JPH071706U - 低床架台を備えた簡易型作業用走行車 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 低床架台を備えた簡易型作業用走行車におい
て、作業者が座した状態と起立した状態との何れにおい
ても操舵操作ができるようにするもの。 【構成】 操舵用ハンドルに、座した状態で操作するた
めの下側ハンドルと、起立した状態で操作するための上
側ハンドルとを一体的に設けてなる低床架台を備えた簡
易型作業用走行車。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、農用ハウス、圃場での農作業や工場、倉庫での荷物搬送を行うとき などに使用される低床架台を備えた簡易型作業用走行車に関するものである。

【０００２】

【従来技術及び考案が解決しようとする課題】

一般に、野菜や果樹、あるいは草木類の栽培に際し、これらを畝に栽培するこ とが多く、この様な場合、芽欠き作業や収穫作業等の各種の農作業や、工場、倉 庫での荷物搬送のなかには、作業位置が低いため、作業者が中腰あるいはしやが み姿勢を強いられる状態で作業をしながら順次移動しなければならないものがあ る。そして、この様な作業において、バツテリと電動モータとを搭載して自走す る作業用電動走行車に作業者が乗り込んで作業することが作業性の向上と作業形 態の改善等のために提唱されている。

【０００３】 ところでこの様な作業は、走行車に座しての低所作業とフロア（ステツプ）に 立つての高所作業が要求されることがあり、それに対応した操舵ができるように することが必要になる。そこで従来は、操舵用のハンドルとして低所用と高所用 とを準備し、必要においてこれらを交換して用いていたが、交換作業が面倒であ る許りでなく、例えばトマトやキユウリを棚を吊つて栽培する場合のように根元 近くの低所作業から棚頂部の高所作業までを同時的に要求されることがあり、こ の様な場合においては、何れのハンドルを用いても無理な操舵姿勢が強いられる ことがあつて作業性に劣るという問題がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点を一掃することができる低床架 台を備えた簡易型作業用走行車を提供することを目的として創案されたものであ つて、走行面に近い低床架台を備えた簡易型作業用走行車において、前記低床架 台の前後両部にある各左右一対の隅部下方に小径の前後輪をそれぞれ配し、その うちの前輪を操向輪とするにあたり、前輪操舵をするためのハンドル軸を低床架 台の前部に回動自在に植立せしめると共に、該ハンドル軸には、低床架台に座し た作業者が操作可能な下側ハンドルと、低床架台に立つた作業者が操作可能な上 側ハンドルとがそれぞれ一体的に設けられていることを特徴とするものである。

【０００５】 そして本考案は、この構成によつて、ハンドルを、作業の高低状態に合わせて 交換する必要もなく、しかも高低同時的な作業が必要なときにおいて、作業者姿 勢に応じて楽な操舵姿勢で作業ができるようにしたものである。

【０００６】

【実施例】

次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図面において、１は作業 用電動走行車の走行機体であつて、該走行機体１の架台（フロア）２は、上面が 略フラツトで走行路面に近い低床架台となるものであるが、架台２の腹部下面に は、支持ロツド２ａを介して取付け座２ｂが一体的に止着されており、該取付け 座２ｂの前部にバツテリ３が搭載され、その後方に減速機構を内蔵した電動モー タ（ギヤドモータ）４が搭載されている。５は後述するように取付け座２ｂの前 方に位置して架台２の前部左右一対の隅部下方に配設される小径の前輪、６は架 台２の後部左右一対の隅部下方に配設される小径の後輪であるが、該後輪６が一 体的に止着される支軸６ａは、前記取付け座２ｂの後部に一体的に設けた後輪ブ ラケツト２ｃに回転自在に軸支されており、そして後輪６は、支軸６ａと電動モ ータ４とのあいだに介装されるチエン方式の動力伝動機構７を介して電動モータ ４と連動連結されており、電動モータ４の正逆駆動に基づいて後輪６が回動して 走行できるようになつている。尚、３ａはバツテリ充電器を内装するボツクスで あつて、実施例では電動モータ４と架台２の下面とのスペースに内装されており 、また、８は中心回りに回転自在なシート（座部）であり、さらに、取付け座２ ｂの前端部左右には、前輪５の後方近傍に位置してステツプ２ｄが左右方向外方 に向けて突出しており、後述するように作業者がシート８に座した低所作業姿勢 のとき、足を掛けることができるように配慮されている。

【０００７】 前記前輪５は左右支軸９の左右両端部に自由回動自在に軸支されているが、該 左右支軸９は、実施例では図２に示す如く正面視において緩やかなＶ字形になつ ていて、左右前輪５が略八字形に拡開しており、直進走行性を安定保持するよう になつているが、これに限定されることなく、左右支軸９を正面視において穏や かな山形として左右前輪５が略逆八字形に拡開するようにしたもの、あるいは左 右支軸９を正面視で直線状のものにして左右前輪５が平行状となるようにしたも のでも良い。さらに、前記左右支軸９の中央部には支持軸１０が上方に向けて突 設され、そして架台２の前部下面に一体的に設けたホルダ１１に縦軸回りに回動 自在に貫通している。ホルダ１１の下端縁には規制プレート１１ａが一体的に固 着されており、該規制プレート１１ａに、支持軸１０に一体的に固着した前後方 向に長い係止プレート１０ａが下側から当接して積層状になることで支持軸１０ のこれ以上の上動規制ができるようになつている。この係止プレート１０ａの後 端部と取付け座２ｂとのあいだには弾機１２が介装されており、そして該弾機１ ２の付勢力によつて前輪５が常時直進方向を向く直進安定姿勢に復帰するよう設 定されている。

【０００８】 また、係止プレート１０ａには略凵字形をした操舵規制体１０ｂが一体的に固 着されているが、該操舵規制体１０ｂは、規制プレート１１ａの左右両側に遊嵌 状に嵌合しており、そして支持軸１０が角度αだけ操舵された場合に、操舵規制 体１０ｂ両側の上向き脚部が規制プレート１１ａに当接してこれ以上の操舵を規 制するように設定されている。さらに、係止プレート１０ａ、規制プレート１１ ａには、前記直進姿勢となつたときに一致するよう挿通孔１０ｃ、１１ｂが穿設 されており、そして、これら挿通孔１０ｃ、１１ｂにピン１３を挿通せしめるこ とで前輪５を直進状態にロツクできる構成になつている。因みに、ピン１３を挿 通孔１０ｃ、１１ｂから抜いて操舵走行ができる状態にした場合に、該抜いたピ ン１３は、係止プレート１０ａの規制プレート１１ａとは干渉しない前端部位置 に穿設した挿通孔１０ｄに挿通せしめておくことができるように配慮されている 。

【０００９】 上記支持軸１０の上端部には、架台２を越えた位置でボス筒１０ｅの下端部が 一体的に固着されており、該ボス筒１０ｅにはハンドル軸１４の下端部が抜き差 し自在に止着されている。ハンドル軸１４には、中段部位と上端位置にハンドル １４ａ、１４ｂがそれぞれ一体的に突出しており、そして図示するように、シー ト８に座しての低所作業をする場合には、作業者は中段側、つまり下側ハンドル １４ａを把持操作して機体操舵を行うことができ、一方、架台２に立つての高所 作業をする場合には、作業者は上側ハンドル１４ｂを把持操作して機体操舵を行 うことができるように設定されている。

【００１０】 また、１５は架台２の前部上面に設けたコントロールボツクスであつて、該コ ントロールボツクス１５には、ランプ１６ａ付きの電源スイツチ１６、停止位置 付きの前後進切換えスイツチ１７、コントロールボツクス１５から引出されたリ モコンスイツチ（フツトスイツチ）１８を押し操作したときにのみ走行するか連 続的に走行するかの切換えをする走行切換えスイツチ１９、速度調整ダイヤル２ ０、バツテリ残量警報ランプ２１が設けられている。さらに、架台２の前後両端 部には取手部２ｅが形成されており、また、取手部２ｅの下方にはヒツチ２ｇが 設けられているが、該ヒツチ２ｇには接続金具２２を介してオプシヨンとして台 車２３を連結できるようになつている。

【００１１】 叙述のごとく構成された本考案の実施例において、低床架台２に備えたシート ８に作業者が腰を降ろした状態で乗り込むことにより、何ら無理な作業姿勢を強 いられることなく移動を伴いながらの低所作業を行うことができ、また、低床架 台２から起立することで移動を伴いながらの高所作業を行うことができる。これ ら何れの作業姿勢においても、低床架台２は、その四隅下方に内装する状態で小 径の前後輪５、６が配されていて、低床架台２よりも上方に突出していないから 、作業者は足等が前後輪５、６に当つてしまうことなく作業することができるが 、さらに、シート８に座しての低所作業を行う場合には下側ハンドル１４ａの操 作で操向することができ、また、低床架台２から起立しての高所作業を行う場合 には上側ハンドル１４ｂの操作で操向することができ、何れの作業姿勢であつて も無理な作業姿勢が強いられることのない操舵作業をなし得ることとなつて作業 性の改善が図れることになる。

【００１２】 因みに、前記実施例において、低床架台２に立ち上がつた高所作業を継続して 行うような場合に、シート８が邪魔になることがあり、その様な場合には、シー ト８を低床架台２から取り外せるようシート８の底面から突出する支持軸８ａを 低床架台２に穿設した取付け孔２ｆに抜き差し自在に挿通するようにして、シー ト８が不要なときには低床架台２から取外しておけば良いが、該取外したシート ８を、例えば図１３に示すようにハンドル軸１４の頂部に設けた仮保持孔１４ｃ に抜き差し自在に挿通保持できるようにしておけば、シート８が必要になつたと きには直ちに低床架台２に取付けることができて好都合であると共に、ハンドル 軸１４に仮保持せしめたシート８が荷台としての機能を果たすことができるとい う利点もある。

【００１３】 また、低所作業を行う場合に、作業者は、前向き作業ばかりでなく、左右横向 き作業、あるいは後向き作業が強いられることがあり、この様な場合に、シート ８が前向き作業（運転作業）に対応する位置にあつたとき、作業者はシート８で はなく低床架台２に直接腰掛けての低所作業が強いられることがある。そこで、 これを回避するため、図１４に示すように、低床架台２に支持軸８ａが挿通する 取付け孔２ｆを、各作業に対応するよう複数穿設しておき、そして作業姿勢に対 応してシート８の位置をセツト換えすることで、シート８を最適位置にセツトす ることができて、シート８に座しての低所作業が確実に行えることになる。さら に進んで、取付け孔２ｆを前後方向に複数穿設しておけば、作業者の身長に対応 して最適位置にシート８をセツトできることになるという利点がある。

【００１４】

【作用効果】

以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたものであるから、低床架台に腰 を降ろした状態で乗り込むことにより、何ら無理な作業姿勢を強いられることな く移動を伴いながらの低所作業を行うことができ、また、低床架台から起立する ことで移動を伴いながらの高所作業を行うことができる。これら何れの作業姿勢 においても、低床架台は、その四隅下方に小径の前後輪が配されていて、低床架 台よりも上方に突出していないから、作業者は足等が前後輪に当つてしまうこと なく作業することができるが、さらに、低床架台に座しての低所作業を行う場合 には下側ハンドルの操作で操向することができ、また、低床架台から起立しての 高所作業を行う場合には上側ハンドルの操作で操向することができ、何れの作業 姿勢であつても無理な作業姿勢が強いられることのない操舵作業をなし得ること となつて作業性の改善が図れることになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】作業用電動走行車の全体斜視図である。

【図２】走行機体の正面図である。

【図３】同上側面図である。

【図４】手入れ作業時における使用状態を示す説明図で
ある。

【図５】下段の作物の収穫作業時における使用状態を示
す説明図である。

【図６】中段の作物の収穫作業時における使用状態を示
す説明図である。

【図７】上段の作物の収穫作業時における使用状態を示
す説明図である。

【図８】コントロールボツクスの平面図である。

【図９】機体前部の要部側面図である。

【図１０】（Ａ）、（Ｂ）は前輪の操舵状態を示す平面
図である。

【図１１】係止プレートの斜視図である。

【図１２】走行機体の伝動系路を示した概略正面図であ
る。

【図１３】（Ａ）はシートをハンドル軸に保持できるよ
うにした場合の要部側面図、（Ｂ）はその斜視図であ
る。

【図１４】低床架台に取付け孔を複数穿設した場合の斜
視図である。

【符号の説明】

２ 低床架台 ５ 前輪 ６ 後輪 １４ ハンドル軸 １４ａ 下側ハンドル １４ｂ 上側ハンドル

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 米村 一 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １ 三菱農機株式会社内 (72)考案者 百合野 善久 島根県八束郡東出雲町大字揖屋町667番地 １ 三菱農機株式会社内 (72)考案者 武内 智昭 兵庫県神崎郡福崎町福田447番地の１ 福 伸電機株式会社内 (72)考案者 岡田 良雄 兵庫県神崎郡福崎町福田447番地の１ 福 伸電機株式会社内 (72)考案者 村松 昇 兵庫県神崎郡福崎町福田447番地の１ 福 伸電機株式会社内 (72)考案者 河野 秀男 兵庫県明石市和坂14番地の７ ヰセキカワ サキサービス販売株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行面に近い低床架台を備えた簡易型作
   業用走行車において、前記低床架台の前後両部にある各
   左右一対の隅部下方に小径の前後輪をそれぞれ配し、そ
   のうちの前輪を操向輪とするにあたり、前輪操舵をする
   ためのハンドル軸を低床架台の前部に回動自在に植立せ
   しめると共に、該ハンドル軸には、低床架台に座した作
   業者が操作可能な下側ハンドルと、低床架台に立つた作
   業者が操作可能な上側ハンドルとがそれぞれ一体的に設
   けられていることを特徴とする低床架台を備えた簡易型
   作業用走行車。