JPH0714204Y2 - ピルファープルーフキャップ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、清涼飲料等が収容された容器を封止するの
に用いられ、容器が未開封であるか、開封済みであるか
を確認できるピルファープルーフキャップに関するもの
である。

「従来の技術」 このようなピルファープルーフキャップとしては、従
来、第４図に示すものが知られている。

ピルファープルーフキャップは、薄金属板製の有底円筒
体で、キャップ本体１と、このキャップ本体１の開口端
側に設けられたピルファープルーフバンド（以下、PPバ
ンドと略する）２と、このPPバンド２と上記キャップ本
体１とを連設する複数のブリッジ３・・・とからなって
いる。

ブリッジ３・・・のうちの１つは、幅広のブリッジ3aと
されている。これらブリッジ3a,3・・・の間の部分は、
スコアー４・・・とされている。また、PPバンド２に
は、ヴァーチカルスコアー５が設けられている。

このようなピルファープルーフキャップ（以下、キャッ
プと略称する）は、第５図（ａ），（ｂ）に示すよう
に、容器Ａの口部に装着される。キャップの装着は、キ
ャップ供給装置によって容器Ａの口部にキャップを被着
した後、キャッピングマシンによって、容器Ａの口部の
ねじ６に対応するねじを、キャップ本体１の周壁に転造
したうえ、PPバンド２を容器Ａの口部の膨出部７にPPバ
ンド２の下端縁2aを巻き込んで係止することによって行
なわれる。

次に、キャップを容器Ａの口部から取り外す方法につい
て説明する。すなわち、容器Ａの口部を開封するため
に、キャップを逆ねじ方向に回転させて上昇させると、
PPバンド２は膨出部７に係止されていて移動しないの
で、ブリッジ３・・・およびヴァーチカルスコアー５が
切断され開封される。この際、本体１とPPバンド２は、
幅広のブリッジ3aによって接続した状態で、キャップが
容器Ａから取り外される。そして、幅広のブリッジ3aを
引きちぎることによって、キャップ本体１からPPバンド
２を切り離す。このことによって、容器Ａが開封された
ものであることが確認される。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、このような従来のキャップにあっては、キャ
ップを容器Ａから取り外した後、幅広のブリッジ3aを引
きちぎることによって、キャップ本体１からPPバンド２
を切り離す際、ブリッジ3aが容易に切断されず、このた
め、引きちぎろうとした際、指を傷付けたり、また、引
きちぎった切断個所にバリが発生して、再封する場合な
どに、この部分に指などが当たり、違和感を与えるう
え、時には指を傷付ける恐れを生ずるなどの不都合があ
った。

この考案は上記事情に鑑みなされたもので、その目的と
するところは、取り外した後に、キャップ本体からピル
ファープルーフバンドを切り離す際、幅広のブリッジを
容易に引きちぎることができ、したがって、指を傷付け
たりすることもなく、また、切断面にバリが発生するこ
ともなく、再封する場合などにも、指を傷付けたりする
ことがないピルファープルーフキャップを提供すること
にある。

「問題点を解決するための手段」 上記目的を達成するために、この考案のピルファープル
ーフキャップは、キャップ本体と、このキャップ本体の
開口端側に設けられたピルファープルーフバンドと、こ
のピルファープルーフバンドと上記キャップ本体とを連
設する複数のブリッジとからなり、上記ブリッジのうち
の１つが幅広のブリッジとされているとともに各ブリッ
ジの間がスコアーとされており、かつ、上記ピルファー
プルーフバンドには、ヴァーチカルスコアーが設けられ
ているピルファープルーフキャップにおいて、上記幅広
のブリッジに、ヴァーチカルスコアー側が浅く、ヴァー
チカルスコアー側から離れるにつれて徐々に深くなるよ
うな補助スコアーを設けたものである。

「実施例」 以下、この考案のピリファープルーフキャップの一実施
例を第１図ないし第３図に基づいて説明する。

なお、従来例のものと同一構成要素には同一符号を付し
てその説明を省略する。

図中、符号８は、幅広のブリッジ3aに設けられた補助ス
コアーであって、この補助スコアー８は、ヴァーチカル
スコアー５側が浅く、ヴァーチカルスコアー５から離れ
るにつれて徐々に深くされている（第３図参照）。

この補助スコアー８は、たとえば、ピルファープルーフ
キャップが材質：アルミニウム、板厚:0.23mm、直径:28
mm、幅広のブリッジ3aの幅:3.0mmの場合、浅い方の深さ
を２〜10μｍ程度、深い方の深さを15〜30μｍ程度と
し、好ましくは浅い方の深さを５μｍ、深い方の深さを
25μｍとする。

このように構成されたピルファープルーフキャップは、
従来と同様にして、容器Ａの口部に装着され、また、容
器Ａの口部から取り外される。

上記のようなピルファープルーフキャップにあっては、
ヴァーチカルスコアー５側の補助スコアー８の深さは、
浅くされているので、ピルファープルーフキャップを容
器Ａから取り外す際、ヴァーチカルスコアー５が切断す
る前に幅広のブリッジ3aが切断することがなく、したが
って、容器Ａの口部にPPバンド２が残留することがな
い。

しかも、取り外した後に、キャップ本体１からPPバンド
２を切り離す場合には、ヴァーチカルスコアー５から離
れるにつれて、補助スコアー８の深さは徐々に深くされ
ているので、幅広のブリッジ3aの板厚は徐々に薄くなっ
ていくため、キャップ本体１とPPバンド２とをそれぞれ
持って引きちぎれば、幅広のブリッジ3aは、補助スコア
ー８の深さが深い方から容易に切断されていく。このた
め、指を傷付けたりすることもなく、また、切断面にバ
リが発生することもなく、再封する場合などにも、指を
傷付けたりすることがない。

（実験例） ヴァーチカルスコアー側が浅く、ヴァーチカルスコアー
側から離れるにつれて徐々に深くなるような補助スコア
ーを設けた本考案に係るピルファープルーフキャップに
おけるキャッピング適性、開栓性適性及びPPバンド切り
離し適性について、補助スコアーを設けないキャップ及
び均一な深さの補助スコアーを設けたキャップと比較し
て調べた。

A.サンプルキャップ ・材質：アルミニウム合金（JIS 3000番） ・板厚:0.23mm ・キャップ径:28mm ・幅広ブリッジの幅:3.0mm 上記条件のキャップに第１図に示すように複数のブリッ
ジ、１つの幅広ブリッジ、ヴァーチカルスコアー及び補
助スコアーを形成した。補助スコアーの深さは表１に示
す通りとした。表１中の比較例１は補助スコアーを形成
しないキャップであり、また比較例２〜５は補助スコア
ーの深さを均一としたキャップであり、また実施例１〜
６はヴァーチカルスコアー側が浅く、ヴァーチカルスコ
アー側から離れるにつれて徐々に深くなるような補助ス
コアーを設けたキャップである。

B.テスト方法 テスト１ キャッピング適性 28mm口径のプラスチックボトルに１ヘッドのキャッピン
グマシンにて、 ・トッププレッシャー:180kg ・プレッシャーブロック：ボア径26.35mm、 絞り込み深さ1.35mm ・サイドプレッシャートルク:38kg・cm の条件にて表１に示した各種のサンプルキャップをボト
ル口部に巻締め、幅広ブリッジの破壊の有無を確認し
た。試験品数は各サンプルキャップ毎に300個とし、幅
広ブリッジの破壊が無く良好なサンプルキャップを○、
一本でも幅広ブリッジが破壊したサンプルキャップを×
とした。このテスト１の結果を表２に示す。

テスト２ 開栓性適性 上記テスト１で良好であったサンプルについて、キャッ
プを開栓し、幅広ブリッジの切断の有無を確認した。試
験品数は各サンプルキャップ毎に200個とし、開栓した
キャップに幅広ブリッジが切断したものが無い良好なサ
ンプルキャップを○、幅広ブリッジが切断したものがあ
りそれが10％未満のサンプルキャップを△、切断したも
のが10％以上のサンプルキャップを×として評価した。
このテスト２の結果を表２に示す。

テスト３ PPバンド切り離し適性 上記テスト２で良好であったサンプルを使用し、第６図
に示すようにキャップ本体から殆ど切り離されて幅広ブ
リッジのみでつながっているPPバンドを持ち、この図中
矢印で示す方向に沿って（実施例１〜６のキャップでは
補助スコアーの深い方から浅い方に向けて）引ちぎり、
バリの発生の有無を調べた。試験品数は各サンプルキャ
ップ毎に100個とし、バリ発生が１本も無いサンプルキ
ャップを○、１本でもバリが発生したサンプルキャップ
を×とした。このテスト３の結果を表２に示す。

表２から明らかなように、ヴァーチカルスコアー側が浅
く、ヴァーチカルスコアー側から離れるにつれて徐々に
深くなるような補助スコアーを設けた実施例１〜６のキ
ャップは、キャッピング適性、開栓性適性及びPPバンド
切り離し適性のいずれについても良好な結果が得られ
た。

一方、補助スコアーを設けていない比較例１のキャップ
ではPPバンド切り離しの際にバンドを引ちぎり難く、切
断部分にバリを生じるものが多かった。また幅広ブリッ
ジに均一な深さの補助スコアーを設けた比較例２〜５の
キャップでは、補助スコアーの深さが10μｍ程度である
と比較例１と同じくPPバンド切り離しの際にバリの発生
が多くなり、補助スコアーの深さをそれ以上とするとバ
リの発生は抑えられるがキャッピング時に幅広ブリッジ
が破壊し易くなるとともに、キャップ開栓時に幅広ブリ
ッジが切断し易くなり、キャッピング適性及び開栓性適
性が悪化した。その結果、補助スコアーを設けないキャ
ップ及び均一な深さの補助スコアーを設けたキャップで
は、キャッピング適性、開栓性適性及びPPバンド切り離
し適性の３つの適性条件を全て満足するキャップは無か
った。

「考案の効果」 以上説明したように、この考案のピルファープルーフキ
ャップにあっては、ヴァーチカルスコアー側の補助スコ
アーの深さは、浅くされているので、ピルファープルー
フキャップを容器から取り外す際、ヴァーチカルスコア
ーが切断する前に幅広のブリッジが切断することがな
く、したがって、容器の口部にピルファープルーフバン
ドが残留することがない。

しかも、このキャップを容器から取り外した後に、キャ
ップ本体からピルファープルーフバンドを切り離す場合
には、ヴァーチカルスコアーから離れるにつれて、補助
スコアーの深さは徐々に深くされているので、幅広のブ
リッジの板厚は徐々に薄くなっていくため、キャップ本
体とピルファープルーフバンドとをそれぞれ持って引き
ちぎれば、幅広のブリッジは、補助スコアーの深さが深
い方から容易に切断されていく。このため、指を傷付け
たりすることもなく、また、切断面にバリが発生するこ
ともなく、再封する場合などにも、指を傷付けたりする
ことがない。

【図面の簡単な説明】 第１図ないし第３図はこの考案のピルファープルーフキ
ャップの一実施例を示す図であって、第１図は側面図、
第２図は第１図の一部拡大図、第３図は第２図の幅広ブ
リッジ部の拡大横断面図であり、第４図および第５図
（ａ），（ｂ）は従来のピルファープルーフキャップを
示す図であって、第４図は側面図、第５図（ａ）は容器
の口部に装着された状態を示す側面図、第５図（ｂ）は
第５図（ａ）の縦断面図、第６図は本考案に係る実験例
におけるテスト３の操作を説明するための側面図であ
る。 １……キャップ本体、２……ピルファープルーフバンド
（PPバンド）、３……ブリッジ、3a……幅広のブリッ
ジ、４……スコアー、５……ヴァーチカルスコアー、８
……補助スコアー、Ａ……容器。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】キャップ本体と、同キャップ本体の開口端
   側に設けられたピルファープルーフバンドと、同ピルフ
   ァープルーフバンドと上記キャップ本体とを連設する複
   数のブリッジとからなり、上記ブリッジのうちの１つが
   幅広のブリッジとされているとともに各ブリッジの間が
   スコアーとされており、かつ、上記ピルファープルーフ
   バンドにはヴァーチカルスコアーが設けられているピル
   ファープルーフキャップにおいて、上記幅広のブリッジ
   に、上記ヴァーチカルスコアー側が浅く、同ヴァーチカ
   ルスコアー側から離れるにつれて徐々に深くなるような
   補助スコアーを設けたことを特徴とするピルファープル
   ーフキャップ。