JPH0716724B2 - 金型搬送コンベア装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、プレス装置に用いられる金型を搬送する金型
搬送コンベア装置に関する。

［従来の技術］ 従来、プレス装置の金型交換作業は手押し台車（以下、
単に「台車」という。）を使用して行われていた。

すなわち、まず、金型収納庫から交換用金型を取り出し
て台車に載せ、次に、この台車をプレス装置の前面に横
付けする。その後、プレス装置から被交換用の金型を取
り外して台車に載せ、交換用の金型をプレス装置に取り
付ける。最後に、被交換用の金型を台車に載せて金型収
納庫まで運び、被交換用金型を金型収納庫に収納するこ
とにより金型交換を行っていた。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、従来のような台車を使用した金型交換作
業においては、複数のプレス装置（例えばプレスライ
ン）の金型を交換する場合には、上記交換作業をプレス
装置の台数分だけ行なわなければならない。このため、
金型収納庫からプレス装置までの台車の往復作業に多く
の時間を必要とし、プレス装置の稼働効率を低下させる
という問題点を有していた。なお、複数のプレス装置の
前面側床面にレールを敷設し、このレール上で金型が載
置された台車を搬送させて金型交換作業を行うことが提
唱されているが、結局は、台車が金型収納庫とプレス装
置間をプレス装置の台数分だけ往復しなければならず、
プレスの稼働効率を有効に向上させることができなかっ
た。

本発明は、上記従来の技術的課題を背景になされたもの
で、金型交換作業を短時間に行えるようにして、プレス
装置の稼働効率の向上を可能にした金型搬送コンベア装
置を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明は、上記目的を達成するために、並んで設置され
た複数のプレス装置の前面に沿って設けられ、各プレス
装置に用いられる金型を搬送する金型搬送コンベア装置
において、前記複数のプレス装置に取り付けられている
被交換用金型の前方に、各プレス装置から取り外された
被交換用金型を載置する第１スペースが設けられ、各第
１スペースに対して同一側において隣接する箇所に、前
記複数のプレス装置に取り付けられる交換用金型を載置
する第２スペースが設けられ、搬送方向の一端部に金型
搬出入部が設けられたことを特徴とするものである。

［作用］ 一端部に設けられた金型搬出入部に交換すべき複数の交
換用金型を載置した後、各交換用金型を搬送して第２ス
ペースにそれぞれ位置させる。次に、各プレス装置を停
止した後、各プレス装置から被交換用金型を取り外して
第１スペースにそれぞれ載せる。次に、交換用金型及び
被交換用金型を搬送して各交換用金型を第１スペースに
それぞれ位置させる。次に、各交換用金型をプレス装置
にそれぞれ取り付ける。交換用金型の取り付け完了後、
被交換用金型を金型搬出入部に搬送する。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例を第１図〜第９図を参照して説
明する。

なお、本実施例では、第１図に示すように、横方向に並
設された３台のプレス装置１に、本発明に係る金型搬送
コンベア装置Ｋを設置した場合を例に採る。

まずプレス装置から説明する。

プレス装置１は、第２図に示すように、ボルスター11の
上面に、左右に対向する一対の下型セット台12、12がそ
れぞれ設けられている。下型セット台12、12の各対向面
には、前後方向に延びる金型搬送用の第１コロコンベア
13、13がそれぞれ設けられている。各第１コロコンベア
13は、図示しない油圧装置によって昇降可能に設けられ
ており、降下時（下型セット時）には下型セット台12の
上面よりも下方（あるいは面一）に位置している。な
お、図において、符号14は下型を下型セット台に取り付
けるためのクランプであり、符号15はプレスフレームで
ある。

次に、本発明に係る金型搬送コンベア装置について説明
すると、金型搬送コンベア装置Ｋは、第１図および第２
図に示すように、各プレス装置１の前面側に直線状に並
んで配置された３台の搬送コンベア２と、各搬送コンベ
ア２と各プレス装置１とをそれぞれ連結するリンク機構
３と、最も右側に位置する搬送コンベア２に隣接して設
置された搬出入コンベア４（金型搬出入部）とを備えて
いる。

搬送コンベア２は、長尺な矩形フレーム21と、この矩形
フレーム21の両側部21a、21aに回動可能に支持された複
数のローラ22とから構成されている。

矩形フレーム21は、第３図において右側に位置する一側
が、他側部より上方に突出して形成されている。これに
より、金型搬送中に金型が搬送コンベア２から脱落する
のを防止している。また、矩形フレーム21の底部には底
板23が形成されている。底板23には、下方に突出する突
出部24a、24bおよび25a、25b（第４図参照）が形成され
ている。突出部24a、24bは、プレス装置１の左側面とほ
ぼ一致する位置に配置されている。一方、突出部25a、2
5bは、プレス装置１の右側面とほぼ一致する位置に配置
されている。

複数のローラ22は、第２図に示すように、互いに等間隔
をもって離間し、矩形フレーム21の両側部21a、21aに回
動可能に支持されている。各ローラ22の上端部22aは、
第３図に示すように、下型セット台12の上端面12aとほ
ぼ面一となるように設置されている。各ローラ22は、図
示しない駆動装置（例えばチェーン駆動など）により自
動搬送可能になされている。

各搬送コンベア２の左端部付近26には、図示しない検知
スイッチ（例えば、光電管スイッチなど）がそれぞれ設
けられている。

検知スイッチは、後述する各交換用金型６が第２スペー
スS₂にそれぞれ位置したときに作動して各搬送コンベア
２の駆動を停止させるようになっている。これにより、
各交換用金型６が第２スペースS₂にそれぞれ載置される
ようになっている。

上記構成の各搬送コンベア２が、各リンク機構３を介し
てプレス装置１にそれぞれ連結されている。

リンク機構３は、第３図に示すように、ボルスター11の
一側部に設けられたベースプレート31を備えている。こ
のベースプレート31の先端部には、突出部24aが回動軸3
1aを介して回動可能に支持されている。ベースプレート
31の下端部には、リンク32の一端部が回動軸32aを介し
て回動可能に支持されている。ベースプレート31の基端
部には、油圧シリンダー33が揺動可能に支持されてい
る。また、上記突出部24bには、リンク34の一端部が回
動軸34aを介して回動可能に支持されている。リンク32
とリンク34の各他端部と油圧シリンダー33の先端部とが
回動軸33aを介して回動可能に支持されている。一方、
ボルスター11の他側面（第４図参照）に設けられたベー
スプレート35の先端部には、突出部25a、25bが回動軸36
a、36bを介してそれぞれ回動可能の支持されている。上
記構成において、油圧シリンダー33のピストンロッド
が、右方向へ伸長しているとき、回動軸32a、33a、34a
はそれぞれ同一直線上に位置しており、回動軸31aと回
動軸34aとを結んだ線は床面に対してほぼ水平に位置し
ている。このとき、搬送コンベア２を構成する各ローラ
22の上端面22aと下型セット台12の上端面12aとはほぼ面
一になっている。この状態から上記ピストンロッドを左
方向へ収縮させると、回動軸33aが油圧シリンダー33側
に接近し、第５図に示すように、搬送コンベア２が回動
軸31aを基点にして時計方向にほぼ90°回動して、下方
に折り畳まれた状態となる。これにより、金型交換作業
以外においてのプレス装置１の前面側での作業性が確保
できる。

プレス装置１に搬送コンベア２が連結された状態におい
ては、第１図に示すように、搬送コンベア２の右端部が
プレス装置１の前面と対向し、左端部はプレス装置１の
左側面より左方に突出している。搬送コンベア２の右端
部で上記第１コロコンベア13の延長線上には、ローラ22
間の隙間Ｃが位置しており、その隙間Ｃには、金型搬送
用の第２コロコンベア27が設けられている。この第２コ
ロコンベア27は、第１コロコンベア13と同様、図示しな
い油圧装置によって昇降可能に設けられており、降下時
には各ローラ22の上端面22aよりも下方（あるいは面
一）に位置している。そして、第２コロコンベア27を含
む搬送コンベア２におけるプレス装置１に取り付けられ
た金型（第２図の２点鎖線）の前方に位置する箇所に
は、被交換用金型５が載置される第１スペースS₁が形成
されている。一方、搬送コンベア２の左端部で第１スペ
ースS₁に隣接する箇所には、交換用金型６が載置される
第２スペースS₂が形成されている。なお、各搬送コンベ
ア２間には若干の隙間が形成されている。

搬出入コンベア４は、第２コロコンベア27が設けられて
いない点、およびプレス装置１に設置されることなく架
台（図示せず。）を介して床面に設置されている点以
外、搬送コンベア２と同様に構成されている。ただし、
搬出入コンベア４は、その右端部が金型収納庫（図示せ
ず。）まで延びている。

次に、金型交換作業について説明する。

まず、第３図に示すように、各リンク機構３の油圧シリ
ンダー33を右方向へ伸長させ、搬送コンベア２を構成す
る各ローラ22の上端面22aと下型セット台12の上端面12a
とがほぼ面一になるようにする。

次に、金型収納庫（図示せず。）から取り出した交換用
金型６を駆動状態の搬出入コンベア４に順次載置する。
この場合、第１図において最も左側のプレス装置１に使
用する交換用金型６から順次載置することはいうまでも
ない。

搬出入コンベア４に順次載置された各交換用金型６は、
それぞれ第２スペースS₂に向けて自動搬送される。各交
換用金型６が第２スペースS₂に位置すると、各検知スイ
ッチが順次作動して各搬送コンベア２の駆動を停止させ
る。これにより、各交換用金型６がそれぞれ第２スペー
スS₂に載置され、第６図に示すようになる。

次に、各被交換用金型５でのプレス作業が終了した後、
各プレス装置１を停止する。次に、各下型セット台12の
クランプ14を外して被交換用の下型51のセットを解除す
る。その後、各プレス装置１のラム（図示せず。）を下
降させ、各ラムにセットされている被交換用の上型52の
下面を被交換用の下型51の上面にそれぞれ載置する（第
３図参照）。次に、各被交換用の上型52とラムとのセッ
トを解除する。次に、各第１コロコンベア13と第２コロ
コンベア27とを上昇させる。このとき、第１コロコンベ
ア13と第２コロコンベア27の上端面は面一になってい
る。

各第１コロコンベア13が上昇することにより、下型51に
上型52が載置された状態の各被交換用金型５が上方に持
ち上げられる。このとき、第１コロコンベア13の上端面
は下型セット台12の上端面12aより上方に位置して被交
換用金型５を支持している。この状態から各被交換用金
型５を第１スペースS₁の方向へ移動させて、各第１スペ
ースS₁に位置させる。このとき、第２コロコンベア27の
上端面は各ローラ22の上端面22aより上方に位置して被
交換用金型５を支持している。

次に、各第２コロコンベア27のみを下降させて被交換用
金型５を第１スペースS₁にそれぞれ載置させる（第７図
参照）。次に、搬送コンベア２を逆駆動させて各第１ス
ペースS₁および第２スペースS₂にそれぞれ載置された被
交換用金型５および交換用金型６を搬出入コンベア４方
向へ移動させる。そして、各交換用金型６が第１スペー
スS₁に位置したときに各搬送コンベア２の駆動を停止さ
せる。これにより、各交換用金型６が第１スペースS₁に
載置され、第８図に示すようになる。

次に、各第２コロコンベア27を再度上昇させて各交換用
金型６を上方へ持ち上げる。そして、各交換用金型６を
第２コロコンベア27および第１コロコンベア上で移動さ
せて各下型セット台12へ位置させる（第９図参照）。以
下、被交換用金型５をプレス装置１から取り外した場合
と逆の方法にて、交換用金型６をプレス装置１に取り付
ける。

次に、第２コロコンベア27を下降させた後、各搬送コン
ベア２を再度逆駆動させて、各被交換用金型５を搬出入
コンベア４方向へ自動搬送させる。搬出入コンベア４に
達した各被交換用金型５は順次金型収納庫に収納され
る。

最後に、第５図に示すように、各油圧シリンダー33のピ
ストンロッドを収納させて、各搬送コンベア２を下方に
折り畳む。これにより、金型交換作業を完了する。

上記構成の金型搬送コンベア装置を複数のプレス装置に
使用した場合には、従来のように、プレス装置の台数分
だけ金型収納庫とプレス装置間を往復する必要がなくな
り、金型交換作業を短時間で行うことができる。したが
って、プレス装置の稼働効率を著しく向上させることが
可能となる。

本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲において変更可能である。

例えば、本実施例では、搬送コンベア２を構成する各ロ
ーラ22の上端面22aと床面とが水平になるようにしてい
るが、場合によっては、第10図に示すように、搬送コン
ベア２の右側部を下方に若干傾斜させるとともに、右側
部内側面に複数のコロコンベアＲを設けることもでき
る。このようにすると、各交換用金型６が右方向へ滑
り、各搬送コンベア２の右側部に沿って整然と載置され
る。このため、搬出入コンベア４に交換用金型６を載置
させる際の位置決め作業が容易となる。

また、本実施例では、プレス装置１と搬送コンベア２と
をリンク機構３で連結し、このリンク機構の油圧シリン
ダー33を収縮させて搬送コンベア２を下方にのみ折り畳
み可能となるようにしているが、必ずしもこれに限定す
る必要はなく、例えば、第11図に示すように、プレス装
置１の一側にモータＭとウォーム減速機Ｗを設置して、
搬送コンベア２を上方に起立させることも可能である。

すなわち、ウォーム減速機Ｗの出力軸（図示せず。）
に、プレス装置１と搬送コンベア２とを連結する回動軸
2aを結合し、この回動軸2aを回動させることによって、
搬送コンベア２を上方に起立させる。この場合、上方に
起立した搬送コンベア２がプレス作業部Ｇの前面に位置
するため、搬送コンベア２を安全柵として使用すること
ができる。

さらに、本実施例では、横方向に並設された複数のプレ
ス装置１の前面側に、金型搬送コンベア装置Ｋを構成す
る各搬送コンベア２が直線状に配置された場合を例に採
ったが、必ずしもこのようにする必要はなく、複数のプ
レス装置１の設置状態によっては、各搬送コンベア２を
曲線状に配置することも可能である。

さらに、本実施例では、金型搬送コンベア装置Ｋを構成
する搬送コンベア２および搬出入コンベア４に駆動装置
を設けて金型の自動搬送を可能にしているが、必ずしも
駆動装置を設ける必要はない。駆動装置を設けない場合
は、搬送コンベア２および搬出入コンベア４に載置され
た金型を手で押して搬送する。

［発明の効果］ 以上説明したように、本発明の金型搬送コンベア装置に
よれば、複数のプレス装置に取り付けられている被交換
用金型の前方に、各プレス装置から取り外された被交換
用金型を載置する第１スペースが設けられ、各第１スペ
ースに対して同一側において隣接する箇所に、前記複数
のプレス装置に取り付けられる交換用金型を載置する第
２スペースが設けられ、搬送方向の一端部に金型搬出入
部が設けられているから、金型交換作業を短時間で行う
ことができ、したがって、プレス装置の稼働効率が向上
するという効果等が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第９図は本発明の一実施例を示すものであり、
第１図は複数のプレス装置に本発明に係る金型搬送コン
ベア装置を設置した状態を示す平面図、第２図は第１図
の部分詳細図、第３図は第２図のIII矢視図、第４図は
第３図のIV矢視図、第５図は搬送コンベアを折り畳んだ
状態を示す図、第６図は交換用金型を第２スペースに載
置させた状態を示す平面図、第７図は被交換用金型を第
１スペースに載置させた状態を示す平面図、第８図は交
換用金型を第１スペースに載置させた状態を示す平面
図、第９図は交換用金型をプレス装置に取り付けた状態
を示す平面図、第10図および第11図は他の実施例を示す
図である。 １…プレス装置、Ｋ…金型搬送コンベア装置、２…搬送
コンベア、S₁…第１スペース、S₂…第２スペース、４…
搬出入コンベア（金型搬出入部）、５…被交換用金型、
６…交換用金型

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】並んで設置された複数のプレス装置の前面
   に沿って設けられ、各プレス装置に用いられる金型を搬
   送する金型搬送コンベア装置において、前記複数のプレ
   ス装置に取り付けられている被交換用金型の前方に、各
   プレス装置から取り外された被交換用金型を載置する第
   １スペースが設けられ、各第１スペースに対して同一側
   において隣接する箇所に、前記複数のプレス装置に取り
   付けられる交換用金型を載置する第２スペースが設けら
   れ、搬送方向の一端部に金型搬出入部が設けられたこと
   を特徴とする金型搬送コンベア装置。