JPH07150154A - 二重管式ｌｎｇ気化装置における送出ガスの温度調整方法及びその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 海水温度及び負荷変動により送出ガス温度が
変動するのを防止する。 【構成】 気化器１０の出側のガス温度は、負荷量と海
水温度を検出して気化器散水制御弁１８を制御すること
によりあらかじめ設定された値になるように制御し、過
熱器１２の出側のガス温度は、送出ガス温度検出器２０
により検出されるガス温度を基に過熱器散水制御弁２２
を制御することによりあらかじめ設定された値になるよ
うに制御する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、二重管式ＬＮＧ気化装
置における送出ガスの温度調整方法及びその装置に適用
される。

【０００２】

【従来の技術】液化天然ガス（ＬＮＧ）を例えば都市ガ
スとして供給する場合には、貯蔵タンクから払い出した
ＬＮＧを気化すると共にこの気化しただけの天然ガスは
通常０℃以下のことが多いため、これを０℃以上に過熱
して消費側に送出することが必要である。

【０００３】このような装置として、図３、図４に示す
二重管式ＬＮＧ気化装置が公知である。このＬＮＧ気化
装置は、二重管式のＬＮＧ気化器１と過熱器２を直列に
構成し、気化器１は、ＬＮＧヘッダー３から二重管式伝
熱管４内の内管内にＬＮＧを注入し、内管内を下降さ
せ、下端で反転させて外管内を上昇する間に散水ライン
５から供給される海水で加熱して気化し、これをＮＧヘ
ッダー３ａ→ＮＧライン３ｂを経由して過熱器２に導
き、再び散水ライン６から供給される海水で送出温度ま
で過熱するという構成である。図中７はＬＮＧ払い出し
ライン、８は送出ラインである。

【０００４】又、上記ＬＮＧ気化装置の場合、送出する
天然ガスの熱量を所定の熱量に調整するために、過熱器
２のところで熱量調整用にＬＰＧを注入して天然ガスの
熱量を所定の熱量に調整するという方法がとられている
場合もある（例えば特開平４−２８５６９２号公報）。

【０００５】そして、図３及び図４に示した公知例の場
合、図４において、気化器１の出口Ａ点の温度を露点以
上に、過熱器２の出口Ｂ点の温度を０℃以上の一定温度
になるように、これらＡ点、Ｂ点の温度を基に散水ライ
ン５、６の制御弁５ａ、６ａを制御して送出ガス温度の
調整を行っている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公知例の
送出ガス温度の調整方法においては、次のような欠点が
ある。

【０００７】ａ．ＬＮＧ気化器１の散水量と出口Ａ点の
温度の関係は、一定負荷及び一定海水温度において図５
に示すような特性を示す。この図５において、特性曲線
の位置は、ＬＮＧ負荷及び海水温度によって変化するた
め、設定温度はａ点となることもあればｂ点となること
もある。そして、ａ点の場合は散水量が不安定に、ｂ点
の場合は出口温度が不安定になる。

【０００８】ｂ．ＬＮＧ気化器１の出口温度が不安定に
なることにより、これにつれて過熱器２の出口温度（送
出ガス温度）も不安定になる。

【０００９】本発明の目的は、二重管式ＬＮＧ気化装置
における送出ガスの調整方法及びその装置において、上
記したａ及びｂの欠点を解消することである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明に係る二重管式Ｌ
ＮＧ気化装置における送出ガスの温度調整方法及びその
装置の構成は次のとおりである。

【００１１】１．海水を熱源に用いてＬＮＧを気化する
二重管式ＬＮＧ気化器と、海水を熱源に用いて送出ガス
を所定の温度に調整する過熱器を直列に配置した構成の
ＬＮＧ気化装置において、気化器側において散水する海
水の量を、この海水温度及びＬＮＧ負荷を基に演算した
値であらかじめ設定した温度になるように制御する、過
熱器側において散水する海水の量を、過熱器から送出さ
れる天然ガスの温度を基に演算した値であらかじめ設定
した温度になるように制御する、ことを特徴とする二重
管式ＬＮＧ気化装置における送出ガスの温度調整方法。

【００１２】２．ＬＮＧ払い出しラインから払い出され
たＬＮＧを、ＬＮＧヘッダーから内管内に注入し、この
内管の下端でＬＮＧを反転させ、外管内を上昇する過程
において外管の外側に設けたトラフから散水した海水に
より加熱して気化する二重管式ＬＮＧ気化器、前記ＬＮ
Ｇ気化器から送出される天然ガスを、海水により加熱し
て設定された送出ガス温度になるように温度調整する過
熱器、前記ＬＮＧ気化器に対して散水用の海水を供給す
る気化器散水ライン、前記過熱器に対して散水用の海水
を供給する過熱器散水ライン、前記ＬＮＧ払い出しライ
ンに取り付けられた負荷検出器で検出されるＬＮＧ量及
び気化器散水ラインに取り付けられた海水温度検出器で
検出される海水温度に基づいて、気化器出側のガスの温
度をあらかじめ設定された温度になるように、気化器散
水ラインに取り付けられた気化器散水制御弁を制御する
気化器温度制御器、前記過熱器から消費側に至る送出ガ
スラインに取り付けられた送出ガス温度検出器で検出さ
れる温度に基づいて、この送出ガスラインから送出され
るガスの温度をあらかじめ設定された温度になるよう
に、過熱器散水ラインに取り付けられた過熱器散水制御
弁を制御する過熱器温度制御器、から成る二重管式ＬＮ
Ｇ気化装置における送出ガスの温度調整装置。

【００１３】

【作用】貯蔵タンクから払い出されたＬＮＧは、ＬＮＧ
気化器により気化されて過熱器に至り、ここで一定の温
度に過熱（及び熱量に調整）されて消費側に送出され
る。

【００１４】上記運転に際して、気化器制御器は、ＬＮ
Ｇ払い出しラインに取り付けられた負荷検出器で検出さ
れるＬＮＧ量及び気化器散水ラインに取り付けられた海
水温度検出器で検出される海水温度を基に、ＬＮＧ気化
器の出側のガス温度が、あらかじめ設定された値になる
ように気化器散水制御弁を制御する。

【００１５】一方、過熱器制御器は、過熱器から送出さ
れるガスの温度を、送出ガス温度検出器で検出し、この
検出されるガス温度を基に、あらかじめ設定された温度
になるように過熱器散水ラインに取り付けられた過熱器
散水制御弁を制御する。なお、前記ＬＮＧ気化器の出側
の温度が０℃以上である場合には、過熱器側において散
水する量を全面的に停止する場合もある。但し、過熱器
においてＬＰＧを注入して熱量調整を行っている場合に
は、ＬＰＧの気化を促進させるためにこの散水を停止す
ることはない。

【００１６】

【実施例】１０はＬＮＧ気化器にして、この気化器１０
はＬＮＧ払い出しライン１１から払い出されたＬＮＧを
ＬＮＧヘッダーを経由して内管内に上方から注入し、こ
の内管の下端でＬＮＧを反転させ、外管内を上昇する過
程において外管の外側に設けたトラフから散水した海水
により加熱して気化する二重管式の気化器である。

【００１７】１２は過熱器にして、この過熱器１２は前
記ＬＮＧ気化器１０から送出される天然ガスを海水によ
り加熱してあらかじめ設定された送出ガス温度になるよ
うに調整する。

【００１８】１３は気化器散水ラインにして、前記ＬＮ
Ｇ気化器１０に対して加熱用の海水を供給する。

【００１９】１４は過熱器散水ラインにして、前記過熱
器１２に対して過熱用の海水を供給する。

【００２０】１５は気化器制御器（演算器）にして、こ
の制御器１５は次の制御を行う。ＬＮＧ払い出しライン
１１に取り付けられたＬＮＧ量（負荷量）を負荷検出器
１６で検出すると共に気化器散水ライン１３に取り付け
られた海水温度検出器１７で検出される海水の温度か
ら、気化器１０の出側のガス温度があらかじめ設定され
た温度になるように気化器散水ライン１３を経由して供
給する海水量を演算し、この値に基づいて気化器散水制
御弁１８を制御する。１９は海水流量検出器である。

【００２１】２０は過熱器１２に結ばれた送出ライン２
１に取り付けられた送出ガス温度検出器にして、この送
出ガス温度検出器２０で検出される温度を基に、この温
度があらかじめ設定された温度になるように過熱器制御
器（演算器）２３は過熱器散水ライン１４に取り付けら
れた過熱器散水制御弁２２を制御する。

【００２２】上記実施例の場合、貯蔵タンクから払い出
されたＬＮＧは、ＬＮＧ払い出しライン１１を経由して
ＬＮＧ気化器１０に入り、ここで気化されて過熱器１２
に至り、ここで一定の温度に過熱（及び熱量に調整）さ
れて送出ライン２１から消費側に送出される。

【００２３】上記運転に際して、気化器制御器１５は、
ＬＮＧ払い出しライン１１に取り付けられた負荷検出器
１６で検出されるＬＮＧ量及び気化器散水ライン１３に
取り付けられた海水温度検出器１７で検出される海水温
度を基に、ＬＮＧ気化器１０の出側のガス温度があらか
じめ設定された値（図２においてＣ点）になるように気
化器散水制御弁１８を制御する。

【００２４】一方、過熱器制御器２３は、過熱器１２か
ら送出されるガスの温度を、送出ガス温度検出器２１で
検出し、この検出されるガス温度を基に、あらかじめ設
定された温度になるように過熱器散水ライン１４に取り
付けられた過熱器散水制御弁２２を制御する。なお、前
記ＬＮＧ気化器１０の出側の温度が０℃以上である場合
には、過熱器１２側において散水する量を全面的に停止
する場合もある。但し、過熱器１２においてＬＰＧを注
入して熱量調整を行っている場合には、ＬＰＧの気化を
促進させるためにこの散水を停止することはない。

【００２５】

【発明の効果】本発明は以上のように、気化器出側の温
度制御は負荷と海水温度を基にフィードフォワード制御
で行い、過熱器出側の温度は送出ガス温度を基にフィー
ドバック制御で行うようにしたため、次の効果を奏す
る。

【００２６】ａ．運転条件が変化した場合でも、直ちに
これに対応して送出ガス温度を設定温度に維持できる。
この結果、送出ガス温度を安定させることができると共
に散水量を常に適正に維持することにより、散水経費の
無駄がなく、経済的な気化装置の運転が可能である。

【００２７】ｂ．気化器出口で所要のガス温度が得られ
た場合、過熱器での散水による過熱は行わないため、こ
の点でも散水経費の節約を図ることができる（但し、過
熱器で熱量調整を行っている場合は除く。）。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る気化方法とその装置の説明図。

【図２】本発明を実施した気化器における散水量と出口
温度の関係を示す説明図。

【図３】従来の気化装置の説明図。

【図４】従来の気化装置のフロー図。

【図５】従来の気化器における散水量と出口温度の関係
を示す説明図。

【符号の説明】

１０ 気化器 １１ ＬＮＧ払い出しライン １２ 過熱器 １３ 気化器散水ライン １４ 過熱器散水ライン １５ 気化器制御器 １６ 負荷検出器 １７ 気化器海水温度検出器 １８ 気化器散水制御弁 １９ 気化器散水量検出器 ２０ 送出ガス温度検出器 ２１ 送出ガスライン ２２ 過熱器散水制御弁 ２３ 過熱器制御器

フロントページの続き (72)発明者 三浦 俊泰 神奈川県横浜市神奈川区白幡上町38−37− 402 (72)発明者 笠原 進一 東京都大田区中央６−９−５−28 (72)発明者 庄谷 仁延 兵庫県尼崎市北城内61 (72)発明者 外池 嘉朗 兵庫県尼崎市小中島２−20−18

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 海水を熱源に用いてＬＮＧを気化する二
   重管式ＬＮＧ気化器と、海水を熱源に用いて送出ガスを
   所定の温度に調整する過熱器を直列に配置した構成のＬ
   ＮＧ気化装置において、 気化器側において散水する海水の量を、この海水温度及
   びＬＮＧ負荷を基に演算した値であらかじめ設定した温
   度になるように制御する、 過熱器において散水する海水の量を、過熱器から送出さ
   れる天然ガスの温度を基に演算した値であらかじめ設定
   した温度になるように制御する、 ことを特徴とする二重管式ＬＮＧ気化装置における送出
   ガスの温度調整方法。
2. 【請求項２】 ＬＮＧ払い出しラインから払い出された
   ＬＮＧを、ＬＮＧヘッダーから内管内に注入し、この内
   管の下端でＬＮＧを反転させ、外管内を上昇する過程に
   おいて外管の外側に設けたトラフから散水した海水によ
   り加熱して気化する二重管式ＬＮＧ気化器、 前記ＬＮＧ気化器から送出される天然ガスを、海水によ
   り加熱して設定された送出ガス温度になるように温度調
   整する過熱器、 前記ＬＮＧ気化器に対して散水用の海水を供給する気化
   器散水ライン、 前記過熱器に対して散水用の海水を供給する過熱器散水
   ライン、 前記ＬＮＧ払い出しラインに取り付けられた負荷検出器
   で検出されるＬＮＧ量及び気化器散水ラインに取り付け
   られた海水温度検出器で検出される海水温度に基づい
   て、気化器出側のガスの温度をあらかじめ設定された温
   度になるように、気化器散水ラインに取り付けられた気
   化器散水制御弁を制御する気化器温度制御器、 前記過熱器から消費側に至る送出ガスラインに取り付け
   られた送出ガス温度検出器で検出される温度に基づい
   て、この送出ガスラインから送出されるガスの温度をあ
   らかじめ設定された温度になるように、過熱器散水ライ
   ンに取り付けられた過熱器散水制御弁を制御する過熱器
   温度制御器、 から成る二重管式ＬＮＧ気化装置における送出ガスの温
   度調整装置。
3. 【請求項３】 過熱器が熱量調整用のＬＰＧを注入して
   混合する熱量調整用の過熱器を兼ねる請求項２記載の二
   重管式ＬＮＧ気化装置における送出ガスの温度調整装
   置。