JPH07171728A - 工作機械におけるマルチ・スピンドル同時ツール交換装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数のスピンドルに複数個の工具を同時に迅
速かつ的確に交換できる工作機械のマルチ・スピンドル
同時ツール交換装置を安価に提供すること。 【構成】 複数個のスピンドルヘッドと ATCマガジンの
工具保持位置とがツール交換位置を中心として三次元的
に相対運動可能であって、スピンドルヘッドは工具マガ
ジンのツール間隔に合致するように調節動可能にすると
共に、工具ホルダーのキー溝にスピンドルヘッドが合致
するように当該スピンドルヘッドを回転可能に構成し、
スピンドルヘッドには工具のホルダーを掴み放し可能な
クランパーを設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、工作機械におけるマル
チ・スピンドル同時ツール交換装置に関し、さらに詳し
くは、複数のスピンドルに複数個の工具を同時に迅速か
つ的確に交換することができる実用的なツール交換装置
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】多軸ドリルマシンなどの如き工作機械に
あっては、加工速度が高速化すればするる程、それ以上
に加工効率を向上させようとすると、工具交換時間の節
約に依存する度合いが大きくなって、工具交換の迅速化
が強く求められるようになってくる。ところが、複雑な
加工が要求される最近の工作機械にあっては使用される
工具も多軸化されており、その工具交換を短縮すること
は容易ではない。

【０００３】もちろん、従来においても、工作機械の工
具の交換を短縮しようと試みは為されてはいたが、例え
ば特開平5-154733号公報に開示の「工具交換装置」のよ
うに工具の受渡し動作を速くする方向でしか考えられて
おらず、複数個のスピンドルに複数の工具を同時に交換
する方向では全く考えられていなかった。

【０００４】複数個のスピンドルに複数の工具を同時に
交換することは装置の構造を大幅に複雑化し、製作コス
トが極端に高くなるとの既成観念に縛られてたからであ
る。

【０００５】

【解決すべき技術的課題】本発明は、工作機械における
マルチ・スピンドルの工具交換に関する従来技術が前述
のような状態であったのに鑑みて為されたものであっ
て、複数のスピンドルに複数個の工具を同時に迅速かつ
的確に交換することができる工作機械のマルチ・スピン
ドル同時ツール交換装置を安価に提供することを技術的
課題とする。

【０００６】

【課題解決のために採用した手段】本発明者が上記技術
的課題を解決するために採用した手段を、添附図面に参
照して説明すれば、次のとおりである。

【０００７】即ち、本発明は、複数個のスピンドル１の
ヘッド11とＡＴＣマガジン２の工具保持位置とがツール
交換位置を中心としてＸ軸、Ｙ軸、およびＺ軸方向へ三
次元的に相対運動可能であって、工具を取り付けるべき
前記スピンドル１のヘッド11はツールスタンド21のツー
ル間隔ｔに合致するようにアジャスト動作可能に配設す
ると共に前記各スピンドルヘッド11・11は各々回転可能
に構成し、前記スピンドルヘッド11には進退ロッド11ｂ
の進退動作に応じて進退運動することにより工具４のホ
ルダー部41を掴み放し動作するクランパー12が設け、前
記各スピンドルヘッド11・11が回転して工具ホルダー部
41に穿設したキー溝42に前記クランパー12が会合したと
きクランパー12と当該工具ホルダー部41とをロック状態
にさせるという技術手段を採用することによって前述の
技術的課題を解決した点に要旨がある。

【０００８】

【実施例】以下、本発明を添附図面に示す実施例に基い
て、更に詳しく説明する。なお、図１は本発明の実施例
であるツール交換装置の全体的構成を示した斜視説明
図、図２は本実施例装置におけるスピンドルヘッドのク
ランパーが掴み放し動作するクランプ時と開放時の位置
関係を示す動作合体図、図３〜図８は本実施例装置によ
る工具の交換開始から交換終了に至る逐次的動作を表わ
したシーケンス的斜視説明図である。

【０００９】図面上、符号１で指示するものはスピンド
ルであって、下向きに配置されたヘッド11には図２に示
すごとき軸方向にスライド自在なクランパー12を有し、
このクランパー12はクランプシリンダ（エアシリンダ）
11ａの進退ロッド11ｂが進退縮動作することにより、後
述の工具ホルダー部に対して掴み放し動作を行う（図
２）。本実施例では、スピンドル機構Ｓは２本のスピン
ドル１を平行に幅Ｗ方向に間隔アジャスト可能なるごと
くスピンドル・ブラケット13に保持せしめた２軸スピン
ドルとして構成してあり、これらスピンドル１・１の各
々はスピンドル・ブラケット13の一方の外側に配設した
サーボモータ14の駆動でボールネジ(ballthread) 13ａ
に沿って矢印方向へ必要な距離だけ移動可能になってい
る。なお、上記スピンドル１・１は、ユニバーサル・ジ
ョイント15・15を介し、図示しないモータに連繋されて
回転可能に構成してある。

【００１０】しかして、上記スピンドル機構Ｓは昇降盤
16に固定してあり、この昇降盤16は更に水平スライド盤
17にスライド自在に連繋されている。そして、前記昇降
盤16は、図示しないボールネジに沿ってモーター駆動
（図示せず）でＹ軸方向へ昇降可能に構成されてあり、
また水平スライド盤17は図示しない機台フレームに敷設
されたレール18・18に支持されボールネジ（図示せず）
に沿ってＺ軸方向へ水平移動可能に構成してあるのであ
る。

【００１１】つぎに、図面上、符号２で指示するものは
ＡＴＣマガジンであり、工具としてドリル４が２本ずつ
ツール間隔ｔを空けて平行かつ対向状態に合計で８本、
回転式ツールスタンド21のトップカフ(top cuff) 21a・2
1a・・・・に上端の工具ホルダー部41において前端開放方向
へ抜取可能に掛け吊るしてある。そして、図２に示すご
とく工具ホルダー部41には周溝41ａとキー溝42が刻設さ
れて、スピンドルヘッド11内に数珠玉状に内装された鉄
球３・３・・・・、および3a・3a・・・・がクランパー12で押圧
されたとき、前記一方の鉄球３・３・・・・がキー溝42に、
もう一方の鉄球3a・3a・・・・が周溝41内に陥没して前記ク
ランパー12が当該ドリルのホルダー部41を掴むことにな
る。

【００１２】また、上記回転式ツールスタンド21は制御
モータ22で90°×ｎ（ｎは整数）の角度分だけ回転制御
可能なるごとくスライドベース23の上に載置してあり、
このスライドベース23は進退駆動機構であるマガジンシ
リンダ（エアシリンダ) 24の進退縮動作に応じてＸ軸方
向へ進退可能に機台フレーム（図示せず）に固定したレ
ールプレート25上に搭載してある。

【００１３】そこで、上記の実施例装置によって２軸同
時に工具交換を行うプロセスを図３〜図８に逐次的モー
ションとして表すシーケンス図に従って具体的に説明す
る。なお、本実施例装置におけるスピンドル１・１を回
転させるモータ（図示せず)、スピンドルヘッド11のクラ
ンパー12に掴み放し動作を付与するクランプシリンダ11
ａ、ボールネジ13ａを正逆回転させてスピンドル１・１
の幅Ｗ方向への間隔調整動作を実現するサーボモータ1
4、昇降盤16および水平スライド盤17の各ボールネジ
（何れも図示せず）を正逆回転させてスピンドル１・１
のＹ軸への昇降動作およびＺ軸への水平動作を実現する
制御モータ（図示せず)、並びにツールスタンド21を回転
せしめる制御モータ22、ＡＴＣマガジンのＺ方向への進
退運動を実現するマガジンシリンダ24は、コンピュータ
制御（図示せず）によって逐次自動的に進行されるよう
にプログラムしてある。なお、本実施例装置のコンピュ
ータに制御に必要な信号を送るエンコーダ、マグネスケ
ール、その他各種のセンサーについては特に図示してな
いが、構成各部に適宜配設してある。

【００１４】いま、本実施例装置におけるスピンドル機
構ＳとＡＴＣマガジン２との相対的位置関係が図１の状
態にあるとして、工具４・４の交換が開始されるときに
は、図３に示すように、まずスピンドル機構ＳがＺ軸方
向へ移動すると共に、サーボモータ14が駆動してボール
ネジ13ａが回転し、スピンドル１と１との相互間隔がＡ
ＴＣマガジン２のツールスタンド２に並立状態に掛け吊
るされた２本のドリル４と４相互のツール間隔に一致す
る間隔ｔに変更調整移動する。そして、この間に、ＡＴ
Ｃマガジン２のツールスタンド21は90°×ｎ（ｎは整
数）回転して必要とするドリル４・４を保持したトップ
カフ21ａ・21ａがツール交換位置Ｐに配向される。

【００１５】次いで、図４に示す如く昇降盤16が下降動
作して、スピンドル１・１のヘッド11・11がツール交換
位置Ｐに配向されているドリル４・４のホルダー部41・
41に向って下降してゆく。

【００１６】そして、図５の如くスピンドル機構Ｓがツ
ール交換高さにまで下降してスピンドルヘッド11・11と
ドリル４・４のホルダー部41・41とが差し受け会合する
と、スピンドル１・１が一時的に低速回転し、スピンド
ルヘッド11に内装された鉄球３・３・・・・および3a・3a・・
・・が、工具ホルダー部41の周溝41ａ、およびキー溝42上
を各々転動する。そして、この回転状態にあるときに、
図６に示すように矢印Ｒ方向へクランプシリンダ11ａの
進退ロッド11ｂが伸出して、クランパー12が鉄球３・３
・・・・、および3a・3a・・・・をホルダー41に抑え付け、図２
の右側に示すように鉄球３・３・・・・をキー溝42に、鉄球
3a・3a・・・・を周溝41ａに陥没させ、スピンドルヘッド11
・11とホルダー部41・41とを、鉄球３・３・・・・はスピン
ドル１・１に対し回転方向にクランプし、また鉄球3a・
3a・・・・は垂直方向にクランプすることによって、スピン
ドル１・１にドリル４・４を安定に装着することになる
のである。

【００１７】スピンドルヘッド11・11に工具ホルダー41
・41が連結されてスピンドル１・１にドリル４・４が装
着されたところでＡＴＣマガジン２のマガジンシリンダ
24が縮退動作をすると、このスライドベース23はレール
プレート25上をスライドしてツールスタンド21と共にＸ
軸方向に後退移動する。すると、スピンドル１・１に連
結したドリル４・４はトップカフ21ａ・21ａから抜け出
すこととなり、其処で図７に示すように昇降盤16が矢印
Ｙ方向に上昇すればＡＴＣマガジン２から離分されるこ
とになる。

【００１８】そして、図８に示すごとく、水平スライド
盤17が矢印Ｚ方向へ移動し、さらにサーボモータ14が駆
動してボールネジ13ａが回転されることによってドリル
４・４は各々Ｗ方向に間隔調整動し、必要とするドリル
加工幅にセットされることになる。

【００１９】本明細書に開示する本願の実施例は概ね上
記のように構成され、前述のように動作するが、本発明
は図示の実施例に限定されるものでは決してなく「特許
請求の範囲」の記載内において種々の設計変更が可能で
あることは言うまでもなく、例えば前述の実施例におい
ては工具は２個ずつ交換する形式のものとして説明して
あるけれども、３個以上のマルチ・スピンドル同時ツー
ル交換方式に構成することも可能であり、また、スピン
ドル機構ＳやＡＴＣマガジンの運動機構や駆動方式につ
いても従来慣用されている様々の機構手段や、電気的手
段、流体圧手段、機械的手段を取捨選択可能であること
は自明であり、何れの設計変更も本発明の技術的範囲に
属するものと言わねばならない。

【００２０】

【発明の効果】以上実施例を挙げて説明したとおり、本
発明装置にあってはスピンドル機構とＡＴＣマガジン機
構を三次元的に相対運動可能に構成すると共に、従来最
も複雑でコストアップの原因となっていたスピンドルヘ
ッドと工具ホルダー部との連結問題を、スピンドル機構
の回転の位置決め制御を要することなく、スピンドルの
回転運動のみを利用することによって巧みにクランパー
のクランプ位置を機械的に迅速かつ正確に自動位置決め
して複数のスピンドルに複数個の工具を同時に連結操作
できるようにしたので、従来工作機械におけるマルチ・
スピンドル交換装置に比較すると、大幅に製作コストを
ダウンして提供できるのであり、その産業上の利用価値
は頗る大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例たるツール交換装置の全体的構
成を示した斜視説明図である。

【図２】本実施例装置におけるスピンドルヘッドのクラ
ンパーが掴み放し動作するクランプ時と開放時の位置関
係を示す動作合体図である。

【図３】本実施例装置による工具交換開始の状態を表わ
す斜視説明図である。

【図４】本実施例装置のスピンドル機構がＺ軸方向に移
動し、ＡＴＣマガジンのツールスタンドががツール交換
位置であるＰ方向に回転してスピンドルとドリルとが接
近動作をしている状態を表わす斜視説明図である。

【図５】本実施例装置のスピンドル機構がツール交換高
さにまで下降してスピンドルヘッドとドリルのホルダー
部とが差し受け会合状態となり、スピンドルが一時的に
回転してクランプのロック位置決め動作をしている状態
の斜視説明図である。

【図６】本実施例におけるクランプシリンダが伸出動作
を行ってクランパーによる工具ホルダー部の掴み動作を
実行した後、マガジンシリンダを退縮させてツールスタ
ンドをＺ軸方向へ後退させる状態を表わす斜視説明図で
ある。

【図７】本実施例における昇降盤を矢印Ｙ方向に上昇さ
せてスピンドル機構をＡＴＣマガジン２から離分せしめ
る状態を表わす斜視説明図である。

【図８】本実施例装置の水平スライド盤を矢印Ｚ方向へ
移動させ、ドリルを各々Ｗ方向に間隔調整動して必要と
するドリル加工幅にセットする状態を表わす斜視説明図
である。

【符号の説明】

１ スピンドル 11 ヘッド 11a クランプシリンダ 11b 進退ロッド 12 クランパー 13 スピンドル・ブラケット 13a ボールネジ 14 サーボモータ 15 ユニバーサル・ジョイント 16 昇降盤 17 水平スライド盤 ２ ＡＴＣマガジン 21 回転式ツールスタンド 21a トップカフ 22 制御モータ 23 スライドベース 24 マガジンシリンダ 25 レールプレート ３ 鉄球 3a 鉄球 ４ 工具（ドリル） 41 (工具の) ホルダー部 41a 周溝 42 キー溝 Ｓ スピンドル機構

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数個のスピンドルのヘッドとＡＴＣマ
   ガジンの工具保持位置とがツール交換位置を中心として
   Ｘ軸、Ｙ軸、およびＺ軸方向へ三次元的に相対運動可能
   であって、工具を取り付けるべき前記スピンドルのヘッ
   ドは工具マガジンのツール間隔に合致するようにアジャ
   スト動作可能に配設されていると共に前記各スピンドル
   ヘッドは各々回転可能であり、前記スピンドルヘッドの
   各々には進退ロッドの進退動作に応じて進退運動するこ
   とによって工具のホルダー部を掴み放し動作するクラン
   パーが設けられてあり、前記各スピンドルヘッドが回転
   して工具ホルダー部のキー溝に前記クランパーが会合し
   たときクランパーと当該工具ホルダー部とがロック状態
   になることを特徴とした工作機械におけるマルチ・スピ
   ンドル同時ツール交換装置。
2. 【請求項２】 複数個の工具をホルダー部を上向きにし
   て対称的に保持可能な回転式ツールスタンド、このツー
   ルスタンドを所要の角度に回転せしめる制御モータ、及
   びこれら制御モータおよびツールスタンドを載置したス
   ライドベースを全体的に前後Ｘ軸方向へ進退運動せしめ
   る進退駆動機構を装備して成るＡＴＣマガジンと；複数
   個のスピンドルを各々の相対間隔が調整変更可能なるご
   とく、かつ、各スピンドルを各々回転可能なるごとく保
   持したスピンドルホルダーと；このスピンドルホルダー
   を上下Ｙ軸方向および水平Ｚ軸方向へ移動せしめる移動
   ラックとを包含することを特徴とした工作機械における
   マルチ・スピンドル同時ツール交換装置。