JPH07169117A - スタンパ及びその製造方法 - Google Patents

スタンパ及びその製造方法

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JPH07169117A
JPH07169117A JP34301293A JP34301293A JPH07169117A JP H07169117 A JPH07169117 A JP H07169117A JP 34301293 A JP34301293 A JP 34301293A JP 34301293 A JP34301293 A JP 34301293A JP H07169117 A JPH07169117 A JP H07169117A
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JP
Japan
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stamper
layer
substrate
surface layer
resist
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Application number
JP34301293A
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English (en)
Inventor
Shinji Minegishi
慎治 峰岸
Masayuki Tatewaki
政行 館脇
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Publication of JPH07169117A publication Critical patent/JPH07169117A/ja
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C45/00Injection moulding, i.e. forcing the required volume of moulding material through a nozzle into a closed mould; Apparatus therefor
    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/26Moulds
    • B29C45/263Moulds with mould wall parts provided with fine grooves or impressions, e.g. for record discs
    • B29C45/2632Stampers; Mountings thereof

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  • Manufacturing & Machinery (AREA)
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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐久性に優れ、またタクトタイムの短縮が図
れるようにする。 【構成】 ディスクに転写するためのピットパターンが
形成された基体50表面に金属層51が形成されてなる
スタンパにおいて、金属層51の表面に、金属層51を
構成する材料よりもモース硬度が高く、化学的、熱的な
安定性が高いチタン、シリコン、モリブデンもしくはタ
ングステンのいずれか一つ又はそれらの窒化物の一つ又
はそれらの炭化物のひとつからなる表面層11を積層す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂を射出等により成
型して表面にピットパターンが転写された光ディスクを
形成する場合の金型として使用されるスタンパ及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スタンパは、樹脂を射出等により成型し
て表面にピットパターンが転写された光ディスクを形成
する場合の金型として使用される。したがってスタンパ
の表面には、光ディスクに転写するためのピットパター
ンが形成される。従来、このようなスタンパは例えば図
9(g)に示した如く、ニッケルの電気メッキ膜からな
る基体50の表面に、さらにニッケル又は銀の金属層5
1が積層された構造を有しており、例えば次のような方
法にて製造される。
【0003】まず図9(a)に示したように表面の平滑
なガラスの基板52上に、レジストとしてポジ型のフォ
トレジスト53をスピンコート法等により均一に塗布す
る。基板52は例えば直径が200〜350mm、厚さ
が約10mm程度の円板であり、この基板52上にフォ
トレジスト53は、読み取りに必要なピットの高さに相
当する100〜150nm程度の厚さ、例えば約125
nm程度の厚さに形成される。
【0004】次いで、基板52を回転させながら例えば
He−Cdレーザ等を光源とする露光装置によりピット
形成部を露光し、さらに現像して露光部分のフォトレジ
スト53を除去する。これによりフォトレジスト53
は、スタンパに形成されるピットパターンとは反転する
パターンに形成され、所謂レジスト原板が形成される
(図9(b))。
【0005】次に図9(c)に示したように、フォトレ
ジスト53上に蒸着、スパッタリングもしくは無電解メ
ッキ等の方法によりニッケル又は銀の金属層51を形成
する。この金属層51は、上記したように最終的にスタ
ンパの表面となる。また金属層51は、その後スタンパ
の基体50となるニッケルの電気メッキ膜を形成する際
の導電層となる。続いて金属層51を陰極とし、例えば
スルファミン酸浴等を用いてニッケルの電気メッキを行
い、金属層51上にスタンパの基体50を形成する(図
9(d))。この際、基体50は例えば0.3mm程度
の厚みに形成される。
【0006】その後、レジスト原板からスタンパの構成
部分を剥がす。つまり、フォトレジスト53の箇所で基
板52側と基体50側とを分割する(図9(e))。さ
らに、金属層51の表面に残留しているフォトレジスト
53を有機溶剤や専用の剥離液等によって除去する(図
9(f))。そして、図9(g)に示したように金属層
51の表面を酸化する等して表面改質処理を施した後、
基体50の裏面の研磨を行い、最後に所定の大きさに打
ち抜き加工する。以上の工程により、表面にフォトレジ
スト53のパターンとは反転するパターン、すなわち光
ディスクに転写するピットパターンが形成されたスタン
パが製造される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、スタンパの
表面に形成されるピットは、幅が1μm以下、高さが1
50nm以下と極微細なものである。したがってスタン
パの表面のピットやピット間のスペース部分に傷が付い
たり、僅かに変形しただけでもその影響は大きく、その
まま記録信号の不良となってしまう。しかもスタンパ
は、同一の微細なピットパターンの光ディスクを大量に
複製する金型として使用されるので、スタンパの表面は
傷が付き難くかつ変形し難いこと、すなわち耐久性に優
れていることが要件となる。
【0008】しかしながら従来のスタンパは、表面を構
成する金属層51がモース硬度の低いニッケルや銀で形
成されているので変形し易く、樹脂の射出成型の際のゴ
ミ等の混入でも容易に傷が付くという欠点があった。そ
のうえ、フォトレジスト53の除去用の薬品等とも反応
して変質するため、従来では少しでもスタンパの表面の
耐久性を上げるために、金属層51の表面を酸化する等
して化学的に表面改質処理を施す必要があった。
【0009】さらに金属層51がニッケルの無電解メッ
キ膜の場合には、表面が非常に活性でかつラフに形成さ
れるために、上記した表面改質処理を施しても、成型す
る度に表面に少しずつ樹脂が付着してしまってスタンパ
としての寿命が短かった。また上記したように金属層5
1は、図9(d)に示したニッケルの電気メッキを行っ
て電気メッキ膜からなる基体50を形成する際の導電層
ともなる。
【0010】ところが金属層51が例えばニッケルで形
成されている場合、ニッケルは比抵抗値が高いため、厚
み、質とも均一な電気メッキ膜を得るには、その電気メ
ッキを行う際のメッキ速度の立ち上がりをゆっくり行わ
なければならなかった。特にニッケルの無電解メッキ膜
からなる金属層51は、不純物が多く混入しているため
に比抵抗値が高く、したがって従来では、基体50の形
成に時間がかかってタクトタイムが長くなるという問題
が生じていた。本発明は上記課題に鑑みてなされたもの
であり、耐久性に優れ、またタクトタイムの短縮を図る
ことが可能なスタンパ及びその製造方法を提供すること
を目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に第1の発明は、ディスクに転写するためのピットパタ
ーンが形成された基体表面に金属層が形成されてなるス
タンパにおいて、前記金属層の表面には、チタン、シリ
コン、モリブデンもしくはタングステンのいずれか一つ
又はそれらの窒化物の一つ又はそれらの炭化物の一つか
らなる表面層が積層されているようにしたものである。
【0012】また第2の発明は、ディスクに転写するた
めのピットパターンが形成された基体表面に表面層が積
層されてなるスタンパであって、前記表面層は、チタ
ン、シリコン、モリブデンもしくはタングステンのいず
れか一つ又はそれらの窒化物の一つ又はそれらの炭化物
の一つで形成されているようにしたものである。
【0013】また第3の発明は、ディスクに転写するた
めのピットパターンが形成された基体表面に、チタン、
シリコン、モリブデンもしくはタングステンのいずれか
一つからなる導電層を介して表面層が積層されてなるス
タンパであって、前記表面層はチタン、シリコン、モリ
ブデンもしくはタングステンの窒化物の一つ又はそれら
の炭化物の一つで形成されているようにしたものであ
る。
【0014】また第4の発明は、ディスクに転写するた
めのピットパターンが形成された基体表面に金属層と、
チタン、シリコン、モリブデンもしくはタングステンの
いずれか一つ又はそれらの窒化物の一つ又はそれらの炭
化物の一つからなる表面層とが順次積層されてなるスタ
ンパの製造方法であって、基板上にレジストを積層し
て、該レジストを前記ピットパターンとは反転するパタ
ーンに形成し、そのレジスト上に前記金属層を積層し、
該金属層上に前記基体の構成材料を積層して該基体を形
成し、前記レジストの箇所で前記基板側と前記基体側と
に分割した後、前記金属層の表面に残った前記レジスト
を除去し、該レジストを除去した前記金属層の表面に前
記表面層を積層するようにしたものである。
【0015】また第5の発明は、ディスクに転写するた
めのピットパターンが形成された基体表面に、チタン、
シリコン、モリブデンもしくはタングステンのいずれか
一つ又はそれらの窒化物の一つ又はそれらの炭化物の一
つからなる表面層が積層されてなるスタンパの製造方法
であって、基板上にレジストを積層して、該レジストを
前記ピットパターンとは反転するパターンに形成し、そ
のレジスト上に前記表面層を積層し、該表面層上に前記
基体の構成材料を積層して該基体を形成し、前記レジス
トの箇所で前記基板側と前記基体側とに分割した後、前
記表面層の表面に残った前記レジストを除去するように
したものである。
【0016】さらに第6の発明は、ディスクに転写する
ためのピットパターンが形成された基体表面に、チタ
ン、シリコン、モリブデンもしくはタングステンのいず
れか一つからなる導電層を介して、チタン、シリコン、
モリブデンもしくはタングステンの窒化物の一つ又はそ
れらの炭化物一つからなる表面層が積層されてなるスタ
ンパの製造方法であって、基板上にレジストを積層し
て、該レジストを前記ピットパターンとは反転するパタ
ーンに形成し、そのレジスト上に前記表面層を形成し、
該表面層上に前記導電層を形成して、該導電層上に前記
基体の構成材料を積層して該基体を形成し、さらに前記
レジストの箇所で前記基板側と前記基体側とに分割した
後、前記表面層の表面に残った前記レジストを除去する
ようにしたものである。
【0017】
【作用】第1の発明のスタンパは、表面層を構成するチ
タン、シリコン、モリブデンもしくはタングステン又は
それらの窒化物又はそれらの炭化物は、金属層よりもモ
ース硬度が高く、かつ化学的、熱的な安定性が高いの
で、表面に傷や変形、変質等の不良が生じ難くなる。ま
た第2の発明のスタンパは、導電層を兼ねた表面層が比
抵抗の低いチタン、シリコン、モリブデンもしくはタン
グステンの一つ又はそれらの窒化物の一つ又はそれらの
炭化物の一つで形成されているので、電気メッキの際の
導電性が高められ、通電初期のメッキ速度の立ち上がり
が速くなって、基体が従来よりも短時間で均一に形成さ
れる。
【0018】また第3の発明のスタンパは、表面層がチ
タン、シリコン、モリブデンもしくはタングステンの単
体よりもさらに高いモース硬度を有し、かつ化学的、熱
的な安定性も高いそれらの窒化物又は炭化物の一つで形
成されているので、表面はさらに傷や変形、変質等の不
良が生じ難くなり、かつ成型時の樹脂付着も少ない。さ
らに、導電層が比抵抗の低いチタン、シリコン、モリブ
デンもしくはタングステンのいずれか一つにより形成さ
れているので、基体の形成に要する時間が短縮する。
【0019】また第4の発明のスタンパの製造方法によ
れば、従来の方法をほとんど変更することなく、表面の
耐久性が向上したスタンパが容易に製造される。さらに
第5の発明のスタンパの製造方法によれば、表面の耐久
性が向上したスタンパが製造されると共に、基体の形成
に要する時間が短縮されてスタンパが効率良く製造され
る。また第6の発明のスタンパの製造方法によれば、表
面の耐久性がより優れた、寿命の長いスタンパが製造さ
れると共に、基体の形成に要する時間が短縮されてスタ
ンパが効率良く製造される。
【0020】
【実施例】以下、本発明に係るスタンパ及びその製造方
法の実施例を図面に基づいて説明する。なお、図におい
て従来例と同じ構成部品には同じ番号を付すこととす
る。図1は第1の発明のスタンパの一例を示した断面図
である。図示したようにこのスタンパは、表面改質処理
を施す前の従来のスタンパの表面に、表面層11が積層
された構造を有している。
【0021】すなわち、ニッケルの電気メッキ膜からな
る例えば厚さ0.3mm程度の基体50の表面に、表面
改質処理を施していないニッケル又は銀からなる金属層
51と、表面層11とが順次積層された構造となってい
る。この表面層11は、チタン、シリコン、モリブデン
もしくはタングステンのいずれか一つ又はそれらの窒化
物の一つ又はそれらの炭化物の一つからなり、例えば1
0〜20nm程度の厚さに形成されている。
【0022】上記のチタン、シリコン、モリブデンもし
くはタングステン又はそれらの窒化物又はそれらの炭化
物は、いずれも従来のスタンパの表面を構成していたニ
ッケル又は銀からなる金属層51よりも高いモース硬度
を有している。また結合エネルギーや融点も高いものが
殆どであり、ニッケル又は銀よりも化学的、熱的な安定
性が高い。そのため、スタンパの表面をこのような材料
からなる表面層11で構成することで、従来のような表
面改質処理を施さなくても傷や変形、変質等の不良が生
じ難い、耐久性に優れたスタンパとすることができる。
【0023】また、中でも表面層11がチタン、シリコ
ン、モリブデンもしくはタングステンの窒化物又はそれ
らの炭化物で形成されている場合、表面層11はより化
学的、熱的に安定性の高い状態に形成される。特に窒化
チタンは、その結晶状態がアモルファス的となるので、
表面層11が最も均質で化学的、熱的に安定性の高い状
態に形成される。したがって表面層11が窒化チタンで
構成されれば、さらに硬度が高くしかも成型時における
樹脂の付着が少なくて済むため、スタンパの寿命が一層
長くなる。
【0024】なお、表面層11の厚みはスタンパの基体
50の厚みに対して極薄いので、表面層11形成前の工
程を変更しなければならない等の影響を与えることがな
い。また、たとえ表面層11の厚みにムラがあっても、
ピットの形状等に対してほとんど影響を与えない。例え
ば、光ディスクの有効エリア内(レーザディスク:30
cm以内、コンパクトディスク:12cm以内)で±5
%の範囲とすれば、表面層11の厚みを20nm程度形
成した場合に±1nmの範囲で形成され、ピットの高さ
100〜150nm程度に対してほとんど影響を与えな
い。
【0025】次に上記のように構成されたスタンパの製
造方法、すなわち第4の発明方法について説明する。図
2は第4の発明のスタンパの製造方法を工程順に示した
模式図である。上記したスタンパを製造する場合には、
金属層51の表面改質処理の前まで従来と同様の製造工
程を踏む。すなわち、まず図2(a)に示したように表
面の平滑なガラスの基板52上に、レジストとして例え
ばポジ型のフォトレジスト53をスピンコート法等によ
り均一に塗布する。基板52は例えば直径が200〜3
50mm、厚さが約10mm程度の円板であり、この基
板52上にフォトレジスト53は、読み取りに必要なピ
ットの高さに相当する100〜150nm程度の厚さに
形成される。
【0026】次いで、基板52を回転させながら例えば
He−Cdレーザ等を光源とする露光装置によりピット
形成部を露光し、さらに現像して露光部分のフォトレジ
スト53を除去する。これがレジスト原板となる(図2
(b))。次に図2(c)に示したように、フォトレジ
スト53上に蒸着、スパッタリングもしくは無電解メッ
キ等の方法によりニッケル又は銀の金属層51を形成す
る。
【0027】続いて金属層51を陰極とし、例えばスル
ファミン酸浴等を用いてニッケルの電気メッキを行い、
金属層51上に例えば0.3mm程度の厚さのスタンパ
の基体50を形成する(図2(d))。その後、レジス
ト原板からスタンパの構成部分を剥がす。つまり、フォ
トレジスト53の箇所で基板52側と基体50側とを分
割する(図2(e))。さらに、金属層51の表面に残
留しているフォトレジスト53を有機溶剤や専用の剥離
液等によって除去する(図2(f))。
【0028】そして、図2(f)まで従来と同様の製造
工程を踏んだ後は、従来の表面改質処理に代えて、金属
層51の表面に表面層11を例えば10〜20nm程度
積層する(図2(g))。このことにより、上記したス
タンパが製造される。
【0029】表面層11の方法としては、例えば平板型
のマグネトロン方式を用いたスパッタリング法がある。
マグネトロン方式を用いたスパッタリング法には、チタ
ン、シリコン、モリブデンもしくはタングステンの各タ
ーゲットをアルゴンガスのみ、又はアルゴンガスに窒
素、アンモニア、メタンもしくはエチレン等のガスを添
加したの雰囲気ガス中で反応性スパッタリングを行う方
法や、所望の窒化物、炭化物組成の微粉末による焼結体
ターゲットを用いアルゴンガス雰囲気中にて高周波スパ
ッタリングを行う方法がある。
【0030】また表面層11は、積層時に温度が上昇し
ても影響のほとんどない金属層51の表面に形成される
ので、金属層51の表面の温度が上がるプラズマCVD
法で形成することも可能である。プラズマCVD法で
は、例えばシラン、アンモニア、窒素もしくはアルゴン
等の反応ガスにより300℃程度で窒化シリコンの表面
層11が形成される。また、シランやアルゴン等の反応
ガスにより200〜400℃程度で多結晶シリコンの表
面層11が形成され、その他に約400℃以下でタング
ステンやモリブデン等の表面層11が形成可能である。
【0031】上記したスパッタリング法、プラズマCV
D法のいずれの方法でも、金属層51の表面に表面層1
1の積層を行うので、積層時の温度等の条件は広く選択
可能で取扱いも簡単となる。なお、ピットは実際には断
面形状が台形であり、狭部の概寸幅が例えば上部側約2
50nm、下部側約700nmで側面がなだらかなテー
パ状である。したがってスパッタリング法、CVD法の
いずれでもほとんど均一な被覆が可能であり、ピットの
形状を変形させることなく表面層11を形成することが
できるが、今後ピットパターンの微細化が進んだり、ピ
ットの側面のテーパ角度が大きくなる場合には、段差被
覆性の良いCVD法がより有効となる。
【0032】実際に、厚さ10nm程度の窒化シリコン
からなる表面層11を、シラン、アンモニアの反応ガス
を用い、温度が250℃、圧力が40Pa、成膜速度が
30nm/minの条件でプラズマCVD法により積層
したところ、表面層11は略均一な厚みにかつピットの
形状を精度良く維持した状態で形成された。また、この
スタンパを用いて成型を行った結果、ピットが精度良く
転写され、正常な記録信号が得られる光ディスクが製造
された。以上のように、この実施例方法によれば従来の
方法をほとんど変更することなく、表面の耐久性が向上
したスタンパを製造することができる。
【0033】図3は第1の発明のスタンパの他の例を示
した断面図である。この実施例において、上記実施例と
相異するのは表面改質処理を施していない従来のスタン
パの表面、つまり金属層51と表面層21との間に密着
層22を介在させている点である。
【0034】密着層22は、金属層51と表面層21の
密着性をより強固にするために設けられる。例えば表面
層21をチタン、シリコン、モリブデンもしくはタング
ステンの窒化物の一つ又はそれらの炭化物の一つで形成
する場合に、チタン、シリコン、モリブデンもしくはタ
ングステンのいずれか一つからなる密着層22を介在さ
せると、表面層21の密着性が高められる。このとき、
密着層22は例えば5〜10nm程度の厚さに形成さ
れ、表面層21は10〜20nm程度の厚さに形成され
る。したがって、このスタンパは傷や変形、変質等の不
良が生じ難いうえ、表面層21の金属層51に対する密
着性が高いので、一層耐久性に優れたものとなる。
【0035】図4は上記したスタンパの製造方法を工程
順に示した模式図である。図示したように、図4(a)
〜図4(f)までは図2(a)〜図2(f)と同様であ
る。つまり、金属層51の表面改質処理の前まで従来と
同様の製造工程を踏む。そして図4(f)まで従来と同
様の製造工程を踏んだ後は、従来の表面改質処理に代え
て、金属層51の表面に密着層22を例えば5〜10n
m程度積層する(図4(g))。
【0036】さらに密着層22の形成後は、図4(h)
に示したように表面層21を例えば10〜20nm程度
積層する。これら密着層22、表面層21の積層方法と
しては、上記実施例の表面層11の形成と同様に例えば
平板型のマグネトロン方式を用いたスパッタリング法
や、プラズマCVD法等が用いられる。
【0037】スパッタリング方法では、密着層22を構
成する材料と異なる材料の窒化物又は炭化物で表面層2
1を形成する場合、二種類のターゲットを用いて一つの
チャンバーで又はターゲット毎にチャンバーを替えて行
う。また密着層22を構成する材料と同じ材料の窒化物
又は炭化物で表面層21を形成する場合は、一つのター
ゲットのみを用い、雰囲気ガスの組成を時間的に変化さ
せて反応性スパッタリングすることにより、図4(g)
と(h)の工程を連続して行うこと、すなわち密着層2
2と表面層21とを連続形成することができる。
【0038】なお、反応性スパッタリングによる密着層
22と表面層21との連続形成では、スパッタリング時
のゴミの発生が少なくて済むと共に、密着層22と表面
層21との密着性がより確実であり、さらにはスパッタ
リング装置の小型化が図れるという点で他の方法より有
効である。反応性スパッタリングによる密着層22と表
面層21との連続形成の具体例を、例えば10nm程度
の厚さの密着層22をチタンで形成し、同じく10nm
程度の厚さの表面層21を窒化チタンで形成する場合を
例にとって説明する。
【0039】まず、チタンからなるターゲットを用い、
アルゴンを雰囲気ガスとして、パワーが2KW、雰囲気
ガスの流量が100sccm、圧力が0.4Pa、成膜
速度が15nm/minの条件で反応性スパッタリング
を行う。上記したように、密着層22は積層時に温度が
上昇しても影響のほとんどない金属層51の表面に形成
されるので、この条件ではスループットを上げるために
多少パワーを上げて成膜速度を高めている。これによっ
て、チタンからなる密着層22が金属層51の表面に積
層形成される。
【0040】次いで、アルゴンガスに窒素ガスを添加し
(アルゴンガス:窒素ガス=70:30)、圧力を0.
5Pa、成膜速度を4nm/minとして同じターゲッ
トで連続して反応性スパッタリングを行う。これによっ
て密着層22の表面に連続して窒化チタンからなる表面
層21が積層形成される。実際に上記の条件でスパッタ
リングを行ったところ、金属層51の表面に密着層22
を介して窒化チタンからなる表面層21が、略均一な厚
みにかつピットの形状を精度良く維持した状態で形成さ
れた。また、このスタンパを用いて成型を行った結果、
ピットが精度良く転写され、正常な記録信号が得られる
光ディスクが製造された。
【0041】次に、第2の発明について説明する。図5
は第2の発明のスタンパの一例を示した断面図である。
この実施例においてスタンパは、ニッケルの電気メッキ
膜からなる例えば厚さ0.3mm程度の基体50の表面
に、チタン、シリコン、モリブデンもしくはタングステ
ンのいずれか一つ又はそれらの窒化物の一つ又はそれら
の炭化物の一つからなる表面層31が、例えば20〜5
0nm程度の厚さに積層された構造を有している。
【0042】上記したようにチタン、シリコン、モリブ
デンもしくはタングステン又はそれらの窒化物又はそれ
らの炭化物は、いずれもニッケル又は銀からなる金属層
51よりも高いモース硬度を有し、化学的、熱的な安定
性が高い。そのため、表面がこのような材料からなる表
面層31で構成されたスタンパは、傷や変形、変質等の
不良が生じ難い、耐久性に優れたものとなる。
【0043】また表面層31は、スタンパの基体50を
電気メッキで形成する際の導電層ともなる。表面層31
の構成材料であるチタン、シリコン、モリブデンもしく
はタングステン又はそれらの窒化物又はそれらの炭化物
は、従来の導電層を構成していたニッケルの無電解メッ
キ膜よりも比抵抗が低いので、後述するように基体50
の形成に要する時間が短縮され、スタンパは効率良く製
造されることとなる。
【0044】次に上記のように構成されたスタンパの製
造方法、すなわち第5の発明方法について説明する。図
6は第5の発明のスタンパの製造方法を工程順に示した
模式図である。上記したスタンパを製造する場合には、
フォトレジスト53のパターン形成までは従来と同様の
製造工程を踏む。すなわち、まず図6(a)に示したよ
うにガラスの基板52上に、ポジ型のフォトレジスト5
3を均一に塗布する。次いで、基板52を回転させなが
ら露光装置によりピット形成部を露光し、さらに現像し
て露光部分のフォトレジスト53を除去する。これがレ
ジスト原板となる(図6(b))。
【0045】そしてその後、この実施例では図6(c)
に示したように、フォトレジスト53上にチタン、シリ
コン、モリブデンもしくはタングステンのいずれか一つ
又はそれらの窒化物の一つ又はそれらの炭化物の一つか
らなる表面層31を積層する。その方法としては、前述
と同様に例えば平板型のマグネトロン方式によるスパッ
タリング法が用いられるが、積層時の過度の温度上昇に
よるフォトレジスト53の変質や変形等を防ぐ必要があ
るため、例えば以下のような対策をとることが必要であ
る。
【0046】まずスパッタリング時には、基板52を載
置する載置台を水冷等して基板52を冷却する。またタ
ーゲットと基板52間の距離は、10cm以上離す。基
本的にマグネトロン方式は、磁場によりターゲット近傍
に高密度プラズマが作られるため基板52側の温度上昇
は抑制し易いが、この程度離すことが好ましい。また、
成膜速度は10nm/min以下とする。レジスト原板
はフォトレジスト53の現像後、表面層31を積層する
前に予めポストベークを施しておく。
【0047】具体例として、例えばモリブデンからなる
厚さ20nm程度の表面層31を形成する場合、例えば
次のような条件でスパッタリングが行われる。すなわ
ち、モリブデンからなるターゲットを用い、アルゴンを
雰囲気ガスとして、パワーが0.6KW、雰囲気ガスの
流量が100sccm、圧力が0.4Pa、基板52の
冷却温度が23℃、成膜速度が5nm/minの条件で
行われる。これによって、フォトレジスト53上にモリ
ブデンからなる厚さ20nm程度の表面層31が均一
に、かつピットの形状を精度良く維持した状態で形成さ
れる。
【0048】なお、こうして積層された表面層31は、
上記したようにスタンパの表面を構成するだけでなく、
次の工程においてスタンパの基体50を電気メッキで形
成する際の導電層ともなる。このため表面層31を、従
来の導電層を構成していたニッケルよりも特に比抵抗の
低い、例えばモリブデン、タングステンで形成すると、
電気メッキする際の導電性を高めるうえで特に有効とな
る。
【0049】フォトレジスト53上に表面層31を積層
した後は、表面層31を陰極とし、従来と同様に例えば
スルファミン酸浴等を用いてニッケルの電気メッキを行
う。そして、表面層31上に例えば0.3mm程度の厚
さのスタンパの基体50を形成する(図6(d))。こ
のとき、上記したように表面層31が比抵抗の低い材料
で形成されているので、電気メッキの際の導電性が高め
られ、通電初期のメッキ速度の立ち上がりが速くなっ
て、基体50が従来よりも短時間で形成される。特に表
面層31がモリブデン又はタングステンで形成されてい
る場合には、電気メッキの所要時間を一層短縮すること
ができる。
【0050】例えば、上記した条件のスパッタリングに
より形成されたモリブデンからなる表面層31を導電層
として電気メッキした場合、0.3mm程度の厚さに基
体50を形成するまでの所要時間が、従来のニッケルの
無電解メッキを導電層としてときに比べて約30%短縮
された。また厚み、質とも均一な電気メッキ膜の基体5
0が得られた。こうして基体50を形成した後は、従来
と同様にレジスト原板からスタンパの構成部分を剥が
す。つまり、フォトレジスト53の箇所で基板52側と
基体50側とを分割する(図6(e))。
【0051】そして、表面層31の表面に残留している
フォトレジスト53を除去することにより、基体50の
表面に表面層31が積層されたスタンパが得られる(図
6(f))。以上のように、この実施例方法によれば表
面の耐久性が向上したスタンパを製造することができ
る。しかも、基体50を形成するための電気メッキ工程
におけるタクトタイムの短縮を図ることができるので、
スタンパ製造の生産性の向上を図ることができる。
【0052】次に第3の発明について説明する。図7は
第3の発明のスタンパの一例を示した断面図である。こ
の実施例においてスタンパは、ニッケルの電気メッキ膜
からなる例えば厚さ0.3mm程度の基体50の表面
に、導電層43を介して表面層41が積層された構造を
有している。
【0053】導電層43はチタン、シリコン、モリブデ
ンもしくはタングステンのいずれか一つからなり、基体
50の表面に例えば厚さ20〜50nm程度積層され
る。また表面層41は、チタン、シリコン、モリブデン
もしくはタングステンの窒化物の一つ又はそれらの炭化
物の一つからなり、導電層43の表面に例えば厚さ10
〜30nm程度積層される。
【0054】またこの実施例では、表面層41と導電層
43との密着性より高めるために、それらの層間に密着
層42を介在させている。この場合、密着層42は例え
ばチタン、シリコン、モリブデンもしくはタングステン
のいずれか一つで形成されると共に、導電層43とは異
なる材料で形成され、例えば10nm程度の厚さに形成
される。
【0055】なお、例えば表面層41が導電層43と同
じ構成材料の窒化物又は炭化物で形成される場合等のよ
うに、表面層41と導電層43との密着性が良好な場合
には、導電層43が密着層42としての役割も兼ねるこ
ととなる。したがって、密着層42は必ずしも必要でな
く、表面層41と導電層43の構成材料の組合せによっ
て省くことができる。
【0056】このようなスタンパは、表面層41がチタ
ン、シリコン、モリブデンもしくはタングステンの単体
よりもさらに高いモース硬度を有し、化学的、熱的な安
定性が高いそれらの窒化物又は炭化物の一つで形成され
ている。そのためこのスタンパは、より傷や変形、変質
等の不良が生じ難い、耐久性に優れたものとなり、かつ
成型時の樹脂付着も少なくなる。前述したように特に窒
化チタンは、その結晶状態がアモルファス的となり、表
面層41が最も均質で化学的、熱的に安定性の高い状態
に形成されるので、樹脂の付着が少なくて済み、スタン
パの寿命が一層長くなる。
【0057】また、ニッケルより比抵抗の低いチタン、
シリコン、モリブデンもしくはタングステンのいずれか
一つにより導電性43が形成されているので、基体50
の形成に要する時間が短縮され、スタンパは効率良く製
造されることとなる。さらに、表面層41と導電層43
とが密着層42によって密着性が高められているので、
一層耐久性に優れたものとなる。
【0058】次に上記のように構成されたスタンパの製
造方法、すなわち第6の発明方法について説明する。図
8は第6の発明のスタンパの製造方法を工程順に示した
模式図である。上記したスタンパを製造する場合、フォ
トレジスト53のパターン形成まで従来と同様の製造工
程を踏む。すなわち、まず図8(a)に示したように基
板52上に、ポジ型のフォトレジスト53を塗布する。
次いで、基板52を回転させながら露光装置によりピッ
ト形成部を露光し、さらに現像して露光部分のフォトレ
ジスト53を除去する。これがレジスト原板となる(図
8(b))。
【0059】そしてその後、フォトレジスト53上にチ
タン、シリコン、モリブデンもしくはタングステンの窒
化物の一つ又はそれらの炭化物の一つからなる表面層4
1を積層し、さらに表面層41上にチタン、シリコン、
モリブデンもしくはタングステンのいずれか一つからな
る密着層42と導電層43とをこの順に積層する(図8
(c))。その方法としては、前述と同様に例えば平板
型のマグネトロン方式による反応性スパッタリング法又
は焼結体ターゲットを用いた高周波スパッタリング法が
用いられる。
【0060】反応性スパッタリング方法では、密着層4
2を構成する材料と異なる材料の窒化物又は炭化物で表
面層41を形成する場合、二種類のターゲットを用いて
一つのチャンバー内で又はターゲット毎にチャンバーを
替えて表面層41、密着層42をそれぞれ形成する。そ
して、密着層42上にさらに別のターゲットを用いて導
電層43を形成する。また密着層42を構成する材料と
同じ材料の窒化物又は炭化物で表面層41を形成する場
合は、一つのターゲットのみを用いて表面層41と密着
層42とを連続形成することができる。
【0061】さらに密着層42を省き、しかも導電層4
3を構成する材料と同じ材料の窒化物又は炭化物で表面
層41を形成する場合は、上記と同様に表面層41と導
電層43とを連続して形成することができる。焼結体タ
ーゲットを用いた高周波スパッタリング法では、焼結体
ターゲットを用いて表面層41を形成した後、密着層4
2、導電層43をそれぞれ形成する。
【0062】反応性スパッタリングによる表面層41と
密着層42との連続形成、及び導電層43の形成の具体
例を、例えば10nm程度の厚さの表面層41を窒化チ
タンで形成し、同じく10nm程度の厚さの密着層42
をチタンで形成し、さらに20nm程度の厚さの導電層
43をモリブデンで形成する場合を例にとって説明す
る。
【0063】まず、チタンからなるターゲットを用い、
アルゴンガスに窒素をアルゴンガス:窒素ガス=70:
30の割合で添加したものを雰囲気ガスとして、パワー
を0.5KW、基板52の冷却温度を23℃、成膜速度
を2nm/minの条件で反応性スパッタリングを行
う。これによって、窒化チタンからなる表面層41がフ
ォトレジスト53上に形成される。続いて、パワーを
0.7KWに上げ、雰囲気ガスをアルゴンガスのみで流
量を100sccm、圧力を0.4Pa、成膜速度を5
nm/minとして同じターゲットで連続してスパッタ
リングを行う。このとき、基板52は引き続き冷却す
る。そして、表面層41の表面に連続してチタンからな
る密着層42が積層形成される。
【0064】次いで、モリブデンからなるターゲットを
用い、パワーを0.6KWとし、密着層42と同じ条件
で反応性スパッタリングを行う。これによって密着層4
2の表面にモリブデンからなる導電層43が形成され
る。実際に上記の条件でスパッタリングを行ったとこ
ろ、フォトレジスト53の表面に表面層41、密着層4
2及び導電層43が、略均一な厚みにかつピットの形状
を精度良く維持した状態で形成された。
【0065】フォトレジスト53上に表面層41、密着
層42及び導電層43を積層した後は、導電層43を陰
極とし、従来と同様に例えばスルファミン酸浴等を用い
てニッケルの電気メッキを行う。そして、導電層43上
に例えば0.3mm程度の厚さのスタンパの基体50を
形成する(図8(d))。
【0066】導電層43は、従来のニッケルの無電解メ
ッキ膜よりも比抵抗が低いチタン、シリコン、モリブデ
ンもしくはタングステンで構成されているので、通電初
期のメッキ速度の立ち上がりが速くなって、基体50が
従来よりも短時間で形成される。例えば、上記した条件
のスパッタリングにより形成されたモリブデンからなる
導電層43を陰極として電気メッキした場合、0.3m
m程度の厚さに基体50を形成するまでの所要時間が、
従来のニッケルの無電解メッキを導電層としてときに比
べて約30%短縮された。また厚み、質とも均一な電気
メッキ膜の基体50が得られた。
【0067】こうして基体50を形成した後は、従来と
同様にレジスト原板からスタンパの構成部分を剥がす。
つまり、フォトレジスト53の箇所で基板52側と基体
50側とを分割する(図8(e))。そして、表面層4
1の表面に残留しているフォトレジスト53を除去する
ことにより、基体50の表面に導電層43、密着層42
及び表面層41がこの順に積層されたスタンパが得られ
る(図8(f))。
【0068】以上のように、この実施例方法によれば傷
や変形、変質等の不良が生じ難い、表面の耐久性が向上
したスタンパを製造することができる。しかも導電層4
3が比抵抗の低い材料で形成されているので、基体50
を形成するための電気メッキ工程におけるタクトタイム
の短縮を図ることができ、スタンパ製造の生産性を向上
することができる。さらにこの実施例では表面層43上
に密着層42を介して導電層43を積層するので、表面
層43と導電性43との密着性が向上した、より耐久性
に優れたスタンパを製造することができる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように第1の発明のスタン
パは、金属層の表面に、それよりもモース硬度が高く、
かつ化学的、熱的な安定性が高い表面層が積層されてい
るので、従来のような表面改質処理を施さなくても傷や
変形、変質等の不良が生じ難い、耐久性に優れたものと
なる。また第2の発明のスタンパにおいては、導電層を
兼ねる表面層の比抵抗が、従来の導電層を構成していた
ニッケルよりも低いので、表面の耐久性が優れているの
に加えて、基体を形成するための電気めっき工程におけ
るタクトタイムを短縮でき、スタンパを効率良く製造す
ることができる。
【0070】また第3の発明のスタンパは、表面層がチ
タン、シリコン、モリブデンもしくはタングステンの単
体よりもさらに高いモース硬度を有し、かつ化学的、熱
的な安定性も高いそれらの窒化物又は炭化物の一つで形
成されているので、より傷や変形、変質等の不良が生じ
難い、耐久性に特に優れたものとなる。しかも成型時の
樹脂の付着が少なくて済むため、寿命が長くなる。さら
に、導電層がニッケルより比抵抗の低い材料で形成され
ているので、前記基体の形成工程におけるタクトタイム
を短縮でき、スタンパを効率良く製造することができ
る。したがって本発明のスタンパは寿命が長く、かつ常
にピットが精度良く転写された光ディスクを製造するこ
とができるので、将来的な微細化にも適用可能な非常に
有効なものとなる。
【0071】また第4の発明のスタンパの製造方法によ
れば、従来の方法をほとんど変更することなく、表面の
耐久性が向上したスタンパを容易に製造することができ
る。さらに第5の発明のスタンパの製造方法によれば、
表面の耐久性が向上したスタンパを製造することができ
ると共に、基体を形成するための電気メッキ工程におけ
るタクトタイムの短縮を図ることができるので、スタン
パ製造の生産性の向上を図ることができる。また第6の
発明のスタンパの製造方法によれば、表面の耐久性がさ
らに優れた、寿命の長いスタンパを製造することができ
ると共に、前記電気メッキ工程におけるタクトタイムの
短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の発明のスタンパの一例を示した断面図で
ある。
【図2】第4の発明のスタンパの製造方法の一例を工程
順に示した模式図である。
【図3】第1の発明のスタンパの他の例を示した断面図
である。
【図4】図3に示したスタンパの製造方法を工程順に示
した模式図である。
【図5】第2の発明のスタンパの一例を示した断面図で
ある。
【図6】第5の発明のスタンパの製造方法の一例を工程
順に示した模式図である。
【図7】第3の発明のスタンパの一例を示した断面図で
ある。
【図8】第6の発明のスタンパの製造方法の一例を工程
順に示した模式図である。
【図9】従来のスタンパの製造方法を工程順に示した模
式図である。
【符号の説明】
11、21、31、41 表面層 43 導電層 50 基体 51 金属層 52 基板 53 フォトレジスト

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスクに転写するためのピットパター
    ンが形成された基体表面に金属層が形成されてなるスタ
    ンパにおいて、 前記金属層の表面には、チタン、シリコン、モリブデン
    もしくはタングステンのいずれか一つ又はそれらの窒化
    物の一つ又はそれらの炭化物の一つからなる表面層が積
    層されていることを特徴とするスタンパ。
  2. 【請求項2】 ディスクに転写するためのピットパター
    ンが形成された基体表面に表面層が積層されてなるスタ
    ンパであって、 前記表面層は、チタン、シリコン、モリブデンもしくは
    タングステンのいずれか一つ又はそれらの窒化物の一つ
    又はそれらの炭化物の一つで形成されていることを特徴
    とするスタンパ。
  3. 【請求項3】 ディスクに転写するためのピットパター
    ンが形成された基体表面に、チタン、シリコン、モリブ
    デンもしくはタングステンのいずれか一つからなる導電
    層を介して表面層が積層されてなるスタンパであって、 前記表面層は、チタン、シリコン、モリブデンもしくは
    タングステンの窒化物の一つ又はそれらの炭化物の一つ
    で形成されていることを特徴とするスタンパ。
  4. 【請求項4】 ディスクに転写するためのピットパター
    ンが形成された基体表面に金属層と、チタン、シリコ
    ン、モリブデンもしくはタングステンのいずれか一つ又
    はそれらの窒化物の一つ又はそれらの炭化物の一つから
    なる表面層とが順次積層されてなるスタンパの製造方法
    であって、 基板上にレジストを積層して、該レジストを前記ピット
    パターンとは反転するパターンに形成する工程と、 そのレジスト上に前記金属層を積層する工程と、 該金属層上に前記基体の構成材料を積層して該基体を形
    成する工程と、 前記レジストの箇所で前記基板側と前記基体側とに分割
    する工程と、 その後、前記金属層の表面に残った前記レジストを除去
    する工程と、 該レジストを除去した前記金属層の表面に前記表面層を
    積層する工程とからなることを特徴とするスタンパの製
    造方法。
  5. 【請求項5】 ディスクに転写するためのピットパター
    ンが形成された基体表面に、チタン、シリコン、モリブ
    デンもしくはタングステンのいずれか一つ又はそれらの
    窒化物の一つ又はそれらの炭化物の一つからなる表面層
    が積層されてなるスタンパの製造方法であって、 基板上にレジストを積層して、該レジストを前記ピット
    パターンとは反転するパターンに形成する工程と、 そのレジスト上に前記表面層を積層する工程と、 該表面層上に前記基体の構成材料を積層して該基体を形
    成する工程と、 前記レジストの箇所で前記基板側と前記基体側とに分割
    する工程と、 その後、前記表面層の表面に残った前記レジストを除去
    する工程とからなることを特徴とするスタンパの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 ディスクに転写するためのピットパター
    ンが形成された基体表面に、チタン、シリコン、モリブ
    デンもしくはタングステンのいずれか一つからなる導電
    層を介して、チタン、シリコン、モリブデンもしくはタ
    ングステンの窒化物の一つ又はそれらの炭化物一つから
    なる表面層が積層されてなるスタンパの製造方法であっ
    て、 基板上にレジストを積層して、該レジストを前記ピット
    パターンとは反転するパターンに形成する工程と、 そのレジスト上に前記表面層を形成する工程と、 該表面層上に前記導電層を形成する工程と、 該導電層上に前記基体の構成材料を積層して該基体を形
    成する工程と、 前記レジストの箇所で前記基板側と前記基体側とに分割
    する工程と、 その後、前記表面層の表面に残った前記レジストを除去
    する工程とからなることを特徴とするスタンパの製造方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005110697A1 (de) * 2004-05-14 2005-11-24 Cfs Kempten Gmbh Werkzeug, insbesondere zur extrusion von kunststoffen, verwendung des werkzeugs und verfahren zur wiederaufbereitung des werkzeugs
WO2005110698A3 (en) * 2004-05-14 2006-03-02 Teer Coatings Ltd Coating with hard wear and non-stick characteristics

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WO2005110697A1 (de) * 2004-05-14 2005-11-24 Cfs Kempten Gmbh Werkzeug, insbesondere zur extrusion von kunststoffen, verwendung des werkzeugs und verfahren zur wiederaufbereitung des werkzeugs
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