JPH07165655A - 3−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルオキシ)−1−プロパノール類及びそれを含有する香料組成物 - Google Patents

3−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルオキシ)−1−プロパノール類及びそれを含有する香料組成物

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JPH07165655A
JPH07165655A JP30773693A JP30773693A JPH07165655A JP H07165655 A JPH07165655 A JP H07165655A JP 30773693 A JP30773693 A JP 30773693A JP 30773693 A JP30773693 A JP 30773693A JP H07165655 A JPH07165655 A JP H07165655A
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Sunao Toi
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 次式(1); 【化1】 (式中、R1 及びR2 は水素原子又は炭素数1〜4のア
ルキル基を示す)で表される3−(3,3,5−トリメ
チルシクロヘキシルオキシ)−1−プロパノール類及び
それを含有する香料組成物。 【効果】 式(1)で示される化合物は、ボリュームの
あるクリーミー感とパウダリー感を有しており、サンダ
ルウッド油の代替品として好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れたサンダル様香気
を有し、トイレタリー用品等への賦香成分として有用な
新規化合物及びそれを含有する香料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】サンダルウッド油はその独特な香気か
ら、調合香料として必須素材の一つである。しかし、生
産量に限りのある天然物であるため高価であり、需要の
多い安価なトイレタリー用品などへの使用は制限せざる
を得ない。このため、サンダルウッド油代替品として各
種合成香料が開発、市販されているが、いずれもサンダ
ルウッド油に含有されるβ−サンタロールが有するボリ
ュームのあるクリーミー感とパウダリー感を十分に具備
するものはない。
【0003】このような問題点を解決するものとして、
特開昭60−209537号公報には、3,3−ジメチ
ル−5−(2’,2’,3’−トリメチル−3’−シク
ロペンテン−1’−イル)−4−ペンテン−2−オール
及びその類縁体が、従来のサンダルウッド油代替品には
ないクリーミー感を有することが開示されている。しか
し、これもβ−サンタロールそのものと比べると未だ不
十分であり、パウダリー感も乏しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のとおり、従来の
サンダルウッド油代替品には、β−サンタロールに由来
するボリュームのあるクリーミー感とパウダリー感を十
分に満足するものは見出されていない。従って、本発明
は、これらの香気特性を具備した新規化合物及びそれを
含有する香料組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは種々
のシクロアルカン類を合成し、その香気を検討した結
果、今般新たに合成した文献未記載の化合物である3−
(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルオキシ)−1
−プロパノール類がボリューム感のあるクリーミーでパ
ウダリーなサンダル様香気を有し、幅広いトイレタリー
製品の賦香に有用であることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0006】すなわち、本発明は、次式(1);
【0007】
【化2】
【0008】(式中、R1 及びR2 は水素原子又は炭素
数1〜4のアルキル基を示す)で表される3−(3,
3,5−トリメチルシクロヘキシルオキシ)−1−プロ
パノール類及びそれを含有する香料組成物に係るもので
ある。
【0009】式(1)中、基R1 及びR2 が炭素数1〜
4のアルキル基の場合には、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチ
ル基、イソブチル基、t−ブチル基を示す。
【0010】一般式(1)で示される化合物は、例えば
次の反応式に従って製造することができる。
【0011】
【化3】
【0012】(式中、R1 及びR2 は水素原子又は炭素
数1〜4のアルキル基を示す)
【0013】すなわち、式(2)で示される化合物に式
(3)で示される化合物を酸触媒の存在下に反応させ、
得られた化合物(4)を還元することにより、本発明化
合物(1)が製造される。
【0014】化合物(2)と化合物(3)との反応は、
例えば、新実験化学講座、第14巻、p611〜631
(丸善株式会社、1977年)に記載の方法に従って行
うことができる。特に化合物(2)と化合物(3)の混
合物に、触媒としてp−トルエンスルホン酸を加え、ベ
ンゼン、トルエンなどの共沸溶媒を用い、還流下、脱水
縮合させる方法が好ましい。
【0015】化合物(3)の使用量は、化合物(2)に
対して1.0〜10当量、特に1.0〜5.0当量が好
ましく、酸触媒の使用量は化合物(2)の0.01〜1
0重量%、特に0.05〜5重量%が好ましい。
【0016】化合物(4)の還元は、通常の水素化分解
又は接触還元の条件で行うのが好ましい。
【0017】水素化分解の方法としては、例えば、新実
験化学講座、第15巻II、p118〜132、p13
4〜174及びp179〜207(丸善株式会社、19
77年)に記載の方法が採用できる。特に水素化アルミ
ニウムリチウム−塩化アルミニウム混合物を用いて還元
する方法が好ましい。この反応で用いる水素化アルミニ
ウムリチウムの使用量は、化合物(4)に対し、0.3
〜2.0当量、特に0.5〜1.0当量が好ましく、塩
化アルミニウムの使用量は、1.0〜5.0当量、特に
1.0〜3.0当量が好ましい。また、反応溶媒として
は、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒド
ロフランなどのエーテル系溶媒を挙げることができる。
反応温度は通常0〜100℃、好ましくは10〜30℃
である。
【0018】接触還元の方法としては、パラジウム−炭
素(パラジウム含有量50〜100重量%)、白金など
の触媒の存在下、溶媒中、水素化する方法を適用するこ
とができる。水素圧は1〜150気圧、特に10〜10
0気圧が好ましい。反応温度は50〜300℃、特に1
00〜250℃が好ましい。溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、イソプロパノール、ジオールなどのア
ルコール類;ヘキサン、シクロヘキサンなどの炭化水素
類を挙げることができる。
【0019】反応終了後、必要に応じて、カラムクロマ
トグラフィーなどの方法により、更に精製処理すること
ができる。このようにして得られる本発明の式(1)で
示される化合物にはシス体とトランス体が存在するが、
本発明においてはいずれもが含まれるものである。
【0020】式(1)で示される化合物は単独で、又は
他の成分と組み合せて、石鹸、シャンプー、リンス、洗
剤、化粧品、スプレー製品、芳香剤などの賦香成分とし
て使用できる。
【0021】本発明の香料組成物は、所望組成の調合香
料に、式(1)で示される化合物を配合して得られるも
のである。式(1)で示される化合物の配合量は、調合
香料の種類、目的とする香気の種類及び香気の強さなど
により異なるが、組成物中において0.1〜90重量%
が好ましく、特に0.5〜50重量%が好ましい。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
【0023】実施例1 2,2−ジメチル−3−(3,3,5−トリメチルシク
ロヘキシルオキシ)−1−プロパノールの製造:脱水冷
却器を付した500mlの4つ口フラスコに、3,3,5
−トリメチルシクロヘキサノン[式(2)の化合物]3
0.5g(0.216mole)、2,2−ジメチル−1,
3−ブタンジール44.7g[式(3)の化合物]、p
−トルエンスルホン酸0.2g及びトルエン200mlを
加え、水の留出が終わるまで加熱還流した。室温まで冷
却したのち、ヘキサン200mlを加え、有機層が中性に
なるまで水で洗浄した。その後、溶媒を留去して、中間
生成物[式(4)の化合物]48.7gを得た(収率約
100%)。次に、ジムロート冷却器を付した500ml
の4つ口フラスコに、無水塩化アルミニウム24.3g
を加え、室温下、エーテル50mlをゆっくりと滴下し
た。滴下終了後、10分間攪拌した。その後、これに水
素化アルミニウムリチウムエーテル懸濁液を、室温下、
約30分かけて滴下した。なお、この水素化アルミニウ
ムリチウムエーテル懸濁液は、ジムロート冷却器を付し
た100mlの4つ口フラスコに水素化アルミニウムリチ
ウム1.7gを加え、氷冷しながらエーテル50mlを滴
下し、0.5時間還流したのち、室温まで冷却すること
により得たものである。
【0024】次に、滴下終了後、室温で2時間攪拌した
のち、前記中間生成物17.7g(78mmole )とエー
テル200mlの混合物を更に滴下し、0.5時間還流し
た。その後、室温まで冷却し、水2ml及び20%硫酸2
50mlをこの順序で加え、生成した白色固体を完全に溶
解させた。次に、有機層を分離したのち、水層をエーテ
ル抽出して、先の有機層と合わせた。得られた有機層を
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液200ml及び10%食塩
水200mlで洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、粗最
終生成品を得た(16.7g)。その後、これをシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル
=94:6)により精製し、標記化合物のトランス体
5.3gとシス体2.5gを得た。
【0025】(トランス体) NMR(200MHz,CDCl3 ,ppm):0.8
2(s,3H)、0.82(d,3H)、0.87
(s,3H)、0.91(s,3H)、1.00(s,
3H)、0.7〜1.9(m,7H)、3.0〜3.1
8(br.,1H)、3.18〜3.28(m,2
H)、3.38〜3.48(m,2H)、3.55〜
3.60(m,1H) IR(film,cm-1):3406、2956、292
0、2872、1458、1428、1092
【0026】得られた化合物は、ボリュームのあるクリ
ーミー感とパウダリィ感のある、サンダルウッド油様、
木様、アンバー様の香気を有していた。
【0027】(シス体) NMR(200MHz,CDCl3 ,ppm):0.8
3(s,3H)、0.87(d,3H)、0.88
(s,6H)、0.91(s,3H)、0.6〜2.1
(m,7H)、3.0〜3.27(br.,1H)、
3.27〜3.36(m,3H)、3.40(s,2
H) IR(film,cm-1):3466、2956、292
6、2872、1464、1365、1093
【0028】得られた化合物は、サンダルウッド油様、
木様、ミント様の香気を有していた。
【0029】実施例2 2−エチル−2−メチル−3−(3,3,5−トリメチ
ルシクロヘキシルオキシ)−1−プロパノールの製造:
脱水冷却器を付した500mlの4つ口フラスコに、3,
3,5−トリメチルシクロヘキサノン[式(2)の化合
物]30.3g(0.214mole)、2−エチル−2−
メチル−1,3−プロパンジオール50.6g[式
(3)の化合物]、p−トルエンスルホン酸0.5g及
びトルエン200mlを加え、水の留出が終わるまで加熱
還流した。室温まで冷却したのち、ヘキサン200mlを
加え、有機層が中性になるまで水で洗浄した。その後、
溶媒を留去して、中間生成物[式(4)の化合物]5
6.4gを得た(純度84%、収率92%)。以下、前
記中間生成物21.0g(88mmole )を用いたほか
は、実施例1と同様にして、粗最終生成品を得た(2
1.5g)。その後、これをシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=94:6)により
精製し、標記化合物のトランス体7.0gとシス体5.
3gを得た。
【0030】(トランス体) NMR(200MHz,CDCl3 ,ppm):0.7
7(s,3H)、0.79〜0.90(m,CH3 ,9
H)、1.02(s,3H)、0.6〜2.0(m,9
H)、2.80〜3.17(br.,OH,1H)、
3.17〜3.38(m,2H)、3.48(s,2
H)、3.55〜3.65(m,1H) IR(film,cm-1):3460、2956、292
0、1461、1092
【0031】得られた化合物は、クリーミー感とミルキ
ー感のある、サンダルウッド油様、木様、アンバー様の
香気を有していた。
【0032】(シス体) NMR(200MHz,CDCl3 ,ppm):0.7
8(s,3H)、0.84〜0.94(m,CH3 ,1
2H)、0.5〜2.1(m,9H)、2.90〜3.
23(br.,OH,1H)、3.23〜3.42
(m,3H)、3.44(s,2H) IR(film,cm-1):3466、2956、292
6、1464、1365、1098
【0033】得られた化合物は、サンダルウッド油様、
木様、草様、土様の香気を有していた。
【0034】実施例3 2,2−ジエチル−3−(3,3,5−トリメチルシク
ロヘキシルオキシ)−1−プロパノールの製造:脱水冷
却器を付した1lの4つ口フラスコに、3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサノン[式(2)の化合物]60.
3g(0.426mole)、2,2−ジエチル−1,3−
プロパンジオール113.9g[式(3)の化合物]、
p−トルエンスルホン酸0.5g及びトルエン400ml
を加え、水の留出が終わるまで加熱還流した。室温まで
冷却したのち、ヘキサン300mlを加え、有機層が中性
になるまで水で洗浄した。その後、硫酸マグネシウムで
乾燥したのち、溶媒を留去した(残渣113.7g)。
次に、これを蒸留(沸点111〜113℃/2mmHg)に
より生成し、中間生成物[式(4)の化合物]91.3
gを得た。次に、500mlオートクレーブに、前記中間
生成物44.2g(0.171mole)及び5%パラジウ
ム−炭0.9gを加え、温度190℃、水素圧20kg/
cm 2 で、24時間接触還元した。その後、触媒を濾過
し、溶媒を留去して、粗最終生成品を得た(42.1
g)。その後、これを蒸留(沸点121〜123℃/2
mmHg)により精製し、標記化合物21.7gを得た。
【0035】NMR(200MHz,CDCl3 ,pp
m):0.77〜0.90(m,CH3 ,12H)、
1.00(s,3H)、0.7〜2.1(m,11
H)、3.05〜3.25(br.,OH,1H)、
3.29(s,2H)、3.50(s,2H)、3.5
4〜3.66(m,1H) IR(film,cm-1):3460、2956、292
0、1461、1092
【0036】得られた化合物は、クリーミー感のある、
サンダルウッド油様、木様の香気を有していた。
【0037】実施例4(香料組成物の製造) まず、下記組成の花乃至木様香気を有する調合香料を、
常法により製造した。
【0038】
【表1】 (成 分) 配合割合(重量部) ベルガモット油 120 イランイラン油 40 ゲラニオール 40 ベンジルアセテート 80 メチルヨノン−γ 120 ヘキシルサリシレート 20 メチルジヒドロジャスモネート 120 クマリン 50 バニリン 30 オークモス抽出物 20エチレングリコール 260 900
【0039】上記の調合香料900重量部に、実施例2
で得た本発明の化合物100重量部を加え、香料組成物
を得た。この組成物は、クリーミー感及びパウダリー感
のある、花乃至木様香気を有していた。
【0040】実施例5(香料組成物の製造) まず、下記組成の花様香気を有する調合香料を、常法に
より製造した。
【0041】
【表2】 (成 分) 配合割合(重量部) ベルガモット油 50 ベンジルアセテート 100 ゲラニオール 100 メチルアンスラニレート 20 ヘキシルサリシレート 100 メチルジヒドロジャスモネート 250 p-tert-ブチル−α−メチルシンナミックアルデヒド 100 4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキ セン−1−カルボキシアルデヒド 120 メチルヨノン−γ 50 パチュリ油 20 ムスクケトン 50バニリン 10 970
【0042】上記の調合香料970重量部に、実施例1
で得た本発明の化合物30重量部を加え、香料組成物を
得た。この組成物は、サンダルウッド油様のナチュラル
感、更にクリーミー感及びパウダリー感のある、柔らか
さと甘さが付与された花様香気を有していた。
【0043】
【発明の効果】本発明の式(1)で示される3−(3,
3,5−トリメチルシクロヘキシルオキシ)−1−プロ
パノール類は、ボリュームのあるクリーミー感とパウダ
リ−感があり、サンダルウッド油様、木様、花様、アン
バー様、ミント様又は草様の香気を有するものである。
よって、本発明の化合物はサンダルウッド油の代替品と
して使用できるほか、各種トイレタリー製品の賦香成分
として使用できる。また、本発明の化合物を含有する香
料組成物は、調合香料が本来有する香気に加え、優れた
ボリュームのあるクリーミー感とパウダリー感を有する
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤倉 芳明 栃木県宇都宮市山本町271−6

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式(1); 【化1】 (式中、R1 及びR2 は水素原子又は炭素数1〜4のア
    ルキル基を示す)で表される3−(3,3,5−トリメ
    チルシクロヘキシルオキシ)−1−プロパノール類。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の3−(3,3,5−トリ
    メチルシクロヘキシルオキシ)−1−プロパノール類を
    含有する香料組成物。
JP30773693A 1993-12-08 1993-12-08 3−(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルオキシ)−1−プロパノール類及びそれを含有する香料組成物 Expired - Fee Related JP3249667B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016052476A1 (ja) * 2014-09-29 2016-04-07 三菱瓦斯化学株式会社 ポリエーテルジオール及びその製造方法

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