JPH07142372A - アパーチャ及びその製造方法 - Google Patents

アパーチャ及びその製造方法

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JPH07142372A
JPH07142372A JP30875093A JP30875093A JPH07142372A JP H07142372 A JPH07142372 A JP H07142372A JP 30875093 A JP30875093 A JP 30875093A JP 30875093 A JP30875093 A JP 30875093A JP H07142372 A JPH07142372 A JP H07142372A
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film
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 作製が容易で精度の高い荷電ビーム露光装置
用のアパーチャを提供する。 【構成】 荷電ビームを用いた露光方法に用いられるア
パーチャ9であって、導電性のある例えばSi単結晶で
作製された支持基板1上に支持基板と熱膨張率がほぼ等
しく、導電性が高く、支持基板のエッチング液に化学的
に浸されない材料、例えばPtやPdのような開口部を
有する金属膜8を形成してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体集積回路等の微
細なパターンを形成するために用いられるいわゆる一括
露光方式の荷電ビーム露光装置におけるアパーチャおよ
びその製造方法に関わり、特に高密度な繰り返しパター
ン作製における描画速度の向上を図るためビーム形成手
段の改良を図った荷電ビーム露光装置のアパーチャおよ
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体集積回路のパターンは、年々微細
化の傾向にあり、複雑化してきている。このようなパタ
ーンを荷電ビーム露光装置で描画、形成するために、繰
り返し使用される図形および図形群などを一回のショッ
トで描画する方法、いわゆる一括露光法、ブロック露光
法、あるいはキャラクタプロジェクション法等と呼ばれ
る方式が提案されている。
【0003】この方式においては、荷電ビーム露光装置
におけるアパーチャに、従来ポイントビーム方式であれ
ば丸い孔、可変成形ビーム方式であれば矩形の孔を形成
していたものに変え、繰り返し使われる図形や図形群を
作り込むことにより一回のショットで描画してしまうと
いう考え方で、スループットの飛躍的向上が見込まれ
る。
【0004】ところで、この方式に使用されるアパーチ
ャは従来は例えば図4に示すように、支持基板に厚いS
iウエハ1を用いて裏から加熱したKOHエッチング液
4で方位面に従った化学エッチングを行ない、その出来
た下部Si板12の上面に研磨等によって薄膜化したS
iウエハ(上部Si板)11をSi酸化膜10を介して
貼り合わせたものや、図5に示すように厚いSiウエハ
1を用いて上記と同様に裏から方位面に従った化学エッ
チングを行ない、途中でそのエッチングを止め、上面を
薄膜化したものを使用し、その薄膜化した部分あるいは
上記図4の上部Si板11の部分に電子線レジスト6で
形成したレジストパターン7を用いてパターニングを行
ない、繰り返し使用される図形ならびに図形群を作り込
むことによって構成されていた。なお、図4及び5中、
符号2はマスキングパターン、符号3はエッチング槽を
示している。
【0005】しかしながら、図4の方式では、下部Si
板12と上部Si板11との貼り合わせ時に加熱を行な
うことや、下部Si板12と上部Si板11の間に酸化
シリコン10を介すことなどから応力が発生し、パター
ンが歪む、また、この貼り合わせ工程は、上部Si板1
1と下部Si板12を摂氏900〜1000度程度で加
熱して張り合わせるわけであるが、加熱昇温時や冷却時
の温度制御に注意を要するなどの問題があった。また、
図4、図5の方式の両方ともパターンを作製する上面が
薄膜化しているため、取り扱いに注意を要し、特にパタ
ーン作製時に上面の薄膜部が破れやすいなどの問題があ
った。
【0006】このパターンの歪みは、パターンの変形、
すなわち意図したものと異なったパターンがアパーチャ
上に形成され、転写パターンとして形成されてしまうこ
とや、パターンの位置ずれ、すなわちアパーチャ上の意
図した位置とは異なった位置にパターンが形成され、転
写パターンとして形成されてしまうことなどが挙げら
れ、そのずれの程度は十分の一μm〜数μmに及んでし
まう。この状態で半導体ウエハ上にパターンの転写が行
なわれれば、作製されたものは集積回路として重大な不
良品となるうえに作動しないのは明白である。
【0007】また、アパーチャを荷電ビーム露光装置に
組み込んで露光を行なう際、このアパーチャによって遮
蔽された、すなわちパターンの無い部分は、荷電粒子ビ
ームが照射される。そのため、アパーチャの材質が電気
伝導度が良くない物質の場合、チャージアップが発生す
る可能性がある。チャージアップが発生すれば、アパー
チャにより形成されたビームは変形し、また意図する位
置からのずれを生じ、ひどい場合には全くパターンが描
画されない状態に至るという問題があった。
【0008】特に、図4の貼り合わせ方式の場合、Si
酸化膜10を介するためチャージアップは避けられない
問題である。そのため従来は上部あるいは下部に更に導
電性膜を形成するなどの方法をとっていたが、膜が多層
構造になるため、工程が複雑になるという問題点が発生
し、加えて熱膨張率が各層によって違うため、上述のご
とく、応力がかかり、パターンが歪むなどの問題があっ
た。
【0009】また、このアパーチャの作製工程において
は、図4の貼り合わせ方式、図5のメンブレン方式いず
れの場合においても、上面にエッチングを行なって薄膜
化する際にどの時点でエッチングを停止させるかによっ
て上面の膜厚が異なるため、非常に精密なエッチングの
制御が必要になるという問題があった。
【0010】さらに、上面を薄膜化してからパターニン
グを行なう場合、その厚さは数十μmと薄いため、レジ
スト塗布の際のレジストの重みや滴下時の衝撃、ウエッ
トエッチングの際のエッチング液の重みや衝撃、工程中
のハンドリングの際の振動及び衝撃などで簡単に破れて
しまうという問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明におい
ては、従来いわゆる一括露光法と呼ばれる荷電ビームの
露光方式に用いられてきた荷電ビーム露光装置用のアパ
ーチャの問題点、すなわち、作製時に応力が発生し、作
り込まれるパターンが歪むことや、上面が薄膜であるた
めに取り扱いに注意を要し、パターン作製時に上面の薄
膜部が破れやすいこと、荷電粒子ビーム照射時にチャー
ジアップが生じる可能性があること、また上面薄膜部の
作製時に精密な制御が必要であること等の問題点を解決
し、作製が容易で精度の高い荷電ビーム露光装置用のア
パーチャおよびその製造方法を提供することを目的とし
ている。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のアパーチャは、荷電ビームを用いた露光方
法に用いられるアパーチャにおいて、開口部を有する第
1の膜領域と、該第1の膜領域を支持し且つ該第1の膜
領域よりも厚い第2の膜領域とを有し、該第1の膜領域
を形成する主たる材料と該第2の膜領域を形成する主た
る材料とが異なる材料からなることを特徴ととしてい
る。
【0013】また、本発明のアパーチャは、前記第1の
膜領域と前記第2の膜領域にそれぞれ使用される材料の
熱による線膨張率の差が273Kから373Kの温度範
囲において5×10-6-1以下であることを特徴として
いる。
【0014】また、本発明のアパーチャは、前記第1の
膜領域は前記第2の膜領域のエッチング時にエッチング
がなされない材料であることを特徴としている。
【0015】また、本発明のアパーチャは、前記第2の
膜領域は導電性を有することを特徴としている。
【0016】また、本発明のアパーチャは、前記第1の
膜領域はPtまたはPdもしくはその合金であることを
特徴としている。
【0017】また、本発明のアパーチャは、前記第2の
膜領域は単結晶Siであることを特徴としている。
【0018】本発明の荷電ビームを用いた露光方式に用
いられるアパーチャの製造方法は、レジストパターンを
第2の膜領域上に形成し、次にその上に前記第2の膜領
域よりも薄い第1の膜領域を形成し、その後前記第2の
膜領域をエッチングしてなることを特徴としている。
【0019】また、本発明のアパーチャの製造方法は、
前記第1の膜領域下のレジストパターンは前記第2の膜
領域のエッチング時に同時に溶解することを特徴として
いる。
【0020】
【作用】本発明によれば、第2の膜領域として導電性の
ある支持基板例えばSi単結晶を使用し、パターンを形
成する上面の第1の膜領域として支持基板である第2の
膜領域例えばSiと熱膨張率がほぼ等しく、導電性が高
く、特に支持基板である第2の膜領域をバックエッチン
グする際のエッチング液に化学的に侵されない物質例え
ばPt、Pdのような物質を使用する。そして、パター
ン形成領域の作製用のレジストに第2の膜領域のエッチ
ング液に対して溶解性のあるものを使用することによ
り、第2の膜領域のバックエッチング工程の際に、上面
のレジストパターンの剥離を同時に行なうことが出来、
工程の簡略化が可能となる。
【0021】また、熱による貼り合わせを行なう工程が
無く、加えてパターンを形成する第1の膜領域は、支持
基板である第2の膜領域例えばSiと熱膨張率がほぼ等
しいため、荷電粒子ビームの照射による熱が原因で発生
する応力、それによるパターンの歪みを防止することが
可能になる。
【0022】また、本発明によれば、絶縁物を含まない
構成であるため、荷電粒子ビームの照射によるチャージ
アップの発生を防止することを可能にしている。
【0023】また、上面の第1の膜領域は、工程上一番
最後に薄膜化されるため破れる危険性を激減させること
が可能になる。
【0024】
【実施例】図1は、本発明のアパーチャの製造方法の一
実施例を工程順に示す断面図である。
【0025】まず図1(a)に示すように、厚さ500μ
mのSi単結晶の基板1を用意した。この基板の面方位
は(100)であった。
【0026】次に基板1の裏面側から加熱したKOH溶
液のエッチング液4でエッチングを行った。この際、図
1(b)に示す様に、あらかじめ開口部以外の部分をマ
スキングパターン2を形成しておく。この開口部の大き
さは任意であるが、面積をあまり大きくすると、完成時
に破れやすくなるため、500μm角程度が好ましい。
この際、基板1の面方位が(100)であるため、図1
(c)に示すように、基板1に対して厚さ方向にはエッ
チングがすすんでいくが、横方向にはあまりすすんでい
かないいわゆる異方性エッチングを行うこととなる。エ
ッチングは、開口部分の板厚が100μm程度、すなわ
ちこの後の工程で容易には破れない程度の厚さで止め
る。その後、純水で洗浄を行った。なお、後の工程で必
要になるため、開口部以外のマスキングパターン2は、
この段階では剥離しない。これで、図1(d)に示すよ
うなアパーチャのブランク5が出来上がる。
【0027】次に上述したブランク5の開口部と反対の
面に図1(e)に示すように電子線レジスト6(例えば
東ソー(株)製CMSーEX(R))を全面塗布した。
この時のレジスト膜厚は、20μm以下、好ましくは、
5〜15μmである。この膜厚が、完成時の電子線を遮
蔽するパターンを形成した金属膜すなわち第1の膜領域
の厚さとなる。
【0028】次いで所定のプリベーク処理後、従来から
使われている電子線描画装置(例えば日立製作所製HL
−700)でパターンの描画を行い、所定の現像、ポス
トベーク処理を行った。これで、図1(f)に示す様
に、アパーチャのブランク5の上面にレジストパターン
7が出来上がる。
【0029】次に上述したレジストパターン7上に、図
1(g)のように金属膜8を真空蒸着法によりを製膜し
た。金属膜8は支持基板1であるSiと熱膨張率がなる
べく近い値で、かつ、Siのエッチング液におかされな
いものが望ましく、本実施例では例えばPtを使用する
こととする。この際の金属膜8の厚さはレジストパター
ン7の厚さ程度、すなわちレジストパターン7の開口部
が金属膜8で埋まる程度である。この金属膜8の製膜は
スパッタリング法、イオンプレーティング法などの従来
知られている方法を使用しても勿論かまわない。
【0030】次に、上述の金属膜8を製膜したブランク
5を図1(h)に示す様に、支持基板Siのエッチング
液4である加熱したKOH溶液に浸漬した。このとき、
エッチング液4は基板1の上面および下面から浸透して
いく。
【0031】上面に関してはレジストパターン7上にも
金属膜8が製膜されているが、レジストパターン7と金
属膜8で埋まった開口部との境界部は金属膜8が付着し
ていないかごく薄い膜になっており、その部分よりエッ
チング液4が浸透する。エッチング液4は、強アルカリ
性であるためレジストパターン7すなわち電子線レジス
ト6を溶解する。そのため、レジストパターン7および
その上の金属膜8は剥離し、さらにその下のSiを溶解
する。しかし、金属膜8すなわちPtは、エッチング液
4に対し不溶であるため、レジストパターン7上以外の
金属膜8は残存する。
【0032】一方、下面に関しては、前述のブランク5
の作製工程におけるバックエッチングの続きすなわち異
方性エッチングが行われ、最終的にはマスキングパター
ン2の部分のみSiが残り、ブランク5の開口部は上面
から製膜をした金属膜8のみが残る。
【0033】この後、有機溶剤でマスキングパターン2
の剥離を行い、純水で洗浄、乾燥して図1(i)に示す
ように本発明のアパーチャ9が出来上がる。
【0034】本実施例によれば、従来行なわれていた貼
り合わせ工程がないため、基板に高熱をかける必要がな
いことから応力は発生せず、パターンの歪みやずれは無
かった。パターン作製時には、従来この工程の前に行な
っていた薄膜化の工程が本実施例では最後になるため、
作製途中での基板の破れは発生しない。また、上記電子
線レジストがSiのエッチング液であるKOH液に溶解
するため、支持基板Siのバックエッチング工程の際に
レジスト剥離も同時に出来るので、工程が簡略化され
た。加えて、ブランク作製工程ではエッチングの精密な
制御が必要なくなるため、従来よりも工程が単純になっ
た。
【0035】また本実施例で作製したアパーチャを荷電
粒子ビーム露光装置に装着して描画を行なったところ、
長時間描画を行なっても、従来発生していたチャージア
ップは発生せず、応力によるパターンの歪みやずれも確
認されなかった。
【0036】図2は、本発明の別の一実施例を工程順に
示す断面図である。図1と同等の箇所には同一符号を付
して重複説明を適宜省略する。
【0037】まず図2(a)に示すように、厚さ500
μmのSi単結晶の基板1を用意した。この基板の面方
位は(100)であった。
【0038】次に基板1の裏面側からエッチング液4で
エッチングを行なった。この際、図2(b)に示す様
に、あらかじめマスキングパターン2を形成しておく。
この際基板1の面方位が、(100)であるため、いわ
ゆる異方性エッチングを行うこととなる。エッチング
は、開口部分の板厚が100μm程度、すなわちこの後
の工程で容易には破れない程度の厚さで止める。その
後、純水で洗浄を行なった後、有機溶剤でマスキングパ
ターン2を剥離した。これで、図2(c)の如く本発明
のアパーチャのブランク5が出来上がる。
【0039】次に上述したブランク5の開口部と反対の
面に図2(d)のように前述の電子線レジスト6を全面
塗布した。この時のレジスト膜厚は、20μm以下、好
ましくは、5〜15μmである。
【0040】次いで、図2(e)の如く前述のレジスト
6を塗布した面と反対の面、すなわちブランク5の裏面
に同じく電子線レジスト6を塗布した。この時のレジス
ト膜厚は、20μm以下、好ましくは、5〜15μmで
ある。すなわち上面のレジストの膜厚と同じ膜厚にす
る。このように、初めにエッチングを行なったブランク
5の開口部にも電子線レジスト6を塗布するが、これ
は、この次の工程すなわち金属膜8の製膜の際のマスキ
ング層として使用する。
【0041】次いで、所定のプリベーク処理後、前述の
電子線描画装置でパターンの描画を行い、所定の現像、
ポストベーク処理を行ない、図2(f)に示すように本
発明のアパーチャのブランク5の上面にレジストパター
ン7が出来上がる。
【0042】次に上述したレジストパターン7を設けた
基板上に図2(g)の如く金属膜8を製膜する。金属膜
8としては前述のように支持基板であるSiと熱膨張率
がなるべく近い値で、かつ、Siのエッチング液におか
されないものが望ましく本実施例では前述と同様Ptを
使用することとする。
【0043】この金属膜8の製膜は、従来から使われて
いるメッキ装置を使用し、塩化白金浴すなわち第1浴に
おいて塩化白金酸4g/l、リン酸アンモニウム20g
/l、リン酸ナトリウム100g/lの混合溶液中で、
温度80℃、電流密度100A/m2、電圧3.5V、
第2浴において、塩化白金酸ナトリウム15g/l、水
酸化ナトリウム20g/l、塩化アンモニウム5g/
l、クエン酸90g/lの混合溶液中で、温度80℃、
電流密度15A/m2、電圧4.5V、第3浴におい
て、水酸化ナトリウム20g/l、塩化第二白金酸4g
/l、第二リン酸ナトリウム5g/l、重炭酸ナトリウ
ム8g/l、硝酸カリウム8g/l、ホウ酸10〜15
g/lの混合溶液中で温度80℃、電流密度50A/m
2、電圧4.5Vの条件で、いずれも陽極をPtとして
Ptの電解メッキを行なった。この際のメッキ厚さは前
述の如くレジストパターン7の厚さ程度、すなわちレジ
ストパターン7の開口部がPtで埋まる程度である。こ
の際、基板表面のレジストパターン7および裏面のマス
キングパターン6上には金属膜8は付着しない。
【0044】次に、図2(h)の如く上述の金属膜8を
製膜した基板をエッチング液4である加熱したKOH溶
液に浸漬した。この際、エッチング液4は基板の上面お
よび下面から浸透していく。
【0045】基板上面に関しては、エッチング液4は、
強アルカリ性であるため電子線レジスト6を溶解する。
そのため、レジストパターン7はエッチング液4に溶解
し、さらにその下のSiを溶解する。しかし、金属膜8
すなわちPtは、エッチング液4に対し不溶であるた
め、レジストパターン7上以外の金属膜8は残存する。
【0046】一方、下面に関しても、同じ電子線レジス
ト6を使用しているため、エッチング液4に溶解する。
この際、開口部のみではなく、基板全体がエッチングさ
れていくことになるが、開口部と支持部の境界部分は前
述の通り、エッチング速度が極端に遅いため板厚のみ薄
くなり、そのエッチング厚も基板厚の数十分の一〜数百
分の一である。そのためブランクの形状は維持され、厚
みに関しても問題はない。結果的には前述のブランク5
の作製工程におけるバックエッチングの続きが行われ、
最終的にはブランク5作製時のマスキングパターン2を
設けた部分すなわち支持部のみSiが残り、開口部は上
面から製膜をした金属膜8のみが残る。この工程で基板
板厚を薄くしたくなければ、ブランク作製時のマスキン
グパターン2を剥離せず、開口部のみ上面レジストと同
じ電子線レジスト6を同じ膜厚だけ塗布すれば良く、エ
ッチング終了後、有機溶剤でマスキングパターン2の剥
離を行えば良い。
【0047】その後、純水で洗浄、乾燥して本発明のア
パーチャ9が図2(i)の如く出来上がる。
【0048】本実施例によれば、前述の実施例と同様、
従来行なわれていた貼り合わせ工程がないため、基板に
高熱をかける必要がないことから応力は発生せず、パタ
ーンの歪みやずれは無かった。またパターン作製時に
は、薄膜化の工程が最後になるため、作製途中での基板
の破れは発生せず、また、支持基板Siのバックエッチ
ングの際にレジストパターン7剥離も同時に出来るた
め、工程が簡略化され、さらに、ブランク作製工程では
エッチングの精密な制御が必要なくなるため、従来より
も工程が単純になった。
【0049】また本実施例で作製したアパーチャを荷電
粒子ビーム露光装置に装着して描画を行ったところ、長
時間描画を行っても、従来発生していたチャージアップ
は発生せず、応力によるパターンの歪みやずれも確認さ
れなかった。
【0050】図3は、本発明の他の実施例を工程順に示
す断面図である。図1と同等の箇所には同一符号を付し
て重複説明を適宜省略する。
【0051】まず図3(a)に示すように、厚さ500
μmのSi単結晶の基板1を用意した。この基板の面方
位は(100)であった。
【0052】次に図3(b)に示すように、裏面からエ
ッチング液4でエッチングを行った。この際、図3
(b)に示す様に、あらかじめ開口部以外の部分をマス
キングパターン2を形成しておく。この際、基板の面方
位が、(100)であるため、いわゆる異方性エッチン
グを行うこととなる。エッチングは、開口部分の板厚が
100μm程度、すなわちこの後の工程で容易に破れな
い程度の厚さで止める。その後、純水で洗浄を行った。
後の工程で必要になるため、マスキングパターン2は、
剥離しない。これで、図3(d)に示すように本発明の
アパーチャのブランク5が出来上がる。
【0053】次に図3(e)に示すように上述したブラ
ンク5の開口部と反対の面に、従来から行なわれている
スパッタリング法で、酸化シリコン13すなわちSiO
2を約1μm、ポリシリコン14を厚さ約10μmほど
形成した。
【0054】次に、図3(f)のように電子線レジスト
6を全面に塗布した。この時の膜厚は、ポリシリコン厚
と該電子線レジスト厚を合わせて20μm以下とした。
好ましくは、5〜15μmである。この膜厚が、荷電粒
子ビームを遮蔽するパターン形成領域の厚さとなる。
【0055】次いで、所定のプリベーク処理後、電子線
描画装置でパターンの描画を行い、所定の現像、ポスト
ベーク処理を行い、図3(g)に示す様に、本発明のア
パーチャのブランク5の上面にレジストパターン7が出
来上がる。
【0056】次に上述したレジストパターン7上に、図
3(h)のように金属膜8を製膜した。本実施例では真
空蒸着によりPtを蒸着した。
【0057】この際の金属膜8の厚さは前述の通り、レ
ジストパターン7の厚さ程度、すなわちレジストパター
ン7の開口部が金属膜8で埋まる程度である。この金属
膜8の製膜はスパッタリング法、イオンプレーティング
法などの従来知られている方法を使用してもよい。
【0058】次に、上述の金属膜8を製膜した基板を図
3(i)に示す様に、平行平板型のリアクティブエッチ
ング装置15でエッチングを行う。この際、先ずチャン
バ内にO2ガスを導入し、パワー100Wで数分間エッ
チングを行いレジストパターン7を除去する。その後、
従来から行われているようにチャンバ内にCCl4ガス
を導入し、パワー100Wで残ったPt膜をマスクにし
てポリシリコン14のエッチングをおこなった。この際
下層のSiO2の部分に到るまでエッチングを行った
が、上層のPt膜が形成されている部分およびその下の
ポリシリコンはエッチングされなかった。
【0059】次に図3(j)に示すように、エッチング
液4を用い、基板の下層からバックエッチングを行っ
た。エッチング液4は基板の下面から浸透していくが、
SiO2層の部分でエッチングは停止する。
【0060】この際、前述のブランク5の作製工程にお
けるバックエッチングの続きすなわち異方性エッチング
が行われ、最終的にはマスキングパターン2の部分のみ
Siが残り、開口部はSiO2層のみが、それ以外の部
分は、上面から製膜した金属膜8であるPt層およびに
その下のポリシリコンとSiO2層のみが残る。
【0061】この後、再度基板をリアクティブエッチン
グ装置に入れ、従来から行われているように、チャンバ
内にCF4ガスとH2ガスを混合して導入し、パワー10
0Wで数分間エッチングを行うことにより、開口部のS
iO2層がエッチングされ、図3(k)に示すように本
発明のアパーチャ9が出来上がる。なおこの際、従来か
ら知られているように、CF4ガスにH2ガスを添加する
とことにより、CF4ガスの分解により生じたFラジカ
ルをHFの形にトラップし、FラジカルによるSiのエ
ッチングを防いでいる。
【0062】本実施例で作製したアパーチャについても
荷電粒子ビーム露光装置に装着して描画を行ったとこ
ろ、長時間描画を行っても、従来発生していたチャージ
アップは発生せず、応力によるパターンの歪みやずれも
確認されなかった。
【0063】なお、以上の実施例においてはいずれも、
上記金属膜8としてPtを使用しているが、支持基板と
熱膨張率がほぼ等しい、すなわち、両者の熱膨張率の差
が273K〜373Kの温度範囲において5×10-6
-1以下である材料であれば使用可能である。支持基板が
Siであれば、上記金属膜8としてPtの他に、例えば
Pdを使用することができ、PtとPdの合金も使用可
能である。また、例えばPtとPdの二層構造とするこ
とも可能である。
【0064】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
る荷電ビーム露光方式に用いられるアパーチャによれ
ば、荷電ビーム露光装置に装着し、露光を行った際に、
支持基板である第2の膜領域と上部の第1の膜領域を形
成する主たる材料が異なり、両者がほぼ同じ熱膨張率を
有することにより、荷電ビーム照射による加熱が原因で
発生する応力差による歪みが発生しないため、良好な転
写パターンがえられるという優れた効果を奏する。ま
た、その際、支持基板が導電性を有することにより、該
アパーチャのチャージアップが発生しないという効果も
奏する。
【0065】また、本発明による荷電ビーム露光方式に
用いられるアパーチャの製造方法によると、上部レジス
トパターン剥離と同時に支持基板のバックエッチング工
程を同時に行うことが出来るため、従来より工程が短縮
され、また、従来のように熱圧着工程がないため加熱に
よる歪みの発生がなく、さらにパターン作製時の薄膜化
の工程が最後に来るため作製途中での基板が破れる不都
合がなく、加えてブランク作製段階でのエッチングの精
密な制御が必要ないため従来よりも工程が単純化される
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を工程順に示す断面図であ
る。
【図2】 本発明の別の実施例を工程順に示す断面図で
ある。
【図3】 本発明の他の実施例を工程順に示す断面図で
ある。
【図4】 従来のアパーチャの製造方法の一例を工程順
に示す断面図である。
【図5】 従来のアパーチャの製造方法の別の例を工程
順に示す断面図である。
【符号の説明】
1 Si基板 2 マスキングパターン 3 エッチング槽 4 Siエッチング液 5 アパーチャのブランク 6 電子線レジスト 7 レジストパターン 8 金属膜 9 本発明のアパーチャ 10 酸化シリコン 11 上部Si板 12 下部Si板 13 酸化シリコン 14 ポリシリコン 15 リアクティブエッチング装置

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電ビームを用いた露光方法に用いられ
    るアパーチャにおいて、開口部を有する第1の膜領域
    と、該第1の膜領域を支持し且つ該第1の膜領域よりも
    厚い第2の膜領域とを有し、該第1の膜領域を形成する
    主たる材料と該第2の膜領域を形成する主たる材料とが
    異なる材料からなることを特徴とするアパーチャ。
  2. 【請求項2】 前記第1の膜領域と前記第2の膜領域に
    それぞれ使用される材料の熱による線膨張率の差が27
    3Kから373Kの温度範囲において5×10-6-1
    下であることを特徴とする請求項1記載のアパーチャ。
  3. 【請求項3】 前記第1の膜領域は前記第2の膜領域の
    エッチング時にエッチングがなされない材料であること
    を特徴とする請求項1または2記載のアパーチャ。
  4. 【請求項4】 前記第2の膜領域は導電性を有すること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアパー
    チャ。
  5. 【請求項5】 前記第1の膜領域はPtまたはPdもし
    くはその合金であることを特徴とする請求項1乃至4の
    いずれかに記載のアパーチャ。
  6. 【請求項6】 前記第2の膜領域は単結晶Siであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のアパ
    ーチャ。
  7. 【請求項7】 荷電ビームを用いた露光方式に用いられ
    るアパーチャの製造方法において、レジストパターンを
    第2の膜領域上に形成し、次にその上に前記第2の膜領
    域よりも薄い第1の膜領域を形成し、その後前記第2の
    膜領域をエッチングしてなることを特徴とするアパーチ
    ャの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第1の膜領域下のレジストパターン
    は前記第2の膜領域のエッチング時に同時に溶解するこ
    とを特徴とする請求項7記載のアパーチャの製造方法。
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