JPH07178535A - 黒鉛を有するハイス系複合回転部材の製造方法 - Google Patents

黒鉛を有するハイス系複合回転部材の製造方法

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JPH07178535A
JPH07178535A JP32848393A JP32848393A JPH07178535A JP H07178535 A JPH07178535 A JP H07178535A JP 32848393 A JP32848393 A JP 32848393A JP 32848393 A JP32848393 A JP 32848393A JP H07178535 A JPH07178535 A JP H07178535A
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Yutaka Tsujimoto
豊 辻本
Yoshito Seto
良登 瀬戸
Akitoshi Okabayashi
昭利 岡林
Takeru Morikawa
長 森川
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  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 外層の摩擦係数が低く、またクラックの進展
が生じにくい複合ロール等の複合回転部材の製造方法を
提供する。 【構成】 円筒状の鋳型に強靱材で形成された軸部材を
同心状に連続的に降下させ、鋳型と軸部材との隙間に外
層材溶湯を連続的に注入すると共に鋳型下部で凝固させ
て、軸部材の外周面に外層を溶着一体的に形成する複合
回転部材の製造方法である。前記外層材として、化学組
成がwt%で、 C :1.8 〜3.6 %、 Si:1.0 〜3.5 %、 Mn:
0.1 〜2.0 %、Cr:2.0 〜10 %、 Mo:0.1 〜10
%、 W :0.1 〜10%、V, Nb: 一種又は二種の
総計で1.5 〜10%、及び残部が実質的にFeからなる黒
鉛を有するハイス系鋳鉄材を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、いわゆる連続肉盛溶接
法により、軸部材の外周面にハイス系鋳鉄材からなる外
層が鋳造形成された複合ロール、複合ローラー等の回転
部材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強靱材で形成された軸部材の外周面に圧
延使用層である外層が溶着一体化された複合ロールの好
適な製造方法として、特開昭60−180660号公報
に開示されているように、いわゆる連続肉盛溶接(鋳
造)法がある。この方法は、上部に高周波誘導加熱コイ
ルを備え、下部に水冷鋳型を備えた円筒状の連続肉盛用
鋳型に強靱材で形成された軸部材を同心状に連続的に降
下させ、鋳型の上部から鋳型と軸部材との隙間に外層材
溶湯を連続的に注入すると共に鋳型下部で凝固させて、
軸部材の外周面に外層を溶着一体化する方法である。こ
の方法によると、溶着の際に外層の高合金成分が軸部材
に混入してその靱性を劣化させることがなく、また軸部
材として強靱な低合金鋼を使用することができ、好適で
ある。
【0003】一方、外層鋳造用の高耐摩耗性鋳鉄材とし
て、特開平4−176840号公報に開示されているよ
うに、下記化学組成(wt%)を有するハイス系鋳鉄材は
公知である。 C :1.0 〜3.0 %、 Si:0.1 〜2.0 %、 Mn:
0.1 〜2.0 %、Cr:3.0 〜10.0%、 Mo:0.1 〜6.
0 %、 W :1.5 〜10.0%、V、Nbの一種又は二種の
合計:3.0 〜10.0%、 残部実質的にFe かかるMo、W、Vを含有するハイス系鋳鉄材は、高温
での特性に優れ、かつ組織中にVCやM2C 、M6C 等の高
硬度晶出炭化物を有しているため、極めて良好な耐摩耗
性と耐肌荒性を兼備しており、複合ロール、複合ローラ
等の外層材として使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のハイス
系鋳鉄材は、摩擦係数が大きく、その結果、圧延荷重の
増大やそれに伴う通板性のアンバランス、発熱等の問題
がある。尚、通板性とは圧延板のロール表面からの離反
の容易さをいい、これが悪いと圧延板がロール表面に付
着し、円滑な走行が妨げられて蛇行し、著しい場合は圧
延板の重なり、皺などの表面損傷が生じる。また、圧延
時にロールに過大な負荷がかかったとき、ロール表面に
生じたミクロクラックが、その後外層内部に進展し易
く、甚だしい場合は外層の割損に至るという問題があ
る。
【0005】本発明は係る問題に鑑みなされたもので、
外層の摩擦係数が低く、またクラックの進展が生じにく
い複合ロール等の複合回転部材の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の複合回転部材の
製造方法は、円筒状の鋳型に強靱材で形成された軸部材
を同心状に連続的に降下させ、鋳型と軸部材との隙間に
外層材溶湯を連続的に注入すると共に鋳型下部で凝固さ
せて、軸部材の外周面に外層を溶着一体的に形成する複
合回転部材の製造方法において、前記外層材として、化
学組成がwt%で、 C :1.8 〜3.6 %、 Si:1.0 〜3.5 %、 Mn:
0.1 〜2.0 %、Cr:2.0 〜10 %、 Mo:0.1 〜10
%、 W :0.1 〜10%、V, Nb: 一種又は二種
の総計で1.5 〜10%、及び残部が実質的にFeからなる
黒鉛を有するハイス系鋳鉄材を使用する。この際、前記
合金成分の他に、Co:0.5 〜10.0 wt %又はAl:0.
01〜0.50wt%,Ti:0.01〜0.50wt%,Zr0.01〜0.50
wt%の内の一種もしくは二種以上又はB:0.01〜0.50wt
%を含有することができる。また、軸部材としては、強
靱性に優れた鋼材を使用するとよい。
【0007】
【作用】本発明によれば、軸部材の外周面に連続肉盛溶
接法により外層を鋳込むので、鋳型内での凝固途中で高
周波誘導加熱コイルの加熱により外層材溶湯が攪拌さ
れ、外層組織が微細になる。また、軸部材は予め加工さ
れたものであり、各種鋼材等適宜の強靱材を使用するこ
とができるため、軸部材の強度、靱性の向上も容易であ
る。また、外層の溶着に際して、軸部材に外層材の高合
金成分が混入するおそれがなく、軸部材の靱性が劣化す
るおそれがない。
【0008】また、本発明にかかる外層材のハイス系鋳
鉄材は、Cr, Mo,W,Nb,V,FeおよびCが相
互に結合した高硬度の複合炭化物が基地中に存在するた
め、またCoによる基地の強化により、常温および高温
における硬度が向上し、耐摩耗性が飛躍的に向上する。
更に、特にC、Siを特定範囲に規定しているため、組
織中に黒鉛が面積率で0.1 〜7.0 %程度晶出・析出し、
この黒鉛の作用により、衝撃荷重を緩和することができ
ると共にクラックの進展が阻止され、また摩擦係数の低
減や耐焼付性の向上が図られる。更に、連続肉盛溶接法
によると、凝固速度を速くすることが可能になり、晶出
する黒鉛が微細になり、黒鉛を起点とする摩耗を抑える
ことができ、耐摩耗性、耐肌荒性を改善することができ
る。従って、本発明により製造された複合ロールは圧延
に際して同外層材の優れた特性を発揮させることがで
き、圧延荷重や摩擦熱の低減、通板性の向上が図られ、
クラックの進展を抑制し得る。この圧延ロールは、黒鉛
の作用により耐焼付性も良好なため、冷間圧延用ロール
としても好適である。また本発明により、圧延付帯設備
に使用される複合ローラー等の回転部材を好適に提供す
ることができる。
【0009】
【実施例】まず、本発明にかかる黒鉛を有するハイス系
鋳鉄材の化学組成の限定理由について説明する。以下、
成分の単位はすべてwt%である。 C:1.8 〜3.6 % Cは主としてFeおよびCrと結合してM7 3 型の高
硬度複合炭化物を形成すると共に、Cr, Mo, V, N
b, Wと結合してMC型,M6 C型,M2 C型等の高硬
度複合炭化物をも形成する。また、後述の黒鉛化促進元
素であるSiの作用により、また熱処理により微細な黒
鉛となって組織中に晶出・析出する。1.8 %未満では炭
化物量が減少すると共に黒鉛がほとんどなくなり、一方
3.6%を越えて含有されると炭化物量及び黒鉛量が過多
となり、材質が脆くなる。
【0010】Si:1.0 〜3.5 % Siは湯流れ性の確保および黒鉛を晶出・析出させるた
めに必要な元素であり、1.0 %未満ではかかる作用が不
足し、一方3.5 %を越えると黒鉛が面積率で7%を越え
るように過多となり、黒鉛を起点とする摩耗が著しくな
り、耐摩耗性が劣化する。尚、黒鉛の晶出を促進するに
は、鋳込み前のSi量を上記成分範囲よりも低めにして
おいて、鋳込み時に接種を行い、最終製品の成分で上記
範囲内に調整するのがよい。
【0011】Mn:0.1 〜2.0 % Mnは硬化能を増し、また、Sと結合してMnSを生成
し、Sによる脆化を防ぐ元素であり、同時に使用原材料
から 0.1%程度は不可避的に含有される。しかし、 2.0
%を越えると靭性の低下を招くため好ましくない。 Cr:2.0 〜10% CrはFe, Mo, V, Nb, Wと共にCと結合して、
高硬度複合炭化物を形成して高温に於ける耐摩耗性の向
上に寄与する。また、一部は基地中に固溶して焼入れ性
および耐摩耗性を改善する。 2.0%未満ではこれらの効
果が少なく、一方10%を越えて含有されると靭性の劣化
を来すため好ましくない。
【0012】Mo:0.1 〜10% MoはFe, Cr, V, Nb, Wと共にCと容易に結合
して、主としてM7 3 型, M6 C型, M2 C型複合炭
化物を形成し、常温および高温硬度を高めて耐摩耗性の
向上に寄与する。MoはWに比較して少量添加でその効
果を発揮する。このさい、 0.1%未満ではその効果が過
少であり、一方10%を越えると靭性の低下を来し好まし
くない。
【0013】W:0.1 〜10% Wも同様にFe, Cr, Mo,V, Nbと共にCと容易
に結合して複合炭化物を形成し、常温および高温硬度を
高めて耐摩耗性の向上に寄与する。 1.5%未満では所期
の耐摩耗性を得ることができず、一方、10.0%を越える
と靭性の低下を来し、耐ヒートクラック性を悪化させ
る。
【0014】V, Nb:一種又は二種の総計で1.5 〜10
% VはNbと同様にFe, Cr, Mo, Wと共にCと容易
に結合して、主としてMC型の複合炭化物を形成し、常
温および高温硬度を高めて耐摩耗性の向上に寄与する。
また、このMC型複合炭化物は厚さ方向に枝状に生成す
るため、基地の塑性変形を抑止し、機械的性質、さらに
は耐クラック性の向上にも寄与する。単独または二種を
複合して 1.5%以上添加しないとかかる効果は現れにく
い。しかし、添加量が10%を越えると靭性の低下を招来
する。
【0015】本発明にかかるハイス系鋳鉄材は以上の合
金成分のほか残部がFeおよび不可避的に混入した不純
物で形成される。尚、P, Sは原料より不可避的に混入
するが、材質を脆くするので少ない程望ましく、P:0.
2 %以下、S:0.1 %以下に止めておくのがよい。本発
明にかかる鋳鉄材には、前記合金成分の他に、必要に応
じて、Co:0.5〜10.0%、又は/及び下記組成範囲の
Al, Ti,Zrの内の一種又は二種以上、又は/及び
B:0.01〜0.50%を含有することができる。
【0016】Co:0.5 〜10.0% Coは基地を改善する上で大きな効果がある。CoはC
の拡散を抑制する特殊な作用があり、炭化物の形成には
無関係に基地に固溶して強靭性を増すと共に、高温硬さ
と耐摩耗性を向上する効果がある。また、Coは炭化物
生成元素のオーステナイト中への固溶量を増大させるた
め、基地の硬さと焼戻し抵抗が増大する。これらの効果
を期待するには 0.5%以上の含有が必要であるが、10.0
%を超えて添加してもその効果が飽和し、かつ、高価な
元素であるので、0.5 〜 10.0 %とする。
【0017】Al, Ti,Zr:各々0.01〜0.50% Al, Ti,Zrは溶湯中で酸化物を生成して、溶湯中
の酸素含有量を低下させ、製品の健全性を向上させると
共に、生成した酸化物が結晶核として作用するために凝
固組織の微細化に効果がある。0.01%未満ではこの効果
は十分ではなく、一方、0.50%を越えて含有されると介
在物となって残留し、好ましくない。尚、Al, Ti,
Zrは、本発明では主として鋳造組織の微細化による耐
摩耗性改善のために添加されるものであり、単に脱ガス
を目的として添加されるものではない。
【0018】B:0.01〜0.50% Bは溶湯中の酸素と結合して、脱酸効果を示す。その
他、生成した酸化物を核とする凝固組織の微細化効果、
および基地中に溶け込んだBによる焼入れ性の増大効果
を有する。圧延ロールのような大質量の鋳物の場合、冷
却温度を速くすることが困難な場合があるが、焼入れ性
の増大によって、焼入れ組織を得易くなる。0.01%未満
ではこのような効果が十分ではなく、一方0.50%を越え
ると材質が脆くなり好ましくない。
【0019】本発明は既述の連続肉盛溶接法により、叙
上のハイス系鋳鉄材からなる外層を軸部材の外周面に溶
着一体化して二層複合ロールや二層複合ローラー等の複
合円筒部材を製造するものであるが、軸部材としては中
実状または円筒状の何れをも使用することができ、その
材質としては高級鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、黒鉛鋼、鋳鋼
(C:1.0%以上)等の強靱性を有する鋳造用鉄鋼材
や、鍛鋼、機械構造用炭素鋼(SC材)、機械構造用低
合金鋼(SCM材、SNCM材等)等の強靱性鋼材を適
宜使用することができる。なお、軸部材の外周面にNi
メッキを数μm〜20μm程度形成しておくことによ
り、軸部材の表面酸化を防止することができ、また外層
との溶着性を改善することができ好適である。
【0020】軸部材を片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄又は
黒鉛鋼、すなわち黒鉛の晶出した鉄鋼材で形成した場
合、外層の黒鉛の存在と相まって熱伝導性ひいては放熱
性に優れ、圧延時のロールの熱変形を防止することがで
きる。またこれらの材質ではヤング率が19000kgf/
mm2 程度以下であり、外層のそれよりかなり低くするこ
とができるため、過負荷時にはロールの偏平化によって
負荷を吸収し、外層に過大な応力を生じるのを防止する
ことができる。また、良好な靱性を有するため、衝撃的
な圧延トルクに対しても耐えることができ、ネック部の
ベンダー制御の容易さや大きな衝撃吸収能力が得られ好
適である。
【0021】以下、高級鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、黒鉛鋼
の好適な組成例(wt%)を示す。 ・ 高級鋳鉄 C :2.5 〜4.0 %、 Si:0.8 〜2.5 %、Mn:
0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、S :0.2 %以
下、 Ni:3.0 %以下、Cr:2.0 %以下、
Mo:2.0 %以下、残部:実質的にFe ・ ダクタイル鋳鉄 C :2.5 〜4.0 %、 Si:1.3 〜3.5 %、Mn:
0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、S :0.2 %以
下、 Ni:3.0 %以下、Cr:2.0 %以下、
Mo:2.0 %以下、Mg:0.02〜0.1 %、残部:実質
的にFe ・ 黒鉛鋼 C :1.0 〜2.3 %、 Si:0.5 〜3.0 %、Mn:
0.2 〜1.5 %、 P :0.2 %以下、S :0.2 %以
下、 Ni:3.0 %以下、Cr:2.0 %以下、
Mo:2.0 %以下、W, V, Nb:合計で4.0 %以
下、残部:実質的にFe 本発明にかかる黒鉛を有するハイス系鋳鉄材は、複合円
筒部材の外層として肉盛鋳造後、焼入れ温度(オーステ
ナイト化温度) から 400〜 650℃までの温度域を 100℃
/Hr以上の冷却速度で焼入れることにより、良好な焼
入れ組織を得ることができる。焼戻しは 500〜 600℃の
温度で1回ないし数回行なうとよい。本発明に係る外層
材は、オーステナイト化熱処理の際に基地中に固溶した
Mo, W, V, Nb等が焼戻し熱処理によって微細炭化
物として析出し、焼戻し2次硬化現象を生じるため、高
温硬度に優れる。また、焼戻し熱処理によって組織中に
黒鉛が析出する。
【0022】外層の加熱方法としては、円筒部材全体を
加熱炉に入れて加熱する方法、外層外周面の回りに誘導
加熱コイルや多数のガスバーナを配置しておき、これら
によって外層のみを急速加熱する方法がある。前者は昇
温に時間がかかり、外層表面に厚い酸化膜ができ、外層
の歩留りが低下する。更に、軸部材を鋳鉄材質で形成す
る場合、軸部材の溶損を回避して加熱するには1100℃
(望ましくは1000℃) 以下の加熱に止めなければなら
ず、このため炭化物を基地中に十分固溶させることが難
しく、以後の熱処理によっても十分な硬度が得難いとい
う問題がある。これに対して、外層のみの加熱方法によ
れば、外層(溶着部の近傍付近までの部分)を1100℃以
上に、軸部材を1100℃未満に止めることができるので、
軸部材の部分溶融や、結晶粒の粗大化による強度低下を
防止することができる。また、軸部材の中心に向かうほ
ど低温となるため、オーステナイト化温度に加熱後、外
層の熱を内部へ逃がすことができ、焼入れの際、外層深
部の冷却速度を大きくすることができる。
【0023】次に本発明の具体的実施例を掲げる。低合
金鋼(SCM440)及びダクタイル鋳鉄(DCI)の
棒材から外径φ300mmの軸部材を製作した。該軸部材
を肉盛溶接用鋳型に通して加熱コイルにより650〜6
80℃に予熱した後、表面温度が1050℃程度になる
ようにコイルの出力を上げ、軸部材の下端に付設した円
板により鋳型内部の円筒状鋳造空間を塞ぐようにしなが
ら軸部材を鋳型内に下降させつつ、下記表1に記載した
外層材溶湯(鋳込み温度:1400℃)を鋳型の上部開
口より湯面が一定になるように連続的に注入した。この
際、鋳型上部において軸部材の回りに充満した溶湯表面
をフラックスでカバーした。尚、試料No. 1〜5は実施
例、No. 6は従来例であり、軸部材の材質はNo. 1〜3
がSCM440、No. 4〜6がDCIである。
【0024】
【表1】
【0025】軸部材を30mm/分の速度で下降させ、溶
湯を鋳型下部の水冷鋳型で凝固させつつ、外層を軸部材
に溶着一体化した。所定量の溶湯を注入した後、注入を
停止し、軸部材を鋳型の下方から引き出して、軸部材の
外周面に外層が形成された複合ロールを得た。該複合ロ
ールを超音波探傷試験に供したところ、軸部材と外層と
は完全に溶着していることが確認された。
【0026】次に、各ロール外層より、試験片を採取
し、ミクロ組織を顕微鏡観察し、晶出黒鉛の面積率を測
定した。その結果を表2に示す。同表より、実施例では
黒鉛が面積率で3.8〜4.9%生成しているが、従来
例のハイス系耐摩耗材では黒鉛の晶出が皆無であった。
【0027】
【表2】
【0028】各試験片を1100℃で1hr保持後、強
制空冷により焼入れし、その後540℃で10hrの焼
戻し熱処理を3回繰り返した。各試料の表面硬度を測定
した。また、各試験片から丸棒試験片を採取し、ファレ
ックス試験により摩擦係数を測定した。ファレックス試
験とは試験片を回転させながら一対のVブロック( 材質
ステンレス鋼SUS430)で挟持押圧して、回転トル
クの大きさ、変動により摩擦係数や焼付性を調べるもの
である。今回使用したブロックの材質はS45Cであ
り、押圧力は30kgf 、回転数は300rpm 、試験時間
は1分とした。
【0029】それらの結果を表2に併せて示す。同表よ
り、実施例の外層材では焼き付きは皆無であったが、従
来例では焼き付きが発生し、摩擦係数についても従来例
に対して、14〜28%の低減効果が認められる。
【0030】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、軸部材とし
て任意の強靱材を使用することができ、外層との溶着に
際して外層材の高合金成分が軸部材に混入する恐れがな
く、軸部材の強靱性が劣化することがない。また、外層
材を形成する黒鉛を有するハイス系鋳鉄材は、Cr, M
o,W,Nb,V,FeおよびCが相互に結合した高硬
度の複合炭化物が基地中に存在するため、またCoによ
る基地の強化により、常温および高温における硬度が向
上し、耐摩耗性が飛躍的に向上する。更に、特にC、S
iを特定範囲に規定しているため、組織中に黒鉛が晶出
・析出し、この黒鉛の作用により、衝撃荷重を緩和する
ことができると共にクラックの進展が阻止され、また摩
擦係数の低減や耐焼付性の向上が図られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森川 長 兵庫県尼崎市西向島町64番地 株式会社ク ボタ尼崎工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒状の鋳型に強靱材で形成された軸部
    材を同心状に連続的に降下させ、鋳型と軸部材との隙間
    に外層材溶湯を連続的に注入すると共に鋳型下部で凝固
    させて、軸部材の外周面に外層を溶着一体的に形成する
    複合回転部材の製造方法において、 前記外層材の化学組成がwt%で、 C :1.8 〜3.6 %、 Si:1.0 〜3.5 %、 Mn:
    0.1 〜2.0 %、 Cr:2.0 〜10 %、 Mo:0.1 〜10%、 W :
    0.1 〜10%、 V, Nb: 一種又は二種の総計で1.5 〜10%、及び残部
    が実質的にFeからなる黒鉛を有するハイス系複合回転
    部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の合金成分の他に、Co:0.5
    〜10.0wt%を含有する黒鉛を有するハイス系複合回転部
    材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1の合金成分の他に、Al:0.01
    〜0.50wt%、Ti:0.01〜0.50wt%、Zr:0.01〜0.50
    wt%の内の一種又は二種以上を含有する黒鉛を有するハ
    イス系複合回転部材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1の合金成分の他に、B:0.01〜
    0.50wt%を含有する黒鉛を有するハイス系複合回転部材
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 軸部材が鋼材で形成されている請求項
    1、2、3又は4に記載した黒鉛を有するハイス系複合
    回転部材の製造方法。
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