JPH0718036A - シリコーングラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

シリコーングラフト共重合体の製造方法

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JPH0718036A
JPH0718036A JP18217793A JP18217793A JPH0718036A JP H0718036 A JPH0718036 A JP H0718036A JP 18217793 A JP18217793 A JP 18217793A JP 18217793 A JP18217793 A JP 18217793A JP H0718036 A JPH0718036 A JP H0718036A
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JP
Japan
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polymer
silicone
iodine
graft copolymer
graft
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JP18217793A
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English (en)
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Masao Sakamoto
雅夫 坂本
Shiro Kusumoto
士朗 楠本
Akira Nishikawa
昭 西川
Hozumi Sato
穂積 佐藤
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヨウ素含有シリコーン重合体に対して、ラジ
カル重合開始剤の存在下で、ラジカル重合可能な単量体
をグラフト共重合するシリコーングラフト共重合体の製
造方法。 【効果】 極めて高い収率でシリコーングラフト共重合
体が生成し、得られるグラフト共重合体をゴム材料とし
て用いると、優れた耐熱性、耐寒性、耐油性および強度
特性を有しており、また相溶化剤として用いるとき、少
量の使用でブレンド系の相溶性を大幅に向上させ、かつ
力学的特性を効果的に発揮させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なシリコーングラ
フト共重合体の製造方法に関し、さらに詳細には耐熱
性、耐寒性、耐油性および強度特性に優れた、安価なシ
リコーングラフト共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シリコーンは、耐寒性と電気絶縁性に極
めて優れているほか、耐熱性、耐候性、耐湿性、耐薬品
性、耐放射線性、難燃性なども良好で、その特性を生か
してゴム材料などに広く用いられている。しかしなが
ら、従来からゴム材料として用いられているシリコーン
は、有機ゴム材料に較べて常態物性が低く、使用範囲が
限定されている。そこで、シリコーンゴムに有機ゴムを
ブレンドすることにより、上記の問題の解決を図ること
が考えられるが、シリコーンゴムは有機ゴムとの相溶性
が著しく低く、満足な物性を得ることができない。ま
た、シランカップリング剤などの相溶化剤を用いて、両
成分間の界面張力を低下させる試みが行われているが、
相溶化剤の分子量が小さいため、充分な可溶化力が得ら
れず、常態物性の特性を効果的に上げるには至っていな
い。
【0003】一方、互いに非相溶な重合体どうしにミク
ロ相分離構造を持たせる方法の一つとして、重合体間に
化学結合を形成させてグラフト共重合体あるいはブロッ
ク共重合体とする方法が考えられる。このことから、シ
リコーングラフト共重合体の製造方法について、いくつ
かの提唱がなされている。例えば、米国特許第3,89
8,300号明細書には、ビニルシロキサンまたはアリ
ルシロキサンを含有するシリコーン重合体のエマルジョ
ン中で、ビニル単量体を重合させることにより、グラフ
ト共重合体が形成されることが報告されている。しかし
ながら、ゲル生成量から換算される見掛けのグラフト
率、すなわちシリコーン重合体に対するグラフトに関与
したビニル単量体の割合は多くとも約76%であり、さ
らに同様換算による見掛けのグラフト効率、すなわち重
合したビニル単量体のうち、グラフトに関与したビニル
単量体の割合は約16%と低いものしか得られていな
い。
【0004】また、米国特許第4,071,577号明
細書には、メルカプトシロキサンを含有するシリコーン
重合体を用いて、グラフト共重合体が形成されることが
報告されている。しかしながら、具体的なグラフト効率
などについての記載はなく、特開昭60−252613
号公報には、追試の結果としてグラフト率82%、グラ
フト効率20.5%と記載されており、充分なグラフト
共重合体とはいい難い。さらに、特開昭60−2526
13号公報には、メタクリロキシプロピルシロキサンを
含有するシリコーン重合体を用いて形成された熱可塑性
樹脂を意図したグラフト共重合体により、約90%のグ
ラフト率、グラフト効率が得られることが記載されてい
る。しかしながら、この方法では、シリコーン重合体の
ビニル基に結合した枝ポリマー末端は、さらに別のシリ
コーン重合体のビニル基と結合して架橋構造を形成しや
すく、加工性が著しく低下するなど、ゴム材料として用
いるには好ましくない。
【0005】また、特開平2−127458号公報に
も、シリコーン重合体中にエチレン性不飽和基を含む基
として、メタクリロキシプロピル基を含有して形成され
るグラフト共重合体が記載されている。しかしながら、
共重合体の架橋構造あるいは分子量については記載はな
く、ケイ素原子に結合する有機基のうち、メタクリロキ
シプロピル基が該特許請求の範囲の0.02〜10%内
であっても、架橋構造を形成しやすく、ゴム材料として
用いるには充分とはいえなかった。
【0006】相溶化剤として用い、充分な可溶化力を得
るためには、同一分子内にブレンド系の各成分に類似し
た構造を有し、かつ各成分相へ相溶化剤分子が充分に拡
散できることが必要となる。従って、得られる共重合体
のグラフト効率が小さいと、ブレンド系各成分間の界面
張力を低下させることができず、相溶性は著しく悪化す
る。また、グラフト共重合体の架橋密度が高いと、相溶
化剤分子末端を充分に拡散することができない。従っ
て、米国特許第3,898,300号明細書および米国
特許第4,071,577号明細書記載のグラフト効率
の低いグラフト共重合体や、特開昭60−252613
号公報記載の架橋密度の高い構造を形成しやすいグラフ
ト共重合体は、いずれも相溶化剤として充分とはいえな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、広範囲
なシリコーン重合体に適用可能でしかも安価な原料を用
いて、極めて高収率で、耐熱性、耐寒性、耐油性および
強度特性に優れたシリコーングラフト共重合体を得るべ
く、鋭意検討を重ねた結果、ヨウ素含有シリコーン重合
体にラジカル重合可能な単量体をグラフト共重合させる
と、極めて高い収率でシリコーングラフト共重合体が生
成し、得られるグラフト共重合体をゴム材料として用い
ると、優れた耐熱性、耐寒性、耐油性および強度特性を
有しており、また相溶化剤として用いるとき、少量の使
用でブレンド系の相溶性を大幅に向上させ、かつ力学的
特性を効果的に発揮させることを見出し、本発明に到達
したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ヨウ素含有シ
リコーン重合体に対して、ラジカル重合開始剤の存在下
で、ラジカル重合可能な単量体をグラフト共重合するこ
とを特徴とするシリコーングラフト共重合体の製造方法
を提供するものである。
【0009】本発明の製造方法の具体例としては、例え
ば分子内にビニル構造を有するシリコーン重合体にヨ
ウ素化合物を反応させて得られるヨウ素含有シリコーン
重合体(以下「ヨウ素含有シリコーン重合体」という
ことがある)に、ラジカル重合開始剤の存在下で、ラジ
カル重合可能な単量体をグラフト共重合する方法(以下
「製造方法」ということがある)、あるいは分子内
に炭素に直接結合した塩素原子および/または臭素原子
を少なくとも1種有するシリコーン重合体にヨウ素化合
物を反応させて得られるヨウ素含有シリコーン重合体
(以下「ヨウ素含有シリコーン重合体」といい、ヨウ
素含有シリコーン重合体〜を総称して「ヨウ素含有
シリコーン重合体」ということがある)に、ラジカル重
合開始剤の存在下で、ラジカル重合可能な単量体をグラ
フト共重合する方法(以下「製造方法」といい、製造
方法〜を総称して「本発明の製造方法」ということ
がある)などが挙げられる。
【0010】上記シリコーン重合体自体を形成する単量
体の好ましい例としては、以下のものを挙げることがで
きる。 側鎖にアルキル基、フェニル基、フッ化アルキル基、
アルキルシロキシ基などを有する、線状重合体の骨格成
分となる単量体、 側鎖にビニル基、ビニルアルキル基、(メタ)アクリ
ロキシアルキル基、スチリルアルキル基、ビニル(アル
キル)シロキシ基などの、ビニル構造を有する線状重合
体の骨格成分となる単量体、 側鎖に塩化アルキル基、臭化アルキル基、塩化アルキ
ルシロキシ基などを有する、線状重合体の骨格成分とな
る単量体、 側鎖に上記、またはに記載したいずれかの基を
含む末端基成分となるなる単量体、 側鎖に上記、またはに記載したいずれかの基を
含む、または全く含まない、網状重合体の骨格成分とな
る単量体。
【0011】これらの単量体のうち、単量体の具体例
としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタ
メチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペン
タシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、
トリメチルトリフェニルシクロトリシロキサン、テトラ
メチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、ヘキサ
メチルジフェニルシクロテトラシロキサン、ジメチルジ
メトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジ
エトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、オクタデ
シルメチルジメトキシシラン、テトラメチルジメトキシ
ジシロキサン、テトラメチルジエトキシジシロキサン、
テトラメチルジクロロジシロキサン、ヘキサメチルジメ
トキシトリシロキサン、ヘキサメチルジクロロトリシロ
キサン、オクタメチルジメトキシテトラシロキサン、オ
クタメチルジクロロテトラシラン、テトラフルオロエチ
ルメチルジクロロシラン、トリフルオロプロピルメチル
ジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジクロ
ロシラン、トリデカフルオロオクチルメチルジメトキシ
シランなどが挙げられる。
【0012】また、単量体の具体例としては、トリメ
チルトリビニルシクロトリシロキサン、テトラメチルテ
トラビニルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペン
タビニルシクロペンタシロキサン、ヘプタメチルビニル
シクロテトラシロキサン、ビニルメチルジメトキシシラ
ン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルフェニルジメ
トキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、ビニル
エチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロ
ピルメチルジクロロシラン、スチリルエチルメチルジメ
トキシシラン、ビニルトリメチルジメトキシジシロキサ
ン、ジビニルジメチルジクロロジシロキサン、ビニルペ
ンタメチルジメトキシトリシロキサン、ビニルトリフル
オロプロピルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0013】さらに、単量体の具体例としては、トリ
クロロメチルトリメチルシクロトリシロキサン、テトラ
クロロメチルテトラメチルシクロテトラシロキサン、ク
ロロメチルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、クロ
ロメチルメチルジメトキシシラン、ブロモメチルメチル
ジクロロシラン、クロロエチルメチルジクロロシラン、
ブロモメチルメチルジメトキシシラン、クロロプロピル
メチルジメトキシシラン、ジクロロメチルジメトキシシ
ラン、ジブロモメチルジメチルジクロロジシロキサン、
クロロプロピルトリフルオロプロピルジメトキシシラン
などが挙げられる。
【0014】さらに、単量体の具体例としては、ヘキ
サメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、
デカメチルテトラシロキサン、トリメチルメトキシシラ
ン、トリメチルクロロシラン、トリエチルメトキシシラ
ン、フェニルジメチルクロロシラン、ビニルジメチルメ
トキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルジメチル
クロロシラン、スチリルエチルジメチルメトキシシラ
ン、クロロプロピルジメチルメトキシシラン、ジビニル
メチルメトキシシランなどが挙げられる。
【0015】さらに、単量体の具体例としては、メチ
ルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フ
ェニルトリクロロシラン、テトラメトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトラフェノキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、クロロメチルトリクロロシラン、
(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ス
チリルエチルトリクロロシランなどが挙げられる。
【0016】これらの単量体は、とおよび/または
がシリコーン重合体の基本骨格として用いられ、お
よびはグラフト点を有する単量体であって、必須成分
であり、いずれか一方または両方を用いることができ
る。また、必要に応じて、あるいはの単量体を併用
することができる。上記単量体のうち、例えばビニル
シロキサンを含有する単量体を重合してなるシリコーン
重合体を用いた場合、米国特許第3,898,300号
明細書および特開昭60−252613号公報では、低
いグラフト率およびグラフト効率のシリコーングラフト
共重合体しか得られなかったが、本発明の製造方法に
より、極めて高いグラフト率およびグラフト効率のグラ
フト共重合体を得ることができる。
【0017】上記シリコーン重合体としては、好ましく
はジメチルシロキサン成分80〜99.999モル%、
およびビニルメチルシロキサン成分もしくはアリルメチ
ルシロキサン成分またはクロロプロピルメチルシロキサ
ン成分20〜0.001モル%を含有するシリコーンゴ
ムが挙げられる。これらのシリコーンゴムを用いること
により、得られるシリコーングラフト共重合体の耐熱
性、耐寒性、耐油性および強度特性を向上させることが
できる。
【0018】製造方法におけるシリコーン重合体のヨ
ウ素化は、ビニル基を導入したシリコーン重合体へのヨ
ウ素化合物の付加を、例えば一塩化ヨウ素を用いて室温
で容易に行うことができ、定量的に反応させることが可
能である。なお、ヨウ素化合物の付加は、三塩化ヨウ
素、ヨウ化水素の付加、ヨウ化カリウム/オルトリン酸
との反応などによっても行うことができる。
【0019】また、製造方法におけるシリコーン重合
体のヨウ素化は、シリコーン重合体をヨウ素化合物を用
いて置換反応させる下記のような方法によって行われ
る。例えば、クロロプロピルシロキサンを含有するシリ
コーン重合体に、ヨウ化ナトリウムを作用させて、塩素
−ヨウ素交換反応によりヨウ素化することができる。こ
のとき、ヨウ化ナトリウムの代わりに、ヨウ化カリウ
ム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化アルミニウムなどを使用
してもよいが、操作の容易性、副反応の抑制などを考慮
すると、ヨウ化ナトリウムを用いるのが好ましい。同様
に、臭素含有プロピルシロキサンを含有するシリコーン
重合体を用いて、臭素−ヨウ素交換反応によりヨウ素化
することもできる。
【0020】ヨウ素含量シリコーン重合体〜の結合
ヨウ素量は、好ましくは0.1〜30重量%、さらに好
ましくは1〜15重量%である。結合ヨウ素量が0.1
重量%未満では、グラフト率が低下し、マクロな相分離
が生じて強度が低下するなど、得られるグラフト共重合
体の特性が損なわれる。一方、結合ヨウ素量が30重量
%を超えると、枝ポリマーが過剰に結合し、幹ポリマー
であるシリコーン重合体の耐熱性が充分に発現しない。
【0021】なお、上記またはの単量体を重合して
なるシリコーン重合体のうち、ヨウ素化反応が定量的に
進行し難いものでは、グラフト共重合反応の際に、結合
ヨウ素量の少ないものが不溶化する場合もあるので、注
意を要する。また、本発明の製造方法は、結合エネルギ
ーの低い炭素−ヨウ素結合のラジカル開裂を利用した方
法であるため、ヨウ素含有シリコーン重合体中に未反応
ヨウ素原子が残存すると、グラフト共重合反応を阻害す
る恐れがある。これを改善するためには、還元剤を使用
して脱ヨウ素反応を行うか、あるいは加熱による昇華を
利用してヨウ素を除去することもできる。
【0022】本発明の製造方法に用いられるラジカル重
合開始剤としては、アセチルパーオキサイド、ベンゾイ
ルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類、
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパ
ーオキサイドなどのケトンパーオキサイド類、過酸化水
素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイド
ロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド
などのジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーア
セテート、t−ブチルパーピバレートなどのアルキルパ
ーエステル類、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス
バレロニトリルなどのアゾ化合物、過硫酸アンモニウ
ム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩などが挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤の使用量は、ラジカル重合
可能な単量体100重量部に対し、通常、0.01〜1
0重量部、好ましくは0.05〜5重量部程度である。
【0023】なお、これらのラジカル重合開始剤ととも
に、必要に応じて硫酸第1鉄、亜硫酸水素ナトリウム、
ピロ亜硫酸ナトリウムなどの無機還元剤、ナフテン酸コ
バルト、ジメチルアニリンなどの有機還元剤を用いるこ
ともできる。
【0024】本発明の製造方法において用いられるラジ
カル重合可能な単量体(以下「グラフト単量体」という
ことがある)は、上記ヨウ素含有シリコーン重合体にグ
ラフトされるものであり、必要に応じて種々の単量体を
使用することができる。
【0025】上記ラジカル重合可能な単量体の好ましい
例としては、次のものを挙げることができる。 (i)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)ア
クリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メ
タ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、
n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メ
タ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレー
ト、2−メチルペンチル(メタ)アクリレート、n−オ
クチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、
n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル
(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル、
【0026】(ii)2−メトキシエチル(メタ)アク
リレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、
2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレート、
2−(n−ブトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3
−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−エトキ
シプロピル(メタ)アクリレート、2−(n−プロポキ
シ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(n−ブトキ
シ)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アク
リル酸アルコキシ置換アルキルエステル、
【0027】(iii)2,2,2−トリフルオロエチ
ル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタ
フルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,
3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリ
レート、2,2−ジフルオロエチル(メタ)アクリレー
ト、2,2,3,3−テトラフルオロアクリレート、
2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロブチル(メ
タ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メ
タ)アクリレート、3,3,3−トリフルオロプロピル
(メタ)アクリレートなどのフッ素含有(メタ)アクリ
ル酸エステル、
【0028】(iv)アクリル酸、メタクリル酸、クロ
トン酸、2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸、ケイ皮酸などのカルボキシル基含有エチレン性
不飽和単量体、(v)アルキリデンノルボルネン、アル
ケニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、メチルシ
クロペンタジエン、およびそのダイマーなどの非共役ジ
エン類、(vi)ブタジエン、イソプレンなどの非共役
ジエン類、(vii)ジヒドロジシクロペンタジエニル
(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニ
ルオキシエチル(メタ)アクリレートなどのジヒドロジ
シクロペンタジエニル基含有(メタ)アクリル酸エステ
ル単量体、
【0029】(viii)ビニルベンジルクロリド、ビ
ニルベンジルブロミド、2−クロルエチルビニルエーテ
ル、2−クロルエチルアクリレート、ビニルクロルアセ
テート、ビニルクロルプロピオネート、アリルクロルア
セテート、アリルクロルプロピオネート、クロルメチル
ビニルケトン、2−クロルアセトキシメチル−5−ノル
ボルネンなどの活性ハロゲン含有エチレン性不飽和単量
体、(ix)アリルグリシジルエーテル、グリシジル
(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有エチレン性
不飽和単量体、(x)ビニル(メタ)アクリレート、ア
リル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ビ
ニル(アルキル)エステル、(xi)下記一般式
【0030】
【化1】
【0031】(式中、R1 は重合体オレフィン結合を有
する1価の有機基、R2 およびR3 は水素原子またはア
ルキル基、R4 はアルキル基、水素原子、水酸基または
ハロゲン原子以外の加水分解可能な基、pは0〜10、
qは0〜50、aは0〜2、bは1〜3の整数であり、
a+b=3である。)で表されるビニル基含有有機ケイ
素含有エチレン性不飽和単量体、
【0032】(xii)メチルビニルケトンのようなア
ルキルビニルケトン、(xiii)ビニルエチルエーテ
ル、アリルメチルエーテルなどのアルキルビニルおよび
アルキルアリルエーテル、(xiv)スチレン、α−メ
チルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの
ビニル芳香族化合物、(xv)アクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなどのビニルニトリル、(xvi)アク
リルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミドなどのビニルアミド、および
【0033】(xvii)塩化ビニル、塩化ビニリデ
ン、アルキルフマレート、ヘキサフルオロプロペン、ペ
ンタフルオロプロペン、トリフルオロエチレン、トリフ
ルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ビニ
ルフルオライド、パーフルオロ(メチルビニルエーテ
ル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、酢酸
ビニル、エチレン、プロピレンなどの不飽和単量体。
【0034】これらのラジカル重合可能な単量体は、目
的に応じて単独で、あるいは2種以上組み合わせて混合
物として使用することができる。上記ラジカル重合可能
な単量体の中で好ましいものは、アクリル酸、アクリル
酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステルであ
る。これらのラジカル重合可能な単量体を用いることに
より、得られるシリコーングラフト共重合体の耐熱性、
耐寒性、耐油性および強度特性を向上させることができ
る。
【0035】特に、本発明の製造方法によって得られる
シリコーングラフト共重合体を水性分散体として用いる
場合、該重合体の分散性を向上させようとするときは、
(iv)カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体が
好適に用いられ、単量体全量に対し、好ましくは0.5
〜15重量%の割合で配合される。また、架橋性官能基
を導入しようとする場合は、(iv)〜(xi)の単量
体が好適に用いられる。これらの(iv)〜(xi)の
単量体は、単量体全量に対し0.01〜10重量%の割
合で配合される。
【0036】本発明の製造方法におけるヨウ素含有シリ
コーン重合体とラジカル重合可能な単量体との組成比
は、5〜95重量%/95〜5重量%、好ましくは10
〜90重量%/90〜10重量%である。ヨウ素含有シ
リコーン重合体の割合が5重量%未満(ラジカル重合可
能な単量体の割合が95重量%より多い)では、シリコ
ーンゴムの特徴である耐熱性、耐寒性などが低下し、さ
らに相溶化剤として用いた場合には、相溶化力が低下す
る。一方、ヨウ素含有シリコーン重合体の割合が95重
量%より多い(ラジカル重合可能な単量体の割合が5重
量%未満)場合、耐油性、強度特性が低下し、さらに相
溶化剤として用いた場合には相溶化力が低下する。ヨウ
素含有シリコーン重合体とラジカル重合可能な単量体と
の組成比は、上記範囲内で任意に選択することができ、
目的とするシリコーングラフト共重合体の性質に応じて
適宜決めることができる。
【0037】本発明のシリコーングラフト共重合体は、
ヨウ素含有シリコーン重合体5〜95重量%に対し、ラ
ジカル重合可能な単量体95〜5重量%を、ラジカル重
合開始剤の存在下において、乳化重合、懸濁重合、溶液
重合、あるいは塊状重合を含む既知の重合方法によっ
て、回分式、半連続式または連続式で共重合させること
によって製造される。これらの重合方法のうち、本発明
のグラフト共重合体を得るのに好ましい重合方法は、乳
化重合、懸濁重合および溶液重合である。上記のグラフ
ト共重合反応は、一般に−20℃〜120℃、好ましく
は0〜120℃の温度範囲で行われる。
【0038】ヨウ素含有シリコーン重合体にグラフト単
量体をグラフト共重合することによって生成する本発明
のシリコーングラフト共重合体は、ヨウ素含有シリコー
ン重合体からの活性ラジカルによるヨウ素引き抜き反応
と、生成したシリコーン重合体ラジカルを開始剤とする
グラフト単量体の連鎖重合により、該単量体のラジカル
重合体が実質的にシリコーン重合体へグラフトしたもの
である。グラフト共重合によって得られる本発明のグラ
フト共重合体は、溶液重合法によるものであれば生成物
をそのまま重合体溶液として使用することができるし、
脱溶や非溶剤添加により回収することも可能である。ま
た、乳化重合法によるものであれば、生成物をそのまま
水性分散体として使用することができるし、塩化カルシ
ウムなどの金属塩を添加して、あるいはエタノール、メ
タノールなどの非溶剤を添加するような通常の凝固法に
よって回収することもできる。
【0039】なお、本発明の製造方法では、生成したシ
リコーングラフト共重合体中に、未反応のヨウ素原子が
残存すると、遊離ヨウ素による着色、腐蝕の恐れがあ
る。これを改善するためには、ナトリウム、カリウム、
銀、あるいは銅などの1価の金属の弱酸塩類を使用して
脱ヨウ素反応を行うか、あるいはイソペンタンのような
連鎖移動剤を添加して紫外線照射するなどの水素置換反
応を行うことができる。
【0040】グラフト共重合体の成長末端は、グラフト
単量体の連鎖重合およびヨウ素の着脱を繰り返しながら
成長するため、グラフト単量体および/またはシリコー
ン重合体のビニル基と反応する可能性がある。しかしな
がら、シリコーン重合体のヨウ素付加した基に対しては
ヨウ素の連鎖移動が行われるのみであり、成長末端どう
しの再結合停止による架橋構造以外は生じ難く、また炭
素−ヨウ素結合エネルギーが低いため、成長末端ラジカ
ルの炭素−ヨウ素結合への連鎖移動が優先的に起こり、
その結果、再結合停止がほとんど起こらず、架橋構造は
極めて生じ難い。従って、例えばシリコーン重合体のビ
ニル基に(メタ)アクリロキシ基のような重合活性の高
い基を用いた場合でも、この方法を用いれば架橋構造の
生じ難いグラフト共重合体を得ることができる。ただ
し、シリコーン重合体の未反応のビニル基は、加硫時に
架橋基として利用できるため、必ずしも全ての基をヨウ
素化する必要はない。
【0041】本発明のシリコーングラフト共重合体の形
状は特に限定されるものではなく、その用途に応じて固
形状、液状として、あるいは水へ再分散させた水性分散
体または溶剤に再溶解させた溶液として用いることがで
きる。本発明の製造方法におけるシリコーングラフト共
重合体の水性分散液の製造は、有機溶媒中にヨウ素含有
シリコーン重合体5〜95重量%に、ラジカル重合可能
な単量体95〜5重量%を、ラジカル重合開始剤の存在
下に、グラフト共重合してシリコーングラフト共重合体
の有機溶媒溶液を調製し、これを水に分散し、必要に応
じて有機溶媒を留去させることにより行うことができ
る。
【0042】上記製造は、より好ましくは有機溶媒中に
おいて、ジメチルシロキサン成分80〜99.999モ
%、およびビニルメチルシロキサン成分もしくはアリル
メチルシロキサン成分20〜0.001モル%からなる
シリコーン重合体に、ヨウ素化合物を付加させて得られ
るヨウ素含有シリコーン重合体、あるいはジメチルシロ
キサン成分80〜99.999モル%およびクロロプロ
ピルメチルシロキサン成分20〜0.001モル%から
なるシリコーン重合体に、ヨウ素化合物を用いて置換反
応させて得られるヨウ素含有シリコーン重合体5〜95
重量%に、ラジカル重合開始剤の存在下、ラジカル重合
可能な単量体混合物95〜5重量%をグラフト共重合さ
せることにより、シリコーングラフト共重合体を調製す
ることによって得られる。
【0043】本発明のシリコーングラフト共重合体は、
必要に応じて架橋剤、架橋促進剤、補強剤、充填剤、可
塑剤、軟化剤、老化防止剤、安定剤、発泡剤、顔料、顔
料分散剤などの通常の配合剤を適宜配合して使用するこ
とができる。以上のようにして製造した本発明のシリコ
ーングラフト共重合体は、ゴム材料として使用する場
合、耐熱性、耐油性、耐寒性、機械的強度に優れた特性
を有するので、自動車の燃料系ホースをはじめとして、
燃料油、作動油、潤滑油などに接触する各種ホース類、
ダイヤフラム類、ガスケット、O−リング、オイルシー
ルなどの各種シールとして使用することができる。ま
た、製鉄用、紡績用、印刷用、製紙用、染色用などの耐
油性、耐溶剤性を必要とする各種ロールあるいは伝動ベ
ルト、コンベアベルトなどとしても使用することもでき
る。
【0044】また、本発明のシリコーングラフト共重合
体は、単味での使用ばかりでなく、有機系重合体とシリ
コーン系重合体の複合化物を得る際の相溶化剤として優
れた働きを示す。具体的には、アクリルゴム、アクリロ
ニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴ
ム、エチレン−アクリレートゴム、クロロプレンゴム、
ブタジエンゴム、イソプレンゴム、あるいはエチレン−
プロピレンゴムと、ポリオルガノシロキサンとを複合化
して利用する際に、本発明のシリコーングラフト共重合
体を添加することにより、得られる複合化物の機械的強
度、耐油性などを改良することができる。
【0045】同様に、有機系重合体として、塩化ビニル
系樹脂、ナイロン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂、
あるいはフェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性
樹脂と、ポリオルガノシロキサンとを複合化するに際
し、本発明のシリコーングラフト共重合体を添加する
と、得られる樹脂組成物の機械的強度が改善され、さら
には本発明のシリコーングラフト共重合体のみを、これ
らの樹脂に添加することによっても、優れた耐熱性、機
械的強度を示す樹脂組成物を得ることもできる。
【0046】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例中の部および%は、特に断ら
ない限り重量部および重量%である。また、実施例中、
各種の測定項目は、下記に従った。
【0047】グラフト率およびグラフト効率 得られたシリコーングラフト共重合体2gにジメチルホ
ルムアミド(DMF)200gを加え、還流温度で2時
間攪拌を続け、DMF可溶部を抽出した。次いで、この
可溶部をろ別し、ろ滓を80℃で真空乾燥した。得られ
たポリマーをPgとし、次式によりグラフト率およびグ
ラフト効率を求めた。 グラフト率(%)=〔(P/2)×(全ポリマー生成量
g/ヨウ素含有シリコーン重合体量g)−1〕×100 グラフト効率(%)=グラフト率×〔ヨウ素含有シリコ
ーン重合体量g/(全ポリマー生成量g−ヨウ素含有シ
リコーン重合体量g)〕
【0048】ロール巻きつき時間 ゴム組成物の作製に先立ち、シリコーングラフト共重合
体の相溶化剤としての性能を、ロール巻きつき時間で評
価した。すなわち、6インチロールを用い、表1〜2記
載のゴムおよびシリコーングラフト共重合体を投入した
のち、均一なシートが巻きつくまでの時間を評価した。常態物性、老化試験、低温衝撃脆化試験、耐油試験 常態物性、老化試験、低温衝撃脆化試験、耐油試験は、
JIS K6301に準拠し、以下の条件で実施した。 老化試験;ギヤーオーブンにて、175℃、70時間暴
露後の、引張強さおよび伸びを測定した。 耐油試験;JIS #3オイルにて、150℃、70時
間浸漬後の、体積変化率を測定した。
【0049】合成例1 内容積が2リットルのガラス製反応容器に、チッ素導入
口を付けて内部をチッ素置換したのち、重合体組成がジ
メチルシロキサン(DMS)成分97モル%およびビニ
ルメチルシロキサン(VMS)成分3モル%からなり、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)に
よる数平均分子量(Mn)が13.0万、示差熱分析に
よるガラス転移温度(Tg)が−125℃のシリコーン
重合体120gと、酢酸エチル1,000gを投入して
完全に溶解させたのち、一塩化ヨウ素8.0gを添加
し、室温で3時間攪拌して付加反応を完結させた。生成
物をエタノールに投入し、析出したポリマーを乾燥して
ヨウ素含有シリコーン重合体を得た。反応後のポリマー
は、反応前と同様に無色透明であった。赤外吸光分析の
結果、反応前のポリマーにはCH2 =CH−に基づく
1,640cm-1付近の吸収が見られたが、反応後には
消失し、さらにC−Clに基づく1,300cm-1付近
および700cm-1付近の吸収が新たに見られ、一塩化
ヨウ素の二重結合への付加が進行したことが確認でき
た。また、元素分析の結果、このポリマーのヨウ素含量
は4.9%であった。
【0050】合成例2 一塩化ヨウ素の添加量を5.4gにした以外は、合成例
1と同様にして、ヨウ素含有シリコーン重合体を得た。
反応後のポリマーも無色透明であった。赤外吸光分析の
結果は、CH2 =CH−に基づく1,640cm-1付近
の吸収が反応後に減少した以外は、合成例1と同様であ
り、元素分析の結果、このポリマーのヨウ素含量は3.
4%であった。 合成例3 重合体組成が、DMS成分93モル%およびVMS成分
7モル%からなり、Mnが12.5万、Tgが−12
4.5℃のシリコーン重合体120g、および一塩化ヨ
ウ素13.2gを用いた以外は、合成例1と同様にし
て、ヨウ素含有シリコーン重合体を得た。反応後のポリ
マーも、無色透明であった。赤外吸光分析の結果は、合
成例2と同様であり、元素分析の結果、このポリマーの
ヨウ素含量は7.7%であった。
【0051】合成例4 重合体組成が、DMS成分98モル%およびγ−メタク
リロキシプロピルメチルシロキサン(MPMS)成分2
モル%からなり、Mnが9.8万、Tgが−125℃の
シリコーン重合体120g、および一塩化ヨウ素12.
0gを用いた以外は、合成例1と同様にして、付加反応
を完結させた。生成物を約190mmHg、約35℃で
3時間減圧することにより、未反応のヨウ素を除去した
ところ、溶液は無色になった。その後、生成物をエタノ
ール中に投入し、析出したポリマーを乾燥してヨウ素含
有シリコーン重合体を得た。反応後のポリマーは、反応
前と同様に無色透明であった。赤外吸光分析の結果は、
合成例2と同様であった。また、元素分析の結果、ヨウ
素含量は1.7%であった。
【0052】合成例5 内容積が2リットルのガラス製反応容器に、チッ素導入
口を付けて内部をチッ素置換したのち、重合体組成がD
MS成分97モル%およびγ−クロロプロピルメチルシ
ロキサン(CPMS)成分3モル%からなり、Mnが1
2.0万、Tgが−123.5℃のシリコーン重合体1
20gと、酢酸エチル1,000gを投入して完全に溶
解させたのち、ヨウ化ナトリウム8.0gを添加し、還
流温度で24時間反応を続けた。反応終了後、生成物を
エタノールに投入し、析出したポリマーを乾燥してヨウ
素含有シリコーン重合体を得た。反応後のポリマーは、
反応前と同様に無色透明であった。赤外吸光分析の結
果、反応前のポリマーにはC−Clに基づく1,300
cm-1付近および700cm-1付近の吸収が見られた
が、反応後には消失し、さらにC−Iに基づく1,25
0cm-1付近の吸収が新たに見られ、塩素−ヨウ素交換
反応が行われていることが確認できた。また、元素分析
の結果、ヨウ素含量は、5.2%であった。
【0053】実施例1 内容積が2リットルのガラス製反応容器に、合成例1で
合成したヨウ素含有シリコーン重合体60gと酢酸エチ
ル900gを加え、完全に溶解させたのち、グラフト単
量体として、エチルアクリレート(EA)174gおよ
びビニルアクリレート(VA)1gを加え、60℃まで
昇温した。60℃に達した時点で、重合開始剤としてア
ゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1.75g添
加し、EAの重合転化率が80%に達するまで60℃で
約7時間重合反応を続けた。その後、重合停止剤とし
て、ハイドロキノン1.75gを添加し、シクロヘキサ
ン中に加えてポリマーを析出させた。析出したポリマー
を、70℃で乾燥することにより、シリコーングラフト
共重合体200gを得た。
【0054】得られたシリコーングラフト共重合体のう
ち、上記のグラフト率測定に使用した、抽出、乾燥後の
ポリマーの赤外吸収スペクトルを図1に示す。この赤外
吸収スペクトルは、1,730cm-1付近にエステルの
C=O結合、1,640cm-1付近にCH2 =CH結合
による特性吸収を示し、また1,000〜1,100c
-1領域にSi−O−Si結合、1,270cm-1付近
にSi−CH3 結合による特性吸収を示し、シリコーン
グラフト共重合体中に両結合が存在していることが確認
できた。得られたシリコーングラフト共重合体のGPC
分析の結果、Mn=17.5万、また上記に従って算出
したグラフト率およびグラフト効率は、各々208%、
および89%であった。
【0055】実施例2 ヨウ素含有シリコーン重合体を100g、EAおよびV
Aを各々124gおよび1gとし、AIBNおよびハイ
ドロキノンをいずれも1.25gとした以外は、実施例
1と同様にして、シリコーングラフト共重合体を合成し
た。得られたシリコーングラフト共重合体は、Mn=1
6万、またグラフト率およびグラフト効率はいずれも9
5%であった。 実施例3 合成例2で合成したヨウ素含有シリコーン重合体を用
い、グラフト単量体としてEAを125g用いた以外
は、実施例2と同様にして、シリコーングラフト共重合
体を合成した。得られたシリコーングラフト共重合体
は、Mn=16.5万、またグラフト率およびグラフト
効率はいずれも82%であった。
【0056】実施例4 合成例3で合成したヨウ素含有シリコーン重合体を用い
た以外は、実施例3と同様にして、シリコーングラフト
共重合体を合成した。得られたシリコーングラフト共重
合体は、Mn=15.2万、またグラフト率およびグラ
フト効率はいずれも90%であった。 実施例5 合成例4で合成したヨウ素含有シリコーン重合体を用い
た以外は、実施例3と同様にして、シリコーングラフト
共重合体を合成した。得られたシリコーングラフト共重
合体は、Mn=14.8万、またグラフト率およびグラ
フト効率はいずれも62%であった。
【0057】実施例6 合成例5で合成したヨウ素含有シリコーン重合体を用
い、グラフト単量体としてブチルアクリレート(BA)
125gを用いた以外は、実施例2と同様にして、シリ
コーングラフト共重合体を合成した。得られたシリコー
ングラフト共重合体は、Mn=16.3万、またグラフ
ト率およびグラフト効率はいずれも85%であった。
【0058】実施例7 内容積が2リットルのガラス製反応容器に、チッ素導入
口を付けて内部をチッ素置換したのち、合成例1で用い
たシリコーン重合体60gと酢酸エチル900gを加
え、完全に溶解させたのち、一塩化ヨウ素4.0gを添
加し、室温で3時間攪拌して付加反応を完結させた。次
いで、この溶液に、EAを174g、およびVAを1g
加え、60℃まで昇温し、所定温度に達した時点で重合
開始剤としてAIBNを1.75g添加し、EAの重合
転化率が80%に達するまで60℃で約7時間重合反応
を続けた。その後、重合停止剤として、ハイドロキノン
1.75gを添加し、シクロヘキサン中に加えてポリマ
ーを析出させた。析出したポリマーを、70℃で乾燥す
ることにより、シリコーングラフト共重合体200gを
得た。得られたシリコーングラフト共重合体は、Mn=
17.2万、またグラフト率およびグラフト効率は、各
々205%、および88%であった。
【0059】比較例1 合成例1のシリコーン重合体をヨウ素付加反応を行わず
に100gを用いた以外は、実施例2と同様にしてシリ
コーングラフト共重合体を合成した。得られたポリマー
は、Mn=13.5万、またグラフト率およびグラフト
効率はいずれも14%であった。 比較例2 合成例4のシリコーン重合体をヨウ素付加反応を行わず
に100gを用い、グラフト単量体としてEAを125
g用いた以外は、実施例2と同様にしてシリコーングラ
フト共重合体を合成した。得られた共重合体は、重合転
化率が21%を超えた時点で急速に不溶化したため、G
PC測定ならびにグラフト率およびグラフト効率の測定
は行わなかった。
【0060】実施例8〜11 合成例1および2で作製したシリコーングラフト共重合
体を用い、表1に示す配合処方に従ってインターナルミ
キサーにより、ゴム組成物を作製した。次いで、このゴ
ム組成物を、170℃×10分、プレス加硫したのち、
175℃×4時間、オーブン加硫し、架橋ゴムシートを
得て、各種物性試験に供した。なお、ゴム組成物の作製
に先立って、相溶化剤としての評価を行った。
【0061】比較例3〜5 アクリルゴムおよびシリコーンゴムを、表1に示すブレ
ンド比でロール上で混合し、実施例8〜11と同様の方
法で相溶性の評価を行った。結果を表2に示す。 比較例6 比較例1で作製したシリコーングラフト共重合体を用い
る以外は、実施例8と同様にしてゴム組成物を作製し、
加硫したが、加硫時に発泡し、物性の評価ができなかっ
た。結果を表2に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】*1)日本合成ゴム(株)製、AR103 *2)重合体組成;DMS/VMS(モル比)=99/
1 *3)実施例2で作製したシリコーングラフト共重合体 *4)実施例1で作製したシリコーングラフト共重合体 *5)比較例1で作製したシリコーングラフト共重合体
【0065】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、ヨウ素含有
シリコーン重合体に、ラジカル重合可能な単量体をグラ
フト共重合させることにより、極めて高い収率で、強度
特性、耐熱性、耐油性および耐寒性に優れたシリコーン
グラフト共重合体を製造することができる。さらに、本
発明の製造方法によって得られるシリコーングラフト共
重合体は、単体として優れた特性を有するのみならず、
相溶化剤としても極めて優れた性能を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られたシリコーングラフト共
重合体の赤外吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 穂積 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヨウ素含有シリコーン重合体に対して、
    ラジカル重合開始剤の存在下で、ラジカル重合可能な単
    量体をグラフト共重合することを特徴とするシリコーン
    グラフト共重合体の製造方法。
JP18217793A 1993-06-29 1993-06-29 シリコーングラフト共重合体の製造方法 Withdrawn JPH0718036A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005239771A (ja) * 2003-09-08 2005-09-08 Lintec Corp ポリシルセスキオキサングラフト重合体、その製造方法及び粘着剤

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