JPH07138860A - ポリアリーレンスルフィドメルトブロー不織布、及びその製造方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドメルトブロー不織布、及びその製造方法

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JPH07138860A
JPH07138860A JP5173778A JP17377893A JPH07138860A JP H07138860 A JPH07138860 A JP H07138860A JP 5173778 A JP5173778 A JP 5173778A JP 17377893 A JP17377893 A JP 17377893A JP H07138860 A JPH07138860 A JP H07138860A
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JP
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polyarylene sulfide
nonwoven fabric
melt
crystallization
sulfide resin
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JP5173778A
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Inventor
Shigeo Fujii
茂夫 藤井
Hidetoshi Takeuchi
英俊 竹内
Juichi Kamei
寿一 亀井
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 引張強度及び耐熱性に優れたポリアリーレン
スルフィドメルトブロー不織布を提供する。 【構成】 ポリアリーレンスルフィド樹脂をメルトブロ
ーして繊維化する際に、赤外線を照射することにより所
定の温度に所定時間加熱することにより徐冷し、結晶化
を促進させて得れる不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアリーレンスルフィ
ドメルトブロー不織布、及びそれを製造する方法に関
し、特に引張強度及び耐熱性に優れたポリアリーレンス
ルフィドメルトブロー不織布、及びそれを製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
エアーフィルタ材や液体の濾過材等の幅広い分野に不織
布が使用されるようになり、その生産量も増加してきて
いる。
【0003】特にポリフェニレンスルフィド樹脂等のポ
リアリーレンスルフィド樹脂は、高融点を有し、耐薬品
性、耐熱性及び難燃性に優れた樹脂であるため、電池用
セパレータ等の耐熱性の要求される分野での不織布に適
している。
【0004】このようなポリアリーレンスルフィド樹脂
の不織布としては、メルトブロー不織布が代表的であ
る。メルトブロー不織布は、溶融したポリアリーレンス
ルフィド樹脂を多数のオリフィスを有するダイから押し
出すとともに、高温高速の空気流を吹き出すことにより
延伸して微細な繊維状になったものを堆積し、ウェブを
形成してなるものである。このメルトブロー法による不
織布は、乾式法、湿式法、スパンポンド法などの他の製
法による不織布に比べ、単繊維の繊維径が微小で風合い
等に優れている。
【0005】しかしながら、上述したようなポリアリー
レンスルフィドのメルトブロー不織布は、溶融紡糸され
た後急冷されるため、通常の製造条件では非晶質の状態
のものが大半を占める。このため、110 ℃以上の温度で
使用すると樹脂が結晶化し、それに伴い不織布が収縮し
たり脆化したりするという問題がある。
【0006】このような問題点を解決するものとして特
開昭63−315655号は、ポリフェニレンスルフィドをメル
トブローして紡出繊維化するに際し、紡出ノズルから捕
集面の間に両サイドから加熱されたガスを噴射して緩や
かに冷却し、結晶化を促進しながらポリフェニレンスル
フィドメルトブロー不織布を製造する方法を開示してい
る。
【0007】しかしながら、上記方法においては、溶融
紡糸されたポリフェニレンスルフィドを加熱されたガス
を噴射して緩やかに冷却することにより結晶化させてい
るが、このような方法では、結晶化が不十分となりやす
いばかりか、その度合いが不均一になりやすいため、得
られる不織布の耐熱性(熱収縮率)、機械的強度等の均
一性が悪いという問題がある。
【0008】したがって、本発明の目的は、引張強度及
び耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィドメルトブロ
ー不織布を提供することである。
【0009】また、本発明のもう一つの目的は、上記ポ
リアリーレンスルフィドメルトブロー不織布を製造する
方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、ポリアリーレンスルフィド樹脂
をメルトブローして繊維化する際に、赤外線を照射する
ことにより所定の温度に所定時間加熱することにより徐
冷し、結晶化を促進させて得れる不織布は、良好な熱収
縮率、融着率、及び引張強度を有することを見出し、本
発明に想到した。
【0011】すなわち、本発明のポリアリーレンスルフ
ィドメルトブロー不織布は、0.1 〜20μmの平均繊維径
と、0.5 kg/25mm幅以上の引張強度と、7%以下の熱収
縮率とを有することを特徴とする。
【0012】また、上記メルトブロー不織布を製造する
本発明の方法は、ポリアリーレンスルフィド樹脂をメル
トブローして繊維化する際に、赤外線を照射することに
より120 〜600 ℃で10-4〜3秒加熱することを特徴とす
る。
【0013】本発明を以下詳細に説明する。〔1〕ポリアリーレンスルフィドメルトブロー不織布 (1) 構成成分 本発明のメルトブロー不織布は、ポリアリーレンスルフ
ィド樹脂からなる。上記ポリアリーレンスルフィド樹脂
は、下記一般式: −(Ar−S)n − (ただし、−Ar−は下記の一般式:
【化1】 (ただし、XはF、Cl、BrまたはCH3 などのアルキル
基を表し、mは1〜4の整数を表す)により表される二
価の芳香族基を有する。)により表される繰り返し単位
からなる。
【0014】特に好ましいポリアリーレンスルフィド樹
脂は、下記一般式:
【化2】 により表される繰り返し単位を有するポリフェニレンス
ルフィドである。
【0015】本発明に使用するポリアリーレンスルフィ
ド樹脂は、実質的に直鎖状高分子化合物であるのが好ま
しく、その重量平均分子量が2×104 〜7×104 、特に
3×104 〜6×104 のものが好ましい。また、300 ℃に
おける粘度〔η〕は、50〜10000 、特に180 〜3000、さ
らに100 〜1000であるのが好ましい。
【0016】なお、本発明においては、上記ポリアリー
レンスルフィド樹脂に、他のモノマーを10モル%以下程
度共重合体したものも用いることができる。
【0017】上記ポリアリーレンスルフィド樹脂の市販
品としては、例えば(株)トープレン製「トープレンP
PS」(商品名)、旭硝子(株)製「ASAHI PPS 」 (商
品名) 、東ソサスチール(株)製「サスティール」 (商
品名) 等が挙げられる。
【0018】また、本発明においては、後述する照射赤
外線を効率よく吸収させるために、赤外線吸収促進剤と
してSiO2 、エアロジル等の微粒子を配合するのが好
ましい。上記微粒子は直径10〜100 オングストロームの
いわゆる超微粒子が好ましい。このようなSiO2 、エ
アロジル等の微粒子の配合量は、ポリアリーレンスルフ
ィド樹脂100 重量部に対して、0.1 〜20重量部、特に0.
5 〜10重量部であるのが好ましい。
【0019】また、本発明においては、ポリアリーレン
スルフィド樹脂にその他必要に応じてシリコンオイルや
二硫化モリブデン、離型剤、滑剤、熱安定剤、他の無機
充填剤等を微量添加することができる。
【0020】(2) 物性 このようなポリアリーレンスルフィド樹脂からなる本発
明のメルトブロー不織布は、下記物性を有する。 (1) 平均繊維径が0.1 〜20μm、好ましくは1〜10μ
m。 (2) 引張強度が0.5 kg/25mm幅以上、好ましくは1〜6
kg/25mm幅。 (3) 熱収縮率が7%以下、好ましくは5%以下。
【0021】(1) 平均繊維径が0.1 μm未満のものは製
造が困難であり、一方20μmを超えると、目付の変動が
大きくなり、濾過材等として使用する時の信頼性が低下
する。
【0022】(2) 引張強度が0.5 kg/25mm幅未満では、
用途によってはその機械的強度が十分でない。
【0023】(3) 熱収縮率が7%を超えると、濾過材等
として使用する時の信頼性が低下する。
【0024】〔2〕製造方法 次に上述したようなポリアリーレンスルフィドメルトブ
ロー不織布を製造する本発明の方法について説明する。
【0025】本発明のポリアリーレンスルフィドメルト
ブロー不織布の製造方法に使用する装置の概略図を図1
に示す。図1において、メルトブロー成形装置は、押出
機1と、押出機1に熱可塑性樹脂を供給するホッパー3
と、押出機1の先端に設けられたダイ2と、加熱気体輸
送管4、4によりダイ2と接続しているエアー供給装置
5(一つは省略してある)と、エアーヒータ6と、ダイ
2の先端から所定の位置に設けられたコレクターロール
8とを有し、ダイ2とコレクターロール8との間には一
対の赤外線照射装置7、7が設けられている。
【0026】また、図1におけるダイ2の断面図を図2
に示す。ダイ2は上部ダイプレート21と、下部ダイプレ
ート22と、上部ガスプレート23と、下部ガスプレート24
とからなる。このような各部を組み合わせることによ
り、オリフィス11と、スリット12及び13と、このスリッ
ト12及び13に連通した上部エアーチャンバー25及び下部
エアーチャンバー26とが形成される。またオリフィス11
は、後端部、中間部及び先端部とからなり、後端部には
ポリアリーレンスルフィド樹脂のインレット27が接続
し、中間部は樹脂のチャンバー28となっている。また上
部エアーチャンバー25及び下部エアーチャンバー26に
は、それぞれ加熱気体輸送管4、4が接続している。な
お、上部ダイプレート21と、下部ダイプレート22中に
は、オリフィス11を後述する温度に保持するためのヒー
タ14及び15が埋設されている。
【0027】このようなブロー成形装置において、ポリ
アリーレンスルフィド樹脂は、ホッパー3から押出機1
に供給され、溶融混練された後、インレット27を経てチ
ャンバー28に流入し、オリフィス11から吐出される。こ
のときスリット12及び13から高速で噴射されている加熱
エアーにより、吐出された溶融ポリアリーレンスルフィ
ドは極細化される。ここで生成した繊維流9は、赤外線
照射装置7、7により加熱された後、回転するコレクタ
ーロール8などの捕集面上に集積され、不織布10を形
成する。
【0028】このような製造方法において、ポリアリー
レンスルフィド樹脂の紡糸時の溶融粘度は50〜700 ポイ
ズ、特に60〜300 ポイズであるのが好ましい。樹脂の溶
融粘度が50ポイズ未満では、不織布を構成する繊維の長
さが短くなり、得られる不織布の強度が低下する。また
溶融粘度が700 ポイズを超えると、高温の加熱ガスが大
量に必要となりるばかりか、繊維流の乱れを生じ、得ら
れる不織布の均一性が低下する。上述したような溶融粘
度とするためには、ポリアリーレンスルフィド樹脂を29
0 〜300 ℃、特に300 〜340 ℃で溶融混練するのが好ま
しい。
【0029】ダイ2に関しては、オリフィス11の径は、
0.1 〜1mm、特に0.2 〜0.8 mmであるのが好ましい。オ
リフィスの径が0.1 mm未満では、得られる繊維の平均径
を0.1 μm以上とするのが困難であり、一方1mmを超え
ると得られる繊維の平均径を20μm以下とするのが困難
となるため好ましくない。
【0030】オリフィス11は、290 〜380 ℃、特に300
〜330 ℃の温度にしておくのが好ましい。オリフィス11
の温度が290 ℃未満では、ポリアリーレンスルフィド樹
脂がオリフィスから吐出した直後に、迅速に固化してし
まうため、後述する赤外線の照射により徐冷しても結晶
化が進展せず、得られる不織布の耐熱性(熱収縮率)が
低下し、一方380 ℃を超えると、単繊維どうしが広い範
囲で融着して、繊維径のバラツキが生じやすくなるため
好ましくない。
【0031】スリット12及び13から噴射される加熱エア
ー(ブローエアー)の温度は、290〜450 ℃、特に300
〜360 ℃が好ましい。加熱エアーの温度が290 ℃未満で
は、ポリアリーレンスルフィド樹脂がオリフィスから吐
出した直後に、迅速に固化してしまうため、後述する赤
外線の照射により徐冷しても結晶化が進展せず、得られ
る不織布の耐熱性(熱収縮率)が低下し、一方450 ℃を
超えると、単繊維どうしが広い範囲で融着して、繊維径
のバラツキが生じやすくなるため好ましくない。
【0032】また、加熱エアーの噴射量は、ポリアリー
レンスルフィド樹脂1gに対して0.02Nm3 /Hr以
上、特に0.03〜0.1 Nm3 /Hrであるのが好ましい。
加熱ガスの噴射量が0.02Nm3 /Hr未満では、形成さ
れる繊維の引張強度が低下するため好ましくない。
【0033】なお、ダイ2とコレクターロール8との距
離は5〜100 cm、特に20〜50cmであるのが好ましい。ダ
イ2とコレクターロール8との距離が5cm未満では、後
述する赤外線照射装置による加熱スペースを確保するの
が困難となり、一方100 cmを超えると、繊維流が乱れて
しまうとともに、堆積時に繊維が完全に固化して、繊維
どうしが十分交絡した不織布をえるのが困難となるため
好ましくない。このコレクターロール8は、100 ℃以
上、特に110 〜150 ℃の温度としておくのが好ましい。
【0034】また、赤外線照射装置7としては、2.5 〜
50μmの波長の赤外線を放射するものを使用する。上記
赤外線としては、2.5 〜25μmの波長を有する普通赤外
線あるいは25μm以上の波長を有する遠赤外線が好まし
い。このような赤外線の放射体としては、黒色あるいは
それに近似の色彩(可視域における放射率が1に近いも
の)を有するセラミックスが挙げられる。
【0035】上記赤外線照射装置7による加熱温度(赤
外線放射体の表面温度)は、120 〜600 ℃である。加熱
温度が120 ℃未満では、ポリアリーレンスルフィド樹脂
の結晶化を十分に促進させるのが困難であり、一方600
℃を超えると、樹脂が溶融してしまう。好ましい加熱温
度は130 〜300 ℃、特に150 〜250 ℃である。また、加
熱時間は10-4〜3秒である。加熱時間が10-4秒未満の結
晶化を十分に促進させるのが困難であり、一方3秒を超
えると、繊維が熱劣化し脆くなる。なお、加熱時間は、
後述するダイ2とコレクターロール8との距離と、繊維
流の流速と、不織布の引き取り速度と、赤外線照射装置
による加熱ゾーンの長さとを適宜設定することにより調
整することができる。
【0036】なお、赤外線照射装置7は、少なくともオ
リフィス11から30cm以内の位置に設けるのが好ましい。
赤外線照射装置がオリフィスから30cmより離れた位置に
あると、赤外線照射装置に達した段階で、すでにポリア
リーレンスルフィド樹脂の大半が固化してしまうため、
赤外線の照射により加熱徐冷しても十分に結晶化を進展
させることができなくなるため好ましくない。特に好ま
しい赤外線照射装置7の設置位置はオリフィス11から2
〜10cmである。
【0037】このようにして得られた本発明のメルトブ
ロー不織布には、その後加熱ロールによる熱セット、赤
外線照射、誘導加熱等の後処理を施すことができる。
【0038】
【作用】本発明においては、ポリアリーレンスルフィド
樹脂をメルトブローして繊維化する際に、赤外線を照射
することにより前記ポリアリーレンスルフィド樹脂を加
熱しているので、得られる不織布は、良好な熱収縮率、
融着率、及び引張強度を有する。
【0039】このような効果が得られる理由については
必ずしも明らかではないが、ポリアリーレンスルフィド
樹脂を溶融紡糸した直後に、ポリマーが吸収しやすい波
長である赤外線を照射して加熱することにより徐冷して
いるので、効率的に結晶化を促進でき、不織布全体を通
してほぼ均一に高い結晶化度を有する不織布とすること
ができるためであると考えられる。
【0040】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明する。実施例1〜10、及び比較例1、2 ポリフェニレンスルフィド100 重量部に対して、第1表
に示す割合で赤外線吸収促進剤(SiO2 )を添加した
樹脂組成物を使用し、図1に例示するメルトブロー装置
により、赤外線照射装置(ソリヂオン(株)製 セラミ
ックヒータ)による加熱温度及び加熱時間を第1表に示
すように種々変化させて、平均繊維径約3μm、目付10
0 g/m2 のポリフェニレンスルフィドメルトブロー不
織布を作製した。なおメルトブロー装置の概要、及び上
記以外の製造条件は、以下の通りである。
【0041】メルトブロー装置の概要 オリフィスの口径 ・・・0.3 mmφ ダイとコレクターロールとの距離 ・・・39cm 赤外線照射装置とダイ先端のオリフィスとの距離 ・・・4cm 赤外線照射装置による加熱ゾーンの長さ ・・・35cm
【0042】製造条件 樹脂の溶融温度 ・・・320 ℃ オリフィスの温度 ・・・320 ℃ 樹脂の吐出量 ・・・0.5 g /分 (オリフィス1個当たり) エアー温度 ・・・360 ℃ エアーの吐出量 ・・・0.04Nm3 /Hr (ポリマー1g当たり)
【0043】このようにして得られたポリフェニレンス
ルフィドメルトブロー不織布のDSC測定による結晶化
温度、115 ℃付近の結晶化熱、引張強度、熱収縮率及び
融着率の測定を行った。結果を第1表に合わせて示す。
【0044】比較例3 実施例1において、メルトブロー装置としてダイとコレ
クターロールとの距離が17cmのものを使用し、赤外線
ヒータ使用しない以外は同様にしてポリフェニレンスル
フィドメルトブロー不織布を作製した。このようにして
得られたポリフェニレンスルフィドメルトブロー不織布
の結晶化温度、115 ℃付近の結晶化熱、引張強度及び熱
収縮率の測定を行った。結果を第1表に合わせて示す。
【0045】比較例4 実施例1において、赤外線照射装置をオフにした以外は
同様にしてポリフェニレンスルフィドメルトブロー不織
布を作製した。このようにして得られたポリフェニレン
スルフィドメルトブロー不織布の結晶化温度、115 ℃付
近の結晶化熱、引張強度及び熱収縮率の測定を行った。
結果を第1表に合わせて示す。
【0046】 第 1 表製造条件 実施例1 実施例2 実施例3 実施例4 実施例5 SiO2 の添加量* 0.5 0.1 0.1 0.1 0.5 赤外線設定温度(℃) 300 300 250 250 200 加熱時間(秒) 1×10-3 1×10-3 1×10-3 1×10-3 1×10-3 物性 結晶化温度(1) 115.5 114.5 115.3 116.2 117.2 結晶化熱(2) 2.2 5.2 5.0 1.5 0.1 引張強度(3) 6.40 2.37 3.12 2.85 2.35 熱収縮率(4) 3.0 4.5 4.0 2.0 0.5
【0047】 第 1 表 ( 続 き ) 製造条件 実施例6 実施例7 実施例8 実施例9 実施例10 SiO2 の添加量* 0.1 0.5 0.1 − 0.1 赤外線設定温度(℃) 200 130 130 200 150 加熱時間(秒) 1×10-3 1×10-3 1×10-3 1×10-3物性 結晶化温度(1) 116.6 117.6 117.7 117.2 116.3 結晶化熱(2) 3.5 1.8 4.6 1.7 1.8 引張強度(3) 1.88 2.13 5.04 3.05 2.60 熱収縮率(4) 3.0 2.0 3.5 1.8 2.2
【0048】 第 1 表 ( 続 き ) 製造条件 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4 SiO2 の添加量* 0.5 0.1 − − 赤外線設定温度(℃) オフ** オフ** なし*** オフ** 加熱時間(秒) − − − − 物性 結晶化温度(1) 115.3 116.7 117.3 118.5 結晶化熱(2) 5.1 4.2 5.8 5.8 引張強度(3) 5.61 5.90 2.88 2.54 熱収縮率(4) 9.0 8.0 13 10 注)*:ポリフェニレンスルフィド100重量部に対す
る添加量(単位は重量部)。 **:赤外線照射装置をオフにして不織布を製造した。 ***:赤外線照射装置のないものを使用して不織布を
製造した。
【0049】(1) 結晶化温度:示差走査熱量計により測
定した(単位は℃)。 (2) 結晶化熱:ポリフェニレンスルフィドの非晶部分に
起因する結晶化熱 (115℃付近) を示差走査熱量計によ
り測定した(単位はCal/g)。 (3) 引張強度:引張試験機により測定した(単位はkg/
25mm幅)。 (4) 熱収縮率:170 ℃のオーブンに30分放置した後測定
した(単位は%)。
【0050】第1表から明らかなように、実施例1〜10
のポリフェニレンスルフィドメルトブロー不織布は、0.
5 kg/25mm幅以上の引張強度と、7%以下の熱収縮率と
を有する。これに対し各比較例のメルトブロー不織布
は、上記物性の少なくとも一つが劣るものであった。
【0051】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明において
は、ポリアリーレンスルフィド樹脂をメルトブローして
繊維化する際に、赤外線照射により前記ポリアリーレン
スルフィド樹脂を加熱することにより徐冷して結晶化を
促進させているので、得れる不織布は良好な熱収縮率、
融着率、及び引張強度を有する。
【0052】このような本発明のポリアリーレンスルフ
ィドメルトブロー不織布は、電池用セパレータ、耐熱フ
ィルター等の各種分野に使用するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリアリーレンスルフィドメルトブロ
ー不織布を製造するメルトブロー成形装置の一例を示す
概略図である。
【図2】メルトブロー成形装置のダイの断面図である。
【符号の説明】
1・・・押出機 2・・・ダイ 3・・・ホッパー 4・・・加熱気体輸送管 5・・・エアー供給装置 6・・・エアーヒータ 7・・・赤外線照射装置 8・・・コレクターロール 9・・・繊維流 10・・・不織布 11・・・オリフィス 12、13・・・スリット 14、15・・・ヒータ 21・・・上部ダイプレート 22・・・下部ダイプレート 23・・・上部ガスプレート 24・・・下部ガスプレート 25・・・上部エアーチャンバー 26・・・下部エアーチャンバー 27・・・インレット 28・・・樹脂チャンバー
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年9月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアリーレンスルフィ
ドメルトブロー不織布、及びそれを製造する方法に関
し、特に引張強度及び耐熱性に優れたポリアリーレンス
ルフィドメルトブロー不織布、及びそれを製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年、
エアーフィルタ材や液体の濾過材等の幅広い分野に不織
布が使用されるようになり、その生産量も増加してきて
いる。
【0003】特にポリフェニレンスルフィド樹脂等のポ
リアリーレンスルフィド樹脂は、高融点を有し、耐薬品
性、耐熱性及び難燃性に優れた樹脂であるため、電池用
セパレータ等の耐熱性の要求される分野での不織布に適
している。
【0004】このようなポリアリーレンスルフィド樹脂
の不織布としては、メルトブロー不織布が代表的であ
る。メルトブロー不織布は、溶融したポリアリーレンス
ルフィド樹脂を多数のオリフィスを有するダイから押し
出すとともに、高温高速の空気流を吹き出すことにより
延伸して微細な繊維状になったものを堆積し、ウェブを
形成してなるものである。このメルトブロー法による不
織布は、乾式法、湿式法、スパンポンド法などの他の製
法による不織布に比べ、単繊維の繊維径が微小で風合い
等に優れている。
【0005】しかしながら、上述したようなポリアリー
レンスルフィドのメルトブロー不織布は、溶融紡糸され
た後急冷されるため、通常の製造条件では非晶質の状態
のものが大半を占める。このため、110℃以上の温度
で使用すると樹脂が結晶化し、それに伴い不織布が収縮
したり脆化したりするという問題がある。
【0006】このような問題点を解決するものとして特
開昭63−315655号は、ポリフェニレンスルフィ
ドをメルトブローして紡出繊維化するに際し、紡出ノズ
ルから捕集面の間に両サイドから加熱されたガスを噴射
して緩やかに冷却し、結晶化を促進しながらポリフェニ
レンスルフィドメルトブロー不織布を製造する方法を開
示している。
【0007】しかしながら、上記方法においては、溶融
紡糸されたポリフェニレンスルフィドを加熱されたガス
を噴射して緩やかに冷却することにより結晶化させてい
るが、このような方法では、結晶化が不十分となりやす
いばかりか、その度合いが不均一になりやすいため、得
られる不織布の耐熱性(熱収縮率)、機械的強度等の均
一性が悪いという問題がある。
【0008】したがって、本発明の目的は、引張強度及
び耐熱性に優れたポリアリーレンスルフィドメルトブロ
ー不織布を提供することである。
【0009】また、本発明のもう一つの目的は、上記ポ
リアリーレンスルフィドメルトブロー不織布を製造する
方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者らは、ポリアリーレンスルフィド樹脂
をメルトブローして繊維化する際に、赤外線を照射する
ことにより所定の温度に所定時間加熱することにより徐
冷し、結晶化を促進させて得れる不織布は、良好な熱収
縮率、融着率、及び引張強度を有することを見出し、本
発明に想到した。
【0011】すなわち、本発明のポリアリーレンスルフ
ィドメルトブロー不織布は、0.1〜20μmの平均繊
維径と、0.5kg/25mm幅以上の引張強度と、7
%以下の熱収縮率とを有することを特徴とする。
【0012】また、上記メルトブロー不織布を製造する
本発明の方法は、ポリアリーレンスルフィド樹脂をメル
トブローして繊維化する際に、赤外線を照射することに
より120〜600℃で10−4〜3秒加熱することを
特徴とする。
【0013】本発明を以下詳細に説明する。〔1〕ポリアリーレンスルフィドメルトブロー不織布 (1)構成成分 本発明のメルトブロー不織布は、ポリアリーレンスルフ
ィド樹脂からなる。上記ポリアリーレンスルフィド樹脂
は、下記一般式: −(Ar−S)− (ただし、−Ar−は下記の一般式:
【化1】 (ただし、XはF、Cl、BrまたはCHなどのアル
キル基を表し、mは1〜4の整数を表す)により表され
る二価の芳香族基を有する。)により表される繰り返し
単位からなる。
【0014】特に好ましいポリアリーレンスルフィド樹
脂は、下記一般式:
【化2】 により表される繰り返し単位を有するポリフェニレンス
ルフィドである。
【0015】本発明に使用するポリアリーレンスルフィ
ド樹脂は、実質的に直鎖伏高分子化合物であるのが好ま
しく、その重量平均分子量が2×10〜7×10
特に3×10〜6×10のものが好ましい。また、
300℃における粘度〔η〕は、50〜10000、特
に180〜3000、さらに100〜1000であるの
が好ましい。
【0016】なお、本発明においては、上記ポリアリー
レンスルフィド樹脂に、他のモノマーを10モル%以下
程度共重合体したものも用いることができる。
【0017】また、本発明においては、後述する照射赤
外線を効率よく吸収させるために、赤外線吸収促進剤と
してSiO、エアロジル等の微粒子を配合するのが好
ましい。上記微粒子は直径10〜100オングストロー
ムのいわゆる超微粒子が好ましい。このようなSi
、エアロジル等の微粒子の配合量は、ポリアリーレ
ンスルフィド樹脂100重量部に対して、0.1〜20
重量部、特に0.5〜10重量部であるのが好ましい。
【0018】また、本発明においては、ポリアリーレン
スルフィド樹脂にその他必要に応じてシリコンオイルや
二硫化モリブデン、離型剤、滑剤、熱安定剤、他の無機
充填剤等を微量添加することができる。
【0019】(2)物性 このようなポリアリーレンスルフィド樹脂からなる本発
明のメルトブロー不織布は、下記物性を有する。 (1)平均繊維径が0.1〜20μm、好ましくは1〜
10μm。 (2)引張強度が0.5kg/25mm幅以上、好まし
くは1〜6kg/25mm幅。 (3)熱収縮率が7%以下、好ましくは5%以下。
【0020】(1)平均繊維径が0.1μm未満のもの
は製造が困難であり、一方20μmを超えると、目付の
変動が大きくなり、濾過材等として使用する時の信頼性
が低下する。
【0021】(2)引張強度が0.5kg/25mm幅
未満では、用途によってはその機械的強度が十分でな
い。
【0022】(3)熱収縮率が7%を超えると、濾過材
等として使用する時の信頼性が低下する。
【0023】〔2〕製造方法 次に上述したようなポリアリーレンスルフィドメルトブ
ロー不織布を製造する本発明の方法について説明する。
【0024】本発明のポリアリーレンスルフィドメルト
ブロー不織布の製造方法に使用する装置の概略図を図1
に示す。図1において、メルトブロー成形装置は、押出
機1と、押出機1に熱可塑性樹脂を供給するホッパー3
と、押出機1の先端に設けられたダイ2と、加熱気体輸
送管4、4によりダイ2と接続しているエアー供給装置
5(一つは省略してある)と、エアーヒータ6と、ダイ
2の先端から所定の位置に設けられたコレクターロール
8とを有し、ダイ2とコレクターロール8との間には一
対の赤外線照射装置7、7が設けられている。
【0025】また、図1におけるダイ2の断面図を図2
に示す。ダイ2は上部ダイプレート21と、下部ダイプ
レート22と、上部ガスプレート23と、下部ガスプレ
ート24とからなる。このような各部を組み合わせるこ
とにより、オリフィス11と、スリット12及び13
と、このスリット12及び13に連通した上部エアーチ
ャンバー25及び下部エアーチャンバー26とが形成さ
れる。またオリフィス11は、後端部、中間部及び先端
部とからなり、後端部にはポリアリーレンスルフィド樹
脂のインレット27が接続し、中間部は樹脂のチャンバ
ー28となっている。また上部エアーチャンバー25及
び下部エアーチャンバー26には、それぞれ加熱気体輸
送管4、4が接続している。なお、上部ダイプレート2
1と、下部ダイプレート22中には、オリフィス11を
後述する温度に保持するためのヒータ14及び15が埋
設されている。
【0026】このようなブロー成形装置において、ポリ
アリーレンスルフィド樹脂は、ホッパー3から押出機1
に供給され、溶融混練された後、インレット27を経て
チャンバー28に流入し、オリフィス11から吐出され
る。このときスリット12及び13から高速で噴射され
ている加熱エアーにより、吐出された溶融ポリアリーレ
ンスルフィドは極細化される。ここで生成した繊維流9
は、赤外線照射装置7、7により加熱された後、回転す
るコレクターロール8などの捕集面上に集積され、不織
布10を形成する。
【0027】このような製造方法において、ポリアリー
レンスルフィド樹脂の紡糸時の溶融粘度は50〜700
ポイズ、特に60〜300ポイズであるのが好ましい。
樹脂の溶融粘度が50ポイズ未満では、不織布を構成す
る繊維の長さが短くなり、得られる不織布の強度が低下
する。また溶融粘度が700ポイズを超えると、高温の
加熱ガスが大量に必要となりるばかりか、繊維流の乱れ
を生じ、得られる不織布の均一性が低下する。上述した
ような溶融粘度とするためには、ポリアリーレンスルフ
ィド樹脂を290〜300℃、特に300〜340℃で
溶融混練するのが好ましい。
【0028】ダイ2に関しては、オリフィス11の径
は、0.1〜1mm、特に0.2〜0.8mmであるの
が好ましい。オリフィスの径が0.1mm未満では、得
られる繊維の平均径を0.1μm以上とするのが困難で
あり、一方1mmを超えると得られる繊維の平均径を2
0μm以下とするのが困難となるため好ましくない。
【0029】オリフィス11は、290〜380℃、特
に300〜330℃の温度にしておくのが好ましい。オ
リフィス11の温度が290℃未満では、ポリアリーレ
ンスルフィド樹脂がオリフィスから吐出した直後に、迅
速に固化してしまうため、後述する赤外線の照射により
徐冷しても結晶化が進展せず、得られる不織布の耐熱性
(熱収縮率)が低下し、一方380℃を超えると、単繊
維どうしが広い範囲で融着して、繊維径のバラツキが生
じやすくなるため好ましくない。
【0030】スリット12及び13から噴射される加熱
エアー(ブローエアー)の温度は、290〜450℃、
特に300〜360℃が好ましい。加熱エアーの温度が
290℃未満では、ポリアリーレンスルフィド樹脂がオ
リフィスから吐出した直後に、迅速に固化してしまうた
め、後述する赤外線の照射により徐冷しても結晶化が進
展せず、得られる不織布の耐熱性(熱収縮率)が低下
し、一方450℃を超えると、単繊維どうしが広い範囲
で融着して、繊維径のバラツキが生じやすくなるため好
ましくない。
【0031】また、加熱エアーの噴射量は、ポリアリー
レンスルフィド樹脂1gに対して0.02Nm/Hr
以上、特に0.03〜0.1Nm/Hrであるのが好
ましい。加熱ガスの噴射量が0.02Nm/Hr未満
では、形成される繊維の引張強度が低下するため好まし
くない。
【0032】なお、ダイ2とコレクターロール8との距
離は5〜100cm、特に20〜5cmであるのが好ま
しい。ダイ2とコレクターロール8との距離が5cm未
満では、後述する赤外線照射装置による加熱スペースを
確保するのが困難となり、一方100cmを超えると、
繊維流が乱れてしまうとともに、堆積時に繊維が完全に
固化して、繊維どうしが十分交絡した不織布をえるのが
困難となるため好ましくない。このコレクターロール8
は、100℃以上、特に110〜150℃の温度として
おくのが好ましい。
【0033】また、赤外線照射装置7としては、2.5
〜50μmの波長の赤外線を放射するものを使用する。
上記赤外線としては、2.5〜25μmの波長を有する
普通赤外線あるいは25μm以上の波長を有する遠赤外
線が好ましい。このような赤外線の放射体としては、黒
色あるいはそれに近似の色彩(可視域における放射率が
1に近いもの)を有するセラミックスが挙げられる。
【0034】上記赤外線照射装置7による加熱温度(赤
外線放射体の表面温度)は、120〜600℃である。
加熱温度が120℃未満では、ポリアリーレンスルフィ
ド樹脂の結晶化を十分に促進させるのが困難であり、一
方600℃を超えると、樹脂が溶融してしまう。好まし
い加熱温度は130〜300℃、特に150〜250℃
である。また、加熱時間は10−4〜3秒である。加熱
時間が10−4秒未満の結晶化を十分に促進させるのが
困難であり、一方3秒を超えると、繊維が熱劣化し脆く
なる。なお、加熱時間は、後述するダイ2とコレクター
ロール8との距離と、繊維流の流速と、不織布の引き取
り速度と、赤外線照射装置による加熱ゾーンの長さとを
適宜設定することにより調整することができる。
【0035】なお、赤外線照射装置7は、少なくともオ
リフィス11から30cm以内の位置に設けるのが好ま
しい。赤外線照射装置がオリフィスから30cmより離
れた位置にあると、赤外線照射装置に達した段階で、す
でにポリアリーレンスルフィド樹脂の大半が固化してし
まうため、赤外線の照射により加熱徐冷しても十分に結
晶化を進展させることができなくなるため好ましくな
い。特に好ましい赤外線照射装置7の設置位置はオリフ
ィス11から2〜10cmである。
【0036】このようにして得られた本発明のメルトブ
ロー不織布には、その後加熱ロールによる熱セット、赤
外線照射、誘導加熱等の後処理を施すことができる。
【0037】
【作用】本発明においては、ポリアリーレンスルフィド
樹脂をメルトブローして繊維化する際に、赤外線を照射
することにより前記ポリアリーレンスルフィド樹脂を加
熱しているので、得られる不織布は、良好な熱収縮率、
融着率、及び引張強度を有する。
【0038】このような効果が得られる理由については
必ずしも明らかではないが、ポリアリーレンスルフィド
樹脂を溶融紡糸した直後に、ポリマーが吸収しやすい波
長である赤外線を照射して加熱することにより徐冷して
いるので、効率的に結晶化を促進でき、不織布全体を通
してほぼ均一に高い結晶化度を有する不織布とすること
ができるためであると考えられる。
【0039】
【実施例】本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説
明する。実施例1〜10、及び比較例1、2 ポリフェニレンスルフィド100重量部に対して、第1
表に示す割合で赤外線吸収促進剤(SiO)を添加し
た樹脂組成物を使用し、図1に例示するメルトブロー装
置により、赤外線照射装置(ソリヂオン(株)製 セラ
ミックヒータ)による加熱温度及び加熱時間を第1表に
示すように種々変化させて、平均繊維径約3μm、目付
100g/mのポリフェニレンスルフィドメルトブロ
ー不織布を作製した。なおメルトブロー装置の概要、及
び上記以外の製造条件は、以下の通りである。
【0040】メルトブロー装置の概要 オリフィスの口径 ・・・0.3mmφ ダイとコレクターロールとの距離 ・・・39cm 赤外線照射装置とダイ先端のオリフィスとの距離 ・・・4cm 赤外線照射装置による加熱ゾーンの長さ ・・・35cm
【0041】製造条件 樹脂の溶融温度 ・・・320℃ オリフィスの温度 ・・・320℃ 樹脂の吐出量 ・・・0.5g/分(オリフィス1個当たり) エアー温度 ・・・360℃ エアーの吐出量 ・・・0.04Nm/Hr(ポリマー1g当たり )
【0042】このようにして得られたポリフェニレンス
ルフィドメルトブロー不織布のDSC測定による結晶化
温度、115℃付近の結晶化熱、引張強度、熱収縮率及
び融着率の測定を行った。結果を第1表に合わせて示
す。
【0043】比較例3 実施例1において、メルトブロー装置としてダイとコレ
クターロールとの距離が17cmのものを使用し、赤外
線ヒータ使用しない以外は同様にしてポリフェニレンス
ルフィドメルトブロー不織布を作製した。このようにし
て得られたポリフェニレンスルフィドメルトブロー不織
布の結晶化温度、115℃付近の結晶化熱、引張強度及
び熱収縮率の測定を行った。結果を第1表に合わせて示
す。
【0044】比較例4 実施例1において、赤外線照射装置をオフにした以外は
同様にしてポリフェニレンスルフィドメルトブロー不織
布を作製した。このようにして得られたポリフェニレン
スルフィドメルトブロー不織布の結晶化温度、115℃
付近の結晶化熱、引張強度及び熱収縮率の測定を行っ
た。結果を第1表に合わせて示す。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】(1)結晶化温度:示差走査熱量計により
測定した(単位は℃)。 (2)結晶化熱:ポリフェニレンスルフィドの非晶部分
に起因する結晶化熱(115℃付近)を示差走査熱量計
により測定した(単位はCal/g)。 (3)引張強度:引張試験機により測定した(単位はk
g/25mm幅)。 (4)熱収縮率:170℃のオーブンに30分放置した
後測定した(単位は%)。
【0049】第1表から明らかなように、実施例1〜1
0のポリフェニレンスルフィドメルトブロー不織布は、
0.5kg/25mm幅以上の引張強度と、7%以下の
熱収縮率とを有する。これに対し各比較例のメルトブロ
ー不織布は、上記物性の少なくとも一つが劣るものであ
った。
【0050】
【発明の効果】以上に詳述したように、本発明において
は、ポリアリーレンスルフィド樹脂をメルトブローして
繊維化する際に、赤外線照射により前記ポリアリーレン
スルフィド樹脂を加熱することにより徐冷して結晶化を
促進させているので、得れる不織布は良好な熱収縮率、
融着率、及び引張強度を有する。
【0051】このような本発明のポリアリーレンスルフ
ィドメルトブロー不織布は、電池用セパレータ、耐熱フ
ィルター等の各種分野に使用するのに好適である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.1 〜20μmの平均繊維径と、0.5 kg/
    25mm幅以上の引張強度と、7%以下の熱収縮率とを有す
    ることを特徴とするポリアリーレンスルフィドメルトブ
    ロー不織布。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のメルトブロー不織布の
    製造方法であって、ポリアリーレンスルフィド樹脂をメ
    ルトブローして繊維化する際に、赤外線を照射すること
    により120 〜600 ℃で10-4〜3秒加熱することを特徴と
    するポリアリーレンスルフィドメルトブロー不織布の製
    造方法。
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