JPH07150688A - 継 手 - Google Patents

継 手

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JPH07150688A
JPH07150688A JP29862693A JP29862693A JPH07150688A JP H07150688 A JPH07150688 A JP H07150688A JP 29862693 A JP29862693 A JP 29862693A JP 29862693 A JP29862693 A JP 29862693A JP H07150688 A JPH07150688 A JP H07150688A
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JP
Japan
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coupler
ring
shape memory
reinforcing bar
shaped member
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Withdrawn
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JP29862693A
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English (en)
Inventor
Hiroaki Otsuka
広明 大塚
Tatsuyoshi Kawai
立芳 河合
Hiroyuki Yamada
寛之 山田
Nobuyoshi Miura
展義 三浦
Takahiko Mio
尭彦 三尾
Tadakatsu Maruyama
忠克 丸山
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Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大がかりな締結用の治具を必要とせず、簡単
で信頼性の高い鉄筋締結用の継手を提供すること。 【構成】 カプラーと2個のロックナット、形状記憶合
金製のリング状部材2個とで構成される。締結する鉄筋
を左右からカプラーにねじ込み、カプラーの両側に形状
記憶合金製のリング状部材を置き、その外側からロック
ナットを締め込んで仮止めをする。次に形状記憶合金製
リング状部材を加熱するとリング状部材は内径が収縮す
る方向に形状回復を生じる。リング状部材の内面側には
テーパー部が形成され、カプラーおよびロックナットの
端部にもこれと対応するテーパー加工が施されているの
で、リング状部材の収縮によってカプラーとロックナッ
トとの間を押し拡げるので、鉄筋と継手が一体に結合さ
れる。 【効果】 重たい締結治具を使わず、加熱だけで容易に
鉄筋の締結が行なわれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は鉄筋の締結に使用するた
めの鉄系形状記憶合金を用いた継手に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄筋は多くの場合、大きな骨格構造物を
構成するために、多数の鉄筋同士を施工現場において組
合わせて締結しながら使用されるのが普通である。締結
の方法には、重ね継手、溶接方式、機械的方式などがあ
る。重ね継手は重ね合わせる部分の余分な長さが必要と
なる上、特に径の太い鉄筋では施工が困難になるという
欠点がある。また溶接方式の中にはよく利用されるもの
としてガス圧接法がある。しかしこの方法は雨天に作業
ができないという問題がある。機械的方式には、カプラ
ーを鉄筋表面のねじにねじ込むものや、カプラー内にモ
ルタルもしくは樹脂を注入することによって締結する方
法がある。ねじ込み式は、鉄筋表面にねじ節のある鉄筋
や端部をアプセットして締結用のねじを形成した鉄筋な
どに利用できるが、締結作業は重たい締結装置を使用す
る大がかりなものとなり、狭い場所や高所での作業が行
ないにくい欠点がある。更にモルタルや樹脂を注入する
方式も、締結が確実に行なわれているかどうかの確認や
樹脂などの耐久性に問題があるとされている。
【0003】一方これらの欠点を改善する方法として、
形状記憶合金を利用する試みも行なわれている。形状記
憶合金は、ある形状に加工して適当な温度に加熱処理を
してやると、その形状が記憶されるという特徴を持った
金属である。形状記憶処理後にその形状に対して変更を
加えてしまっても、次に適当な温度に加熱するだけで、
初めに記憶させた形状を復元させることができるという
性質を持っている。このような性質を利用すると、例え
ば次のような形でパイプや鉄筋などを締結することがで
きる。すなわちこの合金で締結しようとする鉄筋などの
外径よりも細い内径を持った円筒を作ってその形状を記
憶させた後、円筒内径を押し拡げて鉄筋が円筒に差し込
めるようにする。この形状記憶合金製円筒内に鉄筋を差
し込んでから形状回復温度に加熱することによって、形
状記憶合金が記憶させられている細い形状に向かって円
筒が収縮しようとする過程で、鉄筋を掴んで固定するこ
とができるというものである。
【0004】このような特性を応用した形状記憶合金製
の鉄筋用継手として、特開昭62−82152号公報が
ある。また形状記憶合金を別な形で利用したものとして
は特開昭58−26155号公報や実開平4−1118
13号公報がある。前者は、カプラーの両端からロック
ナットを締め付けて鉄筋の締結を行なう従来の方法で
は、ロックナットに大きなトルクを与えて締め付ける困
難な作業を伴うので、カプラーと両ロックナットとの間
に形状記憶合金製のリングを挿入しておき、加熱したと
きにこのリングの幅が拡がることによって、ロックナッ
トを締め付けなくても完全に固定できるようにしたもの
など、いくつかの方法を提唱している。また後者におい
ては板状の形状記憶合金が加熱で曲がるように記憶処理
しておき、加熱時の形状記憶合金の曲がりによって鉄筋
の締結が行なわれるように工夫された継手が呈示されて
いる。しかしながら形状記憶合金は加工性の悪いものが
多い上高価なものでもあるために、鉄筋用の継手分野で
大量に使用されるようには至っていないのが実状であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は鉄筋の
締結作業が特別な技能を要せず締結工具も使わずに、狭
い所や高所においても簡単に作業でき、かつ信頼性の高
い締結が可能な継手を提供することである。特に構造物
の規模が大きくなり、太径ものの鉄筋が使用される場合
にも特別な困難を伴わずに容易に施工できるものとする
ことを課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも端
部に平行ねじを有する鉄筋用の継手であって、締結する
鉄筋のねじとかん合する平行雌ねじを有するカプラー1
個と、前記カプラーの両側に1個ずつ配置され内径は前
記雌ねじの谷底径より大きい鉄系形状記憶合金からなる
リング状部材2個と、前記リング状部材の更に両側に1
個ずつ配置され締結する鉄筋のねじとかん合する平行雌
ねじを有するロックナット2個の合計5個の部材で構成
され、かつ前記カプラーの外面両端部と前記リング状部
材の内面側両端部ならびに前記ロックナットの外面でリ
ング状部材に面する側の端部のそれぞれにはテーパー面
が形成されており、鉄筋の締結に際しては、前記5個の
構成部材は互いの前記テーパー面のみで互いが接触し合
うようにしたことを特徴とする継手であるが、前記リン
グ状部材2個に加えて2個のロックナットも鉄系形状記
憶合金からなるものも包含される。
【0007】一般に鉄筋の締結作業は、屋外でしかも高
所や狭所などの厳しい環境下で行なわれる場合が多いこ
とから、天候に作用されず大袈裟な施工用工具を必要と
せずに簡単に行なえるものであることが望まれている。
また多くの場合はコンクリート内に埋め込まれることに
なるものであり、かつ大量に使用される部材であるため
に、安価なものであることも重要な条件とされている。
また締結部についてはガタがなく、できれば鉄筋本体と
同等の締結強度を有するものであることが期待されてい
る。形状記憶合金を利用した従来の鉄筋締結法も、施工
作業自体は、形状記憶合金によらない他の締結法に比べ
て明らかに容易な方法となっている。しかし肝腎の締結
強度を鉄筋本体並みとするには必ずしも十分とはいえな
かった。
【0008】本発明はこれらの点を、従来のねじ式継手
をベースにして鉄系形状記憶合金を組合わせて使用する
ことによって解決したものである。図1において1は締
結する2本の鉄筋である。鉄筋の少なくとも締結しよう
とする端部には、予め平行ねじを形成する。鉄筋表面の
「節」がねじ状に形成されている場合においては、もち
ろんそのねじを利用することができる。図1の2はカプ
ラーで、内面には雌ねじが形成されているとともに、外
面側の両端部にはテーパー21が形成されている。3は
ロックナットで、内面には雌ねじが形成されているとと
もに、外面側片側端部にはテーパー31が形成されてい
る。4は鉄系形状記憶合金製のリング状部材で、その内
径はカプラーの雌ねじ谷底径より大きくして、鉄筋の外
面には直接接触しないように作られている。
【0009】またその内面側両端部の一端はカプラー外
面側のテーパーと、他端はロックリング外面側のテーパ
ーと、それぞれ対応するようにテーパー加工がなされて
いる。ここで鉄系形状記憶合金製のリング状部材4に
は、予め、加熱によってリングの内径が収縮するように
形状記憶処理がなされている。このような形状記憶処理
は、鉄系形状記憶合金でリングを製作して形状記憶のた
めの熱処理を行なった後、室温付近においてリング内径
を押し拡げる加工を加えればよい。
【0010】本発明による継手の締結に当たっては、カ
プラー、ロックナット、鉄系形状記憶合金製リング状部
品の各構成部材を、まず締結する鉄筋に対して図1に示
すように配置する。ロックナットは手で回せる限度まで
締め付ける。次に鉄系形状記憶合金製のリング部材部分
を加熱することによってリング部材の内径を収縮させる
と、テーパー加工部分の作用によってリング部材の収縮
力がカプラーとロックリングの間を押し拡げる力に変換
される。このためこれらの継手の各構成部材は一体に結
合されると同時に鉄筋を緊密に締結するに至る。
【0011】このような役割を担うテーパーの角度は重
要である。この角度は部材端面に対して15°から60
°の範囲内とし、一組の継手の中では各部材のテーパー
角度が同じになるようにすることが望ましい。本発明の
基本的な動作は以上の通りであるが、上記においてロッ
クリングも鉄系形状記憶合金で作られていて、かつ加熱
によって内径が収縮するように形状記憶処理がなされて
いるものを利用すれば、締結の信頼性を一層高めること
ができる。
【0012】次に本発明に使用する形状記憶合金を鉄系
形状記憶合金に限定した理由について説明する。ニッケ
ル・チタン系や銅系の形状記憶合金は、形状記憶合金と
しては鉄系以上によく知られた存在であるが、加工が困
難であったり大型の部材を多量に製作すること自体に難
点がある上高価でもあるため、鉄筋用継手のような安価
で量産の要求される分野での使用は適当でないと判断し
て除外した。本発明で鉄系形状記憶合金というのは、鉄
が概略で約50%以上を占めて、他に鉄より小量の合金
元素が添加されているものを指す。代表的なものとして
はFe−Mn−Siを主要成分とし、必要に応じてCr
やNiを添加することのできる系統の合金が知られてい
る。この種の鉄系形状記憶合金は精度のよいねじを形成
するための加工性と量産性に優れており、最も適当であ
る。
【0013】なお、本発明の継手を使用する場合には加
熱手段を必要とする。鉄系形状記憶合金に形状回復動作
を起こさせるための加熱温度はたかだか300℃程度で
あるから、ガスバーナーや高周波誘導加熱、電気抵抗式
ヒーター、金属粉末発熱体など、既存の方法を利用する
ことができる。また締結に際してねじ面に、一般のねじ
式継手に使用されているシール剤やステンレスペイント
などのエポキシ系の樹脂を塗布した状態で締結を行なえ
ば、締結力は一層強固なものとなる。
【0014】
【作用】本発明による継手は、表面にねじ状の節がある
か、もしくは表面に締結用のねじが加工されている鉄筋
に対して使用ができる。本発明による継手はカプラー1
個とロックナット2個、更に鉄系形状記憶合金製リング
状部材2個の合計5個の部材から構成されている。締結
に際しては、まず一方の鉄筋端部のねじにロックナット
を1個ねじ込んでおく。この際ロックナットに形成され
ている外面側端部のテーパーが、鉄筋の端部側に向くよ
うにしておく。次にロックナットに接するように、鉄系
形状記憶合金製リング状部材の内の1個を鉄筋端部に通
しておく。締結する相手側の鉄筋端部に対しても、これ
と同様にロックナットとリング状部材を1個ずつ取り付
け、更にその上にカプラーをねじ込んでいき、鉄筋の端
部がカプラーの反対側端部から多少出てくる程度まで完
全にねじ込んでしまう。
【0015】次いで、先にロックナットとリング状部材
だけをセットした方の鉄筋の端部をこの鉄筋端部と突き
合わせ、カプラーを先程とは逆方向に回転させてカプラ
ーを移動させ、カプラーの長さのほぼ半分ずつが、両方
の鉄筋になるべく均等に咬み合った状態となる位置で停
止させる。そのままカプラーが動かないようにして、両
方の鉄筋にねじ込んであるロックナットを回転させ、カ
プラー端面にリング状部材をできるだけ強く押し付ける
ように、手で回せる範囲内のぎりぎりの状態までロック
リングを絞め込んでおく。
【0016】この状態で、鉄系形状記憶合金製リング状
部材の部分を加熱すると、リング状部材は内径が収縮す
る方向に形状回復動作を引き起こされる。リング状部材
内面側のテーパーと、カプラーならびにロックナット外
面側のテーパーがかみ合わさってセットされているため
に、リング状部材の内径収縮はこのテーパーの作用によ
ってカプラーとロックナットとの間を強く押し拡げよう
とする力に変換され、これによって継手の各構成部材と
鉄筋を一体化するようにして鉄筋の締結が行なわれる。
【0017】ここで本発明の第2実施例に規定している
ように、リング状部材の他に2個のロックナットも鉄系
形状記憶合金製とすれば、加熱によってこれらのロック
ナットの内径が収縮して鉄筋に固定されるから、リング
状部材の収縮による前述の効果を更に安定させてより一
層強固に鉄筋を締結することが可能となる。以上いずれ
の場合にも、鉄筋と継手のねじ部が、機械的には高いト
ルクを与えて強く絞め込むような作業はしないにもかか
わらず、鉄系形状記憶合金の動作によって2本の鉄筋は
緊密にかみ合って一体的に接合される。
【0018】
【実施例】
実施例1 公称直径28.6mm(呼び径D29)のねじ節鉄筋に対
して本発明による継手を用いた締結を適応した。カプラ
ーとロックナットは、S45Cを使って外径50mmで、
長さは前者については130mm、後者については45mm
の円筒状とし、その内面にはいずれも、鉄筋側の雄ねじ
に対応する雌ねじとして、ねじ山高さ2.6mmで14mm
ピッチ、フランク面角度45°の台形ねじを切削加工し
た。更にカプラーについては外面側両端部を、またロッ
クナットについては外面の片側端部のみを、それぞれ幅
8mmで45°のテーパー加工を行なった。
【0019】リング状部材は、28%Mn−6%Si−
5%Crを主要成分として含有する鉄ベースの形状記憶
合金丸棒から円筒状の粗形材を削り出し、900℃に加
熱して形状記憶処理をした後、円筒内径を8%拡径し6
00℃に加熱するトレーニング処理に続いて、再び内径
を7%だけ拡径した。ここでトレーニング処理というの
は、形状記憶合金の形状回復特性を向上させるための処
理方法として公知のものであり、一定の加工と熱処理を
繰り返して行なうことによって、最終的な形状回復性能
を大きくすることができるというものである。本実施例
では、形状記憶処理後に拡径−熱処理−拡径という工程
をとることによって、トレーニングの効果を期待できる
ように配慮した。
【0020】上記の二度目の拡径後の円筒のサイズは、
外径55mm、内径36mm、長さ30mmであった。この円
筒の内面側両端部は、それぞれ幅8.5mm分を45°の
テーパー状に加工した。この鉄系形状記憶合金製のリン
グ部材は以上の製作工程によって、もしそのまま300
℃に加熱されると内径が4%だけ収縮する能力を与えら
れたものとなっている。
【0021】締結は次のようにした。締結する2本の鉄
筋の端部それぞれに、まずロックリングを1個ずつねじ
込んだ。その際、テーパー加工をした側が鉄筋の端部側
となるようにした。次に鉄系形状記憶合金製リング状部
材をそれぞれの鉄筋端部に1個ずつはめ込んだ。一方の
鉄筋の端部には、更にカプラーをねじ込むが、カプラー
を十分にねじ込んで、カプラーの反対側端部から鉄筋の
先端が多少出るようにした。次に他方の鉄筋の先端をこ
の先端と突き合わせ、カプラーを先程とは逆方向に回転
させて移動させ、ちょうどカプラーの長さの半分ずつが
両方の鉄筋に均等にねじ込まれた状態になるようにし
た。カプラーをこの位置で止めたまま、二つのロックナ
ットをカプラーの両側からそれぞれカプラーに向かって
ねじ込み、手で回せなくなる限界までできるだけしっか
りと、2個の鉄系形状記憶合金製のリング状部材それぞ
れをカプラーとロックナットの間に固定した。
【0022】この状態で二箇所の鉄系形状記憶合金製リ
ング状部材に形状回復動作を起こさせるための加熱をし
た。加熱には高周波誘導加熱装置を使用して、継手部分
が300℃になるように行なった。使用した高周波誘導
加熱装置は加熱コイルが二つ割り式になっていて、装着
は継手の両側から挟むだけで簡単にセットができるよう
に製作された既存の装置である。加熱所要時間は8分間
であった。加熱によって鉄系形状記憶合金製リング状部
材の内径が収縮すると、内側に加工されているテーパー
の作用によって、両側に存在しているロックリングとカ
プラーとの間を強く押し拡げる力を発生させた。この力
によって継手を構成する部材と鉄筋は一体となって固定
された。
【0023】継手の温度が室温に戻ったところで、両端
の鉄筋を掴んで引っ張り試験を行なって締結状態を確認
した。鉄筋は引っ張り試験に際して応力とひずみ(伸
び)の関係にステップ状の停滞が生じたり、規定の応力
以下で引き抜けることがあってはならないとされてい
る。これに対して本実施例で製作した鉄系形状記憶合金
製継手の締結部は、図2に示した通り信頼性の高い締結
が実現できていることが確認された。
【0024】実施例2 公称直径25.4mm(呼び径D25)の鉄筋を本発明に
よる継手によって締結した。まず締結する2本の鉄筋の
端部を熱間でアプセット加工し、その長さ80mmの部分
に渡って、M33のメートル並目ねじ(JIS−B−2
05)を形成した。これを締結するための継手の内まず
カプラーとしては、S45Cで外径43mm、長さ80mm
の円筒内面にM33のメートル並目雌ねじ(JIS−B
−205)を切削加工したものとした。またロックナッ
トとリング状部材はいずれも32%Mn−6%Siを含
み主体的残部が鉄である鉄系形状記憶合金で製作した。
ロックナットは円筒状態で形状記憶のための900℃で
の熱処理を行なってから、内径を7%押し拡げた上、内
面にカプラーと同じ雌ねじを切削加工した。この段階で
の外径は43mm、長さは20mmである。カプラーと2個
のロックナットは、前者は外面側両端部に対して、また
後者については外面側の片端部のみに対して、幅8mmの
部分を45°のテーパーを持つように斜めに削り取っ
た。
【0025】継手を構成するリング状部材についても、
前記のロックナットと同様に円筒の粗形状で記憶処理の
ための900℃での熱処理を行なった後内径を7%押し
拡げた。この状態で外径47mm、内径29mm、長さは2
0mmで、更に内側両端部を幅9mm分ずつを45°のテー
パーを持つように斜めに切削加工した。本実施例では実
施例1で採用したトレーニング処理は行なわず、拡径は
一度だけにとどめた。またこの工程で完成した鉄系形状
記憶合金製のロックナットとリング状部材の端面には、
300℃で変色する感温塗料を塗布した。
【0026】締結作業の内鉄筋に継手をセットするまで
の部分は、実施例1と同様にして行なった。継手の鉄系
形状記憶合金の部分に対する加熱は、本実施例ではガス
バーナーを用いて行なった。まずカプラーの両側のロッ
クナット部分に交互にバーナーの火炎を当て優先的に加
熱をし、ロックナット端面の感温塗料の方がリング状部
材端面の感温塗料よりも先に変色するようにした。その
結果、まずロックナットの内径が収縮して鉄筋にロック
ナットが固定され、次にリング状部材が収縮してロック
ナットとカプラーとの間に強い押し付け力を作用させる
結果として、2本の鉄筋が緊密に締結された。
【0027】なお本実施例ではロックナットとリング状
部材に対する加熱に時間的な前後関係が生じるように意
識した加熱を行なった。しかし、本発明の継手において
ロックナット部分が収縮して鉄筋に固定されることは、
例えリング状部材が収縮した後であっても締結の信頼性
を高める上有効であるから、必ずしも段階的な加熱をせ
ずに両者を無差別に一度に加熱しても、差し支えない。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、現場作業としては簡単
な加熱操作を加えるだけで鉄筋の締結を行なうことがで
きる。施工現場において高いトルクを与えてねじ込むよ
うな困難な作業や溶接のための高熱作業などが不要なた
め、高所や狭所、足場の悪い作業環境下においても、ま
た雨天などの悪天候のもとにおいても支障なく施工がで
きる。従来使われていた重量のある締結用治具に比べて
軽量で操作しやすい加熱装置だけで作業ができるので、
特に大径鉄筋の締結作業に対しては著しい作業性の改善
が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による継手を鉄筋の締結のためにセット
した状態を示す説明図。
【図2】本発明の継手で締結した鉄筋締結部の引っ張り
試験の一例を示す図表。
【符号の説明】
1 鉄系形状記憶合金製の継手 2 本発明による継手の一構成部材であるカプラー 21 カプラー端面に加工されたテーパー 3 本発明による継手の一構成部材であるロックナッ
ト 31 ロックナット端面に加工されたテーパー 4 本発明による継手の一構成部材であるリング状部
フロントページの続き (72)発明者 山田 寛之 東京都千代田区大手町2丁目6番3号 新 日本製鐵株式会社内 (72)発明者 三浦 展義 室蘭市仲町12番地 新日本製鐵株式会社室 蘭製鐵所内 (72)発明者 三尾 尭彦 東京都千代田区神田錦町3丁目6番地 淡 路産業株式会社東京支社内 (72)発明者 丸山 忠克 東京都千代田区神田錦町3丁目6番地 淡 路産業株式会社東京支社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも端部に平行ねじを有する鉄筋
    用の継手であって、締結する鉄筋のねじとかん合する平
    行雌ねじを有するカプラー1個と、前記カプラーの両側
    に1個ずつ配置され内径は前記雌ねじの谷底径より大き
    い鉄系形状記憶合金からなるリング状部材2個と、前記
    リング状部材の更に両側に1個ずつ配置され締結する鉄
    筋のねじとかん合する平行雌ねじを有するロックナット
    2個の合計5個の部材で構成され、かつ前記カプラーの
    外面両端部と前記リング状部材の内面側両端部ならびに
    前記ロックナットの外面でリング状部材に面する側の端
    部のそれぞれにはテーパー面が形成されており、鉄筋の
    締結に際しては、前記5個の構成部材は互いの前記テー
    パー面のみで互いが接触し合うようにしたことを特徴と
    する継手。
  2. 【請求項2】 2個のロックナットも鉄系形状記憶合金
    からなる請求項1による継手。
JP29862693A 1993-11-29 1993-11-29 継 手 Withdrawn JPH07150688A (ja)

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