JPH06280834A - 締結具およびそれを用いる締結方法 - Google Patents

締結具およびそれを用いる締結方法

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JPH06280834A
JPH06280834A JP6426993A JP6426993A JPH06280834A JP H06280834 A JPH06280834 A JP H06280834A JP 6426993 A JP6426993 A JP 6426993A JP 6426993 A JP6426993 A JP 6426993A JP H06280834 A JPH06280834 A JP H06280834A
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short steel
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diameter
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JP6426993A
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Tadakatsu Maruyama
忠克 丸山
Hiroyuki Tanahashi
浩之 棚橋
Toshiji Kikuchi
利治 菊池
Akihiko Mio
尭彦 三尾
Hitoshi Arai
仁 新井
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YOSHIMOTO PAUL KK
Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
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YOSHIMOTO PAUL KK
Awaji Sangyo KK
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼管を締結するための、施工が容易で外部に
締結部材が出ることのない締結具および締結方法を提供
すること。 【構成】 締結具は、加熱されると拡径する方向に記憶
処理された形状記憶合金製の円筒で、締結する一方の鋼
管の端部を縮径するとともに端部からスリットを加工し
た内側に差し込んで使用する。締結する相手の鋼管の端
部に前記の縮径部を締結具ごと差し込んでから締結具を
加熱することにより、締結具が拡がって2本の鋼管が接
続されるようにした。 【効果】 施工作業が容易で、しかも締結具が表面に露
出しないので腐食が発生しにくい。また完全に外部から
遮断された閉所作業に対しても適用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電柱、照明柱、標識
柱、信号柱、旗竿等の各種の支柱を、短尺鋼管を締結し
て一体に構成するための締結具、およびその締結具を用
いて一体に構成するための締結方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電柱、照明柱、標識柱、信号柱、旗竿等
の各種の支柱は、古くは木や竹等の天然素材が用いられ
たが、近年では鉄やアルミニウム系の金属柱とコンクリ
ート柱が主体となってきている。これを用途別に見る
と、電柱だけはコンクリート柱の比率が高いけれども、
電柱以外の各種支柱は金属柱が主体である。しかしコン
クリート柱が多く使用されている電柱といえども、重量
があって搬送や工事に困難の伴うコンクリート柱に代わ
って、鋼管柱等の金属柱を用いようとする動きが以前か
ら始まっており、近年その傾向は一層強くなっている。
【0003】一般に、金属柱はコンクリート柱に比べて
軽量で運搬や工事がしやすい上、見た目に圧迫感を与え
ないこと、交通事故等の不慮の衝撃によっても折れる心
配のないこと等が特徴とされている。金属柱の中でも鋼
管柱は最も普通に使用されている。鋼管柱は安価で十分
な強度が得られるのに加え、簡単な表面処理で高い耐食
性を付与することのできる点が、多量に使用される各種
支柱用素材として評価されている。
【0004】鋼管柱の利用は、前述のように、支柱用素
材としての鋼管の秀れた特性に依存することは間違いな
い。しかし同時に鋼管柱はコンクリート柱等とは異なっ
て、短い要素を継ぎ合わせて一体の長尺支柱とするよう
な、接合作業が比較的容易に行える点も、軽視できない
重要な特徴である。12メートルを超えるような大型の
支柱は、照明柱や標識柱や電柱等として実際に多くの要
求がある。
【0005】これを初めから一体の長尺支柱として製作
してしまうと、工場から施工現場までの搬送に大型トレ
ーラーを使用する必要が生じて輸送コストが高くなるば
かりでなく、輸送経路の選択においても大きな制約を受
ける。また工事までの格納にも大きなスペースが必要と
なる。
【0006】したがって短尺に分割して輸送して、施工
現場で一体に継ぎ合わせて長尺支柱に組み立てられるよ
うな信頼性の高い継ぎ式の鋼管柱ができれば、支柱用途
としての鋼管柱の重要性は一層大きなものとなることが
期待できる。
【0007】そのようなことから、これまでにも継ぎ式
鋼管柱もしくは鋼管柱用継手ならびにその製造方法に関
しては多くの検討が行われてきた。例えば実公昭40−
030122号公報では、上部用鋼管と下部用鋼管のそ
れぞれの端部に、互いが差し込み可能なように形成され
た接合用のカラー状鋼管を溶接により接合し、次に両カ
ラー状接合部同士を差し込んで組み合わせてから、重な
り合ったカラー状の鋼管部分をボルト締めによって締結
するという鋼管継手を提示している。
【0008】また実公昭43−013069号公報もこ
れと似ているが、一方のカラー状鋼管に係合用突起を、
そして他方には前記突起が嵌合する長溝を形成して、両
者の噛み合わせも併用した照明用テーパーポールを提示
している。これらの方法はいずれもある程度の実績のあ
る方法ではあるが、ラップさせたカラー部分のボルト穴
の位置合わせ作業がやりにくいことと、さらにボルト部
分が錆発生の起点となる場合が少なくなく、寿命の点で
も完全なものとはいい難い。
【0009】一般に鋼管柱の欠点の1つが腐食の問題で
あることは良く知られた事実である。支柱本体部分は亜
鉛めっき等の表面処理によって耐食性を確保することが
できても、締結用のボルト部分等から発生する腐食の防
止はなかなか容易な問題ではない。締結に当たりこのよ
うな腐食起点の解消を狙って、これらの部分をゴム等の
キャップで覆うようにした組立ポールの連結装置(実開
昭55−035218号公報)も開示されている。しか
しこれも部品数が多くなり、作業が煩雑になる点で広く
採用されるには至っていない。
【0010】以上のいずれの場合でも、最終的な継ぎ手
段はボルトによるねじの締結力に頼るものである点は共
通している。ボルト等は腐食の起点になりやすいという
問題に加えて折損の虞もあり、厳しい自然環境に暴露さ
れ、しかも長い寿命を要求される構造物の締結手段とし
ては好ましいものとはいえない。締結後に現場で塗装等
の補強処理を行えれば、ある程度までは、ボルト部等の
腐食を抑制することができるだろう。しかしながらその
ような補修作業を前提としなければ成り立たない方式
は、現場作業軽減の方向に向かう近年の流れに逆行し広
く受け入れられるものとはなり得ない。
【0011】このような点から、鋼管柱全体を、上部ほ
ど細いテーパー状として、下部の短尺鋼管の上に上部の
短尺鋼管を順次一部が重なり合うように積み上げていく
方法も考案されている。ただしこの方法は重なり合った
部分の摩擦力でつながっているだけであるため、引き抜
き力に対する強度が十分でない。非常の際に互いがバラ
バラに離れて予期せぬ傷害を周囲にもたらす心配がもた
れている。これを改善するためにボルト締結を組み合わ
せると(実公昭44−016450号公報、実開昭48
−041007号公報)、先のボルト締結方式の場合と
同様の問題が生じる。
【0012】以上のことから、現場での施工作業が容易
でしかも腐食に対しても安全な、信頼性の十分に高い鋼
管支柱類の締結用手段は、先行技術の中から見いだすこ
とはできないのが実状であった。
【0013】一方形状記憶合金には、ニッケル−チタン
系合金、銅系合金、鉄系合金等の種類があるが、いずれ
にしても、これらの合金はある基本形状に拘束した状態
で一定の温度に加熱する(形状記憶処理)ことによっ
て、基本形状を合金自体の内部に記憶させることができ
る。外部から力を与えてその基本形状を変更させてしま
っても、適当な温度に加熱する形状回復処理だけで、最
初に記憶させた基本形状を簡単に復元させることができ
るというものである。
【0014】このような形状記憶合金の代表的な用途の
1つに、配管用パイプの継手がある。これはまず、締結
しようとするパイプの外径より幾分小さめの内径を有す
る形状記憶合金製の円筒として製作される。次にこの円
筒の状態を基本形状として記憶させるための形状記憶処
理が行われる。この後で円筒の内径を締結しようとする
パイプが差し込める程度まで拡管する。
【0015】この拡管処理が行われた形状記憶合金製円
筒は、次にパイプが差し込まれた状態で形状回復に必要
な温度まで加熱されると、先に記憶させられた基本形状
である小さな内径の状態に向かって収縮を開始する。内
径を収縮させる過程において、内部に差し込まれている
パイプの外径とその内径は接触してなお収縮を続けよう
とするから、形状記憶合金製円筒は応力を発生させてパ
イプをしっかりと締結する継手としての機能を発現させ
るに至るわけである。
【0016】形状記憶合金が以上のような機能を有する
ことは以前から良く知られており、これを実際の配管用
継手として実用化する試みも非常に多くの方面で精力的
に続けられている。特公昭54−4898号公報、特開
昭54−148960号公報、特開昭59−93241
号公報等は、形状記憶合金製円筒の内側に突起を形成す
る等の工夫が加えられてはいるものの、基本的には形状
記憶合金製円筒の収縮力を利用する配管用継手の例とし
て提案されているものである。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ボルト
等のねじ要素に頼る従来の締結法から完全に脱して、こ
れに代わる新しい締結要素を採用することが不可欠であ
るとの結論に達した。そしてその新しい締結要素として
は、形状記憶合金の利用が有効ではないかと考えた。
【0018】即ち施工作業が煩雑となり、かつ腐食起点
を与える心配のあるボルト等のねじ締結を用いずに、十
分な締結強度と耐食性を保証できる新しい締結要素とし
て形状記憶合金を採用することにより、景観性にも優れ
た継ぎ式鋼管柱を提供することが本発明の目的である。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、2本の短尺鋼
管を締結するための形状記憶合金製の締結具であって、
前記締結具は鍔状部分のある円筒形状を有し、形状回復
温度に加熱された時に拡径する方向に形状記憶処理され
ていることを特徴とする短尺鋼管の締結具である。
【0020】さらに本発明は締結する一方の短尺鋼管の
端部の一定長さLの部分を他方の短尺鋼管の内側に差し
込み可能にするとともに、前記の端部長さLの内、最端
部から前記長さLを超えない一定の長さ部分に複数本の
スリットを形成しておき、前記締結具を前記スリット部
の内側に嵌合させた後他方の短尺鋼管の端部に差し込
み、しかる後に形状記憶合金部分を加熱して締結具を拡
径させることによって2本の短尺鋼管を締結することを
特徴とする締結方法であるが、前記締結具には金属粉末
発熱体を密着させたもの、および形状記憶合金部分に防
錆処理がされているものを包含する。
【0021】本発明における締結具は、従来使用されて
いるボルト等のねじ要素が鋼管外部にむき出しになるよ
うな形では使用せず、形状記憶合金という新しい素材が
形状回復時に発生する応力を締結主体として利用する。
以下、図1に示す具体例に従って本発明を説明する。
【0022】図において1は本発明による形状記憶合金
製の締結具の代表的な一例を示す。11は締結力を発生
させる本体部分、12は鍔状部分である。図では11と
12は一体のものとして製作されているが、形状記憶合
金を使用する必要があるのは本体である11の部分だけ
で良く、鍔状部分の12は形状記憶合金とは異なる素材
で別に作った上、後で一体に取り付けても良い。
【0023】鍔状部分は後に説明するように、短尺鋼管
を縦に締結する用途に使用する際に、締結具が鋼管内部
に落下するのを防止する役割を担うものである。図1で
は鍔が本体と一体で全周についた形となっているが、最
低限、円周方向の対向する2箇所に溶接もしくは機械的
な方法で取り付けられていれば良い。
【0024】締結具1は形状記憶合金を円筒状に成形
し、形状記憶処理後に縮径加工を行うことによって、加
熱されると外径が広がる方向への記憶を付与されてい
る。加熱はバンドヒーターや高周波誘導加熱を利用する
ことも可能であるが、図2に示したように、形状記憶合
金製の締結具の内側に金属粉末発熱体が接触するように
一体に構成しておくことも可能である。
【0025】また締結具に対する防錆処理が必要となる
用途には、形状記憶合金の動作温度以下で塗布乾燥でき
る種類の塗装やめっきを利用するか、あるいは動作温度
以上の高温度を必要とする防錆処理を行う場合には、形
状記憶処理が完了して縮径加工を行う前の段階で予め行
っておくことが必要である。
【0026】次に本発明による締結具を用いた短尺鋼管
の締結方法を、図3によって説明する。3と4は締結す
る2本の短尺鋼管である。一方の短尺鋼管4の端部41
には縮径加工とともに、その縮径部分の一部にスリット
が加工されている。形状記憶合金製の締結具1が、図3
(ロ)に示すように前記スリット加工部41に装着され
る。
【0027】締結具1の鍔状部分12は、短尺鋼管4を
立てたままで締結作業を行っても、鋼管内部に落ち込ん
でしまうのを防止する役割を担っている。次に図4
(ハ)に示すように、短尺鋼管4の縮径部に他の短尺鋼
管3を差し込む。
【0028】この状態で図示しない加熱手段によって形
状記憶合金製締結具を加熱すると、締結具は拡径して、
短尺鋼管4のスリット部を、内側から短尺鋼管3の内面
に強く押し付けるように作用する。
【0029】本発明は電柱等の構造物となる支柱を継ぎ
方式で作れるようにすることを想定してなされたもので
あるから、十分な強度を持った短尺鋼管の締結を前提と
している。そのため、もし短尺鋼管4にスリットがない
と、締結具の拡径力は内側に入っている短尺鋼管4の縮
径部に力を及ぼすだけで、そのさらに外側にある短尺鋼
管3の内面にまで力を作用させることができない。
【0030】スリットがあることによって内側の短尺鋼
管端部の変形が容易になり、拡径しようとする締結具1
と外側の短尺鋼管3の内面との間で短尺鋼管4の縮径部
41が押圧されて締結が行われる。さらに、外側の短尺
鋼管3の端部内面に、相手側の短尺鋼管4の縮径部に加
工されたスリットに対応する条痕を予め加工しておけ
ば、締結は一層強くなり、とくに捻りに対する強度の高
い締結が実現される。
【0031】本発明において使用する形状記憶合金とし
ては、一方向性の各種合金が使用できる。コスト的にも
安くてかつ加工や溶接の容易な合金が使いやすい。この
ような条件を満足する形状記憶合金としては、Fe−M
n−Si系等の鉄を主要成分とする形状記憶合金が最も
適当である。また短尺鋼管を継ぎ合わせるために施工現
場において形状記憶合金部分を加熱する方法としては、
締結する鋼管の一端が開放された状態であれば、電気式
ヒーターを使用することができる。
【0032】しかし完全に密閉状態となる場合の鋼管内
部にある形状記憶合金を加熱する場合は、電線を外部に
引き出すことができないので、鋼管の外部にコイルを巻
いて高周波誘導加熱法で加熱するか、または金属粉末を
利用した発熱体を時限装置で着火させて加熱するのが適
当である。
【0033】なお本発明による形状記憶合金製の締結具
は、締結する短尺鋼管の内部に完全に隠れた状態で使用
されるのが大きな特徴である。しかしそのために、加熱
が行われて締結が完了したかどうかが外からは判断しに
くいという心配がある。この点については、締結具がセ
ットされている短尺鋼管の外側部分に、感温テープを貼
り付けて、加熱が行われたかどうかをテープの色の変化
で確認すれば良い。
【0034】
【作用】形状記憶合金製で円筒状の締結具は、規定温度
に加熱された際に拡径するように形状記憶処理がなされ
ている。この締結具は、締結しようとする一方の短尺鋼
管の端部を縮径した後さらにスリット加工された内側に
セットされたまま、他方の短尺鋼管の内部に差し込まれ
る。この状態で締結具が加熱されることによって拡径
し、両短尺鋼管は緊密に締結される。
【0035】
【実施例】
実施例1 外径114.3mm、肉厚4.5mm、長さ5mの2本のS
TK540製短尺鋼管を締結する試験を行った。一方の
短尺鋼管の端部200mmを外径105.0mmに縮径した
後、端部から170mmまでを放電加工によって8カ所に
幅1mmのスリットを加工した。
【0036】28%Mn−6%Si−5%Crを主要成
分とする鉄基の形状記憶合金を使って、本体部分の外径
95.5mm、肉厚6.0mm、鍔状部分の外径97.5m
m、長さ150mmの締結具を製作した。この締結具は板
厚8mmの形状記憶合金板を円筒状に成形した後突き合わ
せ部分を溶接し、600℃での形状記憶処理と7%の縮
径加工を行ったものである。縮径加工は、金型の中に形
状記憶合金製の円筒を押し込む方法によって行った。鍔
状部分は、ここまでの加工の後で本体部の外面を1mm研
削することによって形成した。
【0037】この締結具は、前記の縮径加工が行われた
短尺鋼管の端部に差し込んで、さらに締結具の内側には
バンドヒーターを取り付けた。そのままの状態で、縮径
部を他方の短尺鋼管の端部に挿入し、次にバンドヒータ
ーに通電して300℃までの加熱を行った。加熱によっ
て締結具は拡径し、2本の短尺鋼管は一体に締結され
た。
【0038】実施例2 実施例1で使用したのと同じように端部の加工を行った
STK540製の短尺鋼管を用いて締結試験を行った。
形状記憶合金製締結具は、32%Mn−6%Siを主成
分とする鉄基の合金で、板厚6mmの素材を円筒状に成形
後溶接し、600℃での形状記憶処理後に7%の縮径加
工を行った。ここまでの工程を経た形状記憶合金製円筒
の寸法は、外径95.5mm、肉厚6mm、長さ150mmで
ある。
【0039】さらに鍔状部分の代わりとなるL字型の止
め具を、端部の円周方向3カ所に溶接した。次に電気亜
鉛めっきを施したが、めっきの予備処理から乾燥までの
すべての工程は、温度が100℃を超えることのないよ
うにして行った。本実施例に使用した形状記憶合金は、
100℃以上に加熱されると形状回復動作を開始してし
まうからである。
【0040】このようにしてでき上がった締結具の内側
には、金属粉末発熱体をステンレス箔で覆って円筒状に
成形したものを取り付けた。発熱体が焼鈍途中で落下す
ることのないように、ステンレス箔の一部を締結具に溶
接したL字型の鍔状部分に巻き付けるようにして固定し
た。この発熱体が一体化された締結具を、短尺鋼管の縮
径並びにスリット加工された端部にセットした。この縮
径部は他の短尺鋼管の内側に挿入し、金属粉末発熱体を
火花式の着火器で着火させた。
【0041】金属粉末発熱体の発熱量は非常に大きいの
で、予備試験によって形状記憶合金部分を300℃まで
加熱するために必要な発熱体の量を求めておき、必要な
温度までは確実に昇熱しかつ不用な高温に上がってしま
うことを防止した。このような基準に基づいて本実施例
で使用した粉末発熱体は酸化鉄と金属シリコンの混合物
で、重量は440gであった。加熱は1分以内の短時間
に終了し、短尺鋼管は緊密に締結された。
【0042】実施例3 電柱や照明柱として使用可能な3本継ぎ式の鋼管柱を、
本発明による締結具を使用して製作した。鋼管柱を構成
する短尺鋼管は、外径114.3mm、肉厚4.5mmのS
TK540、継ぎ合わせた後の鋼管柱全長は10mのも
のである。また最上部の短尺鋼管の上端は円盤を溶接し
て封鎖されている。3本の内の下部2本分の短尺鋼管の
片端は、端部から200mmの位置までを外径105.0
mmに縮径加工した。この縮径加工部分に端部から170
mmまでを円周方向に8カ所、幅1mmのスリット加工を行
った。最後に各短尺鋼管全体に溶融亜鉛めっきを施し
た。締結具は、28%Mn−6%Si−5%Crを主要
成分とする鉄基の形状記憶合金で製作した。板厚8mmの
素材を円筒成形した後溶接し、600℃で形状記憶処理
の後に外径を7%収縮させる加工を行った。この後に鍔
状となる部分を残し、締結具の本体となる部分を外面か
ら1mmずつ研削して鍔状部分を形成した。同様の締結具
を2個作製し、内一方には実施例2で採用したのと同じ
金属粉末発熱体を内側に取り付けた。ここではさらにこ
の発熱体に時限機構を組み込んだ自動着火装置も取り付
けた。
【0043】鋼管柱の施工に際しては、まず一番下の短
尺鋼管の縮径加工をしていない側の端部2メートルを地
中に埋めて直立させた。次に、先に製作されている内の
発熱体を組み込んでいない方の形状記憶合金製締結具
を、直立させた短尺鋼管上端の縮径部分にセットし、こ
の内側にはバンドヒーターと測温用の熱電対を取り付け
た。
【0044】中間部の短尺鋼管をこの上に差し込み、バ
ンドヒーターと熱電対のリード線は中間の短尺鋼管の上
部から外部に引き出した。ここでバンドヒーターに通電
して300℃までの加熱を行った。まず最下部と中間の
短尺鋼管が締結されたので、バンドヒーターと熱電対を
回収した。
【0045】今度は中間の短尺鋼管の上端側の縮径部分
に、先に製作してある発熱体を組み込んだ形状記憶合金
製の締結具をセットした。着火装置の時限機構を3分間
に設定した後スタートボタンを押し、しかる後に、最上
部の短尺鋼管を中間の短尺鋼管の上から差し込んだ。
【0046】最上部の短尺鋼管の下端から150mmの部
分には200℃以上で変色する感温テープを貼り付けて
おいた。最上部の短尺鋼管を差し込んで約4分経過後に
感温テープは変色し、金属粉末発熱体が確実に燃焼した
ことが確認された。
【0047】この3本継ぎ式の鋼管柱は、継ぎ合わせた
後では鋼管中の内面は完全に外部から隔離されており、
外部には締結のためのボルト等の突起物がないのが最大
の特徴である。このため腐食が起こりにくいのはもちろ
ん、すっきりした外観で景観性においても優れたものと
なった。なお、本実施例の継ぎ式鋼管柱は、締結後に上
部に155kgf のトランスを固定・保持した状態で、電
柱として使用することが可能であった。
【0048】
【発明の効果】本発明による焼結具は、短尺鋼管の内部
にセットされた形状記憶合金が加熱された時の拡径作用
によって短尺鋼管を締結し、一体の鋼管柱とすることが
できる。締結作業は、予め工場内で端部への加工が行わ
れた短尺鋼管を、施工現場において組み合わせた後に、
形状記憶合金部分を一定の温度に加熱するだけで完了す
る。輸送が容易な上、施工現場で短尺鋼管1本ずつを縦
に締結することも可能だから、狭いスペースの現場でも
能率的に継ぎ作業を行うことができる。従来法で見られ
たようなボルト類が使用されない構造であるから見かけ
もスッキリして景観を損なうことがなく、ボルトの周辺
からの水分の侵入が原因で発生しがちな錆の心配もな
い。
【0049】また一体の鋼管柱を構成する短尺鋼管は、
外径や肉厚が異なるものであっても締結が可能であるか
ら、強度の要求される下部には厚肉もしくは大径の短尺
鋼管を、上部には薄肉もしくは小径の短尺鋼管を使用す
る等によって、はじめから一体物として製作される鋼管
柱に比べて軽量で安定性の優れた鋼管柱とすることも可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による締結具の代表例で(a)は斜視
図、(b)は断面図である。
【図2】本発明による他の例で、(a)は斜視図、
(b)は断面図である。
【図3】(イ),(ロ)は本発明による締結具を用いた
締結方法の説明図である。
【図4】(ハ),(ニ)は本発明による締結具を用いた
締結方法の説明図である。
【符号の説明】
1 締結具 2 締結具に密着して固定された金属粉末発熱体 3,4 短尺鋼管 11 締結具の本体部分 12 締結具の鍔状部分 41 短尺鋼管端部のスリット加工部を含む縮径部分
フロントページの続き (72)発明者 棚橋 浩之 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内 (72)発明者 菊池 利治 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内 (72)発明者 三尾 尭彦 東京都世田谷区奥沢8−6−2 (72)発明者 新井 仁 埼玉県朝霞市三原2−19−60 セントジョ ンズ・ハウス志木205号

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2本の短尺鋼管を締結するための形状記
    憶合金製の締結具であって、前記締結具は鍔状部分のあ
    る円筒形状を有し、形状回復温度に加熱された時に拡径
    する方向に形状記憶処理されていることを特徴とする締
    結具。
  2. 【請求項2】 金属粉末発熱体を密着させた請求項1記
    載の締結具。
  3. 【請求項3】 形状記憶合金部分は防錆処理されている
    請求項1または2記載の締結具。
  4. 【請求項4】 締結する一方の短尺鋼管の端部の一定長
    さLの部分を他方の短尺鋼管の内側に差し込み可能にす
    るとともに、前記の端部長さLの内、最端部から前記長
    さLを超えない一定の長さ部分に複数本のスリットを形
    成しておき、請求項1〜3記載の締結具を前記スリット
    部の内側に嵌合させた後他方の短尺鋼管の端部に差し込
    み、しかる後に形状記憶合金部分を加熱して締結具を拡
    径させることによって2本の短尺鋼管を締結することを
    特徴とする締結方法。
JP6426993A 1993-03-23 1993-03-23 締結具およびそれを用いる締結方法 Withdrawn JPH06280834A (ja)

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