JPH06272430A - 短尺鋼管の締結具およびそれを用いた継ぎ式鋼管柱 - Google Patents

短尺鋼管の締結具およびそれを用いた継ぎ式鋼管柱

Info

Publication number
JPH06272430A
JPH06272430A JP6427093A JP6427093A JPH06272430A JP H06272430 A JPH06272430 A JP H06272430A JP 6427093 A JP6427093 A JP 6427093A JP 6427093 A JP6427093 A JP 6427093A JP H06272430 A JPH06272430 A JP H06272430A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel pipe
short steel
shape memory
memory alloy
short
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP6427093A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadakatsu Maruyama
忠克 丸山
Hiroyuki Tanahashi
浩之 棚橋
Toshiji Kikuchi
利治 菊池
Akihiko Mio
尭彦 三尾
Hitoshi Arai
仁 新井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YOSHIMOTO PAUL KK
Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
Original Assignee
YOSHIMOTO PAUL KK
Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YOSHIMOTO PAUL KK, Awaji Sangyo KK, Nippon Steel Corp filed Critical YOSHIMOTO PAUL KK
Priority to JP6427093A priority Critical patent/JPH06272430A/ja
Publication of JPH06272430A publication Critical patent/JPH06272430A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 短尺鋼管を継いで一体の鋼管柱とするための
現場施工が容易な締結具を提供すること。 【構成】 加熱すると収縮するように記憶処理した形状
記憶合金を細長い形状に成形し、その一端を一方の短尺
鋼管の内面に固定、他端はその先端を、もう一方の短尺
鋼管内部に固定した突起部に係合させるようにした。係
合させた状態で形状記憶合金を加熱すると合金は収縮
し、2本の短尺鋼管は緊密に締結される。 【効果】 ボルト等のねじ要素が少なくとも鋼管柱の外
面には出ないので、景観性が良く、腐食の発生し難い鋼
管柱が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電柱、照明柱、標識
柱、信号柱、旗竿等の各種の支柱を、短尺鋼管を締結し
て一体に構成するための締結具、およびその締結具を用
いて一体に構成された継ぎ式鋼管柱に関する。
【0002】
【従来の技術】電柱、照明柱、標識柱、信号柱、旗竿等
の各種の支柱は、古くは木や竹等の天然素材が用いられ
たが、近年では鉄やアルミニウム系の金属柱とコンクリ
ート柱が主体となってきている。これを用途別に見る
と、電柱だけはコンクリート柱の比率が高いけれども、
電柱以外の各種支柱は金属柱が主体である。しかしコン
クリート柱が多く使用されている電柱といえども、重量
があって搬送や工事に困難の伴うコンクリート柱に代わ
って、鋼管柱等の金属柱を用いようとする動きは以前か
ら始まっており、近年その傾向は一層強くなっている。
【0003】一般に、金属柱はコンクリート柱に比べて
軽量で運搬や工事がしやすい上、見た目に圧迫感を与え
ないこと、交通事故等の不慮の衝撃によっても折れる心
配のないこと等が特徴とされている。金属柱の中でも鋼
管柱は最も普通に使用されている。鋼管柱は安価で十分
な強度が得られるのに加え、簡単な表面処理で高い耐食
性を付与することのできる点が、多量に使用される各種
支柱用素材として評価されている。
【0004】鋼管柱の利用は、前述のように、支柱用素
材としての鋼管の秀れた特性に依存することは間違いな
い。しかし同時に鋼管柱はコンクリート柱等とは異なっ
て、短い要素を継ぎ合わせて一体の長尺支柱とするよう
な、接合作業が比較的容易に行える点も、軽視できない
重要な特徴である。12メートルを超えるような大型の
支柱は、照明柱や標識柱や電柱等として実際に多くの要
求がある。これを初めから一体の長尺支柱として製作し
てしまうと、工場から施工現場までの搬送に大型トレー
ラーを使用する必要が生じて輸送コストが高くなるばか
りでなく、輸送経路の選択においても大きな制約を受け
る。また工事までの格納にも大きなスペースが必要とな
る。
【0005】したがって短尺に分割して輸送して、施工
現場で一体に継ぎ合わせて長尺支柱に組み立てられるよ
うな信頼性の高い継ぎ式の鋼管柱ができれば、支柱用途
としての鋼管柱の重要性は一層大きなものとなることが
期待できる。
【0006】そのようなことから、これまでにも継ぎ式
鋼管柱もしくは鋼管柱用継手ならびにその製造方法に関
しては多くの検討が行われてきた。例えば実公昭40−
030122号公報では、上部用鋼管と下部用鋼管のそ
れぞれの端部に、互いが差し込み可能なように形成され
た接合用のカラー状鋼管を溶接により接合し、次に両カ
ラー状接合部同士を差し込んで組み合わせてから、重な
り合ったカラー状の鋼管部分をボルト締めによって締結
するという鋼管継手を提示している。
【0007】また実公昭43−013069号公報もこ
れと似ているが、一方のカラー状鋼管に係合用突起を、
そして他方には前記突起が嵌合する長溝を形成して、両
者の噛み合わせも併用した照明用テーパーポールを提示
している。これらの方法はいずれもある程度の実績のあ
る方法ではあるが、ラップさせたカラー部分のボルト穴
の位置合わせ作業がやりにくいことと、さらにボルト部
分が錆発生の起点となる場合が少なくなく、寿命の点で
も完全なものとはいい難い。
【0008】一般に鋼管柱の欠点の1つが腐食の問題で
あることは良く知られた事実である。支柱本体部分は亜
鉛めっき等の表面処理によって耐食性を確保することが
できても、締結用のボルト部分等から発生する腐食の防
止はなかなか容易な問題ではない。締結に当たりこのよ
うな腐食起点の解消を狙って、これらの部分をゴム等の
キャップで覆うようにした組立ポールの連結装置(実開
昭55−035218号公報)も開示されている。しか
しこれも部品数が多くなり、作業が煩雑になる点で広く
採用されるには至っていない。
【0009】以上のいずれの場合でも、最終的な継ぎ手
段はボルトによるねじの締結力に頼るものである点は共
通している。ボルト等は腐食の起点になりやすいという
問題に加えて折損の虞もあり、厳しい自然環境に暴露さ
れ、しかも長い寿命を要求される構造物の締結手段とし
ては好ましいものとはいえない。締結後に現場で塗装等
の補強処理を行えれば、ある程度までは、ボルト部等の
腐食を抑制することができるだろう。
【0010】しかしながらそのような補修作業を前提と
しなければ成り立たない方式は、現場作業軽減の方向に
向かう近年の流れに逆行し広く受け入れられるものとは
なり得ない。このような点から、鋼管柱全体を、上部ほ
ど細いテーパー状として、下部の短尺鋼管の上に上部の
短尺鋼管を順次一部が重なり合うように積み上げていく
方法も考案されている。
【0011】ただしこの方法は重なり合った部分の摩擦
力でつながっているだけであるため、引き抜き力に対す
る強度が十分でない。非常の際に互いがバラバラに離れ
て予期せぬ傷害を周囲にもたらす心配がもたれている。
これを改善するためにボルト締結を組み合わせると(実
公昭44−016450号公報、実開昭48−0410
07号公報)、先のボルト締結方式の場合と同様の問題
が生じる。
【0012】以上のことから、現場での施工作業が容易
でしかも腐食に対しても安全な、信頼性の十分に高い鋼
管支柱類の締結用手段は、先行技術の中から見いだすこ
とはできないのが実状であった。
【0013】一方形状記憶合金には、ニッケル−チタン
系合金、銅系合金、鉄系合金等の種類があるが、いずれ
にしても、これらの合金はある基本形状に拘束した状態
で一定の温度に加熱する(形状記憶処理)ことによっ
て、基本形状を合金自体の内部に記憶させることができ
る。外部から力を与えてその基本形状を変更させてしま
っても、適当な温度に加熱する形状回復処理だけで、最
初に記憶させた基本形状を簡単に復元させることができ
るというものである。
【0014】このような形状記憶合金の代表的な用途の
1つに、配管用パイプの継手がある。これはまず、締結
しようとするパイプの外径より幾分小さめの内径を有す
る形状記憶合金製の円筒として製作される。次にこの円
筒の状態を基本形状として記憶させるための形状記憶処
理が行われる。この後で円筒の内径を締結しようとする
パイプが差し込める程度まで拡管する。
【0015】この拡管処理が行われた形状記憶合金製円
筒は、次にパイプが差し込まれた状態で形状回復に必要
な温度まで加熱されると、先に記憶させられた基本形状
である小さな内径の状態に向かって収縮を開始する。内
径を収縮させる過程において、内部に差し込まれている
パイプの外径とその内径は接触してなお収縮を続けよう
とするから、形状記憶合金製円筒は応力を発生させてパ
イプをしっかりと締結する継手としての機能を発現させ
るに至るわけである。
【0016】形状記憶合金が以上のような機能を有する
ことは以前から良く知られており、これを実際の配管用
継手として実用化する試みも非常に多くの方面で精力的
に続けられている。特公昭54−4898号公報、特開
昭54−148960号公報、特開昭59−93241
号公報等は、形状記憶合金製円筒の内側に突起を形成す
る等の工夫が加えられてはいるものの、基本的には形状
記憶合金製円筒の収縮力を利用する配管用継手の例とし
て提案されているものである。しかしながら各種支柱用
の鋼管柱を締結する手段として、このような形状記憶合
金の作用を利用しようという試みは、現在までまったく
行われていなかった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ボルト
等のねじ要素に頼る従来の締結法から完全に脱して、こ
れに代わる新しい締結要素を採用することが不可欠であ
るとの結論に達した。そしてその新しい締結要素として
は、形状記憶合金の利用が有効ではないかと考えた。
【0018】即ち施工作業が煩雑となり、かつ腐食起点
を与える心配のあるボルト等のねじ締結を用いずに、十
分な締結強度と耐食性を保証できる新しい締結要素とし
て形状記憶合金を採用することにより、景観性にも優れ
た継ぎ式鋼管柱を提供することが本発明の目的である。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、2本の短尺鋼
管を締結するための形状記憶合金製の締結具であって、
前記締結具の一端は、一方の短尺鋼管の内部に固定する
とともに、前記締結具の他端は、他方の短尺鋼管内部に
形成した突起部に嵌合することを特徴とする短尺鋼管の
締結具であるが、防錆処理されているものをも含み、さ
らになお、前記締結具によって一体に締結された継ぎ式
鋼管柱をも包含する。
【0020】本発明における締結具は、従来使用されて
いるボルト等のねじ要素が鋼管外部にむき出しになるよ
うな状態では一切使用せず、形状記憶合金という新しい
素材が形状回復時に発生する応力を締結主体として利用
する。以下、図1〜図3に示す具体例に従って本発明を
説明する。図において1と2は締結しようとする短尺鋼
管である。短尺鋼管1の下側端部付近の内面には、ここ
では板状の形状記憶合金の一端を固定するための2組の
止め具11,11′と12,12′が取り付けられてい
る。
【0021】図1のBはその様子を示すが、止め具の個
数は2組に限定する必要はなく、締結する鋼管の大きさ
によっては、内周上にできるだけ均等な間隔を持って数
を増やすこともできる。一方の短尺鋼管2の上側内面に
は2個の係合用の突起21および22が形成されてい
る。
【0022】図2の3は板状に加工された形状記憶合金
であり、一端は止め具11,11′または12,12′
にはめ込みができるように、また他端側は鈎状に、それ
ぞれ加工されている。これらは板に限定されるものでは
なく、棒状の本体に固定部と鈎部とを結合させたもので
あっても差し支えない。この形状記憶合金は、前記形状
へ作るための加工が終わった段階でその形状を記憶させ
るための熱処理が行われ、さらにその後で長さ方向に一
定の引張り加工が付加されている。
【0023】このため、この形状記憶合金を次に一定の
温度まで加熱すると、最後の引張り加工が加えられる前
の短かかった形状へと収縮する機能を持っている。図2
では2本の板状形状記憶合金31および32が、図に示
すように短尺鋼管1内面の止め具にそれぞれ差し込んで
固定されている。
【0024】次に図3のように、2本の短尺鋼管の互い
の端面が接するように近付けると、板状形状記憶合金の
鈎部は短尺鋼管2内部の係合用突起21,22の近くの
待機位置にセットされる。
【0025】この図2から図3への移行には、形状記憶
合金の鈎部が固定用突起に当りながらこれを乗り越えて
待機位置に達することが必要である。このような動作
は、形状記憶合金自身のばね作用を利用することによっ
て実現可能となる。この状態で図には示さない加熱装置
によって形状記憶合金を熱することによって、形状記憶
合金は長さ方向に収縮して図Eに示すように2本の短尺
鋼管が緊密に締結されるに至る。
【0026】板状の形状記憶合金を一方の鋼管の内部に
固定する方法は、先の図1〜図3の例では止め具を使用
したが、形状記憶合金を直接、短尺鋼管内面に溶接する
のも1つの方法である。形状記憶合金の種類によっては
鋼管との溶接が困難な場合もあるので、図1〜図3のよ
うにして、短尺鋼管と類似の鋼材を止め具として鋼管内
部に溶接した上で、板または棒状の形状記憶合金は前記
鋼材にはめ込み式に固定するのが一般的である。
【0027】あるいは図6のように、短尺鋼管の内面に
雌ねじを形成するとともに、形状記憶合金はこの雌ねじ
に嵌合する雄ねじ部を有する円筒状とし、先端を鈎状と
した2本以上の板ばね状の部分は前記円筒部と一体にし
て製作することも可能である。
【0028】また、鋼管の端部切断面は鋼管の長手方向
に対して垂直の切り口であっても良いが、図4に示すよ
うに、一方の鋼管の端面は凸、他方の鋼管の端面は凹と
なるように斜めの切断面を持たせることにより、両者を
突き合わせた際に端部がかみ合うようにするか、または
図5のように、短尺鋼管端部の一定長さ部分を一方は拡
管、他方は縮管して、両者が差し込み状態で締結される
ようにするのは一層好ましい。
【0029】本発明において使用する形状記憶合金とし
ては、一方向性の各種合金が使用できる。コスト的にも
安くてかつ加工や溶接の容易な合金が使いやすい。この
ような条件を満足する形状記憶合金としては、Fe−M
n−Si系等の鉄を主要成分とする形状記憶合金が最も
適当である。また短尺鋼管を継ぎ合わせるために施工現
場において形状記憶合金部分を加熱する方法としては、
締結する鋼管の一端が開放された状態であれば、電気式
ヒーターを使用することができる。
【0030】しかし完全に密閉状態となる場合の鋼管内
部にある形状記憶合金を加熱する場合は、電線を外部に
引き出すことができないので、鋼管の外部にコイルを巻
いて高周波誘導加熱法で加熱するか、または金属粉末を
利用した発熱体を時限装置で着火させて加熱するのが適
当である。
【0031】また締結具および短尺鋼管の防錆処理とし
ては亜鉛めっきが最も普通である。短尺鋼管側の防錆処
理は内面への突起等の接合が終わった段階で問題なく実
行できるが、形状記憶合金側に対しては注意が必要であ
る。即ちめっき作業中に一定以上の熱が加わると、その
熱によって形状回復動作が引き起こされてしまう心配が
ある。
【0032】耐熱塗料の塗布乾燥の場合も発熱または加
熱工程が伴う場合は同様であるが、形状記憶合金に対し
ては、形状記憶処理が終わった段階で、めっきもしくは
塗料の塗布乾燥を完了させ、しかる後に形状記憶合金を
長さ方向に引張り変形させて締結具として使用するよう
にすれば良い。
【0033】
【作用】締結する2本の内一方の短尺鋼管の内部に固定
した板または棒状の形状記憶合金の先端部の鈎を、他方
の短尺鋼管内部の突起にばね作用を利用して待機状態に
セットした後、形状記憶合金を加熱して収縮させること
によって、2本の短尺鋼管を緊密に締結する。また2本
以上の複数の短尺鋼管を締結することによって、一体の
継ぎ式鋼管柱が得られる。
【0034】
【実施例】
実施例1 外径216.3mm、肉厚7.0mm、長さ5mの2本のS
TK540製短尺鋼管を締結する試験を行った。鋼管端
面は図2に示すようにテーパーを付けた状態に仕上げを
行ったが、テーパー角度は45度とした。一方の短尺鋼
管内面には円周上に120度間隔で3組の止め具を溶接
によって固定した。止め具はSTK540と同一成分の
鋼材で製作し、高さ30mm、厚さ30mm、幅50mmとし
た。
【0035】また他方の短尺鋼管には、止め具と同一素
材で同じく高さ30mm、厚さ30mm、幅50mmの係合用
の突起を3個、溶接によって固定した。この突起の先端
には、形状記憶合金の鈎部と係合させるための幅10m
m、長さ5mmのフックを形成した。止め具の中心と係合
用突起との間隔は、2本の短尺鋼管の端面を突き合わせ
た状態で400mmとなるようにした。
【0036】一方、28%Mn−6%Si−5%Crを
主成分とする鉄基形状記憶合金によって板状の部品を製
作した。止め具に固定する部分と中間の板状の部分、お
よび突起に係合させる鈎状部分、の3つに分けて製作し
た後、溶接して一体とした。板ばね状部分の厚さは5m
m、幅は50mmである。これらを3組製作し、溶接後に
650℃に加熱して溶接部のひずみ除去を兼ねた形状記
憶処理を行った。次に中間の板状分部に対して6%の引
張り変形を行った。
【0037】形状記憶合金の板状部分には、それぞれに
バンドヒーターを巻き付け、そのまま一方の短尺鋼管内
面の止め具に固定した。次に形状記憶合金を固定した短
尺鋼管を、もう一方の短尺鋼管と端面同士を接触させ
た。この時、形状記憶合金の先端の鈎部は、他方の短尺
鋼管内部の係合用突起を乗り越えて待機位置に達してい
た。この状態でバンドヒーターに通電して、形状記憶合
金が約300℃に達するように加熱を行った。加熱によ
って形状記憶合金は収縮し、鈎部は突起と係合して2本
の短尺鋼管は緊密に締結された。
【0038】実施例2 外径216.3mm、肉厚7.0mm、長さ5mの2本のS
TK540製短尺鋼管を締結する試験を行った。一方の
短尺鋼管は端部約200mm部分を図3に示すようにテー
パー状に拡管して、最端部の内径を216.0mmとし
た。もう一方の鋼管はこれに差し込むことができるよう
に、同じ角度で端部をテーパー状に縮管して、端部の外
径を202.3mmとした。
【0039】実施例1で使用したのと同一組成で、直径
10mm、長さ400mmの棒状の形状記憶合金を3本用意
し、600℃で形状記憶処理を行った後に両端部約30
cmの部分に雄ねじを加工し、しかる後にこのねじを利用
して両端を掴み、長さ方向に約6.5%の引張り加工を
加えた。
【0040】先に端部を拡管した方の短尺鋼管には、端
部から300mm入った内面側円周上に均等に、厚み20
mmの止め具を3個溶接した。この止め具には内径10.
5mmの貫通孔が設けてあり、前記の形状記憶合金製の丸
棒を1本ずつ、この貫通孔に通してナットで締め付けて
固定した。形状記憶合金製丸棒の他の端部には、同じよ
うにナットを用いて、鈎状の部品を固定した。
【0041】一方、先に端部を縮管加工した方の短尺鋼
管には、端部から300mmの位置に、前記の棒状の形状
記憶合金の先端に取り付けた鈎と係合させるための突起
を、内面円周上に3個溶接した。棒状形状記憶合金の部
分にはバンドヒーターを巻き付けて、外部の電源から電
気を供給できるようにした。
【0042】次に両短尺鋼管の端部を差し込み式に嵌合
させた。この嵌合に当っては、形状記憶合金の棒がしな
って弾性的に変形することによって、先端の鈎部が短尺
鋼管内面の突起を乗り越えて待機位置に到達した。バン
ドヒーターを加熱して形状記憶合金を300℃まで加熱
することにより、3箇所の形状記憶合金製丸棒がいっせ
いに収縮し、2本の短尺鋼管はしっかりと締結された。
【0043】実施例3 電柱や照明柱として使用可能な3本継ぎ式の鋼管柱を製
作した。鋼管柱の外径は114.3mm、肉厚は4.5mm
である。3本の短尺鋼管はいずれもテーパーのない直管
のSTK540、継ぎ合わせた後の鋼管柱全長は10m
のものである。短尺鋼管の相互に突合せ状態となる端部
は切断面が45度の角度で凸と凹の差し込み関係となる
ようにした。また最上部の短尺鋼管の上端は円盤を溶接
して封鎖した。
【0044】3本の短尺鋼管の内の上部2本分の短尺鋼
管には、端部から170mmの位置で円周方向3箇所に、
32%Mn−6%Siを含む鉄系の形状記憶合金で直径
6mm、長さ340mm、一端の長さ25mmの部分に雄ねじ
が加工された丸棒を、雄ねじのない側を直接鋼管本体の
内面に溶接して取り付けた。また形状記憶合金の雄ねじ
部分は、鈎状の部品をナットを使用して固定した。この
2本の短尺鋼管は、次に650℃に加熱して溶接部のひ
ずみ取りと形状記憶処理を兼ねた加熱を行った。
【0045】また下2本分の短尺鋼管には、端部から1
70mmの位置で円周上3箇所に、形状記憶合金の先端に
取り付けた鈎に係合させるための突起を溶接して取り付
けた。このような準備の後に、3本の短尺鋼管は電気亜
鉛めっきとクロメート処理をして、すべての表面を防錆
処理した。最後に合計6本の形状記憶合金に対して、そ
れぞれ6.5%ずつの引張り変形を行った。
【0046】最下部用の1本の短尺鋼管をまず地中に2
mだけ埋めて直立させた。次に中間部用の短尺鋼管に取
り付けられている形状記憶合金製の3本の棒の各々にバ
ンドヒーターを巻き付けて、地面に直立した最下部の短
尺鋼管の上部から接近させ、3本の形状記憶合金の先端
の鈎部が、それぞれ下側の短尺鋼管内面の突起に対する
待機位置にセットされるように両短尺鋼管の端面同士を
密着させた。バンドヒーターによって形状記憶合金を加
熱して、まず下2本分の短尺鋼管を締結した。次に最上
部用の短尺鋼管を継ぎ足すことになるが、この最上部用
短尺鋼管は上部が封鎖されているために、これに取り付
けられている形状記憶合金を、外部に置いた電源部から
電線でつないだバンドヒーター等を利用して加熱するこ
とはできない。そこで、金属粉末のテルミット反応熱を
利用して加熱することとし、その着火は、タイマーと電
池を使用した時限装置によって行うようにした。
【0047】即ち、3本の形状記憶合金製丸棒の表面
に、まず成形した金属粉末発熱体を取り付けた。発熱体
の重量は、予備試験によって形状記憶合金が300℃前
後に加熱される量を確認して1本当り20gとした。発
熱体の一部にニクロム線のヒーターを接触させ、このヒ
ーターには、タイマーがセットされてから5分後に、電
池からの電流が流されるようにした。
【0048】このような仕掛を施した後に、最上部用の
短尺鋼管は中間用の短尺鋼管の上に継ぎ足しされた。両
短尺鋼管の端面同士が密着する直前にタイマーを起動し
た。5分間の後に金属粉末発熱体が着火し、形状記憶合
金は収縮して最上部の短尺鋼管を締結した。
【0049】継ぎ式鋼管柱としては内部に雨水等が入ら
ないように、外部に対して開口した隙間を作らずに締結
することが求められるが、本発明は鋼管内部に締結用の
仕掛をセットするにもかかわらず、密封状態で締結する
ことが可能であることが証明できた。なお、本実施例の
継ぎ式鋼管柱は、締結後に最上部に155kgf のトラン
スを固定・保持した状態で、電柱として使用することが
可能であった。
【0050】
【発明の効果】本発明による短尺鋼管の焼結具は、短尺
鋼管の内部に固定した形状記憶合金の収縮作用によって
鋼管を締結する作業が容易であり、しかも鋼管外部には
余分な部品が付属することがないので景観性にも優れた
締結ができる。またこれを利用した継ぎ式鋼管柱は、施
工現場において短尺鋼管を組み合わせた後に、形状記憶
合金部分を一定の温度に加熱するだけで鋼管柱として一
体化することができる。工場からの出荷時には亜鉛めっ
き等の表面処理が行われた短尺鋼管の形で搬送できるか
ら輸送が容易な上、施工現場では1本ずつ縦に締結する
ことも可能で、狭いスペースの現場でも能率的に作業を
行うことができる。
【0051】従来法で見られたようなボルト類が少なく
とも外部には一切使用されない構造であるから見かけも
スッキリして景観を損なうことがなく、またボルトの周
辺からの水分の侵入が原因で発生しがちな錆の心配もな
い。また一体の鋼管柱を構成する短尺鋼管は、外径や肉
厚が異なるものであっても締結が可能であるから、強度
の要求される下部には厚肉もしくは大径の短尺鋼管を、
上部には薄肉もしくは小径の短尺鋼管を使用すること等
によって、はじめから一体物として製作される鋼管柱に
比べて軽量で安定性の優れた鋼管柱とすることも可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A),(B)は本発明による締結具の代表的
な使用工程の説明図である。
【図2】本発明による締結具の代表的な使用工程の他の
説明図である。
【図3】(A),(B)は本発明による締結具の代表的
な使用工程の他の説明図である。
【図4】締結する短尺鋼管の端面の処理方法の他の例の
説明図である。
【図5】締結する短尺鋼管の断面の処理方法の他の例の
説明図である。
【図6】(a),(b)は本発明の締結具の別の具体例
の説明図である。
【符号の説明】
1,2 短尺鋼管 3 本発明による締結具 11,11′ 形状記憶合金製の締結具を固定するため
の止め具 21,22 突起
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 棚橋 浩之 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内 (72)発明者 菊池 利治 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内 (72)発明者 三尾 尭彦 東京都世田谷区奥沢8−6−2 (72)発明者 新井 仁 埼玉県朝霞市三原2−19−60 セントジョ ンズ・ハウス志木205号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2本の短尺鋼管を締結するための形状記
    憶合金製の締結具であって、前記締結具の一端は、一方
    の短尺鋼管の内部に固定するとともに、前記締結具の他
    端は、他方の短尺鋼管内部に形成した突起部に嵌合する
    ことを特徴とする短尺鋼管の締結具。
  2. 【請求項2】 防錆処理されている請求項1記載の短尺
    鋼管の締結具。
  3. 【請求項3】 請求項1もしくは2記載の締結具によっ
    て一体に締結されていることを特徴とする継ぎ式鋼管
    柱。
JP6427093A 1993-03-23 1993-03-23 短尺鋼管の締結具およびそれを用いた継ぎ式鋼管柱 Withdrawn JPH06272430A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6427093A JPH06272430A (ja) 1993-03-23 1993-03-23 短尺鋼管の締結具およびそれを用いた継ぎ式鋼管柱

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6427093A JPH06272430A (ja) 1993-03-23 1993-03-23 短尺鋼管の締結具およびそれを用いた継ぎ式鋼管柱

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH06272430A true JPH06272430A (ja) 1994-09-27

Family

ID=13253355

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6427093A Withdrawn JPH06272430A (ja) 1993-03-23 1993-03-23 短尺鋼管の締結具およびそれを用いた継ぎ式鋼管柱

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH06272430A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100720649B1 (ko) * 2006-10-10 2007-05-23 에이컴조명 주식회사 가로등 등주의 연결구조
JP2013167082A (ja) * 2012-02-15 2013-08-29 Giken Seisakusho Co Ltd 杭継手、鋼製部品用継手、杭の接合方法、及び鋼製部品の接合方法
CN110984665A (zh) * 2019-11-09 2020-04-10 宿州市众力保温节能材料股份有限公司 一种薄壁离心钢管混凝土电线杆
CN111188523A (zh) * 2020-01-03 2020-05-22 曾瑞堂 一种基于限位转动连接的组装式电力用电线杆

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100720649B1 (ko) * 2006-10-10 2007-05-23 에이컴조명 주식회사 가로등 등주의 연결구조
JP2013167082A (ja) * 2012-02-15 2013-08-29 Giken Seisakusho Co Ltd 杭継手、鋼製部品用継手、杭の接合方法、及び鋼製部品の接合方法
CN110984665A (zh) * 2019-11-09 2020-04-10 宿州市众力保温节能材料股份有限公司 一种薄壁离心钢管混凝土电线杆
CN111188523A (zh) * 2020-01-03 2020-05-22 曾瑞堂 一种基于限位转动连接的组装式电力用电线杆

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6654995B1 (en) Method for joining tubular members
US4467583A (en) Reinforcement basket for reinforced-concrete column
US3972639A (en) Pipe coupling
US7658419B2 (en) Fitting and method for manufacturing a fitting
JPH06272430A (ja) 短尺鋼管の締結具およびそれを用いた継ぎ式鋼管柱
US2854744A (en) Method of locking and sealing tubular structures
JPH0913743A (ja) 継手および継ぎ式鋼管柱
JPH06257324A (ja) 継ぎ式金属管柱及びそれに用いる短尺管
JPH06280834A (ja) 締結具およびそれを用いる締結方法
JPH06257325A (ja) 継ぎ式鋼管柱及びそれに用いる短尺鋼管
JPH06257327A (ja) 継ぎ式鋼管柱
JPH06257326A (ja) 締結具及びそれを用いる継ぎ式鋼管柱
JP2732025B2 (ja) 形状記憶合金部材による鉄筋の継手構造
JPH07133649A (ja) 鉄筋用継手
JPH07127188A (ja) 鉄筋の締結方法および鉄系形状記憶合金製継手
JPS6132024Y2 (ja)
JP3319508B2 (ja) 耐震用管継手端部の防食構造と成形方法および成形装置
WO1987001428A1 (en) Method for connecting together lengths of pipe in addition to join and lengths of pipe manufactured with said method
JPH07127141A (ja) 鋼管部材の接合方法
CN214467078U (zh) 抗腐蚀焊接钢管
US1568233A (en) Reenforcement for concrete pipes
CN112392146B (zh) 一种铸钢节点的连接构造及其连接方法
JPH07217076A (ja) 棒鋼およびその締結方法
KR200223729Y1 (ko) 삽입식 이형철근용 이음장치
WO2000075489A1 (en) Tube-formed rock bolt

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20000530