JPH07163847A - ポリスルホン中空糸膜及びその製造方法 - Google Patents

ポリスルホン中空糸膜及びその製造方法

Info

Publication number
JPH07163847A
JPH07163847A JP34312393A JP34312393A JPH07163847A JP H07163847 A JPH07163847 A JP H07163847A JP 34312393 A JP34312393 A JP 34312393A JP 34312393 A JP34312393 A JP 34312393A JP H07163847 A JPH07163847 A JP H07163847A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
polysulfone
solution
membrane
tensile strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP34312393A
Other languages
English (en)
Inventor
Tamiyuki Eguchi
民行 江口
Yasuo Shimizu
康雄 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP34312393A priority Critical patent/JPH07163847A/ja
Publication of JPH07163847A publication Critical patent/JPH07163847A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 最大引っ張り強度が60Kg/cm2 以上、透水
速度が7000L/m2・hr・Kg/cm2 以上でバブルポイ
ントが4Kg/cm2 以下であることを特徴とするポリスル
ホン中空糸膜。ポリスルホンと相比を増大させる効果を
有する親水性高分子物質及びこれらの共通溶剤からな
る、相分離温度を有する薄膜原液を不均一溶液の状態で
紡糸することにより得られる。 【効果】 バブルポイントが低く、濾過速度と引っ張り
強度が共に大である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、限外濾過膜、精密濾過
膜および医療用分離膜などに利用できるポリスルホン中
空糸膜及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、空
孔の平均孔径と骨格を太くすることによって強度と濾過
速度をともに格段に大きくしたポリスルホン中空糸膜及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリスルホン膜は、その優れた耐熱性、
耐薬品性、耐圧性及び濾過特性などによって利用分野が
ますます拡大しつつある。それに伴い、さらに強度と濾
過速度の大きいポリスルホン膜が要求されてきている。
本発明者らが先に出願した特開平3−196823号記
載の方法ではポリスルホンの非溶剤を加えることによっ
て、比較的分子量の小さいポリエチレングリコールの添
加量を制限した製膜原液を使用した。また、特開平4−
260424号記載の方法では、逆にきわめて高分子量
のポリエチレングリコールを少量添加した製膜原液を使
用した。これらの方法によって、多量のポリエチレング
リコールを添加した製膜原液を使用した方法(特開昭5
7−35906号及び特開昭58−114702号に記
載)あるいはポリビニルピロリドンを添加した方法(特
開昭61−93801号及び特開昭61−238306
号に記載)では得られなかった高い強度と大きな濾過速
度を有するポリスルホン中空糸が得られた。これらの方
法は、いずれも均一もしくはほぼ均一な溶液を製膜原液
として用いたものである。
【0003】しかしながら、特開平3−196823号
記載のポリスルホン中空糸膜の最大引っ張り強度は70
〜140Kg/cm2 と大きいが、透水速度(水の濾過速
度)は1000〜6000L/m2・hr・Kg/cm2 と比較
的小さい。また、特開平4−260424号記載のポリ
スルホン膜の透水速度は10000L/m2・hr・Kg/cm
2 を超える大きな値であるが、その引っ張り強度は約6
0Kg/cm2 以下と比較的小さい値である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平4−26042
4号に記載したように、ポリエチレングリコール、ポリ
ビニルピロリドンなどの高分子添加物は製膜原液が凝固
する過程で空孔同士を連続させる作用を有し、ポリスル
ホンに対するこれらの高分子添加物の割合が大きくなる
ほど空孔の平均孔径は小さくなりその数が増加してポリ
スルホン骨格は細くなり、その骨格が連続していないも
のも生じるようになるために引っ張り強度が低下する。
逆に、これらの高分子添加物の割合が小さくなるとポリ
スルホンの骨格は太くなるが、空孔同士の連絡孔が小さ
くなるために透水速度は小さくなる。従って、従来の製
造方法ではさらに引っ張り強度と透水速度を同時に大き
くすることはできないなどの欠点がある。
【0005】相比(相分離状態における高分子濃厚相に
対する高分子希薄相の体積比)が1よりも大きい製膜原
液から高分子多孔質体が形成される過程については、上
出らは、準安定領域で生成した高分子濃厚相の臨界核が
二次粒子まで成長したのち互いに接触してネットワーク
を形成するモデルを描き、定量的な熱力学的考察を行っ
た〔Polymer Preprints Japan Vol.38, No.10,3209,321
2,3215,3218,3221(1989)〕。しかしながら、ポリスルホ
ン膜を含め、通常の膜は明確な理論的な考察がなされな
いままに相比が1よりも小さい製膜原液から経験的に製
造されている。このような製膜原液の相分離は臨界核の
形成によるのではなく、スピノーダル分解〔例えば、J.
W.Cahn, Transactions of The Metallurgical Society
of Aime,Vol. 242,166 (1968)〕によると考えるべきで
ある。
【0006】安定状態にある溶液を不安定領域の温度に
おいたとき生じる相分離過程は、前記スピノーダル分解
理論によれば連続的な濃度分布の発生とその安定二相に
向かっての成長である。この濃度分布は、式(I)で表
される。 C−Co=A・exp{R(β)t}・exp(iβr) (I) 式(I)中、Coはスピノーダル分解前の均一溶液の濃
度、tは不安定状態に置かれてからの時間、Cはその時
の濃度分布、Aは定数、rは座標位置、βはRの最大値
を与える波長、iは虚数の表示である。βは、一般的に
高分子の分子量あるいは濃度が大きくなるとともに大き
くなり、安定状態と置かれた不安定状態との温度差であ
る相分離の深さが大きくなると小さくなる。濃度分布の
成長速度定数であるRは、βが大きくなると小さくな
る。
【0007】式(I)によると、濃度分布は一定波長β
で溶液全体に広がって発生し、時間の経過とともに不可
逆的に増大する。従って、この理論から製膜原液が後に
空孔になる成長した希薄領域が互いに接しうる相比をも
てば、空孔が互いに連続した多孔質体が形成されると予
想される。このような製膜原液は、大まかな目安として
希薄領域の最密充填分布を仮定すると、希薄相の体積が
全体の約27%を超えた溶液である。相比で表せば約
0.4よりも大きい溶液である。また、希薄領域の大き
さは濃度分布の波長βに比例し、且つβは一定であるこ
とから、極めて初期のスピノーダル分解状態が空孔の平
均孔径や多孔質体の骨格の太さなどの最終の多孔質体の
微細構造を決定することも推測される。
【0008】ここで、便宜上製膜原液の相分離が膜素材
の非溶剤である凝固液との接触による場合を凝固と呼
び、温度によってもたらされる場合をスピノーダル分解
と呼ぶことにする。通常の乾湿式法による製膜では、主
たる相分離は製膜原液を膜素材の高分子物質の非溶剤で
ある凝固液と接触させることによってもたされる。凝固
液の凝固作用が強いほど相分離の深さは大きくなり、緻
密な構造が形成される。逆に、凝固作用が弱い場合には
βが大きくなり平均孔径の大きい空孔が形成される。
【0009】しかしながら、相分離の深さを小さくする
と凝固が遅くなるために紡糸が不可能になり、相分離を
速く進行させるために高分子物質の濃度を下げて溶液の
粘度を小さくすると膜の引っ張り強度が低下し、逆に濃
度を高くすると相比が0.4よりも小さくなり空孔が連
続しないセル構造になるなど、単純には両立しがたい特
性があるので従来よりもさらに透水速度と引っ張り強度
を同時に向上させることは容易ではない。
【0010】次に、従来のポリスルホン中空糸膜の製造
方法の特徴を前記したスピノーダル分解理論によって解
釈し、さらに引っ張り強度と透水速度を大きくするため
の方法を述べる。既に述べたようにポリエチレングリコ
ール、ポリビニルピロリドンなどの高分子添加物は製膜
原液が凝固する過程で空孔同士を連続させる作用を有す
る。スピノーダル分解理論によれば、これらの添加物は
相比を大きくする効果をもたなければならないことにな
る。本発明者らはこの予測を検討したところ、これらの
高分子物質をポリスルホンの溶液に添加することによっ
て高分子物質の濃厚相であるポリスルホンの希薄相の体
積が添加高分子を含まない溶液に比べて大きくなること
が確かめられた。従って、これらの高分子物質の添加割
合を大きくすると相比も大きくなり、ポリスルホン骨格
は細く且つ不連続になるために膜の引っ張り強度は低下
する。逆に、添加割合を小さくするとポリスルホン骨格
は太く強固になるが空孔同士が不連続になり透水速度が
小さくなる。即ち、先に述べた本発明者らの先出願は、
均一溶液の範囲で相関関係を最適にする工夫をしたもの
である。
【0011】しかしながら、製膜原液の相分離の深さを
従来の技術よりも小さくすることによってβを大きくし
ながらも凝固速度を紡糸可能な速度に維持することがで
きれば、さらに引っ張り強度と透水速度を同時に大きく
することは可能である。上述したようにスピノーダル分
解理論によれば、希薄領域の大きさは濃度分布の波長β
に比例し、且つβは一定であることから極めて初期のス
ピノーダル分解状態が空孔の平均孔径や多孔質体の骨格
の太さなど最終の多孔質体の微細構造を決定することも
推測されることから、製膜原液の温度をノズルから吐出
する直前に相分離状態まで変えるだけで他の紡糸条件を
維持しながらβを制御し得ることが予想される。
【0012】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の第1は、
最大引っ張り強度が60Kg/cm2 以上、透水速度が70
00L/m2・hr・Kg/cm2 以上でバブルポイントが4Kg
/cm2 以下であることを特徴とするポリスルホン中空糸
膜を、本発明の第2は、ポリスルホンと相比を増大させ
る効果を有する親水性高分子物質及びこれらの共通溶剤
からなる、相分離温度を有する製膜原液を不均一溶液の
状態で紡糸することを特徴とするポリスルホン中空糸膜
の製造方法を内容とする。本発明のポリスルホン中空糸
膜は、バブルポイントが低いので分画粒子径が大きいだ
けでなく、濾過速度と引っ張り強度も共に大きいので、
従来品では使用できなかった過酷な条件でも使用でき
る。
【0013】
【実施例】本発明に使用する代表的なポリスルホンは、
下記式(II) または(III) で表される。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】これらのうち式(II) のポリスルホンは、
破断時の伸びも大きいので、より好ましい。本発明の中
空糸の内径は、透水速度、濾過対象液などによって最適
なものに設計可能であり、通常200〜2000μmで
ある。また、その厚さは引っ張り強度や耐圧性から通常
30〜300μmである。本発明の中空糸の断面は、2
0μm以上の大きさの空孔を持たない、ポリスルホンの
骨格が3次元的に連続したネットワーク構造であり、走
査型電子顕微鏡で観察される骨格に囲まれた空孔径は、
約0.5〜5μmである。内面及び外面の孔径は約0.
5〜10μmであり、開口率は通常50%以上である。
【0017】本発明に用いる親水性高分子物質として
は、上述のようにポリスルホンの希薄相の体積を増加さ
せる効果を持つものであればいずれも使用可能である
が、除去が比較的簡単であること、多少残存してもポリ
スルホン膜としての特性を損なわないこと、安全性が高
いこと、化学的に比較的安定であること、などからポリ
エチレングリコール及び/又はポリビニルピロリドンが
特に好ましい。これらの数平均分子量は3,000〜
2,000,000が好ましく、より好ましくは10
0,000〜1,000,000である。分子量が3,
000未満ではポリスルホン溶液の希薄相の体積を増加
させる効果が乏しく、2,000,000を超えると溶
解度が小さく、同様に希薄相の体積を増加させる効果が
乏しく、透水速度が小さくなることがある。これらのう
ち、分子量が100,000〜1,000,000の高
分子物質は、少量の添加で製膜原液にワイゼンベルグ効
果を与え、内面及び外面の開口率が極めて大きい中空糸
膜が得られるので特に好ましい。
【0018】ポリスルホンと前記高分子物質を溶解する
溶剤としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロ
リドンなどが挙げられ、これらは単独または2種以上混
合して用いられる。よく知られているように、これらの
良溶剤に少量の水、ブタンジオール、プロピレングリコ
ール、トリエチレングリコールなどの低分子多価アルコ
ールなどのポリスルホンの非溶剤を相分離温度の調整の
ために加える。
【0019】これらの溶液中、即ち製膜原液中における
親水性高分子物質の割合は1〜15%(重量%、以下同
じ)が好ましく、より好ましくは2〜10%である。該
添加物の割合が15%を超えると中空糸膜が弱くなり、
1%よりも少ないと透水速度が小さくなる傾向がある。
製膜原液中のポリスルホンの割合は16〜30%が好ま
しく、より好ましくは18〜25%である。16%未満
では中空糸の引っ張り強度が小さく、30%を超えると
透水速度が小さくなる傾向がある。
【0020】相分離温度は制御のしやすさから30〜8
0℃が好ましく、より好ましくは50〜70℃である。
30℃未満では冷却のための設備が必要になる場合があ
り経済的ではない。80℃を超えると式(I)の濃度分
布の成長速度定数Rが大きくなるため、かえって温度な
どの許容範囲が狭くなり、制御が困難になる場合があ
る。
【0021】親水性高分子物質としてポリビニルピロリ
ドンあるいはポリエチレングリコールを使用した場合、
この製膜原液は上方相分離温度Tc(この温度を超える
と均一溶液から二相に分離した白濁溶液になる)を持つ
のでTcよりも高い温度Tdまで短時間加熱して不均一
溶液にしてからノズルより吐出させる。Td−Tcは2
〜20℃が好ましく、より好ましくは5〜10℃に設定
する。上述したようにTd−Tcが20℃を超えると相
分離が深くなりβがかえって小さくなるため、引っ張り
強度、透水速度共に小さくなる。逆に、2℃よりも小さ
い場合は濃度分布の成長が著しく遅くなるため、引っ張
り強度、透水速度いずれに対しても効果が小さくなる。
上記の範囲の不均一にすることにより、従来の均一溶液
を使用した場合に比べて空孔の平均孔径が大きく、ポリ
スルホン骨格も太くなり、引っ張り強度、透水速度共に
20〜50%向上する。
【0022】下方相分離温度Td(この温度より低くな
ると均一溶液から二相分離した白濁溶液になる)を与え
る高分子物質を使用した製膜原液を用いる場合には、T
c−Tdが好ましくは2〜20℃、より好ましくは5〜
10℃に設定する。Tc−Tdが20℃を超えると相分
離が深くなりβがかえって小さくなるため、引っ張り強
度、透水速度共に小さくなる。逆に、2℃よりも小さい
場合は濃度分布の成長が著しく遅くなるため、引っ張り
強度、透水速度いずれに対しても効果が小さくなる。上
記の範囲の不均一溶液にすることにより、従来の均一溶
液を使用した場合に比べて空孔の平均孔径が大きく、ポ
リスルホン骨格も太くなり、引っ張り強度、透水速度共
に20〜50%向上する。
【0023】製膜原液を長時間不均一溶液状態に置く
と、濃度分布が著しく成長し、希薄相領域が互いに合体
して巨視的に分離し、製膜原液として使用することがで
きなくなる。既に説明したように、初期のスピノーダル
分解状態によって膜の構造がほぼ決定されることから製
膜原液を不均一状態に置く時間は通常10分間以内であ
る。従って、製膜原液の温度はノズルもしくはノズルを
含むその直前の製膜原液の流路で短時間前記の温度にす
ることが好ましい。
【0024】製膜原液は中空糸の内部凝固液と共に二重
管状ノズルから押し出されるが、内部凝固液には通常製
膜原液の溶剤と溶け合う溶剤、例えば前記の溶剤と非溶
剤との混合液が用いられる。非溶剤の割合を大きくして
製膜原液に対する凝固作用を強くするスピノーダル分解
が進行する前に、即ち、濃度分布が成長する前に製膜原
液が凝固されるために膜形成高分子物質は互いに連続し
たままの状態で折出し、特に中空糸膜の内面及び内面近
傍の空孔径は小さくなる。逆に、内部凝固液の凝固作用
を弱くすると製膜原液のスピノーダル分解が進行するの
でこの空孔径は大きくなる。
【0025】ノズルから押し出された不均一溶液状態の
製膜原液が再び均一状態の溶液に戻らないように、外部
凝固液に進入するまでの乾式雰囲気の温度は相分離領域
の温度を維持する必要がある。この温度も同じ理由によ
って、上方相分離温度Tcを与える高分子物質を使用し
た製膜原液を用いる場合には、上記の温度範囲は好まし
くはTc+2〜20℃、より好ましくはTc+5〜10
℃である。下方相分離温度Tcを与える高分子物質を使
用した製膜原液を用いる場合には、その温度範囲は好ま
しくはTc−2〜20℃、より好ましくはTc−5〜1
0℃である。また、乾式距離(ノズルから外部凝固液に
到るまでの距離)も長いほどスピノーダル分解が進行す
るので中空糸膜の外面及び外面近傍の空孔径は大きくな
るが、あまり長くするとノズルから押し出された製膜原
液の落下速度が巻き取り速度を越え、螺旋状に変形した
中空糸膜が形成されるので好ましくない。本発明では好
ましくは5〜60cm、より好ましくは10〜40cmの距
離が採用される。また、この場合の巻き取り速度は好ま
しくは30〜90m/分、より好ましくは40〜80m
/分である。
【0026】製膜原液は外部凝固液に進入したのち巻き
取られるが、既にスピノーダル分解が進行しているので
外部凝固液が強い凝固作用を持つ、例えば水であれ、凝
固作用の弱い、例えば前記の溶媒の水溶液であれ、もは
や中空糸膜の構造には大きな変化を与えない。ボビンあ
るいはカセに巻き取られた中空糸膜は、必要に応じて公
知の方法によりさらに洗浄あるいは乾燥される。
【0027】
【実施例】以下、実施例で本発明をさらに具体的に説明
するが、これらは本発明を何ら制限するものではない。
尚、相分離温度、引っ張り強度、バブルポイント及び透
水速度の各測定、及び走査型電子顕微鏡による観察は、
下記に従って行った。 相分離温度の測定:100mlのナス型フラスコに製膜
原液を約100ml入れ、馬蹄型の攪拌棒をゆるやかに
回転させながら恒温槽の中で温度をゆっくりと上昇さ
せ、製膜原液が白濁不透明になって攪拌棒の馬蹄部分が
見えなくなったとき、または下降させ、白濁不透明から
透明になって攪拌棒の馬蹄部分がはっきりと見えるよう
になったときの温度をその製膜原液の相分離温度とし
た。
【0028】引っ張り強度の測定:株式会社島津製作所
製のオートグラフ(AG−2000A)を使用し、サン
プル長さ50mm、引っ張り強度50mm/分で最大引っ張
り強度と破断時の伸びを測定した。最大引っ張り強度を
中空糸の断面積で割ってKg/cm2 の単位で表した。
【0029】バブルポイント及び透水速度の測定:内径
が4mm、外径が6mmで長さが15cmのガラス管に、先端
を折り返した有効長さが約10cmの中空糸を3本入れ、
ガラス管の先端で、中空糸の開放端をガラス管と共に5
〜10mmの長さでウレタン樹脂で固定した後、ガラス管
の先端で硬化したウレタン樹脂を切断して中空糸の内面
側のみ開口させた。このミニフィルターに中空糸の外側
から30容量%のアセトン水溶液、次いで30容量%の
エタノール水溶液を流した後、中空糸の外側を空気で加
圧してバブルポイントを測定した。次に水を0.1Kg/
cm2 の圧力で中空糸の外側から濾過して濾過速度を測定
し、測定値に測定温度の水の粘度(cP)を乗じて25
℃の粘土に補正し、L/ m2 ・hr・Kg/cm2 の単位で
透水速度を表した。
【0030】走査型電子顕微鏡による観察:金蒸着した
中空糸の断面を5000倍で走査型電子顕微鏡による観
察を行った。
【0031】実施例1、2及び比較例1 ポリスルホン(テイジンアモコエンジニアリング株式会
社製:P−3500)、N−メチル−2−ピロリドン、
プロピレングリコール及び数平均分子量300000の
ポリエチレングリコールを18/64/13/5(重量
部)の割合で混合して120℃で溶解した。この溶液の
上方相分離温度Tcは46℃であった。この溶液を45
℃で貯槽に保ち、貯槽を出てから二重環状ノズルから押
し出されるまでの間、表1に示したTdで約2分間経過
させた後、N−メチル−2−ピロリドン/プロピレング
リコールの60/40混合液からなる内部凝固液と共に
押し出した。乾式雰囲気及び外部凝固液の温度T1は表
1に示した。乾式距離26cm走行させてから外部凝固液
の中に進入させ、50m/分の速度で巻き取った後、熱
水で洗浄して内径及び外径がそれぞれ約500及び80
0μmの中空糸を得た。これらの中空糸の特性を表1に
まとめて示した。
【0032】
【表1】
【0033】図1〜図3は、これら中空糸の断面中央部
の繊維の形状を示す走査型電子顕微鏡写真である。ネッ
トワークの構造は、TdがTc以下(比較例1)では殆
ど変わらないが、Tc+9℃(実施例1、2)ではその
骨格が太くなり、平均空孔径も大きくなっている。T1
が変化してもネットワークの構造は殆ど変わらない。
【0034】実施例3、4及び比較例2 ポリスルホン/N−メチル−2−ピロリドン/プロピレ
ングリコール/ポリエチレングリコールを18/66.
5/10.5/5の割合にして実施例1と同様にしてT
cが58℃の溶液を作成した。この溶液を58℃で貯槽
に保ち、Td、T1を表2に示すように変えた以外は実
施例1と同様にして中空糸を作成した。これらの中空糸
の特性を表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】実施例5、6及び比較例3、4 ポリスルホン/N−メチル−2−ピロリドン/プロピレ
ングリコール/ポリエチレングリコールを16/67.
5/11.5/5の割合にして実施例1と同様にしてT
cが60℃の溶液を作成した。この溶液を60℃で貯槽
に保ち、Td、T1を表3に示すように変えた以外は実
施例1と同様にして中空糸を作成した。これらの中空糸
の特性を表3に示した。
【0037】
【表3】
【0038】図4〜図7は、これらの中空糸の断面中央
部の繊維の形状を示す走査型電子顕微鏡写真である。T
dがTcを超えるとネットワークの骨格が太くなり、平
均孔径が大きくなる様子がわかる(実施例5、6)。
【0039】実施例7 ポリスルホン/N−メチル−2−ピロリドン/プロピレ
ングリコール/数平均分子量700000のポリビニル
ピロリドンを18/60/12/10の割合にして実施
例1と同様にしてTcが49℃の溶液を作成した。この
溶液を47℃で貯槽に保ち、Tdを58℃、内部凝固液
をN−メチル−2−ピロリドン/プロピレングリコール
の70/30溶液にして実施例1と同様にして中空糸を
作成した。図8はその断面中央部の繊維の形状を示す走
査型電子顕微鏡写真であるが、上述の実施例の中空糸と
同様に太い骨格と大きい孔を持ったネットワーク構造を
示している。
【0040】
【発明の効果】本発明のポリスルホン中空糸膜は、バブ
ルポイントが低いので分画粒子径が大きいだけでなく、
濾過速度と引っ張り強度も大きいので従来品では使用で
きなかった過酷な条件でも使用できるため、用途の一層
の拡大が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた中空糸の断面中央部の繊維
の形状を示す走査型電子顕微鏡写真(5000倍)であ
る。
【図2】実施例2で得られた中空糸の断面中央部の繊維
の形状を示す走査型電子顕微鏡写真(5000倍)であ
る。
【図3】比較例1で得られた中空糸の断面中央部の繊維
の形状を示す走査型電子顕微鏡写真(5000倍)であ
る。
【図4】実施例5で得られた中空糸の断面中央部の繊維
の形状を示す走査型電子顕微鏡写真(5000倍)であ
る。
【図5】実施例6で得られた中空糸の断面中央部の繊維
の形状を示す走査型電子顕微鏡写真(5000倍)であ
る。
【図6】比較例3で得られた中空糸の断面中央部の繊維
の形状を示す走査型電子顕微鏡写真(5000倍)であ
る。
【図7】比較例4で得られた中空糸の断面中央部の繊維
の形状を示す走査型電子顕微鏡写真(5000倍)であ
る。
【図8】実施例7で得られた中空糸の断面中央部の繊維
の形状を示す走査型電子顕微鏡写真(5000倍)であ
る。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最大引っ張り強度が60Kg/cm2 以上、
    透水速度が7000L/m2・hr・Kg/cm2 以上でバブル
    ポイントが4Kg/cm2 以下であることを特徴とするポリ
    スルホン中空糸膜。
  2. 【請求項2】 ポリスルホンと相比を増大させる効果を
    有する親水性高分子物質及びこれらの共通溶剤からな
    る、相分離温度を有する製膜原液を不均一溶液の状態で
    紡糸することを特徴とするポリスルホン中空糸膜の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 製膜原液をその相分離温度よりも2〜2
    0℃高い温度にすることによって不均一溶液とした請求
    項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 相分離温度が30〜80℃である請求項
    2記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 製膜原液がワイゼンベルグ効果を有する
    請求項2記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 親水性高分子物質がポリエチレングリコ
    ール及び/又はポリビニルピロリドンである請求項2記
    載の製造方法。
JP34312393A 1993-12-14 1993-12-14 ポリスルホン中空糸膜及びその製造方法 Withdrawn JPH07163847A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34312393A JPH07163847A (ja) 1993-12-14 1993-12-14 ポリスルホン中空糸膜及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34312393A JPH07163847A (ja) 1993-12-14 1993-12-14 ポリスルホン中空糸膜及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH07163847A true JPH07163847A (ja) 1995-06-27

Family

ID=18359105

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34312393A Withdrawn JPH07163847A (ja) 1993-12-14 1993-12-14 ポリスルホン中空糸膜及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07163847A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007307463A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Asahi Kasei Chemicals Corp 耐酸化性親水化ポリスルホン系中空糸膜、及びその製造方法
CN104607061A (zh) * 2014-12-18 2015-05-13 东华大学 制备乙烯-四氟乙烯共聚物膜的方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007307463A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Asahi Kasei Chemicals Corp 耐酸化性親水化ポリスルホン系中空糸膜、及びその製造方法
CN104607061A (zh) * 2014-12-18 2015-05-13 东华大学 制备乙烯-四氟乙烯共聚物膜的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0543355B1 (en) Polysulfone porous hollow fiber
US7267872B2 (en) Braid-reinforced hollow fiber membrane
US4612119A (en) Hollow fiber filter medium and process for preparing the same
JP2006088148A (ja) 透水性に優れた中空糸膜
EP1658889A1 (en) Longitudinal reinforced self-supporting capillary membranes and method for manufacturing thereof
KR101269574B1 (ko) 열유도 상 분리법을 이용하여 제조된 아세틸화된 알킬 셀룰로스 분리막과 이의 제조방법
US6017474A (en) Highly permeable polyethersulfone hollow fiber membranes for gas separation
JPS61164602A (ja) ポリスルホン系樹脂製中空糸膜
JPS6153085B2 (ja)
JPH07163847A (ja) ポリスルホン中空糸膜及びその製造方法
JPS6336805B2 (ja)
JP2528893B2 (ja) ポリスルホン中空繊維膜の製造方法
KR100200041B1 (ko) 활성층을 포함한 스폰지 구조 폴리설폰 종공사막
JP2868558B2 (ja) 高強度・高流束ポリスルホン中空糸膜の製法
JPS59228016A (ja) 芳香族ポリスルホン中空糸状膜及びその製造方法
KR102399330B1 (ko) 아세틸화 알킬 셀룰로오스 분리막 및 그의 제조방법
JP2794610B2 (ja) 太径ポリエーテルスルホン中空糸膜の製造方法
JP2675197B2 (ja) 高強度・多孔質ポリスルホン中空糸膜の製法
JPS59169510A (ja) 異方性中空糸膜
JPH03174233A (ja) 芳香族ポリスルホン中空糸状膜の製造方法
JP2818352B2 (ja) 中空糸膜の製造方法
JP3318251B2 (ja) ポリアクリロニトリル系中空糸状濾過膜の製造方法
JP2000107577A (ja) 選択透過性中空糸膜の製造方法
KR100200040B1 (ko) 스폰지구조의 폴리설폰 중공사막
JP3224307B2 (ja) 中空糸膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20010306