JPH07164438A - 成形用熱可塑性樹脂複合材料 - Google Patents

成形用熱可塑性樹脂複合材料

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JPH07164438A
JPH07164438A JP31695093A JP31695093A JPH07164438A JP H07164438 A JPH07164438 A JP H07164438A JP 31695093 A JP31695093 A JP 31695093A JP 31695093 A JP31695093 A JP 31695093A JP H07164438 A JPH07164438 A JP H07164438A
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Takeshi Tsuchiida
武 土井田
Toshiaki Kitahora
俊明 北洞
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 層間強度が高く高破壊靭性値を有する成形品
を得ることを目的とした成形用繊維強化熱可塑性樹脂複
合材料を提供する。 【構成】 強化繊維が一方向に配向され、熱可塑性樹脂
をマトリックスとして含浸されてなり、強化繊維に垂直
方向の断面内水平線上に存在する繊維束連続境界長さ/
繊維束平均長軸長さ比が2.5以下であり、且つ繊維束
の短軸/長軸長さ比が0.1以上である成形用繊維強化
熱可塑性樹脂複合材料。 【効果】 成形時の金型賦形性にすぐれ、高い破壊靭性
値を有する成形品を得るための繊維強化複合材料を提供
することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特に優れた耐破壊靭性を
有する成形用熱可塑性樹脂複合材料を提供することに関
する。
【0002】
【従来の技術】従来の繊維強化樹脂複合材料は特に熱硬
化性樹脂複合材料においては層間強度が低く例えばモー
ドI方式の破壊試験で得られるGIC のような破壊靭性
値が低く成形品としての耐久性、耐衝撃性など満足でき
るものではない。これに対して熱可塑性樹脂をマトリッ
クスとする繊維強化樹脂複合材料が種々開発されてい
る。これら複合材料ではそのマトリックスの有する高破
壊靭性により大幅に破壊靭性値が向上している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら熱可塑性
樹脂をマトリックスとして用いる際においても例えば予
め強化繊維間へ樹脂を含浸させたプリプレグテープ状の
ものを積層して成形した場合においては層間が明瞭に現
れ、層間破壊が生じ易く必ずしも高い破壊靭性値が得ら
れていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の構成は、強化繊維が一方向に配向され、熱可
塑性樹脂をマトリックスとして含浸されてなり、強化繊
維に垂直方向の断面内水平線上に存在する繊維束連続境
界長さ/繊維束平均長軸長さ比の平均が2.5以下であ
り、且つ繊維束の短軸/長軸長さ比が0.1以上である
ことを特徴とする成形用繊維強化熱可塑性樹脂複合材料
からなる。また、強化繊維長が30から400mmを有
する成形用繊維強化熱可塑性樹脂複合材料からなる。
【0005】本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、ナ
イロン6、ナイロン6.6等のポリアミド樹脂、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等
のポリエステル樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等
のポリオレフィン樹脂、また、ポリカーボネート、ポリ
エーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエー
テルケトン、等が挙げられるが、これらに限定されるも
のではない。また、強化繊維はガラス繊維、炭素繊維、
アラミド繊維等の有機、無機繊維が挙げられるがこれら
に限定されるものではない。
【0006】強化繊維は一方向に配向し且つ繊維束を形
成し、その繊維束が短軸/長軸長さ比平均が0.1以上
を有し且つ、強化繊維に垂直方向の断面内水平線上に存
在する繊維束連続境界長さ/繊維束平均長軸長さとの平
均比が2.5以下であるように配置されてなることを特
徴とする。このように強化繊維を配置することにより例
えばモードIによる破壊靭性値GIC の評価を行った場
合クラックの進行が生じ難く高い破壊靭性値を得ること
ができる。繊維束の短軸/長軸の平均比が0.1より小
さい場合では繊維束境界領域が大きくなり破壊が生じ易
くなり好ましくない。
【0007】また、強化繊維に垂直方向の断面内水平線
上に存在する繊維束連続境界長さ/繊維束平均長軸の比
が2.5より大きい場合ではクラックの進行が生じ易く
なり破壊靭性値が低下するため好ましくない。強化繊維
の平均繊維長は30〜400mmが好ましい。30mm
より短い場合では強化効率が低下し良好な機械特性が得
られないため好ましくない。また、400mmより長い
場合では成形時の金型賦形が難しく好ましくない。
【0008】尚、本発明における強化繊維への樹脂の含
浸被覆方法および成形体を得る方法は、例えば強化繊維
間へ熱可塑性樹脂パウダーを担持させた後、加熱圧縮成
形する方法、強化繊維間へ熱可塑性樹脂パウダーを担持
させた後、更にその上に熱可塑性樹脂を被覆し加熱圧縮
成形する方法、また強化繊維とマトリックス繊維とを混
繊した後、加熱圧縮成形する方法などを用いることがで
きる。なかでも混繊法は含浸特性にすぐれ更に好ましく
は牽切紡績を用いた混繊法を利用することが望ましい。
【0009】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが本発
明はこれらに何ら限定されるものではない。 実施例1 ナイロン6繊維と炭素繊維を引き揃えて牽切紡績しナイ
ロン6繊維と炭素繊維が混繊され実質的に無撚の状態と
し更にそのヤーンの表面をヤーン全重量の5%に相当す
るナイロン6繊維で捲回・被覆しトータルのヤーンデニ
ールが5800で炭素繊維体積含有率50%、平均繊維
長75mmの混繊糸を得た。
【0010】上記のようにして得た混繊糸を金属枠に所
定量張力を付与しつつ巻回する。その後ヒートプレスに
設置した250mmの正方形の嵌合金型(凹側の一対は
開口)内に供給し一方向強化平板の熱圧縮成形を行っ
た。成形品に予備クラックを設けるために予め厚み10
μm、長さ50mmのテフロンフィルムを端部の一方に
厚み中央へ挿入しておく。金型温度および付与した圧力
は260℃、10kg/cm2 であり厚み3mm、25
0mmの正方形の平板を得た。その結果繊維束の短軸と
長軸との長さ比の平均が0.35を有し、断面内水平線
上に存在する連続繊維束境界長さ/繊維束平均長軸の比
の平均が0.56である成形板を得た。これらの比の測
定・算出は以下のようにして行った。上述のように加熱
圧縮成形して得られた成形品を幅10mm、長さ20m
mに長手方向を繊維配向方向に平行にして切り出し、エ
ポキシ樹脂中に強化繊維方向を上下方向にして包埋後、
0.3μmのアルミナパウダーを含むペーストと研磨用
バフとを用いて成形品断面の研磨を行い鏡面状態に仕上
げた。このサンプルを反射型の光学顕微鏡にて観察に用
い、更に光学顕微鏡像を画像処理装置に取り込むことに
より成形品断面の像を画像処理することにより繊維束の
短軸、長軸長さをまた、断面内水平線上に存在する連続
繊維束境界長さを計測した。得られた値に基づいて繊維
束の短軸/長軸の比をまた、繊維束連続境界長さ/繊維
束平均長軸の比を計算した。
【0011】上述のようにして得た一方向強化平板より
強化繊維に長手方向を平行に幅25mm、長さ155m
mに切り出した。このサンプルを用いてモードI方式の
破壊靭性評価法を用いてGIc を測定した。その結果を
表1に掲げた。層間での破壊は極めて少なく、繊維束内
での破壊が多く認められ高いGIc 値を示している。
【0012】比較例1 フィラメント数12Kの炭素繊維を3本用いナイロン6
樹脂を直接含浸法にて繊維間へ含浸させテープ状にした
後、実施例1と同様の方法にてGIc 測定用の一方向強
化成形品を得た。この際得られた成形品の強化繊維に対
して垂直方向の断面内の強化繊維束の短軸長さ/長軸長
さの比は0.05であった。また、同断面内水平線上に
存在する繊維束連続境界長さ/繊維束平均長軸長さとの
比は3.7であった。この成形品を用いてGIc の測定
を行った。その結果を表1に掲げた。繊維束間の層間が
明確に現れ測定後、層間で破壊していることが明確に認
められた。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】以上のように強化繊維を配置することに
より得られる本発明の成形用熱可塑性樹脂繊維強化複合
材料を成形に供することにより、高い破壊靭性値を有す
る成形品を得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強化繊維が一方向に配向され、熱可塑性
    樹脂をマトリックスとして含浸されてなり、強化繊維に
    垂直方向の断面内水平線上に存在する繊維束連続境界長
    さ/繊維束平均長軸長さ比の平均が2.5以下であり、
    且つ繊維束の短軸/長軸長さ比が0.1以上であること
    を特徴とする成形用繊維強化熱可塑性樹脂複合材料。
  2. 【請求項2】 強化繊維の平均長が30〜400mmを
    有することを特徴とする請求項1記載の成形用繊維強化
    熱可塑性樹脂複合材料。
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