JPH07145247A - 紫外線吸収剤含有樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

紫外線吸収剤含有樹脂成形品及びその製造方法

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JPH07145247A
JPH07145247A JP5320994A JP32099493A JPH07145247A JP H07145247 A JPH07145247 A JP H07145247A JP 5320994 A JP5320994 A JP 5320994A JP 32099493 A JP32099493 A JP 32099493A JP H07145247 A JPH07145247 A JP H07145247A
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Japan
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ultraviolet absorber
benzotriazole
absorber
molded article
polyester resin
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JP5320994A
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Masayoshi Yamakido
正義 山木戸
Yoichiro Makimura
洋一郎 牧村
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Takiron Co Ltd
Original Assignee
Takiron Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 紫外線吸収剤の揮散、消失が少なく、長期間
にわたって紫外線吸収能を維持できる耐候性の極めて良
好な紫外線吸収剤含有樹脂成形品と、その製造方法を提
供する。 【構成】 ポリエステル系樹脂を加熱溶融して所定の形
状に成形する前に、ベンゾトリアゾール系又はベンゾフ
ェノン系の紫外線吸収剤と、エステル交換用触媒として
ナトリウムメトキシドを加え、紫外線吸収剤を加熱溶融
状態のポリエステル系樹脂のポリマー分子とエステル交
換反応させることによって、紫外線吸収剤がポリマー分
子にエステル結合している紫外線吸収剤含有樹脂成形品
を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベンゾトリアゾール系
又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤を揮散、消失しな
いように含有せしめて耐候性を大幅に向上させたポリエ
ステル系樹脂よりなる成形品と、その製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系樹脂は強度等に優れる反
面、耐候性に劣るという欠点がある。そのため、ポリカ
ーボネート等のポリエステル系樹脂を溶融、成形して屋
根材その他の外装用建材等を製造するときには、樹脂中
に紫外線吸収剤を混入し、紫外線による樹脂の劣化を抑
制して耐候性の向上を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来か
ら使用されている紫外線吸収剤をポリエステル系樹脂に
物理的に混入しても、紫外線吸収剤が該樹脂のポリマー
分子と化学的に結合しないため、該樹脂の溶融、成形時
に紫外線吸収剤が揮散、消失しやすく、成形後も徐々に
揮散、消失するという問題があった。このため、従来の
紫外線吸収剤を含んだポリエステル系樹脂成形品は、耐
候性を長期間持続させる点でまだ不満足なものであっ
た。
【0004】かかる事情から、最近では、揮散しにくい
高分子量の紫外線吸収剤の研究が行われ、例えばベンゾ
フェノン系化合物とアクリルモノマーとの共重合体より
なる紫外線吸収剤などが開発されている。けれども、こ
のように高分子量化した紫外線吸収剤はポリエステル系
樹脂との相溶性に劣る場合があり、また、透明性の良好
なポリカーボネート樹脂等に添加すると、透明性の低下
や着色の問題を生じる場合があった。
【0005】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、紫外線吸収剤の揮散、消
失が少なく、長期間にわたって紫外線吸収能を維持でき
る耐候性の極めて良好な紫外線吸収剤含有ポリエステル
系樹脂成形品と、その製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の紫外線吸収剤含有樹脂成形品は、ベンゾト
リアゾール系又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤と、
エステル交換用触媒としてナトリウムメトキシドがポリ
エステル系樹脂よりなる成形品に含有され、上記の紫外
線吸収剤がポリエステル系樹脂のポリマー分子とエステ
ル交換反応してエステル結合していることを特徴とする
ものであり、また、本発明の製造方法は、ポリエステル
系樹脂を加熱溶融して所定の形状に成形する前に上記の
紫外線吸収剤とエステル交換用触媒を加え、上記の紫外
線吸収剤を加熱溶融状態のポリエステル系樹脂のポリマ
ー分子とエステル交換反応させることを特徴とするもの
である。
【0007】そして、望ましくは紫外線吸収剤として、
2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
誘導体のうち、ヒドロキシフェニル基の3′、4′、
5′、6′の水素もしくはベンゾトリアゾール基のベン
ゼン環の3、4、5、6の水素のいずれかを水酸基を有
する官能基で置換した誘導体を使用するか、又は、2−
ヒドロキシベンゾフェノン誘導体のうち、ベンゼン環の
3、4、5、6の水素もしくは2′、3′、4′、
5′、6′の水素のいずれかを水酸基を有する官能基で
置換した誘導体を使用するものである。
【0008】
【作用】ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系の
紫外線吸収剤は、それ単独で成形前の加熱溶融状態のポ
リエステル系樹脂に混合してもエステル交換反応を実質
的に起こさないが、エステル交換用触媒を加えると、ベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がポリエステル系樹脂
のポリマー分子のエステル結合部分でエステル交換反応
を起こし、エステル結合して固定化される。このエステ
ル交換反応は、触媒としてナトリウムメトキシドを使用
すると反応率が極めて高くなり、紫外線吸収剤の大部分
がエステル結合する。反応率の具体的な値は紫外線吸収
剤の種類に応じて多少変化するが、紫外線吸収剤とし
て、2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾ
ール誘導体のうち、ヒドロキシフェニル基の3′、
4′、5′、6′の水素もしくはベンゾトリアゾール基
のベンゼン環の3、4、5、6の水素のいずれかを水酸
基を有する官能基で置換した誘導体を使用した場合、又
は、2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体のうち、ベン
ゼン環の3、4、5、6の水素もしくは2′、3′、
4′、5′、6′の水素のいずれかを水酸基を有する官
能基で置換した誘導体を使用した場合には、約80%の
高い反応率となり、残りの紫外線吸収剤が未反応のまま
ポリマー分子間に分散状態で混在するだけとなる。
【0009】このように、紫外線吸収剤の大部分がポリ
エステル系樹脂のポリマー分子にエステル結合して樹脂
成形品中に含有されていると、樹脂成形品から経時的に
揮散、消失する紫外線吸収剤の量が激減し、長期間にわ
たって紫外線吸収能を維持できるため、耐候性が大幅に
向上する。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0011】図1は本発明の製造方法の一実施例を示す
概略説明図であって、ポリエステル系樹脂を溶融押出成
形して板状成形品(樹脂板)を製造する場合を例示した
ものである。
【0012】図1において、1は溶融押出成形機、1a
は成形機の後部に設けた樹脂投入用ホッパー、1bは成
形機の途中に設けたホッパー、1cは成形機に内蔵した
スクリュー、1dは成形機の先端に設けた成形用の金
型、2は上下一対の冷却ロール、3は搬送用ベルト、4
は切断機である。
【0013】この実施例によれば、予備加熱で乾燥させ
た原料のポリエステル系樹脂5を成形機後部のホッパー
1aから成形機1内へ投入し、ポリエステル系樹脂5を
溶融温度以上(但し分解温度以下)に加熱して溶融させ
ながらスクリュー1cで混練する。そして、ベンゾトリ
アゾール系又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤とエス
テル交換用触媒との混合物6を成形機途中のホッパー1
bから投入し、スクリュー1cで加熱溶融状態のポリエ
ステル系樹脂5と均一に混練して金型1dから板状に押
出成形する。
【0014】このようにベンゾトリアゾール系又はベン
ゾフェノン系の紫外線吸収剤とエステル交換用触媒を混
練すると、紫外線吸収剤がポリエステル系樹脂5のポリ
マー分子中のエステル結合部分でエステル交換反応を起
こし、分子末端に紫外線吸収剤がエステル結合したポリ
マー分子を生じる。このエステル交換反応は、ポリエス
テル系樹脂5が溶融した状態で行われる。
【0015】そして、金型1dから板状に押出成形され
たポリエステル系樹脂の成形品50は、上下一対の冷却
ロール2,2で冷却されながら引き取られ、搬送用ベル
ト3で切断機4へ搬送されて所定の長さに切断される。
【0016】上記の方法で製造された紫外線吸収剤含有
ポリエステル系樹脂板(成形品)は、ベンゾトリアゾー
ル系又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤の大部分がポ
リエステル系樹脂のポリマー分子の末端にエステル結合
して固定化されているため、経時的に樹脂板から揮散、
消失する紫外線吸収剤の量は極く僅かである。
【0017】原料のポリエステル系樹脂5は、溶融温度
が比較的高くエステル交換反応を起こしやすいものが適
しており、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレ
ート、ポリカプロラクトン等の熱可塑性のポリエステル
系樹脂が使用される。
【0018】また、紫外線吸収剤としては、分子末端に
カルボキシル基、水酸基、アミノ基のいずれかを有する
ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系の紫外線吸
収剤が使用されるが、特に下記の[化1]に示すような
分子構造のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、又は、
下記[化2]に示すように分子構造のベンゾフェノン系
紫外線吸収剤が好適に使用される。
【化1】
【化2】
【0019】即ち、[化1]の紫外線吸収剤は、2−
(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導
体のうち、ヒドロキシフェニル基の3′、4′、5′、
6′の水素もしくはベンゾトリアゾール基のベンゼン環
の3、4、5、6の水素のいずれかを、水酸基を有する
官能基−ROHで置換したものであり、[化2]の紫外
線吸収剤は、2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体のう
ち、ベンゼン環の3、4、5、6の水素もしくは2′、
3′、4′、5′、6′の水素のいずれかを、水酸基を
有する官能基−ROHで置換したものである。このよう
な分子構造のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベン
ゾフェノン系紫外線吸収剤は、他の分子構造の紫外線吸
収剤に比べると、高い反応率でポリエステル系樹脂のポ
リマーとエステル交換反応を生じる。
【0020】特に、官能基のRが[化1][化2]に例
示したようなアルキレン鎖、アルキレンオキシド鎖、ポ
リアルキレンオキシド鎖であって、且つ、官能基−RO
Hがヒドロキシフェニル基の4位の炭素についたベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤や、官能基−ROHがベン
ゼン環の4位の炭素についたベンゾフェノン系紫外線吸
収剤は、極めて好適に使用される。そのようなベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−
(2′−ヒドロキシ−4′−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
4′−ヒドロキシメトキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル等が、また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例
としては、2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシエトキシベ
ンゾフェノン等が挙げられる。
【0021】尚、本発明においては、上記以外に、官能
基が単に水酸基であるベンゾトリアゾール系又はベンゾ
フェノン系の紫外線吸収剤を使用することもできる。
【0022】以上のようなベンゾトリアゾール系又はベ
ンゾフェノン系の紫外線吸収剤は、単独で又は適宜混合
してポリエステル系樹脂に加えられるが、その添加量は
ポリエステル系樹脂100重量部に対して0.01〜1
0.0重量部の割合とすることが望ましい。紫外線吸収
剤の添加量が0.01重量部未満の場合は、得られる樹
脂成形品中に含有保持される紫外線吸収剤が僅かである
ため、優れた紫外線吸収能を付与することが困難とな
り、逆に10.0重量部より多い場合は、ポリマーの分
子量低下が著しくなるため商品価値が低下する。
【0023】一方、エステル交換用触媒としてはナトリ
ウムメトキシドを使用することが必要である。ナトリウ
ムメトキシドを使用すると、後述の実験データに示すよ
うにエステル交換の反応率が約80%と高くなり、残り
の紫外線吸収剤が未反応のままポリエステル系樹脂のポ
リマー分子間に分散状態で混在するだけとなる。従っ
て、樹脂成形品から経時的に揮散、消失する紫外線吸収
剤の量が激減し、長期間にわたって紫外線吸収能を維持
し得るので、樹脂成型品の耐候性が大幅に向上する。
【0024】ナトリウムメトキシドの添加量については
特に限定されないが、触媒添加量があまり多すぎると樹
脂成型品が黄変することがあるので、ポリエステル系樹
脂100重量部に対してナトリウムメトキシドを0.0
005〜0.5重量部の割合で添加するのが好ましい。
黄変する理由はよく判らないが、ナトリウムメトキシド
が紫外線吸収剤に悪影響を与えるものと思われる。
【0025】ポリエステル系樹脂とベンゾトリアゾール
系又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤とのエステル交
換反応は、前記のようにポリエステル系樹脂を溶融温度
以上、分解温度以下の温度に加熱して溶融状態にすると
起こる。従って、ポリエステル系樹脂として例えばポリ
カーボネート樹脂を使用する場合は、成形機1内で約2
30〜330℃の温度に加熱して溶融させればよい。エ
ステル交換反応に要する時間は、紫外線吸収剤の種類や
ポリエステル系樹脂の種類等によって多少異なるが、お
よそ1〜15分程度で反応がほぼ終了する。従って、前
記実施例のように樹脂板を押出成形する場合は、成形機
1内部の溶融ポリエステル系樹脂5に紫外線吸収剤とエ
ステル交換用触媒との混合物6を投入して1〜15分程
度混練してから該樹脂を先端の金型1dより押出すよう
に、中間のホッパー1bの位置やスクリュー設計及びそ
の他の押出条件を設定し、エステル交換反応を充分に行
わせることが必要である。その場合、二軸の押出機又は
混練機が好適に使用される。
【0026】前記実施例では、ホッパー1aからポリエ
ステル系樹脂5を、ホッパー1bから紫外線吸収剤とエ
ステル交換用触媒との混合物6を成形機1内に投入して
いるが、いずれか一方のホッパーからポリエステル系樹
脂5と混合物6を一緒に投入してもよく、また、紫外線
吸収剤と触媒を個別に投入してもよい。
【0027】更に、前記実施例では、紫外線吸収剤とエ
ステル交換反応させた溶融ポリエステル系樹脂を金型1
dから単層で押出成形して樹脂板を製造しているが、金
型1d等を変更してシート、フィルム、異形品等、種々
の形状の押出成形品を製造できることは勿論であり、ま
た、共押出成形機等を用いて、紫外線吸収剤をエステル
結合させた溶融ポリエステル系樹脂を上層とし、該上層
より紫外線吸収剤が少ないか又は全く含まない溶融ポリ
エステル系樹脂又は他の樹脂を上下二層もしくは三層に
共押出成形して、紫外線吸収剤を含むポリエステル系樹
脂層を表面に積層した二層ないし三層構造の樹脂板を製
造することも勿論可能である。
【0028】また、射出成形する場合でも、溶融ポリエ
ステル系樹脂を射出成形機の金型内部へ射出する前に、
ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系の紫外線吸
収剤とエステル交換用触媒を入れてエステル交換反応さ
せれば、同様に紫外線吸収剤の揮散が少ない樹脂成形品
を得ることができる。
【0029】次に、本発明の更に具体的な実施例を挙げ
る。
【0030】[実施例1]ポリエステル系樹脂としてポ
リカーボネート、紫外線吸収剤として2−(2′−ヒド
ロキシ−4′−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンゾト
リアゾールをポリカーボネート100重量部に対して
1.0重量部、エステル交換用触媒としてナトリウムメ
トキシドを0.001重量部の配合比率で予めドライブ
レンドを行った。このブレンド物を押出成形機に投入し
270℃で加熱して溶融混練を行い、約3分間のエステ
ル交換反応をさせて成形機の金型から押出成形すること
により、厚さ0.1mmのフィルムを得た。そして、こ
のフィルムで試験片(1)を作成した。
【0031】この試験片(1)について、エステル結合
している紫外線吸収剤と未反応のまま混在している紫外
線吸収剤との量的割合(反応率)を以下に述べる試験方
法で調べたところ、約80%の高い反応率で紫外線吸収
剤がエステル交換反応していることが判明した。
【0032】更に、この試験片(1)について促進耐候
性試験を行い、照射時間と紫外線吸収剤の残存率及び黄
変度(ΔYI)との関係を調べた。その結果を後記の表
1に示す。なお、促進耐候性試験は、キセノンウェザオ
メーター(アトラス社製)を用いて100hr,500
hr,1000hr照射による促進試験を行い、ΔYI
はΣ90カラーメジャーリングシステム(日本電色株式
会社製)で測定して求めたものである。また、紫外線吸
収剤の残存率は、可視紫外分光光度計UV−3100
(株式会社島津製作所製)を用いて、それぞれの照射時
間における試験片の紫外線吸光度を測定し、紫外線吸収
剤の最大吸収波長の吸光度変化を照射時間0hrの時の
残存率を100として計算した値である。
【0033】(反応率の試験方法)GPC(ゲルパーミ
ネーションクロマトグラフィー)装置を使用し、実施例
1で用いた紫外線吸収剤2−(2′−ヒドロキシ−4′
−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンゾトリアゾールの
最大紫外線吸収波長(λmax =325nm)にGPCの
紫外線検出器の検出波長を合わせて、実施例1の試験片
(1)の分子量分布曲線を得る。比較のために、後述の
比較例1に示すように触媒を入れないで実施例1の紫外
線吸収剤を同じ配合比でポリカーボネートと溶融混練し
て押出成形したエステル交換反応していないフィルムを
比較用の試験片(1′)とし、この試験片(1′)のG
PCの分子量分布曲線を得る。図2に試験片(1)の分
子量分布曲線を、図3に比較用の試験片(1′)の分子
量分布曲線を示す。比較用試験片(1′)のGPCの分
子量分布曲線(図3)は、低分子側(横軸右側)に紫外
線吸収剤のピーク(a)が現れるのに対し、実施例1の
試験片(1)の分子量分布曲線(図2)は、エステル交
換反応していない紫外線吸収剤のピーク(b)が同じ溶
出時間に現れるけれども、検出強度が低くなり、その減
衰したピークが高分子側(横軸左側)のピーク(c)に
シフトして現れる。つまり、紫外線吸収剤とポリカーボ
ネートの末端が反応することにより紫外線吸収剤が高分
子量化してピークがシフトする。そこで、反応部分のピ
ーク(c)の面積に対する未反応部分のピーク(b)及
び反応部分のピーク(c)の面積の和の比から、反応率
を求める。次いで、未反応の紫外線吸収剤を除去するた
めに実施例1の試験片(1)を精製し、FT−IR、 1
H−NMR、13C−NMRにより末端に紫外線吸収剤が
エステル結合していることを確認する。これよりシフト
して現れたピーク(c)が紫外線吸収剤のみの単独重合
でないことを確認できる。
【0034】[実施例2]ポリエステル系樹脂としてポ
リカーボネート、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−
4ヒドロキシエトキシベンゾフェノンをポリカーボネー
ト100重量部に対して1.0重量部、触媒としてナト
リウムメトキシドを0.001重量部の配合比率で予め
ドライブレンドを行った以外は、実施例1と同様にして
試験片(2)を作成した。
【0035】この試験片(2)について、紫外線吸収剤
の反応率を前記の方法で求めたところ、約80%の反応
率で紫外線吸収剤がエステル交換反応していることが判
明した。更に、この試験片(2)について実施例1と同
様に促進耐候性試験を行い、照射時間と紫外線吸収剤の
残存率及び黄変度(ΔYI)との関係を調べた。その結
果を後記の表1に示す。
【0036】[比較例1]紫外線吸収剤2−(2′−ヒ
ドロキシ−4′−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンゾ
トリアゾールをポリカーボネート100重量部に対し
1.0重量部混入し、エステル交換用触媒を混入しない
で押出成形した厚さ0.1mmのフィルムで比較用の試
験片(1′)を作成した。そして、この試験片(1′)
について、実施例1と同様に促進耐候性試験を行い、照
射時間と紫外線吸収剤の残存率及び黄変度(ΔYI)と
の関係を調べた。その結果を後記の表1に示す。
【0037】[比較例2]ポリカーボネート100重量
部に対し紫外線吸収剤2−ヒドロキシ−4ヒドロキシエ
トキシベンゾフェノンを1.0重量部混入して押出成形
した厚さ0.1mmのフィルムで比較用の試験片
(2′)を作成し、この試験片(2′)について実施例
1と同様に促進耐候性試験を行って、照射時間と紫外線
吸収剤の残存率及び黄変度(ΔYI)との関係を調べ
た。その結果を後記の表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】この表1を見ると、エステル交換用触媒を
使用しないでベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のみを
混入した比較用の試験片(1′)や、ベンゾフェノン系
紫外線吸収剤のみを混入した比較用の試験片(2′)
は、紫外線吸収剤がポリカーボネートのポリマー分子と
殆どエステル結合しないため経時的に揮散しやすく、1
000時間照射後の紫外線吸収剤の残存率が69%以下
に低下し、試験片の劣化が進行して黄変度が3.9以上
に増大することが判る。これに対し、ベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤とナトリウムメトキシドを混入した本
発明の試験片(1)や、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤
とナトリウムメトキシドを混入した本発明の試験片
(2)は、紫外線吸収剤の約80%がポリカーボネート
のポリマー分子とエステル結合して固定され、未反応の
紫外線吸収剤が経時的に揮散するだけであるから、10
00時間照射後の紫外線吸収剤の残存率が92%以上と
高く、黄変度も2.9以下と低い値であり、優れた耐候
性を維持することが判る。
【0040】
【発明の効果】以上の説明及び試験結果から明らかなよ
うに、本発明の紫外線吸収剤含有樹脂成形品は、エステ
ル交換用触媒として加えるナトリウムメトキシドの触媒
作用により、ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン
系の紫外線吸収剤が高い反応率でポリエステル系樹脂の
ポリマー分子とエステル結合して固定化されるため、紫
外線吸収剤の経時的な揮散、消失が激減し、長期間に亘
って優れた紫外線吸収能を維持し、耐候性が大幅に向上
するといった顕著な効果を奏する。
【0041】また、本発明の製造方法は従来汎用の各種
成形機を使用し、成形前にベンゾトリアゾール系又はベ
ンゾフェノン系の紫外線吸収剤とナトリウムメトキシド
を加えて加熱溶融状態のポリエステル系樹脂のポリマー
分子とエステル交換反応させる工程を付加するだけで実
施できるから、特別な成形機や装置等を新たに設置する
必要がなく経済的であり、耐候性に優れた成形品を効率
よく量産できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一実施例を示す概略説明図
である。
【図2】GPCによる試験片(1)の分子量分布曲線で
ある。
【図3】GPCによる比較用の試験片(1′)の分子量
分布曲線である。
【符号の説明】
1 押出成形機 5 ポリエステル系樹脂 6 ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系の紫外
線吸収剤とエステル交換用触媒(ナトリウムメトキシ
ド)との混合物 50 樹脂成形品

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン
    系の紫外線吸収剤と、エステル交換用触媒としてナトリ
    ウムメトキシドがポリエステル系樹脂よりなる成形品に
    含有され、上記の紫外線吸収剤がポリエステル系樹脂の
    ポリマー分子とエステル交換反応してエステル結合して
    いることを特徴とする紫外線吸収剤含有樹脂成形品。
  2. 【請求項2】紫外線吸収剤が、2−(2′−ヒドロキシ
    フェニル)ベンゾトリアゾール誘導体のうちヒドロキシ
    フェニル基の3′、4′、5′、6′の水素もしくはベ
    ンゾトリアゾール基のベンゼン環の3、4、5、6の水
    素のいずれかを水酸基を有する官能基で置換した誘導体
    であるか、又は、2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体
    のうち、ベンゼン環の3、4、5、6の水素もしくは
    2′、3′、4′、5′、6′の水素のいずれかを水酸
    基を有する官能基で置換した誘導体である、請求項1に
    記載の紫外線吸収剤含有樹脂成形品。
  3. 【請求項3】ポリエステル系樹脂を加熱溶融して所定の
    形状に成形する前に、ベンゾトリアゾール系又はベンゾ
    フェノン系の紫外線吸収剤と、エステル交換用触媒とし
    てナトリウムメトキシドを加え、上記の紫外線吸収剤を
    加熱溶融状態のポリエステル系樹脂のポリマー分子とエ
    ステル交換反応させることを特徴とする紫外線吸収剤含
    有樹脂成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】紫外線吸収剤が、2−(2′−ヒドロキシ
    フェニル)ベンゾトリアゾール誘導体のうちヒドロキシ
    フェニル基の3′、4′、5′、6′の水素もしくはベ
    ンゾトリアゾール基のベンゼン環の3、4、5、6の水
    素のいずれかを水酸基を有する官能基で置換した誘導体
    であるか、又は、2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体
    のうち、ベンゼン環の3、4、5、6の水素もしくは
    2′、3′、4′、5′、6′の水素のいずれかを水酸
    基を有する官能基で置換した誘導体である、請求項3に
    記載の紫外線吸収剤含有樹脂成形品の製造方法。
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