動作が行なわれると、次い
でステップS41〜S44における、悪路判定値VAC
U,VACLの算出が行なわれる。すなわち、ステップ
S41において、正規化変動値IAC(n)が、悪路判
定上限閾値IACTHUを超えているかどうかを判定さ
れ、超えている場合には「YES」ルートをとり、次式
により悪路判定上方値VACU(j)が算出される。
【0082】VACU(j)=VACU(j)+IAC
(n)−IACTHU また、ステップS43において、正規化変動値IAC
(n)が、悪路判定下限閾値IACTHLを下回ってい
るかどうかを判定され、下回っている場合には、「YE
S」ルートをとり、次式により悪路判定下方値VACL
(j)が算出される。
【0083】VACL(j)=VACL(j)+IAC
(n)−IACTHL すなわち、正規化変動値IAC(n)の悪路判定上限閾
値IACTHUを超える量を累積した悪路判定上方値V
ACU(j)と、正規化変動値IAC(n)の悪路判定
下方値VACL(j)を下回る量を累積した悪路判定下
方値VACL(j)とが算出される。
【0084】そして、これらの演算が行なわれた場合
は、燃焼状態の悪化により正規化変動値IAC(n)が
変化したのではなく、車輪のスリップ等により発生する
回転変動であるため、燃焼悪化判定値算出手段104に
よるステップS7〜ステップS10の燃焼悪化判定値V
AC(j)の算出動作を行なわずに、ステップS11に
至る。
【0085】一方、正規化変動値IAC(n)が悪路判
定上限閾値IACTHUと悪路判定下限閾値IACTH
Lとの間の値である場合は、ステップS41およびステ
ップS43において「NO」ルートをとり、ステップS
7〜ステップS10の動作が行なわれる。すなわち、正
規化変動値IAC(n)の変化が悪路によるスリップ等
に起因して発生したものではなく、燃焼状態の変化によ
り発生したものであるため、燃焼悪化判定値算出手段1
04の動作が実行され、正規化変動値IAC(n)と所
定の閾値IACTHとを比較して、次式により燃焼悪化
判定値VAC(j)が算出される。
【0086】VAC(j)=Σ{ IAC(J) < IACTH }
* { IACTH - IAC(J) } まず、ステップS7において、正規化変動値IAC
(n)と所定の閾値IACTHとの差ΔIAC(n)が
算出され、次いで、ステップS8において、差ΔIAC
(n)が負であるかどうかが判断される。この判断は、
上式における関数{ IAC(J) < IACTH }に対応するも
ので、 IAC(J) < IACTH が成立しているとき「1」をと
り、成立していないとき「0」をとる動作を行なう。
【0087】すなわち、 IAC(J) < IACTH が成立してい
るときΔIAC(n)が正であるため、「NO」ルート
を通じて、ステップS10における燃焼悪化判定値VA
C(j)の累積が行なわれ、上記の関数が「1」をとっ
た状態になる。一方、 IAC(J) < IACTH が成立していな
いときΔIAC(n)が負であるため、「YES」ルー
トを通じてステップS9によりΔIAC(n)=0が実
行される。これにより、ステップS10では、燃焼悪化
判定値VAC(j)の累積は行なわれない状態となり、
上記の関数が「0」をとった状態になる。
【0088】これにより、図8で点A〜Dに示すよう
な、正規化変動値IAC(n)が所定の閾値IACTH
を下回っているとき、この下回った量を悪化量として累
積されることになる。したがって、燃焼悪化判定値VA
C(j)は、閾値 IACTHと正規化変動値IAC(j)と
の差を重みとした悪化量を累積して求められ、閾値付近
の数値の影響を小さくして、悪化の状態が燃焼悪化判定
値VAC(j)に正確に反映される。
【0089】そして、燃焼悪化判定値算出手段104に
おける所定の閾値 IACTHは、閾値更新手段110によ
り、エンジンの運転状態に対応して更新されるように構
成されており、よりリーン限界に近い運転状態を実現し
うるようになっている。なお、上述の添字jは、気筒番
号を示しており、気筒jごとに燃焼悪化判定値VAC
(j)が累積される。
【0090】次いで、ステップS11が実行され、サン
プリングの回数を示すNが128を超えたかどうかが判
断される。すなわち、図8に示す積算区間を経過したか
どうかが判断され、経過していない場合は「NO」ルー
トをとって、ステップS13を実行し、回数Nを「1」
増加させて、更に悪路フラグがセットされておらず、他
のリーン条件が成立している場合(ステップS131,
S132)は、燃料補正を行なわないままステップS2
0が実行される。これにより、128サイクルの積算区
間内について、噴射パルス幅Tinjにおける補正係数
KAC(j)に関する補正は行なわれず、もっぱら燃焼
悪化判定値VAC(j)の累積が行なわれる。
【0091】したがって、悪化判定値VAC(j)は、
設定された燃焼回数、例えば128サイクルごとに更新
されるようになっており、比較的長い期間を対象とした
燃焼状態の把握による制御を行なうことにより、統計的
な特性を反映する安定した確実な制御が行なわれる。そ
して、積算区間が経過すると、ステップS11の「YE
S」ルートを通じ、ステップS12以下の動作が実行さ
れる。
【0092】まず、ステップS12において、回数Nが
「1」にリセットされ、次いで、ステップS121で、
悪路判定上方値VACU(j)が、あらかじめ設定され
た上方悪路基準値VACULを上回っているかどうかが
判定される。上回っている場合は、「YES」ルートを
通じ、ステップS124により非悪路判定指数Mを
「0」にリセットする。
【0093】一方、悪路判定上方値VACU(j)が、
上方悪路基準値VACULを上回っていない場合は、
「NO」ルートを通じ、さらにステップS122におけ
る判断が行なわれる。ステップS122では、悪路判定
下方値VACL(j)が、あらかじめ設定された下方悪
路基準値VACLLを上回っているかどうかが判定され
る。上回っている場合は、「YES」ルートを通じ、ス
テップS124により、非悪路判定指数Mが「0」にリ
セットされる。
【0094】そして、ステップS124のあとは、いず
れも悪路走行状態であるとして、ステップS125で、
悪路判定指数MMをインクリメントする。また、悪路判
定下方値VACL(j)が下方悪路基準値VACLLを
上回っていない場合は、「NO」ルートを通じ、ステッ
プS123が実行され、非悪路判定指数Mに「1」が加
算されて、非悪路判定指数Mが増加する。
【0095】すなわち、加速側において悪路判定上方値
VACU(j)が上方悪路基準値VACULを上回って
いる場合は、図12に点Kに示す状態であり、減速側に
おいて悪路判定下方値VACL(j)が下方悪路基準値
VACLLを上回っている場合は、図12に点Gで示す
状態であるため、エンジンの回転変動が加速側と減速側
との双方で出現している。
【0096】これに対し、図13における点AKの角加
速度変動は減速側のみに出現している。この現象を比較
解釈すると、図13における状態は燃焼悪化による減速
側への変動であり、図12における状態は、燃焼悪化に
よっては発生せず、悪路における車輪のスリップ等に起
因した角加速度変動であることが考察される。
【0097】したがって、図12に示す状態に対応す
る、ステップS125に至る状況は、悪路の走行時であ
ると解釈され、悪路判定指数MMの加算が行なわれる。
そして、悪路判定指数MMは、ステップS130におい
て、所定の悪路指数判定値m2と比較され、悪路指数判
定値m2を悪路判定指数MMが超えている場合は、加算
された悪路判定指数MMが悪路走行時であると判定すべ
き状態であることを示しているため、ステップS131
が実行されて、悪路フラグがセットされる。その後、悪
路判定指数MMは「0」にリセットされる(ステップS
132)。
【0098】一方、非悪路指数判定値m1を非悪路判定
指数Mが超える場合は、ステップS126でYESルー
トをとって、ステップS127が実行されて、悪路フラ
グがリセットされる。その後、悪路判定指数MM,非悪
路判定指数Mはそれぞれ「0」にリセットされる(ステ
ップS128,S129)。すなわち、128回のサン
プリングにより算出される悪路判定上方値VACU
(j)が上方悪路基準値VACULを上回ったり、悪路
判定下方値VACL(j)が下方悪路基準値VACLL
を上回ったりすると、悪路走行状態であると判定され、
悪路判定指数MMがセットされて、悪路フラグがセット
される。一方、それ以外の場合は、悪路走行状態でない
と判定され、悪路フラグがリセットされる。
【0099】上述のようにしてセットまたはリセットさ
れた悪路フラグは、ステップS133又はS131にお
いて参照され、セットされている場合は、「YES」ル
ートを通じステップS135が実行される。ステップS
135では、リーン制御制限手段114の動作が行なわ
れるが、この動作は、燃料噴射パルスの幅であるTin
j(j)を次式で算出し、この算出値による燃料噴射制
御をECU25を通じて行なうことにより行なわれる。
【0100】 Tinj(j)=TB×KAC(j)×K+Td ここで、上式は、後述のステップS20における燃料噴
射パルス幅Tinj(j)に比較して、リーン化係数K
AFLが省かれている。したがって、上式によることに
より、燃料噴射制御におけるリーン化係数KAFLを用
いたリーン化補正を行なわず、リーン制御が制限され
る。
【0101】ところで、悪路フラグがセットされていな
い場合には、ステップS133又はS131から「N
O」ルートをとり、ステップS134又はS132の動
作が行なわれる。すなわち、ステップS134又はS1
32においては、他のリーン条件が成立しているかを、
各種センサの検出信号に基づき判断され、成立していな
い場合は、前述のステップS135におけるリーン制御
の制限が行なわれる。
【0102】そして、ステップS134においてリーン
条件が成立していると判断された場合は、悪路走行時で
はなく、リーン制御を行なうべき状態であるため、ステ
ップS14以下の実行により、燃焼悪化を防止しなが
ら、リーン制御による運転が行なわれる。なお、ステッ
プS132において、YESの場合は、ステップS20
の処理が実行される。
【0103】すなわち、ステップS134のYESルー
トをとると、ステップS14とステップS15とにおい
て、燃焼悪化判定値VAC(j)を参照して、所定の基
準値との比較が行なわれる。すなわち、燃焼悪化判定値
VAC(j)と上限基準値(VACTH1)112Uとの比較が
行なわれ、図9における燃焼悪化判定値VAC(j)が
上限基準値VACTH1を超えている場合、いいかえれば、燃
焼変動の悪化量が限界である上限基準値VACTH1を超えて
いる場合は、ステップS15において、次式による補正
係数KAC(j)の算出が行なわれる。
【0104】 KAC(j) = KAC(j) + KAR・{ VAC(j) − VACTH1 } これは、図7に示すリッチ側右上特性の補正値を算出す
るもので、所定以上に燃焼変動値が悪化している場合で
あるとして、燃料噴射量を増加させるリッチ化の補正が
補正係数KAC(j)の算出により行なわれるようになってい
る。ここで、 KARは特性の傾きを示す係数であり、右辺
のKAC(j)は、番号j 気筒について、前の演算サイクル(n
-1) において算出された補正係数を示しており、上式に
より更新が行なわれる。
【0105】また、燃焼悪化判定値VAC(j)が下限
基準値VACTH2を下回っている場合には、ステップS16
において「YES」ルートをとり、さらにリーン化を行
ないうる余裕をそなえた場合であるとして、燃料噴射量
を減少させるリーン化の補正が次式による補正係数KAC
(j)の算出により行なわれる。 KAC(j) = KAC(j) - KAL・{ VAC(j) − VACTH2 } これは、図7に示すリーン側左下特性の補正値を算出す
るもので、 KALは特性の傾きを示す係数である。
【0106】さらに、燃焼悪化判定値VAC(j)が、
下限基準値VACTH2以上で、上限基準値VACTH1以下である
場合には、ステップS14およびステップS16におい
ていずれも「NO」ルートをとり、適正な運転状態であ
るとして、燃料噴射量を前の状態に保つため、補正係数
KAC(j)の変更を行なわない。これは、図7に示すリーン
側左下特性とリッチ側右上特性との間の平坦な特性に対
応するもので、補正に関しての不感帯を構成している。
【0107】ここで、下限基準値VACTH2と上限基準値VA
CTH1とは、燃焼変動目標値VAC0を中心とし、下限基準値
VACTH2を(VAC0-ΔVAC)の値に、上限基準値VACTH1を(VAC
0+ΔVAC)の値に設定されている。燃焼変動目標値VAC0
は、COV(Coefficient of variance) の目標値(10 %
程度) に対応した値であり、燃焼変動目標値VAC0の両側
におけるΔVAC の範囲における燃料補正をしないように
することにより、回転変動を有限期間(128サイクル) で
評価したり、閾値以下のもので演算していることに起因
した誤差によるリミットサイクルが防止される。
【0108】そして、ステップS18が実行され、燃焼
悪化判定値VAC(j)が「0」にリセットされる。次
いで、ステップS20において、上述のようにして決定
された補正係数KAC(j)による燃料噴射に際しての基本噴
射パルス幅の補正が行なわれる。すなわち、噴射パルス
幅Tinj(j) は、次式で算出される。
【0109】Tinj(j)=TB×KAC(j)×K ×KAFL + Td この基本噴射パルス幅の補正により、燃焼状態制御手段
105による燃焼変動調整要素106の制御が行なわ
れ、エンジンは、所望のリーン限界運転状態にたもたれ
る。ところで、上述のステップS12〜ステップS18
の動作は、128サイクルの初回であるN=1のときに
行なわれるが、ステップS20の動作およびステップS
135の動作は、N=1以外のときにも行なわれる。
【0110】すなわち、ステップS20は、ステップS
131で悪路フラグがセットされていないと判断され、
ステップS132で、他のリーン条件が成立していると
判断されると実行され、リーン制御による運転が行なわ
れる。一方、ステップS131で悪路フラグがセットさ
れていると判断された場合、もしくは、ステップS13
2で他のリーン条件が成立していないと判断された場合
は、ステップS135が実行され、リーン制御制限手段
114によりリーン化係数KAFLによる補正を行なわ
ないように制限された燃料噴射制御が行なわれる。
【0111】このように諸動作が行なわれるが、本実施
例によれば、次のような効果ないし利点がある。 (1)エンジントルクの確率的特性を考慮した、燃焼変
動の推定およびこの推定を用いた空燃比制御を行なえる
ようになる。 (2)燃焼変動の統計的性質を考慮したエンジンの燃焼
状態制御を、実時間で、また車載コンピュータで行なえ
るようになる。 (3)インジェクタや吸気管形状、バルブタイミングの
ずれによる空燃比のばらつきに起因した燃焼変動限界の
気筒管差を確実に補正できるようになり、各気筒のそれ
ぞれをすべて燃焼限界に設定できるようになる。 (4)前項により、NOxの排出を最小にすることがで
きるようになる。 (5)各気筒ごとの回転変動の検出および制御を、1個
のクランク角センサで行なえるようになり、低コストで
より確実なリーンバーン制御を行なえるようになる。 (6)悪路対策用にセンサを増設する必要がなく、コス
トを上昇させないで、悪路による悪影響を防止したリー
ン運転が可能になる。 (7)検出の難しい悪路ではストイキオモードであり、
排ガス悪化やドライバビリティの悪化を回避することが
できる。
【0112】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のエンジン
の燃焼状態制御装置によれば、理論空燃比より希薄側の
空燃比で運転しうる内燃機関において、上記内燃機関に
駆動される回転軸の角加速度の変動値を検出する変動検
出手段と、該変動検出手段で検出された変動値を上記内
燃機関の運転状態に応じて正規化し正規化変動値を求め
る正規化変動値検出手段と、上記正規化変動値に基づい
て空燃比の希薄化制御を行なう燃焼状態制御手段と、上
記正規化変動値と所定の悪路判定閾値とを比較して悪路
走行を判定する悪路判定手段と、上記悪路判定手段での
判定結果に基づき、上記燃焼状態制御手段における空燃
比希薄化制御を制限する希薄化制御制限手段とをそなえ
るという簡素な構成で、次のような効果ないし利点が得
られる。 (1)エンジンの運転状態の統計的特性に対応した燃焼
状態の制御を行ないうるようになり、リーン限界運転を
より広い運転域において行ないうるようになる。 (2)燃焼悪化状態を量的に確実に把握できるようにな
り、さらに確実な燃焼状態制御を行なえるようになる。 (3)悪路対策用にセンサを増設する必要がなく、コス
トを上昇させないで、悪路による悪影響を防止したリー
ン運転が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状態
制御装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例としての燃焼状態制御装置を
有するエンジンシステムの全体構成図である。
【図3】本発明の一実施例としての燃焼状態制御装置を
有するエンジンシステムの制御系を示すハードブロック
図である。
【図4】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状態
制御装置の動作を説明するためのフローチャートであ
る。
【図5】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状態
制御装置の動作を説明するためのフローチャートであ
る。
【図6】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状態
制御装置の動作を説明するための波形図である。
【図7】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状態
制御装置の動作を説明するための補正特性マップであ
る。
【図8】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状態
制御装置の動作を説明するための摸式的グラフである。
【図9】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状態
制御装置の動作を説明するための摸式的グラフである。
【図10】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状
態制御装置の動作を説明するための正規化特性マップで
ある。
【図11】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状
態制御装置における回転変動検出部を示す摸式的斜視図
である。
【図12】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状
態制御装置における制御対象特性を示す摸式的グラフで
ある。
【図13】本発明の一実施例としてのエンジンの燃焼状
態制御装置における制御対象特性を示す摸式的グラフで
ある。
【図14】悪路および燃焼き悪化判定のための閾値の大
小関係を説明するための図である。
【図15】リーンバーンエンジンにおける燃焼変動特性
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関) 2 燃焼室 3 吸気通路 3a サージタンク 4 排気通路 5 吸気弁 6 排気弁 7 エアクリーナ 8 スロットル弁 9 電磁式燃料噴射弁(インジェクタ) 9a インジェクタソレノイド 10 三元触媒 11A 第1バイパス通路 11B 第2バイパス通路 12 ステッパモータ弁(STM弁) 12a 弁体 12b ステッパモータ(ISC用アクチュエータ) 12c バネ 13 ファーストアイドルエアバルブ 14 エアバイパス弁 14a 弁体 14b ダイアフラム式アクチュエータ 15 燃料圧調節器 16 点火プラグ 17 エアフローセンサ(吸気量センサ) 18 吸入空気湿度パラメータ検出手段としての吸気温
センサ 19 大気圧センサ 20 スロットルポジションセンサ 21 アイドルスイッチ 22 リニアO2 センサ 23 水温センサ 24 クランク角センサ(エンジン回転数センサ) 25 空燃比制御手段としてのECU 26 CPU(演算装置) 28 入力インタフェース 29 アナログ/ディジタルコンバータ 30 車速センサ 35 入力インタフェース 36 ROM(記憶手段) 37 RAM 39 噴射ドライバ 40 点火ドライバ 41 パワートランジスタ 42 点火コイル 43 ディストリビュータ 44 ISCドライバ 45 バイパスエア用ドライバ 46 EGRドライバ 80 排気再循環通路(EGR通路) 81 EGR弁 81a 弁体 81b ダイアフラム式アクチュエータ 82 パイロット通路 83 ERG弁制御用電磁弁 83a ソレノイド 101 変動検出手段 102 正規化変動値検出手段 103 累積手段 104 燃焼悪化判定値算出手段 105 燃焼状態制御手段 106 燃焼変動調整要素 107 角加速度検出手段 108 平滑化手段 109 燃焼回数 110 閾値更新手段 111 失火判定基準値 112 基準値設定手段 112U 上限基準値設定手段 112L 下限基準値設定手段 113 悪路判定手段 114 リーン制御制限手段 115 悪路判定閾値 141 パイロット通路 142 エアバイパス弁制御用電磁弁 142a ソレノイド 221 プロセッサ 221A 第1のベーン 221B 第2のベーン 221C 第3のベーン 222 検出部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 理論空燃比より希薄側の空燃比で運転し
    うる内燃機関において、 上記内燃機関に駆動される回転軸の角加速度の変動値を
    検出する変動検出手段と、 該変動検出手段で検出された変動値を上記内燃機関の運
    転状態に応じて正規化し正規化変動値を求める正規化変
    動値検出手段と、 上記正規化変動値に基づいて空燃比の希薄化制御を行な
    う燃焼状態制御手段と、 上記正規化変動値と所定の悪路判定閾値とを比較して悪
    路走行を判定する悪路判定手段と、 上記悪路判定手段での判定結果に基づき、上記燃焼状態
    制御手段における空燃比希薄化制御を制限する希薄化制
    御制限手段とをそなえて構成されたことを特徴とする、
    内燃機関の燃焼状態制御装置。
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KR1019950703504A KR0172191B1 (ko) 1993-12-21 1994-12-20 내연기관의 연소상태판정방법 및 내연기관의 연소상태제어방법 및 연소상태제어장치
PCT/JP1994/002154 WO1995017592A1 (fr) 1993-12-21 1994-12-20 Procede d'evaluation de l'etat de combustion d'un moteur a combustion interne et procede et appareil de regulation de l'etat de combustion d'un moteur a combustion interne
DE4480111A DE4480111C2 (de) 1993-12-21 1994-12-20 Verfahren zur Bestimmung des Verbrennungszustandes einer Verbrennungskraftmaschine sowie Verfahren und System zur Steuerung des Verbrennungszustandes einer Verbrennungskraftmaschine
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