JP3085079B2 - 希薄燃焼内燃機関を搭載した車両における悪路判定方法 - Google Patents

希薄燃焼内燃機関を搭載した車両における悪路判定方法

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JP3085079B2
JP3085079B2 JP06063606A JP6360694A JP3085079B2 JP 3085079 B2 JP3085079 B2 JP 3085079B2 JP 06063606 A JP06063606 A JP 06063606A JP 6360694 A JP6360694 A JP 6360694A JP 3085079 B2 JP3085079 B2 JP 3085079B2
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所要の運転条件下では
理論空燃比よりも希薄側空燃比での希薄燃焼運転を行な
う希薄燃焼式内燃機関(エンジン)に用いて好適な、希
薄燃焼内燃機関を搭載した車両における悪路判定方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、所要の運転条件下では理論空燃比
(ストイキオ)よりも希薄側空燃比(リーン)での希薄
燃焼運転を行なう希薄燃焼式内燃機関(所謂リーンバー
ンエンジン)が提供されている。このようなリーンバー
ンエンジンでは、希薄燃焼運転(リーンバーン運転)時
は、NOx排出量低減のため空燃比を極力大きく(つま
り、混合気が極力希薄になるように)設定しており、そ
の空燃比の値は、混合気が安定した燃焼を行ないうる限
界(リーン限界)近くに設定されている。
【0003】そして、このようなリーンバーン運転を行
なうことにより、NOx排出を抑え燃費を大幅に向上さ
せることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、リーンバー
ン運転を行なうため、制御装置により燃焼状態を制御す
ることが行なわれている。そして、この制御の手法とし
ては、クランク軸の角加速度からエンジントルクを推定
し、この推定を、変化する瞬時値を用いて瞬間ごとに行
ない、エンジントルクの確率・統計的性質を考慮して、
所定の期間ごとに安定した確実な制御を行なうことが考
えられている。
【0005】また、図14に示すように、エンジンにお
ける燃焼変動は、各気筒間でばらつきがあり、このばら
つきは、インジェクタや吸気管形状、バルブタイミング
等のずれによる空燃比ばらつきにより発生する。このた
め、リーンバーン運転では、最も燃焼変動の大きい気筒
の空燃比に対応するように燃焼状態を制御している。
【0006】ところで、このような制御手段をそなえた
車両が悪路を走行した場合、エンジン回転変動に悪路の
影響が発生し、回転変動が燃焼悪化によるものであるか
どうかの識別が困難になる可能性がある。すなわち、悪
路走行により回転変動が大きくなると、制御系は過濃側
(リッチ側)に過剰補正され、NOx排出量を増加させ
る可能性がある。
【0007】逆に悪路走行により回転変動が小さくなる
と、制御系は希薄側(リーン側)へ補正され、ドライバ
ビリティの低下を招来する可能性がある。本発明は、こ
のような課題に鑑み創案されたもので、リーンバーン運
転時に、車両が悪路を走行する場合であっても、エンジ
ンの回転変動が、悪路走行あるいは燃焼悪化のいずれに
よるものであるかを確実に識別判定できるようにした、
希薄燃焼内燃機関を搭載した車両における悪路判定方法
を提供することを目的とする。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【課題を解決するための手段】求項記載の希薄燃焼
内燃機関を搭載した車両における悪路判定方法は、多気
筒内燃機関に駆動される回転軸の角加速度を各気筒の特
定行程ごとに検出し、該検出結果に基づく上記内燃機関
の理論空燃比より希薄側空燃比での運転で生じる燃焼悪
化にともなった回転変動に相関する変動データを各気筒
ごとに算出し、各気筒ごとの上記変動データに基づき気
筒ごとに燃焼良否を判定して、希薄燃焼限界空燃比近傍
での運転中の内燃機関の空燃比を燃焼良好の場合にリー
ン側へ燃焼悪化の場合にリッチ側へとそれぞれ微小に変
化させるための空燃比変更データを気筒ごとに検出し、
該検出結果に基づき該内燃機関を希薄燃焼限界近傍で運
転するものにおいて、上記内燃機関の希薄燃焼限界空燃
比近傍での運転中に複数の気筒において燃焼悪化を示す
上記変動データが検出されるとともに、上記内燃機関の
希薄燃焼限界空燃比近傍での運転中に少なくとも一つの
気筒における空燃比変更データが継続して空燃比のリッ
チ側への変更を促すものであることを最少条件として、
上記内燃機関を搭載した車両が悪路走行中であると判定
又は推定することを特徴としている。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【作用】求項記載の希薄燃焼内燃機関を搭載した車
両における悪路判定方法では、多気筒内燃機関に駆動さ
れる回転軸の角加速度が各気筒の特定行程ごとに検出さ
れ、該検出結果に基づいた内燃機関の理論空燃比より希
薄側空燃比での運転で生じる燃焼悪化にともなった回転
変動に相関する変動データが各気筒ごとに算出され、各
気筒ごとの変動データに基づき気筒ごとに燃焼良否が判
定されて、希薄燃焼限界空燃比近傍での運転中の内燃機
関の空燃比を燃焼良好の場合にリーン側へ燃焼悪化の場
合にリッチ側へとそれぞれ微小に変化させるための空燃
比変更データが気筒ごとに検出され、該検出結果に基づ
いた該内燃機関の希薄燃焼限界近傍での運転が行なわれ
る。そして、内燃機関の希薄燃焼限界空燃比近傍での運
転中に複数の気筒において燃焼悪化を示す変動データが
検出されるとともに、内燃機関の希薄燃焼限界空燃比近
傍での運転中に少なくとも一つの気筒における空燃比変
更データが継続して空燃比のリッチ側への変更を促すも
のであることを最少条件として、内燃機関を搭載した車
両が悪路走行中であると判定又は推定することが行なわ
れる。
【0026】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例として
の希薄燃焼内燃機関を搭載した車両における悪路判定方
法について説明すると、図1は本方法を実施するための
装置の制御ブロック図、図2は本装置を有するエンジン
システムの全体構成図、図3は本装置を有するエンジン
システムの制御系を示すハードブロック図、図4〜7は
本装置の動作を説明するためのフローチャート、図8は
本装置の動作を説明するための波形図,図9は本装置の
動作を説明するための補正特性マップ、図10は本装置
の動作を説明するための摸式的グラフ、図11は本装置
の動作を説明するための摸式的グラフ、図12は本装置
の動作を説明するための正規化特性マップ、図13は本
装置における回転変動検出部を示す摸式的斜視図であ
る。
【0027】さて、本装置を装備する自動車用のエンジ
ンは、所要の運転条件下では理論空燃比(ストイキオ)
よりも希薄側空燃比(リーン)での希薄燃焼運転(リー
ンバーン運転)を行なうリーンバーンエンジンとして構
成されているが、このエンジンシステムは、図2に示す
ようになる。すなわち、この図2において、エンジン
(内燃機関)1は、その燃焼室2に通じる吸気通路3お
よび排気通路4を有しており、吸気通路3と燃焼室2と
は吸気弁5によって連通制御されるとともに、排気通路
4と燃焼室2とは排気弁6によって連通制御されるよう
になっている。
【0028】また、吸気通路3には、その上流側から順
に、エアクリーナ7,スロットル弁8および電磁式燃料
噴射弁(インジェクタ)9が設けられており、排気通路
4には、その上流側から順に、三元触媒10および図示
しないマフラ(消音器)が設けられている。なお、イン
ジェクタ9は、エンジン1の各気筒毎に設けられてい
る。また、吸気通路3には、サージタンク3aが設けら
れている。
【0029】また、三元触媒10は、ストイキオ運転状
態で、CO,HC,NOxを浄化するもので、公知のも
のである。さらに、スロットル弁8は、ワイヤケーブル
を介してアクセルペダル(図示せず)に連結されてお
り、このアクセルペダルの踏込み量に応じて開度を調整
されるようになっている。
【0030】また、吸気通路3には、スロットル弁8を
バイパスする第1バイパス通路11Aが設けられ、この
第1バイパス通路11Aには、ISC弁として機能する
ステッパモータ弁(以下、STM弁という)12が介装
されている。なお、この第1バイパス通路11Aには、
エンジン冷却水温に応じて開度が調整されるワックスタ
イプのファーストアイドルエアバルブ13も設けられて
おり、STM弁12に併設されている。
【0031】ここで、STM弁12は、第1バイパス通
路11A中に形成された弁座部に当接しうる弁体12a
と、この弁体位置を調整するためのステッパモータ(I
SC用アクチュエータ)12bと、弁体を弁座部に押圧
する方向(第1バイパス通路11Aを塞ぐ方向)へ付勢
するバネ12cとから構成されている。そして、ステッ
パモータ12bにより、弁座部に対する弁体12aの位
置の段階的な調整(ステップ数による調整)を行なうこ
とで、弁座部と弁体12aとの開度つまりSTM弁12
の開度が調整されるようになっている。
【0032】従って、このSTM弁12の開度を後述す
るコントローラとしての電子制御ユニット(ECU)2
5にて制御することにより、運転者によるアクセルペダ
ルの操作とは関係なく、第1バイパス通路11Aを通し
て吸気をエンジン1に供給することができ、その開度を
変えることでスロットルバイパス吸気量を調整すること
ができるようになっている。
【0033】なお、ISC用アクチュエータとしては、
ステッパモータ12bの代わりに、DCモータを用いて
もよい。さらに、吸気通路3には、スロットル弁8をバ
イパスする第2バイパス通路11Bが設けられ、この第
2バイパス通路11Bには、エアバイパス弁14が介装
されている。
【0034】ここで、このエアバイパス弁14は、第2
バイパス通路11B中に形成された弁座部に当接しうる
弁体14aと、この弁体位置を調整するためのダイアフ
ラム式アクチュエータ14bとから構成されており、ダ
イアフラム式アクチュエータ14bのダイアフラム室に
は、スロットル弁下流側の吸気通路と連通するパイロッ
ト通路141が設けられており、このパイロット通路1
41に、エアバイパス弁制御用電磁弁142が介装され
ている。
【0035】従って、このエアバイパス弁制御用電磁弁
142の開度を後述するECU25にて制御することに
より、この場合も、運転者によるアクセルペダルの操作
とは関係なく、第2バイパス通路11Bを通して吸気を
エンジン1に供給することができ、その開度を変えるこ
とでスロットルバイパス吸気量を調整することができる
ようになっている。なお、このエアバイパス弁制御用電
磁弁142は、リーンバーン運転時には開状態にされ、
それ以外で閉状態にされるのが基本動作である。
【0036】また、排気通路4と吸気通路3との間に
は、排気を吸気系へ戻す排気再循環通路(EGR通路)
80が介装されていて、このEGR通路80には、EG
R弁81が介装されている。ここで、このEGR弁81
は、EGR通路80中に形成された弁座部に当接しうる
弁体81aと、この弁体位置を調整するためのダイアフ
ラム式アクチュエータ81bとから構成されており、ダ
イアフラム式アクチュエータ81bのダイアフラム室に
は、スロットル弁下流側の吸気通路と連通するパイロッ
ト通路82が設けられており、このパイロット通路82
に、ERG弁制御用電磁弁83が介装されている。
【0037】従って、このEGR弁制御用電磁弁83の
開度を後述するECU25にて制御することにより、E
GR通路80を通して、排気を吸気系へ戻すことができ
るようになっている。なお、図2において、15は燃料
圧調節器で、この燃料圧調節器15は、吸気通路3中の
負圧を受けて動作し、図示しないフュエルポンプからフ
ュエルタンクへ戻る燃料量を調節することにより、イン
ジェクタ9から噴射される燃料圧を調節するようになっ
ている。
【0038】また、このエンジンシステムを制御するた
めに、種々のセンサが設けられている。まず、図2に示
すように、エアクリーナ7を通過した吸気が吸気通路3
内に流入する部分には、吸入空気量をカルマン渦情報か
ら検出するエアフローセンサ(吸気量センサ)17やエ
ンジン1への吸入空気の温度を検出する吸気温センサ1
8,大気圧を検出する大気圧センサ19がそなえられて
いる。
【0039】また、吸気通路3におけるスロットル弁8
の配設部分には、スロットル弁8の開度を検出するポテ
ンショメータ式のスロットルポジションセンサ20のほ
かに、アイドルスイッチ21がそなえられている。さら
に、排気通路4側には、排気ガス中の酸素濃度(O2
度)を検出する酸素濃度センサ(以下、単に「O2 セン
サ」という)22がそなえられるほか、その他のセンサ
として、エンジン1用の冷却水の温度を検出する水温セ
ンサ23や、図3に示すクランク角度を検出するクラン
ク角センサ24(このクランク角センサ24はエンジン
回転数Neを検出する回転数センサとしての機能も兼ね
ている)や車速センサ30などがそなえられている。
【0040】そして、これらのセンサやスイッチからの
検出信号は、図3に示すようなECU25へ入力される
ようになっている。また、変速検出手段231が設けら
れ、ECU25に検出信号が入力されるようになってい
る。変速検出手段231は、変速制御用コンピュータか
らELC通信によりシフト段が変更されたことを検知す
ることで検出信号を得られるように構成されている。
【0041】ここで、このECU25のハードウェア構
成は、図3に示すようになるが、このECU25は、そ
の主要部としてCPU(演算装置)26をそなえたコン
ピュータとして構成されており、CPU26には、吸気
温センサ18,大気圧センサ19,スロットルポジショ
ンセンサ20,O2 センサ22,水温センサ23等から
の検出信号が、入力インタフェース28およびアナログ
/ディジタルコンバータ29を介して入力されるように
なっている。
【0042】また、CPU26には、エアフローセンサ
17,アイドルスイッチ21,クランク角センサ24,
車速センサ30,気筒判別センサ230,変速検出手段
231等からの検出信号が、入力インタフェース35を
介して直接入力されるようになっている。さらに、CP
U26は、バスラインを介して、プログラムデータや固
定値データのほか各種データを記憶するROM(記憶手
段)36や更新して順次書き替えられるRAM37との
間でデータの授受を行なうようになっている。
【0043】また、CPU26による演算の結果、EC
U25からは、エンジン1の運転状態を制御するための
信号、例えば、燃料噴射制御信号,点火時期制御信号,
ISC制御信号,バイパスエア制御信号,EGR制御信
号等の各種制御信号が出力されるようになっている。こ
こで、燃料噴射制御(空燃比制御)信号は、CPU26
から噴射ドライバ39を介して、インジェクタ9を駆動
させるためのインジェクタソレノイド9a(正確にはイ
ンジェクタソレノイド9a用のトランジスタ)へ出力さ
れるようになっており、点火時期制御信号は、CPU2
6から点火ドライバ40を介して、パワートランジスタ
41へ出力され、このパワートランジスタ41から点火
コイル42を介しディストリビュータ43により各点火
プラグ16に順次火花を発生させるようになっている。
【0044】また、ISC制御信号は、CPU26から
ISCドライバ44を介して、ステッパモータ12bへ
出力され、バイパスエア制御信号は、CPU26からバ
イパスエア用ドライバ45を介して、エアバイパス弁制
御用電磁弁142のソレノイド142aへ出力されるよ
うになっている。さらに、EGR制御信号は、CPU2
6からEGRドライバ46を介して、ERG弁制御用電
磁弁83のソレノイド83aへ出力されるようになって
いる。
【0045】ところで、今、燃料噴射制御(空燃比制
御)に着目すると、この燃料噴射制御(インジェクタ駆
動時間制御)のために、ECU25は、図1に示すよう
に、回転変動検出手段101、変動データ算出手段10
2、空燃比変更データ検出手段104、角加速度検出手
段107、悪路走行判定手段202、検査空燃比運転手
段203、悪路用希薄空燃比運転手段204、悪路走行
終了判定手段205、回転変動収束状態検出手段206
の機能をそなえている。
【0046】また、ECU25は、図5のフローチャー
トに沿う動作を行なう回転変動状態判定ロジックA、図
6のフローチャートに沿う動作を行なう悪路対応モード
ロジックB、図7のフローチャートに沿う動作を行なう
回転変動制御モードロジックCをそなえている。さら
に、ECU25は、、図示省略の燃焼状態制御手段,燃
焼変動調整要素,平滑化手段,閾値更新手段および失火
判定基準値の機能をそなえている。
【0047】ここで、燃焼変動調整要素は、燃焼状態制
御手段からの制御信号により燃料噴射パルス幅Tinj
を所望の状態に調整して、実現すべき空燃比のリーンバ
ーン運転を行なうもので、インジェクタ9が燃焼変動調
整要素として機能する。なお、燃料噴射パルス幅Tin
jは次式で表される。 Tinj(j)=TB・KAC(j)・K・KAFL+
Td この式におけるTBは、インジェクタ9の基本駆動時間
であり、エアフローセンサ17からの吸入空気量A情報
とクランク角センサ(エンジン回転数センサ)24から
のエンジン回転数N情報とからエンジン1回転あたりの
吸入空気量A/N情報を求め、この情報に基づき基本駆
動時間TBを決定するようになっている。
【0048】また、KAFLはリーン化補正係数で、マ
ップに記憶された特性からエンジンの運転状態に対応し
て決定され、運転状態に応じて空燃比をリーンまたはス
トイキオにすることができるようになっている。そし
て、KAC(j)は、後述のように、燃焼変動に対応し
た燃焼状態制御を行なうための補正係数である。
【0049】さらに、エンジン冷却水温,吸気温,大気
圧等に応じた補正係数Kが設定され、デッドタイム(無
効時間)Tdにより、バッテリ電圧に応じて駆動時間が
補正されるように構成されている。また、リーンバーン
運転は、所定の条件が成立したと、リーン運転条件判定
手段において判定された場合に行なわれるように構成さ
れている。
【0050】これにより、このECU25は、所要の運
転条件下では理論空燃比よりも希薄側空燃比となるよう
に空燃比を制御する空燃比制御手段の機能を有している
ことになる。ところで、本燃焼状態制御装置は、エンジ
ンに駆動される回転軸(クランク軸)の角加速度を検出
する角加速度検出手段107をそなえており、角加速度
検出手段107は次のように構成されている。
【0051】すなわち、図13に示すように、角加速度
検出手段107は、クランク角センサ24、気筒判別セ
ンサ230およびコントローラとしてのECU25を主
要要素としてそなえており、クランク角センサ24は、
エンジンのクランク軸201と一体に回転する回転部材
221をそなえている。回転部材221の周縁には、半
径方向へ突出する第1,第2および第3のベーン221
A,221B,221Cが形成されており、このベーン
221A,221B,221Cに対し両面から対向する
ように装備された検出部222が、回転部材221の回
動に伴うベーン221A,221B,221Cの通過
を、光学的にもしくは電磁気的に検出し、対応するパル
ス出力を行なうように構成されている。
【0052】そして、ベーン221A,221B,22
1Cは、各々が一定角度のクランク軸回転角度に対応す
る周方向長さをそなえており、所定角度間隔ごとに周方
向に離隔して配設されている。すなわち、隣合うベーン
の対向縁は相互に120度の角度間隔をもって配設され
ている。
【0053】ところで、気筒判別センサ230は、図示
しないカムシャフトに固着されており、クランク軸20
1が2回転してカムシャフトが1回転する間に、カムシ
ャフトが1つの気筒に対応する特定の回転位置をとるご
とに、パルス出力を発生するようになっている。そし
て、点火動作が気筒番号順に行なわれる6気筒エンジン
に搭載される本実施例の装置は、例えば、第3ベーン2
21Cの端縁(前端221C′または後端)が検出部2
22を通過したときに、第1気筒グループをなす第1気
筒および第4気筒のいずれか一方(好ましくは、当該一
方の気筒での主に膨張行程)に対応する第1クランク軸
回転角度領域にクランク軸が突入するとともに、第1ベ
ーン221Aの端縁が検出部222を通過したときに、
クランク軸が第1回転角度領域から離脱するようになっ
ている。
【0054】同様に、第1ベーン221Aの端縁の通過
時に、第2気筒グループを構成する第2および第5気筒
のいずれか一方に対応する第2クランク軸回転角度領域
に突入し、ついで、第2ベーン221Bの端縁の通過時
に同領域からの離脱が行なわれるようになっている。さ
らに、第2ベーン221Bの端縁の通過時に、第3気筒
グループを構成する第3および第6気筒のいずれか一方
に対応する第3クランク軸回転角度領域に突入し、つい
で、第3ベーン221Cの端縁の通過時に同領域からの
離脱が行なわれるようになっている。
【0055】そして、第1気筒と第4気筒との識別、第
2気筒と第5気筒との識別および第3気筒と第6気筒と
の識別は、気筒判別センサ230の出力に基づいて行な
われるように構成されている。このような構成により、
角加速度の検出は次のように行なわれる。すなわち、エ
ンジン運転中、ECU25はクランク角センサ24から
のパルス出力と気筒判別センサ230の検出信号とを逐
次入力され、演算を周期的に繰り返し実行する。
【0056】また、ECU25は、クランク角センサ2
4からのパルス出力が、気筒判別センサ230からのパ
ルス出力の入力時点以降に順次入力したもののうちの何
番目のものであるかを判別する。これにより、入力され
たクランク角センサ24からのパルス出力が、何番目の
気筒に対応するものであるかを識別され、好ましくは、
主に膨張行程(出力行程:BTDC75°)を現時点で実行中
の気筒が識別気筒として識別される。
【0057】そして、ECU25は、クランク角センサ
24からのパルス入力に応じて、識別気筒グループm
(mは1,2または3)に対応するクランク軸回転角度
領域への突入を判別すると、周期計測用タイマ(図示
略)をスタートさせる。ついで、クランク角センサ22
0から次のパルス出力を入力すると、ECU25は、識
別気筒グループmに対応するクランク軸回転角度領域か
らの離脱を判別し、周期計測用タイマの計時動作を停止
させて計時結果を読み取る。
【0058】この計時結果は、識別気筒グループmに対
応するクランク軸回転角度領域への突入時点から当該領
域からの離脱時点までの時間間隔TN(n)、すなわ
ち、識別気筒グループに対応する2つの所定クランク角
によって定まる周期TN(n)を表している。ここで、
周期TN(n)における添字nは、当該周期が識別気筒
におけるn回目(今回)の点火動作に対応することを表
す。
【0059】また、周期TN(n)は、6気筒エンジン
では識別気筒グループの120度クランク角間周期(隣
合う気筒における運転状態BTDC75°相互の時間間隔)に
なり、より一般的には、N気筒エンジンでの(720/
N)度クランク角間周期になる。なお、今回の識別気筒
に対応するクランク軸回転角度領域からの離脱を表す上
記パルス出力は、次の識別気筒に対応するクランク軸回
転角度領域への突入をも表す。
【0060】したがって、このパルス出力に応じて、次
の識別気筒についての気筒識別ステップが実行されると
ともに、当該次の識別気筒に係る周期計測を開始すべ
く、周期計測用タイマがリスタートされる。このような
動作により、ECU25は120度クランク間周期TN
(n)を検出するが、#1気筒から#6気筒に至る一連
の状態を図示すると、図8に示すようになり、120度
クランク間周期は、TN(n−5)からTN(n)で表
される。これらの検出値を用いて当該周期におけるクラ
ンク軸の角加速度ACC(n)を次式により算出する。
【0061】ACC(n)=1/TN(n) ・{KL(m)/TN(n)-
KL(m-1)/TN(n-1) } ここで、KL(m) はセグメント補正値であり、今回の識別
気筒に関連して、ベーン製造上および取り付け上のベー
ン角度間隔のばらつきによる周期測定誤差を除去するた
めの補正を行なうべく、ECU25により次式でセグメ
ント補正値KL(m)が算出される。
【0062】 KL(m)= {KL(m-3)*(1-XMFDKFG)+KR(n)*(XMFDKFD) } ただし、XMFDKFG はセグメント補正値ゲインを示してい
る。また、 KL(m)におけるm は対応する気筒グループご
とに設定されるもので、気筒グループ#1,#4に対し
m=1,気筒グループ#2,#5に対しm=2,気筒グ
ループ#3,#6に対しm=3がそれぞれ対応し、図8
に示すように KL(1)〜 KL(3)が繰り返される。
【0063】そして、KL(m-1) におけるm−1は、対応
するmの直前のものを意味しているため、 KL(m)= KL
(1)のときKL(m-1) =KL(3), KL(m)= KL(2)のときKL(m-
1) =KL(1), KL(m)= KL(3)のときKL(m-1) =KL(2) を
示している。さらに、上式におけるKL(m-3) は、同一気
筒グループにおける前の回の KL(m)を示しており、#4
気筒の演算時におけるKL(m-3) は前の#1気筒における
KL(1)が用いられ、#1 気筒の演算時におけるKL(m-3)
は前の#4気筒における KL(1)が用いられる。#5気筒
の演算時におけるKL(m-3) は前の#2気筒における KL
(2)が用いられ、#2気筒の演算時におけるKL(m-3) は
前の#5気筒における KL(2)が用いられる。#6気筒の
演算時におけるKL(m-3) は前の#3気筒におけるKL(3)
が用いられ、#3気筒の演算時におけるKL(m-3) は前の
#6気筒におけるKL(3)が用いられる。
【0064】一方、上式におけるKR(n) は次式で求めら
れる。 KR(n) =3 ・TN(n) /{TN(n) +TN(n-1) +TN(n-2) } これは、2回前の計測時間TN(n-2) から今回の計測時間
TN(n) までの平均計測時間に対応した計測値であり、セ
グメント補正値KL(m)の算出に際し、KR(n) に対し
て、セグメント補正値ゲインXMFDKFG による一次フィル
タ処理が前述の式を用いて行なわれる。
【0065】ところで、本実施例の、希薄燃焼内燃機関
を搭載した車両における悪路判定方法を実現すべく、エ
ンジンの燃焼状態制御装置は、角加速度検出手段107
の検出信号を用いて角加速度の変動値を検出する回転変
動検出手段101をそなえている。そして、回転変動検
出手段101の演算は、検出された角速度を平滑化手段
により平滑化した平滑値と、角加速度検出手段107か
ら出力された角加速度との差を求めることにより行なわ
れるように構成されている。
【0066】すなわち、回転変動検出手段101におい
ては、加速度変動値ΔACC(n)が次式により算出さ
れる。 ΔACC(n)=ACC(n)−ACCAV(n) ここで、ACCAV(n)は、検出された角速度を平滑
化手段により平滑化した平滑値であり、次式による一次
フィルタ処理を行なうことにより算出される。
【0067】ACCAV(n)=α・ACCAV(n−
1)+(1−α)・ACC(n) ここで、αは一次フィルタ処理における更新ゲインであ
り、0.95程度の値が採られる。また、回転変動検出
手段101から出力される変動値ΔACC(n)をエン
ジンの運転状態に応じて正規化し、正規化変動値IAC
(n)を求める変動データ算出手段102が設けられて
いる。
【0068】すなわち、変動データ算出手段102にお
ける正規化変動値IAC(n)の算出は次式により行な
われる。 IAC(n)=ΔACC(n)・Kte(Ev,Ne) ここで、Kte(Ev,Ne)は出力補正係数であり、
図12に示す特性により設定されるようになっている。
【0069】図12の特性は、横軸に体積効率Evをと
り、この体積効率Evに対する出力補正係数Kte(E
v,Ne)を縦軸にとって示されており、エンジン回転
数Neが大きくなるほど右上側の線の特性を採用するよ
うに構成されている。したがって、図12の特性がマッ
プとして記憶されており、クランク角センサ24等の検
出信号から算出されるエンジン回転数Neと体積効率E
vとから、出力補正係数Kte(Ev,Ne)がECU
25において設定され、エンジン出力に対応した補正に
よる正規化が行なわれるように構成されている。
【0070】そして、変動データIAC(n)と所定の
閾値IACTHとを比較して空燃比変更データVAC
(j)を求める空燃比変更データ検出手段104が設け
られおり、空燃比変更データVAC(j)は、変動デー
タIAC(n)が閾値IACTHを下回る悪化量を累積
して求めるように構成されている。すなわち、空燃比変
更データVAC(j)は、次式により算出される。
【0071】VAC(j)=Σ{ IAC(J) < IACTH }
* { IACTH - IAC(J) } ここで、上式の{ IAC(J) < IACTH }は、 IAC(J) <
IACTH が成立しているとき「1」をとり、成立していな
いとき「0」をとる関数であり、変動データIAC
(n)が所定の閾値IACTHを下回っているとき、こ
の下回った量を悪化量として累積するように構成されて
いる。
【0072】したがって、空燃比変更データVAC
(j)は、閾値 IACTHと変動データIAC(j)との差
を重みとした悪化量を累積して求められ、閾値付近の数
値の影響を小さくして、悪化の状態を正確に反映しうる
ように構成されている。そして、空燃比変更データ検出
手段104における所定の閾値 IACTHは、閾値更新手段
により、エンジンの運転状態に対応して更新されるよう
に構成されている。
【0073】なお、上述の添字jは、気筒番号を示して
いる。また、空燃比変更データVAC(j)としてはよ
り簡単なプログラムを用いて変動データIAC(n)が
閾値IACTHを下回る回数を累積して求めてもよい
(即ちVAC(j)=Σ{ IAC(j) < IACTH })。上
述のような空燃比変更データ検出手段104からの演算
結果は、燃焼状態制御手段で用いられるように構成され
ている。
【0074】すなわち、燃焼状態制御手段は、後述の回
転変動制御モードロジックCをそなえており、空燃比変
更データ検出手段104により算出された空燃比変更デ
ータVAC(j)を参照し、算出された補正係数KAC
(j)により、エンジンの燃焼変動調整要素を制御する
ように構成されている。燃焼状態制御手段による燃焼変
動調整要素の制御についての基準値としては、変動許容
値VAC0が設けられており、空燃比変更データVAC
(j)と変動許容値VAC0との差に対応した制御が、
図7のフローチャートにおいて行なわれるように構成さ
れている。
【0075】そして、燃焼変動調整要素による制御は、
空燃比変更データVAC(j)を変動許容値VAC0内
に収めるべく行なわれるように構成されている。すなわ
ち、燃焼変動調整要素による制御は、前述のように、燃
料噴射に際しての基本噴射パルス幅の補正により行なわ
れるように構成されており、噴射パルス幅Tinj(j) は、
次式で算出されるように構成されている。
【0076】Tinj(j)=TB×KAC(j)×K ×KAFL + Td そして、上式における補正係数KAC(j)が次のように調整
されるようになっている。まず、変動データIAC
(n)が閾値IACTHを3回以上下回っている場合に
は、所定以上に燃焼変動値が悪化している場合であると
して、燃料噴射量を増加させるリッチ化の補正が次式に
よる補正係数KAC(j)の算出により行なわれるようになっ
ている。
【0077】KAC(j) = KAC(j) + ZFCPAL ・{ VAC
(j) − VAC0 } これは、図9に示す補正特性のうちリッチ側右上特性の
補正値を算出するもので、 ZFCPAL は特性の傾きを示す
係数である。そして、右辺のKAC(j)は、番号j気筒につ
いて、前の演算サイクル(n-1) において算出された補正
係数を示しており、上式により更新が行なわれる。
【0078】なお、図9は横軸に空燃比変更データVA
Cをとり、縦軸に補正係数KACをとって補正特性を示
している。一方、変動データIAC(n)が閾値IAC
THを下回っている場合が128サイクル中1回未満で
ある場合には、さらにリーン化を行ないうる余裕をそな
えた場合であるとして、燃料噴射量を減少させるリーン
化の補正が次式による補正係数KAC(j)の算出により行な
われるようになっている。
【0079】KAC(j) = KAC(j) - ZFCPAL ・{ VAC
(j) − VAC0 } これは、図9に示すリーン側左下特性の補正値を算出す
るもので、 ZFCPAL は特性の傾きを示す係数である。さ
らに、変動データIAC(n)が閾値IACTHを下回
っている場合が128サイクル中1〜2回である場合に
は、適正な運転状態であるとして、燃料噴射量を前の状
態に保つため、補正係数KAC(j)の変更を行なわないよう
になっている。
【0080】これは、図9に示すリーン側左下特性とリ
ッチ側右上特性との間の平坦な特性に対応するもので、
補正に関しての不感帯を構成している。ところで、変動
許容値VAC0は、COV(Coefficient of variance) の目
標値(10 %程度) に対応した値であり、変動許容値VAC0
の両側におけるΔVAC の範囲における燃料補正をしない
ようにすることにより、回転変動を有限期間(128サイク
ル) で評価したり、閾値以下のもので演算していること
に起因した誤差によるリミットサイクルを防止するよう
になっている。
【0081】そして、上述の補正係数KAC(j)は、上下限
値でクリップされるように構成されており、例えば、
0.85<KAC(j)<1.1の範囲内に収まるよう
に設定され、急速な補正を行なわず、徐々に補正を行な
うことにより、ショック等の発生を防止し、安定した制
御が行なわれるように構成されている。さらに、空燃比
変更データVAC(j)は、設定された燃焼回数、例え
ば128(あるいは256)サイクルごとに更新される
ようになっており、比較的長い期間を対象とした燃焼状
態の把握による制御を行なうことにより、統計的な特性
を反映する安定した確実な制御が行なわれるように構成
されている。
【0082】このようにして、希薄燃焼限界空燃比近傍
での運転中の内燃機関の空燃比を燃焼良好の場合にリー
ン側へ燃焼悪化の場合にリッチ側へとそれぞれ微小に変
化させる制御が行なわれるようになっている。ところ
で、本実施例では、内燃機関の希薄燃焼限界空燃比近傍
での運転中に複数の気筒において燃焼悪化を示す回転変
動状態が検出されたことに基づき、内燃機関を搭載した
車両が悪路走行中であると判定又は推定して、悪路対応
モードへ移行させるように構成されている。
【0083】また、回転変動が燃焼状態判定閾値より燃
焼悪化側の値となることが複数点火期間にわたる設定期
間内において設定回数以上発生する場合に、燃焼悪化を
示す回転変動状態として上記変動データが算出されるよ
うに構成されている。すなわち、128サイクル中にお
いて変動データIAC(n)が、3回以上閾値IACT
H以下になる気筒が3つ以上検出されることを条件とし
て、悪路対応モードへ移行させるようになっている。
【0084】そして、変動データが燃焼悪化を示すとと
もに、燃焼状態判定閾値より燃焼悪化側となる変動デー
タの平均値が第2の燃焼状態判定閾値より燃焼悪化側と
なることを最少条件として、車両が悪路走行中であると
判定又は推定して、悪路対応モードへ移行させるように
構成されている。すなわち、変動データIAC(n)が
閾値IACTHより燃焼悪化側となる変動データIAC
(n)の平均値が、第2の燃焼状態判定閾値としての設
定値より燃焼悪化側となることを条件として、悪路対応
モードへ移行させるようになっている。
【0085】また、内燃機関の希薄燃焼限界空燃比近傍
での運転中に少なくとも一つの気筒における空燃比変更
データが継続して空燃比のリッチ側への変更を促すもの
であることを最少条件として、内燃機関を搭載した車両
が悪路走行中であると判定又は推定して、悪路対応モー
ドへ移行させるように構成されている。すなわち、回転
変動検出手段101の変動データ算出手段102におい
て、内燃機関の希薄燃焼限界空燃比近傍での運転中に複
数の気筒において燃焼悪化を示す変動データIAC
(n)が検出されるとともに、空燃比変更データ検出手
段104において、少なくとも一つの気筒における空燃
比変更データVAC(j)が継続して空燃比のリッチ側
への変更を促すものであることを最少条件として、内燃
機関を搭載した車両が悪路走行中であると判定又は推
定、回転変動状態判定ロジックAにより、回転変動制御
モードロジックCによる制御状態から悪路対応モードB
の制御状態へ移行させるように構成されている。
【0086】具体的には、前述の空燃比変更データVA
C(j)が所定の設定値を上回る状態を3回連続して発
生させた気筒があることを条件に、悪路対応モードに移
行させるようになっている。さらに、複数の気筒におい
て変動データが燃焼悪化を示すことに基づき内燃機関を
搭載した車両が悪路走行中であると推定し、次いで内燃
機関を希薄限界近傍空燃比よりリッチ側の検査空燃比で
運転して、該運転中に検出される回転変動に基づき車両
が悪路走行中であると判定するように構成されている。
【0087】すなわち、上記のようにして悪路対応モー
ドに移行した場合において、悪路対応モードにおいて
は、検査空燃比運転手段203により、所定の検査空燃
比による検査空燃比運転が行なわれるように構成されて
いる。検査空燃比は希薄限界近傍空燃比よりリッチ側に
設定されており、回転変動が燃焼悪化によるものである
か、悪路走行によるものであるかを識別するため、とり
あえずリーン運転を中止してリッチ側で運転するもので
ある。
【0088】また、検査空燃比運転は、128×2サイ
クルの間、ストイキオ・フィードバック状態で、且つE
GR無しのオープンループ点火時期(EGR無しに対応
した点火時期)による運転で行なわれ、他の要素による
干渉を排除できる状態で行なわれるようになっている。
そして、検査空燃比での運転下において変動データを算
出し、該運転中における回転変動を変動データに基づい
て検出するように構成されている。
【0089】また、検査空燃比での運転下において複数
気筒における変動データが回転変動を表すときに車両が
悪路走行中であると判定するように構成されている。す
なわち、検査空燃比運転手段203による運転時につい
ても、回転変動検出手段101において変動データ算出
手段102による変動データIAC(n)の算出を行な
い、悪路走行判定手段202において、変動データIA
C(n)が所定の条件を満たすかどうかを判断して、悪
路走行時であるかどうかを判定するようになっている。
【0090】ここで、悪路走行判定手段202における
判定は、「256サイクル中に閾値IACTH以下の変
動データIAC(n)が3回以上発生している気筒が3
つ以上あること」を条件として行なわれ、この条件を満
たす場合は、リッチ側で運転したにもかかわらず、回転
変動の発生が改善されないため、回転変動の発生は希薄
燃焼が原因ではなく、悪路走行に起因するものであると
判断されるようになっている。
【0091】そして、車両が悪路走行中であると判定さ
れたとき、内燃機関を検査空燃比より希薄側の悪路用希
薄空燃比で運転し、該運転中における回転変動の収束状
態が検出されたときに悪路走行が終了したと判定するよ
うに構成されている。すなわち、悪路走行判定手段20
2により車両が悪路走行状態にあると判定された場合に
は、悪路用希薄空燃比運転手段204により、検査空燃
比より希薄側の悪路用希薄空燃比での運転が行なわれる
ようになっている。
【0092】したがって、希薄限界運転に至らないまで
も、所望の希薄側運転を行なわれ、燃費の向上とNOx
の削減がはかられるようになっている。これは、悪路走
行時が、燃焼状態を改善すべき状態ではなく、リーン運
転を行なってもよい運転状態であるとの認識によってい
る。そして、このようなリーン運転が128サイクルの
間行なわれるが、このときの燃料噴射制御にかかる補正
係数KACは、悪路モードへの移行直前の値が採用され
る。
【0093】さらに、上述のような128サイクルの悪
路用希薄空燃比運転が終了するごとに、回転変動収束状
態検出手段206による回転変動収束の判定が行なわれ
るようになっており、当該128サイクル中に閾値IA
CTH以下の変動データIAC(n)を発生しない気筒
が3つ以上あるかどうかの条件が判断されて、条件を満
たす場合には、悪路走行終了判定手段205において、
悪路が終了して回転変動が解消されたものと判断するよ
うになっている。
【0094】そして、悪路の終了が検出されない場合
は、128×20サイクルの間、悪路用希薄空燃比運転
手段204による運転が続行されるように構成されてい
る。また、128×20サイクルが経過したのちには、
検査空燃比運転手段203による運転が再度行なわれ、
悪路走行の確認が行なわれるように構成されている。
【0095】なお、失火判定基準値が設定されており、
変動データIAC(n)が失火判定基準値を燃焼悪化側
に超えることに基づき失火が判定され、現気筒の失火情
報アドレス(j)に失火情報が格納されて、失火に対す
る制御が行なわれるように構成されている。本発明の一
実施例としての希薄燃焼内燃機関を搭載した車両におけ
る悪路判定方法を実現すべき制御系は上述のように構成
されているので、リーンバーン運転時において、図4〜
図7のフローチャートに示す作動が順次行なわれる。
【0096】まず、図4に示すステップS1 において、
角加速度検出手段107により角加速度ACC(n)が
検出される。ここで、検出に用いられる演算は次式によ
る。 ACC(n)=1/TN(n) ・{KL(m)/TN(n)-KL(m-1)/TN(n
-1) } なお、KL(m) はセグメント補正値であり、今回の識別気
筒に関連して、ベーン製造上および取り付け上のベーン
角度間隔のばらつきによる周期測定誤差を除去するため
の補正を行なうべく、次式でセグメント補正値KL
(m)が算出される。
【0097】KL(m)= {KL(m-3)*(1-XMFDKFG)+KR(n)*(XM
FDKFD) } ただし、XMFDKFG はセグメント補正値ゲインを示してい
る。一方、上式におけるKR(n) は次式で求められる。 KR(n) =3 ・TN(n) /{TN(n) +TN(n-1) +TN(n-2) } これは、2回前の計測時間TN(n-2) から今回の計測時間
TN(n) までの平均計測時間に対応した計測値であり、セ
グメント補正値KL(m)の算出に際し、セグメント補
正値ゲインXMFDKFG による一次フィルタ処理が前述の式
を用いて行なわれる。
【0098】そして、ステップS2において平均加速度
ACCAV(n)が算出される。ここで、ACCAV
(n)は、検出された角速度ACC(n)を平滑化手段
により平滑化した平滑値であり、次式による一次フィル
タ処理を行なうことにより算出される。 ACCAV(n)=α・ACCAV(n−1)+(1−
α)・ACC(n) ここで、αは一次フィルタ処理における更新ゲインであ
り、0.95程度の値が採られる。
【0099】次いで、ステップS3において、回転変動
検出手段101により、加速度変動値ΔACC(n)が
検出される。すなわち、角加速度検出手段107により
検出された角速度ACC(n)と、平滑化手段により平
滑化した平滑値としての平均加速度ACCAV(n)と
の差を求めることにより、加速度変動値ΔACC(n)
が次式で算出される。
【0100】 ΔACC(n)=ACC(n)−ACCAV(n) また、ステップS4において、変動データ算出手段10
2により、回転変動検出手段101から出力される変動
値ΔACC(n)をエンジンの運転状態に応じて正規化
した変動データIAC(n)が次式により算出される。 IAC(n)=ΔACC(n)・Kte(Ev,Ne) ここで、Kte(Ev,Ne)は出力補正係数であり、
図12に示す特性により設定される。
【0101】図12の特性は、横軸に体積効率Evをと
り、この体積効率Evに対する出力補正係数Kte(E
v,Ne)を縦軸にとって示されており、エンジン回転
数Neが大きくなるほど右上側の線の特性が採用され
る。すなわち、マップとして記憶された図12の特性に
おいて、クランク角センサ220等の検出信号から算出
されるエンジン回転数Neと体積効率Evとから、出力
補正係数Kte(Ev,Ne)がECU25において設
定され、エンジン出力に対応した補正による正規化が行
なわれる。
【0102】ここで、上述のような、エンジン出力に対
応する正規化をした場合における制御特性について説明
する。すなわち、角加速度ω’は次式のように示され
る。 ω’=1/Ie・(Te−Tl) ・・・・ ここで、Te:エンジントルク Tl:負荷トルク Ie:慣性モーメント 一方、ω’=ω0 ’+Δω’ ・・・・・・・・・・ ここで、ω0 ’:平均角加速度 ,式より、 ω0 ’+Δω’= 1/Ie・(Te−Tl) = 1/Ie・(Te0 −Tl)+ΔTe/Ie よって、 Δω’= ΔTe/Ie ・・・・・・・ ところで、前述したステップS1における角加速度AC
C(n)の検出手法では、エンジントルク情報が、負荷
外乱のない場合に比較的良く保存される。そして、式
に示すように、平均角加速度ω0 ’からの変動Δω’
〔加速度変動値ΔACC(n)〕を用いるとともに、慣
性モーメントIeを考慮した正規化出力〔変動データI
AC(n)〕として制御を行なうことにより、燃焼変動
の統計的性質を考慮し、燃焼変動を確実に反映させた制
御が行なわれる。
【0103】ステップS4の動作が行なわれると、次い
でステップS5において、失火の判定が行なわれる。す
なわち、失火判定基準値設定手段で設定された失火判定
基準値を、変動データIAC(n)が燃焼悪化側に超え
ているかどうかを判断され、超えている場合には、失火
が発生したと判定される。
【0104】そして、この判定が行なわれた場合には、
ステップS6が実行され、現気筒の失火情報アドレス
(j)に失火情報が格納されて、失火に対する制御が行
なわれる。一方、失火の判定が行なわれなかった場合、
もしくは失火の判定が行なわれてステップS6が実行さ
れた後には、ステップS7〜ステップS10における空
燃比変更データ検出手段104の動作が実行され、変動
データIAC(n)と所定の閾値IACTHとを比較し
て、次式により空燃比変更データVAC(j)が算出さ
れる。
【0105】VAC(j)=Σ{ IAC(J) < IACTH }
* { IACTH - IAC(J) } まず、ステップS7において、変動データIAC(n)
と所定の閾値IACTHとの差ΔIAC(n)が算出さ
れ、次いで、ステップS8において、差ΔIAC(n)
が負であるかどうかが判断される。この判断は、上式に
おける関数{ IAC(J) < IACTH }に対応するもので、
IAC(J) < IACTH が成立しているとき「1」をとり、成
立していないとき「0」をとる動作を行なう。
【0106】すなわち、 IAC(J) < IACTH が成立してい
るときΔIAC(n)が正であるため、「NO」ルート
を通じて、ステップS10における空燃比変更データV
AC(j)の累積が行なわれ、上記の関数が「1」をと
った状態になる。一方、 IAC(J) < IACTH が成立してい
ないときΔIAC(n)が負であるため、「YES」ル
ートを通じてステップS9によりΔIAC(n)=0が
実行される。これにより、ステップS10では、空燃比
変更データVAC(j)の累積は行なわれない状態とな
り、上記の関数が「0」をとった状態になる。
【0107】これにより、図10で点a〜dに示すよう
な、変動データIAC(n)が所定の閾値IACTHを
下回っているとき、この下回った量を悪化量として累積
されることになる。したがって、空燃比変更データVA
C(j)は、閾値 IACTHと変動データIAC(j)との
差を重みとした悪化量を累積して求められ、閾値付近の
数値の影響を小さくして、悪化の状態が空燃比変更デー
タVAC(j)に正確に反映される。
【0108】そして、空燃比変更データ検出手段104
における所定の閾値 IACTHは、閾値更新手段により、エ
ンジンの運転状態に対応して更新されるように構成され
ており、よりリーン限界に近い運転状態を実現しうるよ
うになっている。なお、上述の添字jは、気筒番号を示
しており、気筒jごとに空燃比変更データVAC(j)
が累積される。
【0109】このようにして、変動データIAC(n)
および空燃比変更データVAC(j)が、演算サイクル
ごとに算出される。一方、回転変動状態判定ロジックA
の作動が図5のフローチャートに沿い行なわれる。ま
ず、ステップA1において、希薄燃焼フィードバック運
転時であるかどうかが判断され、希薄燃焼フィードバッ
ク運転時である場合はステップA2以下が実行される。
【0110】希薄燃焼フィードバック運転時でない場合
は、リターン動作が行なわれ、次の演算サイクルを待機
する状態となる。ステップA2では、変速検出手段23
1の検出信号に基づき、変速中または変速後3秒以内で
あるかどうかが判断され、条件を満たす場合は、ステッ
プA3以下を実行せず、「YES」ルートを通じてステ
ップA1の判断に戻る。
【0111】これは、変速中または変速後3秒間は運転
モードを変更せず、現在の運転状態を継続させるもので
あり、このような期間は変速に起因する回転変動が発生
し、燃焼悪化や悪路走行による回転変動を検出すること
が困難であることを考慮したものである。ところで、ス
テップA3〜ステップA5では、悪路対応モードへの移
行条件の判断が行なわれる。
【0112】まず、ステップA3において、回転変動検
出手段101における変動データ算出手段102により
算出された変動データIAC(n)を用い、128サイ
クル中における閾値IACTH以下の変動データIAC
(n)を3回以上発生させた気筒が3つ以上あるかどう
かが判断される。これにより、変動データIAC(n)
の個々の値から見て、回転変動の発生状態が所定以上で
ある場合としての判断が行なわれる。
【0113】ついで、ステップA4において、128サ
イクル中における閾値IACTH以下の変動データIA
C(n)の平均値が設定値以上であるかどうかが判断さ
れる。これにより、変動データIAC(n)の個々の値
から見て、回転変動の発生状態が平均的に所定以上であ
る場合としての判断が行なわれる。
【0114】そして、ステップA5において、回転変動
検出手段101における空燃比変更データ検出手段10
4により算出された空燃比変更データVAC(j)を用
い、128サイクル中における空燃比変更データVAC
(j)が所定の判定値を超えているかどうかが判断され
る。これにより、変動データIAC(n)の閾値IAC
THを超える量を累積した値から見た回転変動の発生状
態が、総量的に所定以上である場合としての判断が行な
われる。
【0115】上述のステップA3〜ステップA5におけ
る3つの条件をすべて満たす場合において、「YES」
ルートを通じ、悪路対応モードロジックBを作動させる
悪路対応モードへの移行が行なわれる。そして、3つの
条件の少なくとも1つが満たされない場合は、悪路走行
時である場合の回転変動状態ではないため、悪路走行時
である可能性の推定を行なわず、「NO」ルートを通
じ、通常の制御系である回転変動制御モードロジックC
を作動させる回転変動制御モードが選択される。
【0116】ところで、悪路対応モードロジックBは図
6のフローチャートに沿う作動を行ない、まずステップ
B1において、検査空燃比運転手段203による検査空
燃比運転が行なわれる。検査空燃比は希薄限界近傍空燃
比よりリッチ側に設定されており、回転変動が燃焼悪化
によるものであるか、悪路走行によるものであるかを識
別するため、とりあえずリーン運転を中止してリッチ側
での運転が行なわれる。
【0117】そして、検査空燃比運転は、128×2サ
イクルの間、ストイキオ・フィードバック状態で、且つ
EGR無しのオープンループ点火時期(EGR無しに対
応した点火時期)による運転で行なわれ、他の要素によ
る干渉を排除できる状態で行なわれる。また、検査空燃
比運転手段203による運転時についても、回転変動検
出手段101において変動データ算出手段102による
変動データIAC(n)の算出が行なわれ、悪路走行判
定手段202において、変動データIAC(n)が所定
の条件を満たすかどうかを判断して、悪路走行時である
かどうかが判定される。
【0118】すなわち、ステップB2において、「25
6サイクル中に閾値IACTH以下の変動データIAC
(n)が3回以上発生している気筒が3つ以上ある」か
どうかの判断が行なわれる。条件が満たされている場合
には、リッチ側で運転したにもかかわらず、回転変動の
発生が改善されないため、回転変動の発生は希薄燃焼が
原因ではなく、悪路走行に起因するものであると判断さ
れ、「YES」ルートを通じてステップB3以下が実行
される。
【0119】ステップB3以下では、車両が悪路走行中
であると判定されたとき、内燃機関を検査空燃比より希
薄側の悪路用希薄空燃比で運転し、該運転中における回
転変動の収束状態が検出されたときに悪路走行が終了し
たとの判定が行なわれる。まず、ステップB3におい
て、リーン運転が128サイクルの間行なわれる。すな
わち、悪路走行判定手段202により車両が悪路走行状
態にあると判定された場合には、悪路用希薄空燃比運転
手段204により、検査空燃比より希薄側の悪路用希薄
空燃比での運転が行なわれるようになっている。
【0120】これにより、希薄限界運転に至らないまで
も、所望の希薄側運転を行なわれ、燃費の向上とNOx
の削減がはかられる。ここで、悪路走行時は、燃焼状態
を改善すべき状態ではないため、リーン運転を行なって
も、不具合は生じない。なお、このようなリーン運転
は、燃料噴射制御にかかる補正係数KACとして、悪路
モードへの移行直前の値を採用して行なわれる。
【0121】次に、ステップB4が実行され、上述のよ
うな128サイクルの悪路用希薄空燃比運転が終了する
ごとに、回転変動収束状態検出手段206による回転変
動収束の判定が行なわれる。すなわち、当該128サイ
クル中に閾値IACTH以下の変動データIAC(n)
を発生しない気筒が3つ以上あるかどうかの条件が判断
される。
【0122】条件を満たす場合には、悪路走行終了判定
手段205において、悪路が終了して回転変動が解消さ
れたものと判断される。そして、悪路の終了が検出され
ない場合は、悪路続行中であるため、「NO」ルートを
通じ、ステップB5が実行され、この後128×20サ
イクルの間、ステップB5から「NO」ルートを通じス
テップB3が実行されて、悪路用希薄空燃比運転手段2
04による運転が続行される。
【0123】また、128×20サイクルが経過したの
ちには、ステップB5から「YES」ルートを通じステ
ップB1が実行され、検査空燃比運転手段203による
運転が再度行なわれて、悪路走行の確認が行なわれる。
ところで、図5の回転変動状態判定ロジックAにおいて
回転変動制御モードロジックCを実行するモードが選択
されると、図7のフローチャートに沿う動作が行なわれ
る。
【0124】まず、ステップC1において、128サイ
クル中において変動データIAC(n)が閾値IACT
H以下である状態を3回以上発生させているかどうかが
判断される。発生させている場合には、所定以上に燃焼
変動値が悪化している場合であるとして、「YES」ル
ートを通じステップC2が実行され、燃料噴射量を増加
させるリッチ化の補正が次式による補正係数KAC(j)の算
出により行なわれるようになっている。
【0125】KAC(j) = KAC(j) + ZFCPAL ・{ VAC
(j) − VAC0 } これは、図9に示す補正特性のうちリッチ側右上特性の
補正値を算出するもので、 ZFCPAL は特性の傾きを示す
係数である。そして、右辺のKAC(j)は、番号j気筒につ
いて、前の演算サイクル(n-1) において算出された補正
係数を示しており、上式により更新が行なわれる。
【0126】一方、変動データIAC(n)を閾値IA
CTH以下にする場合が128サイクル中1回未満であ
る場合には、ステップC1およびステップC3において
「NO」ルートをとる。この場合には、ステップC5が
実行され、さらにリーン化を行ないうる余裕をそなえた
場合であるとして、燃料噴射量を減少させるリーン化の
補正が、次式による補正係数KAC(j)の算出により行なわ
れるようになっている。
【0127】KAC(j) = KAC(j) - ZFCPAL ・{ VAC
(j) − VAC0 } これは、図9に示すリーン側左下特性の補正値を算出す
るもので、 ZFCPAL は特性の傾きを示す係数である。さ
らに、変動データIAC(n)を閾値IACTH以下と
する場合が128サイクル中1〜2回である場合には、
適正な運転状態であるとして、燃料噴射量を前の状態に
保つため、補正係数KAC(j)の変更を行なわないようにな
っている(ステップC4参照)。
【0128】これは、図9に示すリーン側左下特性とリ
ッチ側右上特性との間の平坦な特性に対応するもので、
補正に関しての不感帯を構成している。ところで、変動
許容値VAC0は、COV(Coefficient of variance) の目
標値(10 %程度) に対応した値であり、変動許容値VAC0
の両側におけるΔVAC の範囲における燃料補正をしない
ようにすることにより、回転変動を有限期間(128サイク
ル) で評価できるとともに、閾値以下のもので演算して
いることに起因した誤差によるリミットサイクルが防止
される。
【0129】そして、上述の補正係数KAC(j)は、ステッ
プC6において、上下限値でクリップされる。すなわ
ち、補正係数KAC(j)は、0.85<KAC(j)<1.
1の範囲内に収まるように設定され、急速な補正を行な
わず、徐々に補正を行なうことにより、ショック等の発
生が防止され、安定した制御が行なわれる。
【0130】このようにして、希薄燃焼限界空燃比近傍
での運転中の内燃機関の空燃比を燃焼良好の場合にリー
ン側へ燃焼悪化の場合にリッチ側へとそれぞれ微小に変
化させる制御が行なわれるようになっている。このよう
に動作が行なわれるが、本実施例によれば、次のような
効果ないし利点がある。
【0131】(1)インジェクタや吸気管形状、バルブ
タイミングのずれによる空燃比のばらつきに起因した燃
焼変動限界の気筒管差を確実に補正できるようになり、
各気筒のそれぞれをすべて燃焼限界に設定できるように
なる。 (2)前項により、NOxの排出を最小にすることがで
きるようになる。 (3)各気筒ごとの回転変動の検出および制御を、1個
のクランク角センサで行なえるようになり、低コストで
より確実なリーンバーン制御を行なえるようになる。
【0132】(4)悪路対策用にセンサを追加する必要
がなく、コストを上昇させないでリーン運転が可能にな
る。 (5)悪路走行時においてもリーン運転を行なうことが
できるようになり、燃費を低減することができるととも
に、NOxの排出量を削減することができる。
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
【0149】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項記載の希
薄燃焼内燃機関を搭載した車両における悪路判定方法に
よれば、多気筒内燃機関に駆動される回転軸の角加速度
を各気筒の特定行程ごとに検出し、該検出結果に基づく
上記内燃機関の理論空燃比より希薄側空燃比での運転で
生じる燃焼悪化にともなった回転変動に相関する変動デ
ータを各気筒ごとに算出し、各気筒ごとの上記変動デー
タに基づき気筒ごとに燃焼良否を判定して、希薄燃焼限
界空燃比近傍での運転中の内燃機関の空燃比を燃焼良好
の場合にリーン側へ燃焼悪化の場合にリッチ側へとそれ
ぞれ微小に変化させるための空燃比変更データを気筒ご
とに検出し、該検出結果に基づき該内燃機関を希薄燃焼
限界近傍で運転するものにおいて、上記内燃機関の希薄
燃焼限界空燃比近傍での運転中に複数の気筒において燃
焼悪化を示す上記変動データが検出されるとともに、上
記内燃機関の希薄燃焼限界空燃比近傍での運転中に少な
くとも一つの気筒における空燃比変更データが継続して
空燃比のリッチ側への変更を促すものであることを最少
条件として、上記内燃機関を搭載した車両が悪路走行中
であると判定又は推定するという簡素な構成で、次のよ
うな効果ないし利点が得られる。
【0150】悪路走行判定を確実に行なえるようにな
り、燃焼悪化による回転変動と、悪路走行による回転変
動とを確実に識別できるようになる。 悪路対策用にセンサを追加する必要がなく、コストを
上昇させないでリーン運転が可能になる。 悪路走行時においてもリーン運転が行なわれ、燃費を
低減することができるとともに、NOxの排出量を削減
することができる。
【0151】インジェクタや吸気管形状、バルブタイ
ミングのずれによる空燃比のばらつきに起因した燃焼変
動限界の気筒管差を確実に補正できるようになり、各気
筒のそれぞれをすべて燃焼限界に設定できるようにな
る。 前項により、NOxの排出を最小にすることができる
ようになる。 各気筒ごとの回転変動の検出および制御を、1個のク
ランク角センサで行なえるようになり、低コストでより
確実なリーンバーン制御を行なえるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実施
するための燃焼状態制御装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実施
するための燃焼状態制御装置を有するエンジンシステム
の全体構成図である。
【図3】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実施
するための燃焼状態制御装置を有するエンジンシステム
の制御系を示すハードブロック図である。
【図4】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実施
するための燃焼状態制御装置の動作を説明するためのフ
ローチャートである。
【図5】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実施
するための燃焼状態制御装置の動作を説明するためのフ
ローチャートである。
【図6】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実施
するための燃焼状態制御装置の動作を説明するためのフ
ローチャートである。
【図7】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実施
するための燃焼状態制御装置の動作を説明するためのフ
ローチャートである。
【図8】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実施
するための燃焼状態制御装置の動作を説明するための波
形図である。
【図9】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実施
するための燃焼状態制御装置の動作を説明するための補
正特性マップである。
【図10】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実
施するための燃焼状態制御装置の動作を説明するための
摸式的グラフである。
【図11】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実
施するための燃焼状態制御装置の動作を説明するための
摸式的グラフである。
【図12】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実
施するための燃焼状態制御装置の動作を説明するための
正規化特性マップである。
【図13】本発明の一実施例としての悪路判定方法を実
施するための燃焼状態制御装置における回転変動検出部
を示す摸式的斜視図である。
【図14】リーンバーンエンジンにおける燃焼変動特性
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン(内燃機関) 2 燃焼室 3 吸気通路 3a サージタンク 4 排気通路 5 吸気弁 6 排気弁 7 エアクリーナ 8 スロットル弁 9 電磁式燃料噴射弁(インジェクタ) 9a インジェクタソレノイド 10 三元触媒 11A 第1バイパス通路 11B 第2バイパス通路 12 ステッパモータ弁(STM弁) 12a 弁体 12b ステッパモータ(ISC用アクチュエータ) 12c バネ 13 ファーストアイドルエアバルブ 14 エアバイパス弁 14a 弁体 14b ダイアフラム式アクチュエータ 15 燃料圧調節器 16 点火プラグ 17 エアフローセンサ(吸気量センサ) 18 吸気温センサ 19 大気圧センサ 20 スロットルポジションセンサ 21 アイドルスイッチ 22 O2 センサ 23 水温センサ 24 クランク角センサ(エンジン回転数センサ) 25 空燃比制御手段としてのECU 26 CPU(演算装置) 28 入力インタフェース 29 アナログ/ディジタルコンバータ 30 車速センサ 35 入力インタフェース 36 ROM(記憶手段) 37 RAM 39 噴射ドライバ 40 点火ドライバ 41 パワートランジスタ 42 点火コイル 43 ディストリビュータ 44 ISCドライバ 45 バイパスエア用ドライバ 46 EGRドライバ 80 排気再循環通路(EGR通路) 81 EGR弁 81a 弁体 81b ダイアフラム式アクチュエータ 82 パイロット通路 83 ERG弁制御用電磁弁 83a ソレノイド 101 回転変動検出手段 102 変動データ算出手段 104 空燃比変更データ検出手段 107 角加速度検出手段 141 パイロット通路 142 エアバイパス弁制御用電磁弁 142a ソレノイド 202 悪路走行判定手段 203 検査空燃比運転手段 204 悪路用希薄空燃比運転手段 205 悪路走行終了判定手段 206 回転変動収束状態検出手段 221 回転部材 221A 第1のベーン 221B 第2のベーン 221C 第3のベーン 222 検出部 230 気筒判別センサ 231 変速検出手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−1356(JP,A) 特開 平4−209950(JP,A) 特開 平1−113561(JP,A) 特開 平5−107155(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 45/00 314 F02D 45/00 301 F02D 45/00 362

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多気筒内燃機関に駆動される回転軸の角
    加速度を各気筒の特定行程ごとに検出し、 該検出結果に基づく上記内燃機関の理論空燃比より希薄
    側空燃比での運転で生じる燃焼悪化にともなった回転変
    動に相関する変動データを各気筒ごとに算出し、 各気筒ごとの上記変動データに基づき気筒ごとに燃焼良
    否を判定して、 希薄燃焼限界空燃比近傍での運転中の内燃機関の空燃比
    を燃焼良好の場合に希薄側へ燃焼悪化の場合に過濃側へ
    とそれぞれ微小に変化させるための空燃比変更データを
    気筒ごとに検出し、 該検出結果に基づき該内燃機関を希薄燃焼限界近傍で運
    転するものにおいて、 上記内燃機関の希薄燃焼限界空燃比近傍での運転中に複
    数の気筒において燃焼悪化を示す上記変動データが検出
    されるとともに、 上記内燃機関の希薄燃焼限界空燃比近傍での運転中に少
    なくとも一つの気筒における空燃比変更データが継続し
    て空燃比の過濃側への変更を促すものであることを最少
    条件として、 上記内燃機関を搭載した車両が悪路走行中であると判定
    又は推定する ことを特徴とする、希薄燃焼内燃機関を搭
    載した車両における悪路判定方法。
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PCT/JP1995/000614 WO1995027130A1 (fr) 1994-03-31 1995-03-30 Procede d'evaluation de terrain difficile pour vehicule a moteur a combustion interne
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