JPH07138935A - 地盤改良機における共回り防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 地盤改良機で切削された切削土壌およびソイ
ルセメントを混合攪拌する際に生じる攪拌翼との共回り
現象を防止する装置を得ることを目的とする。 【構成】掘削翼と攪拌翼を備える掘削ロッドで被改良地
盤の掘削および引抜きを行なって切削された土壌に固化
材液を圧入するとともに混合攪拌することにより被改良
地盤中にコラムを形成するようにした地盤改良機におけ
る掘削翼の上方にこの掘削翼の掘削径と同程度の径に設
定した一もしくはそれ以上の共回り防止翼を回転自在に
配設し、さらにこの共回り防止翼をその翼体下側面に作
用する切削土壌の圧力によって前記掘削ロッドとは反対
方向に回転するように構成する。この共回り防止装置は
簡単な構造でしかも切削土壌やソイルセメントと攪拌翼
との共回り現象を確実に阻止することができるものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、軟弱地盤などの被改
良地盤の支持力を増強をする際に使用される地盤改良機
に関するものであり、一層詳細には、地盤改良機で切削
された土壌と固化材液からなるソイルセメントの混合攪
拌時に攪拌翼とソイルセメントとが共回りをするのを防
止する装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術および発明が解決すべき課題】近時、住宅な
どを構築しようとする地盤が軟弱である場合、この軟弱
地盤中に円柱状のコラム（改良杭）を形成してその支持
力を増強する地盤改良方法が注目されてきている。

【０００３】ところで、このような軟弱地盤の支持力を
増強する際に使用される地盤改良機は、掘削翼と攪拌翼
を備える掘削ロッドを被改良地盤に略垂直に立設した
後、この掘削ロッドを回動操作して掘削翼により被改良
地盤を掘削するとともに適宜引抜きを行ない、この際に
ポンプ装置によってスラリー状のセメントミルクなどの
固化材液を掘削翼近傍に設けた吐出口を介して切削土壌
中に圧入し、さらに切削土壌と固化材液とからなるソイ
ルセメントを攪拌翼により強制的に混合攪拌して固化材
液の固化反応で軟弱地盤中に円柱状のコラムを形成する
ように構成されている。

【０００４】しかるに、地盤改良機によるソイルセメン
トの混合攪拌は、砂質土やシルト（沈泥）系の地盤には
有効であるが、例えば、粘性土やピート層などの地盤で
は切削された土壌が団子状になって攪拌翼と共に回転し
まう現象（共回り現象）が生じ、その結果、土塊として
残ったり、外周辺が殻状に固化したコラムとなってしま
い良質で安定したコラムを形成できないという問題があ
った。

【０００５】そこで、このような問題を解決するため
に、例えば、掘削翼と攪拌翼との間にこの掘削翼の掘削
径よりも大径に設定した共回り防止翼を回転自在に設
け、掘削ロッドとともに回転する攪拌翼と掘削穴の周壁
に係止されて静止している共回り防止翼とによって切削
土壌を強制的に剪断することにより共回り現象を阻止す
るなどの工夫がなされている（特公昭５８−２９３７４
号公報参照）。

【０００６】しかしながら、前述の共回り防止翼は掘削
翼の掘削径よりも大径であるため、被改良地盤の掘進時
に掘削穴の周壁に沿って強制的に推進させるので損傷す
ることがあり、さらには攪拌翼と共働して切削土壌を強
制的に剪断する際に掘削穴の周壁が崩れたりすると共回
り現象を阻止することができなくなるなど、さらに解決
すべき課題が指摘されていた。

【０００７】

【課題の解決手段】そこで、この発明では、掘削翼と攪
拌翼を備える掘削ロッドで被改良地盤の掘削および引抜
きを行なって切削された土壌に固化材液を圧入するとと
もに混合攪拌することにより被改良地盤中にコラムを形
成するようにした地盤改良機における前記掘削ロッドに
設けた掘削翼の上方にこの掘削翼の掘削径と同程度の径
に設定した一もしくはそれ以上の共回り防止翼を回転自
在に配設し、さらにこの共回り防止翼をその翼体下側面
に作用する切削土壌の圧力によって前記掘削ロッドとは
反対方向に回転するように構成することにより、簡単な
構造でしかも切削土壌と攪拌翼との共回りを確実に阻止
できるようにしたものである。

【０００８】

【作用】この発明では、掘削ロッドを回動して被改良地
盤を掘進すると、共回り防止翼はその翼体下側面に作用
する切削土壌の圧力によって掘削ロッドの回転方向とは
反対方向に回転するため、切削土壌は掘進方向に押し戻
されるようなかたちで攪拌され、順次上昇してくる切削
土壌とともに攪拌翼などによって充分に煉り混ぜられる
ものである。

【０００９】

【実施例】次に、本発明に係る地盤改良機における共回
り防止装置の実施例につき、添付図面を参照しながら以
下詳細に説明する。

【００１０】図１〜図３において、本発明に係る地盤改
良機における掘削ロッド１０の先端には掘削ビット１２
が配設されている。この掘削ロッド１０の内部にはスラ
リー状固化材液の圧送路１４が形成されており、前記掘
削ビット１２近傍には前記固化材液の吐出口１６が開設
されている。また、掘削ロッド１０の掘削ビット１２近
傍には所定の掘削径Ｄに設定されしかも複数の切削刃１
８を有する掘削翼２０が取着されている。

【００１１】一方、掘削ロッド１０の外周には、掘削径
Ｄの略１／２程度の長さに設定した攪拌翼２２ａ、２２
ｂ、２２ｃが所定間隔でしかも掘削ロッド１０の軸方向
に対して左下がりに取着されている。これらの攪拌翼２
２ａ、２２ｂ、２２ｃは、本実施例においては、図３に
示すように、掘削ロッド１０の外周に沿って略１２０度
づつ位相を変えて取着されているが、切削土壌あるいは
この切削土壌と圧入される固化材液とからなるソイルセ
メントを効率よく攪拌混合する機能を備えているのであ
れば、掘削径Ｄと略同程度の長さに設定した翼体を適宜
位相を変えて取着しても良いことは言うまでもない。

【００１２】また、前記攪拌翼２２ａと２２ｂとの間に
は、掘削ロッド１０に対して回転自在に形成したボス部
材２４を配置し、このボス部材２４に共回り防止翼２６
を取着する。なお、前記共回り防止翼２６は全体として
掘削径Ｄと同じかそれよりも若干小径に設定するととも
に掘削ロッド１０の軸方向に対して右下がりに取着す
る。このように構成することにより、掘削ロッド１０を
Ａ方向に回動して掘進させた場合、共回り防止翼２６の
翼体下側面２８に作用する土圧力によって反対のＢ方向
に回転することが諒解されよう。

【００１３】なお、図１および図２において参照符号３
０は、掘削ロッド１０を軸方向に接続して使用する際の
連結ピン挿入孔である。

【００１４】このように構成した本発明に係る地盤改良
機における掘削ロッド１０の掘削ビット１２を、図４に
示すように、被改良地盤３２に略垂直に立設した後、掘
削ロッド１０を回動操作して掘削ビット１２および複数
の切削刃１８を有する掘削翼２０によりこの被改良地盤
３２を掘削していくと、切削された土壌は掘削ロッド１
０とともに回転する攪拌翼２２ｃ、２２ｂによって攪拌
されながら上方に移動し、共回り防止翼２６の翼体下側
面２８に達すると、切削土壌の土圧力（上方向圧力）は
分力されて一部が共回り防止翼２６の回転力として作用
する。

【００１５】そしてこの共回り防止翼２６は攪拌翼２２
ｃ、２２ｂとは反対の右下がりに取着されているので、
翼体下側面２８で回転力として分力された力は攪拌翼２
２ｃ、２２ｂ（掘削ロッド１０）とは反対のＢ方向への
回転力として作用することになり、その結果、切削土壌
は掘進方向に押し戻されるようにして攪拌され、順次上
昇してくる切削土壌とともに攪拌翼２２ｃ、２２ｂによ
って充分に煉り混ぜられ、不都合な共回り現象を回避す
ることができる。なお、そのまま上方に移動した一部の
切削土壌はＡ方向に回転する攪拌翼２２ａによってで再
び攪拌されることになる。

【００１６】このようにして切削土壌を充分攪拌すると
ともに適宜引抜きを行なった後は、外部に設置したセメ
ントミルク供給装置によって圧送路１４および吐出口１
６を介してセメントミルクを切削土壌中に圧入し、この
切削土壌と固化材液とからなるソイルセメントを攪拌翼
２２および共回り防止翼２６により強制的に混合攪拌し
て円柱状のコラムを形成すれば良い。なお、この混合攪
拌時においてもソイルセメントは前述と同様に充分煉り
混ぜられるので良質で安定したコラムを得ることができ
るものである。

【００１７】

【発明の効果】先に述べたように本発明に係る地盤改良
機によれば、掘削ロッドに設けた掘削翼の上方にこの掘
削翼の掘削径と同じかそれよりも小径に設定した共回り
防止翼を、その翼体下側面に作用する土圧によって掘削
ロッドの回転方向とは反対方向に回転するように設けた
ので、切削土壌だけなくソイルセメントも充分煉り混ぜ
られ、不都合な共回り現象を確実に阻止することがで
き、従って、良質で安定したコラムを形成することがで
きる。また、構造も簡単なので製造が容易で耐久性も高
く、取扱い操作も極めて簡便である等種々の利点を有す
る。

【００１８】以上、本発明に係る地盤改良機における共
回り防止装置の好適な実施例につき説明したが、本発明
はこの実施例に限定されるものではなく、例えば、掘削
ロッドに攪拌翼と共回り防止翼とを交互に適数配設し
て、切削土壌およびソイルセメントの攪拌混合をさらに
確実に行なえるようにする等、本発明の精神を逸脱しな
い範囲内において種々の設計変更をなし得ることは勿論
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る地盤改良機における共回り防止装
置を付設した掘削ロッドの斜視図である。

【図２】図１に示す掘削ロッドの側面図である。

【図３】図１に示す掘削ロッドの底面図である。

【図４】図１に示す掘削ロッドの共回り防止装置を利用
して切削土壌およびこの切削土壌と固化材液とからなる
ソイルセメントを攪拌混合する際の説明図である。

【符号の説明】

１０ 掘削ロッド、 １２ 掘削ピット、 １
４ 圧送路、１６ 吐出口、 １８ 切削
刃、 ２０ 掘削翼、２２ 攪拌翼、
２４ ボス部材、 ２６ 共回り防止翼、２８
翼体下側面、 ３０ 連結ピン挿入孔、３２ 被
改良地盤、

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】掘削翼と攪拌翼を備える掘削ロッドで被改
   良地盤の掘削および引抜きを行なって切削された土壌に
   固化材液を圧入するとともに混合攪拌することにより被
   改良地盤中にコラムを形成するようにした地盤改良機に
   おいて、前記掘削ロッドに設けた掘削翼の上方にこの掘
   削翼の掘削径と同程度の径に設定した一もしくはそれ以
   上の共回り防止翼を回転自在に配設し、さらにこの共回
   り防止翼をその翼体下側面に作用する切削土壌の圧力に
   よって前記掘削ロッドとは反対方向に回転するように構
   成することを特徴とする地盤改良機における共回り防止
   装置。