JP4799734B2 - 比較的に良好な延性を有する四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン−コポリマー - Google Patents
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Description
【発明の利用分野】
本発明は、四フッ化エチレン(TFE)と六フッ化プロピレン(HFP)から、電線およびケーブルに使用するための改善された加工性を有する、溶融物から加工できるコポリマーの溶融顆粒並びにこのポリマーを電線およびケーブル導体の被覆に用いる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融物から加工できるTFEとHFPとのコポリマーはFEPという名称で最も良く知られている。過弗素化熱可塑性樹脂としてかゝるコポリマーは耐薬品性、耐候性、難燃性、熱安定性および優れた電気的性質の様な特異な最終用途特性を有する。他の熱可塑性樹脂の様にFFPは簡単に成形でき、被覆された電線、ホース、パイプおよびフィルムをもたらす。
【0003】
その優れた熱安定性のためにおよび実質的に可燃性でないために、FEPは耐火性の厳格な要求を満足しているためにしばしば多目的ルームおよび会議用ホールの構造材として使用される。FEPはその優れた誘電特性のために情報送信用ケーブルで使用するのにも非常に適している(ヨーロッパ特許出願公開(A)第423,995号明細書)。
【0004】
電線およびケーブルを押出被覆する場合には、早い加工速度が要求される。しかしながらこの様な早い押出速度は多くの熱可塑性樹脂の場合には溶融破損によって限界がある。溶融破損は凸凹の表面および/または不均一な肉厚をもたらす。それ故に押出速度を速めるために非常に広い分子量分布を有するコポリマーを使用することが提案されている。例えば米国特許第4,552,925号明細書においてFEPsについて提案されている。
【0005】
分子量分布を実質的に拡げるために、著しく異なる分子量を有する少なくとも2種類のFEPsの混合物が大抵は使用される。分子量分布は一般に溶融粘度またはメルトフローインデックス(MFI−値)によって特徴付けられる。所望の混合物は、各成分を別々に重合することによって製造しそして次に溶融顆粒化する前にラテックス、ペレットまたは未固化生成物の状態で混合することによってしばしば製造される。それ故にこの混合物の製法は面倒でかつ多大な費用がかゝる方法である。
【0006】
別のFEP混合物はドイツ特許第2,613,642号明細書および同第2,613,795号明細書に開示されている。
【0007】
これらの混合物は、FEPの安定化工程の間に発生する泡を抑制するため、一見有利である。この場合には樹脂を好ましくは水蒸気を用いて(400℃までの)高い温度で処理している。この方法によって、熱的に不安定である末端基(大抵はCOOHおよびCONH2 基)が除かれる。これらの末端基はIR−分光分析によって容易に検出することができる。
【0008】
これらの混合物は非常に広い分子量分布を有しており、これが押出加工性を改善すると一般に当業者に理解されている。
【0009】
FEPを特に電線被覆のために加工するためには、熱的に不安定な末端基を除かなければならない。“Modern Fluoropolymers”、Herausgeber John Scheirs,Wiley & Sons 1997、第228頁に開示されている不安定末端基の分解反応は最終生成物中に気泡および孔をもたらす。安定化していないポリマー樹脂の溶融顆粒化は使用される装置の腐蝕損傷および製造される溶融顆粒の金属汚染をもたらす。しかしながらドイツ特許第2,613,642号明細書および同第2,613,795号明細書に開示された安定化法は、水蒸気を利用するために使用する装置に腐蝕の問題を発生させるために、実施することが困難である。
【0010】
金属汚染は抑制が困難でありそして高い加工温度でのコポリマーの劣化および分解をもたらす。この分解は変色および劣化並びにノズルの閉塞をもたらす。この場合、ノズル出口の表面にポリマーの分子フラクションが集まり、これが被覆工程にマイナスの影響を及ぼす。更にいわゆる“カップ状破面(cone fracture)”も発生し得る。電線を被覆する際に溶融液状ポリマーが管またはスリーブの状態で押し出されそして減圧によって電線の上に引き寄せられる。カップ状破面はこの工程の際に発生する切れ目または割れ目である。かゝるカップ状破面が発生した場合には常に被覆プロセスを新たに開始し直さなければならず、またシステムが再び平衡状態に達するまでの時間待たなければならない。このことは長い稼動時間を達成することを困難にする。更に生産性を低下させる。
【0011】
更に温度の増加と共に速度が著しく早まる分解反応およびそれで生ずる毒性ガスの発生を抑制するために、押出温度を出来るだけ低く維持しなければならない。もう一方では低い押出温度は溶融粘度を高くし、それと共に溶融割れを早くから発生させる。分子量を小さくすることによって溶融粘度を下げることは機械的性質の悪化をもたらす。
【0012】
このことから材料を熱的に安定にする為に、熱的に不安定な末端基を除去するだけでなく金属汚染物および比較的に剪断分解および/または熱分解し易いMw フラクションを減少させる必要があることが判る。
【0013】
不安定な末端基を除く別の可能な方法には例えばドイツ特許出願公開(A1)第1,210,794号明細書、米国特許(A)第4,743,658号明細書およびヨーロパ特許(B)第457,225号明細書に従う後弗素化法がある。一般にこの方法の場合にはポリマーの溶融範囲まで温度を高めて窒素で希釈された元素状弗素を使用する。この場合にはポリマーは溶融顆粒、凝集物または未固化生成物の状態で弗素化することができる。この場合にもあまりにも過剰な金属汚染は避けるべきである。
【0014】
ヨーロッパ特許(B)第222,945には、そこにおいて顆粒と称されている硬化した凝集物の弗素化が説明されている。
【0015】
弗素化は過弗素化末端基をもたらし、それとは反対に加湿加熱での上述の処理では完全に弗素化されたポリマー樹脂を形成することがメカニカル的にできない。この場合にはポリマー主鎖に導入された二重結合が存在しており、これが固有の熱不安定さをもたらしていると考えられている。これらの結合は高温に長期間曝される時に恐らく変色をもたらす。
【0016】
米国特許(A)第4,626,587号明細書には別のFEP分解反応が説明されている。この場合には、最初に融点より上の温度で鎖中程のHFP−二回対称軸(Diaden) が分解することでこの反応が開始されると考えられている。かゝる二回対称軸はラジカル開始重合の際に相応するポリマー残基を最終段階で再結合(Rekombination)が行なわれることによって生じる。加工条件のもとでの二回対称軸の分解はこれらポリマー鎖の分子量を二等分させ、このことがポリマーの機械的性質にマイナスの影響を及ぼしそして更に不安定な末端基を生ぜしめる。米国特許(A)第4,626,587号明細書によるとこの種の二回対称軸は、融点より明らかに高い温度でこの材料に比較的に高い剪断速度の影響を及ぼすことによって分解する。更にこの方法は非常に多大な費用が掛かる。
【0017】
主鎖の不安定さを減少させる別の方法がヨーロッパ特許出願公開(A)第789,038号明細書に開示されている。この場合には比較的に多量の連鎖移動剤を使用することによってポリマーラジカル開始重合を抑制する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高速および高温で加工することができそして機械装置の長い運転時間を可能とする電線被覆およびケーブル被覆のための材料を提供する。更に本発明は経済的にかつ均一な性質に良好に制御できる製法を提供することでもある。また本発明は電線またはケーブルを押出被覆する際にノズルの閉塞およびカップ破面の発生回数を減少させる方法も提供する。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリマーはTFEとHFPとのコポリマーである。このものは5〜22重量%、好ましくは10〜18重量%のHFP含有量、95〜78重量%、好ましくは90〜82重量%のTFE含有量を有し、かつ場合によってはHFPおよびTFEと共重合し得る3モル%までの弗素化モノマーを含有している。場合によって存在するこのコモノマーはヨーロッパ特許出願公開(A)第789,038号明細書およびドイツ特許(C)第2,710,501号明細書に従うペルフルオロアルキルビニルエーテルが好ましい。モノマー含有量は米国特許(A)第4,552,925号明細書に記載されている様なIR−分光分析によって測定できる。本発明のポリマーは一般に240〜275℃、好ましい。245〜265℃の融点を有している。
【0020】
本発明のポリマーは、凝集物の後弗素化によって除去される熱的に不安定な末端基を実質的に含有していない。“末端基を実質的に含有していない”とは末端基が100万の炭素原子当り80個より少ない、好ましくは100万の炭素原子当り40個より少ないことを意味する。この物質は金属に関して高い純度を有し、即ち鉄、クロムおよびニッケルの総含有量が200ppb(10億当りの部数)以下、好ましくは100ppb以下である。
【0021】
電線およびケーブル導体の被覆に使用する本発明のポリマーは非常に狭い分子量分布を有しており、即ち2より小さいMw /Mn −比である(Mw :重量平均分子量、Mn =数平均分子量)。この比の最小値は1.5に達する。このことは早い押出速度で電線被覆するのに推奨されるFEP−品質と反対である。FEP−品質のためには広い分子量分布が推奨されている。分子量分布の幅はW.H.Tuminello,Polym.Eng.Sci.26,1339(1986)の方法に従って測定される。高速電線押出成形のためのポリマーのMFI−値は≧15である。更に低いMFI−値は他の用途、例えば発泡させた同軸ケーブルに使用することができる。このポリマーは不安定な末端基を実質的に有していないが好ましい。この場合、本発明のポリマーは特に有利である。
【0022】
24のMFI−値および15重量%のHFPを含有する溶融顆粒化された本発明のコポリマーは以下に記載する様に製造できる。このポリマーは電線被覆用押出機で390℃(735°F)で454m/分(1500フィート/分)の速度で6時間の機械運転時間に渡って運転でき、しかも変色もなくかつ実質的ノズル閉塞を生じることなくそして市販のFEP品質のものよりもカップ状破面も少ない。この驚く程良好な性能の原因は十分には明らかになっていない。
【0023】
狭い分子量分布であるにもかかわらず早い加工速度が達成される。既に上述した通り、当業者はこの種の早い加工速度を達成するためには広い分子量分布が必要であると認識していた。本発明者は、狭い分子量分布が更に有利であことを発見し、それによって支配的であった矛盾が克服された。
【0024】
更に加工の際に変色が生じない。このことは如何なる分解反応も発生していないことを示している。押出成形された材料のMFI値は実質的に変化してない。IRによって検出できる末端基の数は増加しない。この両方の測定結果から問題の鎖分解が生じないことが推定できる。この観察結果は材料中に例えばHFP−二回対称軸の様な弱い主鎖結合(米国特許(A)第4,626,587号明細書、)が存在しないことを意味している。
【0025】
変色が発生しないこと並びにMFI値が殆ど変化しないことおよび末端基数が殆ど変化しないことから判る通り、比較的に高い加工温度ですら問題とされるような分解が生じないことを証明している。このことがノズルの閉塞を減少させそしてカップ状破面の発生回数を著しく減少させると考えられる。従って本発明のコポリマーは剪断力の負荷下ですら驚く程に高い熱安定性を示す。それ故に本発明のポリマーは他の用途目的のためにも有利に使用できる。
【0026】
分解反応が無いことのかゝる証拠は驚くべきものであり、まだ完全には解明されていない。金属不純物、特に鉄、ニッケルおよびクロムの様な重金属が分解反応を誘発すると考えられる。事実、中性子活性化分析で、使用した材料が50ppbより少ない量でしか鉄イオン、ニッケルイオンおよびクロムイオンを含有していないことが判った。従って本発明のコポリマーは高純度の部類に分類することができる。
【0027】
本発明のコポリマーは後述の方法によって製造することができる。
【0028】
重合を、従来技術で知られている様に(米国特許(A)第2,946,763号明細書)、水性ラジカル乳化重合として実施することができる。開始剤としてはペルオキソ二硫酸アンモニウムまたは−カリウムを使用する。乳化剤としては標準的な乳化剤、例えばペルフルオロオクタン酸のアンモニウム塩を使用する。調製物に、例えばNH3 、(NH4 )2 CO3 またはNaHCO3 の様な緩衝物質を添加することができる。通例の連鎖移動剤、例えばH2 、低級アルカン、フッ化メチレンまたは塩化メチレンが使用される。塩素含有および臭素含有連鎖移動剤は避けるべきである。これらの成分は弗素化の際に著しい腐蝕障害を引き起し得る。重合温度は40〜120℃、好ましくは50〜80℃である。重合圧は8〜25bar、好ましくは10〜20barである。HFPを最初に導入し、そして共重合の通例の手順に従って反応器に計量供給する(例えば“Modern Fluoropolymers”、Herausgeber John Scheirs、Wiley & Sons(1997)、第241頁参照)。特に有利な重合処方にはアルカリ金属塩が含まれていない。
【0029】
更に共重合を、ヨーロッパ特許出願公開(A)第789,038号明細書と反対に連鎖移動剤を使用せずに実施するのが特に有利である。連鎖移動剤は自動的に分子量分布を拡張させる。時間に対する重合速度の曲線は、“Modern Fluoropolymers”、Herausgeber John Scheirs、Wiley & Sons(1997)、第226頁に記載された曲線の形を有するべきである。この刊行物に記載されている通り、Mw/Mn−比は第230頁の式(6)によって連鎖移動剤の不存在下で時間に対して速度をプロットすることで容易に算出することができ、この場合専ら再結合によって停止を行なうことが考えられる。この再結合は低い転化率では1.5のMw/Mn−比をもたらす。主として連鎖移動により行なわれる停止は2のMw/Mn−比をもたらす。
【0030】
ラジカル重合は非水性媒体、中でも米国特許(A)第3,528,954号明細書に記載されている様に実施できる。しかしながらこの非水性法は、この“懸濁重合”で生じるゲル効果によって高分子量生成物を僅かな割合でしかもたらさないと考えられるので、有利ではない。弱い主鎖結合(HFP二軸対称)がゲル効果によって生じると思われる。水性乳化重合でのゲル効果の発生はラテックス粒子表面で鎖成長および鎖停止が生じるので、全く考えられない。
【0031】
重合の際で得られる分散物はホモジナイザーの使用によって機械的に凝集され(ヨーロッパ特許(B)第591,888号明細書参照)そして従来技術から公知の通り(“Modern Fluoropolymers”、Herausgeber John Scheirs、Wiley & Sons(1997)、第227頁参照)、水と混和しない有機系液体、例えばガソリンで凝集する。凝集物は0.5〜2mmの直径を有する自由流動性粒子である。この自由流動性は次の加工段階を技術的に確実に実施するのに有利である。凝集物の乾燥は窒素で洗浄し、次いで180℃までの温度で穏やかに減圧して行なう。
【0032】
凝集物の化学的凝集も同様に可能である。しかしながらこの目的のためには一般に酸が使用される。これは、後続の全ての加工段階で金属不純物の含有量を非常に高くしてしまうので有利ではない。次に凝集物は60〜150℃、好ましくは100〜140℃の温度で、窒素中に弗素を混入した混合物を用いて弗素化してもよい。この混合物は一般に10重量%の弗素を含有している。弗素化は元の凝集物の末端基の90〜95%が除かれるまでの間継続する。更に高い弗素化温度は30%まであり得る制御困難なMFI値変化をもたらし得る。このことは分子量分布を拡大し得るし、性能にマイナスの影響を及ぼし得る。その結果として再現性が達成できず、それによって、ポリマーで被覆されている電線およびケーブルの品質および均一性にマイナスの影響がある。反応時間は比較的高い温度によって実質的に短縮されることがないので、比較的高い弗素化温度は有利であるとは考えられない。更に、高い温度は凝集物を予備焼結するかまたはそれどころか焼結してしまい、材料を装置壁に付着させてしまう。弗素化は材料を可動状態にしたままにするタンブル式乾燥器中で実施する。この様に均一反応条件が達成される。自由流動性凝集物はできるだけ微細成分を含むべきでなく、後処理の際に実質的に微細成分が生じない様に機械的に安定しているべきである。微細成分は本方法の信頼性にマイナスの影響を及ぼす。ここではヨーロッパ特許(B)第222,945号明細書に記載されている様な凝集物の硬化を省略することができる。
【0033】
凝集物の弗素化は二つの長所を有している。これは、ラテックス粒子表面に末端基が存在するので拡散制御されない。それ故に反応時間は比較的に短い。更に未硬化の凝集物は、金属不純物がタンブル式乾燥器の壁から掻き取られることがないほどに柔らかい。この様に金属不純物の含有量が低減される。両方とも溶融顆粒の弗素化に適合しない。この場合には、弗素化反応を拡散制御下に進めるために該反応に比較的高い温度および非常に長い反応時間が必要とされる。更に堅くシャープな形状の溶融物顆粒は著しい量の金属をタンブル式乾燥器の壁から掻き取ってしまう。反応時間の延長は金属含有不純物の量を著しく多くしてしまう。これらの不純物は除去することが困難である。金属不純物の測定値は顆粒法を使用する場合に20%代の程度で増加する。
【0034】
弗素化された凝集物を次いで溶融顆粒化する。
【0035】
乾燥および弗素化の際に凝集物が若干細分化される。その際に材料の自由流動性を妨害する微細成分が生じる。弗素化凝集物を溶融顆粒化の前に圧縮するのが有利である。この様にして確かな一定の計量供給速度が達成される。
【0036】
弗素化凝集物の溶融顆粒化は未弗素化凝集物の溶融顆粒化に比較して多くの長所をもたらす。この溶融顆粒化は実質的に分解現象なしに進行する。MFI値は殆ど変化しない。この調査の結果は実質的に弱い主鎖結合が存在しないことが推定させる。用いる装置の腐食が著しく減少する。それ故に取り込まれる金属不純物の量は極僅かである。ガス状分解生成物のノズル出口からの放出が非常に低減される(例えば40%代の程度)。方法全体がこれによって実質的に確実に成る。ノズルの閉塞の発生が非常に減少する。それ故に本方法は容易に制御できる。溶融顆粒は押出機をしばしばコーヒーブラウン色に変色させる未弗化凝集物より成る溶融顆粒と相違して全く変色しない。
【0037】
上記の方法に従って製造された溶融顆粒のMFI値は重合の際に沈殿するコポリマーに比較して僅かしか、即ち約10%程度しか増加しない。これによって均一な品質を容易に達成することができる。
【0038】
ドイツ特許出願公開(A)第19,547,909号明細書に記載されている様に溶融顆粒は揮発分およびCOF基を除くために水性処理に付す。ガス状分解生成物および酸性末端基が殆ど存在しないので、ステンレス製水処理容器の腐蝕が顕著に低減される。更に別の重金属含有汚染物も減少される。更には製法に起因する水溶性塩も除かれる。抽出可能なフッ化物の量は1ppmより少い量に減少する。
【0039】
試験方法
MFI値はASTM D1238(DIN53735)に従って372℃で5kgの荷重を負荷して測定する。MFI値は53150をMFI値で割ることによって0.1Pas(ポイズ)での溶融粘度の値に換算することができる(g/10分)。
【0040】
HFPの含有量は米国特許第4,552,925号明細書に従うFTIR−分光分析によって測定することができる。980cm-1あるいは2350cm-1の波長での吸収は350℃で製造されそしてFTIR−Nicolet Magna 560 FTIR−分光分析器を用いて測定される0.05±0.01mmの厚さのフィルムについて測定する。HFP含有量は次の式に従って算出される:
HFP含有量(重量%)=A980 /A2350×3.2
末端基(−COOH、−COF、−CONH2 )は、ヨーロッパ特許(B)第226,668号明細書および米国特許第3,085,083号明細書に記載されている様にFTIR−分光分析器によって測定される。この場合、350℃で製造される0.1mmの厚さのフィルムおよび分析される末端基を含有していない材料より成る対照用フィルムを使用する。ソフトウエアーを装備したNicolet Magna 560 FTIR−分光分析器を双方向減法モード(interactuive subtraction mode) で使用する。末端基の数は孤立したおよび会合したCOOH、CONH2 およびCOF基の合計である。
【0041】
コポリマーの融点はASTM D4591−87に従って10K/分の加熱速度でDSCによって測定した。ここに記載した溶融温度は第二溶融の際の吸熱のピーク温度である。
【0042】
Mw /Mn −比によって特徴付けられる分子量分布の幅は、Rheometric Scientific社の“Advanced Rheometer Expansion System”(ARES)を備えた流動学的分光分析によって測定した。この測定は372℃で実施しそしてW.H.Tuminello、Polym.Eng.Sci.26,1339(1989)の方法によって評価した。
【0043】
金属含有量を測定するために試料を室温で72時間にわたって3%の濃度のNHO3 で抽出処理しそして抽出物を原子吸収分光分析器で分析した。
【0044】
溶融顆粒中の抽出可能なフッ化物イオンの含有量はヨーロッパ特許(B)第220,910明細書に記載の方法で測定した。しかしながら抽出は水だけで実施した。
【0045】
【実施例】
例1:
1500Lのステンレス製反応器に3kgのペルフルオロオクタン酸のアンモニウム塩を含有する1000Lの脱イオン水を最初に導入する。空気を減圧および窒素での洗浄によって除いた。この反応器を70℃に加熱しそしてこの温度に維持する。その後に2kgの25%濃度アンモニア水溶液を添加する。
【0046】
反応器をTFEとHFPとで17barの全体圧に加圧する。その際にHFP分圧は12.5barである。5Lの脱イオン水に溶解した溶液として1600gの過硫酸アンモニウムを添加することによって重合を10分の間に開始する。反応器中にTFE/HFPのガス混合物を補充することによって圧力を一定に維持する。TFE/HFP−重量比は0.14である。6時間後にモノマーの供給を中断することによって反応を終了する。モノマーを反応器の放圧によって排気する。反応器を室温に冷却した後に内容物を排出する。ポリマー分散物の固形分含有量は29%である。この分散物は実質的に凝集物を含んでいない。MFI値は20g/10分である。コポリマーのHFP含有量は13重量%である。融点は255℃である。このコポリマーは106 の炭素原子当り660個のCOOH末端基を有している。測定されたMw /Mn −比は1.7であり、重合速度/時間のの曲線から算出されるMw /Mn −比は1.6である。
【0047】
この分散物をホモジナイザーを使用して凝固させ、そしてガソリンを用いて凝集させる。凝集物を脱イオン水で3度洗浄しそしてタンブル式乾燥器中で180℃で6時間乾燥する。その際に最初に窒素で洗浄しそして次に減圧下に乾燥する。
得られる凝集物を2つに分ける。次にその1つを溶融顆粒化し、水で洗浄しそして乾燥する。その際にコーヒーブラウン色になる。残るCOF末端基を除くための弗素化および再度の水での処理の後には変色は無くなった。この試料をA0と称する。この物質は百万個の炭素原子当り43個の末端基を有している。凝集物のもう一方を最初に弗素化し、次いで溶融顆粒化し、水で処理しそして乾燥した。A1と称するこの試料は百万個の炭素原子当り18個の末端基を有している。
【0048】
いずれの方法段階でも鉄、ニッケルおよびクロムの含有量は抽出法を用いて測定した。結果を表1に末端基の量と一緒に示す。
【0049】
表1:種々の加工段階の後の試料A0とA1の金属不純物。凝集物は660個の末端基を持つ。
【0050】
試料A0:溶融顆粒の弗素化(比較例)
各加工段階
*)百万個の炭素原子当り18個の末端基
300Lのステンレス製タンブル式乾燥器で、窒素に10%の弗素を混入した混合物を用いて140℃で(試料A0)あるいは100〜140℃で(試料A1)弗素化を実施する。詳細は表2に掲載してある。弗素混合物を数度交換しなければならなかった(補充)。弗素化の最後に過剰の弗素を、空気洗浄することによって反応器から追い出す。Al2 O3 −顆粒床を通りそしてCaCO3 の水性スラリーを含有する洗浄器を通る空気流を通すことによって吸収させる。
【0051】
表2:試料A0およびA1のための弗素化条件
*) 最後の1時間を除いて30分毎に補充
**)百万個の炭素原子当りCOOH、COFおよびCONH2 の末端基合計
溶融顆粒物の水処理(ドイツ特許出願公開(A)第19,547,909号明細書)をステンレス製の1000Lの反応器で実施する。200kgの溶融顆粒および1Lの25%濃度アンモニア水を含有する400Lの脱イオン水を反応器に最初に導入する。この反応器を100℃に加熱しそして未弗素化溶融顆粒の場合には4時間そして弗素化溶融顆粒の場合には1時間この温度に維持する。COF末端基の含有量を5ppmより少なく減少させるためにこの反応時間が必要とされる。反応器を二度水を交換することで冷却する。生成物の乾燥を反応器中に熱気を吹き込むことによって行なう。溶融顆粒は0.1ppmの抽出可能フッ化物イオンを含有している。
【0052】
例2
試料A11をC1と称する市販の製品と一緒に2つの異なる条件設定のもとで電線被覆押出器に通す。試料A11はA1と同様に製造したが、24g/10分のMFI値を有している。重合および加工に関してはA11の場合もA1と同じである。A11は28個の末端基および18ppbの鉄含有量を有している。測定されたMw /Mn −比は1.6であった。計算値は1.7であった。抽出可能なフッ化物イオンの含有量は0.2ppmであった。
【0053】
被覆条件を表3に総括掲載する。
【0054】
表3:市販製品C1および試料A0と比較しての本発明の材料の被覆性能
表に記載していない温度プロフィールは、線の生産を最大にするために僅かに調整する。その際に0.00075〜0.0018cm(0.0003〜0.0007インチ)の絶縁部偏心(Isolierungsexentrizitaet)の差を維持する。
【0055】
実験1および2では運転時間の間に顕著なノズル沈着物もなく、かつカップ状破面も確認されなかった。実験3では同じ運転時間の間に顕著なノズル沈着物もカップ状破面も確認された。溶融温度(即ち250℃)以上でC1をエージングした場合には褐色に顕著に変色した。
【0056】
例3:
試料A11、A12および市販の製品で、僅かに相違する電線被覆押出機に通して被覆する。
【0057】
被覆条件は表4に示す。
【0058】
表4
2つの市販品と比較しての本発明の材料の性能
温度プロフィールは、線の生産を最大にするために僅かに後調整した。その際に0.00075〜0.0018cm(0.0003〜0.0007インチ)の絶縁部偏心の差を維持する。
【0059】
実験1では青色、緑色、オレンジ色、褐色および白色の電線を押し出す際に顕著なノズル沈着物がなくかつ2つのカップ状破面が確認された。
【0060】
実験2では24時間の運転時間の間に顕著なノズル沈着物が確認でき、かつ平均して6〜8つのカップ状破面も確認された。
Claims (3)
- 実質的に78〜95重量%の四フッ化エチレンのモノマー単位および5〜22重量%の六フッ化プロピレンのモノマー単位よりなるか、またはこれらモノマー単位の他に、該四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの混合物と一緒に共重合できる最高3モル%の弗素化モノマーの単位を含む、2より小さい重量平均分子量:数平均分子量−比および1×106の炭素原子当り80個より少ない不安定末端基を有しそして水性乳化重合によって得られ、そして200ppbより少ない重金属を含有している、溶融物から加工できる溶融顆粒化されたコポリマー。
- 実質的に78〜95重量%の四フッ化エチレンのモノマー単位および5〜22重量%の六フッ化プロピレンのモノマー単位よりなるか、またはこれらモノマー単位の他に、該四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの混合物と一緒に共重合できる最高3モル%の弗素化モノマーの単位を含む、2より小さい重量平均分子量:数平均分子量−比および1×106の炭素原子当り80個より少ない不安定末端基を有するコポリマーを製造する方法において、モノマー類を水性乳化重合によって水性媒体中で重合し、得られるコポリマーを実質的に機械的手段によって凝固させ、凝固させたコポリマーを水と実質的に混和しない有機系液体と接触させることによって凝集させ、凝集物を単離し、その凝集物を部分的に焼結することなく乾燥させて自由流動性凝集物とし、この自由流動性凝集物を60℃から予備焼結温度までの温度で、不安定末端基が安定な末端基に実質的に転化されるまでの間、有効量の弗素と接触させ、弗素化された凝集物を溶融顆粒化しそして溶融顆粒物を60〜130℃の温度で水と接触させることを特徴とする、上記方法。
- 電線の押出被覆の際にカップ状破面の発生回数を減少させる方法において、以下の各段階
a)実質的に78〜95重量%の四フッ化エチレンおよび5〜22重量%の六フッ化プロピレンよりなるか、またはこれらモノマーの他に、該四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの混合物と一緒に共重合できる最高3モル%の弗素化モノマーよりなる、重量平均分子量:数平均分子量−比が2より小さいコポリマーを準備し;
b)電線またはケーブル導体を準備し;
c)ポリマーを均一に流動させるのに十分な温度で上記導体の回りにコポリマーを押し出し成形する
を包含する、上記方法。
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