JPH0687935A - 含フッ素グラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

含フッ素グラフト共重合体の製造方法

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JPH0687935A
JPH0687935A JP23823292A JP23823292A JPH0687935A JP H0687935 A JPH0687935 A JP H0687935A JP 23823292 A JP23823292 A JP 23823292A JP 23823292 A JP23823292 A JP 23823292A JP H0687935 A JPH0687935 A JP H0687935A
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fluorine
polymer
iodine
copolymer
weight
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JP23823292A
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English (en)
Inventor
Akira Nishikawa
昭 西川
Masahito Mase
雅仁 間瀬
Hozumi Sato
穂積 佐藤
Koichi Nishiwaki
孝一 西脇
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明の要旨は、脱フッ化水素反応により含
フッ素重合体に二重結合を導入したのち、ヨウ素化合物
を反応させて得るヨウ素含有含フッ素重合体、あるいは
分子内に炭素に直接結合した水酸基、塩素原子および臭
素原子からなる群から選ばれた少なくとも1種を有する
含フッ素重合体をヨウ素化合物を用いて反応させること
により得るヨウ素含有含フッ素重合体に対してラジカル
重合開始剤の存在下にラジカル重合可能な単量体をグラ
フト共重合することを特徴とする含フッ素グラフト共重
合体の製造方法にある。 【効果】 本発明の製造方法によれば、耐熱性、耐候
性、耐溶剤性、他種材料との密着性および強度特性に優
れた含フッ素グラフト共重合体が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な含フッ素グラフ
ト共重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは耐熱性、
耐候性、耐溶剤性、他種材料との密着性および強度特性
に優れた含フッ素グラフト共重合体の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】フッ素樹脂は、耐薬品性と耐溶剤性に極
めて優れているほか、耐熱性、耐候性、気体不透過性、
耐放射線性、電気絶縁性なども良好で、その特性を生か
して塗料や各種コーティング材として広く用いられてい
る。しかしながら、従来から塗料として用いられている
フッ素樹脂は高温での焼付けが必要であり、そのため建
設現場などでの常温塗装に用いることができず使用範囲
が限定されている。
【0003】そこで可溶性のフッ化ビニリデン系共重合
体を溶剤に溶解させて溶液状組成物を形成し、これを塗
布する方法が考えられるが、フッ化ビニリデン系重合体
だけでは塗膜の機械的強度に劣るため、一般にアクリル
系重合体を配合する塗料用組成物が知られている。例え
ば特公昭62−14574号公報には、フッ化ビニリデ
ン/ヘキサフルオロプロピレンまたはフッ化ビニリデン
/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン
からなる共重合体の如きフッ素ゴムとメチルメタクリレ
ートを主体とするアクリル系重合体とを低級ケトン類に
溶解したコーティング組成物が開示されている。しかし
ながら、これらのフッ素ゴムとアクリル系重合体との組
合せからなる組成物は、溶媒に対する十分な可溶性と重
合体相互の十分な相溶性を有していないため、耐候性と
耐久性が不十分であり、常温乾燥が可能な上塗り用の塗
料用組成物としては実用上使用されるに至っていない。
【0004】ゴム材料の分野においても、高い耐熱性と
耐油性を有するフッ化ビニリデン系フッ素ゴムが、自動
車用燃料ホース、シール材などに広く用いられつつあ
る。しかしながら、このフッ素ゴムは低温での柔軟性、
他種ゴムとの接着性に乏しく、加工性に劣り、またコス
ト的にも非常に高くなるなどの欠点を有している。これ
らの欠点を改良する手段として、同じく耐熱性と耐油性
に優れたアクリルゴムをブレンドすることが考えられる
が、ゴム相互の相溶性が悪く、強度低下などの問題があ
り、いまだ実用化されていないのが実状である。
【0005】一方、互いに非相溶な重合体どうしにミク
ロ相分離構造をもたせる方法の一つとして、重合体間に
化学結合を形成させてグラフト共重合体あるいはブロッ
ク共重合体とする方法が考えられる。このような方法
は、含フッ素グラフト共重合体の製造方法についてもい
くつか提唱されているが、いずれも次のような問題点を
有している。
【0006】すなわち、特開昭62−25104号公報
には、水酸基含有含フッ素重合体にイソシアネート基含
有不飽和化合物を付加させる方法が提示されている。し
かし、この方法では、含フッ素重合体が限定され、さら
にイソシアネート基含有不飽和化合物が特殊なものであ
り、しかも得られるポリマーがウレタン結合を有するた
めに光安定性に劣るという欠点を有している。
【0007】また、特開昭59−30847号公報に
は、フッ素オレフィンとペルオキシ基を有する不飽和化
合物とを共重合させたのち、得られた共重合体のペルオ
キシ基を開始剤として、グラフト共重合体を得る方法が
提示されている。しかし、この方法では、ペルオキシ基
を有する不飽和化合物が特殊なものであり、加えて該化
合物が炭化水素系化合物であるため、フッ素オレフィン
との共重合の際に該化合物へのラジカル連鎖移動によ
り、生成ポリマーの分子量を低下させるという問題があ
る。
【0008】特開平2−199108号公報には、フッ
化ビニリデンと炭化水素系マクロマーとの共重合体が提
示されているが、これも同様に炭化水素が存在するため
ポリマーの高分子量化は望めない。
【0009】加えて従来より、フッ素オレフィン系化合
物を含フッ素重合体にグラフトさせる方法として、放射
線照射により発生するポリマーラジカルを重合開始源と
して用いる方法があり、例えば、後藤、恒内、林編“高
分子改質技術2合成編”425頁、化学工業社(197
2)などに記載されているが、この方法も放射線を利用
する特殊な系であるため、未だ実用化されていないのが
実状である。
【0010】また、含フッ素ブロック共重合体の製造方
法については、特開昭53−3495号公報にヨウ素化
合物を用いた含フッ素セグメント化ポリマーの製法が提
示されているが、この方法においては、含フッ素セグメ
ントと炭化水素セグメントとのくり返し、即ちマルチブ
ロック化は、含フッ素セグメント重合時の炭化水素セグ
メントへの連鎖移動が大きいため困難であり、高分子量
化が図れず強度特性が低下する。
【0011】また、炭化水素セグメント(A)をハード
セグメントとし、含フッ素セグメント(B)をソフトセ
グメントとするいわゆるABA型トリブロック共重合体
の場合は、強度特性に優れるが高いガラス転移温度ある
いは高結晶性セグメントの存在により共重合体の残留歪
が大きくなるという問題が残る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、広範囲
な含フッ素重合体に適用可能でしかも安価な原料を用い
て、極めて高収率で、耐熱性、耐候性、耐溶剤性、他種
材料との密着および強度特性に優れた含フッ素グラフト
共重合体を得るべく鋭意検討を重ねた結果、ヨウ素含有
含フッ素重合体にラジカル重合可能な単量体をグラフト
重合させると、極めて高い収率で含フッ素グラフト共重
合体が生成し、得られたグラフト共重合体を塗料として
用いるとき優れた耐熱性、耐候性、耐溶剤性および他種
材料との密着性を有しており、またエラストマーとして
用いるとき圧縮永久歪が小さく、かつ優れた強度特性を
有することを見出し、本発明に到達した。
【0013】すなわち本発明は、脱フッ化水素反応によ
り含フッ素重合体に二重結合を導入したのち、ヨウ素化
合物を反応させてヨウ素含有含フッ素重合体を得、該重
合体に対してラジカル重合開始剤の存在下にラジカル重
合可能な単量体をグラフト共重合することを特徴とする
含フッ素グラフト共重合体の製造方法、および、分子内
に炭素に直接結合した水酸基、塩素原子および臭素原子
からなる群から選ばれた少なくとも1種を有する含フッ
素重合体をヨウ素化合物を用いて反応させることにより
ヨウ素含有含フッ素重合体を得、該重合体に対してラジ
カル重合開始剤の存在下にラジカル重合可能な単量体を
グラフト共重合することを特徴とする含フッ素グラフト
共重合体の製造方法を提供するものである。
【0014】請求項1の含フッ素重合体は分子内に−C
2 −CF2 −および/または−CH2 CHF−なる構
造を有する含フッ素重合体であり、請求項2の含フッ素
重合体は分子内に炭素に直接結合した水酸基、塩素原子
および臭素原子からなる群から選ばれた少なくとも1種
を有する含フッ素重合体であり、これらの含フッ素重合
体は、得られる含フッ素グラフト共重合体の幹ポリマー
となるものであり、ヨウ素化が可能である限り特に限定
されるものではなく、必要に応じて種々のものを使用す
ることができる。
【0015】上記含フッ素重合体の好ましい例として
は、以下のものを挙げることができる。 1) ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/テ
トラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン三元
共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン
共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチ
レン共重合体などのフッ化ビニリデンを必須成分とする
ポリフルオロオレフィン、 2) テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体、ク
ロロトリフルオロエチレン/エチレン共重合体、テトラ
フルオロエチレン/プロピレン共重合体、クロロトリフ
ルオロエチレン/プロピレン共重合体などのフッ素オレ
フィン/オレフィン共重合体、 3) クロロトリフルオロエチレン/シクロヘキシルビ
ニルエーテル/エチルビニルエーテル/ヒドロキシブチ
ルビニルエーテル共重合体、クロロトリフルオロエチレ
ン/シクロヘキシルビニルエーテル/エチルビニルエー
テル/クロロエチルビニルエーテル共重合体などのフッ
素オレフィン/アルキルビニルエーテル/ヒドロキシア
ルキルビニルエーテル共重合体あるいはフッ素オレフィ
ン/アルキルビニルエーテル/クロロアルキルビニルエ
ーテル共重合体、モノフッ化ビニル。
【0016】上記含フッ素重合体の分子量は数平均分子
量1万以上、さらに好ましくは3万以上で、特に好まし
いものは次のものである。単量体成分としてフッ化ビニ
リデン30〜100重量%、テトラフルオロエチレン0
〜50重量%およびヘキサフルオロプロピレン0〜30
重量%を含み、数平均分子量(Mn)が3万〜15万、
好ましくは4万〜10万、重量平均分子量(Mw)と数
平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が5以下、融
点が50〜170℃のフッ素樹脂並びに数平均分子量
(Mn)が3万〜50万、好ましくは5万〜30万、M
w/Mnが5以下のフッ素ゴム。単量体成分としてクロ
ロトリフルオロエチレン10〜90重量%、好ましくは
30〜70重量%、シクロヘキシルビニルエーテル0〜
50重量%、エチルビニルエーテル0〜50重量%、お
よびヒドロキシブチルビニルエーテルもしくはクロロエ
チルビニルエーテル1〜20重量%、好ましくは2〜1
5重量%を含み、数平均分子量(Mn)が3万〜15
万、Mw/Mnが5以下のフッ素樹脂。これらのフッ素
ゴムあるいはフッ素樹脂を用いることにより、得られる
含フッ素グラフト重合体の耐候性、耐熱性、耐溶剤性、
水分散性および他種材料との密着性、あるいは圧縮永久
歪および強度特性を向上させることができる。
【0017】請求項1の製造方法における含フッ素重合
体のヨウ素化は、含フッ素重合体に脱フッ化水素反応に
よって二重結合を導入し、これにヨウ素化合物を付加す
ることによる下記の如き方法によって行われる。すなわ
ち、含フッ素重合体を水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなどのアルカリと接触させて脱フッ化水素反応を行っ
て−CH=CF−で示される二重結合を形成させる。こ
のとき、反応触媒としてフッ化テトラブチルアンモニウ
ムのような第4級アンモニウム塩を添加して反応をより
均一に進行させる。なお、二重結合量をコントロールす
る意味でも第4級アンモニウム塩の添加は好ましい。反
応は第4級アンモニウム塩が相間移動触媒として作用す
るため、重合体溶液とアルカリ水との攪拌懸濁により進
行するが、ラテックスへアルカリと第4級アンモニウム
塩を添加することによって行うこともできる。二重結合
を導入した含フッ素重合体へのヨウ素化合物の付加は、
例えば一塩化ヨウ素を用いて室温で容易に行うことがで
き、定量的に反応させることが可能である。なお、ヨウ
素化合物の付加は、ヨウ化水素の付加、ヨウ化カリウム
/オルトリン酸との反応などによっても行うことができ
る。
【0018】請求項2の製造方法における含フッ素重合
体のヨウ素化は、含フッ素重合体をヨウ素化合物を用い
て置換反応させる下記の如き方法によって行われる。す
なわち、クロロエチルビニルエーテルを一成分とするフ
ッ素オレフィン/アルキルビニルエーテル共重合体にヨ
ウ化ナトリウムを作用させて塩素−ヨウ素交換反応によ
りヨウ素化することができる。このとき、ヨウ化ナトリ
ウムのかわりにヨウ化カリウムやヨウ化カルシウムを使
用してもよいが、操作の容易性、副反応の抑制などを考
慮するとヨウ化ナトリウムを用いるのが好ましい。同様
に、臭素含有エチルビニルエーテルを含有するフッ素重
合体を用いて臭素−ヨウ素交換反応によりヨウ素化する
こともできる。また、ヒドロキシブチルビニルエーテル
を一成分とするフッ素オレフィン/アルキルビニルエー
テル共重合体をヨウ化カリウム/オルトリン酸の存在下
で加熱することによりヨウ素化することもできる。ただ
し、生成するヨウ化水素によりエーテル結合が加水分解
される可能性があるため、特に水の存在下では反応系の
pHが低くなり過ぎないように注意する必要がある。
【0019】請求項1の製造方法において得られるヨウ
素含有含フッ素重合体(以下、場合により請求項1のヨ
ウ素含有含フッ素重合体という。)および請求項2の製
造方法において得られるヨウ素含有含フッ素重合体(以
下、場合により請求項2のヨウ素含有含フッ素重合体と
いう。)の結合ヨウ素量は好ましくは1〜30重量%、
より好ましくは2〜15重量%である。結合ヨウ素量が
1重量%以下では、グラフト率が低下しマクロな相分離
が生じて強度が低下するなどグラフト共重合体の特性が
損われる。一方、結合ヨウ素量が30重量%以上では、
枝ポリマーが過剰に結合し、幹ポリマーである含フッ素
重合体の耐熱性および耐候性が十分に発現しない。
【0020】本発明の製造方法(請求項1および2に記
載の製造方法)において用いるラジカル重合開始剤とし
ては、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサ
イドなどのジアルキルパーオキサイド類、メチルエチル
ケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド
などのケトンパーオキサイド類、過酸化水素、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イドなどのハイドロパーオキサイド類、ジ−t−ブチル
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどのジアル
キルパーオキサイド類、t−ブチルパーアセテート、t
−ブチルパーピバレートなどのアルキルパーエステル
類、アゾビスインブチロニトリル、アゾビスバレロニト
リルなどのアゾ化合物、過硫酸アンモン、過硫酸カリな
どの過硫酸塩などが挙げられる。さらに、これらのラジ
カル重合開始剤とともに、必要に応じて亜硫酸水素ナト
リウム、ピロ亜硫酸ナトリウムなどの無機還元剤、ナフ
テン酸コバルト、ジメチルアニリンなどの有機還元剤を
用いることもできる。
【0021】本発明の製造方法において用いるラジカル
重合可能な単量体は、請求項1あるいは2のヨウ素含有
含フッ素重合体にグラフトされるものであり、必要に応
じて種々のモノマーを使用することができる。
【0022】上記ラジカル重合可能な単量体の好ましい
例としては、次のものを挙げることができる。 (i) メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
ト、n−ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル
(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレ
ート、2−メチルペンチル(メタ)アクリレート、n−
オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレー
ト、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−オクタデ
シル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル、(ii) 2−メトキシエチル(メタ)
アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−(n−プロポキシ)エチル(メタ)アクリレー
ト、2−(n−ブトキシ)エチル(メタ)アクリレー
ト、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−
エトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(n−プ
ロポキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2−(n−
ブトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メ
タ)アクリル酸アルコキシ置換アルキルエステル、(ii
i) 2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレ
ート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル
(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−
ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2−
ジフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,
3−テトラフルオロアクリレート、2,2,3,3,
4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、
ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、
3,3,3−トリフルオロプロピル(メタ)アクリレー
トなどのフッ素含有(メタ)アクリル酸エステル、(i
v) アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−ペ
ンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮
酸などのカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、
(v) アルキリデンノルボルネン、アルケニルノルボ
ルネン、ジシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジ
エンおよびそのダイマーなどの非共役ジエン類、(vi)
ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン類、(vii)
ジヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレー
ト、ジヒドロジシクロペンタジエニルオキシエチル(メ
タ)アクリレートなどのジヒドロジシクロペンタジエニ
ル基含有(メタ)アクリル酸エステル単量体、(viii)
ビニルベンジルクロリド、ビニルベンジルブロミド、
2−クロルエチルビニルエーテル、2−クロルエチルア
クリレート、ビニルクロルアセテート、ビニルクロルプ
ロピオネート、アリルクロルアセテート、アリルクロル
プロピオネート、クロルメチルビニルケトン、2−クロ
ルアセトキシメチル−5−ノルボルネンなどの活性ハロ
ゲン含有エチレン性不飽和単量体、(ix) アリルグリ
シジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレートなど
のエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体、(x) 下
記一般式
【化1】 (ここで、R1 は重合体オレフィン結合を有する一価の
有機基、R2 およびR3は水素原子またはアルキル基、
4 はアルキル基、水素原子、水酸基またはハロゲン原
子以外の加水分解可能な基、pは0〜10、qは0〜5
0、aは0〜2、bは1〜3の整数であり、a+b=3
である。)で表わされるビニル基含有有機ケイ素含有エ
チレン性不飽和単量体、(xi) メチルビニルケトンの
ようなアルキルビニルケトン、(xii) ビニルエチルエ
ーテル、アリルメチルエーテルなどのアルキルビニルお
よびアルキルアリルエーテル、(xiii) スチレン、α
−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンな
どのビニル芳香族化合物、(xiv) アクリロニトリル、
メタアクリロニトリルなどのビニルニトリル、(xv)
アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−メチロール
アクリルアミドなどのビニルアミド、および、(xvi)
塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルフマレート、ヘ
キサフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、トリ
フルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テト
ラフルオロエチレン、ビニルフルオライド、パーフルオ
ロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピル
ビニルエーテル)、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン
などの不飽和単量体。これらの単量体は、目的に応じて
単独で、あるいは2種以上組み合せて混合物として使用
することができる。
【0023】上記単量体の中で特に好ましいものは、ア
クリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびメ
タクリル酸エステルである これらの単量体を用いることにより、得られる含フッ素
共重合体の耐候性、耐熱性、耐溶剤性および他種材料と
の密着性を向上させることができる。特に、本発明の製
造方法によって得られた生成物を塗料として用いる場合
に顔料の分散性を向上しようとするときや、水性分散体
として用いる場合に重合体の分散性を向上させようとす
るときは、(iv)のカルボキシル基含有エチレン性不飽
和単量体が好適に用いられ、単量体全量に対して好まし
くは0.5〜15重量%の割合で配合される。また、架
橋性官能基を導入しようとする場合は、(iv)〜(x)
の単量体が好適に用いられる。これらの(iv)〜(x)
の単量体は、単量体全量に対して好ましくは0.1〜1
0重量%の割合で配合される。
【0024】本発明の製造方法におけるヨウ素含有含フ
ッ素重合体とラジカル重合可能な単量体との組成比は、
5〜95重量%/95〜5重量%、好ましくは10〜9
0重量%/90〜10重量%である。ヨウ素含有含フッ
素重合体の割合が5重量%未満(ラジカル重合可能な単
量体の割合が95重量%より多い)では、フッ素材料の
特徴である耐熱性、耐候性、耐薬品性などが低下する。
また、ヨウ素含有含フッ素重合体の割合が95重量%よ
り多い(ラジカル重合可能な単量体の割合が5重量%未
満)と、塗料として用いた場合に成膜性、他種材料との
密着性、顔料分散性などが低下する。ヨウ素含有含フッ
素重合体とラジカル重合可能な単量体との組成比は、上
記範囲内で任意に選択することができ、目的とする含フ
ッ素グラフト共重合体の性質に応じて適宜決めることが
できる。
【0025】本発明の含フッ素グラフト共重合体は、含
フッ素重合体5〜95重量%に対し、ラジカル重合可能
な単量体5〜95重量%を、ラジカル重合開始剤の存在
下において、乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合
を含む既知の重合方法によって、回分式、半連続式また
は連続式の操作で共重合させて製造される。これらの重
合方法のうち、本発明の共重合体を得るのに好ましい重
合方法は、乳化重合、懸濁重合および溶液重合である。
上記のグラフト共重合反応は、一般に−20℃〜120
℃、好ましくは0〜120℃の温度範囲で行なわれる。
【0026】ヨウ素含有含フッ素重合体をグラフト重合
することによって生成する本発明の含フッ素グラフト共
重合体は、ヨウ素含有含フッ素重合体からの活性ラジカ
ルによるヨウ素引抜き反応と、生成した含フッ素重合体
ラジカルを開始剤とする単量体の連鎖重合により、単量
体のラジカル重合体が実質的に含フッ素重合体へグラフ
トしたものである。グラフト共重合によって得られる本
発明の共重合体は、溶液重合法によるものであれば生成
物をそのまま重合体溶液として使用できるし、脱溶や非
溶剤添加により回収することも可能である。また、乳化
重合法によるものであれば生成物をそのまま水性分散体
として使用できるし、塩化カルシウムなどの金属塩を添
加して、あるいはエタノール、メタノールなどの非溶剤
を添加するような通常の凝固法によって回収することも
できる。
【0027】また、本発明の製造方法は結合エネルギー
の低い炭素−ヨウ素結合のラジカル開裂を利用した方法
であるため、生成した含フッ素グラフト共重合体中に未
反応ヨウ素原子が残存すると、遊離ヨウ素による着色、
腐食の恐れがある。これを改善するためにはNa、K、
Ag、Cuなどの1価金属の弱酸塩類を使用して脱ヨウ
素反応を行うか、あるいはイソペンタンのような連鎖移
動剤を添加してUV照射するような水素置換反応を行う
ことができる。
【0028】本発明の含フッ素グラフト共重合体の形状
は特に限定されるものではなく、その用途に応じて固形
状、液状として、あるいは水へ再分散させた水性分散体
または溶剤に再溶解させた溶液として用いることができ
る。
【0029】本発明の製造方法における含フッ素グラフ
ト共重合体水性分散液の製造は、有機溶媒中において数
平均分子量が1万以上の請求項1または2のヨウ素含有
含フッ素重合体5〜95重量%に、ラジカル重合可能な
単量体5〜95重量%をグラフト共重合して含フッ素グ
ラフト共重合体の有機溶媒溶液を調製し、これを水に分
散し、必要に応じて有機溶媒を留去せしめることにより
行うことができる。
【0030】上記製造は、より好ましくは、有機溶媒中
において単量体成分としてフッ化ビニリデン30〜10
0重量%、テトラフルオロエチレン0〜50重量%およ
びヘキサフルオロプロピレン0〜30重量%を含み、数
平均分子量(Mn)が3万〜15万、好ましくは4万〜
10万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(M
n)との比(Mw/Mn)が5以下、融点が50〜17
0℃のフッ素樹脂に脱フッ化水素反応により二重結合を
導入したのち、ヨウ素化合物を付加させて得るヨウ素含
有含フッ素重合体、または単量体成分としてクロロトリ
フルオロエチレン10〜90重量%、好ましくは30〜
70重量%、シクロヘキシルビニルエーテル0〜50重
量%、エチルビニルエーテル0〜50重量%、ヒドロキ
シブチルビニルエーテルもしくはクロロエチルビニルエ
ーテル1〜20重量%、好ましくは2〜15重量%を含
み、数平均分子量(Mn)が3万〜15万、重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量との比(Mw/Mn)が5
以下のフッ素樹脂にヨウ素化合物を用いて置換反応させ
て得る、ヨウ素含有含フッ素重合体5〜95重量%に、
ラジカル重合開始剤の存在下、単量体混合物に対し0.
5〜15重量%のカルボキシル基含有エチレン性不飽和
単量体を含有するラジカル重合可能な単量体混合物5〜
95重量%をグラフト共重合して含フッ素グラフト共重
合体の有機溶媒溶液を調製し、これを水に分散し、必要
に応じて有機溶媒を留去せしめることによって行われ
る。
【0031】本発明の含フッ素グラフト共重合体の分子
量は、N,N−ジメチルアセトアミド中25℃で測定し
た固有粘度に換算して、通常0.01〜10dl/g、
好ましくは0.05〜5dl/g程度である。さらに、
本発明の共重合体をゴムエラストマーとして用いる場合
には、ムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)で表わすと
20〜150であることが好ましい。
【0032】本発明の含フッ素グラフト共重合体は、必
要に応じて架橋剤、架橋促進剤、補強剤、充てん剤、可
塑剤、軟化剤、老化防止剤、安定剤、発泡剤、顔料、顔
料分散剤などの通常の配合剤を適宜配合して使用するこ
とができる。
【0033】以上のようにして製造した本発明の含フッ
素グラフト共重合体は、耐溶剤性、耐候性、透明性、柔
軟性、耐寒性に優れた強靭なシート、フィルム状成形物
を与えるという特徴を生かして、各種塗料、コート材な
どの被覆用材料として好適に使用することができる。例
えば、かかる共重合体の水性分散液は、成膜性に優れ、
耐候性、透明性、耐薬品性、基体への密着性、機械的強
度などに優れた被膜を形成することから、焼付または常
乾型塗料のほかに、カチオン電着塗料、繊維処理剤、紙
加工剤、床塗布剤、カーペットバッキング剤、パッキン
剤、非粘着処理剤、シール剤、ラミネート剤、撥水撥油
処理剤などとして用いることもできる。また、エラスト
マーとして使用する場合、耐ガソリン透過性、耐熱性、
耐オゾン性及び耐サワーガソリン性に優れた特性を有す
るので、自動車の燃料系ホースを始めとして、燃料油、
作動油、潤滑油などに接触する各種ホース類、ダイヤフ
ラム類、ガスケット、O−リング、オイルシールなどの
各種シールとして使用することができる。また、製鉄
用、紡績用、印刷用、製紙用、染色用などの耐油性、耐
溶剤性を必要とする各種ロールあるいは伝動ベルト、コ
ンベアベルトなどとして使用することもできる。
【0034】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これ
らの実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施
例中の部および%は特にことわらない限り、それぞれ重
量部および重量%を示す。
【0035】合成例1(含フッ素重合体の脱HFおよび
ヨウ素化) 内容積が5リットルのガラス製反応容器に、重合体組成
がフッ化ビニリデン(VdF)61%、テトラフルオロ
エチレン(TFE)24%およびヘキサフルオロプロピ
レン(HFD)15%からなり、GPCによる数平均分
子量(Mn)が50,000、重量平均分子量(Mw)
と数平均分子量との比(Mw/Mn)が1.9、示差熱
分析による融点(Tm)が90℃のフッ素樹脂150g
と、メチルイソブチルケトン350gを加え、均一な溶
液になるまで攪拌を続けた。完全に溶解させたのち、1
%水酸化ナトリウム水溶液2.5リットルとフッ化テト
ラブチルアンモニウム2.5gを加え、25℃で8時間
攪拌を続け脱フッ化水素反応を行った。攪拌停止後静置
すると内容物は2層に分離し、上層部をエタノール中に
添加して黄褐色のアルカリ変性フッ素樹脂を回収した。
このフッ素樹脂の赤外吸光分析の結果、1720cm-1
付近に−CH=CF−に基づく新たな吸収が見られ、脱
フッ化水素による二重結合形成が確認できた。また、ウ
ィス法による二重結合定量分析の結果、ヨウ素価は20
であった。ついで、500ml褐色ガラス製反応容器に
上記アルカリ変性フッ素樹脂90gおよびメチルイソブ
チルケトン210gを添加し完全に溶解させたのち、一
塩化ヨウ素5gを添加し、室温で1時間攪拌して付加反
応を完結させた。生成物をエタノール中に添加し、析出
したポリマーを乾燥してヨウ素含有含フッ素重合体9
4.8gを得た。反応後のポリマーは反応前に比べ退色
しており、また赤外吸光分析の結果、1720cm-1
近の吸収ピークの消滅と−C(CI)F−に基づく新た
な吸収ピークが760cm-1付近に見られ、一塩化ヨウ
素の二重結合への付加が進行したことが確認できた。元
素分析の結果、ヨウ素含量は5.2%であった。
【0036】合成例2(水酸基含有含フッ素重合体のヨ
ウ素化) 内容積が1リットルのガラス製反応容器に、重合体組成
がクロロトリフルオロエチレン(CTFE)55%、シ
クロヘキシルビニルエーテル(CHVE)20%、エチ
ルビニルエーテル(EVE)15%およびヒドロキシブ
チルビニルエーテル10%からなるフッ素樹脂(Mn=
80,000)100gと、メチルイソブチルケトン5
00gを加え、均一な溶液になるまで攪拌を続けた。つ
いで、ヨウ化カリウム15gとオルトリン酸15gを加
え、100℃で5時間反応させた。反応終了後、内容物
をエタノール中に添加してポリマーも回収した。乾燥後
のポリマー量は、107.6gであった。ポリマーの着
色はなく、元の白色を呈していた。このフッ素樹脂の赤
外吸光分析の結果、水酸基に基づく3400cm-1付近
の吸収が小さくなり、新たに1250cm-1付近にC−
I結合に基づく吸収が確認できた。元素分析の結果、ヨ
ウ素含量は7.3%であった。
【0037】合成例3(塩素含有含フッ素共重合体のヨ
ウ素化) 内容積が1リットルのガラス製反応容器に、重合体組成
がCTFE55%、CHVE20%、EVE15%およ
びクロロエチルビニルエーテル(CEVE)10%から
なるフッ素樹脂(Mn=85,000)100gと、メ
チルエチルケトン500gを加え、均一な溶液になるま
で攪拌を続けた。ついでヨウ化ナトリウム15gを加
え、還流温度で24時間反応を続けた。反応終了後、内
容物をエタノール中に添加してポリマーを回収した。乾
燥後のポリマー量は105.8gであった。このフッ素
樹脂の赤外吸光分析の結果、CEVEのC−Cl結合に
基づく1300cm-1付近および700cm-1付近の吸
収が消滅し、代って1250cm-1付近にC−I結合に
基づく吸収が確認できた。元素分析の結果、ヨウ素含量
は5.6%であった。
【0038】合成例4(フッ素ゴムの脱HFおよびヨウ
素化) 内容積が7リットルのガラス製反応容器に、重合体組成
がフッ化ビニリデン(VdF)62%およびヘキサフル
オロプロピレン(HFP)38%からなり、GPCによ
る数平均分子量(Mn)が230,000、重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量との比(Mw/Mn)が
2.5、示差熱分析によるガラス転移温度(Tg)が−
23℃のフッ素ゴム150gと、メチルイソブチルケト
ン850gを加え、均一な溶液になるまで攪拌を続け
た。完全に溶解させた後、1%水酸化ナトリウム水溶液
4リットルとフッ化テトラブチルアンモニウム2.5g
を加え、25℃で10時間攪拌を続け脱フッ化水素反応
を行った。攪拌停止後、分離した内容物の上層部をエタ
ノール中に添加して黄褐色のアルカリ変性フッ素ゴムを
回収した。このフッ素ゴムの赤外吸光分析の結果、17
20cm-1付近の吸収から脱フッ素による二重結合の形
成が確認できた。またウィス法によるヨウ素価は25で
あった。ついで、2リットルの褐色ガラス製反応容器に
上記アルカリ変性フッ素ゴム100gおよびメチルエチ
ルケトン900gを添加し完全に溶解させたのち、一塩
化ヨウ素5gを添加し、遮光下室温で1時間攪拌して付
加反応を完結させた。内容物をエタノール中に添加し、
析出したポリマーを乾燥してヨウ素含有フッ素ゴム10
4.3gを得た。赤外吸光分析の結果、1720cm-1
付近の吸収の消滅と760cm-1付近の新たな吸収発現
により、一塩化ヨウ素の付加反応が確認できた。元素分
析の結果、ヨウ素含量は4.3%であった。
【0039】実施例1(ヨウ素含有含フッ素重合体への
アクリルポリマーのグラフト重合) 内容積が2リットルのガラス製反応容器に合成例1で合
成したヨウ素含有含フッ素重合体90gとメチルイソブ
チルケトン600gを加え完全に溶解させたのち、メチ
ルメタアクリレート(MMA)を100g加え60℃ま
で昇温した。60℃に達した時点で重合開始剤としてア
ゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を1g添加し、
MMAの重合転化率が60%に達するまで60℃で7時
間重合反応を続けた。その後重合停止剤としてt−ブチ
ルカテコール1gを添加して反応溶液をシクロヘキサン
に加えポリマーを析出させた。析出したポリマーを50
℃で乾燥したのち、ポリメチルメタクリレートがグラフ
トした含フッ素グラフト共重合体150gを得た。得ら
れた含フッ素グラフト共重合体の赤外吸収スペクトルを
図1に示す。この赤外吸収スペクトルは1350〜11
00cm-1領域に含フッ素重合体のCF2 基およびCF
3 基による特性吸収を、また1730cm-1付近にエス
テルのC=O結合による特性吸収を示し、含フッ素グラ
フト共重合体中に両結合が存在していることが確認でき
た。 グラフト率の算出 得られた含フッ素グラフト共重合体10gにトルエン9
0gを加え、80℃に加熱して5時間攪拌を続け、トル
エン可溶部を抽出した。不溶部を濾別し、濾液をメタノ
ールに加えてポリマーを析出させ、50℃で真空乾燥し
た。得られたポリマーをXgとし、次式によりグラフト
率を求めた。
【数1】 含フッ素グラフト共重合の塗膜評価 得られた含フッ素グラフト共重合体をメチルイソブチル
ケトンに30%溶解させた溶液をJIS H4000規
定のA1050Pアルミ板70×150×1mmにドク
ターブレードを用いて塗りつけ、120℃で30分間乾
燥し30μm厚の塗膜を得た。 (1) 耐候性の評価 上記アルミ板についてJIS D0205記載のサンシ
ャインカーボンアーク灯式デューサイクル耐候性試験機
を用いて1000時間テストし、耐候性を評価した。 (2) 耐溶剤性(耐揮発油性)の評価 JIS−K5400に準じ、2号揮発油を用いて試験し
た。 (3) 密着性の評価 塗膜面をクロスカット(2mmます目10×10ヶ)し
た後、粘着テープ(ニチバン株式会社製)による剥離試
験を実施した。密着性は下記基準により評価した。 カット面上の残存個数 ○:100〜80 △: 79〜40 ×: 39以下 これら塗膜評価の結果を表1に示す。 水分散性の評価 また先の溶液を激しく攪拌したドデシルベンゼンスルホ
ン酸ナトリウムの1%水溶液にメチルイソブチルケトン
と水との割合が1:1となるまで滴下し、メチルイソブ
チルケトンを減圧下で留去して共重合体の水分散性を調
べた。結果を表1に示す。
【0040】実施例2〜4 MMAの代りに、MMAとアクリル酸の混合物(混合比
が各々98/2%、95/5%および90/10%)を
用いた他は実施例1と同様にして、カルボキシル基含有
含フッ素グラフト共重合体を合成し、グラフト率の算
出、塗膜の評価および水分散性の評価を行った。結果を
表1に示す。 実施例5 合成例2で合成したヨウ素含有含フッ素共重合体を用
い、MMAの代りに、MMAとアクリル酸の混合物(混
合比90/10%)を用いた他は実施例1と同様にし
て、含フッ素グラフト共重合体を合成し、各種評価を行
った。結果を表1に示す。 実施例6 合成例3で合成したヨウ素含有含フッ素共重合体を用い
た他は実施例5と同様にして含フッ素グラフト共重合体
を合成し、各種評価を行った。結果を表1に示す。 比較例1 合成例1で合成したアルカリ変性フッ素樹脂(ヨウ素化
以前のもの)をヨウ素含有含フッ素共重合体の代りに用
いた他は、実施例1と同様にして重合を行なった。得ら
れた重合体を実施例2と同様に評価した。結果を表1に
示す。表1の結果から明らかなとおり、ヨウ素を付加し
ない場合は単量体のフッ素オレフィンへの反応性が著し
く悪くグラフト重合体は得られない。
【0041】
【表1】
【0042】実施例7 フッ化ビニリデン11%、テトラフルオロエチレン24
%およびヘキサフルオロプロピレン15%を共重合し
た。Mnが5万、Mw/Mnが1.9、Tmが90℃の
フッ素樹脂を40%含有する平均粒子径0.25μmの
水分散液375gにニューコール864(日本乳化剤
製)を1.5g、1%水酸化ナトリウム水溶液250g
を加え、25℃で8時間攪拌した。次に、一塩化ヨウ素
21.2gを加え室温で1時間攪拌したのち、これにメ
チルメタクリレート135g、アクリル酸15gおよび
過硫酸アンモニウム0.2gを加え、80℃で2時間加
熱したところ、固形分56.5%、平均粒径0.35μ
mの水分散液が得られた。この水分散液は1ヶ月放置し
ても分離することはなかった。すなわち、水分散性は良
好であった。この水分散液を実施例1と同様にアルミ板
に塗布し乾燥して耐候性を評価したところ、テスト10
00時間で異常なしであった。
【0043】実施例8 内容積が2リットルのガラス製反応容器に合成例4で合
成したヨウ素含有フッ素ゴム100gにメチルイソブチ
ルケトン900gを加え完全に溶解させたのち、エチル
アクリレート(EA)73.5gとグリシジルメタクリ
レート(GMA)1.5gを加え、60℃まで昇温し
た。60℃に達した時点で重合開始剤としてAIBNを
0.5g添加し、EAとGMAの混合物の重合転化率が
90%に達するまで60℃で10時間重合反応を続け
た。その後重合停止剤としてt−ブチルカテコール0.
5gを添加し、反応溶液をシクロヘキサンに加えポリマ
ーを析出させた。析出したポリマーを50℃で乾燥して
アクリルゴムがグラフトしたフッ素ゴム167.3gを
得た。GPC測定の結果、数平均分子量(Mn)が30
0,000、実施例1と同様にして求めたグラフト率が
62%であった。得られたアクリルグラフトフッ素ゴム
を表2に示す配合処方により配合し、表2に示す条件で
架橋して、架橋体を得た。架橋体の引張試験および圧縮
永久歪試験の結果を表2に示す。
【0044】比較例2 内容積が2リットルの耐圧反応容器にイオン交換水10
00gとパーフルオロオクタン酸アンモニウム5gを入
れ、攪拌下に内部空間をヘキサフルオロプロピレン(H
FP)で十分置換したのち、モル比が45/55のフッ
化ビニリデン(VdF)/HFP混合モノマーを80℃
にて12kg/cm2 まで加圧し、同時にI−104
(ダイキン製、パーフルオロブチルアイオダイド)0.
11gを圧入した。次いで、重合開始剤として過硫酸ア
ンモニウム0.65gを3gのイオン交換水に溶解させ
たものを圧入した。重合反応が直ちに始まり、反応容器
内の圧力が低下するので、モル比が78/22のVdF
/HFPを、容器内の圧力を一定に保持すべく連続して
仕込んだ。5時間反応させたのち、急冷して反応を終え
放圧して固形分11.5%のラテックスを回収した。N
MR分析の結果、重合体組成がVdFが63%、HFP
が37%であり、GPC測定の結果、数平均分子量(M
n)が20,000であった。次いで内容積が3リット
ルのガラス製反応容器に上記ラテックス870g(固形
分で100.05g)、イオン交換水1500gを加
え、70℃まで昇温したのち、EA73.5g、GMA
1.5gおよびAPS0.15gをイオン交換水100
gに溶解させたものを添加し重合反応を開始した。EA
とGMAの混合物の重合転化率が90%に達するまで7
0℃で5時間反応を続けた。その後重合停止剤としてエ
タノールアミン0.2g添加し、得られたラテックスか
ら塩析によりポリマーを析出させ、これを50℃で乾燥
して166.8gのゴムを回収した。GPC測定の結
果、数平均分子量(Mn)が50,000であり、実施
例1と同様にして求めたグラフト率は30%であった。
得られたゴムを用いて実施例7と同様にして架橋体を作
製し、引張試験、圧縮永久歪試験に供した。結果を表2
に示す。
【0045】
【表2】 表2から明らかなように、本発明の含フッ素グラフト共
重合体は、エラストマーとしても優れた強度特性、低い
圧縮永久歪を有する。
【0046】
【発明の効果】本発明の方法によれば、ヨウ素含有含フ
ッ素重合体にラジカル重合可能な単量体をグラフト重合
させて、極めて高い収率で含フッ素グラフト共重合体を
生成させることによって、耐熱性、耐候性、耐溶剤性、
他種材料との密着性および強度特性に優れた含フッ素グ
ラフト共重合体が提供される。
【0047】さらに詳しくは、本発明の製造方法によっ
て得られる含フッ素グラフト共重合体は、塗料として用
いたとき優れた耐候性、耐溶剤性、他種材料との密着性
を有しており、またエラストマーとして用いたとき圧縮
永久歪が小さく、かつ優れた強度特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において得られた含フッ素グラフト共
重合体の赤外吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西脇 孝一 東京都中央区築地2丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脱フッ化水素反応により含フッ素重合体
    に二重結合を導入したのち、ヨウ素化合物を反応させて
    ヨウ素含有含フッ素重合体を得、該重合体に対してラジ
    カル重合開始剤の存在下にラジカル重合可能な単量体を
    グラフト共重合することを特徴とする含フッ素グラフト
    共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 分子内に炭素に直接結合した水酸基、塩
    素原子および臭素原子からなる群から選ばれた少なくと
    も1種を有する含フッ素重合体をヨウ素化合物を用いて
    反応させることによりヨウ素含有含フッ素重合体を得、
    該重合体に対してラジカル重合開始剤の存在下にラジカ
    ル重合可能な単量体をグラフト共重合することを特徴と
    する含フッ素グラフト共重合体の製造方法。
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