JPH0717545B2 - 4―ビニルビフェニル類の製造方法 - Google Patents

4―ビニルビフェニル類の製造方法

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JPH0717545B2
JPH0717545B2 JP2329954A JP32995490A JPH0717545B2 JP H0717545 B2 JPH0717545 B2 JP H0717545B2 JP 2329954 A JP2329954 A JP 2329954A JP 32995490 A JP32995490 A JP 32995490A JP H0717545 B2 JPH0717545 B2 JP H0717545B2
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dehydrogenation reaction
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、4−ビニルビフェニル類の製造方法に関す
る。本発明により得られた4−ビニルビフェニル類は重
合用モノマー又は種々の共重合用コモノマーとして有用
である。
[背景技術] 4−ビニルビフェニル類の製造方法としては、グリニヤ
ール反応を用いる方法(Burnagin N.A. et al,Metalloo
rg.Khim.,1989,2(4)893−897;Uglova E.V. et al,Iz
v.Akad.Nauk SSSR,Ser.Khim.,1985,(9)2120−2129)
が知られている。この方法は少量生産には向いている
が、高純度の出発原料を用いる必要があり、また反応後
の処理が必要であるなどのため、比較的生産量が大きい
場合には好適な方法ではない。また光分解反応を用いる
方法(タカムラら、日化誌1984(1)67−74)も知られ
ているが、この方法も同様に比較的大きな規模の生産に
は有利な方法であるとはいえない。
ところで、4−ビニルビフェニル類の製造方法として、
ベンゼンのエチル化反応によりモノエチルベンゼンを製
造する際に副生する、ジエチルベンゼンを主成分とする
ライトポリエチルベンゼンをビフェニルとトランスアル
キル化反応した後、蒸留処理して得たモノエチルビフェ
ニル組成物を出発原料とし、これを脱水素して4−ビニ
ルビフェニルを製造する方法が考えられるが、出発原料
である前記モノエチルビフェニル組成物は、4−エチル
ビフェニル以外に3−エチルビフェニルを含むため、こ
れを脱水素反応した場合に4−ビニルビフェニル以外に
4−ビニルビフェニルも生成する。また出発原料である
モノエチルビフェニル組成物は、脱水素反応を受けない
ビフェニル、9−メチルフルオレン等をも含むため、こ
れらの物質は脱水素反応後も反応混合物に残存してい
る。さらに未反応の4−エチルビフェニルおよび3−エ
チルビフェニルも反応混合物に残存している。従って、
この反応混合物から3−ビニルビフェニル、ビフェニ
ル、9−メチルフルオレン、4−エチルビフェニル、3
−エチルビフェニル等を分離して、高純度の4−ビニル
ビフェニルを得るためには、精製工程が必要となるが、
4−ビニルビフェニルを簡便に分離精製し高純度の4−
ビニルビフェニルを製造する方法は現在迄に見い出され
ていない。たとえば、蒸留操作により分離精製しようと
しても、4−ビニルビフェニルは沸点が高く、しかも不
純物である3−ビニルビフェニルよりは沸点が高いが、
沸点差がほとんどないので、蒸留法は採用困難であっ
た。
[発明の目的] 従って本発明の目的は、4−エチルビフェニル類を含有
する炭化水素混合物を出発物質として用い、簡便な反応
操作と分離精製操作で高純度の4−ビニルビフェニル類
を製造することができる方法を提供することにある。
[目的を達成するための手段] 本発明は上記目的を達成するためになされたものであ
り、本発明の4−ビニルビフェニル類の製造方法は、4
−エチルビフェニル類を含有する炭化水素混合物を、ス
チームを吹き込みながら脱水素触媒の存在下に脱水素反
応し、得られた4−ビニルビフェニル類を含む脱水素反
応生成物に、4−ビニルビフェニル類に対する良溶媒を
添加して急冷し、次いで上記脱水素反応生成物の良溶媒
溶液を濃縮した後、濃縮液に純度95%以上の低級アルコ
ールを添加して晶析により4−ビニルビフェニル類を分
離精製することを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、出発原料として、4−エチルビフェ
ニル類を含有する炭化水素混合物が用いられる。ここに
「4−エチルビフェニル類」とは、4−エチルビフェニ
ルそれ自体及び/又は脱水素反応を受けない置換基(例
えばメチル基、水酸基、ハロゲン原子など)がビフェニ
ル環に置換されている4−エチルビフェニル類を意味す
る。出発原料の4−エチルビフェニル類含有炭化水素混
合物の具体例として、(i)ベンゼンのエチル化反応に
よりモノエチルベンゼンを製造する際に副生する、ジエ
チルベンゼンを主成分とするライトポリエチルベンゼン
を、ビフェニルと塩化アルミニウム触媒の存在下にトラ
ンスアルキル化反応して得られたモノエチルビフェニル
組成物、(ii)ビフェニルのエチレンによるアルキル化
反応によって得られたモノエチルビフェニル組成物など
が挙げられる。
本発明においては、先ず、上述の4−エチルビフェニル
類含有炭化水素混合物を、スチームを吹き込みながら脱
水素触媒の存在下に脱水素反応する。炭化水素混合物
(O)に対するスチーム(S)の重量比(S/O)は5〜1
5とするのが好ましい。とくに、この重量比(S/O)が小
さくなると、4−ビニルビフェニル類の収率が低くなる
傾向があり、更に反応器出口の配管に重合物が堆積し、
1カ月以上の長期連続運転ができなくなる傾向があるの
で、好ましくない。また脱水素触媒としては、鉄系脱水
素触媒を用いるのが好ましく、このような鉄系脱水素触
媒としては、Fe2O3を主成分としK2Oを第二成分、第三成
分としてCr2O3、Ce2O3、MoO3、CaO、MgOなどを一種もし
くは二種以上含有する触媒が好ましい。
脱水素反応の温度は580〜640℃とするのが好ましい。脱
水素反応の温度が低いと4−ビニルビフェニル類の収率
が下がり、この温度が高いと重合物が生成しやすくなる
ので、いづれも好ましくない。
脱水素反応は、触媒を充填した固定床または流動床型反
応器などを用いて行われる。この脱水素反応により4−
ビニルビフェニルそれ自体及び/又はメチル基、水酸
基、ハロゲン原子などの脱水素反応を受けない置換基が
ビフェニル環に置換されている4−ビニルビフェニル類
が生成する。
脱水素反応後、得られた4−ビニルビフェニル類を含む
脱水素反応生成物を、4−ビニルビフェニル類に対する
良溶媒を添加して急冷する。良溶媒としては、ベンゼ
ン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族系
溶媒を用いるのが好ましい。脱水素反応生成物に添加さ
れる良溶媒の量は、出発原料の炭化水素混合物に対して
5〜15容量倍とするのが好ましい。とくに、良溶媒の量
が少ないと、反応器出口の配管に重合物が蓄積しやすく
なり、長期連続運転を困難にするので、好ましくない。
なお使用された良溶媒は通常、晶析工程で回収し、再使
用する。
急冷後、脱水素反応生成物の良溶媒溶液を濃縮する。濃
縮は、濃縮液中の良溶媒が10〜30重量%の濃度になるま
で行なうのが好ましく、濃縮液に結晶が析出しない20〜
30重量%の濃度になるまで行なうのが好ましい。
次に、得られた濃縮液に純度95%以上の低級アルコール
を添加して4−ビニルビフェニル類を晶析させる。低級
アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プ
ロパノール、イソプロパノールなどが挙げられる。ここ
に「純度95%以上の低級アルコール」とは、低級アルコ
ールに水等の他の溶媒が5%未満含まれていても良いこ
とを意味する。低級アルコールの純度は4−ビニルビフ
ェニル類の回収率と純度に影響し、低回収率で高純度の
4−ビニルビフェニル類を得る場合には純度の高い低級
アルコールが好ましく、その逆に回収率を高くする場合
には低純度の低級アルコールを使用するとよい。純度95
%以上の低級アルコールの量は、濃縮液に対して7〜15
容量倍が好ましい。晶析した4−ビニルビフェニル類
は、濾過、遠心分離等により分離される。必要に応じて
分離後の4−ビニルビフェニル類を4−ビニルビフェニ
ル類に対する貧溶媒で洗浄しても良い。このようにして
分離精製された4−ビニルビフェニル類は高純度であ
る。4−ビニルビフェニル類に対する貧溶媒としては、
メタノール、エタノール等を用いるのが好ましい。
本発明の4−ビニルビフェニル類の製造方法によれば、
出発原料中の4−エチルビフェニル類が単一の反応操作
(脱水素反応)によって4−ビニルビフェニル類に転化
し、この4−ビニルビフェニル類は簡便な分離精製操作
(晶析)によって高純度で分離精製されるので、その工
業的意義は極めて大きい。
[実施例] 以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明は
実施例に限定されるものではない。
(A)脱水素反応工程 (A1) 出発原料であるモノエチルビフェニル含有炭化水素混合
物として、ライトポリエチルベンゼン(ベンゼンのエチ
ル化反応により得られた反応生成物からモノエチルベン
ゼンを蒸留分離した後、残渣をさらに蒸留分離して得ら
れたジエチルベンゼン含有量90wt%の留分)を、ビフェ
ニルと塩化アルミニウム触媒の存在下でトランスアルキ
ル化した後、蒸留分離したものを用いた。その組成を示
すと以下の通りである。
4−エチルビフェニル 31.2wt% 3−エチルビフェニル 58.5 ビフェニル 3.0 9−メチルフルオレン 7.3 反応器として、内径25mm、長さ50cmの管に脱水素触媒と
して鉄系脱水素触媒(日産ガードラー触媒(株)製G−
84C:Fe2O377%、K2O10%、Ce2O35%。MoO32.5%、CaO
2.2%、MgO2.2%、Cr2O3<0.1%)100ccを充填した固定
床流通型反応器を用いた。
この反応器の頂部の入口より、上述の出発原料である炭
化水素混合物を50cc/hrの割合で供給し、同時にスチー
ムをS/O(スチーム/炭化水素混合物の重量比)が6と
なるように供給し、610℃の反応温度で脱水素反応を行
なった。なお、LHSVは0.5hr-1であった。
反応器の底部の出口で、反応生成物に急冷剤(クエンチ
剤)であるトルエンを炭化水素混合物に対して10容量倍
投入して急冷した。脱水素反応後、急冷を行なうことに
より、反応器出口での重合物による配管の閉塞もなく、
1ケ月以上の連続運転が可能であった。得られた反応液
から水を分離して得られたトルエン溶液1.1を容量が
約1/9になるまで濃縮した。得られた濃縮液の組成を、
ガスクロマトグラフィー法で分析した結果を示すと、以
下の通りである。
4−ビニルビフェニル 17.2wt% 3−ビニルビフェニル 32.6 4−エチルビフェニル 3.3 3−エチルビフェニル 9.3 トルエン 23.7 その他 13.9 また測定した4−エチルビフェニル転化率、ビニルビフ
ェニル選択率を表−1に示した。表−1よりエチルビフ
ェニル転化率、ビニルビフェニル選択率ともに高い値を
示し、脱水素反応は良好に行なわれたことが明らかとな
った。
(A2) S/Oを10にした以外は上記(A1)と同様の条件で脱水素
反応を行ない、表−1に示すように上記(A1)と同様に
良好な結果を得た。
(A3) S/Oを14にした以外は上記(A1)と同様の条件で脱水素
反応を行ない、表−1に示すように上記(A1)と同様に
良好な結果を得た。
(A4) 反応温度を620℃にした以外は上記(A2)と同様の条件
で脱水素反応を行ない、表−1に示すように上記(A2
と同様に良好な結果を得た。
(A5) 反応温度を650℃にした以外は上記(A2)と同様の条件
で脱水素反応を行なった。その結果は、表−1に示すよ
うに、反応温度が650℃と高いと、製品収率がやや低下
し、また触媒活性も徐々に低下したが、1ケ月以上の連
続運転が可能であった。
(A6) 比較のため、急冷剤(クエンチ剤)として、4−ビニル
ビフェニルに対する貧溶媒である水を用いた以外は上記
(A2)と同様の条件で脱水素反応を行なった。その結果
は、表−1に示すように、反応器の出口の配管に4−ビ
ニルビフェニルが析出して配管を閉塞させ、2日目に反
応を停止せざるを得なかった。
(B)晶析工程 (B1) 実施例(A1)と同様に濃縮して得られたトルエン濃度20
重量%の濃縮液に、晶析溶媒として99.5%メタノール
を、濃縮液に対して10容量倍加え、10〜15℃で30分間攪
拌して4−ビニルビフェニルを晶析させた、その後、5A
の濾紙を用いて吸引濾過し、次いで濃縮液に対して0.5
容量倍の99.5%メタノール(予め10〜15℃に冷却)で洗
浄したケーキを得た。表−2に示すように、このケーキ
中の4−ビニルビフェニルの含有量は93.2wt%であり、
4−ビニルビフェニルと3−ビニルビフェニルの合計量
に対する4−ビニルビフェニルの割合は98.7wt%であっ
た。また4−ビニルビフェニルの回収率は40wt%であっ
た。
(B2) 晶析溶媒、洗浄溶媒として98%メタノールを用いた以外
は上記(B1)と同様の条件で晶析を行ない、表−2に示
すように上記(B1)と同様の良好な結果が得られた。
(B3) 晶析溶媒、洗浄溶媒として96%メタノールを用いた以外
は上記(B1)と同様に晶析を行ない、表−2に示すよう
に上記(B1)と同様の良好な結果が得られた。
(B4) 洗浄溶媒を用いなかった以外は上記(B3)と同様に晶析
を行なった。表−2に示すように、得られた4−ビニル
ビフェニルの純度がわずかに低下したが、ほぼ満足すべ
き結果が得られた。
(B5) 96%メタノールを用い、その量を濃縮液に対して5容量
倍としたことおよび洗浄溶媒を用いなかったこと以外は
上記(B3)と同様に晶析を行なった。表−2に示すよう
に、得られた4−ビニルビフェニルの純度がわずかに低
下したが、ほぼ満足すべき結果が得られた。
(B6) 比較のため、晶析溶媒として90%メタノールを用いた以
外は上記(B1)と同様に晶析を行なった。表−2に示す
ように、結晶が擬集し、粘稠な固体となり、不満足な結
果となった。
(B7) 比較のため、晶析溶媒としてトルエン、洗浄溶媒として
n−ヘキサンを用いた以外は上記(B1)と同様に晶析を
行なったが、表−2に示すように4−ビニルビフェニル
の回収率が著しく低下した。
表−1に示す脱水素反応工程の結果および表−2に示す
晶析工程の結果を総合的に評価すると、本発明の4−ビ
ニルビフェニル類の製造方法によれば、簡便な反応操作
と分離精製操作により、高純度の4−ビニルビフェニル
類が得られることが明らかとなった。
またS/O、脱水素反応時の温度、急冷剤の量、晶析溶媒
の量を適宜コントロールすることにより、特に優れた結
果が得られることが明らかとなった。
[発明の効果] 以上述べたように本発明によれば、4−エチルビフェニ
ル類を含有する炭化水素混合物を出発物質として用い、
簡便な反応操作と分離精製操作で高純度の4−ビニルビ
フェニル類を製造することができる方法が提供された。
とくに、脱水素反応の長期連続運転が可能であるので、
比較的規模の大きな4−ビニルビフェニル類の製造方法
として極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 7/14 // C07B 61/00 300

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4−エチルビフェニル類を含有する炭化水
    素混合物を、スチームを吹き込みながら脱水素触媒の存
    在下に脱水素反応し、得られた4−ビニルビフェニル類
    を含む脱水素反応生成物に、4−ビニルビフェニル類に
    対する良溶媒を添加して急冷し、次いで上記脱水素反応
    生成物の良溶媒溶液を濃縮した後、濃縮液に純度95%以
    上の低級アルコールを添加して晶析により4−ビニルビ
    フェニル類を分離精製することを特徴とする4−ビニル
    ビフェニル類の製造方法。
  2. 【請求項2】出発物質である炭化水素混合物中の4−エ
    チルビフェニル類が、4−エチルビフェニルそれ自体及
    び/又は脱水素反応を受けない置換基がビフェニル環に
    置換されている4−エチルビフェニル類であり、目的物
    質である4−ビニルビフェニル類が、4−ビニルビフェ
    ニルそれ自体及び/又は脱水素反応を受けない置換基が
    ビフェニル環に置換されている4−ビニルビフェニル類
    である、請求項(1)に記載の方法。
  3. 【請求項3】脱水素触媒が鉄系脱水素触媒である、請求
    項(1)又は(2)に記載の方法。
  4. 【請求項4】下記の条件のうちの少なくとも1つを採用
    する、請求項(1)〜(3)のいずれか一項に記載の方
    法。 (i)炭化水素混合物(O)に対するスチーム(S)の
    重量比(S/O)が5〜15である。 (ii)脱水素反応時の温度が580〜640℃である。 (iii)脱水素反応生成物に添加される良溶媒の量が出
    発原料の炭化水素混合物に対して5〜15容量倍である。 (iv)濃縮液に添加される純度95%以上の低級アルコー
    ルの量が濃縮液に対して7〜15容量倍である。
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