JPH07153315A - 高性能絶縁用樹脂組成物およびそれを用いてなる電力ケーブル - Google Patents

高性能絶縁用樹脂組成物およびそれを用いてなる電力ケーブル

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JPH07153315A
JPH07153315A JP32608193A JP32608193A JPH07153315A JP H07153315 A JPH07153315 A JP H07153315A JP 32608193 A JP32608193 A JP 32608193A JP 32608193 A JP32608193 A JP 32608193A JP H07153315 A JPH07153315 A JP H07153315A
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JP
Japan
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resin composition
group
insulating resin
functional group
monomer
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JP32608193A
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English (en)
Inventor
Masaaki Ikeda
雅昭 池田
Junichi Yokoyama
淳一 横山
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐水トリー性および体積固有抵抗のいずれに
も優れた絶縁用樹脂組成物およびそれを用いて製造した
電力ケーブルを提供する。 【構成】 ポリオレフィンと、溶液の存在下に特定の官
能基を有するモノマーで変性したポリオレフィンとから
なる樹脂組成物であって、官能基を含むモノマー部分の
量は、樹脂組成物1gあたり5×10-7モルから5×1
-5モルであることを特徴とする絶縁用樹脂組成物4を
用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は絶縁用樹脂組成物および
それを用いて製造した電力ケーブルに関するものであ
る。さらに詳しくは、ポリオレフィンと溶液法により変
性したポリオレフィンとからなる樹脂組成物を用いるこ
とにより得られ、変性時のコンタミネーション、樹脂焼
け、ゲルの生成等が少なく、耐水トリー性、体積固有抵
抗などに優れた絶縁用樹脂組成物、およびそれを用いて
製造した電力ケーブルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】高圧電線ケーブルは、導電体から生じる
強力な電場によりしばしば被覆部に水トリーを生じ、こ
れが絶縁破壊の原因となる。このような水トリーは、外
部から浸入した水により発生するほか、加工時に樹脂内
に混入する金属粉等の異物や加工時に生じる樹脂焼けを
核として生じる場合がある。また、このような異物や樹
脂焼けなどは体積固有抵抗を悪化させる原因にもなる。
従来、これらの問題に対しては、無水マレイン酸で変性
したポリオレフィンを導入し、異物と樹脂との親和性を
改善して水トリーを防ぐ方法(特開昭62−10090
9号公報)や、エチレンと無水マレイン酸の共重合体を
導入する方法(特開平1−149843号公報)等が提
案されている。さらに、本発明者らは、無水マレイン酸
等の特定の官能基を少量配合することにより体積固有抵
抗を改良し得ることを見出した。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】しかしながら、上記発
明の絶縁用樹脂組成物はいずれも、耐水トリー性等の長
期特性には優れているが、体積固有抵抗等の絶縁性とい
う点では十分でなかった。例えば、特開昭62−100
909号公報の発明では、変性ポリオレフィンを混合す
ることが述べられているが、いかなる方法により変性す
るかが記載されていない。通常、ポリオレフィンを変性
する際には、反応性モノマー、ラジカル発生剤およびポ
リオレフィンを押出機やバンバリーミキサー等で溶融混
練して行うが、このときこれらの装置から金属粉が混入
したり、局部的に加熱されることによりラジカル発生剤
が分解して、いわゆる樹脂焼けや変性に使用するモノマ
ー自体の重合を生じる。このような不純物が混入した変
性ポリオレフィンをブレンドすれば、多少の水トリー防
止効果は得られるが、十分な効果を得るためには多量に
加えなければならない。この結果、官能基の量が増える
こととなり、体積固有抵抗が悪化するという問題も発生
する。特に、溶融混練してポリオレフィンを変性する際
に発生する不純物は、その後の工程で発生する不純物よ
りも量が多いと考えられる。従って、この不純物の量を
減らすことは産業上きわめて重要な問題である。本発明
は、このような問題点を解決し、耐水トリー性および体
積固有抵抗のいずれにも優れた絶縁用樹脂組成物を提供
することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に沿って鋭意検討した結果、ポリオレフィンに、溶液
法で製造した変性ポリオレフィンをブレンドすることに
よって、耐水トリー性、体積固有抵抗のいずれにも優れ
た絶縁用樹脂組成物を製造することが可能となることを
見出して本発明を完成するに至った。すなわち本発明の
第1は、(A)ポリオレフィンと、(B)溶液の存在下
に下記a1ないしa6から選ばれる少なくとも1種類の官
能基を有するモノマーで変性したポリオレフィンとから
なる樹脂組成物であって、上記官能基を含むモノマー部
分の量は、樹脂組成物1gあたり5×10-7モルから5
×10-5モルであることを特徴とする絶縁用樹脂組成物
に関するものである。 a1:カルボキシル基またはカルボキシル基誘導体 a2:酸無水物基 a3:ヒドロキシル基 a4:ニトロ基 a5:ニトリル基 a6:カルボニル基
【0005】以下、本発明の第1について詳細に説明す
る。本発明において用いる(A)成分のポリオレフィン
とは、一般式Cn2nで示される二重結合を有する炭化
水素の単独重合体または共重合体をいう。上記炭化水素
の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテ
ン、2−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−ペ
ンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブ
テン、2−メチル−2−ブテン、1−ヘキセン、2,3
−ジメチル−2−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、
1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン
等が挙げられる。さらに、これらに小量のジエンを含む
ものでもよい。ポリオレフィンの具体例を挙げれば、高
・中圧法ポリエチレン、低圧法ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリブテン、ポリペンテン、ポリ4−メチル−
1−ペンテン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチ
レン−プロピレン共重合体ゴム(EPR)等がある。本
発明で使用するポリオレフィンとしては、上記の中でも
高圧ラジカル法による低密度ポリエチレンが、金属触媒
を使用せず不純物が少ない点で好ましい。本発明におい
ては、官能基を有するモノマーが樹脂組成物中に所定量
の範囲で含まれていれば、上記高圧ラジカル法低密度ポ
リエチレンがエチレン−ビニルエステル共重合体やエチ
レンとα,β−不飽和カルボン酸誘導体との共重合体な
どであっても差し支えないが、不純物を少なくしたもの
でなければならない。
【0006】本発明で用いる(B)成分は、溶液存在下
に官能基を有するモノマーで変性したポリオレフィンで
ある。本発明においては、溶液の存在下にポリオレフィ
ンを官能基を有するモノマーで変性することにより、樹
脂焼けや異物を少なくし、耐水トリー性および体積固有
抵抗を改良しようとするものである。特に樹脂焼けは、
酸化防止剤を使用してもあまり改良されず、変性後に濾
過を行っても除去することが困難であり、耐水トリー性
および体積固有抵抗の低化の原因であった。本発明の
(B)成分に用いるポリオレフィンは、(A)成分とし
て挙げたもののほかに、少量の他の成分を共重合したポ
リオレフィンを含む。
【0007】本発明で用いる官能基を有するモノマーと
は、カルボキシル基、カルボキシル基誘導体、酸無水物
基、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基およびカル
ボニル基の内の少なくとも1種類の官能基を有するもの
である。 具体的には、官能基a1:カルボキシル基またはカルボ
キシル基誘導体を有するモノマーとしては、α,β−不
飽和カルボン酸などの不飽和カルボン酸、α,β−不飽
和カルボン酸エステルなどの不飽和カルボン酸エステル
およびビニルエステル等を挙げることができる。不飽和
カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等を挙げる
ことができる。不飽和カルボン酸エステルの具体的な例
としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、ア
クリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロ
ピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピ
ル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチ
ル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキ
シル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリ
ル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メ
タクリル酸ステアリル、マレイン酸モノメチルエステ
ル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチ
ルエステル、フマル酸モノメチルエステル、アクリル酸
グリシジル、メタクリル酸グリシジル等を挙げることが
できる。ビニルエステルの具体的な例としては、プロピ
オン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリ
ル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、
トリフルオロ酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0008】官能基a2:酸無水物基を有するモノマー
としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、メチル無
水マレイン酸、ジメチル無水マレイン酸、フェニル無水
マレイン酸、ジフェニル無水マレイン酸、クロロ無水マ
レイン酸、ジクロロ無水マレイン酸、フルオロ無水マレ
イン酸、ジフルオロ無水マレイン酸、ブロモ無水マレイ
ン酸、ジブロモ無水マレイン酸等を挙げることができ
る。これらの中でも無水マレイン酸が特に好ましい。
【0009】官能基a3:ヒドロキシル基を有するモノ
マーとしては、ビニルアルコール、1−ヒドロキシプロ
ピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルメタクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒド
ロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアク
リレート、ヒドロキシエチルメタクリレート等が挙げら
れる。
【0010】官能基a4:ニトロ基を有するモノマーと
しては、2,4−ジニトロフェニルアクリレート、β−
ニトロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチ
レン、p−ニトロスチレン、p−ニトロフェニルメタク
リレート、m−ニトロフェニルメタクリレート、2,4
−ジニトロフェニルメタクリレート、2,4,6−トリニ
トロフェニルメタクリレート等を挙げることができる。
【0011】官能基a5:ニトリル基を有するモノマー
としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α
−メトキシアクリロニトリル、シアン化ビニリデン、シ
ナモニトリル、クロトノニトリル、α−フェニルクロト
ノニトリル、フマロニトリル、アリルアセトニトリル、
2−ブテンニトリル、3−ブテンニトリル等を挙げるこ
とができる。
【0012】官能基a6:カルボニル基を有するモノマ
ーとしては、一酸化炭素、メチルビニルケトン、イソプ
ロペニルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニル
ビニルケトン、tert−ブチルビニルケトン、イソプロピ
ルビニルケトン、メチルプロペニルケトン、メチルイソ
プロペニルケトン、シクロヘキシルビニルケトン等を挙
げることができる。本発明においては、上記各種モノマ
ーの中でも、効果および経済性の観点から、無水マレイ
ン酸が特に好ましい。
【0013】ポリオレフィンを変性するには、溶媒にポ
リオレフィンおよび変性に使用するモノマーを溶解して
行う方法であればいずれも用いることができるが、本発
明において特に好ましい方法は次の通りである。まずポ
リオレフィンを加熱しながら溶媒に溶解する。この際、
一時に溶解するポリオレフィンの量が一定の値を超える
とワイセンベルク効果が生じて、ポリオレフィンが攪拌
軸に絡みつき攪拌が困難になるため、ポリオレフィンを
2回以上に分割して溶解することが好ましい。ポリオレ
フィンを溶解した後、この溶液に、溶媒に溶解した官能
基を有するモノマーと反応開始剤とを添加して反応させ
る。このとき溶液の温度を一定に保つ。
【0014】ここで反応開始剤とは、ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウリルパーオキサイド、ジクミルパーオキ
サイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、α,α−
ビス(tert−ブチルパーオキシジイソプロピル)ベンゼ
ン、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジ(tert
−ブチルパーオキシ)ヘキシン等の過酸化物、アゾビス
イソブチロニトリル、2,3−ジメチル−2,3−ジフェ
ニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタ
ン、2,3−ジエチル−2,3−ジ(p−メチルフェニル)
ブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジ(ブロモフェニル)
ブタン等が挙げられる。
【0015】官能基を有するモノマーと反応開始剤の添
加は分割して行う。この際、必要により蒸発した官能基
を有するモノマーを回収する。使用し得る溶媒として
は、変性するポリマーの良溶媒、具体的には、トルエ
ン、キシレン等が挙げられる。2回目以降に添加する際
は、反応開始剤の濃度が一定の値以下に減少した後に添
加を開始する。分割添加を行う時間間隔は条件により異
なるが、ジクミルパーオキサイドを使用して140℃の
条件で変性を行う場合には約30分である。反応終了
後、変性したポリオレフィンを回収するには、蒸発等に
より溶媒を除去する方法があるが、変性したポリオレフ
ィン中に未反応のモノマーが残留する懸念があるため、
アセトンなどのいわゆる貧溶媒により析出させることが
望ましい。
【0016】本発明においては、上記(A)成分と
(B)成分とをブレンドする。この際、官能基を有する
モノマー部分の量が、樹脂組成物1gあたり5×10-7
〜5×10-5モル、好ましくは8×10-7〜10-5
ル、特に好ましくは10-6〜8×10-6モルの範囲にな
るように調整する。5×10ー7モル未満であると、水ト
リーの発生防止および体積固有抵抗の改善の点で効果が
なく、5×10-5モルを超えると体積固有抵抗が悪化す
るため、いずれも好ましくない。(A)成分と(B)成
分との配合割合は、官能基を有するモノマーの量が上記
の範囲にあれば、(A)成分1〜99.9重量%および
(B)成分0.1〜99重量%の範囲で自由に変えるこ
とができる。
【0017】(A)成分と(B)成分とのブレンド方法
は任意である。通常は、バンバリーミキサー、押出機等
で溶融混練し、または溶媒に溶解して行う。本発明の
(B)成分は、樹脂焼けを生じ易い官能基を有するモノ
マーの単独重合体の含有量が少ないため、バンバリーミ
キサーや押出機を使用しても、通常の溶融法による変性
ポリオレフィンを使用する場合よりも樹脂焼けが少な
く、絶縁用樹脂組成物の材料として特に好ましいもので
ある。
【0018】本発明におけるポリオレフィンは、添加物
を含まないものが好ましいが、必要に応じ無機フィラ
ー、有機フィラー、酸化防止剤、滑剤、有機あるいは無
機顔料、紫外線防止剤、光安定剤、分散剤、銅害防止
剤、中和剤、可塑剤、造核剤、顔料等を添加することが
できる。
【0019】また、本発明の絶縁用樹脂組成物は、
(A)成分と(B)成分との混合物に、架橋剤を練り込
んだ樹脂ペレットをブレンドしたり、あるいは過酸化物
を染み込ませるなどの方法により、架橋して使用するこ
ともできる。架橋剤としては前記反応開始剤と同様のも
のを用い、公知の方法により架橋する。
【0020】本発明の第2は、絶縁層が架橋、または未
架橋の上記絶縁用樹脂組成物によって構成された電力ケ
ーブルである。本発明において電力ケーブルとは、導電
部分を絶縁層で被覆した電力ケーブルの全てを含むが、
特に好ましい例を図1に示す。すなわち電力ケーブル1
は、導電性金属の集合線からなる導電体2を内部半導電
層3で被覆し、その上から本発明の絶縁用樹脂組成物4
で被覆した後、さらに外部半導電層5および必要に応じ
アルミニウム箔などの金属材料6で被覆を行い、最後に
保護材料7で最外部を被覆した構造を有するものであ
る。本発明の絶縁用樹脂組成物は、上記以外の方式の電
力ケーブルにも好ましく使用することができる。
【0021】次に、本発明の絶縁用樹脂組成物を電線被
覆用に使用する際の成形方法の例を説明する。まず、単
線または集合線からなる芯線用ワイヤーを、一定の張力
および速度で引き出して電線被覆用ダイに導入する。こ
のときの張力および速度は、芯線の形状、直径、被覆す
る外形、被覆材の密度および粘度等により任意に選択す
ることができる。一般的に、細物電線の場合には600
〜800m/分、50mm径のケーブルの場合には5〜
15m/分の速度が適当である。芯線用ワイヤーの送線
機と電線被覆用ダイとの間には芯線用ワイヤーの矯線機
を設けて、芯線用ワイヤーの振動を防止することが望ま
しい。
【0022】被覆に用いる絶縁用樹脂組成物は、あらか
じめ(A)成分と(B)成分とをブレンドしてペレット
化したものを使用してもよく、また被覆の際に両成分を
ブレンドしてもよい。ただし、上記組成物の密度は一般
的に0.91〜0.94g/cm3の範囲に、またメルトイン
デックス(以下、MIと略す)はケーブル製造のための
押出加工性を考慮して0.05〜20g/10minの範囲にあ
ることが好ましい。
【0023】電線被覆用ダイの形式は、押出し型、スパ
ライル型等を任意に用いることができるが、摩耗し難い
タングステン鋼やクローム鋼製のものが望ましい。樹脂
による被覆に際しては、集合線の芯線用ワイヤーに電波
緩和層としての樹脂組成物を被覆し、その上から、本発
明の絶縁用樹脂組成物を被覆する方法、あるいはワイヤ
ー上に直接本発明の絶縁用樹脂組成物を被覆する方法等
がある。積層する際には、同時にまたは逐次的に行う。
これらの成形においては、必要に応じ、電線被覆用ダイ
の雌型ダイの先端をテーパー状に成形したものを組み合
わせて使用することが望ましい。またこの際、必要であ
れば、ラジカル発生剤、放射線等を使用して架橋を行う
こともできる。
【0024】成形後の冷却には、自然冷却、水槽を用い
る冷却等任意の方法を用いることができるが、内部欠損
等を防ぐため、比較的緩やかに冷却することが望まし
い。例えば、180〜260℃程度に加熱された被覆材
を冷却する際には、温度を150℃、110℃、80℃
程度に調節した3種類の冷却槽を設けて逐次冷却を行う
か、あるいは金属媒体を使用して冷却する等の手段を用
いることができる。その後、シース材や半導電層でさら
に被覆を行うこともできる。
【0025】本発明の絶縁用樹脂組成物は、絶縁性に優
れ、かつ高い耐水トリー性を有するため、電力ケーブル
被覆用の絶縁材として最適のものであるが、その他の各
種用途にも広く使用できるものである。例えば、高圧送
電線のがいしの代替品、X線発生装置等の高電圧部分の
絶縁材、各種測定機材、乾式および湿式電池の容器の絶
縁材、各種プリント基盤、家電用または業務用の電気ソ
ケット類、各種コネクター、配電用コード、電気製品部
品、自動車用配電機器およびその部品等、さらに機械製
品、高圧電流の作業用の手袋や治工具類の絶縁材等とし
ても使用することができる。
【0026】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例に基づ
いて具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定
されるものではない。
【0027】<変性ポリオレフィンの製造> (a)溶液法による変性 樹脂(1) トルエンを溶媒として線状低密度ポリエチレン(MI=
18g/10min、密度=0.921g/cm3)を溶解した後、
トルエンに溶かした無水マレイン酸を樹脂1gあたり
0.2gとなるように加え、次いでトルエンに溶解した
ジクミルパーオキサイドを樹脂1gあたり0.03gと
なるように加え、140℃で反応を行った。アセトンに
より析出させて変性ポリエチレンを回収した後、IR分
光分析により測定した結果、変性ポリエチレンは無水マ
レイン酸を樹脂1gあたり1.53×10-4モル含有し
ていた。 樹脂(2) キシレンを溶媒として線状低密度ポリエチレン(MI=
18g/10min、密度=0.921g/cm3)を溶解した後、
トルエンに溶かしたアクリル酸を樹脂1gあたり0.1
gとなるように加え、次いでトルエンに溶解したジクミ
ルパーオキサイドを樹脂1gあたり0.015gとなる
ように加え、130℃で反応を行った。アセトンにより
析出させて変性ポリエチレンを回収した後、IR分光分
析により測定した結果、変性ポリエチレンはアクリル酸
を樹脂1gあたり5.71×10-5モル含有していた。 (b)溶融法による変性 樹脂(3) 線状低密度ポリエチレン(MI=18g/10min、密度=
0.921g/cm3)と樹脂1gあたり0.008gの無水
マレイン酸および樹脂1gあたり0.001gの2,5−
ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシ
ン−3とをヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸
押出機で反応を行った。変性樹脂を回収した後、IR分
光分析により測定した結果、変性ポリエチレンは無水マ
レイン酸を樹脂1gあたり1.84×10-5モル含有し
ていた。 樹脂(4) 低密度ポリエチレン(MI=1g/10min、密度=0.92
4g/cm3)と樹脂1gあたり0.001gのアクリル酸お
よび樹脂1gあたり0.001gの2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3とを
ヘンシェルミキサーで予備混合した後、二軸押出機で反
応を行った。変性樹脂を回収した後、IR分光分析によ
り測定した結果、変性ポリエチレンは無水マレイン酸を
樹脂1gあたり2.01×10-5モル含有していた。
【0028】<変性ポリオレフィンのゲルの検査>上記
で得られた各種変性ポリオレフィンを厚み50μmのフ
ィルムに成形し、1m2あたりの平均のゲル数を調べ
た。結果は以下の通りである。 平均ゲル数 直径0.5〜1.5mm 直径1.5mm以上 樹脂(1) 326 98 樹脂(2) 244 54 樹脂(3) 1012 257 樹脂(4) 1206 228
【0029】<体積固有抵抗の測定>体積固有抵抗の測
定は以下の条件で行った。 印加電圧:3300V 有効電極面積:19.6cm2 測定機:振動容量型絶縁計((株)アドバンテスト製 T
R8411) 測定環境:オーブン内、窒素雰囲気下 測定および測定値:電圧印加10分後に測定し、4個の
測定値を平均する。
【0030】<水トリーの測定>水トリーの測定には図
2の装置を用いた。すなわち、水トリー測定装置8にお
いて、円盤状の測定用試料9を導電板10の上に設置
し、その上に円筒11を固定して、水トリー測定用試料
9を底板とする容器を形成し、この中に水12を入れ
る。導電板10には接地電極13を設け、印加電極14
を用いて電圧を印加する。測定にあたっては、室温で3
0日間、10kV、10kHzの電圧を印加した。印加
終了後、各測定用試料について、水トリーが50μm以
上に成長したものの数を調べ、比較例1の数を100と
する相対値で表した。
【0031】<実施例1〜12、比較例1〜12>
(A)成分として高圧ラジカル法低密度ポリエチレン
(LDPE;MI=1g/10min、密度=0.920g/c
m3)または線状低密度ポリエチレン(LLDPE;MI
=1g/10min、密度=0.922g/cm3)を用い、(B)
成分として前記変性ポリオレフィンの樹脂(1)〜樹脂
(4) を用いて、表1および表2に示す割合で混合し、
樹脂組成物を調製した。実施例10〜12においては、
(A)成分と(B)成分とをトルエンに溶解して混合
し、再沈澱して樹脂を回収した。その他の実施例および
比較例においては、すべて溶融混練を用いた。また、実
施例7〜9および比較例5〜7、12においては、
(A)成分と(B)成分とのブレンド物に、(A)成分
100重量部当りジクミルパーオキサイド5重量部を添
加して架橋を行った。得られた樹脂組成物中の官能基を
有するモノマーの濃度も併せて表1および表2に示す。
また、体積固有抵抗および水トリーの測定結果を表3お
よび表4に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】実施例1、7、11および12の絶縁用樹
脂組成物を用いて図1に示す構成のケーブルを製造した
ところ、ケーブルとしての性能は良好であった。
【0037】
【発明の効果】本発明の絶縁用樹脂組成物は、各種の電
気用品、輸送機器、電線、プラント、工場等で絶縁材と
して広く使用することができる。また、本発明で用いる
変性ポリオレフィンは、溶液法で製造されるため、不純
物が少ないうえに変性率が高く、従って、その使用量を
少なくすることができる。本発明は、ポリオレフィンに
対し溶液存在下に変性したポリオレフィンをブレンドす
る方法によって、きわめて高性能の絶縁材を容易に提供
することを可能にしたものであり、産業上きわめて有用
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】電力ケーブルの断面図である。
【図2】水トリーの測定装置の略示縦断面図である。
【符号の説明】
1 電力ケーブル 2 導電体 3 内部半導電層 4 絶縁用樹脂組成物 5 外部半導電層 6 金属材料 7 保護材料 8 水トリー測定装置 9 水トリー測定用試料 10 導電板 11 円筒 12 水 13 接地電極 14 印加電極

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリオレフィンと、(B)溶液の
    存在下に下記a1ないしa6から選ばれる少なくとも1種
    類の官能基を有するモノマーで変性したポリオレフィン
    とからなる樹脂組成物であって、該官能基を含むモノマ
    ー部分の量は、樹脂組成物1gあたり5×10-7モルか
    ら5×10-5モルであることを特徴とする絶縁用樹脂組
    成物、 a1:カルボキシル基またはカルボキシル基誘導体 a2:酸無水物基 a3:ヒドロキシル基 a4:ニトロ基 a5:ニトリル基 a6:カルボニル基。
  2. 【請求項2】 絶縁層が架橋、または未架橋の請求項1
    に記載の絶縁用樹脂組成物からなる電力ケーブル。
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