JP3921663B2 - 葉菜の無農薬栽培方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は葉菜の無農薬栽培方法に関し、特に害虫による被害を受けることなく無農薬で葉菜を栽培するようにした方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、キャベツ、白菜、レタス、ケール等の葉菜を栽培する場合、蝶や蛾の幼虫やナメクジ等の害虫による被害が葉菜の収穫に大きな影響を与える。
【0003】
通常、害虫による農作物の被害に対しては農薬を散布することによって害虫を駆除し、農作物の被害を予防することが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、同一の農薬を長期にわたって使用し続けると、害虫が農薬の薬効に対して耐性を示すようになることから、使用量が次第に増加し、農作物に残留する農薬の量も増え、人体に対する悪影響が懸念されるばかりでなく、害虫ばかりでなく益虫をも駆除してしまい、生態系を崩し、環境に悪影響を与えるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑み、害虫による被害を確実に防止しつつ、無農薬で葉菜を栽培するようにした葉菜の栽培方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本件発明者は上述の課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、ネットによって蝶や蛾の侵入を防止するようにすると、葉菜への蝶や蛾の産卵が阻止されて青虫による葉菜の被害を防止でき、又葉菜の畝の全体をマルチングシートで覆うとともに、葉菜の茎廻りの地表を布で覆うと、ナメクジが畝の土中や地表から葉菜に這ってくるのを阻止でき、ナメクジによる葉菜の被害を防止できることを着目するに至った。
【0007】
そこで、本発明に係る葉菜の無農薬栽培方法は、農薬を用いることなく、葉菜を栽培する方法であって、畝に葉菜の苗を移植するとともに該移植した苗が成長し得る大きさの苗用穴が穿たれた織編布製又は不織布製の布片を敷設し、上記畝の地表を布片用穴を穿ったマルチングシートで覆って上記布片の少なくとも苗用穴の周囲部分を露出させる一方、上記畝の上方を蝶及び蛾の侵入を阻止し得る目開きのネットで覆うようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第1の特徴は織編布製又は不織布製の布片で葉菜の茎廻りを覆うようにした点にある。これにより、苗から葉菜に成長するまでの間、雑草が生えるのを防止できるとともに、土中からナメクジが這い上がって来るのを阻止して苗や成長した葉菜がナメクジの被害にあうのを防止できる。
【0009】
第2の特徴はマルチングシートで畝の地表を覆うようにした点にある。これにより、畝に雑草が生えるのを防止できるとともに、ナメクジが土中から這い上がってきたり地表を這ってくるのを阻止して苗や成長した葉菜がナメクジの被害にあるのを防止できる。
【0010】
第3の特徴は畝の上方を所定の目開きのネットで覆うようにした点にある。これにより、蝶や蛾が侵入して産卵するを阻止でき、又ナメクジもネットから内部に侵入し難い。
【0011】
その結果、農薬を用いることなく、害虫による葉菜の被害を確実に防止でき、農薬の人体や環境に対する悪影響を解消できる。
【0012】
また、マルチングシートによって畝の土中水分を保持できるので、みずみずしく、軟らかい食感で、しかも甘味のある葉菜が得られる。
【0013】
葉菜の栽培は畝に種子を直播きするのではなく、苗床で苗を育て、採取した苗を畝に移植するという方法を採用することが多い。この苗を育てている際にも蝶や蛾が産卵すると、葉菜の害虫による食害が発生する。
【0014】
そこで、移植すべき苗の採取するにあたり、苗床に種子を蒔いた後苗を採取するまでの間、苗床の上方を蝶及び蛾の侵入を阻止し得る目開きのネットで覆うようにするのが好ましい。
【0015】
ここで、葉菜とは具体的にはキャベツ、白菜、レタス、ケール、その他の葉を食する野菜をいう。
【0016】
ところで、畝の全体をマルチングシートで覆うと、降雨が土中にしみ込み難く、葉菜の苗根廻りへの水分補給が阻害されることが懸念される。そこで、布片には通水性の布片を用い、降雨時に葉菜の根廻りへの水分の補給を確保するのが好ましい。織編布の場合には織編目の大きさや厚みを選択することによって布片の所望の通水性を確保できる。また、不織布の場合には1m2当たりの重量、即ち目付けを選択することによって布片の所望の通水性を確保することができる。
【0017】
布片は織編布又は不織布であれば特に素材は限定されず、例えば天然繊維、合成繊維、再生繊維、生分解性繊維を用いることができる。
【0018】
また、マルチングシートの1つの機能が防草である点を考慮すると、雑草に光が当たらないように黒色マルチングシートを用いるのが好ましい。また、黒色マルチングシートでは直射日光が強くて周囲の温度が上昇しすぎるような場合には銀色のマルチングシートを用いることもできる。その他、どのようなマルチングシートを用いることもできる。
【0019】
ネットは蝶や蛾の侵入を阻止し得る目開きであればよい。具体的には、葉菜の苗に十分な光があたるように空間率が80%以上、蝶や蛾が侵入しないように1個の空隙の大きさが100mm2以下であればよい。蝶や蛾には身体部分は小さいが羽根があり、羽根が通過し得ないような目開きとすればよい。例えば、目開きの形状を四角形状とする場合、短辺の寸法を10mm以下とすれば蝶や蛾の侵入をほぼ阻止できるが、4mm以下とすると確実に阻止できる。
【0020】
ネットは織編布又は不織布の形態を採用することができ、その素材は特に限定されないが、天然繊維、合成繊維、再生繊維、生分解性繊維の1つを用い、あるいは2つ以上を組合せてコンジュゲート、混紡、交織交編等の方法で混用してもよい。例えば、合成繊維にはポリオレフィン系、ポリビニルアルコール系,ポリアミド系、ポリエステル系、ポリアクリロニトル系、ポリ乳酸系等の繊維形成能を有する合成重合体を用いた繊維を用いることができる。また、例えば、家屋の窓枠に取付けられるネットを採用することもできる。
【0021】
また、蝶や蛾の侵入を阻止し得る目開きのネットも新規である。即ち、本発明に係る葉菜無農薬栽培用のネットは、農薬を用いることなく葉菜を栽培するのに適したネットであって、空間率が80%以上、1個の目開きが100mm2以下であり、蝶及び蛾の侵入を阻止し得ることを特徴とする。
【0022】
ところで、空間率が80%以上で、1個の空隙の大きさが0.20mm2〜20mm2の織編物に、忌避剤が樹脂によって固着されたネットが提案されているが(特開2000−166399号公報、参照)、忌避剤を用いているので、降雨時に忌避剤が溶け出して葉菜に付着することが懸念され、無農薬栽培という点からは採用し難い。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る葉菜の無農薬栽培方法の好ましい実施形態を示す。例えば、キャベツを栽培する場合、畑を耕して苗床をつくり、種子を巻いて苗を育てる。その時、苗床にほぼU字状の支柱を刺して立て、苗床の上をネットで覆っておく。このネットには天然繊維、合成繊維、再生繊維、生分解性繊維を素材とする織編布又は不織布を用い、十分に光が通過するように空間率がほぼ84%で、1個の空隙の形状がほぼ四角形状をなし、蝶や蛾が侵入しないように四角形の短辺が4mm程度で、空隙の大きさがほぼ17mm2の目開きに製作したものを用いる。
【0024】
苗が十分に育つと、苗床から苗50を採取する一方,畑に畝10を作り、採取した苗50を畝10に移植する。
【0025】
畝10の苗を移植した箇所には布片20を敷設する。この布片20には中央に移植した苗50が成長し得る大きさの苗用穴21を穿っておく。また、布片20には必要に応じて切れ目を入れ、移植した苗50を苗用穴21に入れやすいようにする。
【0026】
この布片20には天然繊維、合成繊維、再生繊維、生分解性繊維を素材とする織編布又は不織布を用いるが、通水性を有するように製作したものを用いる。
【0027】
次に、その上をマルチングシート30で覆う。マルチングシート30には布片20に対応する箇所に布片用穴31を穿っておき、布片20は露出するが、畝10の地表は露出しないようにマルチングシート30で覆う。
【0028】
こうして準備ができると、畝10には長手方向に所定の間隔をあけて支柱41を逆U字状に突き刺して立てておく。
【0029】
種子が芽を出し、苗50が成長してくると、苗採取を行うが、この段階から苗50の上方をネット40で覆う。このネット40には天然繊維、合成繊維、再生繊維、生分解性繊維を素材とする織編布又は不織布を用い、光が十分に透過するように空間率がほぼ84%で、1個の空隙の形状がほぼ四角形状をなし、蝶や蛾が侵入しないように四角形の短辺が4mm程度で、空隙の大きさがほぼ17mm2の目開きに製作したものを用いる。
【0030】
このようにしてキャベツを栽培すると、布片20で苗50の根廻りを覆っているので、苗の時期において雑草が生えるのを防止できるとともに、土中からナメクジが這い上がって来るのを阻止できる。
【0031】
また、マルチングシート30で畝10の地表を覆っているので、畝10に雑草が生えるのを防止できるとともに、ナメクジが土中から這い上がってきたり地表を這ってくるのを阻止できる。
【0032】
さらに、畝の上方を所定の目開きのネット40で覆っているので、蝶や蛾が侵入して産卵するを阻止でき、又ナメクジもネットから内部に侵入し難い。
【0033】
その結果、農薬を用いることなく、害虫による葉菜の被害を確実に防止でき、農薬の人体や環境に対する悪影響を解消できる。
【0034】
また、マルチングシート30によって畝10の土中水分を保持できるので、みずみずしく、軟らかい食感で、甘味のあるキャベツが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る葉菜の無農薬栽培方法の好ましい実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】 上記実施形態を示す断面図である。
【図3】 上記実施形態を示す平面図である。
【図4】 上記実施形態における布片を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 畝
20 布片
21 苗用穴
30 マルチングシート
31 布片用穴
40 ネット
41 支柱
50 キャベツの苗
Claims (2)
- 農薬を用いることなく、葉菜を栽培する方法であって、
葉菜がキャベツ、白菜、レタス又ケールであり、
畝に葉菜の苗を移植するとともに該移植した苗が成長し得る大きさの苗用穴が穿たれた織編布製又は不織布製の通水性の布片を敷設し、上記畝の地表を布片用穴を穿った土中水分を保持し得るマルチングシートで覆って上記布片の少なくとも苗用穴の周囲部分を露出させる一方、
上記畝の上方を蝶及び蛾の侵入を阻止し得る目開きのネットで覆うようにしたことを特徴とする葉菜の無農薬栽培方法。 - 上記移植すべき苗を採取するにあたり、苗床に種子を蒔いた後苗を採取するまでの間、上記苗床の上方を蝶及び蛾の侵入を阻止し得る目開きのネットで覆うようにした請求項1記載の葉菜の無農薬栽培方法。
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