JPH0715378U - カートリッジ型筆記具の乾燥防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 カートリッジ型筆記具において、そのイン
キカートリッジに穿設した小さな通気孔からのインキの
乾燥蒸発を極力抑えるため使用される環状弾性パッキン
グの脱落を確実に防止したい。 【構成】 環状弾性パッキング１は、円弧状内周縁１
１を有する立壁部分１２と筒状部分１３とで断面Ｌ形ま
たはＴ形となし、筒状部分１３が嵌着する段付筒状突出
部分１４を軸筒２の先端箇所に形成する。また先金１
に、上記段付筒状突出部分１４の外周面とは上下に対向
し且つ上記段付筒状突出部分１４の段部端面１５とは前
後に対向するパッキング収納部１８を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、カートリッジ型筆記具の乾燥防止装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

インキを収容したカートリッジには、インキ流出を可能とするため、そのカー トリッジ内外を連通する小さな通気孔を穿設している。この為、そのカートリッ ジを長期間保存中には、該通気孔を介して内部のインキを乾燥したり或いは蒸発 したりするから、かようなインキの乾燥蒸発で円滑な筆記が阻害され易い水溶性 インキカートリッジにあっては、該通気孔からのインキの乾燥蒸発を極力抑える 必要がある。

【０００３】 特公昭５６−４８３２０号公報には、内外二重構造としたキャップを筆記具に 被せたとき、その内キャップで筆記具軸筒先端部分を巡る小さな容積の密封空間 を形成させ、一方、軸筒に形成した係合段部に断面四角、円形、またはＬ形のパ ッキングを嵌着し、そのパッキングをインクカートリッジの端面により弾圧する ことで、該先金および軸筒とインクカートリッジとの間の隙間空間を、インクカ ートリッジの通気孔が開口する前方の隙間空間とそれよりも後方の隙間空間とに 分離して、通気孔からのインキの乾燥蒸発を極力抑えるようにした構成が開示さ れている。

【０００４】 また、実開平５−２９７８８号公報には、断面円形のＯリングを軸筒先端に嵌 着する先金の基端面と、該軸筒内面に形成した環状突起部とによって挟み込むこ とで該Ｏリングを軸筒側に装着し、そのＯリングをカートリッジ外周面に当接さ せることで、前記と同様の作用効果を奏する構造が開示されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記した従来例では、いずれもカートリッジ交換時にパッキングやＯリングが 装着箇所から容易に外れて脱落し易いという問題点がある。

【０００６】 本考案の目的は、先金と該先金が螺着する軸筒とによって装着した環状弾性パ ッキングがインクカートリッジの外周面に当接して、インクカートリッジの通気 孔が開口する前方の隙間空間と、それよりも後方の隙間空間とに分離し、その前 方の隙間空間は、二重構造をなすキャップの内キャップが筆記具軸筒先端部分に 嵌着されたとき形成される小さな容積の密封空間と連通させるようにしたカート リッジ型筆記具の乾燥防止装置において、上記の環状弾性パッキングがカートリ ッジ交換時に装着箇所から外れないようにすることにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、環状弾性パッキングは、円弧状内周縁を有する立 壁部分と、該立壁部分に繋がる筒状部分とからなる断面Ｌ形またはＴ形となし、 その環状弾性パッキングの筒状部分が嵌着する段付筒状突出部分を軸筒の先端箇 所に形成し、また、該軸筒に螺着する先金に、上記段付筒状突出部分の外周面と は上下に対向し且つ上記段付筒状突出部分の段部端面とは前後に対向するパッキ ング収納部を形成し、軸筒の段付筒状突出部分と先金のパッキング収納部とで、 環状弾性パッキングの円弧状内周縁部分を除き囲繞可能とした。

【０００８】

【作 用】

環状弾性パッキングの環状部分は、軸筒の段付筒状突出部分の外周面と先金の パッキング収納段部の内周面とによって上下方向から挟み付けられ、また、軸筒 の段付筒状突出部分の段部端面と先金のパッキング収納部の対向面とで環状弾性 パッキングを前後方向から挟み付けるから、両々相俟って環状弾性パッキングが 脱落しないように取付ける。

【０００９】

【実施例】

図１には、先金１と該先金１が螺着する軸筒２とによって装着した環状弾性パ ッキング３がインクカートリッジ４の外周面に当接して、インクカートリッジ４ の通気孔５が開口する前方の隙間空間６と、それよりも後方の隙間空間７とに分 離し、その前方の隙間空間６は、二重キャップ構造をなすキャップ８の内キャッ プ９が筆記具軸筒先端部分に嵌着することによって形成された小さな容積の密封 空間１０と連通するカートリッジ型筆記具の乾燥防止装置が示されている。

【００１０】 図１の一部拡大図からわかるように、この環状弾性パッキング３は、円弧状内 周縁１１を有する立壁部分１２と、該立壁部分１２に繋がる筒状部分１３とから なる断面Ｌ形またはＴ形としている。環状弾性パッキング３の筒状部分１３は、 軸筒２の先端箇所に形成した段付筒状突出部分１４の外周面に嵌着され、そのと き環状弾性パッキング３の円弧状内周縁１１はインクカートリッジ４の外周面に 当接して、前記したように、インクカートリッジ４の通気孔５が開口する前方の 隙間空間６と、それよりも後方の隙間空間７とに分離している。

【００１１】 先金１には、上記段付筒状突出部分１４の外周面とは上下に対向する面１６と 、上記段付筒状突出部分１４の段状端面１５とは前後に対向する面１７からなる パッキング収納部１８を形成している。図から明らかなように、環状弾性パッキ ング３は、軸筒５の段付筒状突出部分１４と先金１のパッキング収納段部１８と によって、環状弾性パッキング３の円弧状内周縁２部分を除き、囲繞し、これに よって環状弾性パッキング３は脱落のおそれのない確実な取付けがなされること になる。

【００１２】 環状弾性パッキング３の実際の大きさはごく小さいものであるから、指先で摘 むにしても、摘んだものを軸筒５の段付筒状突出部分１４の外周面に嵌着させる にしても、図１のような断面Ｌ形の環状弾性パッキング１では仲々面倒である。 そこで、指先で摘み易く、嵌着させるにもし易くするため、図２の如く、断面Ｔ 形の環状弾性パッキング１としてもよい。断面Ｔ形としても脱落し難い点では断 面Ｌ形の場合と何等変わりはない。

【００１３】 尚、図中、１９は先金１に形成した係止用環状突起、２０は前記係止用環状突 起１９に係合する内キャップ９に形成した環状係止溝である。

【００１４】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、カートリッジを交換する時に、環状弾 性パッキングが装着箇所から外れて脱落するといったことを確実に防止する。従 って再度取付け直すといった手数は不要であり、繰り返しその儘利用できる。環 状弾性パッキングの断面形状はＬ形でもＴ形でもよいが、特にＴ形とすると、指 先で摘み、軸筒の段付筒状突出部分の外周面に嵌着させる作業を容易とする点で 有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案になるカートリッジ型筆記具の乾燥防止
装置の第１実施例を示す断面図である。

【図２】本考案になるカートリッジ型筆記具の乾燥防止
装置の第２実施例を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 先金 ２ 軸筒 ３ 環状弾性パッキング ４ インクカートリッジ ５ 通気孔 ６，７ 隙間空間 ８ キャップ ９ 内キャップ １０ 密封空間 １１ 円弧状内周縁 １２ 立壁部分 １３ 筒状部分 １４ 段付筒状突出部分 １５ 段部端面 １６，１７ 面 １８ パッキング収納部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 先金１と該先金１が螺着する軸筒２と
   によって装着した環状弾性パッキング３がインクカート
   リッジ４の外周面に当接して、インクカートリッジ４の
   通気孔５が開口する前方の隙間空間６と、それよりも後
   方の隙間空間７とに分離し、その前方の隙間空間６は、
   二重構造をなすキャップ８の内キャップ９が筆記具軸筒
   先端部分に嵌着して形成した小さな容積の密封空間１０
   と連通させるようにしたカートリッジ型筆記具の乾燥防
   止装置において、 環状弾性パッキング１は、円弧状内周縁１１を有する立
   壁部分１２と、該立壁部分１２に繋がる筒状部分１３と
   からなる断面Ｌ形またはＴ形となし、 その環状弾性パッキング１の筒状部分１３が嵌着する段
   付筒状突出部分１４を軸筒２の先端箇所に形成し、 また、該軸筒２に螺着する先金１に、上記段付筒状突出
   部分１４の外周面とは上下に対向し且つ上記段付筒状突
   出部分１４の段部端面１５とは前後に対向するパッキン
   グ収納部１８を形成し、 軸筒２の段付筒状突出部分１４と先金１のパッキング収
   納部１８とで、環状弾性パッキング３の円弧状内周縁１
   １部分を除き囲繞可能としたことを特徴とするカートリ
   ッジ型筆記具の乾燥防止装置。