JPH0714659U - 太陽電池装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 太陽電池パネルの折り畳みや展開時等におい
ても、リード線の変形や局所的な応力集中等が生じない
信頼性の極めて高い太陽電池装置を提供すること。 【構成】 基板１に太陽電池素子２を配設した複数の太
陽電池パネル３どうしを、ヒンジ５を介して折り畳み・
展開自在に連結して成る太陽電池装置であって、このヒ
ンジ５でもって太陽電池パネル３どうしを電気的に接続
するように構成したことを特徴とする太陽電池装置。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、太陽電池素子を配設した複数の太陽電池パネルどうしをヒンジを介 して折り畳み・展開自在に電気的・機械的に連結して成る太陽電池装置に関する 。

【０００２】

【従来の技術とその問題点】

従来、この種の太陽電池装置として、例えば人工衛星等の宇宙飛翔体に搭載さ れる展開型太陽電池パドルが知られており、伸展自在な伸展構造体に太陽電池素 子が設けられたフィルム材等の可撓性を有する複数の太陽電池パネルがヒンジを 介して、折り畳み・展開自在に支持される。

【０００３】 この太陽電池パネルは例えば図５に示すように、太陽電池パネル２１の展開状 態においてリード線２２の変形を許容し得るように、リード線２２の屈曲部２２ ａが所定の曲率を有するごとくに配線しなければ、リード線２２の塑性歪み等に より断線が生じてしまう。

【０００４】 そこで、このような問題点を解消するために、例えば図６に示すように、一方 の太陽電池パネル３１の太陽電池素子と他方の太陽電池パネル３２の太陽電池素 子とを電気的に接続する接続端子３３，３４を設け、これら接続端子３３，３４ をヒンジ３５の配列ラインに対して非線対称に設け、これら接続端子間をリード 線３６で接続するように構成して、リード線３６の変形の影響を最小にとどめて 断線等を防止したものが知られている（特開平２−234900号公報等参照) 。

【０００５】 しかしながら、ヒンジを配列ラインに対して非線対称に設けたとしても、太陽 電池パネルの折り畳み時等においては、やはりリード線に局所的な応力が集中し 、この箇所で断線が生じるなどして耐久性が低いことが判明した。また、太陽電 池パネルの開閉時にヒンジの開閉に支障がないように、リード線に余裕をもたせ て少し弛ませているので、このリード線がヒンジや基板に挟まったり引っ張られ たりすることがあり、リード線の断線やリード線の被覆が剥がれたりして漏電や 短絡の原因となり問題である。

【０００６】

【目的】

そこで、本考案は上記従来技術の問題を解消し、太陽電池パネルの折り畳みや 展開時等においても、リード線の変形や局所的な応力集中等が生じない信頼性の 極めて高い太陽電池装置を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の太陽電池装置は、太陽電池素子を基板上 に配設した太陽電池パネルの複数個を、太陽電池パネル間に設けたヒンジを介し て折り畳み・展開自在に連結するとともに、各太陽電池パネルを前記ヒンジで電 気的に接続することを特徴とする。ここで、ヒンジによる電気的な接続は、例え ば太陽電池パネルの電極端子をヒンジに直接接続するか、またはヒンジの軸芯内 を挿入したリード線で接続する。

【０００８】

【作用】

上記構成の太陽電池装置によれば、ヒンジを介して太陽電池パネルどうしを電 気的に接続するするので、太陽電池パネルの折り畳みや展開時に、従来のごとく リード線等に不要な応力集中が生じることがない。なお、リード線をヒンジの軸 芯内に通すようにする場合、一対の接続端子の位置関係はヒンジの中央部に対し て互いに略点対称の位置関係とするとよい。

【０００９】

【実施例】

本考案に係る実施例について図面に基づき詳細に説明する。 図１に示すように、太陽電池装置Ｐは、ガラスエポキシ製の基板１にＰＶＦ及 びＥＶＡフィルムによるラミネート構造とした太陽電池素子２を多数配設して成 る太陽電池パネル（以下、パネルともいう）３の複数を、綿製のシート４上に配 設し、各パネル３の基板１に設けたヒンジ５を介して、全体が折り畳み・展開自 在となっている携帯用太陽電池装置である。ここで、シート４が延出している延 出部４ａの周縁には、ポリエステル製のテープ６が貼着されており、展開したパ ネル３を折り畳み、各テープ６をシート４の裏面に押しつけることによって封止 できるように構成されている。

【００１０】 次に、ヒンジ５について詳細に説明する。ヒンジ５はアルミニウム合金、黄銅 、又はステンレスで構成され、図２に示すように、各パネル３の太陽電池素子２ から導出された少なくとも一対の接続端子７を、ヒンジ５の中央部に対して略点 対称に位置させている。さらに、この接続端子７のそれぞれから導出したリード 線８をヒンジ５の軸孔９に貫通させている。なお、ヒンジ５の軸孔９の少なくと も内周には電気化学的陽極酸化皮膜処理方法によって、酸化アルミニウム等の皮 膜（ヒンジ材質が黄銅の場合には硬質クロムをメッキする。また、ステンレスの 場合は熱処理等を施して皮膜を形成させる。）を表面に被覆させている。

【００１１】 また、図３に示すように、ヒンジ５の軸孔９には、軸孔９の内径より小さい内 径を有する、ステンレスや鉄等の材質の軸芯であるスピリングピン１０を圧入し ており、このスプリングピン１０のバネ作用によりパネルどうしの成す角度を適 当な角度に設定することができる。これにより最適の受光角度で日射を受けるこ とが可能となる。なお、リード線８は電線１１をナイロン，テフロン，ポリエチ レン，ポリオレフィン，ポリイミド等の樹脂チューブ１２で覆っており、この樹 脂チューブ１２はスプリングピン１０の内径より小さい。

【００１２】 このパネル３は、例えば図４（ａ）に示すように、パネル３の展開状態におい てリード線７の変形を許容し得るように、所定の曲率を有するごとくに配線しな ければ、パネル３の展開・折り畳みによるリード線８の繰り返しの応力集中や塑 性歪み等により断線等が生じてしまう。

【００１３】 すなわち、図４（ｂ）のように隣合うパネル３ａ，３ｂの接続端子７ａ，７ｂ の位置関係がヒンジ５の中央部に対して非点対称の場合、リード線８の曲げ半径 ＲＡとＲＢとが同等とならず（図の場合はＲＡ＞ＲＢ）、これにより曲げ半径Ｒ Ａを有するリード線８の屈曲部は、曲げ半径ＲＢを有するリード線８の屈曲部に 比較して、ねじれや屈曲等に対する電線のストレスが小さいが、逆に曲げ半径Ｒ Ｂを有するリード線８の屈曲部８ａには大きなストレスが生じることとなり、こ の箇所においてリード線７の変形や断線が生じることとなり問題である。

【００１４】 なお、上述の実施例においては、携帯用の折り畳み式の太陽電池装置について 適用したものについて説明したが、例えば人工衛星等の宇宙飛翔体に搭載される ような展開型の太陽電池パドル等にも適用することができる。また、太陽電池パ ネルどうしを連結するヒンジの形状等についても、一般的なヒンジに限定される ものではなく、太陽電池パネルどうしを連結できる部材であれば本考案の要旨を 逸脱しない範囲内で適宜変更し実施しうる。

【００１５】

【考案の効果】

本考案の太陽電池装置によれば、ヒンジを介して太陽電池パネルどうしを電気 的に接続するので、太陽電池パネルの折り畳みや展開時に、従来のごとくリード 線等に不要な応力集中が生じることがなく、信頼性の極めて高い太陽電池装置を 提供することができる。また、リード線をヒンジの軸芯内に通すようにする場合 、一対の接続端子の位置関係はヒンジの中央部に対して互いに略点対称の位置関 係とすると、一方の接続端子から延びるリード線の屈曲部等に応力集中が生じる ことを極力防止することができ、いっそう信頼性の高い太陽電池装置を提供でき る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る携帯用太陽電池装置を展開した平
面図である。

【図２】図１におけるＡ部拡大図である。

【図３】ヒンジ部分の詳細な構造を示す分解平面図であ
る。

【図４】（ａ）は太陽電池パネルの接続端子どうしをヒ
ンジの中央部に対して非点対称に配置した場合のヒンジ
部における要部平面図であり、（ｂ）は接続端子どうし
をヒンジの中央部に対して点対称に配置した場合のヒン
ジ部における要部平面図である。

【図５】従来の展開型太陽電池パドルの要部展開図であ
り、（ａ）は平面図、（ｂ）は側面図である。

【図６】従来の他の展開型太陽電池パドルの要部展開図
であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は側面図である。

【符号の説明】

１ ・・・ 基板 ２ ・・・ 太陽
電池素子 ３ ・・・ パネル ５ ・・・ ヒン
ジ ６ ・・・ テープ ７ ・・・ 接続
端子 ８ ・・・ リード線 ９ ・・・ 軸孔 １０ ・・・ スプリングピン １１ ・・・ 電
線 １２ ・・・ 樹脂チューブ Ｐ ・・・ 太陽電池装置

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 太陽電池素子を基板上に配設した太陽電
   池パネルの複数個を、太陽電池パネル間に設けたヒンジ
   を介して折り畳み・展開自在に連結するとともに、各太
   陽電池パネルを前記ヒンジで電気的に接続することを特
   徴とする太陽電池装置。