JPH07149731A - 5−アリールヒダントイン化合物およびその誘導体の製造方法 - Google Patents

5−アリールヒダントイン化合物およびその誘導体の製造方法

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JPH07149731A
JPH07149731A JP6241558A JP24155894A JPH07149731A JP H07149731 A JPH07149731 A JP H07149731A JP 6241558 A JP6241558 A JP 6241558A JP 24155894 A JP24155894 A JP 24155894A JP H07149731 A JPH07149731 A JP H07149731A
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hydantoin
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phenol
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Hiroshi Yasuda
浩 安田
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Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 5−アリールヒダントインとその有用な誘導
体であるペニシリン系抗生物質の新規な製造法を提供す
る。 【構成】 5位が無置換のヒダントイン化合物をハロゲ
ン化剤と反応させた後、パラ位が無置換でありフェノー
ル性水酸基が保護されていてもよいフェノール化合物と
反応させ該ヒダントイン化合物の5位にフェノール化合
物のパラ位を置換させることを特徴とする5−アリール
ヒダントイン化合物の製造方法。 【効果】 5−(p−ヒドロキシフェニル)ヒダントイ
ンが高純度で得られ、アモキシシリンが工業的に製造で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は5−アリールヒダントイ
ン化合物およびその誘導体の製造方法に関する。5−ア
リールヒダントイン化合物は、半合成ペニシリンの製造
(特開昭50-100077 号公報)に有用な(D)−アリール
グリシン類(例えば、(D)−p−ヒドロキシフェニル
グリシン)の重要な合成中間体である。
【0002】
【従来の技術】5−アリールヒダントインは、古典的に
はブッヘラー・バーグ法により、対応するアリールアル
デヒドと炭酸アンモニウムおよびシアン化ナトリウムの
反応により合成されることが知られている(J. Prakt.
Chem., p291 140 [1934])。また、グリオキシル酸、尿
素、およびフェノールを酸性条件下で反応させる方法
(特公昭55-22474号公報)、アラントインとフェノール
を反応させる方法(特公昭55-16582号公報)、パラバン
酸の還元生成物とフェノールを反応させる方法(特開平
3-206080号公報)、およびp−ヒドロキシフェニルケト
アセタールとフェノールを反応させる方法(特開平4-36
4150号公報)など多くの方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ブッヘラー・バーグ法
は、危険なシアン化ナトリウムを必要とし、さらに得ら
れる粗製のヒダントインはアルカリ条件下でフェノール
環の酸化の副反応による副生物を多量に含み、また着色
してしまう。また、グリオキシル酸、アラントイン、パ
ラバン酸、p−ヒドロキシフェニルケトアセタールなど
の原料を用いる方法は、原料が高価であり満足できる方
法ではない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者はこれらの課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、入手が容易なヒダ
ントイン化合物を原料とする5−アリールヒダントイン
化合物の全く新規な製造方法を見出し、本発明を完成す
るに至った。特に、安価なヒダントインを原料にフェノ
ールと反応させることにより収率良く5−(p−ヒドロ
キシフェニル)ヒダントインが得られる。
【0005】本発明は、(1)5位が無置換のヒダント
イン化合物をハロゲン化剤と反応させた後、パラ位が無
置換であり水酸基が保護されてもよいフェノール化合物
とを反応させ該ヒダントイン化合物の5位にフェノール
化合物のパラ位を置換させることを特徴とする5−アリ
ールヒダントイン化合物の製造方法、(2)上記のフェ
ノール化合物が、次の一般式(I)
【化3】 (式中、Rは水素原子またはフェノール性水酸基の保護
基を示し、R1 〜R4 は水素原子またはRO基のパラ配
向性を実質的に損なわない基を示す。)で表わされる化
合物であり、ヒダントイン化合物が、次の一般式(II)
【0006】
【化4】 (式中、R5 は水素原子または窒素原子の保護基を示
し、R6 は水素原子、C1〜C8のアルキル基、C3〜
C10のアルケニル基、C3〜C10のアルキニル基、
C2〜C10のアシル基または置換基を有してもよいC
6〜C10のアリール基、C7〜C16のアラルキル
基、C1〜C10のアミノカルボニル基、C2〜C8の
アルコキシカルボニル基、C7〜C10のアリールオキ
シカルボニル基、C8〜C17のアラルキルオキシカル
ボニル基、C1〜C8のスルフィニル基もしくはC1〜
C8のスルフォニル基を示す。)で表わされる化合物で
ある上記1記載の製造方法、(3)上記のヒダントイン
化合物がヒダントインであり、フェノール化合物がフェ
ノールである上記1記載の製造方法、(4)上記のハロ
ゲン化剤との反応を酸の存在下で行わせる上記1ないし
3記載の製造方法、(5)上記のハロゲン化剤との反応
をラジカル反応開始剤の存在下で行わせる上記1ないし
3記載の製造方法、および(6)反応を実質的に水を含
まない溶媒でおこなわせる上記1ないし3記載の製造方
法に関する。
【0007】さらに、次の工程を含むことを特徴とする
6−[(p−ヒドロキシフェニル)−α−アミノ−アセ
チルアミノ]−2,2−ジメチルペナム−3−カルボン
酸化合物の製造方法:(a)上記1ないし6記載の製造
方法による5−アリールヒダントイン化合物の製造工
程、(b)製造工程aで得られた5−アリールヒダント
イン化合物がフェノール性水酸基の保護基および/また
はヒダントイン環の1位に窒素原子の保護基を有する場
合は該保護基の脱保護工程、(c)製造工程aまたはb
で得られた5−アリールヒダントイン化合物の光学分割
を含む加水分解反応による光学活性なアリールグリシン
化合物の製造工程、および(d)製造工程cで得られた
アリールグリシン類のアルカリ金属塩とアセト酢酸エス
テルとの縮合反応によるデイン塩の製造工程に関し、上
記の6−[(p−ヒドロキシフェニル)−α−アミノ−
アセチルアミノ]−2,2−ジメチルペナム−3−カル
ボン酸化合物がアモキシシリンである製造方法に関す
る。
【0008】本発明におけるヒダントイン化合物とは5
位が無置換のヒダントイン類をいう。好ましくは上記一
般式(II)で表される化合物である。特に得られる5−
アリールヒダントインを加水分解してアリールグリシン
を得るためにはヒダントインの1位は無置換または脱離
させ得る窒素原子の保護基が良く、3位は無置換が良
い。反応性の点からも安価で入手の容易なヒダントイン
自体が特に適当である。また、フェノール化合物とはパ
ラ位が無置換でありフェノール性水酸基で保護されてい
てもよいフェノール類をいう。好ましくは上記一般式
(I)で表される化合物である。反応性の点からも経済
性を考えても、p−ヒドロキシフェニルグリシンを得る
ためにはフェノール自体が特に適当である。本発明にお
けるハロゲン化剤とはヒダントイン化合物の5位にハロ
ゲン原子を導入し得る有機、無機化合物、試薬をいう。
5−アリールヒダントインの製造法に係る反応は、以下
の式により表わされる。
【0009】
【化5】 上記反応において、フェノール化合物は、ヒダントイン
化合物とハロゲン化剤との反応が終了したのち加えるこ
とが好ましい。ハロゲン化剤存在下でフェノール化合物
を加えてもよいが、フェノール化合物のハロゲン化物が
副生しフェノール化合物当たりの収率が低下することが
ある。揮発性のハロゲン化剤は、窒素などの気体を導入
することにより除去できるが、不揮発性のハロゲン化剤
は適当な還元剤等を用いて分解除去してもよい。
【0010】反応に用いるヒダントイン化合物、ハロゲ
ン化剤、フェノール化合物にもよるが、5−アリールヒ
ダントイン化合物の生成反応は、通常分解物などは副生
せず、着色はない。反応の副生物はフェノール化合物の
オルト位とヒダントイン化合物の5位とが反応した5−
(o−置換アリール)ヒダントイン化合物である。例え
ば、ヒダントインをハロゲン化剤と反応させた後フェノ
ール反応させて得られる主生成物は5−(p−ヒドロキ
シフェニル)ヒダントインであり、副生物は5−(o−
ヒドロキシフェニル)ヒダントインである。反応条件や
反応基質にもよるが、5−アリールヒダントイン化合物
の目的物のp体と副生物のo体の生成比は2:1〜8:
1の範囲である。また、5−アリールヒダントイン化合
物の種類にもよるが、おおむねo体よりp体のほうが結
晶性がよく、p体を再結晶、溶解度差などで分離するこ
とができる。例えばアリールヒダントイン化合物として
5−(ヒドロキシフェニル)ヒダントインの場合は、反
応に至適な溶媒を用いれば、反応後望ましいp体のみが
固体として析出し、容易に5−(p−ヒドロキシフェニ
ル)ヒダントインを単離できる。
【0011】ヒダントイン化合物とハロゲン化剤の反応
は、ヒダントイン化合物1molに対し、ハロゲン化剤
は1mol当量が好適なので、その近傍での使用が好ま
しい。また、ヒダントイン化合物1molに対し、フェ
ノール化合物は少なくても1mol当量、望ましくは
1.2〜3mol当量が好適に使用される。また、反応
温度は0〜120℃程度、好ましくは30〜100℃に
昇温するのが望ましい。反応時間としては0.5〜8時
間が好ましい。
【0012】ヒダントイン化合物とハロゲン化剤との反
応により得られた化合物とフェノール化合物との反応
は、ヒダントイン化合物とハロゲン化剤との反応溶媒と
同一でもよいし、別な溶媒を加え混合溶媒としたり、ま
た溶媒を置換してもよい。反応温度は−10〜120℃
程度、好ましくは0〜110℃に昇温するのが望まし
い。この温度条件よりも反応温度が低いと反応が完結す
る時間が著しく長くなり、また反応温度が高いと反応基
質が分解し5−アリールヒダントイン化合物の収率が低
くなる。反応時間としては3〜18時間が好ましい。反
応時間はフェノール化合物の添加量と反応温度に依存
し、ヒダントイン化合物、フェノール化合物の種類にも
よるが、仕込みのヒダントイン化合物の2〜3倍量のフ
ェノール化合物を加え、反応温度を0〜50℃にすると
反応は2〜12時間でほぼ完結する。
【0013】本製造法のハロゲン化剤としては、塩素、
臭素、ヨウ素などのハロゲン分子類、塩化臭素(BrC
l)、臭化ヨウ素(IBr)等の混合ハロゲン分子類、
N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミ
ド、N−ブロモアセトアミドなどのハロイミド、ハロア
ミド類、カルシウムハイポクロライト(Ca(ClO)
2 )、t−ブチルハイポクロライト等の過ハロゲン酸
塩、過ハロゲン酸エステル類、スルフリルクロリド、ス
ルフリルブロマイド等の塩化物、臭化物が用いられる
が、本発明に適用できるハロゲン化剤は上記ハロゲン化
剤に限定されるわけではなく、有機合成一般に用いられ
るハロゲン化剤を想定している。
【0014】本製造法で用いられる溶媒は、原料のヒダ
ントイン化合物とハロゲン化剤と後に加えるフェノール
化合物が痕跡でも溶けるものであればよい。本反応にお
いては、溶媒の効果が著しく、酢酸、ジオキサンが好適
に用いられる。本反応に用いられる溶媒は、単一溶媒も
しくは混合溶媒でもよく、反応に用いる試薬および反応
温度、生成物の単離しやすさから適宜選択される。ま
た、本反応の前段のヒダントイン化合物のハロゲン化反
応と後段のフェノール化合物との反応とに用いられる溶
媒は同一でもよいし、異なっていてもよいし、混合溶媒
を用いてもよいし、溶媒を留去して他の溶媒に置換して
もよい。反応溶媒としては、実質的に水を含まない以下
の溶媒系が好適に用いられるが、本発明はこれらの溶媒
に限定されるわけではない。
【0015】エーテル系:ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン、ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム他 アルコール系:エタノール、メタノール、イソプロバノ
ール、ブタノール他 カルボン酸系:酢酸、プロピオン酸他 ニトリル系:アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチ
ロニトリル、アジポニトリル他 ハロゲン系:クロロホルム、ジクロロエタン他 非プロトン極性溶媒:ジメチルホルムアミド、ジメチル
スルホキシド他
【0016】ヒダントイン化合物とハロゲン化剤の反応
においては、酸の存在によって反応が有効に促進され
る。酸としては、以下の酸類が好適に用いられるが、本
発明はこれらの酸類に限定されるわけではない。
【0017】無機酸:塩化水素、臭化水素酸、ヨウ化水
素酸、硫酸 有機酸:酢酸、プロピオン酸、しゅう酸、こはく酸、ア
ジピン酸、トリフルオロ酢酸、パラトルエンスルホン
酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフル
オロメタンスルホン酸 ルイス酸:四塩化チタン、四塩化ジルコニウム、酸塩化
バナジウム、三塩化鉄三臭化鉄、塩化アルミニウム、臭
化アルミニウム、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三塩化
ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化テルル、三塩化アンチモ
ン、五塩化アンチモン、四塩化珪素、三塩化ビスマス、
三臭化ビスマス、塩化亜鉛、臭化亜鉛、亜鉛トリフルオ
ロメタンスルホン酸塩、塩化第一錫、塩化第二錫、錫第
一トリフルオロメタンスルホン酸塩 固体酸類:シリカゲル、酸性アルミナ、酸性白土、ゼオ
ライト
【0018】本反応では反応の進行につれてハロゲン由
来のハロゲン化水素が遊離し、反応を促進するので、初
めに加える酸は極微量でもよい。有機酸、無機酸を用い
る場合は仕込みのヒダントイン化合物に対して1/10
00〜1/200mol当量が好適に用いられ、ルイス
酸、固体酸を用いる場合には、1/500〜1/100
mol当量が好適に用いられるが、この範囲に限定され
ずに使用できる。
【0019】ヒダントイン化合物とハロゲン化剤の反応
においては、ラジカル反応開始剤の存在によって反応が
有効に促進される。ラジカル反応開始剤としては、以下
のラジカル反応開始剤が好適に用いられるが、本発明は
これらのラジカル反応開始剤に限定されるわけではな
い。 ジアルキルペルオキシド類:ジ−t−ブチルペルオキシ
ド ジアシルペルオキシド類:過酸化ジベンゾイル ペルエステル類:ジ−t−ブチルペルオキサレート アゾ化合物類:アゾビスイソブチリロニトリル、フェニ
ルアゾトリフェニルメタン 本反応は反応の進行につれてハロゲン由来のハロゲン化
水素が遊離し、反応を促進するので、初めに加えるラジ
カル反応開始剤は極微量でもよい。ラジカル反応開始剤
は仕込みのヒダントインに対して1/1000〜1/2
00mol当量が好適に用いられる。
【0020】本製造法で使用される一般式(I)表示の
フェノール化合物について説明する。Rは水酸基の保護
基であり、適切な反応条件を選べば、酸素−水素結合が
再生しうる置換基である。ここでいう保護基の要件とし
ては、有機合成化学で一般的に受けいれられている保護
基の概念に準じ、以下の要件を満たすものとする。1)
反応中変化を受けない、2)目的とする反応を阻害しな
い、3)反応後、保護基以外の部分を損なうことなく保
護基は脱保護できる。参考文献として、保護基の事実上
の標準文献である Theodora W. Greene, Peter G. M. W
uts の 『 Protective Groups inOrganic Synthesis
Second Edition 』, JOHN WILEY & SONS, INC. をあげ
ておく。
【0021】Rとしては、C1〜C8のアルキル基(メ
チル基、エチル基、オクチル基など)、C3〜C10の
アルケニル基(アリル基など)、C3〜C10のアルキ
ニル基(プロパギル基など)、C2〜C10のアシル基
(アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基など)、
C7〜C16のアラルキル基(ベンジル基、p−メトキ
シベンジル基など)、C1〜C10のアミノカルボニル
基(N−メチルアミノカルボニル基など)、C2〜C8
のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エ
トキシカルボニル基など)、C7〜C10のアリールオ
キシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基な
ど)、C8〜C17のアラルキルオキシカルボニル基
(ベンジルオキシカルボニル基など)、トリアルキルシ
リル基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t
−ブチルジメチルシリル基など)、ジアルキルアリール
シリル基(ジメチルフェニルシリル基など)、アルキル
ジアリールシリル基(メチルジフェニルシリル基な
ど)、トリアリールシリル基(トリフェニルシリル基な
ど)、りん酸エステル誘導体基(以下(IV)、(V)、
(VI)の示す基など)が該当する。
【0022】
【化6】 1 〜R4 は水素原子、または、実質的にフェノール化
合物のROに対するパラ配向性を疎外しなければ、それ
らの原子、置換基を任意の組み合わせで用いてよい。置
換基としてはハロゲン原子(F,Cl,Br,I)、ヒ
ドロキシル基、C1〜C4のアルキル基(メチル基、エ
チル基など)、C1〜C4のアルコキシ基(メトキシ
基、エトキシ基など)、C1〜C4のアルコキシカルボ
ニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基
など)、C1〜C10のアミノ基(ジメチルアミノ基な
ど)、C1〜C10のアミノカルボニル基(メチルアミ
ノカルボニル基など)、ニトロ基、ニトロソ基、チオー
ル基、C1〜C4のスルフィド基(メチルスルフィド基
など)が挙げられる。フェノール化合物としては、フェ
ノール、カテコール、レゾルシン、アニソール、o−ク
レゾール、m−クレゾール、o−メトキシフェノール、
m−メトキシフェノール、o−クロロフェノール、m−
クロロフェノール、o−アニシジン、m−アニシジン、
2,5,−ジメチルフェノール、2,5,−ジ−t−ブ
チルフェノール、またはそれらのフェノール性水酸基に
保護基がついている化合物などが好適に用いられるが、
本発明に適用できるフェノール化合物は上記フェノール
化合物に限定されるわけではない。
【0023】本発明における5位が無置換のヒダントイ
ン化合物とは、ヒダントインの1位の窒素原子上には保
護基、3位の窒素原子上には有機基が置換してもよいヒ
ダントイン化合物である。1位の窒素原子の保護基とは
適切な脱保護条件で窒素−水素結合が再生しうる置換基
を示し、フェノール化合物の説明で述べた保護基の概念
に準じ、メチル基、C3〜C10のアルケニル基(アリ
ル基など)、C3〜C10のアルキニル基(プロパルギ
ル基など)、C2〜C10のアシル基(アセチル基、プ
ロピオニル基、ベンゾイル基など)、C7〜C10のア
ラルキル基(ベンジル基、p−メトキシベンジル基な
ど)、C1〜C10のアミノカルボニル基(N−メチル
アミノカルボニル基など)、C2〜C8のアルコキシカ
ルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニ
ル基など)、C7〜C10のアリールオキシカルボニル
基(フェニルオキシカルボニル基など)、C8〜C17
のアラルキルオキシカルボニル基(ベンジルオキシカル
ボニル基など)が該当する。
【0024】これらの保護基はハロゲン化、続くフェノ
ール化合物との反応を阻害しなければよく、反応後の単
離操作中に脱保護されてもよい。3位の窒素原子上の有
機基とは、C1〜C8のアルキル基(メチル基、エチル
基、オクチル基など)、C3〜C10のアルケニル基
(アリル基など)、C3〜C10のアルキニル基(プロ
パルギル基など)、C2〜C10のアシル基(アセチル
基、プロピオニル基、ベンゾイル基など)または置換基
を有してもよいC6〜C10のアリール基(フェニル
基、トルイル基など)、C7〜C16のアラルキル基
(ベンジル基、p−メトキシベンジル基など)、C1〜
C10のアミノカルボニル基(N−メチルアミノカルボ
ニル基など)、C2〜C8のアルコキシカルボニル基
(メトキシカルボニル基、エトキカルボニル基など)、
C7〜C10のアリールオキシカルボニル基(フェニル
オキシカルボニル基など)、C8〜C17のアラルキル
オキシカルボニル基(ベンジルオキシカルボニル基な
ど)、窒素置換基(アゾ基など)、C1〜C8のスルフ
ェニル基、C1〜C8のスルフォニル基などが該当す
る。ヒダントイン化合物としては、ヒダントイン、3−
メチルヒダントイン、1−ベンジルヒダントイン、1−
アセチルヒダントイン、1−ベンジル−3−メチルヒダ
ントインなどが好適に用いられが、本発明に適用できる
ヒダントイン化合物は上記ヒダントイン化合物に限定さ
れるわけではない。
【0025】ヒダントイン化合物とハロゲン化剤により
生成する化合物の構造は非常に不安定であるため単離生
成が困難であるが、以下の実験事実から5−ハロヒダン
トイン化合物と構造推定している。例えば、ジオキサン
溶媒中ヒダントイン1モルと臭素1モルとの反応で得ら
れた化合物と、1)水を反応させると5−ヒドロキシヒ
ダントイン、2)尿素と反応させるとアラントイン、ま
た、3)フェノールと反応させると5−(p−ヒドロキ
シフェニル)ヒダントインがいずれも高収率で得られ
る。また、本反応の反応基質とは異なるが、5−フェニ
ルヒダントインは、酢酸溶媒中で臭素による臭素化反応
をおこし、ヒダントイン環の5位に臭素が導入されるこ
とが知られている(Chem. Rev., p403 (1949) )。これ
らの事実から、ヒダントインと臭素の反応により5−ブ
ロモヒダントインが(一般的には、5−ハロヒダントイ
ン化合物)が生成していると仮定すると実験事実をよく
説明できる。
【0026】本製造法によって得られた5−アリールヒ
ダントインは、主に医薬品中間体として有用なアリール
グリシンに誘導できる。代表的なアリールグリシンは
(D)−p−ヒドロキシフェニルグリシン(VII)であ
り、アモキシシリンなどの半合成ペニシリンの重要中間
体である。
【化7】 5−アリールヒダントインからペニシリン化合物の合成
は、1)5−アリールヒダントインのフェノール性水酸
基およびヒダントインの1位の保護基の脱保護、2)ア
リールグリシンへの光学分割を含む加水分解、3)アリ
ールグリシンから、N−(1−アルコキシカルボニルプ
ロペン−2−イル)−(D)−α−アミノ−フェニル酢
酸アルカリ金属塩(慣用名 デイン塩)の合成、5)6
−アミノペニシラン酸とデイン塩の縮合反応、によって
おこなわれる。上記工程中、1)の脱保護、2)の光学
分割の順番は、アリールグリシンの光学分割の方法によ
り異なる。
【0027】上記の工程をアモキシシリンの合成を例に
詳しく説明する。はじめに、(D)−p−ヒドロキシフ
ェニルグリシンは、5−アリールヒダントインの微生物
による不斉加水分解または、光学分割により合成され
る。
【0028】微生物の不斉加水分解の場合には、5−ア
リールヒダントインとして、5−(p−ヒドロキシフェ
ニル)ヒダントインが用いられる。フェノール性水酸基
および/またはヒダントインの1位の窒素原子が保護さ
れた5−アリールヒダントイン化合物では、保護基を脱
保護し、5−(p−ヒドロキシフェニル)ヒダントイン
に誘導した後不斉加水分解される。例えば、5−(p−
メトキシフェニル)ヒダントインは酢酸−48%HBr
水溶液でメトキシ基の脱保護がおこなわれ、5−(p−
ヒドロキシフェニル)ヒダントインに誘導される。ま
た、フェノール性水酸基の保護基ではないが、5−(p
−ヒドロキシフェニル)ヒダントインを選択的に合成す
るために、フェノールの二つのオルト位に脱離可能な置
換基を導入した5−(p−ヒドロキシ−2,5−t−ブ
チルフェニル)−ヒダントインのベンゼン環上の置換基
(t−ブチル基)の除去による5−(p−ヒドロキシフ
ェニル)ヒダントインの合成なども脱保護の工程に含ま
れるものとする。
【0029】5−(p−ヒドロキシフェニル)ヒダント
インは、ヒダントイナーゼのような酵素により不斉転換
を伴いつつ、定量的に(D)−p−ヒドロキシフェニル
−N−カルバモイル−グリシンに誘導される[J.Fermen
t.Technol., 57, p328, (1979)]。次に、N−カルバモ
イル基を亜硝酸分解することにより(D)−p−ヒドロ
キシフェニルグリシンが得られる。
【0030】光学分割の場合には、光学分割の基質とし
てアリールグリシン、アリールグリシンエステル、アリ
ールグリシンアミドなどが用いられ、各々の性状により
光学分割剤が適宜選ばれる。5−アリールヒダントイン
からアリールグリシンの合成は、5−アリールヒダント
インの塩基性条件下の加水分解でおこなわれる。例え
ば、5−(p−ヒドロキシフェニル)ヒダントインは、
濃アルカリ水溶液で加水分解され、p−ヒドロキシフェ
ニルグリシンが得られる。フェノール性水酸基および/
またはヒダントインの1位の窒素原子が保護された5−
アリールヒダントイン化合物も同様に濃アルカリ水溶液
で加水分解されるが、得られるアリールグリシン類の光
学分割のしやすさにより保護基を脱保護しない場合があ
る。
【0031】フェノール性水酸基は保護されてもよい、
アリールグリシンエステル(p−ヒドロキシフェニルグ
リシンエチルエステルなど)には酸を(特開昭49-66651
号公報)、N−アシル−アリールグリシン(p−メトキ
シフェニル−N−アセトアミド−グリシンなど)には塩
基を(特開昭50-52041号公報)用いて各々光学分割され
る。また、フェノール性水酸基は保護されてもよいアリ
ールグリシン(p−ヒドロキシフェニルグリシン、p−
メトキシフェニルグリシン、p−ベンジルオキシフェニ
ルグリシンなど)は、直接p−トルエンスルホン酸等の
分割剤を加え光学分割できる(特開昭50-111033 号公
報)。
【0032】光学分割後、フェノール水酸基、カルボキ
シル基、アミンの保護基はラセミ化を伴わない条件で慎
重に脱保護され、(D)−p−ヒドロキシフェニルグリ
ンシンが得られる。例えば、光学分割して得られた
(D)−p−ベンジルオキシフェニルグリンシンは、P
d−C触媒存在下水素化分解でベンジル基を脱保護し、
ラセミ化することなく(D)−p−ヒドロキシフェニル
グリンシンが得られる。
【0033】抗生物質の合成に際して、初めに(D)−
p−ヒドロキシフェニルグリシンは、(D)−p−ヒド
ロキシフェニルグリシンのカルボキシル基のアルカリ金
属塩とアセト酢酸エステル類との縮合により得られるデ
イン塩(Dane Salt)と称されるN−(1−ア
ルコキシカルボニルプロペン−2−イル)−(D)−α
−アミノ−(p−ヒドロキシフェニル)酢酸アルカリ金
属塩(VIII)へ誘導される(特開平2-49757 号公報)。ア
ルカリ金属塩としては、ナトリウム、カリウムなどが用
いられ、アセト酢酸エステル類としては、アセト酢酸メ
チルエステル、アセト酢酸エチルエステルなどが用いら
れる。
【化8】 デイン塩は混合酸無水物へ誘導活性化され、6−アミノ
−2,2−ジメチルペナム−3−カルボン酸化合物(慣
用名:6−アミノペニシラン酸)の6位のアミノ基との
縮合反応をおこなう。縮合後、薄酸でアセト酢酸エステ
ルを脱保護することによりペニシリン系抗生物質6−
[(p−ヒドロキシフェニル)−α−アミノ−アセチル
アミノ]−2,2−ジメチルペナム−3−カルボン酸化
合物が得られる。[J. Chem. Soc. (C) p1920 (1971)] そのペニシリン系抗生物質の1種であるアモキシシリン
の合成には、例えば、デイン塩として、N−(1−メト
キシカルボニルプロペン−2−イル)−(D)−α−ア
ミノ−(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ナトリウムを用
いる。デイン塩はクロロ炭酸エチルなどのエステル活性
化剤と反応により、混合酸無水物へ誘導される。次に、
混合酸無水物と6−アミノペニシラン酸との縮合反応が
おこなわれ、アミドが形成される。最後に、希塩酸でア
セト酢酸メチルを除去すれば、アモキシシリン(IX)が
得られる。
【0034】
【化9】
【0035】
【実施例】以下に実施例を用いてさらに詳しく本発明を
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。以下の実施例は5−アリールヒダントイン化合
物の合成に関することである。
【0036】実施例1 ヒダントイン4.0g(40mmol)、ジオキサン1
0mlおよび臭素2.0ml(40mmol)を室温で
混合し、100℃で30分激しく撹拌した。0℃に冷却
後、フェノール5.7g(60mmol)を加えて0℃
で12時間反応させた。生成した沈殿をろ取し、水洗後
乾燥して5−(p−ヒドロキシフェニル)ヒダントイン
5.53gを収率72%で得た。該結晶は融点263〜
265℃を示し、その赤外線スペクトル、NMRスペク
トルおよびシリカゲル薄層クロマトグラフィーのRf値
は特公昭55-22474号記載の公知の方法で合成した評品と
完全に一致した。
【0037】実施例2 ヒダントイン4.0g(40mmol)、酢酸30m
l、および臭素2.0ml(40mmol)を室温で混
合し、60℃で2時間激しく撹拌した。室温に冷却後、
フェノール5.7g(60mmol)を加えて100℃
で6時間反応させた。生成した沈殿をろ取し、水洗後乾
燥して5−(p−ヒドロキシフェニル)ヒダントイン
4.0gを収率52%で得た。
【0038】実施例3 ヒダントイン4.0g(40mmol)、ジオキサン5
0ml、臭化亜鉛25mgおよび臭素2.0ml(40
mmol)を室温で混合し、80℃で30分間激しく撹
拌した。室温に冷却後、フェノール7.6g(80mm
ol)を加えて50℃で4時間反応させた。生成した沈
殿をろ取し、水洗後乾燥して5−(p−ヒドロキシフェ
ニル)ヒダントイン4.69gを収率61%で得た。
【0039】実施例4 ヒダントイン4.0g(40mmol)を酢酸40ml
に100℃で溶解し、塩素をガス導入管で6時間導入し
た。室温に冷却後、フェノール5.7g(80mmo
l)を加えて40℃で8時間反応させた。生成した沈殿
をろ取し、水洗後乾燥して5−(p−ヒドロキシフェニ
ル)ヒダントイン4.45gを収率58%で得た。
【0040】実施例5 ヒダントイン4.0g(40mmol)、ジオキサン5
0ml、スルフリルクロライド5.4g(40mmo
l)、アゾビスイソブチリロニトリル16.5mg
(0.1mmol)を混合し90℃で5時間撹拌した。
室温に冷却後、フェノール7.6g(80mmol)を
加えて80℃で5時間反応させた。生成した沈殿をろ取
し、水から再結晶し、5−(p−ヒドロキシフェニル)
ヒダントイン0.41gを収率5.3%で得た。
【0041】実施例6 ヒダントイン4.0g(40mmol)、酢酸30m
l、および臭素2.0ml(40mmol)を室温で混
合し、60℃で2時間激しく撹拌した。室温に冷却後、
アニソール8.64g(80mmol)を加えて100
℃で6時間反応させた。生成した沈殿をろ取し、水洗後
乾燥して5−(p−メトキシフェニル)ヒダントイン
3.96gを収率48%で得た。
【0042】実施例7 ヒダントイン4.0g(40mmol)、酢酸30m
l、および臭素2.0ml(40mmol)を室温で混
合し、60℃で2時間激しく撹拌した。室温に冷却後、
フェニルベンジルエーテル11.0g(60mmol)
を加えて40℃で12時間反応させた。生成した沈殿を
ろ取し、水洗後乾燥して5−(p−ベンジルオキシフェ
ニル)ヒダントイン5.4gを収率48%で得た。
【0043】実施例8 ヒダントイン4.0g(40mmol)、ジオキサン3
0ml、メタンスルホン酸10mg(0.1mmo
l)、および臭素2.0ml(40mmol)を室温で
混合し、100℃で30分激しく撹拌した。室温に冷却
後、2,5−t−ブチルフェノール12.37g(60
mmol)を加えて25℃で8時間反応させた。生成し
た沈殿をろ取し、水洗後乾燥して5−(p−ヒドロキシ
−2,5−t−ブチルフェニル)−ヒダントイン7.4
2gを収率61%で得た。
【0044】実施例9 ヒダントイン4.0g(40mmol)、酢酸30m
l、および臭素2.0ml(40mmol)を室温で混
合し、40℃で2時間激しく撹拌した。室温に冷却後、
カテコール8.8g(80mmol)を加えて100℃
で6時間反応させた。生成した沈殿をろ取し、水洗後乾
燥して5−(3,4−ジヒドロキシフェニル)ヒダント
イン5.14gを収率63%で得た。
【0045】実施例10 3−メチル−ヒダントイン4.56g(40mmo
l)、酢酸30ml、および臭素2.0ml(40mm
ol)を室温で混合し、40℃で2時間激しく撹拌し
た。室温に冷却後、フェノール5.7g(60mmo
l)を加えて100℃で6時間反応させた。生成した沈
殿をろ取し、水洗後乾燥して5−(p−ヒドロキシフェ
ニル)−3−メチル−ヒダントイン4.20gを収率5
1%で得た。
【0046】実施例11 1−ベンジル−ヒダントイン3.8g(20mmo
l)、ジクロロエタン40ml、メタンスルホン酸10
mg(0.1mmol)および臭素1.0ml(20m
mol)を室温で混合し、40℃で4時間激しく撹拌し
た。室温に冷却後、フェノール5.7g(60mmo
l)を加えて100℃で6時間反応させた。生成した沈
殿をろ取し、水洗後乾燥して5−(p−ヒドロキシフェ
ニル)−1−ベンジル−ヒダントイン2.88gを収率
51%で得た。
【0047】以下の実施例は脱保護及びアリールグリシ
ンへの光学分割に関することである。 実施例12 実施例5と同様にして得られた5−(p−メトキシフェ
ニル)ヒダントイン10.3g(50mmol)を酢酸
−48%HBr水溶液(1:1)中で1時間還流した。
溶媒を減圧下去後、水から再結晶して5−(p−ヒドロ
キシフェニル)ヒダントイン6.0gを収率62%で得
た。
【0048】実施例13 実施例10と同様にして得られた5−(p−ヒドロキシ
フェニル)−1−ベンジル−ヒダントイン9.5g(5
0mmol)、5%Pd−C500mg、酢酸50ml
を浸透式中圧水素還元装置にいれ、80℃で水素を6時
間導入した。Pd−Cをろ過し、酢酸を留去後、水から
再結晶して5−(p−ヒドロキシフェニル)ヒダントイ
ン8.2gを収率85%で得た。
【0049】実施例14 実施例7と同様にして得られた5−(p−ヒドロキシ−
2,5−t−ブチルフェニル)−ヒダントイン14g、
オルトリン酸1g、ジクロロベンゼン100mlを混合
し、130℃で4時間激しく撹はんした。析出した固体
をろ取し、水洗後、水から再結晶して5−(p−ヒドロ
キシフェニル)ヒダントイン6.5gを収率68%で得
た。
【0050】5−(p−ヒドロキシフェニル)ヒダント
インからp−ヒドロキシフェニルグリシンの合成と
(D)−p−ヒドロキシフェニルグリシンへの光学分割 実施例15 p−ヒドロキシフェニルグリシンの合成例 実施例1と同様にして得られた5−(p−ヒドロキシフ
ェニル)ヒダントイン19.2g(100mmol)を
20%(w/w)水酸化ナトリウム水溶液200ml中
で24時間加熱還流した。室温に冷却後濃塩酸で、反応
溶液をpH=4にした。生成物をろ別し、水10ml,
アセトン10ml×3で洗浄した。得られた白色固体を
減圧乾燥し、p−ヒドロキシフェニルグリシンの粗結晶
8.68gを収率52%で得た。得られた粗結晶の赤外
線スペクトル、NMRスペクトルはp−ヒドロキシフェ
ニルグリシンの標準資料から得られたスペクトルと一致
した。
【0051】実施例16 p−ヒドロキシフェニルグリシンの光学分割 p−ヒドロキシフェニルグリシン3.0gとd−ブロモ
カンファースルホン酸一水和物5.9gを沸騰水30m
lに溶解し、室温で2時間撹はんした。結晶をろ取し、
水洗、乾燥し、(D)−p−ヒドロキシフェニルグリシ
ン・d−ブロモカンファースルホン酸塩粗結晶4.0g
を得た。粗結晶をd−ブロモカンファースルホン酸3m
lから再結晶し、評品との比旋光度の比較により光学的
に純粋な(D)−p−ヒドロキシフェニルグリシン・d
−ブロモカンファースルホン酸塩3.5gを得た。
[α]25 D −2.8°(c=1;1N−HCl) 純粋な(D)−p−ヒドロキシフェニルグリシン・d−
ブロモカンファースルホン酸塩3.0gを沸騰水25m
lに溶解し、水酸化ナトリウム溶液でpH=6に調整し
たのち、溶液を7gまで濃縮した。5℃で2時間撹はん
後、沈殿した結晶をろ取し、水洗、乾燥し、(D)−p
−ヒドロキシフェニルグリシン0.9gを得た。[α]
20 D −158.1°(c=1;1N−HCl)
【0052】実施例17 光学分割後のベンジル基の脱保護 実施例7と同様にして得られた5−(p−ベンジルオキ
シフェニル)ヒダントインを濃水酸化ナトリウム溶液で
加水分解し、続いて既存の方法を用いて光学分割し、
(D)−p−ベンジルオキシフェニルグリシンを得た。
(D)−p−ベンジルオキシフェニルグリシン5.1g
(20mmol)、5%Pd−C200mg、酢酸30
mlを浸透式中圧水素還元装置にいれ、80℃で水素を
3時間導入した。Pd−Cをろ過し、酢酸を留去して
(D)−p−ヒドロキシフェニルグリシン3.1gを収
率92%で得た。[α] 23 D −157.9°(c=
1;1N−HCl)
【0053】以下の実施例は、β−ラクタム系抗生物質
の合成に関することである。デイン塩の合成例を示す。 実施例18 N−(1−アルコキシカルボニルプロペン−2−イル)
−(D)−α−アミノ−(p−ヒドロキシフェニル)酢
酸カリウムの合成例 200mlのフラスコに、水酸化カリウム5.82g
(98.5mmol、純度95%)、メタノール95m
lを加え、室温にて水酸化カリウムを溶解させる。次
に、実施例10と同様にして得られた(D)−p−ヒド
ロキシフェニルグリシン16.72g(100mmo
l)を加えた後、室温にて一時間撹はんする。アセト酢
酸メチル12.19g(105mmol)を一度に加
え、2時間加熱還流させる。反応溶液を10℃に冷却
後、析出した結晶をろ取し、メタノール(10ml×
3)にて洗浄する。得られた素結晶を減圧乾燥するとN
−(1−アルコキシカルボニルプロペン−2−イル)−
(D)−α−アミノ−(p−ヒドロキシフェニル)酢酸
カリウム26.0gを収率86%で得た。
【0054】抗生物質の合成例を示す。 実施例19 アモキシシリンの合成例 50mlナスフラスコに、アセトン7ml、N−(1−
アルコキシカルボニルプロペン−2−イル)−(D)−
α−アミノ−(p−ヒドロキシフェニル)酢酸カリウム
1.23g(4.05mmol)を加え、−10℃に冷
却する。クロロ蟻酸エチル0.50g(4.50mmo
l、純度97%)、N−メチルモルホリン10mgを加
え、15分間撹はんした。ついで、前もって調製した6
−アミノペニシラン酸0.82g(3.8mmol)を
5%水酸化カリウム溶液4mlとアセトン3mlの混液
に溶解して得た溶液に加えた。室温で2時間撹はん後、
0氷冷下塩酸水溶液で反応溶液をpH=2に調整した。
冷やしたメチレンクロライド15mlを加え5分間撹は
んした。水相を分離したのち、有機相を10℃の水浴に
つけたエバポレーターで減圧留去した。残留液を水酸化
ナトリウム水溶液でpH=5にし、5℃で3時間撹はん
した。分離した結晶をろ取し、冷やした水2ml、アセ
トン1mlで洗浄し、アモキシシリン三水和物1.0g
を収率63%で得た。[α] 23 D +293°(c=
0. 2;H2 O)
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、5位が無置換のヒダン
トイン化合物をハロゲン化剤と反応させた後、パラ位が
無置換でありフェノール性水酸基で保護されてもよいフ
ェノール化合物とを反応させることにより、容易に純度
の高い5−アリールヒダントインを得ることができる。
すなわち、本発明は半合成ペニシリン系抗生物質の重要
合成中間体(D)−アリールグリシン類の製造に対しき
わめて有効な中間原料の製造方法を提供するものであ
る。この製造方法を製造法に組み込んだペニシリン系抗
生物質が工業的に製造することができる。なお、フェノ
ール化合物の置換体を用いることによって、上記ペニシ
リン系抗生物質の新規な誘導体、およびその製造方法を
提供することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 5位が無置換のヒダントイン化合物をハ
    ロゲン化剤と反応させた後、パラ位が無置換でありフェ
    ノール性水酸基が保護されていてもよいフェノール化合
    物と反応させ該ヒダントイン化合物の5位にフェノール
    化合物のパラ位が置換させることを特徴とする5−アリ
    ールヒダントイン化合物の製造方法。
  2. 【請求項2】 フェノール化合物が、次の一般式(I) 【化1】 (式中、Rは水素原子またはフェノール性水酸基の保護
    基を示し、R1 〜R4 は水素原子またはRO基のパラ配
    向性を実質的に損なわない基を示す。)で表わされる化
    合物であり、ヒダントイン化合物が、次の一般式(II) 【化2】 (式中、R5 は水素原子または窒素原子の保護基を示
    し、R6 は水素原子、C1〜C8のアルキル基、C3〜
    C10のアルケニル基、C3〜C10のアルキニル基、
    C2〜C10のアシル基または置換基を有してもよいC
    6〜C10のアリール基、C7〜C16のアラルキル
    基、C1〜C10のアミノカルボニル基、C2〜C8の
    アルコキシカルボニル基、C7〜C10のアリールオキ
    シカルボニル基、C8〜C17のアラルキルオキシカル
    ボニル基、C1〜C8のスルフィニル基もしくはC1〜
    C8のスルフォニル基を示す。)で表わされる化合物で
    ある請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 ヒダントイン化合物がヒダントインであ
    り、フェノール化合物がフェノールである請求項1記載
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 ハロゲン化剤との反応を酸の存在下で行
    わせる請求項1ないし3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 ハロゲン化剤との反応をラジカル反応開
    始剤の存在下で行わせる請求項1ないし3記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 反応を実質的に水を含まない溶媒で行わ
    せる請求項1ないし3記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 次の工程を含むことを特徴とする6−
    [(p−ヒドロキシフェニル)−α−アミノ−アセチル
    アミノ]−2,2−ジメチルペナム−3−カルボン酸化
    合物の製造方法: (a)請求項1ないし請求項6記載の製造方法による5
    −アリールヒダントイン化合物の製造工程、(b)製造
    工程aで得られた5−アリールヒダントイン化合物がフ
    ェノール性水酸基の保護基および/またはヒダントイン
    環の1位に窒素原子の保護基を有する場合は、該保護基
    の脱保護工程、(c)製造工程aまたはbで得られたア
    リールヒダントイン化合物の光学分割を含む加水分解反
    応による光学活性なアリールグリシン化合物の製造工
    程、および(d)製造工程cで得られたアリールグリシ
    ン化合物のアルカリ金属塩とアセト酢酸エステルとの縮
    合反応によるデイン塩の製造工程。
  8. 【請求項8】 6−[(p−ヒドロキシフェニル)−α
    −アミノ−アセチルアミノ]−2,2−ジメチルペナム
    −3−カルボン酸化合物がアモキシシリンである請求項
    7記載の製造方法。
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