JPH07148146A - Ｘ線ｃｔスキャナ及びこのスキャナに用いるデータ収集装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】比較的狭い場所、特に救急車内に設置すること
ができ、且つその救急車において患者を移送中に診断を
行なうことができるＸ線スキャナ及びそのスキャナに用
いるデータ収集装置を提供する。 【構成】被検体の頭Ｈを挿入可能な診断用空間を囲むヘ
リカル状に設置されたＸ線管球用レール６，このＸ線管
球用レール６上を走行可能で且つ診断用空間に向かって
Ｘ線を放射可能なＸ線管球７，このＸ線管球７から放射
され診断用空間を通過してきたＸ線を検出するＸ線管球
７を有したデータ収集装置１と、このデータ収集装置１
により収集されたＸ線データを処理して投影データを得
るデータ処理装置２を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、被検体の頭、手足等を
挿入可能な診断用空間にＸ線を放射して診断を行なうＸ
線ＣＴスキャナ及びこのスキャナに用いる小型のデータ
収集装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のＸ線ＣＴスキャナは、患者を撮影
時に挿入する円形の患者用挿入口を有する架台と、患者
載置用の寝台とを備え、この架台及び寝台が一体となり
スキャナ室に設置されている。

【０００３】ＣＴ撮影時には、患者は、寝台の天板に載
置され、天板のスライド機構により架台の患者用挿入口
内に挿入される。そして、架台の回転駆動及び寝台（天
板）のスライド機構により患者用挿入口内の診断部位に
対して所要のスキャンが行なわれる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来のＸ
線ＣＴスキャナは、寝台と架台とを組み合わせて用いな
ければならず、このため装置全体は大型化し、スキャナ
を設置するにはかなり広いスペースが必要であった。し
たがって、狭い場所には設置することができず不便であ
った。特に救急車においては、一刻も早い診断が必要な
ためＸ線ＣＴスキャナの設置が望まれているが、上述し
た設置スペースの問題のため、実現が困難であった。

【０００５】本発明は上述したような事情に鑑みてなさ
れたもので、比較的狭い場所、特に、救急車内に設置す
ることができ、且つその救急車において患者を移送中に
診断を行なうことができるＸ線スキャナ及びそのスキャ
ナに用いるデータ収集装置を提供することを目的とす
る。また、特に、上記目的と共にシールド機能も簡単に
得られるＸ線スキャナ及びそのスキャナに用いるデータ
収集装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
請求項１に記載したＸ線ＣＴスキャナは、被検体を挿入
可能な診断用空間を囲むヘリカル状に設置された軌道手
段と、この軌道手段上を走行可能しながら上記診断用空
間に向かってＸ線を放射可能なＸ線発生器と、このＸ線
発生器から放射されて前記診断用空間を通過してきたＸ
線を検出するＸ線検出器とを有したデータ収集装置と、
このデータ収集装置により収集されたＸ線データを処理
して投影データを得るデータ処理装置と、このデータ処
理装置により得られた投影データから画像を再構成する
画像再構成装置とを備えている。

【０００７】特に、前記データ収集装置及び前記データ
処理装置を救急車内に設置し且つ前記画像再構成演算装
置を病院内に設置すると共に、前記データ処理装置によ
り得られた投影データを前記画像再構成装置へ無線で送
る投影データ送信装置を前記救急車内に設置している。

【０００８】また、前記目的を達成するため請求項３に
記載したＸ線ＣＴスキャナに用いるデータ収集装置は、
被検体を挿入可能な診断用空間を囲むヘリカル状に設置
された軌道手段と、この軌道手段上を走行可能しながら
上記診断用空間に向かってＸ線を放射可能なＸ線発生器
と、このＸ線発生器から放射されて前記診断用空間を通
過してきたＸ線を検出するＸ線検出器とを有している。

【０００９】特に、前記データ収集装置をシールドされ
た容器内に設けている。

【００１０】

【作用】本発明に係わるＸ線ＣＴスキャナのデータ収集
装置は、被検体の頭や手足等が入る程度の大きさの診断
空間を囲んでヘリカル状に設置された軌道手段上で、Ｘ
線発生器を、Ｘ線を曝射させながら走行させることによ
り、診断空間内に挿入された診断部位に対してスキャン
を行なってＸ線データを収集している。このＸ線データ
は、データ処理装置によりデータ処理されて投影データ
となり、その投影データは、画像再構成装置により診断
部位の画像として再構成される。

【００１１】つまり、従来架台の回転駆動や寝台のスラ
イド駆動によりスキャンを行なっていたものを、ヘリカ
ル状に設置された軌道手段上でＸ線発生器を走行させる
ことによりスキャンを行なうことができるため、架台や
寝台を用いない簡易・小型の構成で診断を行なうことが
できる。

【００１２】さらに、このデータ収集装置，データ処理
装置を救急車内に設置し、このデータ処理装置により得
られた投影データを、同じく救急車内に設置された投影
データ送信装置により病院内に設置された画像再構成装
置に無線で送信するように構成したため、救急車による
病院までの患者の移送中でもデータ収集装置及びデータ
処理装置により所望の診断部位に対する投影データを得
ることができる。さらに、その投影データを救急車内か
ら無線で病院へ送り、病院に設置された画像再構成装置
により診断部位の画像を再構成することができるため、
医者は、病院までの患者の移送中に、再構成された画像
で診断を行なうことができる。したがって、医師は、患
者が病院へ到着しだい、直ちにその診断結果に基づいて
その患者に対して適切な処置を施すことができる。

【００１３】また、そのデータ収集装置をシールドされ
た容器内に設ければ、余分な設備を用いないでＸ線を遮
蔽することができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面を参照し
て説明する。本実施例のＸ線ＣＴスキャナは、診断部位
にＸ線を放射し、診断部位を透過したＸ線データを収集
するデータ収集装置１と、その収集されたＸ線データを
データ処理して診断部位の投影データを得るデータ処理
装置２と、このデータ処理装置２により得られた投影デ
ータを後述する画像再構成装置に無線で送信する投影デ
ータ送信装置３とを備えている。そして、このデータ収
集装置１，データ処理装置２，及び投影データ送信装置
３は、図示しない救急車内に設置されている。

【００１５】ここで、図１に本実施例におけるＸ線ＣＴ
スキャナにおけるデータ収集装置１の診断部挿入方向側
から見た場合の正面図を示す。また、図２に、図１にお
けるデータ収集装置１のＩ−Ｉ方向矢視断面図を示す。

【００１６】データ収集装置１は、筒状の中空部を有し
た角柱状の容器であり、且つＸ線をシールドする鉛製の
容器である鉛シールド用シャーシ４内に設けられてい
る。なお、この鉛入りシールド用シャーシ４の側面の一
部には、鉛入りのガラス窓４ａが設けられている。ま
た、シャーシ４の側面の所定の位置にＯＭライン用マー
クが設けられている。

【００１７】このデータ収集装置１は、被検体の頭が入
る程度の大きさの中空部分（以下、診断用空間という）
を有する円筒状の容器５を備えている。この容器５は、
長手方向側の一方の面が開口面（以下、診断部挿入用開
口面５ａという）となっている。また、この容器５の図
１及び図２における下面には、診断部挿入方向に沿って
移動可能であり、且つ所定の位置で固定可能なヘッドレ
スト５ｂが備えられている。

【００１８】容器５を囲むようにして、診断部挿入用開
口面５ａから診断部挿入方向に沿ってヘリカル状（螺旋
状）にＸ線管球用レール６（以下、単にレール６とい
う）が設置されている。このレール６上に、該レール６
を走行可能であり且つ必要最小限の容量のＸ線管球７を
設けている。また、レール６を覆うようにして筒状に配
列された多数のＸ線検出器８を設けている。各検出器８
は、鉛シールド用シャーシ４の内壁に設置されている。

【００１９】一方、データ収集装置１には、Ｘ線管球７
及び検出器８の電源であるバッテリー９が着脱式で設け
られている。また、Ｘ線管球７のレール６上での移動開
始位置や移動終了位置等の設定を行なう管球制御装置１
０が備えられている。

【００２０】なお、レール６は、いわゆるスリップリン
グ方式と同様であり、このレール６を介して、Ｘ線管球
７にバッテリー９からの電気信号、及び管球制御装置１
０からの制御信号が送られている。

【００２１】Ｘ線管球７には、図３に示すように、車輪
７ａ，両端にその車輪７ａを取り付けたシャフト７ｂ，
このシャフト７ｂを所要の方向に回転させるモータ７ｃ
からなる管球走行機構７Ａが備えられている。

【００２２】また、データ処理装置２は、図４に示すよ
うに、Ａ／Ｄ変換器や積分回路等から成るＤＡＳ（Data
Acquisition System ）２ａを備えている。このＤＡＳ
２ａは、データ収集装置１により得られたＸ線データに
対してデジタル変換や積分演算等のデータ処理を行ない
投影データを得る。さらに、データ処理装置２は、ＤＡ
Ｓ２ａにより得られた投影データを例えば磁気ディスク
に保存するディスク装置２ｂとを備えている。このＤＡ
Ｓ２ａにより得られた投影データ（あるいは、ディスク
装置２ｂに保存された投影データ）は、必要に応じて投
影データ送信装置３に送られるようになっている。

【００２３】一方、病院内には、画像再構成装置１１及
びＴＶモニタ１２が設置されている。画像再構成装置１
１は、投影データ送信装置３から無線で送られる投影デ
ータを受信し、また、投影データの保存された磁気ディ
スクからその投影データを読み取り、例えばコンボリュ
ーション等の再構成演算処理を行なって画像（画像デー
タ）を再構成する。この画像再構成装置１１により再構
成された画像（画像データ）は、ＴＶモニタ１２に送ら
れ、断層像として表示される。

【００２４】次に全体動作を述べる。

【００２５】救急車に運ばれた患者の例えば頭部ＨをＸ
線ＣＴスキャナで診断する場合、その患者の頭部Ｈをデ
ータ収集装置１の容器５内へ診断部挿入用開口面５ａか
ら挿入する。このとき、患者の頭部Ｈをその頭部ＨのＯ
ＭラインがＯＭライン用マークに一致する所まで挿入
し、所定の位置に固定されたヘッドレスト５ｂに当接さ
せて固定する。なお、ヘッドレスト５ｂ及び患者の頭部
Ｈの位置の調整は、鉛入りガラス窓４ａを見ながら行な
う。

【００２６】患者の頭部Ｈが正確に固定されしだい、バ
ッテリー９を作動させてＸ線管球７に駆動電流を供給す
る。次いで管球制御装置１０からＸ線管球７に初期位置
設定信号を送る。この初期位置設定信号は、Ｘ線管球７
をレール６のＯＭライン（ＯＭライン用マーク）近傍の
位置まで走行させる信号である。

【００２７】レール６の所定の移動開始位置にあるＸ線
管球７は、送られた初期走行信号に基づいてモータ７ｃ
が駆動することによりシャフト７ｂ及び車輪７ａが回転
し、レール６に沿って診断部挿入方向に走行して、レー
ル６のＯＭライン近傍の位置まで走行して停止する。そ
して、再度管球制御装置１０からＸ線管球７へＸ線曝射
信号及び走行信号を送る。この結果、Ｘ線管球７は、Ｏ
Ｍライン近傍の位置から診断部挿入方向に沿ってヘリカ
ル状に設置されたレール６上を走行しながら、Ｘ線を患
者の頭部Ｈに向かって曝射する。つまり、患者の頭部Ｈ
に対してヘリカルスキャンを行なっている。なお、Ｘ線
管球７は、レール６上の所定の移動終了位置までくると
停止し、診断部挿入方向とは反対の方向に走行して前記
移動開始位置に戻るようになっている。

【００２８】曝射されたＸ線は、患者の頭部Ｈを透過す
る。そして、この透過Ｘ線は、レール６を覆うようにし
て筒状に配列された多数のＸ線検出器８によりＸ線デー
タとして収集される。このＸ線データは、ＤＡＳ２ａを
介して投影データとなり、通常は、ディスク装置２ｂに
保存される。

【００２９】そして、救急車が病院へ到着した後、ディ
スク装置２ｂから投影データの保存された磁気ディスク
を取り出して、病院内の画像再構成装置１１に入力す
る。画像再構成装置１１では、投影データから患者の頭
部Ｈの画像が再構成され、この画像はＴＶモニタ１２に
より表示される。

【００３０】また、患者の診断結果が一刻も早く必要な
場合、ＤＡＳ２ａにより得られた投影データを投影デー
タ送信装置３に送り、この投影データ送信装置３から病
院内の画像再構成装置１１に無線で投影データを送る。
つまり、患者の病院への移送の間に、画像再構成装置１
１へ送られた投影データから患者の頭部Ｈの画像が再構
成される。

【００３１】以上述べたように本実施例によれば、必要
最小限の容量のＸ線管球７をヘリカル状に設置されたレ
ール６上で走行させながら、患者の頭部Ｈに対してＸ線
を曝射させてスキャンを行なっているため、架台や寝台
を用いない簡易な構成で診断を行なうことができる。ま
た、このＸ線ＣＴスキャナのデータ収集装置２及び投影
データ送信装置３を救急車内に設置したため、救急車内
で患者の頭部Ｈの投影データを得ることが可能になり、
医師は、患者が病院へ送られしだい速やかに診断を行な
うことができる。

【００３２】特に、投影データ送信装置３により投影デ
ータを無線で病院内の画像再構成装置１１に送ることが
できるため、患者を病院へ移送している際に、病院で
は、送られた投影データを基にして患者の頭部Ｈの断層
像が得られている。つまり、医師は、患者の移送の間に
その患者の頭部Ｈの断層像に基づいて診断を行なうこと
ができるため、患者が病院へ送られしだい、頭部Ｈの断
層像による診断結果に基づいて、患者に対して適切な処
置を迅速に施すことができる。

【００３３】また、データ収集装置１をＸ線をシールド
する鉛製の容器である鉛シールド用シャーシ４内に設け
たため、余分な設備を用いることなしに、データ収集装
置１から漏れるＸ線を遮蔽することができる。

【００３４】なお、本実施例では、患者の頭部を診断す
る場合について説明したが本発明はこれに限定されるも
のではなく、例えば、患者の足部や腹部の診断について
も適用できる。

【００３５】

【発明の効果】以上述べたように本発明のＸ線ＣＴスキ
ャナ及びそのスキャナに用いるデータ収集装置によれ
ば、被検体の頭や手足等が入る程度の大きさの診断空間
を囲んでヘリカル状に設置された軌道手段上で、Ｘ線発
生器を、Ｘ線を曝射させながら走行させて、患者の診断
部位に対してスキャンを行なっている。したがって、架
台や寝台を用いない簡易な、しかも小型の構成でスキャ
ンを行なうことができるため、救急車内等の比較的狭い
場所でも使用でき、携帯も可能なＸ線ＣＴスキャナを提
供することができる。

【００３６】また、本発明のＸ線ＣＴスキャナのデータ
収集装置、及び収集されたＸ線データから投影データを
得るデータ処理装置を救急車に設置し、さらに、病院内
に設置された画像再構成装置へその投影データを無線で
送信するデータ送信装置を救急車内に設置したため、救
急車による病院までの患者の移送中でもデータ収集装置
及びデータ処理装置により所望の診断部位に対する投影
データを得ることができ、さらに、その投影データを救
急車内から無線で病院へ送り、病院に設置された画像再
構成装置により診断部位の画像を再構成することができ
る。したがって、医師は、病院までの患者の移送直後あ
るいは移送中に、再構成された画像で診断を行なうこと
ができるため、緊急の患者に対する診断速度が大幅に向
上する。

【００３７】さらに、本発明のデータ収集装置をシール
ドされた容器内に設けたため、余分なシールド設備を用
いることなしに、データ収集装置から漏れるＸ線を遮蔽
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係わるＸ線ＣＴスキャナの
データ処理装置の概略正面図。

【図２】図１におけるＸ線ＣＴスキャナのＩ−Ｉ矢視断
面図。

【図３】Ｘ線管球の管球走行機構の概略構成を示す図。

【図４】本発明の一実施例に係わるＸ線スキャナのシス
テム構成図。

【符号の説明】

１ データ収集装置 ２ データ処理装置 ２ａ ＤＡＳ（Data Acquisition System ） ２ｂ ディスク装置 ３ 投影データ送信装置 ４ 鉛入りシールド用シャーシ ４ａ 鉛入りガラス ５ 容器 ５ａ 診断部挿入用開口面 ５ｂ ヘッドレスト ６ Ｘ線管球用レール ７ Ｘ線管球 ８ Ｘ線検出器 ９ バッテリー １０ 管球制御装置 １１ 画像再構成装置 １２ ＴＶモニタ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 被検体を挿入可能な診断用空間を囲むヘ
   リカル状に設置された軌道手段と、この軌道手段上を走
   行しながら且つ上記診断用空間に向かってＸ線を放射可
   能なＸ線発生器と、このＸ線発生器から放射されて前記
   診断用空間を通過してきたＸ線を検出するＸ線検出器と
   を有したデータ収集装置と、このデータ収集装置により
   収集されたＸ線データを処理して投影データを得るデー
   タ処理装置と、このデータ処理装置により得られた投影
   データから画像を再構成する画像再構成装置とを備えた
   ことを特徴とするＸ線ＣＴスキャナ。
2. 【請求項２】 前記データ収集装置及び前記データ処理
   装置を救急車内に設置し且つ前記画像再構成装置を病院
   内に設置すると共に、前記データ処理装置により生成さ
   れた投影データを前記画像再構成装置へ無線で送信する
   投影データ送信装置を前記救急車内に設置したことを特
   徴とする請求項１記載のＸ線ＣＴスキャナ。
3. 【請求項３】 被検体を挿入可能な診断用空間を囲むヘ
   リカル状に設置された軌道手段と、この軌道手段上を走
   行可能しながら上記診断用空間に向かってＸ線を放射可
   能なＸ線発生器と、このＸ線発生器から放射されて前記
   診断用空間を通過してきたＸ線を検出するＸ線検出器と
   を有したことを特徴とするＸ線ＣＴスキャナに用いられ
   るデータ収集装置。
4. 【請求項４】 前記データ収集装置をシールドされた容
   器内に設けたことを特徴とする請求項１記載のＸ線ＣＴ
   スキャナ又は請求項３記載のデータ収集装置。