JPH07143262A - フイルム画像読取装置 - Google Patents

フイルム画像読取装置

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JPH07143262A
JPH07143262A JP5283459A JP28345993A JPH07143262A JP H07143262 A JPH07143262 A JP H07143262A JP 5283459 A JP5283459 A JP 5283459A JP 28345993 A JP28345993 A JP 28345993A JP H07143262 A JPH07143262 A JP H07143262A
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JP
Japan
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film
density
image reading
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film image
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Application number
JP5283459A
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English (en)
Inventor
Yoshiya Imoto
善弥 伊本
Sunao Kosaka
直 高坂
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 読取階調数の低下を抑え、フイルム撮影時の
カラーバランスの調整など、撮影条件の補正をきめ細か
く行い、ネガフイルム画像を読み取る際に必要なフイル
ム銘柄の違いによるベースフイルム濃度の補正を簡単な
操作で行う。 【構成】 フイルム原稿のアナログ信号のアンプゲイ
ン、オフセット調整を行いデジタル信号に変換するアナ
ログ回路8、シェーディング補正等を行うデジタル補正
回路9、階調変換やネガ/ポジ反転等の処理を行う変換
処理回路10、色補正や精彩度強調等の処理を行う画像
処理回路11、及びパラメータの設定やマシン全体の制
御を行う制御手段1、14、16を備え、制御手段は、
フイルムの画像データをサンプリングし、濃度データに
変換して濃度空間で求めた画像平均濃度などの特徴量を
パラメータとして線形演算し読取濃度補正量を求めて各
回路のパラメータの設定を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フイルム投影装置によ
りフイルム原稿の空中像をプラテン上に投影しまたはプ
ラテン上にフイルム原稿を載置してバックライティング
した像を縮小光学系の結像レンズに結像させてセンサか
ら主走査と副走査を行ってアナログ信号により画像情報
を読み取るフイルム画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】フイルム画像読取装置の代表的な構成と
して、印刷物などの反射原稿読取装置のプラテンの上に
フイルム画像を投影して読み取るもの、或いはプラテン
上にフイルムを置いて撮影装置によりバックライティン
グして読み取るものがある。フイルム画像からコピーを
とる場合には、フイルム撮影時の条件を補正する必要が
ある。この条件の補正には、例えばフイルム撮影時の露
出オーバー/アンダー、照明光色が赤っぽい/青っぽい
などの補正がある。以下にそれらの補正を行う従来の装
置の概要について説明する。図18及び図19は従来の
フイルム画像読取装置の信号処理系の構成例を示す図で
ある。
【0003】例えば特開昭64−24690号公報で提
案されているカラーネガフイルム読み取り装置では、図
18に示すように照明光量で露出のオーバー/アンダー
の調整を行い、RGBそれぞれ6本の変換カーブを格納
したROMのテーブルを切り換えて照明光色の赤っぽい
/青っぽいに対する調整を行っている。
【0004】しかし、この装置の場合には、色補正が6
段階しかできず、しかも、色相、彩度の座標上での1次
元の補正であるため、多様なフイルムに対して補正でき
ない。つまり、赤っぽい/青っぽい照明光色に対しては
ある程度の補正はできるが、緑っぽい(昼光色の蛍光灯
下で撮影されたフイルム)やマゼンタっぽい照明光色に
対しては補正できない。濃度補正についても、標準露光
のフイルム用に合わせた変換カーブを予め用意してお
き、ランプ光量で調整を行う方式であるため、アンダー
露光のネガに対しランプ光量を落として読み取ることに
なり、S/Nの点やA/D変換効率の点で損をしてい
る。また、この点を考慮して濃度レンジの狭いアンダー
露光のネガに合わせたγの高い変換カーブを用意してお
くと、濃度レンジの広い通常露光のネガを読んだ場合
に、出力画像の高濃度部分が読取濃度減を逸脱してしま
い階調が再現できない。さらには、カラーバランス調整
の切り換えが6段階程度しかとれないため、きめ細かい
補正ができない。
【0005】また、特開平1−135267号公報で提
案されているカラー画像処理装置では、色補正のマスキ
ング係数を変更する例も開示しているが、実施例では、
何種類かの係数から選ぶ形であるため、やはり特開昭6
4−24690号公報のカラーネガフイルム読み取り装
置と同様に連続的な調整ができないという問題がある。
例えばネガフイルムの場合、ベースフイルムの濃度から
測った画像データ濃度を使って画像処理を行い、フイル
ム銘柄の違いによる差を除去してカラーバランスを良好
に保つ必要がある。特開昭64−24690号公報のカ
ラーネガフイルム読み取り装置の場合には、ネガフイル
ムの未露光部を読み取ってシェーディングデータの作成
を行い、このシェーディングデータでシェーディング補
正を行うことで、ベースフイルム分の濃度を除去してい
る。しかし、このカラー画像処理装置では、マシンを起
動するごとに毎回ネガフイルムの未露光部を装着してシ
ェーディングデータを作成しなければならない。また、
読み取りを行うフイルムの銘柄を変えるたびにシェーデ
ィングデータを作りなおさなければならず、操作が煩わ
しいという問題がある。
【0006】一般に、こうしたフイルムの濃度、カラー
バランスの補正には、「補正しようとするフイルム画像
の平均濃度と標準露光のフイルム画像の平均濃度の濃度
差分を補正する。」というエバンスの原理に基づいた考
え方があり、そのためには、濃度空間で補正を行うのが
有利である。
【0007】特願平2−145085号公報で提案され
ているフイルム画像読取装置では、図19に示すように
画像入力装置の中のシェーディング補正に使っているシ
ステムバリューが濃度であり、濃度減算によるシェーデ
ィング補正回路の前段に加算回路が付加され、9ビット
処理を経た後シェーディング減算を行い、このことを利
用して、加算回路を主として使うことで濃度、カラーバ
ランスの補正を行っている。つまり、カラーバランスの
補正やフイルムの銘柄ごとの補正も全て濃度の加減算に
置き換えられるので、この加算回路に接続されるレジス
タの数値を書き換えることで、RGB独立に読取濃度調
整を行うことができる。また、濃度の高いフイルムに対
しては、ランプ電圧やアンプゲインの調整を行い、読取
信号のS/Nの向上を図っている。
【0008】さらにこの方式では、読取濃度調整が容易
にRGB独立にできることから、フイルムを入れない状
態で採取したシェーディングデータを使ってネガフイル
ムの未露光部分を読み取り、その平均濃度を求めること
で、ベースフイルム濃度を容易に求めることが可能であ
る。したがって、この濃度分を読取フイルムの濃度から
差し引くことで、フイルム画像の正味の濃度を求めるこ
とができ、フイルム濃度の判定時、及びフイルム濃度の
補正時に濃度空間の線形演算で補正できる。また、RG
B3バイト分の濃度データのみで或る銘柄のフイルムの
ベースフイルム濃度を表すことができ、この3バイトを
不揮発性メモリに保存するだけで、次からは再度ネガフ
イルムの未露光部分の読み取りを行わなくても、その銘
柄のフイルムのベース濃度補正を行うことができる。ま
たこの方式では、フイルムの特性をアンダー露光ネガ用
から通常露光以上のネガ用まで6段階の変換カーブを格
納したLUTを用意しておき、アンダー露光ネガからの
再生画像のシャドー部のγが低くなるのを補正してい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シェーディン
グを濃度空間で行う上記特願平2−145085号公報
のフイルム画像読取装置は、シェーディング演算が単純
な減算ですむことや、種々の補正が加減算ですむという
メリットを持っているが、LUTを2回通すので階調数
が低下するという問題がある。特に、画像処理部内のシ
ステムバリューを明度にすることでこの影響が顕著にな
る。従来例では、画像処理部でのシステムバリューとし
て濃度を使っていたので、この階調数の低下の影響はま
だ少ない。画像処理部内のシステムバリューとして濃度
よりも明度を使った方が「入力反射率8ビットにA/D
変換した場合、ハイライト側の階調数の低下が少な
い」、「3×4の行列変換で標準的な表色系であるL*
* * 系の座標になるので、共通のシステムバリュー
にふさわしい」というメリットがある。しかし、そのま
ま明度を画像処理部のシステムバリューとした場合に
は、LUTを2回通し反射率→濃度→明度の変換を行う
ので、ポジ画像のハイライト側での階調数の低下が問題
になる。
【0010】また、上記いずれの従来例でも、フルカラ
ー密着CCDを使用していたが、5チップのCCDでエ
リアを分割して読むため、チップ間の境目がはっきり見
えるという問題が生じる。特に高濃度を読み取ることが
要求されるポジフイルムの読み取り時や、高濃度の読み
取りデータがハイライトに反転されて再現されるネガフ
イルムの読み取りなど、通常の反射原稿の読み取りに比
べ、フイルムを読み取る場合にこの問題がより顕著とな
る。
【0011】さらに、いずれの従来例の場合にも、濃度
補正を行うために、フイルム画像を前もって読み取り、
このデータに基づいて濃度補正量を決める作業(A/
E)を行っていたが、同じフイルムに対して拡大率を変
えて何枚かコピーをとる場合、第1回目のA/Eによっ
てそのフイルムに対する読み取り設定は決まっているに
もかかわらず、毎回約10秒の所要時間がかかるA/E
を繰り返し行うので、無駄な時間が多くかかるという問
題がある。さらに、特願平2−145085号公報のフ
イルム画像読取装置では、同じ式を使ってネガとポジの
濃度補正を行っているため、ポジのオーバー露光の明る
いフイルムに対してネガと同じ補正をかけた場合、画像
を暗くする方向に補正が強すぎて、オーバー露光でフイ
ルムのγがねているハイライト部分が暗くなり、色が濁
って良好な再現が得られないという問題がある。
【0012】本発明の目的は、明度をシステムバリュー
とする画像処理装置に画像読取データを送った際の読取
階調数の低下を最小限に抑えることである。本発明の他
の目的は、フイルム画像を読み取る際に必要なフイルム
撮影時のカラーバランスの調整など、撮影条件の補正を
きめ細かく行うことである。本発明のさらに他の目的
は、濃度空間での線形補正の考え方を踏襲し、精度の高
い濃度、カラーバランス補正を行うことである。本発明
のさらに他の目的は、ネガフイルム画像を読み取る際に
必要なフイルム銘柄の違いによるベースフイルム濃度の
補正を簡単な操作で行えるようにすることである。本発
明のさらに他の目的は、密着センサを使うことによるC
CDの5チップ間の読み取りレベル差の発生を解決し、
オーバー露光ポジでハイライトの色再現が濁るのを改善
することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】そのために本発明のフイ
ルム画像読取装置は、フイルム原稿の空中像をプラテン
上に投影するフイルム投影装置、前記空中像またはプラ
テン上に載置してバックライティングしたフイルム原稿
の像を結像レンズを介してセンサに結像させてセンサか
ら主走査と副走査を行ってアナログ信号により画像情報
を読み取る読取装置、該読取装置で得られたアナログ信
号のアンプゲイン、オフセット調整を行った後デジタル
信号に変換するアナログ回路、該アナログ回路の出力に
対しシェーディング補正その他読取系に起因するムラ等
の補正を行うデジタル補正回路、該デジタル補正回路の
出力に対し透過率信号から明度信号への階調変換やネガ
/ポジ反転等の処理を行う変換処理回路、該変換処理回
路の出力に対し色補正や精彩度強調その他の処理を行う
画像処理回路、及び前記各回路のパラメータの設定やマ
シン全体の制御を行う制御手段を備え、制御手段は、透
過率をシステムバリューとして標準設定で読み取られた
フイルムの画像データをサンプリングし、予め記憶して
いる透過率→濃度変換テーブルにより濃度データに変換
して濃度空間で求めた画像平均濃度などの特徴量をパラ
メータとして線形演算し読取濃度補正量を求めて各回路
のパラメータの設定を行うことを特徴とするものであ
る。
【0014】
【作用】本発明のフイルム画像読取装置では、読取装置
で得られたアナログ信号のアンプゲイン、オフセット調
整を行った後デジタル信号に変換するアナログ回路、該
アナログ回路の出力に対しシェーディング補正その他読
取系に起因するムラ等の補正を行うデジタル補正回路、
該デジタル補正回路の出力に対し透過率信号から明度信
号への階調変換やネガ/ポジ反転等の処理を行う変換処
理回路、該変換処理回路の出力に対し色補正や精彩度強
調その他の処理を行う画像処理回路、及び前記各回路の
パラメータの設定やマシン全体の制御を行う制御手段を
備え、制御手段は、透過率をシステムバリューとして標
準設定で読み取られたフイルムの画像データをサンプリ
ングし、予め記憶している透過率→濃度変換テーブルに
より濃度データに変換して濃度空間で求めた画像平均濃
度などの特徴量をパラメータとして線形演算し読取濃度
補正量を求めて各回路のパラメータの設定を行うので、
制御手段において、透過率→濃度変換テーブルを用い読
取濃度補正量を求めることができ、読取階調数の低下を
おさえフイルム撮影時のカラーバランスの補正などの撮
影条件の補正をきめ細かに行うことができる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明に係るフイルム画像読取装置を搭載
したデジタルカラー複写機の1実施例を示す図、図2は
フイルム投影装置の光学系の構成概要を示す図である。
図中、1はメインCPU、2はフイルム投影装置、3は
ミラーユニット、4はフレネルレンズ、5はプラテン、
6は縮小光学系、7はカラーCCD、8はアナログ回
路、9はデジタル補正回路、10はENLルックアップ
テーブル、11は画像処理回路、12はスクリーンジェ
ネレータ、13はカラーレーザプリンタ、14はモータ
コントローラ、15はユーザインタフェース、16はI
PS−CPU、17はNVM、18はROM、21はハ
ロゲンランプ、22はリフレクタ、23と25はコンデ
ンサレンズ、24は熱線吸収フィルタ、26はポジ補正
フィルタ、27はネガ補正フィルタ、28はフイルム、
29は投影レンズを示す。
【0016】図1において、画像読取部は、縮小光学系
6により、プラテン5面上の画像情報を3ラインのカラ
ーCCD7に結像するように構成されている。そして、
カラーCCD7の電気的走査により主走査を行い、縮小
光学系6のフルレート/ハーフレートミラースキャン方
式によるメカ的な走査により副走査を行って、カラーC
CDからアナログ回路8にアナログ電気信号による画像
情報の出力を取り出している。
【0017】この画像情報の出力に対し、アナログ回路
8では、ゲイン/オフセットの調整を行った後A/D変
換器を使ってデジタル信号に変換する。その後デジタル
補正回路9によりシェーディング補正、カラーCCD7
の3ラインギャップ補正等を行い画質読取系に起因する
ムラ等を補正する。このデジタル信号に対し、ENLル
ックアップテーブル10では、反射率(透過率)信号か
ら明度信号に階調変換(γ変換)を行うと共に、ネガ/
ポジ反転処理などの処理も合わせて行う。ENLルック
アップテーブル10は、IPS−CPU16から原稿や
処理に合わせて内容が書換えられる。画像処理回路(I
PS)11では、マトリクス演算による色補正、精細度
強調処理を行う。しかる後、スクリーンジェネレータ1
2では、カラーレーザプリンタ13に打ち出すためのス
クリーンに変換する。上記のように画像情報の読み取
り、そして読み取った画像信号の処理を繰り返して4回
行うことでK、Y、M、Cの4色の画像を重ね合わせフ
ルカラー画像が得られる。
【0018】フイルム原稿は、フイルム投影装置(F/
P)2によってプラテン5面上に作成した空中像、また
は、プラテン5面上に載置したフイルム原稿をバックラ
イティングして読み取りその画像信号を処理することに
よって、フイルム原稿からのコピーを取る。この際プラ
テン5上の投影光は、プラテン5上に置かれたフレネル
レンズ4を通して縮小光学系6の結像レンズに集光され
る。
【0019】メインCPU1は、マシン全体の制御を行
うものであり、ユーザインタフェース(U/I)15か
らの情報またはプログラミングされた処理フローに従っ
てマシン全体の制御が行われる。メインCPU1は、I
PS−CPU16、原稿読取装置のモータコントローラ
14、フイルム投影装置2、カラーレーザプリンタ13
に対し、CPU間の通信を行って制御し、フイルム投影
装置2に対しては、制御命令として、ランプ電圧調整
(13V〜24Vの範囲)、通常のポジスライド用と、
ネガ用とに用途別に投影光色を切り換えるためのフィル
タ切換え、コピー中にオートフォーカスが働き4色のス
キャン繰り返しの間に画像がずれないようにするための
オートフォーカス動作のイネーブル、ランプの点灯/消
灯の各信号を送り、フイルム投影装置2からフイルムの
有無、フイルムの挿入方向の縦横、フイルムのコマ送り
の有無の各信号を受信する。
【0020】フイルム投影装置2は、図2に示すような
光学系の構成でCPU(F/P−CPU)を持ち、通信
によってメインCPU1からランプ電圧調整信号として
送られてきたランプ電圧に対応するデジタル値をD/A
変換器でアナログ電圧に変換して定電圧電源の出力を制
御し、リフレクタ22とコンデンサレンズ23との間に
配置されたハロゲンランプ22に供給する電圧を制御し
ている。また、F/P−CPUがモータ制御を行ってポ
ジ補正フィルタ26、ネガ補正フィルタ27からなるネ
ガ/ポジの2種類のフィルタがついた円盤を回転させ、
ハロゲンランプ集光光学系光路内のコンデンサレンズ2
5とフイルム26との間に希望のフィルタを挿入する。
このフィルタの位置制御では、円盤上のフィルタに対応
する位置についた金属片が集光光学系の光路に対応する
位置にあるフォトインタラプタを遮ることで位置を検知
し制御している。
【0021】ネガ/ポジのフィルタがない場合、ポジモ
ードでは、透明に近いベースフイルムが投影されるの
で、明るい黄色(ハロゲンランプ22の光色)光が投影
され、ネガモードでは、オレンジ色のベースフイルムが
投影されるので、やや暗い赤い光が投影される。精度の
高い読み取りを行うためには、この2つのモードでの光
量、光色がほぼ同じである必要がある。そのために、ネ
ガベースフイルムを投影した時、フイルム投影装置のハ
ロゲンランプ22の3200K前後の色温度とネガフイ
ルムのベースのオレンジ色に起因して「赤が強く青が弱
い特性」になるので、ネガ補正フィルタ27は、これを
補正しカラーCCDのRGB出力比を1:1:1に近づ
けるための強い青色の色ガラスで出来ている。一方、ポ
ジ補正フィルタ26は、ハロゲンランプ22の色温度の
補正とネガでベースフイルムの濃度により光量低下する
分とのバランスをとるため、可視域の透過率全体を落と
した弱い青のフィルタである。またネガモードでは、ベ
ースフイルムの色の濃さを補正するため、ランプ光量も
明るく設定する。これに対してポジモードでは、標準設
定を低いランプ電圧にしておき、ランプ電圧の調整幅を
濃いフイルムを読む時の調整余裕にしている。
【0022】さらに、フイルム投影装置2の内部には、
フイルムケースが挿入されている時に作動するマイクロ
スイッチとフイルムケースが正しい投影位置にセットさ
れた時に作動するマイクロスイッチを縦投影/横投影そ
れぞれのフイルムケース入口に設け、それらの状態をそ
れぞれCASE READY信号とV/H信号としてメ
インCPU1に送っている。
【0023】図3はアナログ回路及びデジタル回路の構
成例を示す図、図4はA/D変換からENLまでの回路
の構成例を示す図、図5はシェーディング補正回路の構
成例を示す図である。図中、31はセレクタ、32はゲ
イン調整回路、33はオフセット調整回路、34はA/
D変換回路、35は奇数/偶数合成回路、36はシェー
ディング補正回路、37はラインメモリ、38は3ライ
ンギャップ補正回路を示す。
【0024】IPS−CPU16は、フイルム投影装置
の制御に関わって、アナログ回路8のゲイン、オフセッ
トの設定変更、シェーディング補正回路36からのライ
ンメモリ37を介した画像データの採取、ENLルック
アップテーブル10の書き換え等を行う。
【0025】アナログ回路8のゲイン、オフセットの調
整は、次のように行われる。IPS−CPU16がセレ
クタ31の中のレジスタにデータを書き込むことにより
6チャンネルのゲイン用、オフセッチ用レジスタが選択
される。この選択されたレジスタにデータを書き込むこ
とで、このデータがD/A変換器によりアナログ電圧に
変換され、このアナログ電圧によりLSI化されたゲイ
ン調整回路32、オフセット調整回路33のゲイン、オ
フセットが制御される。
【0026】また、図3、図4に示すように3ラインの
カラーCCD7のアナログ出力信号は、各チャンネルご
とにゲイン調整、オフセット調整された後、A/D変換
回路34でデジダル信号に変換される。そして、カラー
CCD7から奇数(Odd)、偶数(Even)の信号
に分けて取り出され処理された信号を奇数/偶数合成回
路35で合成し、シェーディング補正回路36でシェー
ディング補正を行う。さらに、3ラインギャップ補正回
路38で3ラインのカラーCCD7の色ごとの副走査方
向の読取位置のギャップ補正を行った後、ENLルック
アップテーブル10に入力して画像の階調特性を変換す
る。このENLルックアップテーブル10は、例えばR
AMで構成されていて入力画像信号をアドレスにしてR
AMに書かれている内容を出力に取り出すことにより画
像の階調特性を変換し、IPS−CPU16からRAM
の内容を書き換えることにより階調変換特性を制御して
いる。
【0027】シェーディング補正回路36は、図5に示
すような構成で、内部に減算器・乗算器を持ち、読取信
号がシェーディング補正回路36、ラインメモリ37を
介してIPS−CPU16に取り込むことができるよう
になっている。シェーディング補正回路36の入力ビデ
オデータは、減算器と乗算器を通った後、シェーディン
グ補正のための除算器に入力し、各演算器のイネーブル
/ディスエーブルは、モードレジスタをIPS−CPU
16から設定することで切り換え、モードレジスタの書
き換えをトリガとしてこの除算器前のビデオデータを1
主走査ライン分だけラインメモリ37に書き出してい
る。ラインメモリ37に書き出されたデータは、内部の
アドレスバスとデータバスによりIPS−CPU16か
ら読み出すことができる。また、減算器の数値は、外付
けで「8」に固定されており、乗算器の数値はIPS−
CPU16から書き換えられるようになっている。
【0028】次に上記フイルム投影装置及び本体読取装
置を使ったフイルム画像読取の動作を説明する。図6は
フイルム投影装置の光量補正処理の流れを説明するため
の図である。
【0029】まず、全体を立ち上げてから、最初にF/
Pモードが選択された時、系の補正のため以下のように
ゲイン/オフセット調整(AGOC)、シェーディング
データの採取を行う。オペレータがユーザインタフェー
スからF/Pモードを選択し、さらにミラーとフレネル
レンズが一体となったミラーユニットをプラテン上にお
き、補正の開始を選択すると、最初にメインCPU1か
ら不揮発性メモリ(以下NVM)に格納してある標準ラ
ンプ電圧LVFP(通常は14V)で点灯するようにフ
イルム投影装置に対し命令を出す。この際、ポジを選択
している。ついで、モータコントローラ13にスキャン
ユニットを投影エリアの下部に移動するように命令す
る。さらに、ゲイン調整(以下AGCと略す)のための
初期設定をIPS−CPU16により行う。この際のゲ
インとオフセットの設定は、前回の補正時の設定値とし
てNVMに記憶してあった数値を使う。ここでAGCの
目標値は、例えばR=210、G=190、B=160
とし、R>G>Bのように別の値にしておく。
【0030】この初期設定で、A/D変換出力データを
シェーディング補正回路36内の減算器のみイネーブル
の状態にしてラインメモリ37に書き込み、IPS−C
PU16が読み出す。モータコントローラ13は、スキ
ャンユニットを指定位置の下まで動かし終わったことを
示すReady信号として、Wht−Refというホッ
トライン信号を割り込み信号としてIPS−CPU16
に送るので、IPS−CPU16では、これをトリガと
してラインメモリ37の書き込みを行う。その際に、I
PS−CPU16では、ラインメモリ37の中の連続1
6画素の平均を16ブロック採取し、そのうちの最大値
をAGC採取データとする。そして、AGC採取データ
とAGC目標値とを比較し、AGC目標値±5%になっ
ていない場合には、AGC採取データとAGC目標値と
の間の比に応じてゲインの大きさ(以下ゲイン値)を変
更し、AGC目標値±5%となるまで、順次データ採取
とゲインの設定変更を繰り返す。ここで、ゲイン値とゲ
イン調整回路32のレジスタの設定値(以下ゲイン設定
値)とはリニアな関係なので、IPS−CPU16は、
記憶してある4次式を使ってゲイン値をゲイン設定値に
変換し、ゲイン調整回路32のレジスタへ設定を行う。
例えばAGC採取データが220で目標値190の1.
16倍の場合、ゲイン値を1.16で割って新しいゲイ
ン値を求め、前記4次式を使ってゲイン設定値に変換し
設定する。
【0031】ゲイン値は、0.1倍〜6倍を8ビット整
数の5〜255に対応させ、この数値が大きすぎる(5
0以上)かまたは小さすぎる(20以下)場合には、ラ
ンプの電圧設定を±5%(光量にして±15%)増減さ
せて、再度AGCの過程を行う。しかし、±5%変化さ
せても標準に入らないときは、そこでAGCの設定を終
了する(ステップS101)。
【0032】こうして求まった6チャンネル分のゲイン
(1〜6)をNVMにセーブし、次回のAGCの初期値
として使う。またこのときのランプ設定電圧LVDもN
VMにセーブする。このNVMの値をサービスマンがモ
ニタすることにより、光学系の汚れや、ランプ寿命によ
る光量の低下などをモニタできる。
【0033】次に、ゲイン値とNVMに記憶してあった
前回のオフセット設定値を使ってシェーディングデータ
の採取を行う。本来の補正の順番は、AGC(白レベル
の粗調整)→AOC(黒レベルの微調整)→シェーディ
ング(白レベルの微調整)となるが、フイルム投影装置
においてAGC、シェーディング補正は、フイルム投影
装置の投影エリアの真下にスキャンユニットを移動して
データ採取を行うのに対し、AOCは、スキャンユニッ
トを光のあたらない部分に移動し、フイルム投影装置の
ランプを消灯して行わなければならない。そのためAG
C→AOC→シェーディングの順番では、スキャンユニ
ットの移動やランプの点消灯に時間がかかるので、AG
C→シェーディング→AOCの順番に行っている。厳密
に考えると、シェーディングデータを採取した後AOC
を行うことで、シェーディングレベルにずれが起こる。
しかし、AGC、AOC共に前回の設定値をNVMに保
存し、次回のAGC、AOCを実施する際の初期値とす
るので、シェーディングデータ採取後のオフセット調整
による変動を最小限にし正規の順番に補正を行ったのと
変わらない精度を得ることができる。
【0034】シェーディングにあたっては、AGCの時
の設定からシェーディング補正回路内の乗算器をイネー
ブルにするようにモードレジスタを設定し、乗算レジス
タのRGBにそれぞれ134,148,176を設定す
る。乗算レジスタの値は、128が1.0を意味するこ
とになっているので、176を設定することは、乗算器
で入力データに176/128=1.375倍すること
である。AGCの調整でR=210,G=190,B=
160に調整された乗算器への入力データは、RGBご
とに134/128倍,148/128倍,176/1
28倍され、RGBとも220になるように変換され、
ラインメモリ37に書き込まれる。
【0035】IPS−CPU16は、ラインメモリ37
に書き込まれたデータを対応するアドレス(画素)ごと
に16ビット幅で1ライン分設けられた累積加算メモリ
に累積加算していく。また同時に、アドレスごとに最小
値を1ライン分のメモリに記録し、これを9ラインにわ
たり繰り返す。この間モータコントローラ13の働きで
読み取り装置を1mmずつ変えて、IPS−CPU16
にWht−Refを送る。IPS−CPU16は、これ
を合図にしてデータ採取を行っている。この結果9ライ
ン分累積加算された各画素のデータと、各画素の9ライ
ンのうちの最小値が求まる。ここで最小値のデータは光
路中にあるゴミ・ホコリを読んだデータが含まれている
と考えられるので、累積加算したラインデータから最小
値ラインデータを差し引き、ゴミ・ホコリの含まれない
8ライン分の累積加算データを得る。この過程を4回繰
り返し32ライン分の累積加算データを得る。これを5
ビットシフトすることで、32ラインの平均をとってシ
ェーディングデータとし、IPS−CPU16が保持し
てコピー時にラインメモリ37に送り返しシェーディン
グ補正を行う。このシェーディング補正によりランプ投
影光量、CCD画素感度、フレネルレンズの光学性能に
起因する主走査方向のムラの補正、RGBごとの白レベ
ル微調整を行うことができる。
【0036】ここでBの場合には、採取データが160
になるようにAGCの調整レベルを調整し、シェーディ
ングデータ作成時には1.375倍にしメモリに書かれ
るデータが220になるようにしている。こうすること
で、AGC調整時よりも大きなA/D変換入力がきて
も、シェーディングデータより小さい限りは、除算によ
るシェーディング出力が255以下となり飽和しない。
特に、ポジモードで濃いフイルムに対して濃度補正する
場合、ランプ電圧を上げていくと色温度が高くなってR
に比べBの出力の増分が大きくなる。この出力の変化に
よるカラーバランス変動自体は後述するENLの書き換
えで補正できるが、Bの出力が増えて飽和してしまうと
補正が効かなくなる。このため上記の方法によりあらか
じめB出力に対してはA/D変換出力及びシェーディン
グ補正出力で飽和までの余裕を大きく取り、同様にGの
場合にも、Rに比べ大きめの余裕をとるようにしてい
る。これにより、濃いフイルムに対して光量を大きくし
ていった場合、Rが最適光量となった時に、BやGが増
えすぎて、回路の途中で飽和することがなくなる。
【0037】ポジフイルムの性質として濃度が濃くなる
ほどγが立ってくる。このため撮影時にアンダー露光気
味のフイルムは、それだけフイルム上で広い濃度範囲が
使われていることになる。このため濃いフイルムほど広
い濃度範囲を読み取らねばならないので、光量を上げた
ときに、A/D変換入力のRGBバランスが最適になる
ようAGC時のA/D変換入力のカラーバランスは、予
めR>G>Bとなるようにアンバランスにしておくのが
良い(ステップS102)。
【0038】次に、ランプの消灯を行い、スキャンユニ
ットをプラテンのリードエッジの下に移動させ外来光の
侵入を防いで、オフセット(ダークレベル)の調整(以
下AOC)を行う。このときの回路設定は、ゲイン値を
AGCで設定した値、オフセットをNVMに格納してあ
る前回の設定値、乗算回路と減算回路を両方ともスルー
にする。通常は減算器で8が減算される設定なっている
が、AOCの時だけは、8を減算しない設定にする。こ
れは、黒を読み取ったときの信号でシェーディング補正
回路の出力がほぼ零になるように設定しないと、シェー
ディング補正出力が透過率間隔にならないが、A/D変
換出力を黒読取時に0に合わせようとすると、オフセッ
ト調整がマイナス側にずれている場合、0以下の数値が
判別できないため、ずれの大きさから解らず調整が困難
になるからである。このためA/D変換出力を10に合
わせるようAOCの目標値を決め、AOC以外では、シ
ェーディング補正回路で8を引くことで、このオフセッ
ト調整のずれを補正している。なお、A/D変換出力の
目標値を8ではなく10とするのは、CCDの読取特性
が、ダーク部分で非線形なのを補正するためである。こ
の状態でAGCと同様に1ラインのデータをラインメモ
リ37に書き込み、それをIPS−CPU16から読み
出して代表画素256の平均値を出す。この平均値とA
OC目標値との差に基づきオフセット設定値の変更を行
う。この動作を8回繰り返しノイズの大きい2回のデー
タを捨ててその平均値からオフセットの最終設定を決め
る(ステップS103)。
【0039】ところでフイルム投影装置では、濃いフイ
ルムを読み取るためにAGCで決めたゲインよりも1.
4倍、2倍、2.8倍のゲインを使って読み取るモード
を用意している。この時のゲイン設定値は、AGCで決
めたゲイン値をそれぞれ1.4倍、2倍、2.8倍した
値から前記4次式を使ってゲイン設定値に変換して求め
る。またこのゲイン設定値を変更することで、オフセッ
トレベルも若干変化するので、それに合わせてAOCを
行う必要がある。
【0040】まず、AGCで決定した、6チャンネルの
ゲイン値をそれぞれ1.41倍して新しいゲイン値をも
とめ、これを前記4次式でゲイン設定値に変換して行う
(ステップS104)。オフセット設定値には、前回
1.4倍モードで設定しNVMに記憶してあった値をま
ず設定する。この状態で標準ゲインでのAOCと同様の
手順でAOCを実施し、1.4倍のゲインに対応するオ
フセット設定値を求める。以下同様に2.0倍、2.8
倍の場合もゲイン設定値に合わせたオフセット設定を行
う(ステップS105)。
【0041】こうして求められたゲイン−オフセットの
設定値は、1倍〜2.8倍の各ゲインモードごとにRA
Mに記憶しておき、フイルム投影装置でのコピーの時
に、選択された各ゲインに応じてこの記憶エリアから数
値をロードし、ゲイン−オフセットの設定を行う。これ
らフイルム投影装置用のAGC、AOCの設定及びシェ
ーディングデータは、RAM内に保存されるので、一旦
F/Pモードを解除した後、再度F/Pモードに入った
場合には、このRAMデータをロードすれば良い。従っ
てこの時は、AGC、AOC、シェーディングをデータ
採取して再設定する動作は行わなくてよい。
【0042】図7はフイルム投影装置のA/E処理の流
れを説明するための図、図8及び図9はA/E実施判断
処理の流れを説明するための図である。
【0043】次に、フイルム投影装置のA/E処理の流
れを図7に沿って説明する。フイルム投影装置の中の各
モードが選択されコピーボタンが押されると、通常ネガ
密着の場合や特別の条件の場合を除き、コピーに先立ち
自動濃度調整のための画像のサンプリング(以下A/E
と略す)を行う(ステップS201)。そのため、最初
に、図8に示すA/Eを行うかどうかの実施判断を行
う。これは同じフイルム原稿に対して、何回もA/Eを
行うことを避けることを目的としている。
【0044】例えば同じフイルムに対して拡大率を変え
て何枚かコピーを撮る場合、第1回目のA/Eによって
そのフイルムに対する読取設定が決まっているのに、毎
回約10秒の所要時間を必要とするA/Eを行うのは無
駄である。また、後述するA/Eの処理の中にある分岐
判断により微妙なサンプルデータの違いによってA/E
の判定結果が大き変わる場合もあるので、一連のコピー
では、1回設定したA/Eで行うのが望ましい。また、
フイルムからのコピーにおいてオペレータは、多くの場
合、コピーを1枚試し取りした後、A/Eで決まった設
定に対し濃度、カラーバランスの微調整を行うので、2
回目のA/Eの判定と1回目のA/Eの判定が異なる
と、オペレータがどちらに微調整すれば良いかわから
ず、目標とする濃度、カラーバランス調整に行きつけな
いことがある。このような理由から1枚のフイルムに対
して2回目以降のA/Eは行わないことが望ましい。こ
の目的で以下の条件でA/Eの実施判断を行う(ステッ
プS202)。
【0045】まず、フイルム投影装置からメインCPU
1に送られるケーススライド信号が変化した場合には、
フイルムケースが動かされ、マイクロスイッチが作動し
たことを意味しているので、フイルム原稿が交換された
と判断し新しいフイルム原稿に対してA/Eを行う。そ
の他、フイルムを入れたまま一旦F/Pモードを解除し
て通常のコピーを行った後、再度F/Pモードに入り直
した場合には、前回のA/Eの設定値が残ってないので
A/Eを改めて行う。また、フイルム銘柄選択が変更さ
れた場合にも、A/Eで使うベースフイルムデータが変
わってしまうので、A/Eをやり直す必要がある。さら
に、プラテン面にフイルムを直置きする密着モードの場
合にも、フイルム交換が実施されたかどうか知る手段が
ないため、A/Eを毎回行う。以上4つの条件のうち1
つでも満たされた場合には、A/Eを実施し、A/Eが
実施されない場合には、図9に示すように前回のA/E
で決められた濃度調整値ΔWO 及びカラーバランス調整
量CBO に対し、ユーザインタフェースにより選択され
た設定分を調整した後、ランプ電圧、アンプゲイン、E
NLの書き換えを行う。
【0046】図10は初期設定処理の流れを説明するた
めの図、図11はA/Eデータサンプル処理の流れを説
明するための図、図12はサンプルデータ整理処理の流
れを説明するための図である。次にA/Eが選択された
場合には、ユーザインタフェースから指定されたフイル
ム種類に基づき図10に示す初期設定を行う(ステップ
S203)が、このときに重要な役割を持っているベー
スフイルム濃度データについて説明する。
【0047】ここでいうベースフイルム濃度とは、読取
対象フイルムの濃度の最も薄い部分(ネガなら未露光部
・ポジなら過露光部)を読み取って前記シェーディング
データで補正した透過率出力を濃度に直したものであ
る。例えばシェーディングデータを220としシェーデ
ィング補正されるデータを110とすると、シェーディ
ング補正された出力は、110÷220×256=12
8となる。これは、透過率50%=濃度0.3であるこ
とを示しており、これを200倍して8ビット整数に割
り振った60をベースフイルム濃度データと定義しRG
Bごとに決める。フイルムの画像データは、このベース
フイルム濃度を基準として測った濃度データであるの
で、A/Eに際しては、ベースフイルム濃度分を差し引
いて考えなければならない。特にカラーネガフイルムの
場合は、RGBごとのベースフイルムの濃度分によって
カラーバランスが大きく変化するので重要である。
【0048】A/Eで使用するベースフイルム濃度デー
タは、それぞれユーザインタフェースから指定されたフ
イルムの種類をメインCPU1からIPS−CPU16
へ通信で送り、これに合わせて設定している。例えばモ
ノクロネガの場合は、カラーバランスを考える必要がな
いため、それぞれパラメータとしてROMの持っている
データをベースフイルム濃度データとするが、カラーネ
ガの場合は、実際にベースフイルムを読み取った値を使
う。カラーネガの場合、ユーザインタフェースの指定に
より実際に読み取ったベースフイルム濃度データを3種
類までNVMに保存しておき、ユーザインタフェースか
らその保存したスロットNoを指定することで、コピー
時に呼び出す。そのとき、ベースフイルムを読み取るモ
ードもここから分岐されるが、このモードはベースフイ
ルムの説明と共に後述する。
【0049】同様にランプ電圧も、フイルムの種類に合
わせて予め決められた設定を行う。ランプ電圧の設定の
ためにシェーディング補正を行ったときのランプ電圧L
VD(これを基準ランプ電圧と呼ぶ)と設定するランプ
電圧LVとの比は、パラメータ(ポジの場合LVPS0
をランプ電圧比と呼ぶ)としてROMに持っておき、A
GCで変更される基準ランプ電圧LVDに連動して変更
される。またカラーネガを読むためのランプ電圧LV
は、3段階のランプ電圧比LVNG(kLV=1〜3)が
パラメータとして用意され、ユーザインタフェースから
指定されたスロットNoから対応するNVMに格納され
ているkLV=1〜3のデータをロードし、パラメータと
して持っている3段階のランプ電圧比の中から選んで基
準ランプ電圧LVDに掛け合わせ、A/Eスキャンを行
う時のランプ電圧としてメインCPU1に送り返す。メ
インCPU1はこの電圧をフイルム投影装置へ通信で送
り設定を行う。
【0050】また、2種類のフィルタの選択もフイルム
の種類によって決められる。ポジフイルムはポジ補正フ
ィルタ、ネガフイルムはベースフイルムのオレンジ色を
補正するための青いネガ補正フィルタ、モノクロネガ
は、ベースフイルムの色が青いため、ポジ補正フィルタ
を使う。これは、メインCPU1が判断しフイルム投影
装置に通信で送り設定する。また、IPS−CPU16
は、AGC、AOCで決められた4段階のゲイン(1倍
〜2.8倍)のうち標準ゲインである1倍を使い、AG
C、AOCで述べた方法でアナログ回路にこの1倍モー
ドのゲインオフセットの設定を行う。シェーディング補
正回路の設定は、減算器(−8)のみ有効として、乗算
器はスルーとする。
【0051】これらの設定を完了した段階で、IPS−
CPU16に対して設定完了を通信し、次にフイルム投
影装置に対してランプ点灯を指令し、ランプが安定した
という信号を受け、次にモータコントローラにスキャン
エリアの最初の位置までの移動を指令する。IPS−C
PU16は、スキャンエリアまでの移動が完了したこと
をモータコントローラからのWht−Ref信号により
検知し、ラインメモリ37にフイルム画像信号を1ライ
ン分取り込む。この1ラインのデータのうち、図11に
示すように連続32画素を1ブロックとしてIPS−C
PU16が読み出す。この読み出したデータに対し、I
PS−CPU16が保持しているシェーディングデータ
によりIPS−CPU16内部の演算で256×(読み
出しデータ)÷(シェーディングデータ)の計算をして
1画素ごとにシェーディング補正し、次にIPS−CP
U16がパラメータとしてROMに持っている8ビット
ログ変換テーブルにより濃度に変換する。このテーブル
は濃度0を0、濃度2E25を255に割り振ったもの
であり、
【0052】
【数1】Y=−100×log10(X/255)(X=
0の場合のみ255にする) の式より、8ビット透過率データ(0〜255)から8
ビット濃度データ(255〜0)に変換するもので、2
56個の8ビット濃度データをテーブルとして持ってい
る。このデータを1ブロック内の32画素分累積加算
し、これを10倍した後32で割り、濃度0〜2.55
を0〜2550に割り振った1ブロック内の平均濃度デ
ータを得る。このように先にログ変換LUTを通してか
ら32画素の平均を求めることで、ビット精度を高く
し、8ビットログLUTが元々持っている分解能より高
濃度の階調分解能が高くなるようにしている。
【0053】こうして求めた1ブロックの平均濃度から
ベースフイルム濃度データを引き算することにより、ベ
ースフイルムから測ったRGBの正味のフイルム濃度デ
ータ[Rav,Dav,Bav]を得る。このときベー
スフイルム濃度データは、8ビットデータ0〜255を
0〜1.28に割り振っているので、5倍して換算を行
っている。これを16ブロック×16ライン繰り返し、
256点×3色のサンプルデータを得る(ステップS2
04及び図11のS241〜S246)。
【0054】次に図12に示すようにこのデータに対し
ステップS253で色座標変換を行い、マトリクス演算
により[Rav,Dav,Bav]を[X,Y,W]に
変換する。ここでX,Yは色相彩度空間の直交直線座標
で、Wは白色彩度を表す。このときWをネガ濃度で扱っ
ているので、ポジのフイルム画像の場合は、[Rav,
Dav,Bav]を[Rnp,Gnp,Bnp]から引
き算してネガ濃度に直してから変換を行う。また色ごと
のγの違いもここで補正する。この256点の[X,
Y,W]データを基にして、256点の平均濃度、最大
濃度、最小濃度などのバロメータを抽出し、平均濃度、
最大濃度、最小濃度を使った条件分けとパラメータの線
形計算により、濃度補正量ΔW0 を求める(ステップS
206)。
【0055】図13は濃度補正量判定処理の流れを説明
するための図である。ところで、ポジの場合、オーバー
露光で濃度の明るいフイルムを濃い方向に補正しすぎる
と絵が暗く色の濁った印象の悪いコピーとなる。そこ
で、 図13に示す処理に従って濃度補正量ΔW0 を求め
た後(ステップS261〜S262)、この自動濃度調
整値として補正が濃くなりすぎないようにΔW0 ≧ΔW
0Iの条件で制限をかけている。濃度補正の制限値ΔW0I
は、マシンの設定範囲で決まる物理的な濃度調整の制限
とは別であり、ユーザの好みによりΔW0Iよりも濃い設
定も可能である。こうして決まったA/Eでの濃度補正
判定値ΔW0 に対し、ユーザインタフェースの濃度キー
による選択で±の補正をして濃度調整量ΔWに変換し、
さらに、物理的な制限範囲をΔWの値と比較して物理的
な制限範囲を逸脱している場合には制限を加える。この
ときにネガとポジの濃度補正量のずれ分ΔWPSを補正す
る(ステップS263)。
【0056】同様に256点の[X,Y]の平均[LA
TX,LATY]に基づき、色補正ベクトル[ΔX,Δ
Y]を決定する。まずベクトル[ΔX,ΔY]の方向
は、ベクトル[LATX,LATY]の方向と正反対に
とる。またベクトル[LATX,LATY]を疑似極座
標[DXY,T]に変換し、CPUのROMの持つテー
ブルを参照して[ΔX,ΔY]の大きさと[LATX,
LATY]の大きさの比CB0 を求めカラーバランス補
正量とする(ステップS264)。
【0057】フイルムのカラーバランスの補正は、エバ
ンスの原理に従い、「フイルム全体の平均濃度がグレイ
でないのは、フイルム撮影時の照明光色により被写体全
体の平均色彩グレイの被写体が色づいて撮影されている
ため」ということを大前提として、「フイルム全体の平
均カラーバランスのずれをグレイにすることでカラーバ
ランス補正がなされる」ということを基本的な考え方と
している。この基本に対して、被写体が「空の青」や
「草の緑」のように鮮やかなため、平均カラーバランス
がグレイからずれている、という場合(カラーフェリ
ア)を考慮し、平均色彩の色に応じてカラーバランス補
正量CB0 を1〜0の間で調整している。こうして決ま
ったカラーバランス補正量CB0 に対して「被写体が鮮
やかな色をしているため、フイルム全体の平均カラーバ
ランスがグレイからずれている」ことを示す条件があて
はまる場合には、CB0 を半分の値に書き換える(ステ
ップS265)。さらにポジからのコピーでカラーバラ
ンス補正が過補正となった場合、フイルム原稿とそのま
ま比較できるため補正エラーが目立ち印象が悪い。この
ため補正量をさらに半分にし、過補正とならないように
する。こうして求められたCB0 に対し、ユーザインタ
フェースのカラーバランス補正キーによる指定に従い1
〜0の範囲で修正を加え、CB0 →CBと変更する(ス
テップS266)。このCBにより、[LATDX,L
ATDY]×(−CB)=[ΔX,ΔY]と、カラーバ
ランス補正量を求める。
【0058】ΔW0 とCB0 と[LATDX,LATD
Y]は、A/Eによって求まるそのフイルム原稿固有の
値であり、ユーザインタフェースの濃度調整キーやカラ
ーバランス調整キーの設定によらない値である。よって
あるフイルム原稿に対して1度A/Eを行った場合、こ
の4つの値ΔW0 とCB0 と[LATDX,LATD
Y]を記憶させておくだけで、濃度調整キーやカラーバ
ランス調整キーの設定が変わったとしても、再度A/E
を行わずに調整キーに合わせた濃度、カラーバランスの
補正ができる。
【0059】図14は補正パラメータ設定処理の流れを
説明するための図である。IPS−CPU16が求めた
[ΔX,ΔY,ΔW]による濃度調整のための回路設定
では、図14に示す処理を行う。ポジの場合、[ΔX,
ΔY,ΔW]にRGB→XYWの変換マトリクス演算の
演算逆行列(予め求めた逆行列をパラメータとしてCP
UがROMに持って置く)をかけてRGB空間での濃度
補正量[ΔR,ΔG,ΔB]に変換する。ここで[Δ
R,ΔG,ΔB]が正の場合はコピーを明るくする(フ
イルムを明るく読む)調整であり、負の場合はコピーを
暗くする調整である。また、濃度が小さくなる方向を正
にとっているので、符号が反転しているが、ポジではマ
イナスをかけてネガ濃度に変換した分があるので、マイ
ナスはキャンセルされる。コピーを明るくするために
は、ENLカーブの変更でも可能であるが、A/D変換
入力レンジを有効に活用できず階調数が少なくなるの
で、A/D変換入力信号を増やすために、ランプ電圧の
アップとアンプゲインのアップを行う。この中でもアン
プゲインのアップはCCDノイズをも増幅してしまうの
で、ランプ電圧のアップを行い、補正量が足りない場合
にアンプゲインのアップを行う。
【0060】まず[ΔR,ΔG,ΔB]の平均ΔAVを
求め、この値がランプ電圧調整で調整できる濃度調整量
の最大LVXと比較し、この範囲内であれば、アンプゲ
インでの調整分ΔGa を0とし、ランプ電圧での調整を
行う。次にΔAVが、LVX以上でLVXとアンプゲイ
ンによる濃度調整量の最大ΔGaxとを足したもの以下で
あれば、アンプゲインでの濃度調整分ΔGa をΔAVか
らランプ電圧調整での濃度変化分の最大LVXを引いた
ものとする。さらに、ΔAVがランプ電圧とアンプゲイ
ンで調整できる範囲以上になった場合は、この2つの調
整範囲内に制限しΔAV=ΔGax+LVXとする(ステ
ップS272)。
【0061】こうして決まったアンプゲインでの濃度調
整分ΔGa からアンプゲイン1段階での濃度変化量Ga
s(濃度で0.15→150)で整数除算を行い、{1
倍、1.4倍、2倍、2.8倍}の4つのゲインモード
のうちから1つを選ぶ。この選んだゲインにあわせてA
GC、AOCで決めてあるゲインとオフセットの設定値
をアナログ回路8に設定する。アンプゲインは離散的な
値となるため、前に計算したΔGa を実際に選択された
ゲインにあわせて書き換える(ステップS273)。
【0062】次にランプ電圧を計算する。まず、書き換
えたΔGa を使ってランプ電圧により変更する濃度調整
分をΔGL =ΔAV−ΔGa と決める。ハロゲンランプ
の性質により決まるランプの光量と電圧の関係から設定
ランプ電圧LVと濃度調節量ΔGL の間には
【0063】
【数2】
【0064】の関係があり、これを2次式で近似しLV
=LVD×LVPS0×{1+FAC+FAC×FAC
÷2}と設定しランプ電圧を得る。このLVの値は、メ
インCPU1を経由して、フイルム投影装置に設定され
る。またFAC=ΔGL ÷PG÷(1000/1n1
0)である。
【0065】ランプ電圧変更による読取濃度調整量は、
ランプの色温度変化を伴うためRGBで異なり、GでΔ
L の変化があった場合のBとRの変化量は各々(ΔG
L ÷PG ×PR )と(ΔGL ÷PG ×PB )となる。こ
こで[PR ,PG ,PB ]は読取色によって異なる定数
で上記の式LVにおけるPG と同じものである。先に求
めたRGB毎の濃度調整量[ΔR,ΔG,ΔB]からこ
れらアンプゲインとランプ電圧による濃度変更分を引く
と、[ΔR,ΔG,ΔB]が正だった場合には引かれた
後0前後の数字になり、さらに、A/Eの最初でフイル
ム濃度から差し引いたベースフイルム濃度データを補正
分として加えなおすと、ENLで補正する濃度調整量が
求まる。
【0066】ところで、ENLの補正は、再び透過率空
間で行わなければならず、濃度→透過率の8ビット変換
テーブルを通るための入力値としても0〜255の範囲
に制限しなくてはならない。この時の出力値としては
1.0〜0.004(8ビット値で255〜1)とな
る。ENLカーブは、この補正によりコピーを暗くする
方向になるので、[ΔR,ΔG,ΔB]の符号を変え、
濃度差1.0を1000から100にスケール変更する
ため10で割り、さらに正の数字にするためのオフセッ
トを加えたのが[ΔD(1),ΔD(2),ΔD
(3)]であり、これを濃度→反射率変換の逆ログテー
ブルに通す。この変換テーブルは、
【0067】
【数3】Y=255×10-X÷100 の式で表され、256個の8ビットデータからなり8ビ
ット濃度値(0〜255)から8ビット透過率(255
〜0)に変換するテーブルである(ステップS27
4)。この変換テーブルにより、濃度補正量[ΔD
(1),ΔD(2),ΔD(3)]から補正係数aを求
め、前述したようにROMに持っている係数ak を使っ
て表される標準6次式
【0068】
【数4】 y=[Σk 0-6 {ak ×(X/256)}k ]÷16 に上記補正係数αをかけたもので
【0069】
【数5】 y=[Σk 0-6 {ak ×(α/256・X/256)k }]÷16 という式を以下のような形で計算する。
【0070】
【数6】 M0 =a61 =M0 ×α÷256×j÷256 M1 =N1 +a5 …… NK=MK-1 ×α÷256×j÷256 MK=NK +a6-K …… N6 =M5 ×α÷256×j÷256 M6 =N6 +a0 y=M6 ÷16 (jが変換テーブルの入力アドレス、yが入力データ) ここでは、24ビットデータに8ビットデータを掛け合
わせ32ビットにした後、256で割る(8ビットシフ
ト)操作を繰り返し、演算は32ビットの範囲で行われ
る。この簡略化した計算により3本の計算所要時間が約
2秒で行える。もしこの処理を浮動小数点計算で行った
とすれば、計算時間に数分を要する。この計算により求
めたENLカーブをENLのRAMに書き込む(ステッ
プS275)。なお、ランプ電圧設定変更、ランプ点
灯、アンプゲイン設定変更等は、設定から安定まで1秒
弱かかるので、これを先に行うことで時間の節約を行っ
ている。
【0071】この後、IPS−CPU16より各処理を
行っているLSIのレジスタの設定変更をすることでフ
イルムにあわせた色濁り除去などを目的とする色補正マ
スキング係数(ネガ用、ポジ用を切り換える)の変更
や、精細度処理の係数変更を行う。また、シェーディン
グ補正回路の設定において、8を減算することと、ライ
ンメモリ37に書き込まれたシェーディングデータでの
除算をイネーブルにし、乗算器をディスエーブルにする
ことによって通常のコピーモード用に戻し、IPS−C
PU16が持っているフイルム投影装置用のシェーディ
ングデータをラインメモリ37に転送しコピーの準備を
終了する(ステップS276)。
【0072】次にネガの場合について説明する。先に求
めた[ΔX,ΔY,ΔW]にネガ用RGB→XYW変換
のマトリクス演算の逆行列(予めCPUがROMに持っ
ているデータ)をかけて[ΔR,ΔG,ΔB]に変換す
る。[ΔR,ΔG,ΔB]が負の場合はコピーを明るく
する調節であり、正の場合はコピーを暗くする(フイル
ムを明るく読む)調整である。ポジの変換で述べたよう
に、濃度変更量が正の符号を読取フイルム濃度が小さく
なる方向にとっているので、逆行列をかけたところで符
号反転のマイナスをかけている(ステップS278)。
【0073】ところで、ネガフイルム読取画像をネガ/
ポジ変換するには、濃度空間上での線形反転になる。こ
の場合、濃度等間隔に量子化された階調ならば、ネガ/
ポジ反転後も濃度等間隔であるが、人間の目の階調変化
に対する間隔は明度等間隔に近いので、濃度等間隔に量
子化された階調は、シャドー部に比べハイライト部の方
が人間の目に粗く感じられる。さらに、本実施例のよう
な透過率等間隔にA/D変換した読取画像は、濃度等間
隔に比べ高透過率部の階調は細かく、低透過率部の階調
は粗くなっている。これらより、透過率等間隔にA/D
交換された画像をネガ/ポジ反転した場合、濃度等間隔
よりも階調の粗い低透過率読取信号がハイライトに変換
されてコピー出力されるので、ハイライト部の階調変化
に敏感な人間の目にとっては、階調の粗い絵に感じられ
てしまう。この傾向は、A/D変換出力が小さい(透過
率の低い)レンジを使って読み取られた画像信号ほど強
くなる。つまり、同じ濃度幅0.3(光量比2倍)の信
号をA/D変換するのに、10〜20のレンジを使うよ
り20〜40のレンジを使った方がよりきめの細かい読
取が出来るということである。
【0074】ネガフイルムを読み取る場合、ベースフイ
ルムを読んだ時の出力がA/D変換レンジの上限に近い
ところに合わせているA/Eスキャン時の読取設定に対
し濃度調整を行う。撮影時にアンダー露光だったフイル
ムに対し[ΔR,ΔG,ΔB]を負の方向に補正する場
合、A/D変換入力を下げようとすると、ハイライトの
階調性が低下する問題がある。従来例ではこの問題を持
っていた。本実施例では、A/D変換入力をそのままに
し、ENLカーブの書き換えで濃度補正を行う。一方、
オーバー露光のフイルム(濃度が高い)に対し同じよう
にENLカーブの書き換えで濃度補正を行うことは、A
/D変換出力がさらに小さい部分をハイライト出力に変
換することになるので、ハイライト階調性が粗くなる問
題が発生する。このため、A/D変換入力を大きくする
方向の設定変更(フイルムを明るく読む)を行う。この
ための手段として、ランプ電圧アップとアンプゲインア
ップの2通りの手段がある。しかし、ネガ読取時には、
ポジに比べ濃度の濃いネガベースフイルムを読んだとき
の出力がA/D変換レンジの上限近くなるように標準状
態のランプ光量が高く設定してあるため、ランプ光量を
さらにアップする調整余裕が少ない。このため本実施例
において、ネガ読取時のコピーを暗くする方向(フイル
ムを明るくする方向)の濃度調整は、アンプゲインのア
ップで行う。もちろん光量調整幅のもっと大きな装置で
あれば、光量調整を合わせて行っても良い。このとき読
取フイルムデータの明るい部分(ネガ/ポジ反転後のコ
ピーでのシャドー部)は、A/D変換部で飽和する。し
かし、コピーを暗くする方向に濃度調整することは、コ
ピー上でシャドー部を濃く潰す調整となるため、コピー
上階調差を再現できないほど濃い濃度となる。このため
A/Dで飽和しても、問題にならない。
【0075】ネガの場合、Bのγが最も高く正になりや
すいので、これを参照して正になった場合には、ゲイン
調整のためのパラメータΔGa を0からΔBに書き換
え、ゲインを上げて読取を行う。またゲイン調整の最大
幅をこえる場合は、ΔGa をΔGaxに制限する(ステッ
プS278)。このΔGa に基づきポジと同じ方法で予
め決めてある4段階のアンプゲインの中から1つ選び、
離散的なゲインによる調整量でΔGa を書き換える(ス
テップS279)。
【0076】また、前述のようにランプ電圧の変更は行
わないが、IPS−CPU16とメインCPU1との間
の通信の共通化のため、A/Eでの設定値LVを再度メ
インCPU1に転送し、フイルム投影装置へ設定する
(ステップS208)。このあと、ENLルークアップ
テーブル10の書換えを行うが、その前にネガフイルム
からのコピー再現を説明する。
【0077】図15は透過率補正係数によるカーブの違
いを説明するための図、図16は各フイルムからのコピ
ー出力再現を表すJones Plotを説明するため
の図、図17は各フイルムからのコピー出力再現を表す
Jones Plotの従来例を示す図である。
【0078】Jones Plotは、第4象限が被写
体露光濃度とコピー出力関係を表し系全体の再現特性を
示しており、第1象限〜第3象限が系の部分での再現特
性を示している。まず第1象限がフイルム撮影時の特性
で、被写体を撮影してフイルム上の現像濃度になるまで
の特性を示している。ここでは、撮影時の露光量(アン
ダーか?標準露光か?)によりハイライト部、シャドー
部の被写体露光濃度が異なっている。次に第2象限がフ
イルム濃度を読み取ってENL入力までの特性である。
X−軸であるENL入力は、実際には透過率に比例した
出力であるが、座標表示は見やすいように濃度で示して
いる。ここで、アンプゲインを変更した場合は、斜め4
5度の直線を右上方向に平行移動した変換特性になる。
図示している標準露光のフイルム濃度使用域よりオーバ
ー露光になった場合は、アンプゲインアップを行う。第
3象限は、ENL入力からコピーまでの変換を示してい
る。ここでの変換特性はENLの書換えによって変更さ
れる。
【0079】これらを見るとわかるように、ネガフイル
ムの持つ特性は、アンダー露光ネガの低濃度部(コピー
出力のシャドー部)で撮影時の感光量が極端に少ないた
め、フイルム特性本来のγよりも次第に小さくなってい
く特性をしている。この部分を使っているアンダー露光
ネガから標準露光で撮影されたのと同じようなコピー出
力(第4象限の1点鎖線)を得るには、ENLの特性を
第3象限の点線のようなものとしてアンダー露光のシャ
ドー部にあたる部分の変換特性のγを高くする必要があ
る。このアンダー露光ネガからのコピー再現の画質を改
善するため、標準ENLの切換えを行っている。こうす
ることによってアンダー露光のネガからの再現特性も第
4象限の点線に示すように標準露光の場合と同じ再現特
性が得られる。これは、従来例を示した図17の場合も
同様な特性となっており、ROMテーブルに用意された
6本のENDカーブの中から濃度補正量が大きくなるに
したがいアンダー補正用のENDを選ぶようになってい
る。この場合の違いは、濃度補正の連続的な変化を第2
象限の濃度加算で行っている点で、図16に示す本実施
例では、ここの補正分も含めてENLの書換えで行って
いる。
【0080】ENLの切り換えについては、本実施例で
も[ΔR,ΔG,ΔB]の値を使ってENLカーブのパ
ラメータを「アンダー」から「標準」の6種類のパラメ
ータの中から選択している。[ΔR,ΔG,ΔB]が負
になる場合が、撮影時の露光条件が「標準」よりも「ア
ンダー」なフイルムを補正する場合で、補正量が負の大
きな値になるほどアンダー露光の程度がひどく、ENL
カーブの選択よりもアンダーの程度が大きなものにな
る。このENLの選択をRGB別個に行った場合は、変
更の境目でグレイバランスがくずれるので、ここでは、
ΔGを代表にENLの選択を行っている。
【0081】ところで、ネガの濃度補正として[ΔR,
ΔG,ΔB]の値の分に対し、ポジと同じように基準E
NLカーブを透過率補正係数分αだけ単純に書換えると
すると、アンダー露光の場合には濃度補正量[ΔR,Δ
G,ΔB]が負の大きな値となり、透過率補正係数分α
が小さな値となる。例えばα=25となった時にJon
es Plotのような変換特性になるとすると、α=
256のときのカーブは、図15の(ア)のような左右
に押しつぶされた形のカーブとなり、このカーブを表す
6次式の係数の絶対値が大きな数値となって24ビット
の範囲で表せない。逆に24ビットの範囲で表せるカー
ブという制限をつけると、ENLカーブを設計する自由
度がなくなり、良好な再現特性を持ったカーブを設計で
きなくなる。
【0082】これを解決するためには、[ΔR,ΔG,
ΔB]が負の大きな値とならないよう対策を行う。前述
のようにENLカーブをΔGによって切り換えているこ
とを使ってこの対策にする。つまり濃度補正量ΔGが負
の大きな値になるに従い、境界値e(1〜5)により順
次アンダー補正の効果の大きいENLを選択している部
分で(どれを選択したかのパラメータをie=1〜6と
する)[ΔR,ΔG,ΔB]からe(1〜5)を差し引
くことで対策となる。例えば、 e(1)= 50 e(2)= −50 e(3)=−150 e(4)=−250 e(5)=−350 としておき、ieの値を選んだあとで、ΔGからe(i
e)を差し引けば、ΔGが0でも−200でも−400
でも、e(ie)を引いた後はいずれも−50となり、
負の大きな値にならずにすむ。このように[ΔR,Δ
G,ΔB]は一定の範囲に維持され補正係数αがひどく
小さな値にならずにすむ。よって基準カーブの6次式の
パラメータは24ビットの範囲で表せる。図15の
(エ)のような実際にENLに書き込まれるカーブがα
=128のときに得られるとすると、基準カーブが図1
5の(ウ)のようなものとなり、図15の(ア)のよう
な極端なカーブにならなくてすむ。
【0083】この[ΔR,ΔG,ΔB]からゲイン調整
分のΔGa をひき、ベースフイルム分をRGB読取濃度
から差し引く分として[ROM,GOM,BOM]を補正す
る。あとはポジと同様に符号を合わせると、数値が負に
ならないためのオフセット分加算を行い、[ΔD
(1),ΔD(2),ΔD(3)]を求め、濃度→透過
率変換テーブルを使って補正係数αに直し、ENLの計
算を行うだけである。このとき、標準〜アンダーの中の
どのENLが選ばれたかを示すパラメータie=1〜6
が使われる。そしてこのENLがENL RAMに書き
込まれる。
【0084】また、図16に示すようにアンダー露光専
用ENLに書き換わることで、出力コピー上のハイライ
ト部分に対応する部分がENL入力(ネガ/ポジ反転
前)で光量の多い部分のデータに対応させることができ
る。従来例では、標準露光ネガ/アンダー露光ネガに合
わせて変換カーブの切り換えを行っていなかったので、
アンダー露光ネガの読取時に、読取光量を落とすことに
なり、出力コピー上でのハイライト階調数の低下が起こ
り、ハイライト粒状性が本実施例に比べ悪くなったが、
これは、アンダー露光に対応して、ENLを書き換える
ことの副次効果である。
【0085】次にネガ密着モードについて述べる。この
モードはネガのストリップをプラテン上に置いてフイル
ム投影装置によるバックライテングによりネガ/ポジ変
換処理をかけてコピーするモードである。何枚ものネガ
のコマが1つの画面に入るため、フイルムのコマ個々に
合わせた濃度調節はできない。よってこのモードではA
/Eは行わなず、標準露光フイルムにあわせた設定でコ
ピーを行う。
【0086】まずメインCPU1は、フイルム投影装置
にネガ用フィルタ装填を指示し、ついでIPS−CPU
16に各設定を行わせる。まずランプ電圧とアンプゲイ
ン設定を行う。ところで、ネガ密着モードでは、フイル
ムベース濃度以上の濃度を持つフイルム部分と、フイル
ムベースに比べ光量が数倍にもなるフイルムの無い部分
を合わせて読み取らねばならない。このとき、通常のネ
ガ投影モードと同じ光量設定では、フイルムのベースを
読んだときのCCD出力が1V程度という設定となる
が、フイルムの無い部分ではCCD出力が大きくなり、
B出力の場合で4V以上にもなってしまう。一方、ここ
で使っている3ラインカラーCCDは、高速読取に対応
するため電荷転送部の容量を小さくしてCCD出力段の
ゲインを上げている。つまり小光量の信号を高速に扱う
ように設計されている。これは、縮小光学系が密着光学
系に比べ反射原稿を読んだ場合の露光量が少ないことに
起因していて、CCDの内部のゲインを高くすることで
補う設計になっているためである。このためCCD飽和
レベル以上の光量がCCDに入射した場合には、この電
荷転送部が飽和を起こし、後続の画素信号エリアに飽和
した電荷が溢れ出してしまう。このためフイルムが無く
光量の高い部分に対応する画素の信号電荷が飽和して、
後続のフイルム画像を読み取った画素の溢れ出し画像を
潰してしまう。この対策として、ネガ密着モードでは、
ネガ投影モードに比べランプ光量を約1/2に落とし、
かわりにアンプゲインを高く設定する投影モードと異な
る設定を行っている。
【0087】ついでENLの設定を行う。ここでベース
フイルムデータは、投影ネガ用に用意されているスロッ
ト1〜3のベースフイルムデータのうち、スロットのデ
ータが無条件に選ばれるようになっている。画質上は、
いくつものフイルムが混ざってコピーされるモードなの
で、フイルム銘柄の差に起因するカラーバランスの差を
厳密に補正しても意味はないが、固定のパラメータとし
てしまうとネガとポジの2つの補正フィルタを使ってい
るので、ポジ補正フィルタ単体のバラツキはシェーディ
ングで補正されるが、ポジとネガのフィルタの色ガラス
の特性が機差でバラツク分の補正はされない。これを補
正するためスロット1のデータを代表として、フィルタ
に起因する機差を補正する。
【0088】このベースフイルム分の補正を行って、
[ΔD(1),ΔD(2),ΔD(3)]を求めたあ
と、これを使って他のENL計算と同様の方法でENL
テーブルの計算を行う。このとき、計算の係数ENLN
GC(ie,k)は独立なパラメータとしてROMに持
っておく。
【0089】最後にベースフイルム読取(オレンジマス
ク読取)について述べる。これは、フイルム銘柄ごとの
ベースフイルム濃度差に起因する、カラーバランスを補
正するためのもので、AGC、AOC、シェーディング
が終了した標準設定状態で実際にベースフイルム読取を
行う。
【0090】まず、ユーザインタフェースからベースフ
イルム読取が選択されたことをメインCPU1からの情
報で知り、IPS−CPU16は、[ROM,GOM
OM]=[0,0,0]を設定する。これは、読取を行
う時に補正するベースフイルム濃度を0にしておきシェ
ーディングデータを基準とした濃度を求めるための設定
である。また、ネガ投影用として持っている3段階のラ
ンプ電圧比LVNG(kLV=1〜3)のうち最も低いL
VNG(3)を選び、ランプ電圧LVをLVD×LVN
G(3)とする。これは、フイルム銘柄によるベースフ
イルム濃度のバラツキや上記フィルタの色ガラスの特性
のバラツキのため、読取光量がシェーディングデータ以
上になって濃度変換レンジを逸脱するのを防止すること
を目的としている。このランプ電圧をメインCPU1に
送り返し、メインCPU1はフイルム投影装置に対して
このランプ電圧の設定とネガ補正フィルタの装填を命令
する。その後は、通常のA/Eスキャン設定と同じ設定
を行う。
【0091】そしてA/Eサンプルを行い[Rav,D
av,Bav]を256点分採取する。これを求める際
に使う[ROM,GOM,BOM]は前記のように=[0,
0,0]に設定してある。この256点の平均を求め、
200が濃度1.000を表すようにスケール変換し、
8ビットデータにして[ROM,GOM,BOM]に代入しベ
ースフイルムデータとする。この[ROM,GOM,BOM
が、シェーディングデータを基準にして決めたベースフ
イルム濃度で、もし読取信号がシェーディングデータと
同じレベルであれば、濃度0でベースフイルムデータに
対して80%の出力に対し濃度0.10でベースフイル
ムデータが20となるように決定する。ここで扱うベー
スフイルム濃度は、補正にあたり読取画像信号からベー
スフイルム分をキャンセルして読取、補正を行うもので
あるので、絶対濃度である必要はなく、シェーディング
データ採取時の光量に対してのベースフイルム読取状態
の光量比を濃度に直したもので充分である。
【0092】また、[ROM,GOM,BOM]は、前述のよ
うな色ガラスの分光バラツキを予測して読取出力が飽和
しないように光量を低めにして採取したものである。こ
のため、分光バラツキの度合い次第では、ベースフイル
ム読取時の出力がA/D変換レンジの半分以下になるこ
ともあり、ネガフイルムを読む場合にシステムが本来持
っているS/N性能を充分発揮できない場合がある。本
実施例では、このことを考慮して、読取値[ROM
OM,BOM]を使って判断を行い、そのフイルム銘柄を
読み取るときに最適なランプ光量を20%ずつ違えた3
段階の光量から選ぶようにしている。
【0093】まず[ROM,GOM,BOM]の全てが上限値
より小さい(ランプの玉ぎれ等が原因で読取データが真
っ暗な状態ではない)ことを確認する。次に読取データ
がシェーディングデータより明るくないことを確認す
る。ログLUTの性能のため、[ROM,GOM,BOM]が
シェーディングデータよりも明るくても0以下にならな
いからであり、この不適切な状態を除外するため、下限
値[ROMI ,GOMI ,BOMI ](≒[2,2,2])を
減算し、負になった場合はエラーとする。こうして残っ
た[ROM,GOM,BOM]に対しコピー時に使う光量を決
定する。
【0094】次に、[ROM,GOM,BOM]を[ΔR
OM2 ,ΔGOM2 ,ΔBOM2 ]と比較して全ての色で数値
が大きければ[ROM,GOM,BOM]=[ROM,GOM,B
OM]−[ΔROM2 ,ΔGOM2 ,ΔBOM2 ]と置き換え、
ネガ用に用意された3段階のランプ電圧のうち最も高い
電圧のパラメータkLV=2を選ぶ。また、[ΔROM2
ΔGOM2 ,ΔBOM2 ]は、kLV=2(3段階の中でも最
も高いランプ電圧の状態)とkLV=3(3段階で最も低
いランプ電圧)の状態との間の読取信号の濃度差であ
る。この[ROM,GOM,BOM]の置き換えでLV=LV
D×LVNG(kLV=2)を使って読んだ時の濃度値に
換算することができる。
【0095】また[ROM,GOM,BOM]が[ΔROM2
ΔGOM2 ,ΔBOM2 ]よりも小さかった場合は、次に
[ΔROM1 ,ΔGOM1 ,ΔBOM1 ]と比較して全ての色
で大きければ[ROM,GOM,BOM]=[ROM,GOM,B
OM]−[ΔROM1 ,ΔGOM1 ,ΔBOM1 ]と置き換え、
3段階の中かの中間のランプの電圧のパラメータkLV
1を選ぶ。ここで[ΔROM1 ,ΔGOM1 ,ΔBOM1 ]は
LV=1の状態とkLV=3の状態の読取信号の濃度差で
ある。kLV=1,2,3では、それぞれ光量が20%程
度ずつ変更される。最後に[ROMI ,GOMI ,BOMI
を再加算して、ベースフイルム濃度値[ROM,GOM,B
OM]を決める。これにより読み取られた銘柄のネガフイ
ルムに合わせたカラーバランス補正と同時に、読み取ら
れた銘柄のネガフイルムに合わせたA/E、コピー時の
光量設定が可能になる。なお、上記の例では、[ROM
OM,BOM]により3段階のランプ電圧の調整を行って
いるが、同様の過程を繰り返すことで4段階、5段階に
することも簡単にできる。
【0096】こうして決められた[ROM,GOM,BOM
とkLVの値は、何度でも使えるようにNVMに登録でき
るし(登録できるスロットが3カ所あり、スロットNo
の指定により呼び出せる。)また、テンポラリなデータ
として、コピーに先だって読み取り、そのとき(また
は、一連のコピーのとき)だけの補正データとして使う
こともできる。
【0097】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、読取装置で得られたアナログ信号のアンプゲ
イン、オフセット調整を行った後デジタル信号に変換し
てシェーディング補正その他読取系に起因するムラ等の
補正を行い、透過率信号から明度信号への階調変換やネ
ガ/ポジ反転等の処理、色補正や精彩度強調その他の処
理を行うと共に、透過率をシステムバリューとして標準
設定で読み取られたフイルムの画像データをサンプリン
グし、透過率→濃度変換テーブルにより濃度データに変
換して濃度空間で求めた画像平均濃度などの特徴量をパ
ラメータとして線形演算し読取濃度補正量を求めて各回
路のパラメータの設定を行うので、制御手段において、
透過率→濃度変換テーブルで濃度に変換して読取濃度補
正量を求めることができ、フイルム原稿に応じてランプ
電圧やアンプゲイン等を設定して読取階調数の低下をお
さえフイルム撮影時のカラーバランスの補正などの撮影
条件の補正をきめ細かに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るフイルム画像読取装置を搭載し
たデジタルカラー複写機の1実施例を示す図である。
【図2】 フイルム投影装置の光学系の構成概要を示す
図である。
【図3】 アナログ回路及びデジタル回路の構成例を示
す図である。
【図4】 A/D変換からENLまでの回路の構成例を
示す図である。
【図5】 シェーディング補正回路の構成例を示す図で
ある。
【図6】 フイルム投影装置の光量補正処理の流れを説
明するための図である。
【図7】 フイルム投影装置のA/E処理の流れを説明
するための図である。
【図8】 A/E実施判断処理の流れを説明するための
図である。
【図9】 A/E実施判断処理の流れを説明するための
図である。
【図10】 初期設定処理の流れを説明するための図で
ある。
【図11】 A/Eデータサンプル処理の流れを説明す
るための図である。
【図12】 サンプルデータ整理処理の流れを説明する
ための図である。
【図13】 濃度補正量判定処理の流れを説明するため
の図である。
【図14】 補正パラメータ設定処理の流れを説明する
ための図である。
【図15】 透過率補正係数によるカーブの違いを説明
するための図である。
【図16】 各フイルムからのコピー出力再現を表すJ
ones Plotを説明するための図である。
【図17】 各フイルムからのコピー出力再現を表すJ
ones Plotの従来例を示す図である。
【図18】 従来のフイルム画像読取装置の信号処理系
の構成例を示す図である。
【図19】 従来のフイルム画像読取装置の信号処理系
の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…メインCPU、2…フイルム投影装置、3…ミラー
ユニット、4…フレネルレンズ、5…プラテン、6…縮
小光学系、7…カラーCCD、8…アナログ回路、9…
デジタル補正回路、10…ENLクックアップテーブ
ル、11…画像処理回路、12…スクリーンジェネレー
タ、13…カラーレーザプリンタ、14…モータコント
ローラ、15…ユーザインタフェース、16…IPS−
CPU、17…NVM、18…ROM、21…ハロゲン
ランプ、22…リフレクタ、23と25…コンデンサレ
ンズ、24…熱線吸収フィルタ、26…ポジ補正フィル
タ、27…ネガ補正フィルタ、28…フイルム、29…
投影レンズ

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フイルム原稿の空中像をプラテン上に投
    影するフイルム投影装置、前記空中像またはプラテン上
    に載置してバックライティングしたフイルム原稿の像を
    結像レンズを介してセンサに結像させてセンサから主走
    査と副走査を行ってアナログ信号により画像情報を読み
    取る読取装置、該読取装置で得られたアナログ信号のア
    ンプゲイン、オフセット調整を行った後デジタル信号に
    変換するアナログ回路、該アナログ回路の出力に対しシ
    ェーディング補正その他読取系に起因するムラ等の補正
    を行うデジタル補正回路、該デジタル補正回路の出力に
    対し透過率信号から明度信号への階調変換やネガ/ポジ
    反転等の処理を行う変換処理回路、該変換処理回路の出
    力に対し色補正や精彩度強調その他の処理を行う画像処
    理回路、及び前記各回路のパラメータの設定やマシン全
    体の制御を行う制御手段を備え、制御手段は、透過率を
    システムバリューとして標準設定で読み取られたフイル
    ムの画像データをサンプリングし、予め記憶している透
    過率→濃度変換テーブルにより濃度データに変換して濃
    度空間で求めた画像平均濃度などの特徴量をパラメータ
    として線形演算し読取濃度補正量を求めて各回路のパラ
    メータの設定を行うことを特徴とするフイルム画像読取
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフイルム画像読取装置に
    おいて、前記制御手段は、前記標準設定のときの前記ア
    ンプゲインを3色の前記デジタル信号に変換する入力が
    R>G>Bとなるように設定することを特徴とするフイ
    ルム画像読取装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のフイルム画像読取装置に
    おいて、前記制御手段は、前記デジタル信号に変換した
    出力に対し、1<R<G<Bとなる値を乗算したものか
    らシェーディングデータの作成を行うことを特徴とする
    フイルム画像読取装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のフイルム画像読取装置に
    おいて、前記読取装置にフイルムのコマが交換されたこ
    とを検知する手段を設け、フイルム画像のサンプリング
    を行うか否かを前記検知した信号で判断することを特徴
    とするフイルム画像読取装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のフイルム画像読取装置に
    おいて、前記制御手段は、予め決められたフイルム読取
    時の読取濃度補正量に基づき、前記フイルム投影装置の
    ランプの光量の変更、前記アンプゲインの変更、前記階
    調変換のテーブルの内容書き換えを行うことを特徴とす
    るフイルム画像読取装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のフイルム画像読取装置に
    おいて、読取エリア内にあるフイルムが存在する部分と
    存在しない部分を同時に読み取らせるモードが用意さ
    れ、該モードが選択された場合には、通常の読取時の光
    量設定とアンプゲイン設定に比べ、光量を低くアンプゲ
    インを高く設定することを特徴とするフイルム画像読取
    装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載のフイルム画像読取装置に
    おいて、前記制御手段は、フイルム読取を行うに前に、
    装置のセットアップとして前記読取装置の照明光量、セ
    ンサ感度などの空間バラツキやマシンごとのバラツキを
    補正するためのシェーディングデータの作成を行い、該
    シェーディングデータを使って補正を行った未露光のネ
    ガフイルムの読取値を透過率→濃度変換テーブルで変換
    して当該ネガフイルムのベースフイルム濃度を定義し、
    フイルム原稿のサンプリングデータを濃度データに変換
    した際に前記ベースフイルム濃度を差し引いてフイルム
    画像情報の濃度パラメータを求めることを特徴とするフ
    イルム画像読取装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のフイルム画像読取装置に
    おいて、前記制御手段は、前記濃度パラメータより計算
    した読取濃度補正量に前記ベースフイルム濃度を加算し
    て前記透過率空間に変換する前の読取濃度補正量にする
    ことを特徴とするフイルム画像読取装置。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のフイルム画像読取装置に
    おいて、前記制御手段は、シェーディングデータの作成
    を行ったあと、該シェーディングデータを使って未露光
    のネガフイルムの読取を行う際に、それぞれのネガフイ
    ルムにあわせた読取光量の決定をベースフイルム濃度デ
    ータの決定と合わせて行うことを特徴とするフイルム画
    像読取装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載のフイルム画像読取装置
    において、前記読取光量を、シェーディングデータ作成
    時に使用したランプ電圧と前記読取時に使用するランプ
    電圧の比で決定することを特徴とするフイルム画像読取
    装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載のフイルム画像読取装
    置において、前記ランプ電圧の比を求める方法として、
    所定のランプ電圧の比を使い前記未露光のネガフイルム
    の読取を行ってその平均濃度を求め、該平均濃度が所定
    の値よりも大きい場合には、前記読取時のランプ電圧の
    設定として前記所定の値に対応するランプ電圧の比を選
    択し、平均濃度から前記所定の値に対応する濃度差分を
    差し引いてベースフイルム濃度とすることを特徴とする
    フイルム画像読取装置。
  12. 【請求項12】 請求項11記載のフイルム画像読取装
    置において、前記ベースフイルム濃度、前記ランプの電
    圧の比または所定のランプ電圧の比を区別するパラメー
    タを不揮発性メモリに格納し、実際のフイルム読取時に
    前記不揮発性メモリの内容を読み出して光量設定及び読
    取濃度補正時に使うベースフイルム濃度とすることを特
    徴とするフイルム画像読取装置。
  13. 【請求項13】 請求項1記載のフイルム画像読取装置
    において、ネガフイルムの場合とポジフイルムの場合で
    両方とも同じ線形演算式を使って読取濃度補正量を求め
    たあと、いずれか片方の読取濃度補正量の範囲に制限を
    加えることを特徴とするフイルム画像読取装置。
  14. 【請求項14】 請求項13記載のフイルム画像読取装
    置において、前記いずれか片方の読取濃度補正量の範囲
    は、ポジフイルムの読取濃度補正量であることを特徴と
    するフイルム画像読取装置。
  15. 【請求項15】 請求項7記載のフイルム画像読取装置
    において、前記制御手段は、前記階調変換テーブルの内
    容書換えとして、基準となる変換カーブのデータを記憶
    した記憶手段を有し、前記読取濃度補正量によって決ま
    る数値分で変換カーブのデータを補正した内容を書き込
    むことを特徴とするフイルム画像読取装置。
  16. 【請求項16】 請求項15記載のフイルム画像読取装
    置において、前記制御手段は、前記変換カーブのデータ
    として書き込み番地のべき乗の和の形で表した多項式の
    係数で持つことを特徴とするフイルム画像読取装置。
  17. 【請求項17】 請求項15記載のフイルム画像読取装
    置において、読取濃度補正量に基づき濃度→透過率変換
    テーブルにより透過率空間での補正係数に変換し、前記
    補正係数を前記番地データに掛け合わせ前記変換カーブ
    のデータとして書き込み番地のべき乗の和の形で表した
    多項式を計算して求めることを特徴とするフイルム画像
    読取装置。
  18. 【請求項18】 請求項15記載のフイルム画像読取装
    置において、y=[Σk=0-m {ak ×(x/25
    6)k }]÷16(x:8ビットの番地(0〜25
    5))の形で前記多項式の係数ak を持ち、該ak は2
    4ビット以内で表される整数であることを特徴とするフ
    イルム画像読取装置。
  19. 【請求項19】 請求項18記載のフイルム画像読取装
    置において、前記多項式の係数ak と読取濃度補正量に
    基づき濃度→透過率変換テーブルにより変換した透過率
    空間での補正係数αを使い、補正係数αを8ビットデー
    タとして、 M0 =am1 =M0 ×α÷256×j÷256 M1 =N1 +am-1 …… Nk =Mk-1 ×α÷256×j÷256 Mk =Nk +am-k …… Nm =Mm-1 ×α÷256×j÷256 Mm =Nm +a0 y=Mm ÷16 の計算方法で32ビット整数の範囲での演算を行ってア
    ドレスjに対応する変換カーブのデータyを計算するこ
    とによって、変換補正カーブの計算を行うことを特徴と
    するフイルム画像読取装置。
  20. 【請求項20】 請求項15記載のフイルム画像読取装
    置において、前記変換カーブのデータとして、複数本分
    のデータを用意しておき、前記読取濃度補正量の大きさ
    により選択するカーブを決定し、選択したカーブに応じ
    て前記透過率空間での補正係数に変換する前の読取濃度
    補正量の大きさを変更することを特徴とするフイルム画
    像読取装置。
  21. 【請求項21】 請求項20記載のフイルム画像読取装
    置において、前記読取濃度補正量がより大きな値のとき
    に選ばれるカーブの場合は、前記反射率空間での補正系
    数に変換する前の読取濃度補正量からより大きな値を差
    し引くことを特徴とするフイルム画像読取装置。
  22. 【請求項22】 請求項15記載のフイルム画像読取装
    置において、多色読取に対応して色毎に変換カーブのデ
    ータをそれぞれ複数本持っていること特徴とするフイル
    ム画像読取装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6870637B1 (en) 1998-11-26 2005-03-22 Seiko Epson Corporation Image processing method and image processor using the same

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