JPH07169443A - 誘電体バリヤ放電ランプ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 発光効率が高く、長寿命である高信頼の誘電
体バリヤ放電ランプ装置を提供する。 【構成】 外形が概略円筒状である外側管と内側管とを
同軸に配置することによって形成した中空円筒状の放電
空間を有する放電容器に、誘電体バリヤ放電によってエ
キシマ分子を形成する放電用ガスが充填され、該外側管
の外壁の少なくとも一部は、該エキシマ分子から放射さ
れる光に対して光透過性であり、かつ、該誘電体バリヤ
放電の誘電体を兼ねており、該光透過性誘電体の少なく
とも一部に光透過性の電極が設けられた誘電体バリヤ放
電ランプと、該誘電体バリヤ放電ランプと概略同軸に設
けられた光透過性の保護管からなる誘電体バリヤ放電ラ
ンプ装置において、該誘電体バリヤ放電ランプを冷却用
流体を用いて冷却する手段を設け、かつ、該誘電体バリ
ヤ放電ランプを該保護管内に固定する部材が該誘電体バ
リヤ放電ランプの冷却用流体の導管を兼ねるように構成
にする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、光化学反応用
の紫外線光源として使用される放電ランプの一種で、誘
電体バリヤ放電によってエキシマ分子を形成し、該エキ
シマ分子から放射される光を利用するいわゆる誘電体バ
リヤ放電ランプを使用した誘電体バリア放電ランプ装置
の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】本発明に関連した技術としては、例え
ば、日本国公開特許公報平２ー７３５３号があり、そこ
には、放電容器にエキシマ分子を形成する放電用ガスを
充填し、誘電体バリヤ放電（別名オゾナイザ放電あるい
は無声放電。電気学会発行改定新版「放電ハンドブッ
ク」平成１年６月再販７刷発行第２６３ページ参照）に
よってエキシマ分子を形成せしめ、該エキシマ分子から
放射される光を取り出す放射器、すなわち誘電体バリヤ
放電ランプについて記載されており、該放電容器は円筒
状であり、該放電容器の少なくとも一部は該誘電体バリ
ヤ放電の誘電体を兼ねており、該誘電体の少なくとも一
部は該エキシマ分子から放射される光に対して光透過性
であり、該光透過性誘電体の少なくとも一部に導電性網
状電極が設けられた誘電体バリヤ放電ランプ構造が記載
されている。上記のような誘電体バリヤ放電ランプは、
従来の低圧水銀放電ランプや高圧アーク放電ランプには
無い種々の特長を有しているため有用である。しかし、
該誘電体バリヤ放電ランプを保護管内に収納した構成の
誘電体バリヤ放電ランプ装置においては、発光効率や寿
命が必ずしも十分では無いという問題があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、発光
効率および寿命が十分である高信頼の誘電体バリヤ放電
ランプ装置を提供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記本発明の目的は、外
形が概略円筒状である外側管と内側管とを同軸に配置す
ることによって形成した中空円筒状の放電空間を有する
放電容器に、誘電体バリヤ放電によってエキシマ分子を
形成する放電用ガスが充填され、該外側管の外壁の少な
くとも一部は、該エキシマ分子から放射される光に対し
て光透過性であり、かつ、該誘電体バリヤ放電の誘電体
を兼ねており、該光透過性誘電体の少なくとも一部に光
透過性の電極が設けられた誘電体バリヤ放電ランプと、
該誘電体バリヤ放電ランプと概略同軸に設けられた光透
過性の保護管からなる誘電体バリヤ放電ランプ装置にお
いて、誘電体バリヤ放電ランプを該保護管内に固定する
部材が該誘電体バリヤ放電ランプを冷却するための流体
の導管を兼ねている様に構成するとによって達成され
る。また、該誘電体バリヤ放電ランプを冷却するための
流体の該導管を該誘電体バリヤ放電ランプの内側管に接
続し、該冷却用流体が該内側管の内側を通ったのち該外
側管の外側と該保護管の間の隙間を通って流れる様に構
成すること、あるいは、該誘電体バリヤ放電ランプを冷
却するための流体の導管を該誘電体バリヤ放電ランプの
内側管に接続し、該外側管の外側と該保護管の間の隙間
を通って流れた後、該冷却用流体が該内側管の内側を通
って流れる様に構成することによって、本発明の目的は
より一層達成される。さらに、該外側管の外壁の少なく
とも一部に設けられた該光透過性電極をアース電位にし
た構成により本発明の目的はより一層達成される。

【０００５】

【作用】一般に、誘電体バリヤ放電ランプは、高周波・
高電圧を印加する事によって動作している。従って、該
誘電体バリヤ放電ランプを被処理流体に浸して使用する
様な場合、例えば、水処理や排ガス、排油等の処理を行
う場合には、安全性や使い勝手の点から、該誘電体バリ
ヤ放電ランプを光透過性の保護管に収納した構成の誘電
体バリヤ放電ランプ装置が望ましい。しかし、本発明者
等の検討の結果、上記した構成の誘電体バリヤ放電ラン
プ装置は、大型になり、かつ、発光効率や寿命が必ずし
も十分では無いという問題が生じる事が分かった。さら
に、上記の原因は、該誘電体バリヤ放電ランプを光透過
性の保護管に収納した構成によって、該誘電体バリヤ放
電ランプの温度が上昇し、その結果、誘電体バリヤ放電
において生成されたエキシマ分子が解離してエキシマ光
の発生効率が低下したり、光取り出し窓部材の透過率が
低下することが主因であることが分かった。すなわち、
該誘電体バリヤ放電ランプを光透過性の保護管に収納す
る必然性、および、該構成によって発光効率や寿命が低
下する現象は、誘電体バリヤ放電ランプ装置に固有の現
象である。

【０００６】外形が概略円筒状である外側管と内側管と
を同軸に配置することによって形成した中空円筒状の放
電空間を有する放電容器に、誘電体バリヤ放電によって
エキシマ分子を形成する放電用ガスが充填され、該外側
管の外壁の少なくとも一部は、該エキシマ分子から放射
される光に対して光透過性であり、かつ、該誘電体バリ
ヤ放電の誘電体を兼ねており、該光透過性誘電体の少な
くとも一部に光透過性の電極が設けられた誘電体バリヤ
放電ランプと、該誘電体バリヤ放電ランプと概略同軸に
設けられた光透過性の保護管からなる誘電体バリヤ放電
ランプ装置において、該誘電体バリヤ放電ランプを冷却
用流体を用いて冷却する手段を設け、かつ、該誘電体バ
リヤ放電ランプを該保護管内に固定する部材が該誘電体
バリヤ放電ランプの冷却用流体の導管を兼ねている様に
構成すると、装置が小型になり、かつ、該誘電体バリヤ
放電ランプの温度上昇が抑制されるので、高効率で長寿
命の誘電体バリヤ放電ランプ装置が得られる。

【０００７】また、該誘電体バリヤ放電ランプを冷却す
るための流体の導管を該誘電体バリヤ放電ランプの内側
管に接続し、該冷却用流体が該内側管の内側を通ったの
ち該外側管の外側と該保護管の間の隙間を通って流れる
様に構成すると、温度上昇の著しい該内側管が効率よく
冷却されるので、より高効率で長寿命の誘電体バリヤ放
電ランプ装置が得られる。さらに、該誘電体バリヤ放電
ランプを冷却するための流体の導管を該誘電体バリヤ放
電ランプの内側管に接続し、該外側管の外側と該保護管
の間の隙間を通って流れた後、該冷却用流体が該内側管
の内側を通って流れる様に構成すると、光取り出し窓部
材が効率よく冷却されるので、より高効率で長寿命の誘
電体バリヤ放電ランプ装置が得られ、かつ、保護管をよ
く冷却することができるので被処理流体の温度上昇を抑
制できると言う利点が生じる。該外側管の外壁の少なく
とも一部に設けられた該光透過性電極をアース電位にす
ると、被処理流体と高電圧部分との距離が大きくなるた
め、より安全な誘電体バリヤ放電ランプ装置が得られ
る。

【０００８】

【実施例】本発明の第一の実施例である誘電体バリヤ放
電ランプ装置の概略図を図１に示す。中空円筒状の放電
容器を有する誘電体バリヤ放電ランプ１は、全長約１５
０ｍｍの合成石英ガラス製で、肉厚１ｍｍで外径Ｄ₁ が
１４ｍｍの内側管２、肉厚１ｍｍで内径Ｄ₂ が約２５ｍ
ｍの外側管３を同軸に配置して中空円筒状の放電空間８
を形成した構成である。外側管３は誘電体バリヤ放電の
誘電体バリヤと光取り出し窓部材を兼用しており、外面
には光を透過する金属製網状電極４が設けられている。
内側管２の外表面には光反射板を兼ねたアルミニウム電
極５が設けられている。該アルミニウム電極５を機械的
に、化学的に保護するために、該アルミニウム電極を窒
化ほう素の保護皮膜７で被覆した。また、該誘電体バリ
ヤ放電ランプの一端にはバリウムゲッタ６が設けられて
いる。網状電極４は、素線径０．１ｍｍのモネル線をシ
ームレスに編んだもので、円筒状の形状をしており、軸
方向に伸縮性を有している。該円筒状金属網のなかに該
放電容器１を挿入し、該円筒状金属網をランプの軸方向
に引っ張ることによって、外側管３の外側に密接された
網状電極４が形成される。放電容器の放電空間８に放電
用ガスとしてキセノンガスを３００Ｔｏｒｒ封入した。

【０００９】該誘電体バリヤ放電ランプを冷却するため
の流体の導管１１を、該誘電体バリヤ放電ランプ１の内
側管の一端に無機接着剤１２を使用して固定した。導管
１１は、石英ガラス管から成っている。フッ素樹脂製の
フランジ１３に該導管１１を固定し、合成石英ガラス製
の保護管１０のほぼ中心部に該誘電体バリヤ放電ランプ
１を設置した。すなわち、該導管１１は、該誘電体バリ
ヤ放電ランプ１を該保護管１０内に固定する部材を兼ね
ている。リード線１４および１５を使用して、アルミニ
ウム電極５および金属製網状電極４に電圧を印加した。
高電圧を供給するリード線１４は、導管１１の内部を通
った後、導管１１の小孔１８、フランジ１３の小孔１９
を通って外部に引き出される。尚、夫々の小孔は接着剤
等で水密構造としてある。アルミニウム電極５は高電圧
に、金属製網状電極４はアース電位とした。なお、図示
していないが、保護管１０とフランジ１３との間２０
は、Ｏリング等を使用して気密に構成されている。該誘
電体バリヤ放電ランプ１に２０ｋＨｚ、４ｋＶの電圧を
印加し、導管１１の冷却流体流入口１６から窒素ガスを
１分間あたり３リットル流入した。窒素ガスは、該誘電
体バリヤ放電ランプ１の内側管２の内側を通り、ゲッタ
ーが収納されている端部から保護管１０の内部に吹き出
て、該誘電体バリヤ放電ランプ１と保護管１０の間の隙
間を通って、フランジ１３に設けられた冷却用流体流出
口１７より流出する。窒素ガスは、冷却流体であると同
時に、保護管１０内の酸素を追い出して保護管１０内に
おける酸素による紫外線の吸収を防止する役割をしてい
る。

【００１０】本実施例においては、該誘電体バリヤ放電
ランプを該保護管内に固定する部材が該誘電体バリヤ放
電ランプの冷却用流体の導管を兼ねている様に構成され
ているので、装置が小型になり、かつ、温度上昇の著し
い該内側管が効率よく冷却される結果該誘電体バリヤ放
電ランプの温度上昇が抑制されるので、キセノンエキシ
マから放射される波長１７２ｎｍに中心波長を有する真
空紫外線がより高効率で放射され、かつ、長寿命の誘電
体バリヤ放電ランプ装置が得られた。さらに、該光透過
性の金属網電極をアース電位にしたので、保護管の周囲
に存在する被処理流体はアース電位に直面する事にな
り、より安全な誘電体バリヤ放電ランプ装置が得られ
る。

【００１１】本発明の第２の実施例においては、第１の
実施例における窒素ガスの流入と流出を逆にしたもの
で、すなわち、冷却用流体流出口１７から窒素ガスを流
入し、冷却用流体流入口１６から流出させる以外は、第
１の実施例と同一構成である。この実施例では、光取り
出し窓部材である外側管３と保護管１０が効率よく冷却
されるので、より高効率で長寿命の誘電体バリヤ放電ラ
ンプ装置が得られ、かつ、被処理流体の温度上昇を抑制
できると言う利点も生じた。

【００１２】本発明の第３の実施例においては、第１の
実施例におけるアルミニウム電極５と、窒化ほう素の保
護皮膜７と、ゲッター６を取り除き、代わりに、アルミ
ニウム電極５の位置にステンレス線からなる螺旋状電極
を設け、放電用ガスとして塩素とキセノンの混合ガスを
封入した構成である。この場合は、キセノン塩素エキシ
マから放射される波長３０８ｎｍに中心波長を有する紫
外線がより高効率で放射され、かつ、長寿命の誘電体バ
リヤ放電ランプ装置が得られた。

【００１３】

【発明の効果】上記したように、本発明によれば、発光
効率および寿命が十分である高信頼の誘電体バリヤ放電
ランプ装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の誘電体バリヤ放電ランプ装置の実施例
の説明図である。

【符号の説明】

１ 誘電体バリア放電ランプ ２ 内側管 ３ 外側管 ４ 円筒状網電極 ５ アルミニウム電極 ６ ゲッタ ８ 放電空間 １０ 保護管 １１ 冷却用流体導管 １３ フランジ １４，１５ リード線

フロントページの続き (72)発明者 菱沼 宣是 兵庫県姫路市別所町佐土1194番地 ウシオ 電機株式会社内 (72)発明者 笠木 邦雄 兵庫県姫路市別所町佐土1194番地 ウシオ 電機株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外形が概略円筒状である外側管と内側管
   とを同軸に配置することによって形成した中空円筒状の
   放電空間を有する放電容器に、誘電体バリヤ放電によっ
   てエキシマ分子を形成する放電用ガスが充填され、該外
   側管の外壁の少なくとも一部は、該エキシマ分子から放
   射される光に対して光透過性であり、かつ、該誘電体バ
   リヤ放電の誘電体を兼ねており、該光透過性誘電体の少
   なくとも一部に光透過性の電極が設けられた誘電体バリ
   ヤ放電ランプと、該誘電体バリヤ放電ランプと概略同軸
   に設けられた光透過性の保護管からなる誘電体バリヤ放
   電ランプ装置において、該誘電体バリヤ放電ランプを冷
   却用流体を用いて冷却する手段を設け、かつ、該誘電体
   バリヤ放電ランプを該保護管内に固定する部材が該誘電
   体バリヤ放電ランプの冷却用流体の導管を兼ねている事
   を特徴とした誘電体バリヤ放電ランプ装置。
2. 【請求項２】 該誘電体バリヤ放電ランプを冷却するた
   めの流体の導管を該誘電体バリヤ放電ランプの内側管に
   接続し、該冷却用流体が該内側管の内側を通ったのち該
   外側管の外側と該保護管の間の隙間を通って流れる様に
   構成したことを特徴とした請求項１に記載の誘電体バリ
   ヤ放電ランプ装置。
3. 【請求項３】 該誘電体バリヤ放電ランプを冷却するた
   めの流体の導管を該誘電体バリヤ放電ランプの内側管に
   接続し、該外側管の外側と該保護管の間の隙間を通って
   流れた後、該冷却用流体が該内側管の内側を通って流れ
   る様に構成したことを特徴とした請求項１に記載の誘電
   体バリヤ放電ランプ装置。
4. 【請求項４】 該外側管の外壁の少なくとも一部に設け
   られた該光透過性電極をアース電位にしたことを特徴と
   した請求項１から請求項３に記載の誘電体バリヤ放電ラ
   ンプ装置。
5. 【請求項５】 冷却用流体が窒素であることを特徴とす
   る請求項１から請求項３に記載の誘電体バリヤ放電ラン
   プ装置。