JP3222198B2 - エチレン系共重合体またはその組成物からなる高絶縁体およびこれを用いた電力ケーブル - Google Patents

エチレン系共重合体またはその組成物からなる高絶縁体およびこれを用いた電力ケーブル

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高電圧特性、加工性等に
優れるエチレン系共重合体またはその組成物からなる高
絶縁体、およびそれを用いた高圧電力ケーブルに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、高圧電力ケーブル用絶縁体として
は高圧法ポリエチレンや架橋ポリエチレンが電気特性に
優れているため広く用いられている。高圧電力ケーブル
のもつ問題の一つに高圧送電中の電力損失があり、これ
を低減させることは重要な課題である。この電力損失の
低減を図る一つの手段は、絶縁材の高電圧特性、特に電
気絶縁抵抗を高めることにより達成することができる。
絶縁材料の高電圧特性を改良する方法として低圧法ポリ
エチレンに無水マレイン酸をグラフトする方法が提案さ
れている(例えば、特開平2−10610号公報等)。
しかし、高圧電力ケーブル用絶縁体として低圧法ポリエ
チレンを用いると、高圧ラジカル重合法ポリエチレンと
くらべて可撓性に劣る、触媒残渣として電気特性に悪影
響を与える金属化合物が残るという問題を有している。
また、ポリエチレン100重量部に無水マレイン酸グラ
フト量が0.5〜10重量%である無水マレイン酸グラ
フトポリエチレン2〜40重量部を配合した組成物の絶
縁層のある電力ケーブルが提案されている(特開昭63
−150811号公報)。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題
点に鑑み鋭意検討した結果、高圧ラジカル重合法により
得られるエチレン(共)重合体に、少量の二塩基酸無水
物と、少量の特定の極性基を有する単量体とをグラフト
したエチレン系重合体、あるいはそのエチレン系重合体
と他のポリオレフィン系樹脂との組成物を用いることに
より、大幅に電気絶縁抵抗特性の向上がなされることを
見いだして成されたものであって、その第1目的は、極
めて電気絶縁抵抗が高いエチレン系重合体からなる高絶
縁体を提供するものであり、第2目的はそれを用いた極
めて電気絶縁抵抗が高い高圧電力ケーブルを提供するも
のである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明は、高
圧ラジカル重合法により得られるエチレン(共)重合体
に、二塩基酸無水物とカルボニル基、ニトリル基および
ニトロ基を有する単量体の少なくとも一種とをグラフト
したエチレン系共重合体、または該エチレン系共重合体
と他のポリオレフィン系樹脂との組成物であって、該エ
チレン系共重合体または該組成物中の二塩基酸無水物単
位が0.001重量%〜0.05重量%、かつ二塩基酸
無水物単位と該極性基単位の合計が0.002重量%〜
0.2重量%であるエチレン系共重合体またはその組成
物からなる誘電正接を5×10 -4 以下にして電気絶縁抵
抗を向上させた高絶縁体である。
【0005】本発明の第2発明は、高圧ラジカル重合法
により得られるエチレン(共)重合体に、二塩基酸無水
物とカルボニル基、ニトリル基およびニトロ基を有する
単量体の少なくとも一種とをグラフトしたエチレン系共
重合体、または該エチレン系共重合体と他のポリオレフ
ィン系樹脂との組成物であって、該エチレン系共重合体
または該組成物中の二塩基酸無水物単位が0.001重
量%〜0.05重量%、かつ二塩基酸無水物単位と該極
性基単位の合計が0.002重量%〜0.2重量%であ
るエチレン系共重合体またはその組成物からなる誘電正
接を5×10 -4 以下にして電気絶縁抵抗を向上させた高
絶縁体を絶縁体として用いたことを特徴とする電力ケー
ブルである。以下本発明を詳述する。
【0006】本発明の第1発明におけるエチレン系重合
体またはその組成物とは、高圧ラジカル重合法により得
られるエチレン(共)重合体に、二塩基酸無水物とカル
ボニル基、ニトリル基およびニトロ基を有する単量体の
少なくとも一種とをグラフトしたエチレン系共重合体、
またはそのエチレン系共重合体に他のポリオレフィン系
樹脂を配合した組成物であり、該エチレン系共重合体ま
たはその組成物中に、二塩基酸無水物単位を0.001
重量%〜0.05重量%、かつ二塩基酸無水物単位と上
記の極性基を有する単量体単位の合計が0.002重量
%〜0.2重量%含むものである。
【0007】本発明で用いるエチレン(共)重合体を製
造するための該高圧ラジカル重合法は、例えばエチレン
93〜100重量%、エチレンと共重合可能な不飽和単
量体0〜7重量%の混合物を、それらの全単量体の総重
量に基づいて0.0001〜1重量%のラジカル重合開
始剤の存在下で重合圧力500〜4000kg/cm2、好
ましくは100〜350℃の条件下、連鎖移動剤、必要
に応じて助剤の存在下に槽型または管型反応器内で該単
量体を同時に、あるいは段階的に接触、重合させる方法
である。上記ラジカル重合開始剤としては、ペルオキシ
ド、ヒドロペルオキシド、アゾ化合物、アミンオキシド
化合物、酸素などの通例の開始剤が挙げられる。また連
鎖移動剤としては、水素、プロピレン、ブテン−1、C
1〜C20またはそれ以上の飽和脂肪族炭化水素およびハ
ロゲン置換炭化水素、例えばメタン、エタン、プロパ
ン、ブタン、イソブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、シクロパラフィン類、クロロホルム、および四塩化
炭素、芳香族化合物、例えばトルエン、ジエチルベンゼ
ンおよびキシレンのような化合物等が挙げられる。エチ
レンと共重合可能な不飽和単量体の一例としては、プロ
ピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、デセン−1、オク
テン−1、スチレン等のオレフィン類が挙げられる。
【0008】本発明で、エチレン(共)重合体に上記極
性基を有する単量体と二塩基酸無水物とをグラフトする
グラフト法は、一般に良く知られている方法で行いう
る。即ち、高圧ラジカル重合により得たエチレン(共)
重合体と上記極性基を有する単量体と二塩基酸無水物と
を有機過酸化物等の架橋剤などを用いて溶融混練下に反
応をさせる方法、これらを適当な溶剤中に溶解して溶液
状態としてグラフト反応を行う方法、高圧ラジカル重合
により得たエチレン(共)重合体を水中に分散し、上記
極性基を有する単量体と二塩基酸無水物と反応開始剤を
供給し、グラフト反応を行う方法など各種の方法が実施
できる。しかしながら実用性の面から溶融混練法が好ま
しい。
【0009】本発明でグラフト反応に使用しうる二塩基
酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、
無水ハイミック酸、メチル無水マレイン酸、ジメチル無
水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、ジフェニル無
水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、ジクロロ無水マ
レイン酸、フルオロ無水マレイン酸、ジフルオロ無水マ
レイン酸、ブロモ無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイ
ン酸等を挙げることができる。これらの中でも特に好ま
しいものとして無水マレイン酸を挙げることができる。
【0010】本発明でグラフト反応に使用しうる上記の
極性基を有する単量体としては、(a)カルボニル基を
有する単量体、(b)ニトリル基を有する単量体、
(c)ニトロ基を有する単量体を挙げることができる。 (a1)カルボニル基を有する単量体の一例としては、
α,β−不飽和カルボン酸エステルから誘導される不飽
和カルボン酸エステルを挙げることができ、その具体的
な例としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプ
ロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−
ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロ
ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラ
ウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリ
ル、メタクリル酸ステアリル、マレイン酸モノメチルエ
ステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジ
エチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、アクリ
ル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の不飽和カ
ルボン酸エステル類を挙げることができる。この中でも
特に好ましいものとして(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルを挙げることができる。更に好ましくはアクリル
酸メチルやアクリル酸エチルを挙げることができる。
【0011】(a2)カルボニル基を有する他の単量体
の例は、ビニルエステルを挙げることができる。その具
体的な例としては、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、
カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニ
ル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなど
のビニルエステル単量体を挙げることができる。これら
の中でも特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げ
ることができる。
【0012】(a3)カルボニル基を有する他の単量体
の例は、一酸化炭素、メチルビニルケトン、イソプロペ
ニルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニルビニ
ルケトン、t−ブチルビニルケトン、イソプロピルビニ
ルケトン、メチルプロペニルケトン、メチルイソプロペ
ニルケトン、シクロヘキシルビニルケトンを挙げること
ができる。
【0013】(b)ニトリル基を有する単量体として
は、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、α−メ
トキシアクリロニトリル、ビニリデンシアニド、シナモ
ニトリル、クロトノニトリル、α−フェニルクロトノニ
トリル、フマロニトリル、アリルアセトニトリル、2−
ブテンニトリル、3−ブテンニトリルなどを挙げること
ができる。
【0014】(c)ニトロ基を有する単量体としては、
2,4−ジニトロフェニルアクリレート、2−ニトロス
チレン、3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレン、p
−ニトロフェニルメタクリレート、m−ニトロフェニル
メタクリレート、2,4−ジニトロフェニルメタクリレ
ート、2,4,6−トリニトロフェニルメタクリレート
等を挙げることができる。
【0015】本発明で用いるエチレン(共)重合体に上
記極性基を有する単量体と二塩基酸無水物とをグラフト
したエチレン系共重合体の具体例としては、エチレン/
無水マレイン酸/VAまたは一酸化炭素共重合体、エチ
レン/無水マレイン酸/メチルビニルケトン共重合体、
エチレン/無水マレイン酸/エチルビニルケトン共重合
体、エチレン/無水マレイン酸/アクリロニトリル共重
合体、エチレン/無水マレイン酸/メタアクリロニトリ
ル共重合体、エチレン/無水マレイン酸/アリルアセト
ニトリル共重合体、エチレン/無水マレイン酸/2−ニ
トロスチレン共重合体、エチレン/無水マレイン酸/m
−ニトロスチレン共重合体、エチレン/無水マレイン酸
/p−ニトロフェニルメタクリレート共重合体、エチレ
ン/無水マレイン酸/メチルイソプロペニルケトン共重
合体等、エチレン/無水マレイン酸/EAまたは一酸化
炭素共重合体等を挙げることができる。
【0016】本発明において、上記のエチレン系共重合
体に配合する他のポリオレフィン系樹脂としては、低密
度、中密度、高密度ポリエチレンなどの単独重合体、エ
チレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共
重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−
4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−オクテン
−1共重合体などのエチレンを主成分とする他のα−オ
レフィンとの共重合体からなる直鎖状低密度ポリエチレ
ン、超低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重
合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム
が挙げられる。これらの中でも高圧ラジカル重合法ポリ
エチレンを用いることが好ましい。これらの組成物を溶
融混合する方法としては、バンバリーミキサー、加圧ニ
ーダー、混練押出機、二軸押出機、ロール等の通例用い
られる混練機により行うことができる。
【0017】本発明においては、上記のエチレン系共重
合体を絶縁体として用いても、あるいはこのエチレン系
共重合体に他のポリオレフィン系樹脂を配合した組成物
を絶縁体として用いても、エチレン系共重合体あるいは
その組成物中の二塩基酸無水物単位の含有量は0.00
1〜0.05重量%、好ましくは0.003〜0.03
重量%であり、二塩基酸無水物単位とそれ以外の極性基
を有する単量体単位の合計が0.002重量%〜0.2
重量%、好ましくは0.005〜0.15重量%の範囲
であることが肝要であり、上記二塩基酸無水物単位と極
性基を有する単量体単位を特定の範囲に調整することに
より電気絶縁抵抗を飛躍的に向上せしめる効果を有す
る。
【0018】二塩基酸無水物単位の含有量が0.001
重量%未満、および二塩基酸無水物単位と上記極性基を
有する単量体単位の合計が0.002重量%以下である
と電気絶縁抵抗を向上せしめる効果が少なく、二塩基酸
無水物単位の含有量が0.05重量%を越え、かつ二塩
基酸無水物単位と上記極性基を有する単量体単位の合計
が0.2重量%を越える場合には、電気絶縁抵抗が高い
ものの、誘電正接(tanδ)の上昇をもたらすので好
ましくない。誘電正接値は、二塩基酸無水物単位の量と
上記極性基を有する単量体単位の量の増加とともに単調
に上昇する。電力ケーブル用絶縁材料とするには、誘電
正接値は最大でも5×10-4以下にするのが望ましく、
このため二塩基酸無水物単位の量は、0.05重量%以
下で二塩基酸無水物単位と上記極性基を含む単量体単位
の合計が0.002重量%〜0.2重量%に限定される
ものである。
【0019】上記のエチレン系共重合体の密度は一般的
には0.91〜0.94g/cm3の範囲で適用され
る。また、メルトインデックス(以下MIと略す)につ
いてはケーブルへの押出加工性を考慮すると0.05〜
20g/10分が望ましい。
【0020】上述した本発明のエチレン系共重合体ある
いはその組成物は、通例の電線・電力ケーブル等の絶縁
層として使用されるのみでなく、単独または他の合成樹
脂、ゴム等とブレンドされて、フィルムまたはシート、
テープ、ヤーン等に加工され、必要により他の基材と積
層され、絶縁フィルムやシート、絶縁テープ、絶縁カバ
ー、絶縁衣等に活用される。
【0021】本発明の第2発明である電力ケーブルと
は、押出しによる内部半導電層および/または外部半導
電層、あるいは所望により銅、アルミニウム、鉛等の外
部金属遮蔽層やアルミニウムテープ等を巻回した遮水層
等の通例電力ケーブルにおいて設けられる被覆層と共に
上記のエチレン系共重合体あるいはその組成物よりなる
絶縁層を有するものである。
【0022】該絶縁層は、架橋体、未架橋体のいずれで
もよい。また、架橋においては、パーオキサイド、イオ
ウ等の他、シラン架橋、電子線架橋等の通例の方法を用
いることができる。
【0023】本発明では、本発明の主旨を逸脱しない範
囲において、他の合成樹脂やゴムあるいは酸化防止剤、
紫外線防止剤、顔料、染料、滑剤、発泡剤、難燃剤、充
填剤等の通例の添加剤等を添加しても差し支えない。
【0024】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳しく説明
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。 実施例1 高圧ラジカル重合により得た低密度ポリエチレンと無水
マレイン酸0.25gとアクリル酸エチル(EAと略
す)0.1gと2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルペルオキシ)ヘキサン0.08gをドライブレンド
した後、シリンダー温度230℃に設定した単軸押出機
(L/D=26,C.R.=3.0)に供給し、押し出
し後、造粒した。造粒したエチレン重合体をトルエン−
アセトン溶液で再沈精製をしたのち、赤外分光光度計で
分析したところ、無水マレイン酸は、0.03重量%
で、アクリル酸エチルは、0.01重量%であった。こ
の共重合体の電気特性を測定したところ、体積抵抗は、
比較例1の低密度ポリエチレンに比べると30倍になっ
ていた。また、誘電正接は、5×10-4以下であった。
【0025】実施例2 実施例1と同様な製造法で得たエチレン重合体(無水マ
レイン酸は、0.03重量%で、アクリル酸エチルは、
0.1重量%)の電気特性を測定したところ、体積抵抗
は、比較例1の低密度ポリエチレンに比べると40倍に
なっていた。また、誘電正接は、5×10-4以下であっ
た。
【0026】実施例3 実施例1と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.15重量%で、アクリル酸エチルは、0.1
5重量%)40gと低密度ポリエチレン2000gとを
ドライブレンドした後、シリンダー温度200℃に設定
した単軸押出機(L/D=26,C.R.=3.0)に
供給し、押し出し後、造粒した。造粒したエチレン系共
重合体組成物をトルエン−アセトン溶液で再沈精製をし
たのち、赤外分光光度計で分析したところ、無水マレイ
ン酸は、0.003重量%で、アクリル酸エチルは、
0.003重量%であった。この共重合体の電気特性を
測定したところ、体積抵抗は、比較例1の低密度ポリエ
チレンに比べると10倍になった。また、誘電正接は、
5×10-4以下であった。
【0027】実施例4 実施例1と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.15重量%で、アクリル酸エチルは、0.1
5重量%)500gと低密度ポリエチレン2000gと
用いて、実施例3と同様な製造法で得たエチレン共重合
体組成物(無水マレイン酸は、0.03重量%で、アク
リル酸エチルは、0.03重量%)は、比較例1の低密
度ポリエチレンに比べると体積抵抗が、40倍になって
いた。誘電正接は、5×10-4以下であった。
【0028】実施例5 実施例3と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.15重量%で、アクリル酸エチルは、0.5
重量%)60gと低密度ポリエチレン2000gとのブ
レンドによって得たエチレン共重合体組成物(無水マレ
イン酸は、0.001重量%で、アクリル酸エチルは、
0.005重量%)は、比較例1の低密度ポリエチレン
に比べると体積抵抗が、7倍になっていた。誘電正接
は、5×10-4以下であった。
【0029】実施例6 実施例1と同様な製造法で得たエチレン重合体(無水マ
レイン酸は、0.001重量%で、酢酸ビニル(VAと
略す)0.05重量%)の電気特性を測定したところ、
体積抵抗は、比較例1の低密度ポリエチレンに比べると
10倍になっていた。また、誘電正接は、5×10-4
下であった。
【0030】実施例7 実施例1と同様な製造法で得たエチレン重合体(無水マ
レイン酸は、0.001重量%で、メチルビニルケトン
(MVKと略す)0.05重量%)の電気特性を測定し
たところ、体積抵抗は、比較例1の低密度ポリエチレン
に比べると13倍になっていた。また、誘電正接は、5
×10-4以下であった。
【0031】実施例8 実施例1と同様な製造法で得たエチレン重合体(無水マ
レイン酸は、0.001重量%で、アクリロニトリル
(ANと略す)0.01重量%)の電気特性を測定した
ところ、体積抵抗は、比較例1の低密度ポリエチレンに
比べると21倍になっていた。また、誘電正接は、5×
10-4以下であった。
【0032】実施例9 実施例1と同様な製造法で得たエチレン重合体(無水マ
レイン酸は、0.001重量%で、2−ニトロスチレン
(NStと略す)0.01重量%)の電気特性を測定し
たところ、体積抵抗は、比較例1の低密度ポリエチレン
に比べると18倍になっていた。また、誘電正接は、5
×10-4以下であった。
【0033】比較例1 現在市販されている高圧ラジカル法による低密度ポリエ
チレン(商品名=日石レクスロンW2000、日本石油
化学(株)製)を比較例1とした。
【0034】比較例2 実施例1と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.15重量%で、アクリル酸エチルは、0.0
5重量%)10gと低密度ポリエチレン2000gとを
用いて、実施例3と同様な製造法で得たエチレン共重合
体組成物(無水マレイン酸は、0.0007重量%で、
アクリル酸エチルは、0.0002重量%)は、比較例
1の低密度ポリエチレンに比べると体積抵抗の著しい向
上は、みられない。
【0035】比較例3 実施例1と同様な製造法で得た共重合体(無水マレイン
酸は、0.15重量%で、アクリル酸エチルは、0.5
重量%)1000gと低密度ポリエチレン2000gと
を用いて、実施例3と同様な製造法で得たエチレン共重
合体組成物(無水マレイン酸は、0.05重量%で、ア
クリル酸エチルは、0.17重量%)は、比較例1の低
密度ポリエチレンに比べると体積抵抗が、50倍になっ
ているが、誘電正接は、5×10-4以上になっているた
めに、電線ケーブル用の絶縁体には不向きである。これ
らの結果をまとめて(表1)に示す。
【0036】(試験法) 絶縁抵抗(体積固有抵抗);印加電圧3kV、時間10
分、試料厚み0.3mmで測定した。 誘電正接(tanδ)・・・ ;横河ヒューレットパッカー
ド(株)製YHP4194Aインピーダンスアナライザ
ー使用、試料厚み1mm、100kHZ。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】上述のように高圧ラジカル重合法により
製造されたエチレン(共)重合体に、特定の極性基を有
する単量体と、二塩基酸無水物とをグラフトした本発明
のエチレン系共重合体あるいはそのエチレン系共重合体
と他のポリオレフィン系樹脂との組成物は、二塩基酸無
水物単位と特定の極性基を有する単量体単位を特定する
ことにより、電気絶縁抵抗を飛躍的に高める効果が得ら
れ、電力ケーブルの絶縁層として使用した場合におい
て、絶縁層を厚くしないで高電圧送電時の電力損失を低
減することができる。
フロントページの続き (72)発明者 横山 淳一 神奈川県横浜市金沢区高舟台2−25−26 (56)参考文献 特開 平4−39815(JP,A) 特開 昭49−110740(JP,A) 特開 平3−33137(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 3/44 H01B 9/00 C08L 51/06 C08F 255/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧ラジカル重合法により得られるエチ
    レン(共)重合体に、二塩基酸無水物とカルボニル基、
    ニトリル基およびニトロ基を有する単量体の少なくとも
    一種とをグラフトしたエチレン系共重合体、または該エ
    チレン系共重合体と他のポリオレフィン系樹脂との組成
    物であって、該エチレン系共重合体または該組成物中の
    二塩基酸無水物単位が0.001重量%〜0.05重量
    %、かつ二塩基酸無水物単位と該極性基単位の合計が
    0.002重量%〜0.2重量%であるエチレン系共重
    合体またはその組成物からなる誘電正接を5×10 -4
    下にして電気絶縁抵抗を向上させた高絶縁体。
  2. 【請求項2】 高圧ラジカル重合法により得られるエチ
    レン(共)重合体に、二塩基酸無水物とカルボニル基、
    ニトリル基およびニトロ基を有する単量体の少なくとも
    一種とをグラフトしたエチレン系共重合体、または該エ
    チレン系共重合体と他のポリオレフィン系樹脂との組成
    物であって、該エチレン系共重合体または該組成物中の
    二塩基酸無水物単位が0.001重量%〜0.05重量
    %、かつ二塩基酸無水物単位と該極性基単位の合計が
    0.002重量%〜0.2重量%であるエチレン系共重
    合体またはその組成物からなる誘電正接を5×10 -4
    下にして電気絶縁抵抗を向上させた高絶縁体を絶縁体と
    して用いたことを特徴とする電力ケーブル。
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