JPH07143824A - 閉鎖環境内における作物の栽培方法 - Google Patents

閉鎖環境内における作物の栽培方法

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JPH07143824A
JPH07143824A JP5293405A JP29340593A JPH07143824A JP H07143824 A JPH07143824 A JP H07143824A JP 5293405 A JP5293405 A JP 5293405A JP 29340593 A JP29340593 A JP 29340593A JP H07143824 A JPH07143824 A JP H07143824A
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JP
Japan
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closed environment
crop
mat
cultivating
soil
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JP5293405A
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Hajime Suzuki
肇 鈴木
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KOIZUMI JUTE MILLS
KOIZUMI SEIMA KK
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KOIZUMI JUTE MILLS
KOIZUMI SEIMA KK
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A40/00Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production
    • Y02A40/10Adaptation technologies in agriculture, forestry, livestock or agroalimentary production in agriculture
    • Y02A40/25Greenhouse technology, e.g. cooling systems therefor

Abstract

(57)【要約】 【目的】 作物の閉鎖環境における栽培をより効果的に
行い、かつ地力の減退を回避し、連作にも耐え得るよう
にする。 【構成】 光透過性を有するシートB2で覆われた閉鎖
環境S内において温室栽培を行う閉鎖環境内における作
物の栽培方法であって、栽培土壌2によって形成される
苗床21沿いまたは苗床21の全面に天然繊維でフェル
ト布状に形成されたマット1を敷設する。上記天然繊維
として黄麻、綿若しくはセルロース系繊維の単体または
それらの複合体、または、上記単体若しくは複合体と生
分解プラスチックとの複合体が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ビニールハウスや温室
等の閉鎖環境内における作物の栽培方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来、果菜や果樹などの作物の生育を盛
んにし収量を増加させるために、ビニールハウスや温室
等の閉鎖環境内において作物を育てることが行われる。
ビニールハウスは、塩化ビニル等の透明または半透明の
合成樹脂製シートを、多数立設された円弧支柱の表面に
被せるようにしたものであり、太陽の熱がビニールハウ
スの内部にこもるため、冬場であっても暖かく、作物の
生育に適した環境になっている。また、温室は通常全面
ガラス張りであり、その作用効果はビニールハウスと同
じである。
【0003】そして、このような閉鎖環境内において
は、外部とは概ね遮断状態で温度、湿度等の作物生育の
環境条件を制御することができるため、計画的な栽培が
可能であり、この面からも好んで閉鎖環境栽培が採用さ
れることが多い。また閉鎖環境であるため害虫駆除や農
薬の投与も効果的に行うことができる。
【0004】このような作物の閉鎖環境栽培において
も、従来の伝統的な農作業の手法は当然のことながら踏
襲されており、その中でも代表的なものとしてマルチン
グ農法を挙げることができる。マルチング農法は、植設
された作物の根ぎわを藁や乾草等のマルチング材で被覆
する栽培法であり、被覆したマルチング材で保温や保湿
が有効に行われるほか、それらの腐食分解によって土壌
が改質されるなどマルチング農法は優れた栽培手法であ
る。そこで、閉鎖環境栽培においても上記マルチング農
法が適用され、マルチング材として藁が多用されてい
る。
【0005】なお近年、閉鎖環境栽培ではない通常の開
放栽培においては、マルチング材として合成樹脂製のフ
ィルムが用いられることもあるが、温室自体が合成樹脂
製フィルムのマルチング機能を兼ね備えている閉鎖環境
栽培に、上記フィルム製マルチング材を使うことは屋上
屋を重ねることになるうえ、土壌の温度が異常に上昇
し、また通気性がないため有用な微生物の活動が阻害さ
れるなどあまり好ましいものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の閉鎖
環境栽培においては、大量に用いられるマルチング材と
しての未完熟藁の鋤込みや、害虫駆除のために行われる
毒ガス燻蒸などによって作物の生育に必要な微生物まで
死滅させてしまうことが多い。
【0007】また、化学肥料や農薬の大量投与によっ
て、地力の低下、土壌の酸素欠乏化が起こり、その結果
作物の活力は低下して病害の発生が起こり易くなり、そ
れを防ぐためにさらに農薬が用いられるなどの悪循環が
繰り返され、結局せっかくの閉鎖環境栽培がその効力を
十分に発揮することができなくなる。そして特に地力の
活力低下により連作障害が起こるという問題点が存在し
た。
【0008】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、作物の閉鎖環境における栽
培作業をより効率的に行うことができ、収量が増加し、
かつ連作障害が起こらない閉鎖環境内における作物の栽
培方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
閉鎖環境内における作物の栽培方法は、光透過性を有す
るシートまたはガラスで覆われた閉鎖環境内で温室栽培
を行う閉鎖環境内における作物の栽培方法であって、栽
培土壌によって形成される苗床沿いまたは苗床の全面に
天然繊維でフェルト布状に形成されたマットを敷設する
ことを特徴とするものである。
【0010】本発明の請求項2記載の閉鎖環境内におけ
る作物の栽培方法は、請求項1記載の閉鎖環境内におけ
る作物の栽培方法において、上記天然繊維は黄麻、綿若
しくはセルロース系繊維の単体またはそれらの複合体、
または、上記単体若しくは複合体と生分解プラスチック
との複合体であることを特徴とするものである。
【0011】本発明の請求項3記載の閉鎖環境内におけ
る作物の栽培方法は、請求項1または2記載の閉鎖環境
内における作物の栽培方法において、上記閉鎖環境内に
炭酸ガスを供給することを特徴とするものである。
【0012】本発明の請求項4記載の閉鎖環境内におけ
る作物の栽培方法は、請求項1、2または3記載の閉鎖
環境内における作物の栽培方法において、上記栽培土壌
に酸素を供給することを特徴とするものである。
【0013】
【作用】上記請求項1記載の閉鎖環境内における作物の
栽培方法によれば、閉鎖環境内にある栽培土壌によって
形成された苗床沿いまたは苗床の全面に天然繊維でフェ
ルト布状に形成されたマットが敷設されるため、このマ
ットによる日光の遮蔽によって雑草の繁茂が抑止され、
雑草除去の手間が省けるとともに除草剤等の農薬の散布
が抑制される。そして特に除草作業を行わなくてもよい
ため作物の根毛に損傷を与えることはなく、傷口からの
病原菌の侵入に起因した病害は発生しないため農薬の投
与が抑制される。
【0014】また、マットの均一な吸水性によって水分
が良好に保水されるとともに、マットは閉鎖環境内の湿
度が高いときには吸湿し、同湿度が低いときには放湿
し、常に閉鎖環境内の湿度を一定に保つ働きをし最適の
湿度が保持されるので、灰色かび等の発生が抑止され
る。
【0015】また、敷設されたマットによって散水圧が
直接土壌にかからないため、散水圧による土壌の団塊結
着が有効に抑止され、良好な団粒構造が維持され、微生
物に良好な活動環境を与える。従って、連作障害が有効
に抑止される。
【0016】さらに、マットの断熱性によって地温の上
昇を有効に抑止し、土壌の温度が略一定に保持されるた
め、苗の枯死を有効に阻止する。しかもマットの多孔質
が寄与して果菜および果樹の生育に必要な通気性は損な
われない。
【0017】しかも天然繊維であるマットは相当の期間
が経過すれば微生物の活動によって生分解して堆肥の役
割を果たすため、特に化学肥料の大量投与を行わなくて
も、上記農薬の散布量の抑制とも相俟って上記有用な微
生物の活動を阻害することがなく、地力の低下を抑えて
土壌を健全なものにすることができる。その結果連作障
害が有効に抑止できる。
【0018】上記請求項2記載の閉鎖環境内における作
物の栽培方法によれば、マットの原料としての天然繊維
に黄麻、綿若しくはセルロース系繊維の単体またはそれ
らの複合体、または、上記単体若しくは複合体と生分解
プラスチックとの複合体が適用されているため、このよ
うな原料は安価であり、製品マットを安価に上市するこ
とが可能である。特に原料として従来は廃棄処分にされ
ていた黄麻や綿の屑物を用いてマットを製造すれば、さ
らに安価にマットを製造することができる。
【0019】上記請求項3記載の閉鎖環境内における作
物の栽培方法によれば、閉鎖環境内に炭酸ガスを供給す
るように構成されているため、作物の生育によって不足
しがちな閉鎖環境内の炭酸ガスを常に所定の濃度にする
ことが可能であり、作物の生育上不都合は生じない。さ
らに積極的に炭酸ガス濃度を上昇させるようにすれば、
作物の増産を図ることが可能になる。
【0020】上記請求項4記載の閉鎖環境内における作
物の栽培方法によれば、栽培土壌に酸素を供給するよう
に構成されているため、この酸素の供給によって土壌中
の水に含まれている溶存酸素の濃度を上昇させることが
可能になり、作物の生育が著しく向上する。
【0021】
【実施例】図1は、閉鎖環境としてのビニールハウス内
に本発明方法が適用された状態を例示する一部切欠き斜
視図であり、図2は、図1の横断面略図である。これら
の図に示すように、本実施例においては、作物を栽培す
るための閉鎖環境Sを現出する手段として、いわゆるビ
ニールハウスBが適用されている。このビニールハウス
Bは、逆U字形状を呈した複数の支柱B1と、この支柱
B1を覆った透明または半透明の光透過性を有する合成
樹脂製の光透過性シートB2とで構成されている。この
ような光透過性シートB2の内側に果菜や果樹等の作物
3を植設する閉鎖環境Sが形成されている。
【0022】なお本発明は、光透過性シートB2の内側
に閉鎖環境Sが形成されることに限定されるものではな
く、恒久的な建造物の全面にガラスが張りめぐらされた
いわゆる温室の室内に閉鎖環境を形成させてもよい。
【0023】この閉鎖環境Sの下部は地面が露出されて
いる。この地面は造成された栽培土壌2で形成されてお
り、この栽培土壌2によって断面視山形の苗床21が複
数列設けられている。この苗床21の中央部に長手方向
に亘って多数の作物(苗)3が植設され、その根31は
苗床21内に根付いた状態になっている。
【0024】そして、本発明においては、このような作
物3が植設された苗床21の上面に、左右一対の天然繊
維でフェルト布状に形成されたマット1が、苗床21の
長手方向に亘って複数の作物3を挟持するように敷設さ
れるのである。本実施例においては帯状のマット1が敷
設されているが、帯状に限定されるものではなく、複数
枚の矩形状のマットを帯状に敷き詰めてもよい。
【0025】また、本実施例においては、図1および図
2に示すように、マット1は苗床21の上面部にのみ敷
設されているが、苗床側面部22をも被覆するように敷
設してもよく、さらに一の苗床21と他の苗床21との
間の畝間にも敷設するようにし栽培土壌2の全表面を被
覆するようにしてもよい。
【0026】本実施例の場合、上記マットは黄麻繊維1
00%の天然糸材でつくられている。具体的には、黄麻
の繊維屑が集められ、この繊維屑にニードルパンチ法等
の常法に従った不織布製造の手法が施され、厚みが略1
cmの毛羽立ったフェルト状のマット1にされている。
【0027】図3はマット1の一例を示す斜視図であ
り、図4はマット1の他の例を示す斜視図である。図3
に示すマット1は矩形状に形成された矩形状マット1a
であり、この矩形状マット1aの場合は苗床21に対し
て畳を敷くように敷設される。位置づれを防止するため
に適所に目孔11が穿設されており、この目孔11を介
して図略の目串を苗床21に差し込むようになってい
る。
【0028】また、図4に示すマット1は製造段階で巻
き取られた帯状マット1bを示している。この帯状マッ
ト1bの場合は、巻き取られた状態の帯状マット1bを
苗床21上に載置し、巻き戻すようにして苗床21上に
敷設される。
【0029】なお、本実施例においては、マット1は原
料に黄麻の屑物が適用されているが、本発明のマット1
の原料は黄麻の屑物に限定されるものではなく、屑物で
はない通常の黄麻繊維を原料としてもよいし、また、黄
麻ではなく綿繊維やセルロース系の繊維その他の天然繊
維または天然繊維に準じる繊維を単体で用いてもよい
し、それらの複合体を用いてもよい。さらに上記単体や
複合体に生分解性プラスチックを混入した複合体であっ
てもよい。
【0030】さらに図2に示すように、発明において
は、このようなビニールハウスB内の閉鎖環境S内に炭
酸ガス41を供給するとともに、栽培土壌2内に酸素6
を供給するようにしている。通常空気中の炭酸ガスの濃
度は約300ppmであるが、作物の代謝作用によって
炭酸ガスが消費され、特に閉鎖環境S内での栽培におい
ては炭酸ガスが不足する傾向になるためこれを補うとと
もに、さらに積極的に炭酸ガス濃度を上昇させるために
閉鎖環境S内に炭酸ガスが供給されるのである。
【0031】また、酸素は栽培土壌2内の水分中に含ま
れている酸素の濃度を上昇させるために供給される。こ
の酸素6の供給によって栽培土壌2内に繁殖している好
気性微生物の活動が活発になり、作物3の生育を助け
る。
【0032】そして本実施例においては、上記炭酸ガス
の供給のために炭酸ガスボンベ4が用いられている。こ
の炭酸ガスボンベ4の閉止弁が所定開度だけ開放された
状態でビニールハウスBの天井から吊り下げられ、僅か
づつ閉鎖環境S内に炭酸ガスが供給されるようになって
いる。
【0033】また、本実施例においては、上記酸素6の
栽培土壌2への供給は、市販の酸素供給材を苗床側面部
22や苗床21間の谷間に散布または点滴することによ
って行われる。
【0034】さらに、本実施例においては、灌漑用の水
5の苗床21への供給は、マット1を介して行われるよ
うにしている。こうすることによって水圧が直接苗床2
1にかからないため、栽培土壌の団粒構造が有効に保持
される。
【0035】なお、参考のために図5には黄麻繊維の屋
外暴露または地中埋設期間(日)と引張強さ保持率
(%)との関係を示すグラフを、図6にはマットの嵩密
度(kg/m2)と、保温率(%)(発熱体に試料を取
り付けたときの放熱量と、発熱体が裸状のときの放熱量
との比)および保湿率(%)(カップに試験片を取り付
けたときの水の蒸発量と、カップに試験片を取り付けな
いときの水の蒸発量との比)との関係を示すグラフを描
いている。
【0036】上記図5のグラフを作成するために、JI
S規格L0841およびJIS規格L1096に規定さ
れた試験を実施し、上記図6のグラフを作成するために
JIS規格L1097−1979に規定された試験を実
施した。なお、図6においては対比のために稲藁の保温
率および保湿率を示している。
【0037】まず、図5に示すように、黄麻繊維を屋外
に暴露した場合は、引張り強さの保持率は200日で当
初の30%にまで低下し、略1栽培周期で良好に堆肥化
が進行していることが判る。なお、地中埋設の場合は6
0日で略完全に堆肥化が達成されている。
【0038】また、図6に示すように、保温効果の優れ
た藁に比べて、本発明に係るマット1が遜色ない保温効
果を示すことが判る。さらに、保湿効果については、マ
ットの実質的な嵩密度範囲において本発明に係るマット
1の方が稲藁よりも良好であるのが判る。
【0039】本発明の閉鎖環境内における作物の栽培方
法は、以上詳述したように、光透過性を有する光透過性
シートB2またはガラスで覆われた閉鎖環境内において
行う閉鎖環境内における作物の栽培方法であって、栽培
土壌2によって形成される苗床21沿いまたは苗床21
の全面に天然繊維でフェルト布状に形成されたマット1
を敷設するものであるため、従来のように手間のかかる
藁や乾草をマルチング材としての苗床21上に敷設する
必要はなく、ただ単にマット1を配設するだけでよく、
閉鎖環境内でのマルチング農法を手軽にかつ簡単に適用
することが可能になる。
【0040】そして、このようなマルチング材を適用す
ることによって、雑草の繁茂は有効に抑止され、その結
果除草作業による苗の根毛の傷みがなくなるため傷口か
らの病原菌の侵入が有効に抑止され、作物3を有効に病
害から守ることが可能になる。また、マット1の保水性
によって水分の保持が有効に行われ、保温および遮熱が
有効に行われるため苗が枯れ死するようなことはなく、
通気性が良好であるため苗床21内の微生物の活動は活
発になり、さらに、マット1は天然繊維が原料であるた
め長期間の使用によって微生物の分解作用で堆肥化し、
その結果地力の再生が有効に行われ、連作障害を抑止す
るなどはかり知れない利点が存在する。
【0041】そして、マット1を敷設することによって
上記のような効果が得られるため、従来行われていた閉
鎖環境S内の毒ガスによる燻蒸や、化学肥料や農薬の過
剰な投与が抑制され、その結果硫化水素等の有毒ガスの
発生がなく、閉鎖環境S内を清浄な環境にすることがで
きるとともに、収穫量の向上が見込まれる。
【0042】(適用例)幅6m、長さ90mのビニール
ハウスの4棟(合計床面積2160m2)を対象とし、
このビニールハウス内に1棟当たり3列の苗床を形成さ
せ、これにナスの苗を1800本植設した。その後、図
2に示すように苗床21上にマット1を敷き詰め栽培し
た。そして、ビニールハウスB内の炭酸ガス濃度を90
0ppmに制御するとともに、適宜栽培土壌2に市販の
酸素供給材を点滴して酸素6を供給するようにした。
【0043】肥料として、元肥には、市販の堆肥、骨粉
およびココア粕を主体にし、化学肥料は追肥として液肥
を若干用いた他は極力回避した。なおビニールハウスB
内の初期燻蒸は行わなかった。雑草はほとんど繁茂せ
ず、従って栽培期間中除草作業はほとんど行わなかっ
た。
【0044】栽培期間終了後のナスの収穫数量は約45
0千個(約31.5t)であり、従来に比較して約25
%増産することができた。
【0045】この適用例から判る通り、本発明の閉鎖環
境内における作物の栽培方法を適用すれば、農作業の簡
素化が実現するとともに、収穫量の増加に寄与すること
が確認できた。
【0046】
【発明の効果】以上詳述したように本発明の閉鎖環境内
における作物の栽培方法は、光透過性を有する光透過性
シートまたはガラスで覆われた閉鎖環境内で温室栽培を
行う閉鎖環境内における作物の栽培方法であって、栽培
土壌によって形成される苗床沿いまたは苗床の全面に天
然繊維でフェルト布状に形成されたマットを敷設するこ
とを特徴とするものである。
【0047】従って、この敷設されたマットによる日光
の遮蔽によって雑草の繁茂が抑止され、雑草除去の手間
が省けるとともに除草剤等の農薬の散布が抑制される。
そして特に除草作業を行わなくてもよいため作物の根毛
に損傷を与えることはなく、傷口からの病原菌の侵入に
起因した病害は発生しないため農薬の投与が抑制され
る。
【0048】また、マットの均一な吸水性によって水分
が良好に保水されるとともに、マットは閉鎖環境内の湿
度が高いときには吸湿し、同湿度が低いときには放湿
し、常に閉鎖環境内の湿度を一定に保つ働きをし最適の
湿度が保持されるので、灰色かび等の発生が抑止され
る。
【0049】また、敷設されたマットによって散水圧が
直接土壌にかからないため、散水圧による土壌の団塊結
着が有効に抑止され、良好な団粒構造が維持され、微生
物に良好な活動環境を与える。
【0050】さらに、マットの断熱性によって地温の上
昇を有効に抑止し、土壌の温度が略一定に保持されるた
め、苗の枯死を有効に阻止する。しかもマットの多孔質
が寄与して果菜および果樹の生育に必要な通気性は損な
われない。
【0051】しかも天然繊維であるマットは相当の期間
が経過すれば微生物の活動によって生分解して堆肥の役
割を果たすため、特に化学肥料の大量投与を行わなくて
も、上記農薬の散布量の抑制とも相俟って上記有用な微
生物の活動を阻害することがなく、地力の低下を抑えて
土壌を健全なものにすることができる。その結果連作障
害を有効に抑止することが可能になる。
【0052】そして、マットの原料としての天然繊維に
黄麻、綿若しくはセルロース系繊維の単体またはそれら
の複合体、または、上記単体若しくは複合体と生分解プ
ラスチックとの複合体を適用すれば、このような原料は
安価であり、製品マットを安価に上市することが可能で
ある。特に原料として従来は廃棄処分にされていた黄麻
や綿の屑物を用いてマットを製造すれば、さらに安価に
マットを製造することができる。
【0053】また、閉鎖環境内に炭酸ガスを供給するよ
うにすれば、作物の生育によって不足しがちな閉鎖環境
内の炭酸ガスを常に所定の濃度にすることが可能であ
り、作物の生育上不都合は生じない。積極的に炭酸ガス
濃度を上昇させるようにすれば、作物の増産を図ること
が可能になる。
【0054】さらに、栽培土壌に酸素を供給するように
すれば、この酸素の供給によって土壌中の水に含まれて
いる溶存酸素の濃度を上昇させることが可能になり、微
生物の活動が活発になることによって作物の生育が著し
く向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】閉鎖環境としてのビニールハウス内に本発明方
法が適用された状態を例示する一部切欠き斜視図であ
る。
【図2】図1の横断面略図である。
【図3】マットの一例を示す斜視図である。
【図4】マットの他の例を示す断面図である。
【図5】黄麻繊維の屋外暴露または地中埋設期間(日)
と引張強さ保持率(%)との関係を示すグラフである。
【図6】マットの嵩密度(kg/m2)と、保温率
(%)(発熱体に試料を取り付けたときの放熱量と発熱
体が裸状のときの放熱量との比)および保湿率(%)
(カップに試験片を取り付けたときの水の蒸発量とカッ
プに試験片を取り付けないときの水の蒸発量との比)と
の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 マット 1a 矩形状マット 1b 帯状マット 11 目孔 2 栽培土壌 21 苗床 22 苗床側面部 3 作物 31 根 4 炭酸ガスボンベ 5 水 6 酸素 B ビニールハウス B1 支柱 B2 光透過性シート

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光透過性を有するシートまたはガラスで
    覆われた閉鎖環境内で温室栽培を行う閉鎖環境内におけ
    る作物の栽培方法であって、栽培土壌によって形成され
    る苗床沿いまたは苗床の全面に天然繊維でフェルト布状
    に形成されたマットを敷設することを特徴とする閉鎖環
    境内における作物の栽培方法。
  2. 【請求項2】 上記天然繊維は黄麻、綿若しくはセルロ
    ース系繊維の単体またはそれらの複合体、または、上記
    単体若しくは複合体と生分解プラスチックとの複合体で
    あることを特徴とする請求項1記載の閉鎖環境内におけ
    る作物の栽培方法。
  3. 【請求項3】 上記閉鎖環境内に炭酸ガスを供給するこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の閉鎖環境内にお
    ける作物の栽培方法。
  4. 【請求項4】 上記栽培土壌に酸素を供給することを特
    徴とする請求項1、2または3記載の閉鎖環境内におけ
    る作物の栽培方法。
JP5293405A 1993-11-24 1993-11-24 閉鎖環境内における作物の栽培方法 Pending JPH07143824A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019187250A (ja) * 2018-04-19 2019-10-31 日本ワイドクロス株式会社 ハウス栽培方法及びハウス内の散水部構造
CN110972791A (zh) * 2019-12-18 2020-04-10 中国科学院新疆生态与地理研究所 一种棉田种植文冠果防护林的方法

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